JP2000173818A - コイルおよびコイル製造方法 - Google Patents
コイルおよびコイル製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】樹脂中に粉末状高熱伝導充填材を含有した従来
のコイルよりも課電劣化特性,機械特性および熱特性に
優れたコイルおよびコイル製造方法を提供する。 【解決手段】コイルの導体62の回りに素線絶縁63を
施したコイル導体61を束ね、束ねたコイル導体61の
回りにプリプレグテープ20をマイカ面が導体62側に
なるように重ね巻きして絶縁体1を設ける。プリプレグ
テープ20は、マイカテープ21とアルミナクロス23
とを貼り合わせ後、乾燥,半硬化させて作った。マイカ
テープ21は、鱗片状の硬質集成マイカに樹脂を塗布し
た樹脂含浸マイカである。
のコイルよりも課電劣化特性,機械特性および熱特性に
優れたコイルおよびコイル製造方法を提供する。 【解決手段】コイルの導体62の回りに素線絶縁63を
施したコイル導体61を束ね、束ねたコイル導体61の
回りにプリプレグテープ20をマイカ面が導体62側に
なるように重ね巻きして絶縁体1を設ける。プリプレグ
テープ20は、マイカテープ21とアルミナクロス23
とを貼り合わせ後、乾燥,半硬化させて作った。マイカ
テープ21は、鱗片状の硬質集成マイカに樹脂を塗布し
た樹脂含浸マイカである。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱伝導率の高いコイ
ルおよびコイル製造方法に関する。
ルおよびコイル製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】回転電機や変圧器などの電気機器のコイ
ルでは、コイル主絶縁体の熱伝導率を向上させるため、
主絶縁体を構成する樹脂中に熱伝導率の高い粉末状充填
材を含有させることが提案されている。このように熱伝
導率を向上させるコイルでは、とりわけ、マイカを主体
とした高圧コイルでは、特開昭63−110929号があり、少
なくとも90重量%が0.1〜15μmの粒径を有する
固有熱伝導率が5W/mK以上の充填材を含有するコイ
ルが提案されている。
ルでは、コイル主絶縁体の熱伝導率を向上させるため、
主絶縁体を構成する樹脂中に熱伝導率の高い粉末状充填
材を含有させることが提案されている。このように熱伝
導率を向上させるコイルでは、とりわけ、マイカを主体
とした高圧コイルでは、特開昭63−110929号があり、少
なくとも90重量%が0.1〜15μmの粒径を有する
固有熱伝導率が5W/mK以上の充填材を含有するコイ
ルが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記の例のよ
うに含浸樹脂に粉末状高熱伝導充填材を含有させてコイ
ル主絶縁体の熱伝導率を向上させる高圧コイルでは、コ
イル作製において、含浸後、樹脂を加熱硬化させる間に
樹脂および充填材が流れ出す、あるいは、流動するた
め、絶縁体中の樹脂と充填材の含有率および分布の制御
が困難であった。
うに含浸樹脂に粉末状高熱伝導充填材を含有させてコイ
ル主絶縁体の熱伝導率を向上させる高圧コイルでは、コ
イル作製において、含浸後、樹脂を加熱硬化させる間に
樹脂および充填材が流れ出す、あるいは、流動するた
め、絶縁体中の樹脂と充填材の含有率および分布の制御
が困難であった。
【0004】また、含浸樹脂に粉末状充填材を含有させ
ると樹脂粘度が上昇するため、コイル導体素線間付近の
樹脂溜部,コイル絶縁体角部,マイカテープ端部等に樹
脂が十分流れずボイドが残り、さらに加熱硬化時に加圧
する場合にはマイカ層に必要以上の応力が加わりマイカ
層が破壊される問題が生じた。
ると樹脂粘度が上昇するため、コイル導体素線間付近の
樹脂溜部,コイル絶縁体角部,マイカテープ端部等に樹
脂が十分流れずボイドが残り、さらに加熱硬化時に加圧
する場合にはマイカ層に必要以上の応力が加わりマイカ
層が破壊される問題が生じた。
【0005】このようなコイルを高圧コイルとして使用
する際には、前者の不均一性は主絶縁体中に温度分布の
偏りや主絶縁体の部分的な剥離やクラックを生じさせ、
異常加熱による熱的破壊を引き起こす問題があった。ま
た、主絶縁体中に電気的弱点部を発生させ絶縁耐力を低
下させる問題があった。
する際には、前者の不均一性は主絶縁体中に温度分布の
偏りや主絶縁体の部分的な剥離やクラックを生じさせ、
異常加熱による熱的破壊を引き起こす問題があった。ま
た、主絶縁体中に電気的弱点部を発生させ絶縁耐力を低
下させる問題があった。
【0006】一方、後者のボイドやマイカの破壊部での
部分放電は、コイル主絶縁体の部分放電劣化を促進し、
課電劣化寿命を短くする問題があった。実際、一般にマ
イカを主体とした高圧コイルでは8.5kV/mm の電界
での課電劣化試験では寿命は2000時間程度であるの
に比し、提案されたコイル主絶縁体は500時間で絶縁
破壊した。
部分放電は、コイル主絶縁体の部分放電劣化を促進し、
課電劣化寿命を短くする問題があった。実際、一般にマ
イカを主体とした高圧コイルでは8.5kV/mm の電界
での課電劣化試験では寿命は2000時間程度であるの
に比し、提案されたコイル主絶縁体は500時間で絶縁
破壊した。
【0007】さらに、高圧電気機器、とりわけ回転電機
では、コイルは遠心力等の機械応力や電磁応力等によ
り、変位,振動するため、コイル主絶縁体は機械的強度
に優れている必要があるが、含浸樹脂に粉末状充填材を
含有させたコイルでは、主絶縁体中の、とりわけマイカ
層中の樹脂含有率が、一般のマイカを主体としたコイル
主絶縁体に比し低く、マイカ片間の接着力が低いため、
マイカ層の層間剥離が生じやすい。また、樹脂に粉末状
充填材を加えることにより主絶縁体の脆性が増す問題が
あった。
では、コイルは遠心力等の機械応力や電磁応力等によ
り、変位,振動するため、コイル主絶縁体は機械的強度
に優れている必要があるが、含浸樹脂に粉末状充填材を
含有させたコイルでは、主絶縁体中の、とりわけマイカ
層中の樹脂含有率が、一般のマイカを主体としたコイル
主絶縁体に比し低く、マイカ片間の接着力が低いため、
マイカ層の層間剥離が生じやすい。また、樹脂に粉末状
充填材を加えることにより主絶縁体の脆性が増す問題が
あった。
【0008】さらに、前記の主絶縁体の組織的な不均一
性や欠陥は、微視的な応力集中を引き起こし、機械的強
度、なかでも疲労特性を低下させる問題があった。
性や欠陥は、微視的な応力集中を引き起こし、機械的強
度、なかでも疲労特性を低下させる問題があった。
【0009】本発明の目的は、樹脂中に粉末状高熱伝導
充填材を含有した従来のコイルよりも課電劣化特性,機
械特性および熱特性に優れたコイルおよびコイル製造方
法を提供することにある。
充填材を含有した従来のコイルよりも課電劣化特性,機
械特性および熱特性に優れたコイルおよびコイル製造方
法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のコイルは、主絶縁体中に高熱伝導体を含む
高熱伝導材料からなる繊維,クロスもしくはマットを用
いる。これらの繊維,クロスもしくはマットと、絶縁
性、例えば耐電圧,耐コロナ性,低誘電損,耐熱性に優
れた絶縁層とを積層してハイブリッド型絶縁層構造の主
絶縁体を作り、主絶縁体中における繊維,クロスもしく
はマットを含む層の割合が10Vol%以上で、繊維,ク
ロスもしくはマットを含む層の高熱伝導体の含有率が5
Vol%以上にすれば、主絶縁体の熱伝導率を特に向上さ
せることができる。
め、本発明のコイルは、主絶縁体中に高熱伝導体を含む
高熱伝導材料からなる繊維,クロスもしくはマットを用
いる。これらの繊維,クロスもしくはマットと、絶縁
性、例えば耐電圧,耐コロナ性,低誘電損,耐熱性に優
れた絶縁層とを積層してハイブリッド型絶縁層構造の主
絶縁体を作り、主絶縁体中における繊維,クロスもしく
はマットを含む層の割合が10Vol%以上で、繊維,ク
ロスもしくはマットを含む層の高熱伝導体の含有率が5
Vol%以上にすれば、主絶縁体の熱伝導率を特に向上さ
せることができる。
【0011】絶縁層は、集成マイカ,フレークマイカ,
ガラスフレーク、またはセラミックスフレークを含み、
高熱伝導体は、窒化アルミ,窒化珪素,窒化硼素,アル
ミナ,酸化ベリリウム,酸化マグネシウム,シリカ,弗
化珪素,弗化アルミ,弗化カルシウム,弗化マグネシウ
ム,炭化珪素,半導体の窒化物,酸化物,弗化物,炭化
物を含むものがよい。
ガラスフレーク、またはセラミックスフレークを含み、
高熱伝導体は、窒化アルミ,窒化珪素,窒化硼素,アル
ミナ,酸化ベリリウム,酸化マグネシウム,シリカ,弗
化珪素,弗化アルミ,弗化カルシウム,弗化マグネシウ
ム,炭化珪素,半導体の窒化物,酸化物,弗化物,炭化
物を含むものがよい。
【0012】本発明の他の特徴は、集成マイカ,フレー
クマイカ,ガラスフレーク、またはセラミックスフレー
クを含む絶縁性シートもしくは絶縁性テープと、窒化ア
ルミ,窒化珪素,窒化硼素,アルミナ,酸化ベリリウ
ム,酸化マグネシウム,シリカ,弗化珪素,弗化アル
ミ,弗化カルシウム,弗化マグネシウム,炭化珪素,半
導体の窒化物,酸化物,弗化物,炭化物を含む高熱伝導
材料からなる繊維,クロスもしくはマットとを貼り合わ
せ形成したシートもしくはテープをコイル導体に巻き付
け、成型してコイルを製造することにある。
クマイカ,ガラスフレーク、またはセラミックスフレー
クを含む絶縁性シートもしくは絶縁性テープと、窒化ア
ルミ,窒化珪素,窒化硼素,アルミナ,酸化ベリリウ
ム,酸化マグネシウム,シリカ,弗化珪素,弗化アル
ミ,弗化カルシウム,弗化マグネシウム,炭化珪素,半
導体の窒化物,酸化物,弗化物,炭化物を含む高熱伝導
材料からなる繊維,クロスもしくはマットとを貼り合わ
せ形成したシートもしくはテープをコイル導体に巻き付
け、成型してコイルを製造することにある。
【0013】この特徴によれば、硬化時に高熱伝導体が
樹脂と共に流れ出ず、硬化前と硬化後で主絶縁体中の高
熱伝導体の含有量が一定であり、所望の高熱伝導体や樹
脂の含有率および分布を有するコイルを容易に製作でき
る。さらに、樹脂粘度も樹脂の粘度特性のみによって決
定されるためコイル作製が容易である。
樹脂と共に流れ出ず、硬化前と硬化後で主絶縁体中の高
熱伝導体の含有量が一定であり、所望の高熱伝導体や樹
脂の含有率および分布を有するコイルを容易に製作でき
る。さらに、樹脂粘度も樹脂の粘度特性のみによって決
定されるためコイル作製が容易である。
【0014】絶縁性シートもしくは絶縁性テープと、熱
伝導材料からなる繊維,クロスもしくはマットとを貼り
合わせる際に、予め、絶縁性シートもしくは絶縁性テー
プに樹脂を塗布しておいても、熱伝導材料からなる繊
維,クロスもしくはマットに樹脂を塗布しておいてもよ
い。また、ドライシートもしくはドライテープを用いる
場合は、コイルに巻き付けてから、樹脂を含浸させても
よい。
伝導材料からなる繊維,クロスもしくはマットとを貼り
合わせる際に、予め、絶縁性シートもしくは絶縁性テー
プに樹脂を塗布しておいても、熱伝導材料からなる繊
維,クロスもしくはマットに樹脂を塗布しておいてもよ
い。また、ドライシートもしくはドライテープを用いる
場合は、コイルに巻き付けてから、樹脂を含浸させても
よい。
【0015】
【発明の実施の形態】(実施例1)本発明の第1の実施
例であるコイルを説明する。図1に本実施例のコイルを
示す。本実施例のコイルは、導体62の回りに素線絶縁
63を施したコイル導体61を束ね、束ねたコイル導体
61の回りに絶縁体1を設けたものである。素線絶縁6
3は、例えばエポキシ樹脂またはアルキド樹脂のような
含浸樹脂で硬化したガラス繊維層,マイカテープ層、ま
たはテレフタル酸アルキド,ポリエステルイミド,ポリ
イミド等のようなエナメル層がよい。
例であるコイルを説明する。図1に本実施例のコイルを
示す。本実施例のコイルは、導体62の回りに素線絶縁
63を施したコイル導体61を束ね、束ねたコイル導体
61の回りに絶縁体1を設けたものである。素線絶縁6
3は、例えばエポキシ樹脂またはアルキド樹脂のような
含浸樹脂で硬化したガラス繊維層,マイカテープ層、ま
たはテレフタル酸アルキド,ポリエステルイミド,ポリ
イミド等のようなエナメル層がよい。
【0016】絶縁体1は、図2に示すプリプレグテープ
20をマイカ面が導体62側になるように、束ねたコイ
ル導体61の回りに重ね巻きして設けられている。プリ
プレグテープ20は、図3に示すように、マイカテープ
21と厚さ0.08mm の平織のアルミナクロス23とを
貼り合わせ後、乾燥,半硬化させて作った。マイカテー
プ21は、平均粒径1.38mm の鱗片状の硬質集成マイ
カにエポキシ当量178のフェノールノボラックと3%の
三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体を混合した樹脂を
塗布した樹脂含浸マイカである。
20をマイカ面が導体62側になるように、束ねたコイ
ル導体61の回りに重ね巻きして設けられている。プリ
プレグテープ20は、図3に示すように、マイカテープ
21と厚さ0.08mm の平織のアルミナクロス23とを
貼り合わせ後、乾燥,半硬化させて作った。マイカテー
プ21は、平均粒径1.38mm の鱗片状の硬質集成マイ
カにエポキシ当量178のフェノールノボラックと3%の
三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体を混合した樹脂を
塗布した樹脂含浸マイカである。
【0017】表1の実施例1−1から実施例1−5に示
すようなマイカ,樹脂,アルミナ含有率の5種類のプリ
プレグテープ20を作製し、各プリプレグテープ20を
コイルに巻いて加熱し、所定の温度において加圧した。
すようなマイカ,樹脂,アルミナ含有率の5種類のプリ
プレグテープ20を作製し、各プリプレグテープ20を
コイルに巻いて加熱し、所定の温度において加圧した。
【0018】
【表1】
【0019】各プリプレグテープ20を用いた硬化後の
コイルは、表1の実施例1−1から実施例1−5に示す
ような主絶縁体のマイカの含有率,樹脂の含有率,アル
ミナの含有率,アルミナ含有率変動率,熱伝導率,課電
劣化寿命,曲げ破壊強度,層間せん断破壊強度,曲げ疲
労特性を有する。表1のアルミナ含有率変動率は、コイ
ル主絶縁体の任意の5点におけるアルミナ含有率の平均
値に対する、前記含有率の標準偏差の比率である。ま
た、曲げ疲労特性には、コイルに3kg/mm2 の曲げ応力
を10万回加えた後の絶縁破壊強度の、初期絶縁破壊強
度に対する低下割合を示す。表1には、従来のマイカを
主体としたコイルを作製する際に用いたプリプレグマイ
カテープおよび、含浸樹脂にアルミナを含有させたコイ
ルを作製する際に用いたドライマイカテープの構成と、
コイルの主絶縁体の構成も示す。含浸樹脂にアルミナを
含有させた従来のコイルの作製時に用いた含浸樹脂中の
アルミナ含有率は37Vol%である。
コイルは、表1の実施例1−1から実施例1−5に示す
ような主絶縁体のマイカの含有率,樹脂の含有率,アル
ミナの含有率,アルミナ含有率変動率,熱伝導率,課電
劣化寿命,曲げ破壊強度,層間せん断破壊強度,曲げ疲
労特性を有する。表1のアルミナ含有率変動率は、コイ
ル主絶縁体の任意の5点におけるアルミナ含有率の平均
値に対する、前記含有率の標準偏差の比率である。ま
た、曲げ疲労特性には、コイルに3kg/mm2 の曲げ応力
を10万回加えた後の絶縁破壊強度の、初期絶縁破壊強
度に対する低下割合を示す。表1には、従来のマイカを
主体としたコイルを作製する際に用いたプリプレグマイ
カテープおよび、含浸樹脂にアルミナを含有させたコイ
ルを作製する際に用いたドライマイカテープの構成と、
コイルの主絶縁体の構成も示す。含浸樹脂にアルミナを
含有させた従来のコイルの作製時に用いた含浸樹脂中の
アルミナ含有率は37Vol%である。
【0020】本実施例のコイルを倍率150倍の高解像
度光学顕微鏡で主絶縁体を観察した結果、マイカ層とア
ルミナクロス層の規則正しい層状構造が認められ、ボイ
ドやマイカ層の剥離は認められなかった。
度光学顕微鏡で主絶縁体を観察した結果、マイカ層とア
ルミナクロス層の規則正しい層状構造が認められ、ボイ
ドやマイカ層の剥離は認められなかった。
【0021】本実施例では、集成マイカに樹脂を塗布し
たマイカテープ21と、アルミナクロス23とを貼り合
わせてプリプレグテープ20を作製したが、図3の実施
例1−6に示すように、平織のアルミナクロス23に樹
脂を塗布しこれを集成マイカと貼り合わせてプリプレグ
テープ20を作製してもよい。また、集成マイカの代わ
りにガラスフレークを用いたり、集成マイカとガラスフ
レークの複合体を用いたりしてもよい。
たマイカテープ21と、アルミナクロス23とを貼り合
わせてプリプレグテープ20を作製したが、図3の実施
例1−6に示すように、平織のアルミナクロス23に樹
脂を塗布しこれを集成マイカと貼り合わせてプリプレグ
テープ20を作製してもよい。また、集成マイカの代わ
りにガラスフレークを用いたり、集成マイカとガラスフ
レークの複合体を用いたりしてもよい。
【0022】また、コイルにプリプレグテープ20を巻
く際に、より幅の広いマイカシートを用いることにより
テープを重ね巻きする必要がなくなり、短時間でコイル
作製ができると同時に、電気的弱点部になりやすいテー
プ端をなくすことができる。 (実施例2)本発明の第2の実施例であるコイルを説明
する。図4に本実施例のコイルの製造方法を示す。本実
施例では、樹脂を含浸していないフレークマイカと平織
のアルミナクロスを少量の樹脂(バインダ)で貼り合わ
せたドライテープを用いる。ドライテープには、表1の
実施例2に示すマイカ,樹脂,アルミナ含有率のものを
用いた。このドライテープをコイル導体に巻き付け、樹
脂を真空加圧含浸,加熱硬化したコイルを作製した。こ
のコイルは、表1の実施例2に示すような、主絶縁体の
マイカの含有率,樹脂の含有率,アルミナ含有率,アル
ミナ含有率変動率,熱伝導率,課電劣化寿命,曲げ破壊
強度,層間せん断破壊強度,曲げ疲労特性を有する。こ
れらのコイルを倍率150倍の高解像度光学顕微鏡で主
絶縁体を観察した結果、マイカ層とアルミナクロス層の
規則正しい層状構造が認められ、ボイドやマイカ層の剥
離は認められなかった。第1の実施例で説明したよう
に、フレークマイカの代わりに、集成マイカ,ガラスフ
レーク、もしくはこれらの材料の複合体を用いてもよ
い。さらに、第1の実施例で用いたプリプレグテープと
併用してもよい。
く際に、より幅の広いマイカシートを用いることにより
テープを重ね巻きする必要がなくなり、短時間でコイル
作製ができると同時に、電気的弱点部になりやすいテー
プ端をなくすことができる。 (実施例2)本発明の第2の実施例であるコイルを説明
する。図4に本実施例のコイルの製造方法を示す。本実
施例では、樹脂を含浸していないフレークマイカと平織
のアルミナクロスを少量の樹脂(バインダ)で貼り合わ
せたドライテープを用いる。ドライテープには、表1の
実施例2に示すマイカ,樹脂,アルミナ含有率のものを
用いた。このドライテープをコイル導体に巻き付け、樹
脂を真空加圧含浸,加熱硬化したコイルを作製した。こ
のコイルは、表1の実施例2に示すような、主絶縁体の
マイカの含有率,樹脂の含有率,アルミナ含有率,アル
ミナ含有率変動率,熱伝導率,課電劣化寿命,曲げ破壊
強度,層間せん断破壊強度,曲げ疲労特性を有する。こ
れらのコイルを倍率150倍の高解像度光学顕微鏡で主
絶縁体を観察した結果、マイカ層とアルミナクロス層の
規則正しい層状構造が認められ、ボイドやマイカ層の剥
離は認められなかった。第1の実施例で説明したよう
に、フレークマイカの代わりに、集成マイカ,ガラスフ
レーク、もしくはこれらの材料の複合体を用いてもよ
い。さらに、第1の実施例で用いたプリプレグテープと
併用してもよい。
【0023】(実施例3)本発明の第3の実施例である
コイルの製造方法を説明する。図5の実施例3−1に示
すように、本実施例ではマイカシートもしくはマイカテ
ープを巻き付けると同時に、樹脂を塗布しながら平織の
高熱伝導性クロスを重ねて巻き付けて貼り合わせて樹脂
を真空加圧含浸し、加熱硬化してもよい。
コイルの製造方法を説明する。図5の実施例3−1に示
すように、本実施例ではマイカシートもしくはマイカテ
ープを巻き付けると同時に、樹脂を塗布しながら平織の
高熱伝導性クロスを重ねて巻き付けて貼り合わせて樹脂
を真空加圧含浸し、加熱硬化してもよい。
【0024】また、図5の実施例3−2に示すように、
マイカシートもしくはマイカテープを巻き付けると同時
に少量の樹脂(バインダ)を塗布しながら平織の高熱伝
導性クロスを重ねて所定回数だけ巻回した後、樹脂を真
空加圧含浸し、加熱硬化してもよい。
マイカシートもしくはマイカテープを巻き付けると同時
に少量の樹脂(バインダ)を塗布しながら平織の高熱伝
導性クロスを重ねて所定回数だけ巻回した後、樹脂を真
空加圧含浸し、加熱硬化してもよい。
【0025】(実施例4)本発明の第4の実施例である
コイルを説明する。本実施例では綾織(実施例4−1か
ら4−3)または朱子織(実施例4−4)の高熱伝導性
クロスを用いる。第1の実施例から第3の実施例で用い
た平織の高熱伝導性クロスでは、クロスの縦糸と横糸と
が交差する部分以外の空間の体積率が大きく、クロス中
に占める高熱伝導体の含有率は多くとも約35Vol%程
度であった。しかし、本実施例で用いる綾織または朱子
織の高熱伝導性クロスは、平織のクロスに比べクロス中
の高熱伝導体含有率が5〜20Vol%程度高い。綾織ま
たは朱子織の高熱伝導性のクロスを用いることにより、
平織クロスを用いたコイルに比べて主絶縁体の熱伝導率
を向上させることができる。
コイルを説明する。本実施例では綾織(実施例4−1か
ら4−3)または朱子織(実施例4−4)の高熱伝導性
クロスを用いる。第1の実施例から第3の実施例で用い
た平織の高熱伝導性クロスでは、クロスの縦糸と横糸と
が交差する部分以外の空間の体積率が大きく、クロス中
に占める高熱伝導体の含有率は多くとも約35Vol%程
度であった。しかし、本実施例で用いる綾織または朱子
織の高熱伝導性クロスは、平織のクロスに比べクロス中
の高熱伝導体含有率が5〜20Vol%程度高い。綾織ま
たは朱子織の高熱伝導性のクロスを用いることにより、
平織クロスを用いたコイルに比べて主絶縁体の熱伝導率
を向上させることができる。
【0026】また、縦糸と横糸とが交差する部分以外の
空間ではボイドの生成確率が高いが、本実施例では綾織
や朱子織のクロスを用いることにより、成型後のコイル
主絶縁体中のボイド量を減らし熱伝導率を向上させるこ
とができるとともに、ボイドでの部分放電を減少させ部
分放電劣化を抑制することができる。さらに、繊維量の
増加によりコイル主絶縁体の機械的強度が向上する。
空間ではボイドの生成確率が高いが、本実施例では綾織
や朱子織のクロスを用いることにより、成型後のコイル
主絶縁体中のボイド量を減らし熱伝導率を向上させるこ
とができるとともに、ボイドでの部分放電を減少させ部
分放電劣化を抑制することができる。さらに、繊維量の
増加によりコイル主絶縁体の機械的強度が向上する。
【0027】綾織や朱子織のクロスを用いた硬化後のコ
イルは、表1の実施例4−1から実施例4−4に示すよ
うな主絶縁体のマイカの含有率,樹脂の含有率,アルミ
ナ含有率,アルミナ含有率変動率,熱伝導率,課電劣化
寿命,曲げ破壊強度,層間せん断破壊強度,曲げ疲労特
性を有する。
イルは、表1の実施例4−1から実施例4−4に示すよ
うな主絶縁体のマイカの含有率,樹脂の含有率,アルミ
ナ含有率,アルミナ含有率変動率,熱伝導率,課電劣化
寿命,曲げ破壊強度,層間せん断破壊強度,曲げ疲労特
性を有する。
【0028】また、高熱伝導性クロスに一方向織のクロ
スを用いることにより、クロス中の高熱伝導体含有率を
さらに増加させることができる。
スを用いることにより、クロス中の高熱伝導体含有率を
さらに増加させることができる。
【0029】(実施例5)本発明の第5の実施例である
コイルを説明する。本実施例ではアルミナ繊維からなる
不織布,ペーパー,フェルトあるいはマットを用いる。
また、アルミナ短繊維を予め樹脂に混入させておき、こ
の樹脂をマイカに塗布することによって、アルミナ短繊
維をマイカに貼り付けてもよい。
コイルを説明する。本実施例ではアルミナ繊維からなる
不織布,ペーパー,フェルトあるいはマットを用いる。
また、アルミナ短繊維を予め樹脂に混入させておき、こ
の樹脂をマイカに塗布することによって、アルミナ短繊
維をマイカに貼り付けてもよい。
【0030】マイカにアルミナ繊維からなるマットを貼
り付けたテープを用いたコイル(実施例5−1)、およ
び、マイカにアルミナ短繊維を貼り付けたテープを用い
たコイル(実施例5−2)は、表1に示すような、主絶
縁体のマイカの含有率,樹脂の含有率,アルミナの含有
率,アルミナ含有率変動率,熱伝導率,課電劣化寿命,
曲げ破壊強度,層間せん断破壊強度,曲げ疲労特性を有
する。これらのコイルを倍率150倍の高解像度光学顕
微鏡で主絶縁体の観察した結果、マイカ層とアルミナ繊
維層の規則正しい層状構造が認められ、ボイドやマイカ
層の剥離は認められなかった。
り付けたテープを用いたコイル(実施例5−1)、およ
び、マイカにアルミナ短繊維を貼り付けたテープを用い
たコイル(実施例5−2)は、表1に示すような、主絶
縁体のマイカの含有率,樹脂の含有率,アルミナの含有
率,アルミナ含有率変動率,熱伝導率,課電劣化寿命,
曲げ破壊強度,層間せん断破壊強度,曲げ疲労特性を有
する。これらのコイルを倍率150倍の高解像度光学顕
微鏡で主絶縁体の観察した結果、マイカ層とアルミナ繊
維層の規則正しい層状構造が認められ、ボイドやマイカ
層の剥離は認められなかった。
【0031】なお、マイカにアルミナ短繊維を貼り付け
たテープを用いたコイルには、高熱伝導材料からなる短
繊維には長さが数mm程度のチョップドファイバー,数1
00μm程度のミルドファイバー、さらに短いウィスカ
ーを用いることができる。高熱伝導材料からなる繊維の
中でも、特に高熱伝導体を含む層の厚さに比し繊維長の
長い繊維を用いたコイルでは、繊維の軸方向と電界の方
向が平行になることを防ぐことができ、繊維と樹脂の界
面に沿った破壊の進展を防ぐことができる。実施例5−
2では、平均繊維長0.1mm の短繊維を用いた。
たテープを用いたコイルには、高熱伝導材料からなる短
繊維には長さが数mm程度のチョップドファイバー,数1
00μm程度のミルドファイバー、さらに短いウィスカ
ーを用いることができる。高熱伝導材料からなる繊維の
中でも、特に高熱伝導体を含む層の厚さに比し繊維長の
長い繊維を用いたコイルでは、繊維の軸方向と電界の方
向が平行になることを防ぐことができ、繊維と樹脂の界
面に沿った破壊の進展を防ぐことができる。実施例5−
2では、平均繊維長0.1mm の短繊維を用いた。
【0032】図6に、以上の第1の実施例から第5の実
施例のアルミナ繊維,クロスもしくはマットを含有する
層中のアルミナ含有率に対する前記層の繊維軸もしくは
クロスやマットの面方向に垂直および平行方向の熱伝導
率を示す。
施例のアルミナ繊維,クロスもしくはマットを含有する
層中のアルミナ含有率に対する前記層の繊維軸もしくは
クロスやマットの面方向に垂直および平行方向の熱伝導
率を示す。
【0033】なお、図6の繊維,クロスもしくはマット
を含有する層中のアルミナ含有率に対する前記層の繊維
軸もしくはクロスやマットの面方向に垂直および平行方
向の熱伝導率については、実施例1から9ではアルミナ
クロスに樹脂を塗布し加熱硬化した板状試料を作製し、
また、含浸樹脂にアルミナを含有させたコイルに対して
は、ガラス繊維に前記アルミナを37Vol%含有させた
樹脂を塗布した板状試料を作製し、これらの試料の熱伝
導率を測定した。
を含有する層中のアルミナ含有率に対する前記層の繊維
軸もしくはクロスやマットの面方向に垂直および平行方
向の熱伝導率については、実施例1から9ではアルミナ
クロスに樹脂を塗布し加熱硬化した板状試料を作製し、
また、含浸樹脂にアルミナを含有させたコイルに対して
は、ガラス繊維に前記アルミナを37Vol%含有させた
樹脂を塗布した板状試料を作製し、これらの試料の熱伝
導率を測定した。
【0034】図7に、主絶縁体中におけるアルミナ繊
維,クロスもしくはマットを含む層の割合に対する主絶
縁体の熱伝導率を示す。図7には、従来のマイカを主体
としたコイルの主絶縁体と含浸樹脂に粒径1.0μm の
アルミナを含有させたコイルの主絶縁体の熱伝導率も示
す。
維,クロスもしくはマットを含む層の割合に対する主絶
縁体の熱伝導率を示す。図7には、従来のマイカを主体
としたコイルの主絶縁体と含浸樹脂に粒径1.0μm の
アルミナを含有させたコイルの主絶縁体の熱伝導率も示
す。
【0035】(実施例6)本発明の第6の実施例である
コイルを説明する。本実施例では、絶縁性シートもしく
は絶縁性テープに高熱伝導材料からなるフレーク、例え
ばアルミナフレークを用いる。
コイルを説明する。本実施例では、絶縁性シートもしく
は絶縁性テープに高熱伝導材料からなるフレーク、例え
ばアルミナフレークを用いる。
【0036】本実施例では、主絶縁体のコイル導体に接
する絶縁層と最外の絶縁層に集成マイカを用い、それ以
外の層には平均粒径0.52mm,平均厚8.0μmのアル
ミナフレークを表1の実施例1−1のコイルで用いた集
成マイカと同じ含有率で用いた。本実施例のコイルで
は、熱伝導率は0.63W/mK であり、課電劣化寿命
は2000時間であった。
する絶縁層と最外の絶縁層に集成マイカを用い、それ以
外の層には平均粒径0.52mm,平均厚8.0μmのアル
ミナフレークを表1の実施例1−1のコイルで用いた集
成マイカと同じ含有率で用いた。本実施例のコイルで
は、熱伝導率は0.63W/mK であり、課電劣化寿命
は2000時間であった。
【0037】また、第1の実施例から第6の実施例のコ
イル導体の素線絶縁において、ガラス繊維層ではなくア
ルミナ繊維層を用いることにより、より熱伝導率の高い
コイルが得られる。
イル導体の素線絶縁において、ガラス繊維層ではなくア
ルミナ繊維層を用いることにより、より熱伝導率の高い
コイルが得られる。
【0038】以上の実施例では、アルミナ繊維,クロス
もしくはマットを用いているが、その他の高熱伝導材
料、例えば窒化アルミ,窒化珪素,窒化硼素,酸化ベリ
リウム,酸化マグネシウム,シリカ,弗化珪素,弗化ア
ルミ,弗化カルシウム,弗化マグネシウム,炭化珪素等
の金属あるいは半導体の窒化物,酸化物,弗化物,炭化
物等の熱伝導率が高い材料からなる繊維,クロスもしく
はマットを用いることにより熱伝導率や課電劣化寿命を
向上させることができる。これらの材料からなるクロス
を用いた実施例1−2のマイカ,高熱伝導材料,樹脂含
有率の構成のコイル主絶縁体では、図8に示すように熱
伝導率は0.50〜0.60W/mKであった。なお、課
電劣化寿命はいずれも2000時間以上であった。特に
他の材料より熱伝導率が高く、かつ、誘電率が小さい窒
化硼素クロスを用いたコイルでは、課電劣化寿命は25
00時間であった。
もしくはマットを用いているが、その他の高熱伝導材
料、例えば窒化アルミ,窒化珪素,窒化硼素,酸化ベリ
リウム,酸化マグネシウム,シリカ,弗化珪素,弗化ア
ルミ,弗化カルシウム,弗化マグネシウム,炭化珪素等
の金属あるいは半導体の窒化物,酸化物,弗化物,炭化
物等の熱伝導率が高い材料からなる繊維,クロスもしく
はマットを用いることにより熱伝導率や課電劣化寿命を
向上させることができる。これらの材料からなるクロス
を用いた実施例1−2のマイカ,高熱伝導材料,樹脂含
有率の構成のコイル主絶縁体では、図8に示すように熱
伝導率は0.50〜0.60W/mKであった。なお、課
電劣化寿命はいずれも2000時間以上であった。特に
他の材料より熱伝導率が高く、かつ、誘電率が小さい窒
化硼素クロスを用いたコイルでは、課電劣化寿命は25
00時間であった。
【0039】さらに、高熱伝導材料からなる繊維と前記
繊維より高強度,高弾性の繊維を複合して用いることに
よりコイル主絶縁体の引張り破壊強度,引張り弾性率,
曲げ破壊強度,曲げ弾性率,圧縮破壊強度等の機械的強
度を向上させることができる。例えば、アルミナ繊維か
らなるクロスとアルミナ繊維より高強度,高弾性率のカ
ルボニトライド系珪素繊維からなるクロスを1:1の比
で積層して用いたハイブリッド型のコイル主絶縁体で
は、主絶縁体の引張り破壊強度はアルミナ繊維からなる
クロスだけを用いたコイル主絶縁体の引張り破壊強度よ
り36%大きかった。同様に、樹脂に高熱伝導材料から
なる繊維を混入させる場合においても、高熱伝導材料か
らなる繊維より機械的強度の大きい繊維を樹脂中に添加
するか、もしくは機械的強度の大きい繊維もしくはクロ
スを貼り合わせたマイカに塗布することによりコイル主
絶縁体の機械的強度を増加させることができる。
繊維より高強度,高弾性の繊維を複合して用いることに
よりコイル主絶縁体の引張り破壊強度,引張り弾性率,
曲げ破壊強度,曲げ弾性率,圧縮破壊強度等の機械的強
度を向上させることができる。例えば、アルミナ繊維か
らなるクロスとアルミナ繊維より高強度,高弾性率のカ
ルボニトライド系珪素繊維からなるクロスを1:1の比
で積層して用いたハイブリッド型のコイル主絶縁体で
は、主絶縁体の引張り破壊強度はアルミナ繊維からなる
クロスだけを用いたコイル主絶縁体の引張り破壊強度よ
り36%大きかった。同様に、樹脂に高熱伝導材料から
なる繊維を混入させる場合においても、高熱伝導材料か
らなる繊維より機械的強度の大きい繊維を樹脂中に添加
するか、もしくは機械的強度の大きい繊維もしくはクロ
スを貼り合わせたマイカに塗布することによりコイル主
絶縁体の機械的強度を増加させることができる。
【0040】また、高熱伝導材料からなる繊維と前記繊
維より破壊ひずみの大きい繊維や樹脂との接着性が良い
繊維を複合させることによりコイル主絶縁体の靭性を向
上させることができる。アルミナ繊維からなるクロスに
おいてクロスを形成するヤーンのフィラメントにアルミ
ナ繊維とガラス繊維を1:1の比で複合したコイルと、
クロスの縦糸および横糸にアルミナ繊維のヤーンとガラ
ス繊維のヤーンを1:1の比で混合して用いたコイルで
は、図9に示すように、いずれもアルミナ繊維からなる
クロスを用いたコイルより主絶縁体の引張り破壊強度を
20%向上させることができた。同様に、ガラスクロス
を貼り合わせたマイカテープに、さらにアルミナクロス
を貼り合わせたマイカテープを使用することにより、コ
イル主絶縁体の靭性を増加させることができる。
維より破壊ひずみの大きい繊維や樹脂との接着性が良い
繊維を複合させることによりコイル主絶縁体の靭性を向
上させることができる。アルミナ繊維からなるクロスに
おいてクロスを形成するヤーンのフィラメントにアルミ
ナ繊維とガラス繊維を1:1の比で複合したコイルと、
クロスの縦糸および横糸にアルミナ繊維のヤーンとガラ
ス繊維のヤーンを1:1の比で混合して用いたコイルで
は、図9に示すように、いずれもアルミナ繊維からなる
クロスを用いたコイルより主絶縁体の引張り破壊強度を
20%向上させることができた。同様に、ガラスクロス
を貼り合わせたマイカテープに、さらにアルミナクロス
を貼り合わせたマイカテープを使用することにより、コ
イル主絶縁体の靭性を増加させることができる。
【0041】繊維複合によってコイルの機械的強度を向
上させる方法の他に、繊維を構成する材料の組成を変化
させることによっても、繊維ならびにコイルの機械的強
度を向上させることができる。例えば、アルミナ繊維に
ガラスを化学組成比7:3で混合した繊維では、アルミ
ナ99.5% の繊維に比し高強度であり、これを用いる
ことによりコイルの主絶縁体の引張り破壊強度は13%
増加した。
上させる方法の他に、繊維を構成する材料の組成を変化
させることによっても、繊維ならびにコイルの機械的強
度を向上させることができる。例えば、アルミナ繊維に
ガラスを化学組成比7:3で混合した繊維では、アルミ
ナ99.5% の繊維に比し高強度であり、これを用いる
ことによりコイルの主絶縁体の引張り破壊強度は13%
増加した。
【0042】以上の実施例では、マイカシートあるいは
マイカテープの片側に高熱伝導性クロスを貼り合わせた
が、マイカシートあるいはマイカテープの両側に高熱伝
導性クロスを貼り合わせてもよい。これを用いれば、コ
イル主絶縁体中の高熱伝導体含有率を高め、熱伝導率を
向上させることも可能である。このテープをコイル導体
に重ね巻きした場合、高熱伝導繊維,クロスがテープ端
において連続となるため、熱伝導の効果が大きくなり、
コイル主絶縁体の熱伝導率をさらに向上させることがで
きる。
マイカテープの片側に高熱伝導性クロスを貼り合わせた
が、マイカシートあるいはマイカテープの両側に高熱伝
導性クロスを貼り合わせてもよい。これを用いれば、コ
イル主絶縁体中の高熱伝導体含有率を高め、熱伝導率を
向上させることも可能である。このテープをコイル導体
に重ね巻きした場合、高熱伝導繊維,クロスがテープ端
において連続となるため、熱伝導の効果が大きくなり、
コイル主絶縁体の熱伝導率をさらに向上させることがで
きる。
【0043】以上の実施例のコイルによれば、以下の効
果と機能が得られる。
果と機能が得られる。
【0044】(1)高熱伝導体に高熱伝導材料からなる
繊維,クロスやマットを用いているため、これらをマイ
カに貼り合わせた実施例1−1,1−2,5−1,5−
2のプリプレグマイカテープや実施例2のドライマイカ
テープが作製できる。このため、従来のマイカを主体と
したコイルと同様の装置,作業工程で容易にコイル作製
を行うことができる。
繊維,クロスやマットを用いているため、これらをマイ
カに貼り合わせた実施例1−1,1−2,5−1,5−
2のプリプレグマイカテープや実施例2のドライマイカ
テープが作製できる。このため、従来のマイカを主体と
したコイルと同様の装置,作業工程で容易にコイル作製
を行うことができる。
【0045】(2)樹脂を真空加圧含浸し、成形して本
発明のコイルを得る実施例2および3−2のコイル製造
方法では、コイル主絶縁体中のボイドを最も少なくでき
るため、同一の高熱伝導体含有率では主絶縁体の熱伝導
率を高めることができる。
発明のコイルを得る実施例2および3−2のコイル製造
方法では、コイル主絶縁体中のボイドを最も少なくでき
るため、同一の高熱伝導体含有率では主絶縁体の熱伝導
率を高めることができる。
【0046】(3)マイカシートと高熱伝導材料からな
るクロスもしくはマットを樹脂を塗布しながらコイル導
体に巻き付ける実施例3−1および3−2の方法では、
コイル作製前に前記材料を貼り合わせたシートもしくは
テープを予め用意する必要がないためテープ作製工程を
削減でき、コイル作製工程を短縮化できる。また、予め
用意したプリプレグシートもしくはテープでは、樹脂が
室温で反応し硬化するためテープの有効使用期間が短
く、また、テープに水分が付着すると樹脂の効果が阻害
されるため、テープを低温,低湿下に管理する必要があ
るが、実施例3−1および3−2の方法では、前記の管
理の必要がなく、製品管理,在庫管理,省資源,廃棄物
削減の点においても優れている。
るクロスもしくはマットを樹脂を塗布しながらコイル導
体に巻き付ける実施例3−1および3−2の方法では、
コイル作製前に前記材料を貼り合わせたシートもしくは
テープを予め用意する必要がないためテープ作製工程を
削減でき、コイル作製工程を短縮化できる。また、予め
用意したプリプレグシートもしくはテープでは、樹脂が
室温で反応し硬化するためテープの有効使用期間が短
く、また、テープに水分が付着すると樹脂の効果が阻害
されるため、テープを低温,低湿下に管理する必要があ
るが、実施例3−1および3−2の方法では、前記の管
理の必要がなく、製品管理,在庫管理,省資源,廃棄物
削減の点においても優れている。
【0047】(4)高熱伝導材料からなる粒子を樹脂に
含有させないため樹脂粘度が増加せず、真空含浸により
主絶縁体に樹脂を含浸する場合においても樹脂の主絶縁
体中への浸透性は良好である。このため、特に高圧コイ
ルのような主絶縁厚の大きいコイルへの樹脂含浸に対し
て本発明は有効である。また、プリプレグマイカシート
もしくはテープを用いて成型したコイルでは余剰樹脂の
流れ出しが良好である。これらのことから、コイル導体
の素線間樹脂溜部やコイル角部やテープ端部に樹脂が十
分入り、ボイドや剥離のないコイルが得られる。
含有させないため樹脂粘度が増加せず、真空含浸により
主絶縁体に樹脂を含浸する場合においても樹脂の主絶縁
体中への浸透性は良好である。このため、特に高圧コイ
ルのような主絶縁厚の大きいコイルへの樹脂含浸に対し
て本発明は有効である。また、プリプレグマイカシート
もしくはテープを用いて成型したコイルでは余剰樹脂の
流れ出しが良好である。これらのことから、コイル導体
の素線間樹脂溜部やコイル角部やテープ端部に樹脂が十
分入り、ボイドや剥離のないコイルが得られる。
【0048】(5)樹脂粘度が樹脂固有の粘度であるた
め、コイル成型時の樹脂硬化温度や硬化時間に用いた樹
脂のカタログ値を用いることができ、最適樹脂粘度での
コイル成型を容易に行うことができる。
め、コイル成型時の樹脂硬化温度や硬化時間に用いた樹
脂のカタログ値を用いることができ、最適樹脂粘度での
コイル成型を容易に行うことができる。
【0049】(6)コイル成型前後のアルミナ含有量を
測定し、流失アルミナ量の成型前アルミナ量に対する比
をアルミナ流失率として表1に示す。表1から、含浸樹
脂中に高熱伝導充填剤を含有させたコイルでは、成形時
に樹脂とともにアルミナが流れ出しているが、実施例1
から5ではアルミナは流れ出していない。このように、
本発明のコイルおよびコイル製造方法では、高熱伝導体
として繊維,クロスもしくはマットを用いているため、
コイル主絶縁体の樹脂硬化時に高熱伝導体が樹脂と共に
流れ出ず、主絶縁体中の高熱伝導体含有量は一定であ
る。このため、所望の樹脂および高熱伝導体の含有率な
らびに分布を有するコイルを容易に設計,作製すること
ができる。
測定し、流失アルミナ量の成型前アルミナ量に対する比
をアルミナ流失率として表1に示す。表1から、含浸樹
脂中に高熱伝導充填剤を含有させたコイルでは、成形時
に樹脂とともにアルミナが流れ出しているが、実施例1
から5ではアルミナは流れ出していない。このように、
本発明のコイルおよびコイル製造方法では、高熱伝導体
として繊維,クロスもしくはマットを用いているため、
コイル主絶縁体の樹脂硬化時に高熱伝導体が樹脂と共に
流れ出ず、主絶縁体中の高熱伝導体含有量は一定であ
る。このため、所望の樹脂および高熱伝導体の含有率な
らびに分布を有するコイルを容易に設計,作製すること
ができる。
【0050】(7)前記実施例1から5のコイルでは、
主絶縁体のアルミナ含有率変動率は5%以下であり、樹
脂中に粉末状充填材を含有させたコイルに比し小さい。
また、高解像度顕微鏡で主絶縁体を観察した結果、ボイ
ドや剥離は認められなかった。このように、本発明のコ
イル主絶縁体の構造および製造方法を用いることによ
り、均質で組織的不均一性や欠陥のない高熱伝導率のコ
イルを得ることができる。 (8)ボイドやマイカ層の剥離,破壊等の欠陥がないた
め課電劣化特性に優れており8.5kV/mm印加時の課
電劣化寿命は2000時間以上である。
主絶縁体のアルミナ含有率変動率は5%以下であり、樹
脂中に粉末状充填材を含有させたコイルに比し小さい。
また、高解像度顕微鏡で主絶縁体を観察した結果、ボイ
ドや剥離は認められなかった。このように、本発明のコ
イル主絶縁体の構造および製造方法を用いることによ
り、均質で組織的不均一性や欠陥のない高熱伝導率のコ
イルを得ることができる。 (8)ボイドやマイカ層の剥離,破壊等の欠陥がないた
め課電劣化特性に優れており8.5kV/mm印加時の課
電劣化寿命は2000時間以上である。
【0051】(9)主絶縁体のマイカ層に樹脂が十分含
まれておりマイカ片間の接着力が強固であるため、主絶
縁体の層間せん断破壊強度は、従来のマイカを主体とし
たコイルの主絶縁層の層間せん断破壊強度と同等であ
る。
まれておりマイカ片間の接着力が強固であるため、主絶
縁体の層間せん断破壊強度は、従来のマイカを主体とし
たコイルの主絶縁層の層間せん断破壊強度と同等であ
る。
【0052】(10)高熱伝導体に繊維,クロスもしく
はマットを用いているため、主絶縁体中に高熱伝導体を
含有させても絶縁体の脆性が増加せず、曲げ破壊強度は
従来のマイカを主体としたコイルで必要とされる曲げ破
壊強度15kg/mm2 以上である。また、疲労特性も従来
のマイカを主体としたコイルの主絶縁層の疲労特性と同
程度である。
はマットを用いているため、主絶縁体中に高熱伝導体を
含有させても絶縁体の脆性が増加せず、曲げ破壊強度は
従来のマイカを主体としたコイルで必要とされる曲げ破
壊強度15kg/mm2 以上である。また、疲労特性も従来
のマイカを主体としたコイルの主絶縁層の疲労特性と同
程度である。
【0053】(11)高圧コイルとしての使用の際に
も、均質な主絶縁体であるためコイル絶縁体の均一な温
度分布が得られる。特に、樹脂の欠如にともなう絶縁層
の剥離がないため、絶縁体中の部分的な異常加熱による
熱的破壊がない。
も、均質な主絶縁体であるためコイル絶縁体の均一な温
度分布が得られる。特に、樹脂の欠如にともなう絶縁層
の剥離がないため、絶縁体中の部分的な異常加熱による
熱的破壊がない。
【0054】(12)高熱伝導体に高熱伝導材料からな
るクロスを用いた場合、繊維の径,単位面積当たりの縦
糸,横糸の数および織り方を変えることにより、コイル
成形後の絶縁体中の高熱伝導体含有率を容易に増加させ
ることができる。
るクロスを用いた場合、繊維の径,単位面積当たりの縦
糸,横糸の数および織り方を変えることにより、コイル
成形後の絶縁体中の高熱伝導体含有率を容易に増加させ
ることができる。
【0055】(13)図6および表1に示すように、本
発明のコイルでは高熱伝導体に繊維,クロスもしくはマ
ットを用いているため、主絶縁体中に高熱伝導体を含有
させても脆性を増加させないで絶縁体中の高熱伝導体含
有率を向上させることができ、含浸樹脂に粉末状充填材
を含ませたコイルに比し、高熱伝導体含有層の熱伝導率
を向上させることができる。また、繊維,クロスもしく
はマットは高熱伝導材料の連続体であるため、絶縁体中
の高熱伝導体含有率を同一にした場合においても、樹脂
中に粉末状充填材を含有させたコイルに比し主絶縁体の
熱伝導率が高い。 (14)高熱伝導材料からなる繊維,クロスもしくはマ
ットを高熱伝導体に用いたコイルでは、図6に示すよう
に、特に高熱伝導材料を含む層における高熱伝導体含有
率が5Vol%から10Vol%において高熱伝導材料を含
む層の熱伝導率の変曲点があり、この含有率以上におい
て高い熱伝導率を示す。
発明のコイルでは高熱伝導体に繊維,クロスもしくはマ
ットを用いているため、主絶縁体中に高熱伝導体を含有
させても脆性を増加させないで絶縁体中の高熱伝導体含
有率を向上させることができ、含浸樹脂に粉末状充填材
を含ませたコイルに比し、高熱伝導体含有層の熱伝導率
を向上させることができる。また、繊維,クロスもしく
はマットは高熱伝導材料の連続体であるため、絶縁体中
の高熱伝導体含有率を同一にした場合においても、樹脂
中に粉末状充填材を含有させたコイルに比し主絶縁体の
熱伝導率が高い。 (14)高熱伝導材料からなる繊維,クロスもしくはマ
ットを高熱伝導体に用いたコイルでは、図6に示すよう
に、特に高熱伝導材料を含む層における高熱伝導体含有
率が5Vol%から10Vol%において高熱伝導材料を含
む層の熱伝導率の変曲点があり、この含有率以上におい
て高い熱伝導率を示す。
【0056】(15)また、図7に示すように、主絶縁
層中における高熱伝導材料からなる繊維,クロスもしく
はマットを含む層の割合が10Vol%以上において、繊
維,クロスもしくはマットを含む層の割合により、熱伝
導率に差が生じており、前記層の効果が大きくなってい
る。このことから、高熱伝導材料を含む層における高熱
伝導体含有率が5%以上であり、主絶縁体中における高
熱伝導材料からなる繊維,クロスもしくはマットを含む
層の割合が10Vol%以上であるコイルでは、本発明の
コイル主絶縁体の熱伝導率向上効果が特に大きい。図6
に示すように、高熱伝導材料からなる繊維,クロスある
いはマットでは、繊維軸方向あるいはクロス面方向に対
する熱伝導率が、前記方向に垂直な方向の熱伝導率に比
し高い。このため、本発明のコイルではコイルの長手方
向の温度分布を均一化でき、特に回転電機や変圧器で本
発明のコイルを使用した場合、コイルエンド部などのコ
アに接しない冷却効率の低い部分の温度を、従来のマイ
カを主体としたコイルや含浸樹脂に粉末状高熱伝導充填
材を含有させたコイルに比し、低下させることができ
る。また、主絶縁体の一部の突発的な温度上昇に対して
も緩和作用がある。
層中における高熱伝導材料からなる繊維,クロスもしく
はマットを含む層の割合が10Vol%以上において、繊
維,クロスもしくはマットを含む層の割合により、熱伝
導率に差が生じており、前記層の効果が大きくなってい
る。このことから、高熱伝導材料を含む層における高熱
伝導体含有率が5%以上であり、主絶縁体中における高
熱伝導材料からなる繊維,クロスもしくはマットを含む
層の割合が10Vol%以上であるコイルでは、本発明の
コイル主絶縁体の熱伝導率向上効果が特に大きい。図6
に示すように、高熱伝導材料からなる繊維,クロスある
いはマットでは、繊維軸方向あるいはクロス面方向に対
する熱伝導率が、前記方向に垂直な方向の熱伝導率に比
し高い。このため、本発明のコイルではコイルの長手方
向の温度分布を均一化でき、特に回転電機や変圧器で本
発明のコイルを使用した場合、コイルエンド部などのコ
アに接しない冷却効率の低い部分の温度を、従来のマイ
カを主体としたコイルや含浸樹脂に粉末状高熱伝導充填
材を含有させたコイルに比し、低下させることができ
る。また、主絶縁体の一部の突発的な温度上昇に対して
も緩和作用がある。
【0057】(16)本発明のコイルでは、絶縁性や耐
熱性に優れた絶縁層と高熱伝導材料からなる繊維,クロ
ス、もしくはマットを含む層を積層した均質なハイブリ
ッド型絶縁層構造が得られるため、コイル主絶縁体は、
高耐電圧,高耐熱性,高熱放散性を奏す。また、本発明
のコイルでは、コイル主絶縁体がハイブリッド型絶縁層
構造を有するため、コイル導体に接する絶縁層やコイル
主絶縁体最外層付近の絶縁層にマイカを、それ以外の絶
縁層にフレーク状のアルミナを用いるなど、各絶縁層に
用いる材料選択の自由度が高い。
熱性に優れた絶縁層と高熱伝導材料からなる繊維,クロ
ス、もしくはマットを含む層を積層した均質なハイブリ
ッド型絶縁層構造が得られるため、コイル主絶縁体は、
高耐電圧,高耐熱性,高熱放散性を奏す。また、本発明
のコイルでは、コイル主絶縁体がハイブリッド型絶縁層
構造を有するため、コイル導体に接する絶縁層やコイル
主絶縁体最外層付近の絶縁層にマイカを、それ以外の絶
縁層にフレーク状のアルミナを用いるなど、各絶縁層に
用いる材料選択の自由度が高い。
【0058】(17)高熱伝導材料からなる繊維に引張
り破壊強度や破壊ひずみや曲げ破壊強度等の機械的強度
の高い繊維を用いる、あるいは高熱伝導材料からなる繊
維と前記繊維より機械的強度の高い材料を複合して用い
ることにより、繊維,クロスもしくはマットの機械的強
度を増加させ、同時にコイルの機械的強度を向上させる
ことができる。このため、電磁応力の大きい回転電機に
対しても資源の乏しいフレークマイカだけでなく、集成
マイカを積極的に使用することができる。
り破壊強度や破壊ひずみや曲げ破壊強度等の機械的強度
の高い繊維を用いる、あるいは高熱伝導材料からなる繊
維と前記繊維より機械的強度の高い材料を複合して用い
ることにより、繊維,クロスもしくはマットの機械的強
度を増加させ、同時にコイルの機械的強度を向上させる
ことができる。このため、電磁応力の大きい回転電機に
対しても資源の乏しいフレークマイカだけでなく、集成
マイカを積極的に使用することができる。
【0059】(18)本発明のコイルを使用した回転電
機もしくは変圧器では、コイル主絶縁体の熱伝導率が高
いためコイルの熱放散効率が従来の回転電機もしくは変
圧器のコイルに比し高い。このため、回転電機もしくは
変圧器の冷却設備の簡略化,マシンサイズの縮小化がで
きる。
機もしくは変圧器では、コイル主絶縁体の熱伝導率が高
いためコイルの熱放散効率が従来の回転電機もしくは変
圧器のコイルに比し高い。このため、回転電機もしくは
変圧器の冷却設備の簡略化,マシンサイズの縮小化がで
きる。
【0060】
【発明の効果】本発明のコイルでは、高熱伝導体として
高熱伝導材料からなる繊維,クロスもしくはマットを用
いているため、樹脂硬化時に高熱伝導体が樹脂と共に流
れ出ず、硬化後の主絶縁体中の高熱伝導体の含有量が一
定であり、所望の高熱伝導体や樹脂の含有率および分布
を有するコイルを容易に製作できる。さらに、樹脂粘度
も樹脂の粘度特性のみによって決定されるためコイル作
製が容易である。また、本発明のコイルを高圧コイルと
して使用する際には、絶縁性に優れた絶縁層と高熱伝導
繊維,クロスもしくはマットを含む層が規則正しく配列
し、ボイドや歪みのない均質なコイル主絶縁体が得られ
るため、均一な温度分布と、優れた課電劣化寿命が得ら
れる。さらに、回転電機や変圧器で使用に際しても、主
絶縁体中において所望の樹脂含有率が得られるため、例
えば絶縁層にマイカを用いた場合にはマイカ片間の接着
力が高く、高強度な絶縁層が得られ、また、粉末状高熱
伝導充填材を樹脂に含有させないため主絶縁体の脆性増
加を防ぐことができ、曲げや振動等の機械的変位に対し
ても十分な機械的強度が得られる。さらに、高熱伝導体
に用いる繊維,クロスもしくはマットは高熱伝導材料の
連続体であるため、同一の主絶縁体中の高熱伝導材料含
有率では、含浸樹脂中に粉末状高熱伝導充填材を含有さ
せた従来のコイルに比べ、主絶縁体の積層方向および沿
層方向の熱伝導率が高く、同時に機械的強度にも優れて
いる。
高熱伝導材料からなる繊維,クロスもしくはマットを用
いているため、樹脂硬化時に高熱伝導体が樹脂と共に流
れ出ず、硬化後の主絶縁体中の高熱伝導体の含有量が一
定であり、所望の高熱伝導体や樹脂の含有率および分布
を有するコイルを容易に製作できる。さらに、樹脂粘度
も樹脂の粘度特性のみによって決定されるためコイル作
製が容易である。また、本発明のコイルを高圧コイルと
して使用する際には、絶縁性に優れた絶縁層と高熱伝導
繊維,クロスもしくはマットを含む層が規則正しく配列
し、ボイドや歪みのない均質なコイル主絶縁体が得られ
るため、均一な温度分布と、優れた課電劣化寿命が得ら
れる。さらに、回転電機や変圧器で使用に際しても、主
絶縁体中において所望の樹脂含有率が得られるため、例
えば絶縁層にマイカを用いた場合にはマイカ片間の接着
力が高く、高強度な絶縁層が得られ、また、粉末状高熱
伝導充填材を樹脂に含有させないため主絶縁体の脆性増
加を防ぐことができ、曲げや振動等の機械的変位に対し
ても十分な機械的強度が得られる。さらに、高熱伝導体
に用いる繊維,クロスもしくはマットは高熱伝導材料の
連続体であるため、同一の主絶縁体中の高熱伝導材料含
有率では、含浸樹脂中に粉末状高熱伝導充填材を含有さ
せた従来のコイルに比べ、主絶縁体の積層方向および沿
層方向の熱伝導率が高く、同時に機械的強度にも優れて
いる。
【図1】第1の実施例のコイルの断面図。
【図2】コイルに用いるマイカテープ。
【図3】プリプレグテープによる本発明のコイル作製方
法を示す図。
法を示す図。
【図4】ドライテープによる本発明のコイル作製方法を
示す図。
示す図。
【図5】マイカテープとアルミナクロスを別個に巻く本
発明のコイル作製方法を示す図。
発明のコイル作製方法を示す図。
【図6】コイル主絶縁体中のアルミナ層におけるアルミ
ナ含有率に対する熱伝導率を示す図。
ナ含有率に対する熱伝導率を示す図。
【図7】コイル主絶縁体中のアルミナ層含有率に対する
熱伝導率を示す図。
熱伝導率を示す図。
【図8】種々の高熱伝導材料を用いた時のコイル主絶縁
体の熱伝導率を示す図。
体の熱伝導率を示す図。
【図9】応力−ひずみ図。
1…絶縁体、20…プリプレグテープ、21…マイカテ
ープ、23…アルミナクロス、61…コイル導体、62
…導体、63…素線絶縁。
ープ、23…アルミナクロス、61…コイル導体、62
…導体、63…素線絶縁。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 隆徳 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 武内 良三 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 天城 滋夫 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 Fターム(参考) 5E044 CA02 CB03 5H604 AA03 CC01 CC05 DA01 DA06 DA07 PB03 5H615 AA01 PP01 PP12 QQ02 RR02 RR09 SS11 TT03 TT22 TT23
Claims (5)
- 【請求項1】絶縁層と、 高熱伝導体を含む高熱伝導材料からなる繊維,クロスも
しくはマットを含む層とを積層したハイブリッド型絶縁
層構造の主絶縁体を有し、 前記主絶縁体中における前記繊維,クロスもしくはマッ
トを含む層の割合が10Vol%以上で、 前記繊維,クロスもしくはマットを含む層の前記高熱伝
導体の含有率が5Vol%以上であることを特徴とするコ
イル。 - 【請求項2】前記絶縁層は、集成マイカ,フレークマイ
カ,ガラスフレーク、またはセラミックスフレークを含
み、 前記高熱伝導体は、窒化アルミ,窒化珪素,窒化硼素,
アルミナ,酸化ベリリウム,酸化マグネシウム,シリ
カ,弗化珪素,弗化アルミ,弗化カルシウム,弗化マグ
ネシウム,炭化珪素,半導体の窒化物,酸化物,弗化
物,炭化物を含むことを特徴とする請求項1のコイル。 - 【請求項3】絶縁性シートもしくは絶縁性テープと、高
熱伝導材料からなる繊維,クロスもしくはマットとを貼
り合わせ形成したシートもしくはテープをコイル導体に
巻き付け、成型するコイル製造方法において、 前記絶縁性シートまたは前記絶縁性テープは、集成マイ
カ,フレークマイカ,ガラスフレーク、またはセラミッ
クスフレークを含み、 前記高熱伝導材料は、窒化アルミ,窒化珪素,窒化硼
素,アルミナ,酸化ベリリウム,酸化マグネシウム,シ
リカ,弗化珪素,弗化アルミ,弗化カルシウム,弗化マ
グネシウム,炭化珪素,半導体の窒化物,酸化物,弗化
物,炭化物を含むことを特徴とするコイル製造方法。 - 【請求項4】絶縁性シートもしくは絶縁性テープと、高
熱伝導材料からなる繊維,クロスもしくはマットとを貼
り合わせ形成したドライシートもしくはドライテープを
コイル導体に巻き付け、樹脂含浸,成型するコイル製造
方法において、 前記絶縁性シートまたは前記絶縁性テープは、集成マイ
カ,フレークマイカ,ガラスフレーク、またはセラミッ
クスフレークを含み、 前記高熱伝導材料は、窒化アルミ,窒化珪素,窒化硼
素,アルミナ,酸化ベリリウム,酸化マグネシウム,シ
リカ,弗化珪素,弗化アルミ,弗化カルシウム,弗化マ
グネシウム,炭化珪素,半導体の窒化物,酸化物,弗化
物,炭化物を含むことを特徴とするコイル製造方法。 - 【請求項5】請求項1のコイルを用いた回転電機および
変圧器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10342538A JP2000173818A (ja) | 1998-12-02 | 1998-12-02 | コイルおよびコイル製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10342538A JP2000173818A (ja) | 1998-12-02 | 1998-12-02 | コイルおよびコイル製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000173818A true JP2000173818A (ja) | 2000-06-23 |
Family
ID=18354531
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10342538A Pending JP2000173818A (ja) | 1998-12-02 | 1998-12-02 | コイルおよびコイル製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000173818A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002089296A1 (en) * | 2001-04-27 | 2002-11-07 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Coil of dynamoelectric machine, and mica tape and mica sheet used to insulate this coil |
JP2009201273A (ja) * | 2008-02-22 | 2009-09-03 | Toyota Motor Corp | ワニス処理方法、及びワニス処理装置 |
JP2013530313A (ja) * | 2010-07-08 | 2013-07-25 | シーメンス エナジー インコーポレイテッド | 非金属基板の表面に材料層を形成する方法 |
JP2013530312A (ja) * | 2010-07-08 | 2013-07-25 | シーメンス エナジー インコーポレイテッド | 導体の表面に電気絶縁材料層を塗布するための方法 |
JP2015199885A (ja) * | 2014-04-10 | 2015-11-12 | 日立化成株式会社 | プリプレグテープの製造方法 |
WO2017158913A1 (ja) * | 2016-03-16 | 2017-09-21 | 株式会社日立製作所 | 電気機器用コイルおよび電気機器用コイルの製造方法 |
CN108039784A (zh) * | 2017-11-10 | 2018-05-15 | 沈阳工业大学 | 一种极大长/径比高温电机定子结构及制作方法 |
-
1998
- 1998-12-02 JP JP10342538A patent/JP2000173818A/ja active Pending
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002089296A1 (en) * | 2001-04-27 | 2002-11-07 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Coil of dynamoelectric machine, and mica tape and mica sheet used to insulate this coil |
US7294788B2 (en) | 2001-04-27 | 2007-11-13 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Coil for electric rotating machine, and mica tape and mica sheet used for the coil insulation |
US7507911B2 (en) | 2001-04-27 | 2009-03-24 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Coil for electric rotating machine, and mica tape and mica sheet used for the coil insulation |
JP2009201273A (ja) * | 2008-02-22 | 2009-09-03 | Toyota Motor Corp | ワニス処理方法、及びワニス処理装置 |
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JP2013530312A (ja) * | 2010-07-08 | 2013-07-25 | シーメンス エナジー インコーポレイテッド | 導体の表面に電気絶縁材料層を塗布するための方法 |
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CN108039784A (zh) * | 2017-11-10 | 2018-05-15 | 沈阳工业大学 | 一种极大长/径比高温电机定子结构及制作方法 |
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