JP2000171420A - インキ転移物の断面観察法 - Google Patents

インキ転移物の断面観察法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紙に印刷された印刷物や、ボールペンやマジ
ックなどを用いて筆記された筆記物に転移したインキ等
の転移及び浸透状態を、集束イオンビーム装置等により
断面を作製し、該断面を電子顕微鏡或いはエレクトロン
プローブマイクロアナライザーにより観察する。 【解決手段】 紙に転移したインキ転移物における、イ
ンキのバインダー成分の転移及び浸透状態を観察する方
法であって、前記バインダーの不飽和二重結合部分に、
四酸化オスミウム又は臭素を選択的に付加反応させ、次
に集束イオンビーム装置によりイオンビームを照射する
ことにより、任意のインキ転移部位の断面を紙等の構造
を破壊することなく作製し、前記付加反応させたバイン
ダーを含んだインキ転移物の断面に電子線を照射し、発
生する信号を走査型電子顕微鏡で観察する、又は、エレ
クトロンプローブマイクロアナライザーにより、それぞ
れの元素のマッピングを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新聞用紙、PPC
用紙、証券用紙などに印刷された印刷物や、ボールペン
やマジックなどを用いて筆記された筆記物に転移したイ
ンキ等の紙への転移及び浸透状態を、紙等の構造を破壊
することなく断面を作製した後、該断面を電子顕微鏡或
いはエレクトロンプローブマイクロアナライザーにより
観察する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】印刷時のインキの転移状態や浸透状態な
どの紙に関する印刷適性は、用紙特性に影響される。し
たがって、用紙特性とインキ転移性の関係を解析するた
めには、断面観察から、印刷物の構造を正確に把握する
必要がある。印刷物や筆記物に転移したインキ等の転移
及び浸透状態を断面から観察する一般的な方法として
は、反射光によりルーペや光学顕微鏡により行われてい
た。しかし、これらの方法では高倍率にすると反射光の
光の強度が弱くなるため、数千倍の高倍率での観察は困
難であり、断面からインキの転移及び浸透性を詳細に観
察することは困難であった。
【0003】その他のインキ転移物の断面観察を行う方
法として、走査型電子顕微鏡(SEM)とエレクトロン
プローブマイクロアナライザー(EPMA)が知られて
いる。これらを用いた観察方法では、まず試料に電子線
を照射し、発生する信号を検出することによって断面の
観察を行う。発生する信号には二次電子、反射電子及び
蛍光X線がある。この中で、入射電子により二次的に励
起される二次電子は、SEMを用いた観察に汎用的に用
いられる。この二次電子は観察面から数nmの浅い領域
から放出され、試料面の3次元的凹凸情報が得られる。
反射電子は、入射電子が試料内部に散乱され、その中で
後方へ散乱し、試料面から放出された電子であり、観察
面から数十〜数百nmの領域から放出される。反射電子
像のコントラストは試料面の凹凸及び試料組成の平均原
子番号に依存する。そして、凹凸情報はTOPO(凹
凸)像として、また物質の組成情報はCOMPO(組
成)像として得られる。蛍光X線は、観察面から数μm
の領域から放出され、試料の元素によりそのエネルギー
及び波長が異なる性質を用いて元素の分布状態の観察が
可能である。
【0004】しかしながら、インキ転移及び浸透を高分
解能で観察する場合、一般的に用いられる二次電子像か
らは観察面の凹凸情報しか得られないため、インキ転移
及び浸透を観察できない。また、インキや紙の元素の違
いをコントラストで示す反射電子像によりインキ転移物
を観察した場合、反射電子像では顔料の分布しか実際観
察できないため、インキのバインダー成分の浸透状態を
観察することは不可能であった。また、蛍光X線マッピ
ング像も反射電子像と同様に元素の異なる顔料の分布し
か観察できないため、インキのバインダー成分の浸透状
態を観察することは不可能であった。
【0005】また、インキ転移及び浸透を断面により観
察するためには、印刷物の構造を破壊しないで断面を作
製する技術が必要となる。従来の断面作製手段として
は、刃物による切断法、樹脂包埋法、凍結割断法、イオ
ンエッチング法等がある。
【0006】前記刃物による切断法は、鋭利な刃(両刃
カミソリ等)で切断する方法で、簡便で切断部位を選択
でき、低倍率での観察に有効な方法であり、例えば、特
開平5−72084号公報(走査電子顕微鏡用試料作製
装置)がある。しかし、微細部分での構造破壊が著し
く、切断面の平滑性に乏しいという問題がある。
【0007】そこで、断面を切り出す際の構造破壊を避
けるために一般的に用いられている方法として、前記樹
脂包埋法がある。これは試料をパラフィン、ワックス、
各種合成樹脂(エポキシ樹脂、メタクリル樹脂等)で包
埋した後、ミクロトームまたは超ミクロトームのガラス
ナイフで切断する方法である。ところが、印刷インキの
用紙への転移状態及び浸透状態などを解析する場合に
は、包埋樹脂により用紙に転移したインキが溶け出して
しまうことから、樹脂包埋できないという問題がある。
【0008】前記凍結割断法の一つとしてエタノール凍
結割断法がある。本方法はエタノールの入ったカプセル
の中に印刷物サンプルを入れ、カプセルとともにエタノ
ール及び印刷物サンプルを液体窒素中で凍らせた後、カ
プセルとともに印刷物を割断して断面表面を得る方法で
ある。しかし、この方法では試料を溶剤(エタノール)
に浸析させるため、用紙に転移したインキが溶け出して
しまうことがあるので、用いることができない。また、
本方法で紙の断面を作製しようとすると、個々の繊維は
平滑な断面として割断されるが、紙は繊維が層状に積層
されているために、紙全体としては平滑な断面を得るこ
とができず、紙層構造を観察することはできないという
問題があった。
【0009】前記イオンエッチング法は、ミクロトーム
等で断面を切り出した後、刃によって破壊された断面層
にイオンスパッタ装置でエッチングを行い、破壊された
断面層を除去してサンプルの内部構造を露出させる方法
である。本方法では、イオンスパッタ装置でアルゴンイ
オンを連続照射すると熱が発生してしまうことから、紙
の構造が変化してしまうという問題があった。この熱に
よる構造変化を防止するために、アルゴンイオンを間欠
照射して温度の上昇を抑えたり、樹脂包埋やオスミウム
染色で固定する必要があった。しかし、アルゴンイオン
を間欠照射すると、イオンエッチングに時間を要してし
まうという問題と、樹脂包埋すると、前述したように印
刷インキは溶け出してしまい、用紙への転移状態を観察
することができないという問題があった。
【0010】以上の様な理由から、インキバインダーの
転移及び浸透状態を印刷物の断面から観察することは、
不可能であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上
記した問題点を解決すべく、インキ転移物のバインダー
の炭素の不飽和二重結合部分に四酸化オスミウム又は臭
素を選択的に付加反応させ、この付加反応させたインキ
転移物の任意の場所を集束イオンビーム装置等により断
面を作製し、元素の蛍光X線マッピングによりインキ転
移物断面におけるインキバインダーの転移及び浸透状態
を観察する方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、紙に転移した
インキ転移物における、インキのバインダー成分の転移
及び浸透状態を観察する方法であって、前記バインダー
の不飽和二重結合部分に、四酸化オスミウム又は臭素を
選択的に付加反応させ、前記付加反応させたバインダー
を含んだインキ転移物を、例えば、本件出願人が既に出
願した、特願平9−276605「紙または印刷物の断
面作製法並びに断面観察法」の集束イオンビーム装置を
用いることにより、印刷物の構造を破壊しないで断面を
作製し、該断面に電子線を照射して、発生する信号をエ
レクトロンプローブマイクロアナライザーによりそれぞ
れの元素のマッピングを行い、印刷インキの転移及び浸
透状態の解析を行うインキ転移物の断面観察法である。
【0013】
【発明の実施の形態】紙に公知の印刷方式により印刷を
施し、インキを転移させたインキ転移物を密封容器内の
気相中に四酸化オスミウム又は臭素とともに入れ、室温
で数時間以上放置すると、四酸化オスミウム又は臭素は
インキ転移物のバインダー成分の炭素の不飽和二重結合
に選択的に付加反応を起こす。この場合、気化した四酸
化オスミウム又は臭素は紙の内部へも十分浸透するた
め、紙へ浸透したバインダー成分にも付加反応する。
【0014】次に、断面作製法として、集束イオンビー
ム装置によりインキ転移物にイオンビームを照射し、二
次電子検出器で検出された二次電子像をモニタで観察し
ながら、同時に、モニタ上の観察画像に対して切り出し
位置及び切り出し領域の指定をし、操作部で加速電圧、
ビーム電流及びビーム径の断面加工条件を設定し、前記
切り出し位置及び切り出し領域の指定位置の切断に必要
な量のイオンビームを照射して粗加工を行う。粗加工条
件は、イオンビームにガリウムを加速電圧30kV以
上、ビーム電流9〜15nA程度で、ビーム径を300
〜1000nm程度に集束させる。さらに仕上げ加工と
して、ガリウムイオンを加速電圧30kV以上、ビーム
電流1nA以下で、ビーム径を70nm以下に集束させ
て照射して断面を作製することによって、構造破壊のな
い平滑な断面が作製できる。
【0015】前記イオンビームによるインキ転移物の加
工では、切削や研磨などの機械加工にみられるようなせ
ん断応力、圧縮応力および引張り応力は発生しない。こ
のため、硬さや脆さの異なる材料が混合されている複合
材料や空隙を持つ材料、すなわち、オスミウム又は臭素
を付加したインキ転移物についてもシャープな断面が作
製できる。
【0016】次に、前記付加反応させたインキ転移物の
断面をSEM又はEPMAに導入し観察する時に、照射
する電子線の帯電を防止するために、炭素や金などの導
電性物質を、前記付加反応させたインキ転移物断面に数
十nmの厚さで蒸着する。前記SEM又はEPMAに導
入したインキ転移物に電子線を照射し、バインダーの転
移及び浸透状態を観察する。
【0017】印刷物を観察する場合、加速電圧を10〜
30kVの電子線で試料に照射すると、連続X線(バッ
クグランド)と特性X線(蛍光X線)のスペクトルが同
時に放出される。この蛍光X線の持つ波長とエネルギー
は元素に固有であるため、これら二つの情報から元素分
析ができる。そのため、エネルギー情報を検出するエネ
ルギー分散型又は波長情報を検出する波長分散型のどち
らの検出器を用いてもよい。エネルギー分散型検出器を
用いて印刷物を観察する方法としては、印刷部のバイン
ダーに選択的に付加させたオスミウムからのOsLα線
のエネルギー8.91keV又はOsMα線のエネルギ
ー1.91keVの信号を、臭素においてはBrLα線
のエネルギー1.48keV又はBrKα線のエネルギ
ー11.91keVの信号をシリコン(リチウム少量含
む)単結晶の半導体検出器により検出し、256×25
6或いは516×516の画素情報として元素マッピン
グを行う。波長分散型検出器を用いて印刷物を観察する
方法としては、印刷部のバインダーに選択的に付加させ
たオスミウムからのOsLα線の波長0.14nm又は
OsMα線の波長0.65nmの信号を、臭素において
はBrKα線の波長0.10nmの信号をBraggの
式(nλ=2dsinθ、n=1、2、3;λは波長、
dは面間隔、θは照射角、nは反射の次数)に基づき分
光結晶(フッ化リチウム、フタル酸タリウム、ペンタエ
リスリトールなど)により分光し、計数管でそれぞれの
強度を検出し、256×256或いは516×516の
画素情報として元素マッピングを行う。
【0018】
【実施例】アクリレート樹脂をバインダーに用いたイン
キで紙に印刷を施し、前記印刷インキを転移させた印刷
物を、四酸化オスミウム又は臭素とともにデシケータの
中で25℃、24時間放置することにより、オスミウム
又は臭素はアルキド樹脂の不飽和二重結合部分に選択的
に付加反応させる。
【0019】図1は、四酸化オスミウムの付加反応の概
略図を示したものであり、(1)はインキ層、(2)は
紙の断面である。紙の主成分であるセルロース繊維には
不飽和二重結合を含まないため、四酸化オスミウム又は
臭素はセルロース繊維に付加反応しない。しかし、イン
キのバインダーの多くは不飽和二重結合を含むため、四
酸化オスミウム又は臭素はバインダーに付加反応する。
当然、紙へ浸透したバインダーにも四酸化オスミウム又
は臭素が付加反応する。
【0020】次に、オスミウム又は臭素により付加反応
した印刷物を集束イオンビーム装置により、加速電圧3
0kV以上、ビーム電流10nA程度及びビーム径30
0nm程度に設定して、ガリウムイオンビームを集束
し、走査させながら照射して粗加工を行い、次に、加工
精度を増すために、加速電圧30kV以上、ビーム電流
0.3nA以下及びビーム径30nm以下に設定して、
ガリウムイオンビームをさらに集束させて照射し、仕上
げ加工を行うことにより、任意のインキ転移部位の断面
を紙等の構造を破壊することなく作製する。
【0021】次に、観察中の電子線の帯電を防止するた
めに、炭素や金などの導電性物質をこの付加反応させた
インキ転移物断面に10nmの厚さで蒸着した後、イン
キ転移物断面に電子線を加速電圧15kV、プローブ電
流3×10−11Aの条件により照射し、蛍光X線を発
生させる。そして、エネルギー分散型検出器によりオス
ミウム或いは臭素の蛍光X線を検出する。オスミウムの
場合、OsLα線の信号はバックグランドの連続X線と
重なるため、OsMα線の信号を用いたほうが検出感度
が高くなる。臭素の場合は、BrKα線の信号はバック
グランドの連続X線と重なるため、BrLα線の信号を
用いたほうが検出感度が高くなる。そして、これらの元
素が付加したバインダーの部分は、OsMα線又はBr
Lα線の蛍光X線が多く検出されることにより他の部分
と比べて蛍光X線強度に違いがでるため、バインダーの
転移及び浸透状態を観察できる。
【0022】図2は、オスミウムを付加した印刷物の任
意のインキ転移部分を、集束イオンビーム装置により、
加速電圧30kV以上、ビーム電流10nA程度及びビ
ーム径300nm程度に設定して、ガリウムイオンビー
ムを集束し、走査させながら照射して粗加工を行い、次
に、加工精度を増すために、加速電圧30kV以上、ビ
ーム電流0.3nA以下及びビーム径30nm以下に設
定して、ガリウムイオンビームをさらに集束させて照射
し、仕上げ加工を行い、紙等の構造を破壊することなく
断面を作製し、該断面に対して、電子線照射条件を加速
電圧5kV、プローブ電流3×10−11Aにより得た
二次電子像を示したものであり、(3)は紙に転移した
インキ層、(4)は紙を構成する繊維である。微細部分
での構造破壊は起こっていない様子が鮮明に観察でき
る。
【0023】図3は、図2の断面を、電子線照射条件を
加速電圧15kV、プローブ電流3×10−11A、検
出器はエネルギー分散型検出器によりOsMα線を用い
た元素マッピング像であり、(5)は検出されたオスミ
ウムの分布状態である。インキバインダーの浸透部分に
オスミウムが付加しているため、マッピング画像として
バインダーの浸透状態を観察できる。更に、図2の二次
電子像と図3の元素マッピング像を照合することによっ
て、紙へ転移及び浸透した印刷インキのバインダーの分
布状態を初めて観察することができた。
【0024】なお、前述した実施例の印刷物の断面作製
に際しては、集束イオンビーム装置を用いた方法で説明
したが、印刷物構造の破壊が起きない方法であれば、本
発明はこの例によって何ら限定されるものではない。
【0025】(比較例1)図4は、四酸化オスミウムを
付加していない印刷物を、前述した刃物による切断法で
断面を作製し、該断面について電子線照射条件を加速電
圧5kV、プローブ電流3×10−11Aにより得た二
次電子像を示したものであり、(3)は紙に転移したイ
ンキ層、(4)は紙を構成する繊維である。(オスミウ
ムを付加していない場合には)従来行われている二次電
子像の観察では、インキの浸透を観察することはできな
い。
【0026】(比較例2)図5は、図2の観察例と同様
の条件でオスミウムを付加した印刷物を、前述した刃物
による切断法で断面を作製し、該断面の二次電子像を示
したものであり、(3)は紙に転移したインキ層、
(4)は紙を構成する繊維である。図6は、該断面を電
子線照射条件を加速電圧15kV、プローブ電流3×1
11A、検出器はエネルギー分散型検出器によりO
sMα線を用いた元素マッピング像であり、(5)は検
出されたオスミウムの分布状態である。インキバインダ
ーの浸透部分にオスミウムを付加しているため、マッピ
ング画像としてバインダーの浸透状態を観察することが
できるが、図5に示すように、刃物による断面作製法で
は微細部分での構造破壊が著しいため、本来浸透してい
るバインダーの状態を正確に観察することはできない。
【0027】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、構造中
に不飽和二重結合を持つバインダーを含むインキ転移物
を、四酸化オスミウム又は臭素によりインキ転写部のバ
インダー部分にオスミウム又は臭素の元素を選択的に付
加させた後に、集束イオンビーム装置等により、任意の
インキ転移部分の断面を紙等の構造を破壊することなく
作製し、前記付加反応させたバインダーを含んだインキ
転移物の断面に電子線を照射し、発生する信号を走査型
電子顕微鏡で観察する、又は、エレクトロンプローブマ
イクロアナライザーにより、それぞれの元素のマッピン
グを行うことによって、バインダーの転移及び浸透状態
を観察するものであるため、インキ転移及び浸透状態と
用紙特性の関係を解析できるという効果がある。また、
走査型電子顕微鏡又はエレクトロンプローブマイクロア
ナライザーの最大の特徴である高倍率において観察する
ことによって、紙の空隙やセルロース繊維の内部におけ
るバインダーの挙動を観察する場合に特に効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】オスミウムの付加反応の概略図である。
【図2】オスミウムを付加した印刷物を集束イオンビー
ム装置により作製した断面の電子顕微鏡の観察像であ
る。
【図3】オスミウムを付加した印刷物を集束イオンビー
ム装置により作製した断面のOsMα線マッピングの観
察像である。
【図4】オスミウムを付加していない印刷物を刃物によ
り作製した断面の電子顕微鏡の観察像である。
【図5】オスミウムを付加した印刷物を刃物により作製
した断面の電子顕微鏡の観察像である。
【図6】オスミウムを付加した印刷物を刃物により作製
した断面のOsMα線マッピングの観察像である。
【符号の説明】
1 インキ層 2 紙の断面 3 紙に転移したインキ層 4 紙を構成する繊維 5 検出されたオスミウムの分布状態
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C250 EB37 2G001 AA03 AA09 BA05 BA07 CA01 EA02 EA03 GA06 HA13 KA01 LA05 NA15 RA02 RA04 RA08 RA20 2H113 AA06 BB02 BB22 BC10 DA07 DA43 DA48 FA56

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 用紙に転移したインキ転移物における、
    インキのバインダー成分の転移及び浸透状態を観察する
    方法であって、前記バインダーの不飽和二重結合部分
    に、四酸化オスミウム又は臭素を選択的に付加反応さ
    せ、次に任意のインキ転移部位の断面を紙等の構造を破
    壊することなく作製し、前記付加反応させたバインダー
    を含んだインキ転移物の断面に電子線を照射し、発生す
    る信号をエレクトロンプローブマイクロアナライザーに
    より、それぞれの元素のマッピングを行うことを特徴と
    するインキ転移物の断面観察法。
  2. 【請求項2】 用紙に転移したインキ転移物における、
    インキのバインダー成分の転移及び浸透状態を観察する
    方法であって、前記バインダーの不飽和二重結合部分
    に、四酸化オスミウム又は臭素を選択的に付加反応さ
    せ、次に集束イオンビーム装置によりイオンビームを照
    射することにより、任意のインキ転移部位の断面を紙等
    の構造を破壊することなく作製し、前記付加反応させた
    バインダーを含んだインキ転移物に電子線を照射し、発
    生する信号をエレクトロンプローブマイクロアナライザ
    ーにより、それぞれの元素のマッピングを行うことを特
    徴とするインキ転移物の断面観察法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017053694A (ja) * 2015-09-09 2017-03-16 日本電子株式会社 加工方法
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