JP2000170513A - バルブタイミング調整装置 - Google Patents

バルブタイミング調整装置

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JP2000170513A
JP2000170513A JP34757698A JP34757698A JP2000170513A JP 2000170513 A JP2000170513 A JP 2000170513A JP 34757698 A JP34757698 A JP 34757698A JP 34757698 A JP34757698 A JP 34757698A JP 2000170513 A JP2000170513 A JP 2000170513A
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Japan
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shaft
camshaft
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control
rotation
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JP34757698A
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Katsuyuki Fukuhara
克之 福原
Mutsuo Sekiya
睦生 関谷
Tsutomu Ueno
力 上野
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のバルブタイミング調整装置では、エン
ジン出力で生成した圧力を利用しているため、エンジン
始動時などにおいてバルブ開閉タイミングを進角方向に
設定することができない。そのため、排気バルブ14の
制御には利用できなかった。 【解決手段】 モータ(32〜36)の制動力により排
気バルブ14の開閉タイミングを進角方向に制御すると
共に、保持機能を有する遅延駆動伝達手段19を設けた
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、エンジンの運転
状況に応じて吸気バルブと排気バルブの一方もしくは両
方の開閉タイミングを調整するためのバルブタイミング
調整装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図14は従来のバルブタイミング調整装
置および周辺部分を示す概略構成図である。同図に示す
ものはエンジン出力により供給される油圧を用いてバル
ブの開閉タイミングを設定するベーン式バルブタイミン
グ調整装置である。図において、12は吸気カムシャフ
ト、1はこの吸気カムシャフト12を軸支するエンジン
本体、58は吸気カムシャフト12の一端に取り付けら
れたアクチュエータ、59はアクチュエータ58に取り
付けられたタイミングプーリ、20はこのタイミングプ
ーリ59と図示外のクランクシャフトとの間に掛渡さ
れ、当該クランクシャフトの回転に従って回転するタイ
ミングベルトである。60は吸気カムシャフト12の一
端に固定されるインナーロータ、61はこのインナーロ
ータ60が内部に配設されると共にタイミングプーリ5
9が固定されるアウターロータ、62はインナーロータ
60とアウターロータ61との間にオイルを供給する第
一オイル供給管、63はインナーロータ60とアウター
ロータ61との間にオイルを供給する第二オイル供給管
である。
【0003】64はオイルを収容するオイルタンク、6
5はエンジン出力で生成される圧力を利用してオイルタ
ンク64内のオイルを供給するポンプ、66はこのオイ
ルを第一オイル供給管62あるいは第二オイル供給管6
3に供給する供給オイル管、70は供給オイル管66か
ら供給されるオイルの接続先を切り替えるオイルバル
ブ、71はオイルが供給されない方のそれぞれのオイル
供給管62,63のオイルをオイルタンク64に戻す排
出オイル管、72は上記オイルバルブ70の動作を制御
する電子制御ユニット(以下、ECU)である。
【0004】図15(a)は上記従来のバルブタイミン
グ調整装置におけるアクチュエータ58の内部構造を示
す断面図である。図において、73はそれぞれインナー
ロータ60の周縁部に形成された凹部、74はそれぞれ
各凹部73内に当該凹部を2分するように突出して形成
された凸部、75はそれぞれ凹部73のインナーロータ
回転方向下流側(以下、進角側ともいう)の側面に開設
され、第一オイル供給管62が接続される第一供給口、
76はそれぞれ凹部73のインナーロータ回転方向上流
側(以下、遅角側ともいう)の側面に開設され、第二オ
イル供給管63が接続される第二供給口である。そし
て、この第一供給口75からオイルが供給されると、各
凸部74の進角側にオイルが注入されることになり、図
15(b)に示すように、アウターロータ61の回転に
対してインナーロータ60の回転位相が進むことにな
る。
【0005】次に動作について説明する。エンジンが動
作している状態において、ECU72からオイルバルブ
70にバルブの開閉タイミングを進める制御信号が入力
されると、オイルバルブ70は供給オイル管66と第一
オイル供給管62とを接続するように切り替わり、第一
供給口75からオイルが供給されて、アウターロータ6
1の回転に対してインナーロータ60の回転位相が進む
ことになる。また、このように進角方向に制御された状
態において、ECU72からオイルバルブ70にバルブ
の開閉タイミングを遅らせる制御信号が入力されると、
オイルバルブ70は供給オイル管66と第二オイル供給
管63とを接続するように切り替わり、第二供給口76
からオイルが供給されて、アウターロータ61の回転に
対してインナーロータ60の回転位相が遅れることにな
る。なお、これらの制御においてオイルが供給されない
方のそれぞれのオイル供給管62,63内のオイルは排
出オイル管71を介してオイルタンク64に戻る。更
に、供給オイル管66や排出オイル管71と第一オイル
供給管62や第二オイル供給管63との接続をオイルバ
ルブ70により切断すると、アウターロータ61とイン
ナーロータ60との間に一定のオイルが保持されること
になり、回転位相を一定の位置に保持することができ
る。以上の制御により任意の進角位置や遅角位置に設定
することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のバルブタイミン
グ調整装置は以上のように構成されているので、アウタ
ーロータ61とインナーロータ60との間にオイルを供
給して制御/位相設定を行なうためには一定のオイル圧
力が必要であり、且つ、このために必要なオイル圧力を
エンジン出力に基づいてポンプ65を動作させて得るよ
うにしていた。このため、エンジン始動時などの十分な
オイル圧力が得られない状況下では、バルブの開閉タイ
ミング制御をすることは実質的に不可能であるなどの課
題があった。
【0007】そこで、発明者らは本願出願に先立って、
遅延駆動伝達手段79とモータ77とを利用して排気バ
ルブの開閉タイミング制御に利用することができるバル
ブタイミング調整装置を提案している。図16はこのよ
うな従来の他のバルブタイミング調整装置を排気バルブ
の制御に利用した場合の構成を示す概略構成図である。
図において、14は排気バルブ、15は排気カム、16
は排気カムシャフト、30は排気カムシャフト16に形
成されたリングギア、31はこのリングギア30の回転
位相および回転数を検出するポジションセンサ、77は
排気カムシャフト16と一体に形成された回転子を有す
るモータ、28はバッテリ、78は上記ポジションセン
サ31の検出信号などが入力され、これらの信号に基づ
いて上記バッテリ28からモータ77へ制御電流を供給
する制御を行なうECU、79は排気カムシャフト16
と一体化されると共にタイミングベルト20が掛渡され
る遅延駆動伝達手段である。
【0008】図17は従来の他のバルブタイミング調整
装置における遅延駆動伝達手段79を示す正面図であ
る。図において、80は排気カムシャフト16に固定さ
れる固定プレート、81は排気カムシャフト16が遊嵌
される貫通穴を有すると共にその外周にタイミングベル
ト20が掛渡される可動プレート、82はそれぞれ遅延
駆動伝達手段79の回転方向に沿って回転可能に可動プ
レート81を固定プレート80上に保持させる固定ビ
ス、83はそれぞれ可動プレート81と固定プレート8
0との間に配設され、可動プレート81に対して固定プ
レート80が最も進角側の位置となるように相対位置を
設定するバネである。
【0009】次に動作について説明する。エンジンを始
動すると、その回転に従ってタイミングベルト20、遅
延駆動伝達手段79、排気カムシャフト16およびモー
タ77の回転子が回転する。なお、このとき、遅延駆動
伝達手段79の可動プレート81と固定プレート80と
は排気カムシャフト16などの回転負荷とバネ83の力
とがバランスした状態で回転する。
【0010】このようにエンジンが回転している状態に
おいて、ECU78がバッテリ28からの制御電流をモ
ータ77のコイルに供給すると、このコイルが発生する
磁界と回転子の磁界との相互作用により排気カムシャフ
ト16に対してその回転を抑制する方向の制動力が作用
する。この回転負荷の増加のために、回転負荷とバネ8
3の力とがバランス点が変化し、固定プレート80は可
動プレート81に対して遅角方向に相対的に移動するこ
とになり、その結果、タイミングベルト20の回転に対
する排気カムシャフト16の回転位相も遅れることにな
り、これにより排気バルブ14の開閉タイミングを調整
することができる。
【0011】そして、このようなモータ77と遅延駆動
伝達手段79とを用いたバルブタイミング調整装置であ
れば、エンジン始動時などにおいても遅角方向に制御す
るための電力をバッテリ28から得ることができるの
で、排気バルブ14の開閉タイミングを制御することが
でき、また、吸気バルブの開閉タイミングも同様に制御
することができる。
【0012】しかしながら、このような従来の他のバル
ブタイミング調整装置では、最進角位置に設定する場合
以外の場合においては、モータ77による制動力を必ず
作用させなければならず、例えば、吸気バルブの開閉タ
イミングの制御などに利用した場合、その初期位置を最
遅角位置とする必要があるので、ほとんど常時制御電流
を流さなければならず、ひいてはモータ77の発熱対策
によるモータ77の大型化、ほぼ定常的な電流消費など
の二次的な課題があった。
【0013】この発明は上記のような課題を解決するた
めになされたもので、定常的に制御電流を使用すること
なく、簡易な構成にて吸排気バルブの開閉タイミングを
調整することができるバルブタイミング調整装置を得る
ことを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明に係るバルブタ
イミング調整装置は、バルブを開閉させるカムを有し、
一方向に回転するカムシャフトと、上記カムシャフトと
このカムシャフトを回転駆動する駆動力発生手段との間
における回転駆動力伝達経路上に配設され、上記駆動力
発生手段の回転駆動力に従動回転する駆動側回転体、こ
の駆動側回転体と同じ回転軸の周囲にて上記カムシャフ
トと共に回転するシャフト側回転体および、上記駆動側
回転体とシャフト側回転体との相対位置関係を保持する
保持部材とを有する遅延駆動伝達手段と、上記カムシャ
フトと共に回転する制動軸、この制動軸と共に回転する
磁界発生部材および、この磁界発生部材の近傍に配設さ
れたコイルを有し、このコイルが発生する磁界により上
記制動軸に対して制動力を作用させる制動手段と、電流
を発生する電流発生部材と、上記電流発生部材の電流を
上記コイルに通電させる通電制御により上記制動力の作
用期間を制御すると共に、この通電を停止制御している
期間内において、上記コイルから発生する回生電流を上
記電流発生部材に戻す制御を行なう制御手段とを備えた
ものである。
【0015】この発明に係るバルブタイミング調整装置
は、バルブを開閉させるカムを有し、一方向に回転する
カムシャフトと、上記カムシャフトとこのカムシャフト
を回転駆動する駆動力発生手段との間における回転駆動
力伝達経路上に配設され、上記駆動力発生手段の回転駆
動力に従動回転する駆動側回転体、この駆動側回転体と
同じ回転軸の周囲にて上記カムシャフトと共に回転する
シャフト側回転体および、上記駆動側回転体とシャフト
側回転体との相対位置関係を保持する保持部材とを有す
る遅延駆動伝達手段と、上記カムシャフトと共に回転す
る制動軸、この制動軸と共に回転する第一の磁界発生部
材および、この磁界発生部材の近傍に配設される第二の
磁界発生部材を有し、この第一の磁界発生部材と第二の
磁界発生部材との磁気的な相互作用により上記制動軸に
対して制動力もしくは駆動力を作用させる制動手段と、
電流を発生する電流発生部材と、上記電流発生部材の電
流を上記第一の磁界発生部材あるいは上記第二の磁界発
生部材に通電させる通電制御により上記制動力もしくは
駆動力の作用方向と作用期間を制御すると共に、この通
電を停止制御している期間内において、上記第一の磁界
発生部材と上記第二の磁界発生部材との相対的な回転に
より発生する回生電流を上記電流発生部材に戻す制御を
行なう制御手段とを備えたものである。
【0016】この発明に係るバルブタイミング調整装置
は、保持部材が、駆動側回転体とシャフト側回転体との
間に配設され、上記駆動側回転体を基準として当該シャ
フト側回転体に対してカムシャフトの回転方向進角側の
向きの力を付勢する第一弾性部材と、当該第一弾性部材
と同一のバネ定数にて形成されると共に、上記駆動側回
転体と上記シャフト側回転体との間に配設され、上記駆
動側回転体を基準として当該シャフト側回転体に対して
上記カムシャフトの回転方向遅角側の向きの力を付勢す
る第二弾性部材と、上記駆動側回転体に対する上記シャ
フト側回転体の相対位置の変化を緩衝する緩衝部材とか
らなるものである。
【0017】この発明に係るバルブタイミング調整装置
は、制御手段がエンジンの動作状態に応じて電流発生部
材への回生電流戻し制御を行なわないものである。
【0018】この発明に係るバルブタイミング調整装置
は、駆動力発生手段の回転に対するカムシャフトの回転
の位相が最も遅くなる状態への制御が所定期間続く場
合、および、駆動力発生手段の回転に対するカムシャフ
トの回転の位相が最も進む状態への制御が所定期間続く
場合には、電流発生部材への回生電流戻し制御を行なわ
ないものである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を
説明する。 実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1によるバ
ルブタイミング調整装置を適用したガソリンエンジンシ
ステムを示す概略的な一部切り欠き断面図である。図に
おいて、1はシリンダ1aおよびこのシリンダ1aに連
通する吸気ポート1bおよび排気ポート1cが開設され
たエンジン本体、2はシリンダ1a内を上下に移動する
ピストン、3はピストン2の上下運動に応じて回転する
クランクシャフト(駆動力発生手段)、4はシリンダ1
a内部に突出して配設された点火プラグ、5は点火プラ
グ4に所定の点火電圧を供給するディストリビュータで
あり、6は高電圧を発生するイグナイタである。
【0020】7は吸気ポート1bに接続され、外気をシ
リンダ1a内に導入する吸気経路、8は吸気経路7内に
回転可能に配設されたスロットルバルブ、9は吸気ポー
ト1bを閉塞可能に配設された吸気バルブ(バルブ)、
10はスロットルバルブ8と吸気バルブ9との間におい
て燃料を噴射するインジェクション、11は吸気バルブ
9に当接して配置された吸気カム(カム)、12はこの
吸気カム11を回転駆動する吸気カムシャフト(カムシ
ャフト)である。
【0021】13は排気ポート1cに接続され、排気ガ
スを外気に導出する排気経路、14は排気ポート1cを
閉塞可能に配設された排気バルブ(バルブ)、15は排
気バルブ14に当接して配置された排気カム(カム)、
16はこの排気カム15を回転駆動する排気カムシャフ
ト(カムシャフト)である。
【0022】17はクランクシャフト3に固定された駆
動側プーリ、18は吸気カムシャフト12と同一の回転
軸上に配設された吸気遅延駆動伝達手段(遅延駆動伝達
手段)、19は排気カムシャフト16と同一の回転軸上
に配設された排気遅延駆動伝達手段(遅延駆動伝達手
段)、20はこれら3つ(17,18,19)の間に掛
渡されたタイミングベルト、21はタイミングベルト2
0に押圧されたテンションローラである。
【0023】22はスロットルバルブ8の上流側に配置
されてシリンダ1a内に吸入される空気流量を検出する
吸入空気量センサ、23はスロットルバルブ8のスロッ
トル開度を検出するスロットルセンサ、24は吸気カム
シャフト12に固定配置されたシグナルロータ、25は
シグナルロータ24の回転を検出するカム角センサ、2
6はエンジン本体1内を流れる冷却水の温度を検出する
水温センサ、27はクランクシャフト3のクランク角度
を検出するクランク角センサ、28はバッテリ(電流発
生部材)、29はこれらセンサからのセンサ信号が入力
され、これらのセンサ信号に基づいてインジェクション
10の燃料噴射量、イグナイタ6の点火時期、吸気遅延
駆動伝達手段18や排気遅延駆動伝達手段19のバルブ
タイミングなどを制御する開閉タイミング制御信号を出
力したり、吸気遅延駆動伝達手段18や排気遅延駆動伝
達手段19で発生される回生電流をバッテリに戻す制御
を行なう電子制御ユニット(以下、ECU:制御手段)
である。
【0024】図2はこの発明の実施の形態1による排気
バルブタイミング調整装置およびその周辺部分の構成を
示す概略構成図である。図において、30は排気カムシ
ャフト16に形成されたリングギア、31はこのリング
ギア30の回転位相および回転数を検出してECU29
に出力するポジションセンサ、32は排気カムシャフト
16の一端に一体的に形成された制動軸、33はそれぞ
れ制動軸32の周面上に固定された永久磁石(第一の磁
界発生部材)、34はこの永久磁石33,33の回転軌
道の周囲に微小間隔をもって配設されたコイル(第二の
磁界発生部材)、35はバッテリ28からECU29を
介して供給される制御電流をコイル34に供給したり、
コイル34で発生する回生電流をECU29を介してバ
ッテリ28に戻すコネクタ、36はコイル34およびコ
ネクタ35をエンジン本体1に固定する制動手段本体で
ある。
【0025】なお、上記コイル34と永久磁石33,3
3とで構成されるモータ構造は、直流モータ構造であっ
ても、交流モータ構造であっても、ステッピングモータ
構造であってもよい。また、吸気バルブタイミング調整
装置およびその周辺部分の構成も同様の構成であり説明
を省略する。
【0026】図3はこの発明の実施の形態1による排気
遅延駆動伝達手段およびその周辺部を示す一部切り欠き
概略構成図である。図3(a)は断面図、図3(b)は
正面図である。また、図4はこの発明の実施の形態1に
よる排気遅延駆動伝達手段19の分解斜視図である。こ
れらの図において、37は固定ネジ38により排気カム
シャフト16の他端に固定されて、この排気カムシャフ
ト16と同軸上で回転する略円板形状の固定プレート
(シャフト側回転体)、39は固定プレート37と離間
して配置される略円板形状の補助プレート(シャフト側
回転体)、40は固定プレート37と補助プレート39
との間に配設される略円板形状の可動プレート(駆動側
回転体)、41はこの可動プレート40の周縁部全体に
渡って形成され、タイミングベルト20が掛渡されるタ
イミングプーリ、42は可動プレート40と補助プレー
ト39との間に配設され、板バネを渦巻き形状に巻いて
形成される第一コイルバネ(第一弾性部材、保持部
材)、43は可動プレート40と固定プレート37との
間に配設され、第一コイルバネ42と同一の巻き方向に
て板バネを渦巻き形状に巻いて形成される第二コイルバ
ネ(第二弾性部材、保持部材)、44は補助プレート3
9の可動プレート40側の側面上の外周寄りに配設さ
れ、第一コイルバネ42の外周側端部が懸架される第一
突起部、45は可動プレート40の補助プレート39側
の側面上の内周寄りに配設され、第一コイルバネ42の
内周側端部が懸架される第二突起部、46は可動プレー
ト40の固定プレート37側の側面上の外周寄りに配設
され、第二コイルバネ43の外周側端部が懸架される第
三突起部、47は固定プレート37の可動プレート40
側の側面上の内周寄りに配設され、第二コイルバネ43
の内周側端部が懸架される第四突起部である。
【0027】また、48はそれぞれ可動プレート40の
側面の外周寄りの部位に形成された進角側止め部、49
はそれぞれ各進角側止め部48と離間して、可動プレー
ト40の側面の外周寄りの部位に形成された遅角側止め
部、50はそれぞれ固定プレート37あるいは補助プレ
ート39の外周上に外周側に突出して形成され、各進角
側止め部48と遅角側止め部49との間に配設される軸
側止め部である。
【0028】図5はこの発明の実施の形態1による第一
コイルバネ42と第二コイルバネ43との付勢力の設定
特性の一例を示す特性説明図である。図において、横軸
は遅れ角、縦軸は進角方向への付勢力、Aは第一コイル
バネ42の付勢力特性線、Bは第二コイルバネ43の付
勢力特性線、Cはこれらの付勢力A,Bの合成力特性
線、Dは可動プレート40に対して固定プレート37が
最も進角方向に移動した最進角位置(つまり各軸側止め
部50が各進角側止め部48に当接する位置)、Eは可
動プレート40に対して固定プレート37が最も遅角方
向に移動した最遅角位置(つまり各軸側止め部50が各
遅角側止め部49に当接する位置)、Fは固定プレート
37などを連続的に回転駆動する際に必要となるカムシ
ャフト負荷トルク、Gは所望の制御角に維持/変更する
ために必要となる制動力である。
【0029】つまり、この実施の形態1では、第一コイ
ルバネ42による進角方向への付勢力Aの大きさは第二
コイルバネ43による遅角方向への付勢力Bの大きさよ
りも大きく、且つ、この第一コイルバネ42による進角
方向への付勢力Aと第二コイルバネ43による遅角方向
への付勢力Bとの合成力Cは、可動プレート40に対し
て固定プレート37(補助プレート39)が最も進角方
向に移動した最進角位置Dに移動している状態におい
て、固定プレート37(補助プレート39)を連続的に
回転駆動する際に必要となるカムシャフト負荷トルクF
以上に設定されている。また、第一コイルバネ42およ
び第二コイルバネ43は同一のバネ定数にて形成されて
いるので、合成力Cが最進角位置Dから最遅角位置Eま
で一定の力となり、コイル34が永久磁石33,33と
の相互作用で発生する制動力はほぼ一定の小さな力で位
相の維持/制御が可能となる。
【0030】図6はこの発明の実施の形態1による排気
遅延駆動伝達手段19の初期設定状態を示す説明図であ
る。同図に示すように、排気遅延駆動伝達手段19はそ
の初期状態においてはコイル34と永久磁石33,33
との相互作用で発生する制動力Gが全く作用しないで最
も進角方向の位置Dとなるように設定される。また、吸
気遅延駆動伝達手段18はその初期設定状態においては
制動力Gにより最も遅角方向の位相Eとなるように設定
される。
【0031】次に動作について説明する。このように構
成されたガソリンエンジンシステムでは、図示外のスタ
ータモータなどを用いてクランクシャフト3を回転させ
ることで、吸気カムシャフト12および排気カムシャフ
ト16がタイミングベルト20と共に回転する。そし
て、この吸気カムシャフト12の回転に従って吸気カム
11が吸気バルブ9を押し下げた状態でピストン2が上
死点から降下することにより、吸気経路7からシリンダ
1a内に外気が吸引される。
【0032】そして、ECU29は、吸気バルブ9が開
くタイミングに合わせてインジェクション10から燃料
をシリンダ1a内に噴射させ、その後に吸気バルブ9が
閉じた状態でピストン2が上死点に来るタイミングにあ
わせて点火プラグ4に所望の高電圧を供給して上記燃料
と空気中の酸素とを燃焼させる。これにより、上記シリ
ンダ1a内では燃焼に伴って気体の体積膨張が生じ、こ
の体積膨張による圧力にてピストン2が強制的に押し下
げられるため、クランクシャフト3はこのピストン2の
上下運動を回転運動として取り出すことができる。
【0033】その後、排気カムシャフト16に取り付け
られた排気カム15が、ピストン2が再び下死点から上
昇し始めるタイミングに合わせて排気バルブ14を開
き、これにより燃焼後にシリンダ1a内に残されていた
排気ガスは排気経路13を通って放出される。
【0034】このようにしてエンジンが起動されたら、
ECU29は各種の検出情報に従って、燃料噴射量、点
火電圧、点火タイミング、吸気バルブ9の開閉タイミン
グ、排気バルブ14の開閉タイミングの制御を行う。
【0035】次にこのようなエンジン動作状態における
ECU29の開閉タイミング制御について詳しく説明す
る。図7はこの発明の実施の形態1によるECU29の
バルブの開閉タイミング制御を示すフローチャートであ
る。図において、ST1は吸気側のポジションセンサの
出力および排気側のポジションセンサ31の出力それぞ
れの回転位相を読み取るモータ回転子位相読込ステップ
であり、ST2はエンジン回転数、水温、クランク角、
カム角、スロットル開度、マニホールド圧などのその他
の各種の情報を読込むエンジン制御因子読込ステップで
あり、ST3はこれらの情報に基づいて吸気バルブ9の
開閉タイミングおよび排気バルブ14の開閉タイミング
に対する制御の要否(つまり位相を変化させる制御や、
位相を維持するための制御を行なう必要があるか否か)
を判断する開閉タイミング制御要否判断ステップであ
り、ST4は当該可変制御不要の場合において、コイル
34において回生電流を発生させてその回生電流をバッ
テリ28に戻す回生電流発生ステップであり、ST5は
新たな目標位相が必要である場合に、新たな目標位相を
算出する目標位相算出ステップであり、ST6は目標位
相とポジションセンサから読み取った現在の位相とを比
較し、進角方向への可変制御をすべきか遅角方向への可
変制御をすべきかを判断する実位相比較判定ステップで
あり、ST8は目標位相が実位相よりも遅角方向にある
と判断された場合に、その位相差に応じた期間だけコイ
ル34にバッテリ28からの制御電流を通電し、遅角方
向に位相を制御する遅角励磁制御ステップであり、ST
7は目標位相が実位相よりも進角方向にあると判断され
た場合に、その位相差に応じた期間だけコイル34にバ
ッテリ28からの制御電流を通電し、進角方向に位相を
制御する進角励磁制御ステップである。
【0036】このような制御であれば、ポジションセン
サから読み取った現在の位相が目標位相と異なると判断
される場合においてのみコイル34に制御電流が通電さ
れることになる。
【0037】また、第一コイルバネ42の付勢力の一部
を第二コイルバネ43の付勢力により相殺するようにし
ているので、単に第一コイルバネ42のみを用いた場合
と異なって、可動プレート40に対する固定プレート3
7の相対位置関係をある程度保持することが可能とな
る。
【0038】従って、目標位相に設定されてからの位相
の変化が2つのコイルバネ42,43により抑制される
ので、一旦目標位相に設定された後は、上記第一コイル
バネ42の付勢力と第二コイルバネ43の付勢力との合
成力Cによる位相の戻り量が同一と判断されなくなるま
での間は制御電流を通電する必要がなく、そのような間
欠的な通電により吸気バルブ9の開閉タイミングおよび
排気バルブ14の開閉タイミングをそれぞれ目標とする
進角や遅角に設定し、その位相状態に維持することがで
きる。つまり、次に目標位相が変更されるまでの期間に
おける通電時間を従来に比べて格段に減少させつつ、実
際の位相を所定の目標位相に維持することができる。
【0039】そして、図8はこのような実施の形態1に
よる開閉タイミング制御による吸気バルブ9および排気
バルブ14の開閉タイミングの変化を模式的に示した説
明図である。このように初期状態においては、排気バル
ブ14の開閉タイミングは最も進角方向の位相に設定さ
れていたものが、制御に応じて遅角方向に移動し、吸気
バルブ9の開閉タイミングは最も遅角方向の位相に設定
されていたものが、制御に応じて進角方向に移動するこ
とになる。
【0040】また、上記フローチャートでは、制御電流
の通電を行なわない場合には、コイル34から回生電流
を発生させて、この回生電流によりバッテリ28を充電
するので、これにより上記制御電流による消費電流を相
殺させることができる。
【0041】なお、図9はコイル34で発生した回生電
流をバッテリ28に充電するための一般的な回路構成例
を示す説明図である。図において、51は三相モータの
コイル、52はECU29の一部としてコイル34とバ
ッテリ28との間に設けられ、交番電流を整流する整流
器である。このような回路構成では、コイル34に発生
した電圧が例えばバッテリ28の充電電圧よりも高いと
きにECU29を介して回生電流が流れ、これによりバ
ッテリ28を充電することができる。なお、以上の開閉
タイミング制御はそれが排気側であっても吸気側であっ
ても同様に成立する。
【0042】以上のように、この実施の形態1によれ
ば、排気カムシャフト16とこの排気カムシャフト16
を回転駆動するクランクシャフト3との間の回転駆動力
伝達経路上に配設される排気遅延駆動伝達手段19を、
クランクシャフト3の回転駆動力に従動回転する可動プ
レート40、この可動プレート40と同じ回転軸の周囲
にて上記排気カムシャフト16と共に回転する固定プレ
ート37(補助プレート39)および、可動プレート4
0と固定プレート37(補助プレート39)との相対位
置関係を保持する2つのコイルバネ42,43とで構成
したので、可動プレート40がクランクシャフト3の回
転に従って回転駆動されると、固定プレート37(補助
プレート39)もクランクシャフト3の回転に従って回
転駆動することができる。
【0043】また、ECU29がバッテリ28からの制
御電流を排気側のコイル34に進角励磁側に供給した状
態でクランクシャフト3の回転を開始することにより、
排気側においては可動プレート40に対する固定プレー
ト37(補助プレート39)の回転位相を最も進角側に
初期設定し、且つ、吸気側においては制御電流をコイル
34に遅角励磁側に供給することで可動プレート40に
対する固定プレート37(補助プレート39)の回転位
相を最も遅角側に初期設定しつつ、エンジンを適当に始
動することができる。
【0044】次に、ECU29が、排気側においては制
御電流を遅角励磁側に供給することにより、上記位相角
を遅角側に制御することができ、吸気側においては制御
電流を停止または進角励磁側に供給することにより、上
記位相角を進角側に制御することができ、しかも、これ
らの制御電流の供給/停止制御により可動プレート40
と固定プレート37(補助プレート39)との相対位置
関係を変更することができる。
【0045】更に、2つのコイルバネ42,43を互い
の付勢力を相殺するように配設しているので、例えば第
一コイルバネ42のみを設けた場合などに比べて位相が
進角側にずれてしまうことを抑制することができる。従
って、一定の期間所定の位相に保持することができ、位
相を遅角方向に設定するに当たって、常に制御電流を通
電させることなく、可動プレート40と固定プレート3
7(補助プレート39)との相対位置関係を保持するこ
とができる。従って、定常的に制御電流を流した場合に
おいて問題となっていた、モータの発熱対策によるモー
タの大型化、消費電流の増大などの問題を防止すること
ができる効果が得られる。
【0046】これらの効果に加えて更に、ECU29は
制御電流の通電を停止しているときには、各カムシャフ
ト12,16の回転よりコイル34に発生する回生電流
でバッテリ28を充電しているので、前記各バルブ9,
14の開閉タイミングのために消費される消費電流をこ
れで補うことができ、消費電流を低減したり、エンジン
始動時などにおいて十分な制御電流が得られないような
場合であってもバッテリ28をいためることなく各バル
ブ9,14の開閉タイミングを制御することができる効
果が得られる。
【0047】実施の形態2.図10はこの発明の実施の
形態2による排気遅延駆動伝達手段19およびその周辺
部を示す一部切り欠き概略構成図である。図において、
53は固定プレート37(補助プレート39)と可動プ
レート40との間に充填されたダンパー用オイル(緩衝
部材、保持部材)である。これ以外の構成および動作は
実施の形態1と同様であり説明を省略する。
【0048】そして、この実施の形態2では、固定プレ
ート37(補助プレート39)と可動プレート40との
間にダンパー用オイル53が充填されているので、第一
コイルバネ42の周囲や第二コイルバネ43の周囲にダ
ンパー用オイル53が充填されることになる。従って、
目標位相に従って位相を制御した後、第一コイルバネ4
2および第二コイルバネ43の復元力による位相のずれ
を抑制することができ、実施の形態1よりも長期に渡っ
て可動プレート40と固定プレート37(補助プレート
39)との相対位置関係を保持することが可能となる。
【0049】その結果、目標位相に設定されてからの位
相の変化が実施の形態1と比べても格段に抑制されるの
で、一旦目標位相に設定されてから次に目標位相が変更
されるまでの期間における通電時間を更に減少させつ
つ、実際の位相を所定の目標位相に維持することができ
る。
【0050】以上のように、この実施の形態2によれ
ば、可動プレート40と補助プレート39との間に配設
され、上記可動プレート40を基準として当該補助プレ
ート39に対して各カムシャフト12,16の回転方向
進角側の向きの力を付勢する第一コイルバネ42と、当
該第一コイルバネ42と同一のバネ定数にて形成される
と共に、上記可動プレート40と固定プレート37との
間に配設され、可動プレート40を基準として固定プレ
ート37に対して上記各カムシャフト12,16の回転
方向遅角側の向きの力を付勢する第二コイルバネ43と
を備えるので、可動プレート40に対する固定プレート
37の位相を制御するためにコイル34と永久磁石3
3,33との相互作用で発生させる制動力Gがほぼ一定
となってほぼ一定の制動電流にて位相制御を行なうこと
ができる効果が得られる。
【0051】これと共に、第一コイルバネ42の周囲や
第二コイルバネ43の周囲に充填されるように、固定プ
レート37(補助プレート39)と可動プレート40と
の間にダンパー用オイル53を充填しているので、位相
設定後に上記2つのコイルバネ42,43の復元力によ
る位相のずれを抑制することができ、制御電流を通電し
ない期間を実施の形態1よりも格段に長期化させること
ができ、その分充電時間も長くなるので、より一層の消
費電力の低減効果を期待することができる効果がある。
【0052】実施の形態3.図11はこの発明の実施の
形態3によるECU29のバルブの開閉タイミング制御
を示すフローチャートである。図において、ST9は可
変制御不要である場合に、回生電流の発生制御を行なう
か否かを判断する回生制御要否判断ステップであり、S
T10は回生制御不要と判断された場合にコイル34を
電気的に遮断するモータ回路遮断ステップであり、ST
11は回生制御要と判断された場合と共に、実位相比較
判定ステップST6において目標位相が実位相と一致し
ていると判断された場合において、コイル34において
回生電流を発生させてその回生電流をバッテリ28に戻
す回生電流発生ステップである。これ以外の構成および
動作は実施の形態2と同様であり説明を省略する。
【0053】図12はこの発明の実施の形態3によるE
CU29の回生制御要否判断ステップST9において要
否の判断に利用される回生要否判断用テーブルである。
図において、横軸はエンジンの回転数、縦軸はエンジン
負荷であり、ここではこれらの特性を模式的に低、中、
高に分類している。また、テーブル内の各分割領域は吸
気バルブ9の開閉タイミング制御の目標位相を示してい
る。なお、排気バルブ14の開閉タイミングはこれとは
おおむね逆になる。そして、目標位相が所定期間継続し
て最遅角位置となる場合、および、目標位相が所定期間
継続して最進角位置となる場合には、コイル34からバ
ッテリ28への回生電流戻し制御を行なわない(回生不
要)と判断する。
【0054】従って、加速時などのようにエンジン負荷
が高く且つエンジン回転数が高くないエンジンの動作状
態では、最進角位置を目標位相とする制御が所定期間継
続することとなるので、回生制御によるエンジン負荷の
増大を防止することができ、エンジンの出力を有効に加
速に利用して効果的に加速することができる。また、ア
イドリング時などエンジン回転数が低いクランキング状
態では、最遅角位置を目標位相とする制御が所定期間継
続することとなるので、回生制御によるエンジン負荷の
増大を防止することができ、エンジンの出力を有効に利
用してストールなどの発生を防止することができる。ま
た逆に、定常走行時には、エンジン負荷が適当な値とな
るので、エンジン回転数に拘わらず、エンジン出力の余
力を利用して回生電流を発生させバッテリを効果的に充
電することができる。
【0055】以上のように、この実施の形態3によれ
ば、ECU29が、エンジン回転数が低く且つエンジン
負荷が低いクランキング状態および、エンジン負荷が高
く且つエンジン回転数が高くないときには、コイル34
からバッテリ28への回生電流の戻し制御を行なわない
ので、加速時のエンジン出力ロスやアイドリング時のノ
ッキングなどの発生を防止して安全性を確保しつつ、よ
り一層の消費電力の低減効果を期待することができる効
果が得られる。
【0056】なお、以上の実施の形態では、制動軸32
が排気カムシャフト16と一体に形成された例について
説明したが、例えば図13に示すように、排気カムシャ
フト16の回転に従って当該排気カムシャフト16と同
角速度で回転するシャフト側回転軸54と、制動軸32
と共に回転する制動側回転軸55と、上記シャフト側回
転軸54の回転を回転角速度を低下させて制動側回転軸
55に伝達する減速回転伝達部材56,57とを用い、
制動軸32の回転速度を排気カムシャフト16の回転速
度とは異なる任意の回転速度に設定するように構成して
もよい。なお、吸気側についても同様である。
【0057】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、カム
シャフトとこのカムシャフトを回転駆動する駆動力発生
手段との間の回転駆動力伝達経路上に配設される遅延駆
動伝達手段を、駆動力発生手段の回転駆動力に従動回転
する駆動側回転体、この駆動側回転体と同じ回転軸の周
囲にて上記カムシャフトと共に回転するシャフト側回転
体および、上記駆動側回転体とシャフト側回転体との相
対位置関係を保持する保持部材とで構成すると共に、制
御手段は電流発生部材の電流を上記コイルに通電させる
通電制御により上記制動力の作用期間を制御するように
構成したので、駆動側回転体が駆動力発生手段に従って
回転駆動されると、シャフト側回転体も駆動側回転体の
回転に従って回転駆動することができ、しかも、この回
転状態でコイルに所定の期間通電させることで、駆動側
回転体とシャフト側回転体との相対位置関係を変更し、
且つ、保持部材でその変更後の相対位置関係を保持する
ことができる効果がある。
【0058】従って、シャフト側回転体を遅角方向に設
定するに当たって、常にコイルに通電させることなく、
駆動側回転体とシャフト側回転体との相対位置関係を保
持することができるので、定常的に制御電流を使用する
ことなく、簡易な構成にて排気バルブの開閉タイミング
を調整することができ、定常的にコイルに通電させた場
合において問題となっていた、モータの発熱対策による
モータの大型化、消費電流の増大などの問題を防止する
ことができる効果がある。
【0059】更に、制御手段は通電を停止制御している
期間内において、上記コイルから発生する回生電流を上
記電流発生部材に戻す制御を行なうので、制御電流の電
流消費をこれで補うことができ、消費電流の増大を防止
するに留まらず、消費電流の低減効果をも得ることがで
きる効果がある。
【0060】この発明によれば、カムシャフトとこのカ
ムシャフトを回転駆動する駆動力発生手段との間の回転
駆動力伝達経路上に配設される遅延駆動伝達手段を、駆
動力発生手段の回転駆動力に従動回転する駆動側回転
体、この駆動側回転体と同じ回転軸の周囲にて上記カム
シャフトと共に回転するシャフト側回転体および、上記
駆動側回転体とシャフト側回転体との相対位置関係を保
持する保持部材とで構成すると共に、制御手段は電流発
生部材の電流を第一の磁界発生部材あるいは第二の磁界
発生部材に通電させる通電制御により上記制動力もしく
は駆動力の作用方向と作用期間を制御するように構成し
たので、駆動側回転体が駆動力発生手段に従って回転駆
動されると、シャフト側回転体も駆動側回転体の回転に
従って回転駆動することができ、しかも、この回転状態
でコイルに所定の期間通電させることで、駆動側回転体
とシャフト側回転体との相対位置関係を変更し、且つ、
保持部材でその変更後の相対位置関係を保持することが
できる効果がある。
【0061】従って、シャフト側回転体を遅角方向に設
定するに当たって、常に第一の磁界発生部材あるいは第
二の磁界発生部材に通電させることなく、駆動側回転体
とシャフト側回転体との相対位置関係を保持することが
できるので、定常的に制御電流を使用することなく、簡
易な構成にて排気バルブの開閉タイミングを調整するこ
とができ、定常的にコイルに通電させた場合において問
題となっていた、モータの発熱対策によるモータの大型
化、消費電流の増大などの問題を防止することができる
効果がある。
【0062】更に、制御手段は通電を停止制御している
期間内において、第一の磁界発生部材と第二の磁界発生
部材との相対的な回転により発生する回生電流を電流発
生部材に戻す制御を行なうので、制御電流の電流消費を
これで補うことができ、消費電流の増大を防止するに留
まらず、消費電流の低減効果をも得ることができる効果
がある。
【0063】この発明によれば、保持部材が、駆動側回
転体とシャフト側回転体との間に配設され、上記駆動側
回転体を基準として当該シャフト側回転体に対してカム
シャフトの回転方向進角側の向きの力を付勢する第一弾
性部材と、当該第一弾性部材と同一のバネ定数にて形成
されると共に、上記駆動側回転体と上記シャフト側回転
体との間に配設され、上記駆動側回転体を基準として当
該シャフト側回転体に対して上記カムシャフトの回転方
向遅角側の向きの力を付勢する第二弾性部材とを備える
ので、駆動側回転体に対するシャフト側回転体の位相を
制御するために必要なトルクがほぼ一定となって制御電
流もほぼ一定の電流にて位相制御を行なうことができる
効果がある。
【0064】これと共に、保持部材が、上記駆動側回転
体に対する上記シャフト側回転体の相対位置の変化を緩
衝する緩衝部材をも備えているので、位置決め後に上記
2つの弾性部材の合成力による位相のずれを抑制するこ
とができ、制御電流を通電しない期間を格段に長期化さ
せることができ、より一層の消費電力の低減効果を期待
することができる効果がある。
【0065】この発明によれば、制御手段が、例えばエ
ンジン負荷が低いクランキング状態および、エンジン負
荷が高く且つエンジン回転数が高くないときなどのよう
にエンジンの動作状態に応じて電流発生部材への回生電
流戻し制御を行なわないので、加速時のエンジン出力ロ
スやアイドリング時のノッキングなどの発生を防止しつ
つ、より一層の消費電力の低減効果を期待することがで
きる効果がある。
【0066】この発明によれば、制御手段が、駆動力発
生手段の回転に対するカムシャフトの回転の位相が最も
遅くなる状態への制御が所定期間続く場合、および、駆
動力発生手段の回転に対するカムシャフトの回転の位相
が最も進む状態への制御が所定期間続く場合には、電流
発生部材への回生電流戻し制御を行なわないので、最遅
角位置や最進角位置が目標位相となる加速時やアイドリ
ング時においては、エンジンの出力を有効に利用するこ
とができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1によるバルブタイミ
ング調整装置を適用したガソリンエンジンシステムを示
す概略的な一部切り欠き断面図である。
【図2】 この発明の実施の形態1による排気バルブタ
イミング調整装置およびその周辺部分の構成を示す概略
構成図である。
【図3】 この発明の実施の形態1による排気遅延駆動
伝達手段およびその周辺部を示す一部切り欠き概略構成
図である(図3(a)は断面図、図3(b)は正面
図)。
【図4】 この発明の実施の形態1による排気遅延駆動
伝達手段の分解斜視図である。
【図5】 この発明の実施の形態1による第一コイルバ
ネと第二コイルバネとの付勢力の設定特性の一例を示す
特性説明図である。
【図6】 この発明の実施の形態1による排気遅延駆動
伝達手段の初期設定状態を示す説明図である。
【図7】 この発明の実施の形態1によるECUのバル
ブの開閉タイミング制御を示すフローチャートである。
【図8】 この実施の形態1による開閉タイミング制御
による吸気バルブおよび排気バルブの開閉タイミングの
変化を模式的に示した説明図である。
【図9】 この実施の形態1においてコイルで発生した
回生電流をバッテリに充電するための一般的な回路構成
例を示す説明図である。
【図10】 この発明の実施の形態2による排気遅延駆
動伝達手段およびその周辺部を示す一部切り欠き概略構
成図である。
【図11】 この発明の実施の形態3によるECUのバ
ルブの開閉タイミング制御を示すフローチャートであ
る。
【図12】 この発明の実施の形態3によるECUの回
生制御要否判断ステップST9において要否の判断に利
用される回生要否判断用テーブルである。
【図13】 この発明における排気バルブタイミング調
整装置の変形例を示す概略構成図である。
【図14】 従来のバルブタイミング調整装置および周
辺部分を示す概略構成図である。
【図15】 従来のバルブタイミング調整装置における
アクチュエータの内部構造を示す断面図である。
【図16】 従来の他のバルブタイミング調整装置を排
気バルブの制御に利用した場合の構成を示す概略構成図
である。
【図17】 従来の他のバルブタイミング調整装置にお
ける遅延駆動伝達手段を示す正面図である。
【符号の説明】
3 クランクシャフト(駆動力発生手段)、9 吸気バ
ルブ(バルブ)、11吸気カム(カム)、12 吸気カ
ムシャフト(カムシャフト)、14 排気バルブ(バル
ブ)、15 排気カム(カム)、16 排気カムシャフ
ト(カムシャフト)、18 吸気遅延駆動伝達手段(遅
延駆動伝達手段)、19 排気遅延駆動伝達手段(遅延
駆動伝達手段)、28 バッテリ(電流発生部材)、2
9 電子制御ユニット(ECU:制御手段)、32 制
動軸、33 永久磁石(第一の磁界発生部材)、34
コイル(第二の磁界発生部材)、36 制動手段、37
固定プレート(シャフト側回転体)、39 補助プレー
ト(シャフト側回転体)、40 可動プレート(駆動側
回転体)、42 第一コイルバネ(第一弾性部材、保持
部材)、43 第二コイルバネ(第二弾性部材、保持部
材)、53 ダンパー用オイル(緩衝部材、保持部
材)。
フロントページの続き (72)発明者 上野 力 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 3G016 AA08 AA19 BA22 BA28 BA38 CA13 CA27 CA48 DA01 DA23 GA00 GA07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バルブを開閉させるカムを有し、一方向
    に回転するカムシャフトと、 上記カムシャフトとこの
    カムシャフトを回転駆動する駆動力発生手段との間にお
    ける回転駆動力伝達経路上に配設され、上記駆動力発生
    手段の回転駆動力に従動回転する駆動側回転体、この駆
    動側回転体と同じ回転軸の周囲にて上記カムシャフトと
    共に回転するシャフト側回転体および、上記駆動側回転
    体とシャフト側回転体との相対位置関係を保持する保持
    部材とを有する遅延駆動伝達手段と、 上記カムシャフトと共に回転する制動軸、この制動軸と
    ともに回転する磁界発生部材および、この磁界発生部材
    の近傍に配設されたコイルを有し、このコイルが発生す
    る磁界により上記制動軸に対して制動力を作用させる制
    動手段と、 電流を発生する電流発生部材と、 上記電流発生部材の電流を上記コイルに通電させる通電
    制御により上記制動力の作用期間を制御すると共に、こ
    の通電を停止制御している期間内において、上記コイル
    から発生する回生電流を上記電流発生部材に戻す制御を
    行なう制御手段と を備えたバルブタイミング調整装
    置。
  2. 【請求項2】 バルブを開閉させるカムを有し、一方向
    に回転するカムシャフトと、 上記カムシャフトとこの
    カムシャフトを回転駆動する駆動力発生手段との間にお
    ける回転駆動力伝達経路上に配設され、上記駆動力発生
    手段の回転駆動力に従動回転する駆動側回転体、この駆
    動側回転体と同じ回転軸の周囲にて上記カムシャフトと
    共に回転するシャフト側回転体および、上記駆動側回転
    体とシャフト側回転体との相対位置関係を保持する保持
    部材とを有する遅延駆動伝達手段と、 上記カムシャフトと共に回転する制動軸、この制動軸と
    共に回転する第一の磁界発生部材および、この磁界発生
    部材の近傍に配設される第二の磁界発生部材を有し、こ
    の第一の磁界発生部材と第二の磁界発生部材との磁気的
    な相互作用により上記制動軸に対して制動力もしくは駆
    動力を作用させる制動手段と、 電流を発生する電流発生部材と、 上記電流発生部材の電流を上記第一の磁界発生部材ある
    いは上記第二の磁界発生部材に通電させる通電制御によ
    り上記制動力もしくは駆動力の作用方向と作用期間を制
    御すると共に、この通電を停止制御している期間内にお
    いて、上記第一の磁界発生部材と上記第二の磁界発生部
    材との相対的な回転により発生する回生電流を上記電流
    発生部材に戻す制御を行なう制御手段と を備えたバル
    ブタイミング調整装置。
  3. 【請求項3】 保持部材は、駆動側回転体とシャフト側
    回転体との間に配設され、上記駆動側回転体を基準とし
    て当該シャフト側回転体に対してカムシャフトの回転方
    向進角側の向きの力を付勢する第一弾性部材と、当該第
    一弾性部材と同一のバネ定数にて形成されるとともに、
    上記駆動側回転体と上記シャフト側回転体との間に配設
    され、上記駆動側回転体を基準として当該シャフト側回
    転体に対して上記カムシャフトの回転方向遅角側の向き
    の力を付勢する第二弾性部材と、上記駆動側回転体に対
    する上記シャフト側回転体の相対位置の変化を緩衝する
    緩衝部材とからなることを特徴とする請求項1または請
    求項2記載のバルブタイミング調整装置。
  4. 【請求項4】 制御手段は、エンジンの動作状態に応じ
    て電流発生部材への回生電流戻し制御を行なわないこと
    を特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1
    項記載のバルブタイミング調整装置。
  5. 【請求項5】 制御手段は、駆動力発生手段の回転に対
    するカムシャフトの回転の位相が最も遅くなる状態への
    制御が所定期間続く場合、および、駆動力発生手段の回
    転に対するカムシャフトの回転の位相が最も進む状態へ
    の制御が所定期間続く場合には、電流発生部材への回生
    電流戻し制御を行なわないことを特徴とする請求項1か
    ら請求項3のうちのいずれか1項記載のバルブタイミン
    グ調整装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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