JP2000162566A - 磁気光学効果増大素子およびその製造方法 - Google Patents

磁気光学効果増大素子およびその製造方法

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JP2000162566A
JP2000162566A JP10336613A JP33661398A JP2000162566A JP 2000162566 A JP2000162566 A JP 2000162566A JP 10336613 A JP10336613 A JP 10336613A JP 33661398 A JP33661398 A JP 33661398A JP 2000162566 A JP2000162566 A JP 2000162566A
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magneto
ferrite
dielectric
optical effect
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Masanori Abe
正紀 阿部
Mitsuteru Inoue
光輝 井上
Jinko Kitamoto
仁孝 北本
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Tokyo Institute of Technology NUC
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フェライトめっき法で高温加熱せずにフェラ
イト膜を作製することにより、磁気光学効果増大率を向
上させた磁気光学効果増大素子を提供する。 【解決手段】 基板上に2種類の誘電体膜4,5,6,
10,11,12を真空蒸着法またはスパッタ法により
交互に積層して第1の誘電体多層反射膜1を作製し、該
誘電体多層反射膜1上にフェライト膜3をフェライトめ
っき法により20℃以上100℃以下の温度で作製し、
該フェライト膜3上に2種類の誘電体膜7,8,9,1
3,14,15を真空蒸着法またはスパッタ法により交
互に積層して第2の誘電体多層反射膜2を作製すること
により、ファブリペロー共鳴条件を満足させるように構
成したサンドイッチ構造の磁気光学効果増大素子を製造
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、「ファブリペロー
共鳴条件」や「乱れた積層構造をもつ多層膜中の光局在
効果が発生する条件」を満足させるように構成した磁気
光学効果増大素子の磁気光学効果増大率を向上させる製
造方法および、該製造方法により製造される磁気光学効
果増大素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気光学効果増大素子の従来例として
は、例えば図1および図2に示す構造のものが提案され
ている。図1に示す従来例(以下、従来例1という)
は、本願発明者が電気学会マグネティックス研究会資
料;MAG-96-168 P1-10(平成8年11月 埼玉大学)に
論文「光局在による磁気光学ファラデー効果の巨大エン
ハンストメント」(以下、論文1という)として発表し
たものであり、フェライト膜の磁気光学効果を増大させ
るために、2組の誘電体多層反射膜1,2の間にフェラ
イト膜3を挟んだサンドイッチ構造として構成されてい
る。図2に示す従来例(以下、従来例2という)は、本
願発明者が日本応用磁気学会誌21,P187-P192(1997)に、
論文「乱れた積層構造をもつ多層薄膜の光局在化による
磁気光学ファラデー効果の巨大エンハンストメント」
(以下、論文2という)として発表したものであり、厚
さを異ならせたフェライト膜および誘電体膜を交互に積
層した多層膜構造として構成されている。
【0003】従来例1では、誘電体多層反射膜1,2を
それぞれ、屈折率の異なる2種類の誘電体膜である誘電
体膜(I);4,5,6,7,8,9および誘電体膜
(II);10,11,12,13,14,15を交互に
堆積して作製する。上記2種類の誘電体膜(I)および
(II)としてはSiO2 ,Ta25 等の酸化物誘電体
膜を用い、この酸化物誘電体膜は300℃程度以下の温
度で、真空蒸着法、スパッタ法等によって作製する。そ
の間、従来例1では、2種類の誘電体膜および1種類の
フェライト膜の厚さを調節して「ファブリペロー共鳴条
件」を満足させることによって磁気光学効果を増大させ
ている。
【0004】一方、従来例2では、1種類の誘電体膜1
6,17,18,19、20および1種類のフェライト
膜21,22,23,24,25,26を交互に堆積し
て多層膜構造を作製する。上記1種類の誘電体膜として
はSiO2 もしくはTa2 5 等の酸化物誘電体膜を用
い、この酸化物誘電体膜は300℃程度以下の温度で、
真空蒸着法、スパッタ法等によって作製する。その間、
従来例2では、各誘電体膜および各フェライト膜の厚さ
を調節して「乱れた積層構造をもつ多層膜中の光局在効
果が発生する条件」を満足させることによって磁気光学
効果を増大させている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】フェライト膜を強磁性
を示す結晶質とするためには、900℃程度以上に昇温
する必要があるが、例えば500℃程度に昇温した場合
であっても、酸化物誘電体膜同士および酸化物誘電体膜
とフェライト膜との間で金属イオンの拡散が起こるた
め、酸化物誘電体膜自体および酸化物誘電体膜とフェラ
イト膜との間の磁気光学効果増大現象が著しく低減され
てしまう。したがって、上記のようにして500℃程度
以上に昇温してフェライト膜を作製した場合には、磁気
光学効果増大素子の滋気光学効果増大率が著しく低減さ
れてしまう。
【0006】本発明は、上記問題に着目してなされたも
のであり、磁気光学効果増大率を向上させるようにした
磁気光学効果増大素子およびその製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的のため、請求項
1に記載の第1発明は、第1および第2の誘電体多層反
射膜間にフェライト膜を挟んでサンドイッチ構造とする
とともに、ファブリペロー共鳴条件を満足させるように
構成した磁気光学効果増大素子において、前記フェライ
ト膜をフェライトめっき法により20℃以上100℃以
下の温度で作製するようにしたことを特徴とする。
【0008】上記目的のため、請求項2に記載の第2発
明は、誘電体膜およびフェライト膜を順次交互に積層さ
せて多層膜構造とするとともに、乱れた積層構造をもつ
多層膜中の光局在効果が発生する条件を満足させるよう
に構成した磁気光学効果増大素子において、前記フェラ
イト膜をフェライトめっき法により20℃以上100℃
以下の温度で作製するようにしたことを特徴とする。
【0009】上記目的のため、請求項3に記載の第3発
明は、基板上に2種類の誘電体膜を真空蒸着法またはス
パッタ法により交互に積層して第1の誘電体多層反射膜
を作製し、該第1の誘電体多層膜反射膜上にフェライト
膜を作製し、該フェライト膜上に2種類の誘電体膜を真
空蒸着法またはスパッタ法により交互に積層して第2の
誘電体多層反射膜を作製してサンドイッチ構造とすると
ともに、ファブリペロー共鳴条件を満足させるように磁
気光学効果増大素子を製造するに際し、前記フェライト
膜をフェライトめっき法により20℃以上100℃以下
の温度で作製することを特徴とする。
【0010】上記目的のため、請求項4に記載の第4発
明は、基板上にフェライト膜および誘電体膜を順次交互
に積層させて多層膜構造を作製するとともに、乱れた積
層構造をもつ多層膜中の光局在効果が発生する条件を満
足させるように磁気光学効果増大素子を製造するに際
し、前記誘電体膜を真空蒸着法またはスパッタ法により
作製するとともに、前記フェライト膜をフェライトめっ
き法により20℃以上100℃以下の温度で作製するこ
とを特徴とする。
【0011】
【発明の効果】請求項1によれば、ファブリペロー共鳴
条件を満足させるように、第1および第2の誘電体多層
反射膜間にフェライト膜を挟んたサンドイッチ構造に構
成した磁気光学効果増大素子の、フェライト膜は、フェ
ライトめっき法により20℃以上100℃以下の温度で
作製するから、誘電体多層反射膜自体ならびに誘電体多
層反射膜およびフェライト膜間の磁気光学効果増大率の
高温加熱に起因する劣化は生じない。したがって、高い
磁気光学効果増大率が確保されることになり、高い性能
指数が得られる磁気光学効果増大素子を実現することが
できる。
【0012】請求項2によれば、乱れた積層構造をもつ
多層膜中の光局在効果が発生する条件を満足させるよう
に、誘電体膜およびフェライト膜を順次交互に積層させ
て多層膜構造に構成した磁気光学効果増大素子の、フェ
ライト膜は、フェライトめっき法により20℃以上10
0℃以下の温度で作製するから、誘電体多層反射膜自体
ならびに誘電体多層反射膜およびフェライト膜間の磁気
光学効果増大率の高温加熱に起因する劣化は生じない。
したがって、高い磁気光学効果増大率が確保されること
になり、高い性能指数が得られる磁気光学効果増大素子
を実現することができる。
【0013】請求項3によれば、2種類の誘電体膜を真
空蒸着法またはスパッタ法により交互に積層して構成し
た第1および第2の誘電体多層反射膜間にフェライト膜
を作製して、ファブリペロー共鳴条件を満足させるよう
に磁気光学効果増大素子を作製する際には、該フェライ
ト膜をフェライトめっき法により20℃以上100℃以
下の温度で作製するから、誘電体多層反射膜自体ならび
に誘電体多層反射膜およびフェライト膜間の磁気光学効
果増大率の高温加熱に起因する劣化は生じない。したが
って、高い磁気光学効果増大率が確保されることにな
り、高い性能指数が得られる磁気光学効果増大素子の製
造方法を実現することができる。
【0014】請求項4によれば、基板上にフェライト膜
および誘電体膜を順次交互に積層させて多層膜構造を作
製して、乱れた積層構造をもつ多層膜中の光局在効果が
発生する条件を満足させるように磁気光学効果増大素子
を製造する際には、前記フェライト膜をフェライトめっ
き法により20℃以上100℃以下の温度で作製するか
ら、誘電体多層反射膜自体ならびに誘電体多層反射膜お
よびフェライト膜間の磁気光学効果増大率の高温加熱に
起因する劣化は生じない。したがって、高い磁気光学効
果増大率が確保されることになり、高い性能指数が得ら
れる磁気光学効果増大素子の製造方法を実現することが
できる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき詳細に説明する。図1は本発明の第1実施形態
の磁気光学効果増大素子の構造を示す断面図である。本
実施形態の磁気光学効果増大素子は、原理的には従来例
1と同一の構造を採用しており、第1の誘電体多層反射
膜1および第2の誘電体多層反射膜2間にフェライト膜
3を挟んだサンドイッチ構造として構成されている。
【0016】本実施形態においては、誘電体多層反射膜
1,2をそれぞれ、屈折率の異なる2種類の誘電体膜で
ある誘電体膜(I);4,5,6,7,8,9および誘
電体膜(II);10,11,12,13,14,15を
交互に堆積して作製する。上記2種類の誘電体膜(I)
および(II)としてはSiO2 ,Ta25 等の酸化物
誘電体膜を用い、この酸化物誘電体膜は300℃程度以
下の温度で、真空蒸着法、スパッタ法等によって作製す
る。その間、本実施形態では、2種類の誘電体膜および
1種類のフェライト膜の厚さを調節して「ファブリペロ
ー共鳴条件」を満足させることによって磁気光学効果を
増大させている(なお、「ファブリペロー共鳴条件を満
足させる膜厚調整方法」に関しては、上述した論文1を
参照のこと)。
【0017】次に、本実施形態の磁気光学効果増大素子
の製造方法を説明する。まず、図示しない基板上に2種
類の誘電体膜(I)および(II)を真空蒸着法、スパッ
タ法等により300℃程度以下の温度で交互に積層して
第1の誘電体多層反射膜1を作製する。次に、第1の誘
電体多層反射膜1上に、フェライトめっき法により20
℃以上100℃以下の水溶液中でフェライト膜3を堆積
させる(ここで、温度範囲を20℃以上100℃以下に
限定した理由は、水溶液温度が20℃未満の場合には、
めっき速度が著しく低下し、100℃以上では水の蒸発
を抑えるためのオートクレーブ容器が必要とされ(煩雑
化され)るからである。その後、フェライト膜3上に、
2種類の誘電体膜(I)および(II)を真空蒸着法、ス
パッタ法等により交互に積層して第2の誘電体多層反射
膜2を作製して、サンドイッチ構造とする。このような
一連の製造工程の間、ファブリペロー共鳴条件を満足さ
せるように磁気光学効果増大素子の各構成要素の膜厚を
コントロールするものとする。なお、上記製造方法で
は、第1の誘電体多層反射膜1上にフェライト膜3を堆
積させた後に第2の誘電体多層反射膜2を作製したが、
代わりに、第1の誘電体多層膜反射膜1および第2の誘
電体多層反射膜2を所定の隙間が確保されるように予め
作製しておき、その後、誘電体多層反射膜1,2の隙間
にフェライトめっき法により20℃以上100℃以下の
水溶液中でフェライト膜3を堆積させてもよい。
【0018】本実施形態の磁気光学効果増大素子は、フ
ェライト膜作製時に高温加熱を行わない上記製造方法に
より製造されるため、「ファブリペロ−共鳴」により、
理論上、光吸収を増大させたり反射率を減少させること
なく磁気光学効果を無限大に高めることができ、諸々の
原因による理論からのずれを考慮しても、磁気光学性能
指数が著しく増大する。したがって、本実施形態の磁気
光学効果増大素子は、磁気光学効果を利用した各種の記
憶機器、計測機器、制御機器等(具体例としては、光磁
気ディスク、電流センサ、磁界センサ、ファラデー回転
素子、磁気光学静磁波素子、光ディスプレー素子、光滋
気偏向器、光スイッチ、光アイソレータ、光サーキュレ
ータ等がある)に応用した場合、それらの性能を飛躍的
に高めることができる。
【0019】図2は本発明の第2実施形態の磁気光学効
果増大素子の構造を示す断面図である。本実施形態の磁
気光学効果増大素子は、原理的には従来例2と同一の構
造を採用しており、フェライト膜および誘電体膜を順次
交互に積層させた多層膜構造として構成されている。
【0020】本実施形態においては、1種類の誘電体膜
16,17,18,19、20および1種類のフェライ
ト膜21,22,23,24,25,26を交互に堆積
して合計11層の多層膜構造を作製する。上記1種類の
誘電体膜としてはSiO2 もしくはTa25 等の酸化
物誘電体膜を用い、この酸化物誘電体膜は300℃程度
以下の温度で、真空蒸着法、スパッタ法等によって作製
する。上記一連の工程の間、本実施形態では、各誘電体
膜および各フェライト膜の厚さを調節して「乱れた積層
構造をもつ多層膜中の光局在効果が発生する条件」を満
足させることによって磁気光学効果を増大させている
(なお、上記乱れた積層構造をもつ多層膜中の光局在効
果が発生する条件を満足させる膜厚調整方法」に関して
は、上述した論文2を参照のこと)。
【0021】次に、本実施形態の磁気光学効果増大素子
の製造方法を説明する。まず、フェライトめっき法によ
り20℃以上100℃以下の水溶液中でフェライト膜2
1を図示しない基板上に堆積させる。次に、フェライト
膜21上に誘電体膜16を真空蒸着法またはスパッタ法
により300℃程度以下の温度で作製する。以下同様に
して、フェライト膜22,誘電体膜17,フェライト膜
23,誘電体膜18,・・・,誘電体膜20、フェライ
ト膜26を順次交互に積層させて合計11層の多層膜構
造を作製する。このような一連の製造工程の間、「乱れ
た積層構造をもつ多層膜中の光局在効果が発生する条
件」を満足させるように磁気光学効果増大素子の各構成
要素の膜厚をコントロールするものとする。
【0022】本実施形態の磁気光学効果増大素子は、フ
ェライト膜作製時に高温加熱を行わない上記製造方法に
より製造されるため、「乱れた積層構造をもつ多層膜中
の光局在効果」により、理論上、光吸収を増大させたり
反射率を減少させることなく磁気光学効果を従来例2の
数十倍に高めることができ、諸々の原因による理論から
のずれを考慮しても、磁気光学性能指数が著しく増大す
る。したがって、本実施形態の磁気光学効果増大素子
は、磁気光学効果を利用した各種の記憶機器、計測機
器、制御機器等(具体例としては、光磁気ディスク、電
流センサ、磁界センサ、ファラデー回転素子、磁気光学
静磁波素子、光ディスプレー素子、光滋気偏向器、光ス
イッチ、光アイソレータ、光サーキュレータ等がある)
に応用した場合、それらの性能を飛躍的に高めることが
できる。
【0023】なお、上記各実施形態の磁気光学効果増大
素子は、本願発明者が提案した従来例1,2の磁気光学
効果増大素子に、本願発明者が「IEEE Trans.Magn.MAG-
23 P3432-3434(1987) 」に論文「Plating of ferrite f
ilm on 8"disc at 70 ℃ by"spray-spin-coating" meth
od, M.Abe, Y.Tamaura, M.Oishi, T.Saitoh, T.Itohand
M.Gomi 」(以下、論文3という)として発表したフェ
ライトめっき法を適用することにより実現可能と考えら
れる。しかしながら、実際に上記各実施形態の磁気光学
効果増大素子を製造するためには、「従来例1,2の磁
気光学効果増大素子にフェライトめっき法を適用する」
という着想だけでは不十分であり、(1)本願発明者が
発表した論文1,2の理論に基づき磁気光学効果増大素
子の構造および該磁気光学効果増大素子を構成する多層
膜の膜厚を決定し、(2)製造される磁気光学効果増大
素子が実際に前記構造および膜厚を有するものとなるよ
うに、膜厚を正確かつ精密にコントロールしながら多層
膜の各々の膜を作製する必要がある。これらの要件を満
足させることは、以前から「磁気光学効果増大素子」お
よび「フェライトめっき法」の研究開発を続け、上記
(1),(2)の双方に関して高度な技術力を有する本
願発明者によって、初めて実現されたものである。
【0024】
【実施例】(実施例1)図1に示す構造において、共振
(共鳴)波長をλR =520nmに設定し、2種類の誘
電体膜SiO2 (屈折率n=1.4)およびTa25
(n=2.1)を合計6層積層した誘電体多層完全反射
膜1,2で、Co0.5 Fe1.5 4 なる組成のCoフェ
ライト膜(n=2.0)を挟んでサンドイッチ構造にし
たファブリペロー薄膜光共振素子の各構造パラメータを
計算した。その結果、SiO2 ,Ta25 ,Coフェ
ライト膜の厚さはそれぞれ、dS =93nm、dT =6
2nm、dC =130nmという結果を得た(表1を参
照のこと)。
【0025】
【表1】
【0026】この構造を実現するため、まず、BK7ガ
ラス基板(30mmφ×1mm)上に真空蒸着法により
SiO2 膜およびTa25 膜を交互に6層(合計12
層)堆積させて、誘電体多層完全反射膜1を形成した。
この上にスピンスブレーフェライトめっき法により、反
応液(FeCl2 +CoCl2 )および酸化液(NaN
2 +CH3 COONH4 )を用いて、温度90℃、p
H=6.9でCoフェライト膜3を堆積した。さらに、
このフェライト膜3上に、上記と全く同一構造の誘電体
多層完全反射膜2を真空蒸着法で形成した。なお、「ス
ピンスブレーフェライトめっき法」は、脱気水を用いる
通常のフェライトめっき法の「Fe2+イオンがFe3+
オンとなって水溶液中に沈殿して膜質の劣化を招く」不
具合を改善したものであり、その詳細に関しては、上記
論文3および「東京工業大学 博士論文(工学)」(発
表日;平成7年6月20日、題名;「高速・低温フェラ
イトメッキ法の開発とその応用)を参照のこと)。
【0027】この薄膜光共振素子における光透過率Tの
スペクトルは図3(a)に示すようになり、設計通り、
波長λR =520nmをピ−クとする共振特性(ピーク
値T=24%、半値幅△λ=7nm)を示している。こ
の共振波長(λR =520nm)でファラデー回転角も
図3(b)のように共振ピーク特性を示し、ピーク値は
θF =11.5°であった。また、見かけ上の磁気光学
性能指数はθF /{ln(1/T)}=11.5deg
であった。なお、堆積したCoフェライト膜のみにより
構成した素子におけるファラデー回転角はθF =1.3
degであり、性能指数はθF /dα=5degである
から、本実施形態の薄膜光共振素子は、Coフェライト
膜のみの構成に比べてファラデー回転角は8.8倍にも
増大し、性能指数は1.6倍になった。
【0028】(実施例2)図1に示す構造において、共
振波長をλR =560nmに変更したこと以外は実施例
1と同一設定にしたファブリペロー薄膜光共振素子の各
構造パラメータを計算したところ、dS =100nm、
T =67nm、dC =140nmという結果を得た
(表2を参照のこと)。
【0029】
【表2】
【0030】上記のような厚さのSiO2 膜、Ta2
5 膜およびCoフェライト膜を、実施例1と同様の方法
で堆積して薄膜光共振素子を作製した。この薄膜光共振
素子は、図4(a)に示した通り、λR =560nmで
共振特性を示し、ピークで、光透過率T=24%、ファ
ラデー回転角θF =11.6°が得られた。この場合、
Coフェライト膜のみの構成に対し、ファラデー回転角
の増大率は8.3倍であり、性能指数の増大率は1.6
倍であった。
【0031】(実施例3)図2に示す構造において、全
体の膜厚を5μmに設定し、それを16分割した各層
に、SiO2 誘電体膜(以下、Sという)もしくは組成
Co0.5 Fe1.5 4 なる組成のフェライト膜(以下、
Cという)を配列する全ての組合わせを検討し、かつ単
独のS層の厚さdS および単独のC層の厚さdC の比を
変化させて、波長λR =0.83μmでファラデー回転
角が増大する組合わせを計算機シミュレーションによっ
て求めた。その結果、SiO2 誘電体膜(S)、Coフ
ェライト膜(C)の単独層の厚さをdS =0.34μ
m、dC =0.28μmとし、これらを(CSSCCS
CSSCCSCSSC)の順序で配列した場合にファラ
デー回転角が著しく増大することが判明した。すなわ
ち、C(0.28μm)S(0.34μm×2)C
(0.28μm×2)S(0.34μm)C(0.28
μm)S(0.34μm×2)C(0.28μm×2)
S(0.34μm)C(0.28μm)S(0.34μ
m×2)C(0.28μm)のように、それぞれ厚さの
異なるCoフェライト膜およびSiO2 膜を交互に合計
11層重ね合わせることによって、ファラデー回転角の
増大が実現できることが分かった(表3を参照のこ
と)。
【0032】
【表3】
【0033】そこで、実施例1と同様のフェライトめっ
き法および真空蒸着法で上記11層の交互堆積膜を作製
した。その結果、図5(b)に示すように、波長λR
0.83μmにおいてファラデー回転角が鋭い極大ピー
ク(極大値θF =−1.3deg)を示し、透過率も図
5(a)に示すように鋭い極大ピーク(極大値54%)
を示した。さらにこの共振波長よりも長波長側で数個所
のサテライトピークも観測された。この場合、Coフェ
ライト膜のみの構成に対し、波長λR =0.83μmに
おけるファラデー回転角の増大率は4.5倍であり、磁
気光学性能指数の増大率は1.4倍であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の磁気光学効果増大素子
および従来例の磁気光学効果増大素子の構造を示す断面
図である。
【図2】本発明の第2実施形態の磁気光学効果増大素子
および従来例の磁気光学効果増大素子の構造を示す断面
図である。
【図3】(a),(b)はそれぞれ、図1の構造を有す
る実施例1の磁気光学効果増大素子の光透過率スペクト
ルおよびファラデー回転角の測定結果を示す図である。
【図4】(a),(b)はそれぞれ、図1の構造を有す
る実施例2の磁気光学効果増大素子の光透過率スペクト
ルおよびファラデー回転角の測定結果を示す図である。
【図5】(a),(b)はそれぞれ、図2の構造を有す
る実施例3の磁気光学効果増大素子の光透過率スペクト
ルおよびファラデー回転角の測定結果を示す図である。
【符号の説明】
1 第1の誘電体多層反射膜 2 第2の誘電体多層反射膜 3 フェライト膜 4〜9 誘電体膜(I) 5〜15 誘電体膜(II) 16〜20 誘電体膜 21〜26 フェライト膜
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 10/20 H01F 10/20 10/26 10/26 Fターム(参考) 2G017 AA01 AD11 AD14 2H048 GA07 GA13 GA33 GA48 GA51 2H079 AA03 AA13 BA02 CA06 CA08 DA12 EA12 HA16 KA14 KA20 5D075 EE03 FF07 GG01 GG02 GG03 GG16 5E049 AB04 AB09 AC05 BA16 BA22 DB04 DB14

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1および第2の誘電体多層反射膜間に
    フェライト膜を挟んでサンドイッチ構造とするととも
    に、ファブリペロー共鳴条件を満足させるように構成し
    た磁気光学効果増大素子において、 前記フェライト膜をフェライトめっき法により20℃以
    上100℃以下の温度で作製するようにしたことを特徴
    とする磁気光学効果増大素子。
  2. 【請求項2】 誘電体膜およびフェライト膜を順次交互
    に積層させて多層膜構造とするとともに、乱れた積層構
    造をもつ多層膜中の光局在効果が発生する条件を満足さ
    せるように構成した磁気光学効果増大素子において、 前記フェライト膜をフェライトめっき法により20℃以
    上100℃以下の温度で作製するようにしたことを特徴
    とする磁気光学効果増大素子。
  3. 【請求項3】 基板上に2種類の誘電体膜を真空蒸着法
    またはスパッタ法により交互に積層して第1の誘電体多
    層反射膜を作製し、該第1の誘電体多層膜反射膜上にフ
    ェライト膜を作製し、該フェライト膜上に2種類の誘電
    体膜を真空蒸着法またはスパッタ法により交互に積層し
    て第2の誘電体多層反射膜を作製してサンドイッチ構造
    とするとともに、ファブリペロー共鳴条件を満足させる
    ように磁気光学効果増大素子を製造するに際し、 前記フェライト膜をフェライトめっき法により20℃以
    上100℃以下の温度で作製することを特徴とする磁気
    光学効果増大素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 基板上にフェライト膜および誘電体膜を
    順次交互に積層させて多層膜構造を作製するとともに、
    乱れた積層構造をもつ多層膜中の光局在効果が発生する
    条件を満足させるように磁気光学効果増大素子を製造す
    るに際し、 前記誘電体膜を真空蒸着法またはスパッタ法により作製
    するとともに、前記フェライト膜をフェライトめっき法
    により20℃以上100℃以下の温度で作製することを
    特徴とする磁気光学効果増大素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6813076B2 (en) * 2001-12-20 2004-11-02 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Faraday rotator, optical isolator, polarizer, and diamond-like carbon thin film
JP2009147490A (ja) * 2007-12-12 2009-07-02 Murata Mfg Co Ltd バンドパスフィルタ
US8233753B2 (en) 2005-06-29 2012-07-31 Nec Corporation Electric field sensor, magnetic field sensor, electromagnetic field sensor and electromagnetic field measuring system using these sensors
CN106200024A (zh) * 2016-08-31 2016-12-07 欧阳征标 磁光薄膜磁表面快波光二极管

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