JP2000160476A - 炭素繊維の製造方法およびそれによって得られた炭素繊維 - Google Patents

炭素繊維の製造方法およびそれによって得られた炭素繊維

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JP2000160476A
JP2000160476A JP10339429A JP33942998A JP2000160476A JP 2000160476 A JP2000160476 A JP 2000160476A JP 10339429 A JP10339429 A JP 10339429A JP 33942998 A JP33942998 A JP 33942998A JP 2000160476 A JP2000160476 A JP 2000160476A
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carbon fibers
fibers
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carbon
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Sachio Matsui
幸智男 松井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】極めて優れた抗菌性と殺菌性とを兼ね備えた炭
素繊維の製造方法およびそれによって得られた炭素繊維
を提供する。 【解決手段】炭素繊維を、木酢液もしくは竹酢液の少な
くともいずれかを主成分とする加熱処理液中に浸漬処理
する工程と、上記浸漬処理された炭素繊維を乾燥させる
工程とを含むようにすることにより、極めて優れた抗菌
性と殺菌性とを兼ね備えた炭素繊維を得るようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素繊維の製造方
法およびそれによって得られた炭素繊維に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年では、院内感染やO−157の流行
を背景に、抗菌商品がブームになっている。このような
抗菌商品は、洗面具・文房具・家電製品等を中心に、各
種の商品が開発されている。そして、生活環境の快適指
向や高齢化社会に対応して、抗菌・防臭効果のある繊維
製品も数多く開発されている。そして、このような抗菌
・防臭繊維により、シーツ・布団・毛布・肌着等の各種
の抗菌繊維製品がつくられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記抗
菌繊維は、細菌やカビ等の繁殖を防ぐ程度であり、細菌
自体を殺す殺菌作用があるわけではない。一方、最近で
は、このような抗菌・除菌環境への考え方が建材にまで
及び、床・壁・カーテン・カーペット等の建材も、抗菌
効果のあるものが開発されつつある。このような状況の
なか、もともとある程度の抗菌性を有する炭素繊維にお
いて、極めて優れた抗菌性や殺菌性を発揮するものがあ
れば非常に好都合である。ところが、現在までのとこ
ろ、極めて優れた抗菌性と殺菌性とを兼ね備えた炭素繊
維といったものは、開発されていないのが実状である。
【0004】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、極めて優れた抗菌性と殺菌性とを兼ね備えた炭
素繊維の製造方法およびそれによって得られた炭素繊維
の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の炭素繊維の製造方法は、木酢液と竹酢液の
少なくともいずれかを主成分とする加熱処理液中に炭素
繊維を浸漬処理する工程と、上記浸漬処理された炭素繊
維を乾燥させる工程とを含むことを要旨とする。
【0006】また、本発明の炭素繊維は、10CFU
/ミリリットルの培養菌液が塗沫された培地において阻
止円を形成しうる抗菌性を示すことを第1の要旨とす
る。
【0007】また、本発明の炭素繊維は、10CFU
/ミリリットルの培養菌液を付着させた炭素繊維が載置
された培地において、炭素繊維下面の菌の生育を阻止し
うる殺菌性を示すことを第2の要旨とする。
【0008】すなわち、本発明の炭素繊維の製造方法
は、木酢液と竹酢液の少なくともいずれかを主成分とす
る加熱処理液中に炭素繊維を浸漬処理する工程と、上記
浸漬処理された炭素繊維を乾燥させる工程とを含む。こ
のため、炭素繊維に存在する無数の多孔中に、木酢液や
竹酢液中に含まれる酢酸やフェノール,ポリフェーノー
ル等を中心とした多くの有効成分が浸透し、炭素繊維に
抗菌性および殺菌性を付与することができ、優れた抗菌
性と殺菌性とを兼ね備えた炭素繊維を得ることができ
る。しかも、工程自体もそれほど複雑でなく、比較的容
易に炭素繊維の特性を向上させることができる。
【0009】本発明の炭素繊維の製造方法において、加
熱処理液中にヨモギエキスを含有させている場合には、
木酢液や竹酢液に含まれる成分に加え、ヨモギエキス中
の有効成分の働きにより、炭素繊維にさらに有効な抗菌
性・殺菌性を付与することができる。
【0010】本発明の炭素繊維の製造方法において、浸
漬処理された炭素繊維を蒸留水で洗浄したのち乾燥させ
るようにした場合には、木酢液や竹酢液に特有の臭いを
炭素繊維から容易に除去することができる。また、蒸留
水は不純物を含まないことから、炭素繊維の多孔中に不
純物を吸着させてしまうことがなく、抗菌性・殺菌性を
付与した炭素繊維の特性を劣化させることがないからで
ある。
【0011】本発明の炭素繊維の製造方法において、浸
漬処理された炭素繊維を、真空中で加熱することにより
乾燥させるようにした場合や、浸漬処理された炭素繊維
を、温風により乾燥させるようにした場合には、炭素繊
維を短時間で効率的に乾燥させることができるうえ、炭
素繊維を炭化や酸化させたり、乾燥中に炭素繊維に余分
な物質を吸着させたりすることがほとんどなく、抗菌性
・殺菌性を付与した炭素繊維の特性を劣化させることが
少ない。
【0012】本発明の第1の炭素繊維は、10CFU
/ミリリットルの培養菌液が塗沫された培地において阻
止円を形成しうる抗菌性を示し、極めて優秀な抗菌性を
発揮する。
【0013】また、本発明の第2の炭素繊維は、10
CFU/ミリリットルの培養菌液を付着させた炭素繊維
が載置された培地において、繊維下面の菌の生育を阻止
しうる殺菌性を示し、極めて優秀な殺菌性を発揮する。
【0014】本発明の第1の炭素繊維において、10
CFU/ミリリットルの培養菌液を付着させた炭素繊維
が載置された培地において、繊維下面の菌の生育を阻止
しうる殺菌性を示すようにした場合には、極めて優秀な
抗菌性と殺菌性を兼ね備えたものとなる。
【0015】本発明の炭素繊維の製造方法およびそれに
よって得られた炭素繊維において、炭素繊維が、フェノ
ール系炭素繊維,ビスコース系炭素繊維,アラミド系炭
素繊維,セルロース系炭素繊維のうち少なくともいずれ
かである場合には、これらの炭素繊維は吸着性能が高い
ため、木酢液や竹酢液に含まれる抗菌性・殺菌性を発揮
する有効成分を効果的に吸着し、抗菌性・殺菌性を長期
間維持する炭素繊維を得られるようになる。
【0016】なお、本発明において、炭素繊維とは、綿
状の炭素繊維そのものの他、糸,フィラメント,ロー
プ,網,織布,編地,不織布等の形態に加工された炭素
繊維製品や、シーツ,カーペット,カーテン等の最終製
品の形態まで加工された炭素繊維製品も含む趣旨であ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態を詳
しく説明する。
【0018】本発明の炭素繊維の製造方法は、木酢液と
竹酢液の少なくともいずれかを主成分とする加熱処理液
中に炭素繊維を浸漬処理する工程と、上記浸漬処理され
た炭素繊維を乾燥させる工程とを含んでいる。
【0019】上記木酢液とは、木炭を生産する際に生じ
る煙を乾留することによって得られた液体成分をいう。
また、上記竹酢液とは、竹を炭に焼成するときに生じる
煙を乾留することによって得られた液体成分をいう。こ
れら木酢液および竹酢液は、採取したままの状態の粗木
酢液・粗竹酢液の状態でも使用することができるが、採
取後静置等することにより分離する軽油質およびタール
分を取り除いた木酢液・竹酢液が好適に用いられる。
【0020】また、上記木酢液および竹酢液として、木
や竹を500℃〜900℃で焼成するときに生じる煙か
ら得られるものを用いるのが効果的である。このような
木酢液や竹酢液を使用することにより、炭素繊維に極め
て優れた抗菌性および殺菌性を付与することができるの
である。
【0021】本発明に用いる処理液は、木酢液と竹酢液
の少なくともいずれかを主成分とする。木酢液あるいは
竹酢液を単独で使用してもよいし、これらを所望の割合
で混合して用いてもよい。さらに、木酢液あるいは竹酢
液を原液で用いてもよいし、2倍程度の希釈液を用いる
こともできる。
【0022】上記処理液には、ヨモギエキスを含有させ
ることが望ましい。このヨモギエキスとは、ヨモギを水
に浸漬して粉砕し、絞り出すことによって得られた液体
成分をいう。このようにすることにより、木酢液や竹酢
液に含まれる成分に加え、ヨモギエキス中の有効成分の
働きにより、炭素繊維にさらに有効な抗菌性・殺菌性を
付与することができる。
【0023】上記処理液の加熱温度は、90℃以上が好
ましく、100℃以上がより好ましい。さらに好ましい
のは、110℃以上であり、最も好ましいのは煮沸させ
た状態である。加熱処理液への浸漬時間は、数十秒程度
以上あれば、炭素繊維に有効に抗菌性・殺菌性を付与す
ることができ、得に限されるものではない。
【0024】このように、上記加熱処理液中に炭素繊維
を浸漬処理することにより、炭素繊維に存在する無数の
多孔中に、木酢液もしくは竹酢液中に含まれる酢酸やフ
ェノール,ポリフェーノール等を中心とした多くの有効
成分を浸透させることができるのである。
【0025】上記炭素繊維としては、特に限定するもの
ではなく、各種のものが用いられるが、フェノール系炭
素繊維,ビスコース系炭素繊維,アラミド系炭素繊維,
セルロース系炭素繊維が好適に用いられる。これらの炭
素繊維は吸着性能が高いため、木酢液や竹酢液に含まれ
る抗菌性・殺菌性を発揮する有効成分を効果的に吸着
し、抗菌性・殺菌性を長期間維持する炭素繊維を得られ
るようになる。
【0026】上記浸漬処理された炭素繊維を蒸留水で洗
浄したのち乾燥させるのが望ましい。木酢液や竹酢液
は、煙を乾留して得られるものであることから、独特の
燻臭があるが、浸漬処理後の炭素繊維を蒸留水で洗浄す
ることにより、特有の臭いを容易に除去することができ
るからである。また、蒸留水は水道水等のように不純物
を含まないことから、炭素繊維の多孔中に不純物を吸着
させてしまうことがなく、抗菌性・殺菌性を付与した炭
素繊維の特性を劣化させることがないからである。
【0027】上記浸漬処理された炭素繊維を乾燥させる
工程では、浸漬処理された炭素繊維を、真空中で加熱す
ることにより乾燥させるようにするのが望ましい。ま
た、浸漬処理された炭素繊維を、温風により乾燥させる
ようにしてもよい。
【0028】真空中で加熱することにより乾燥させる際
の、加熱温度としては、200℃以上1000℃以下が
好ましい。加熱温度の上限値としてより好ましいのは、
900℃であり、800℃であればさらに好適である。
加熱温度の下限値としてより好ましいのは、400℃で
あり、600℃であればさらに好適である。200℃未
満では、木酢液や竹酢液を乾燥させるのに時間がかか
り、1000℃を超えると、炭素繊維自体が炭化してし
まい強度の低下が激しいからである。また、乾燥させる
際の真空度は、10−2Torr以上が好ましく、10
−3Torr以上であればより好ましい。さらに好まし
くは10−4Torr以上である。10 Torr未
満では、木酢液や竹酢液を乾燥させるのに時間がかかる
うえ、炭素繊維自体を炭化させたり酸化させたりして強
度等を低下させるおそれがあり。一方、10−5Tor
r以上のようなあまりに高い真空は、実用的にコストが
高くなる。
【0029】温風により乾燥させる場合の温風の温度
は、100℃以上600℃以下が好ましい。温風の温度
の上限値として、より好ましいのは500℃であり、4
00℃であればなお好ましく、最も好ましいのは300
℃である。100℃未満では木酢液や竹酢液を十分乾燥
させることができず、600℃を超えると、炭素繊維自
体が炭化してしまい強度の低下が激しいからである。
【0030】このようにして得られた炭素繊維は、10
CFU/ミリリットルの培養菌液が塗沫された培地に
おいて阻止円を形成しうる抗菌性を示し、極めて優秀な
抗菌性を発揮する。しかも、上記炭素繊維は、10
FU/ミリリットルの培養菌液を付着させた炭素繊維が
載置された培地において、繊維下面の菌の生育を阻止し
うる殺菌性を示し、極めて優秀な殺菌性を発揮する。
【0031】このような優れた抗菌性および殺菌性が発
揮される理由については、現状では必ずしも明らかでは
ないが、本発明の炭素繊維が培地のpHを極度に低下さ
せる作用をすることがわかっており、このpH低下作用
により、優れた抗菌作用および殺菌作用を発揮するもの
と考えられる。
【0032】このように、上記炭素繊維の製造方法によ
れば、炭素繊維に抗菌性および殺菌性を付与することが
でき。極めて優れた抗菌性と殺菌性とを兼ね備えた炭素
繊維を得ることができる。しかも、工程自体もそれほど
複雑でなく、比較的容易に炭素繊維の特性を向上させる
ことができる。
【0033】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0034】
【実施例および比較例】木酢液、竹酢液、ヨモギエキス
を4:4:2の割合で配合して処理液を調整した。ま
ず、上記処理液を煮沸し、セルロース系の炭素繊維を浸
漬して3分間焚き上げたのち、蒸留水で洗浄した。つい
で、300℃の遠赤外線温風をあてることにより乾燥さ
せて、本発明の炭素繊維を得た。また、比較例として上
記処理液への浸漬処理等をしていない炭素繊維ならびに
カット綿、ガーゼを準備した。実施例ならびに比較例を
下記の表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】上記各実施例ならびに比較例について、各
種の細菌に対する抗菌性を調査するため、菌の増殖阻止
円を測定した。測定方法は、つぎのとおりである。
【0037】まず、対象菌種として、枯草菌,黄色ブド
ウ球菌,表皮ブドウ球菌,大腸菌,緑農菌,セラチア,
サルモネラ菌を準備した。一方、上記実施例ならびに比
較例の繊維を1cm角に切断し、オートクレーブで滅菌
処理を行った。ついで、普通ブイヨンに各菌を接種し、
18〜24時間振盪培養したのち、この培養菌液を2倍
希釈法で10CFU/ミリリットルに希釈した(CF
U:colony forming unit)。つぎ
に、上記希釈菌液を50マイクロリットル普通寒天培地
に塗沫したのち、そこに上記滅菌した繊維を置き、14
〜18時間培養して阻止円を観察した。その結果を図1
〜図7および下記の表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】上記表2ならびに図1〜図7から明らかな
ように、実施例の炭素繊維では、阻止円が観察され、阻
止効果が見られたが、比較例の炭素繊維および綿繊維で
は、阻止円が見られなかった。この結果から、実施例の
炭素繊維は、比較例の炭素繊維,綿繊維に比べ、良好な
抗菌性を示すことがわかる。
【0040】つぎに、上記実施例ならびに比較例の繊維
について、各種の細菌に対する殺菌性を調査した。調査
方法はつぎのとおりである。
【0041】まず、対象菌種として、枯草菌,黄色ブド
ウ球菌,表皮ブドウ球菌,大腸菌を準備した。一方、上
記実施例ならびに比較例の繊維を1cm角に切断し、オ
ートクレーブで滅菌処理を行った。ついで、各菌を普通
ブイヨン培地で18時間培養し、10倍、100倍、1
000倍に希釈して菌液の濃度を10,10,10
CFU/ミリリットルに調整した。つぎに、滅菌処理
した繊維を各菌液に漬けてピンセットで軽く絞り、これ
を滅菌シャーレに並べて室温に置いた。その直後、1、
2、5、12、24時間後、普通寒天板に一枚ずつ載
せ、37℃で一晩培養した。培地上で布の裏側および周
囲に菌が生えているかどうかを観察した。その結果を図
8〜図11に示す。
【0042】枯草菌を使用した調査では、実施例では、
直後でわずかなコロニーが観察されたが、1時間以降
は、発育していなかった。比較例は、いずれの時間も繊
維の裏側および周囲にコロニーが観察された。
【0043】黄色ブドウ球菌を使用した調査では、実施
例は、いずれの時間も菌の発育が見られなかった。比較
例は、いずれの時間も繊維の裏側および周囲にコロニー
が観察された。
【0044】表皮ブドウ球菌を使用した調査では、実施
例は、いずれの時間も菌の発育が見られなかった。比較
例は、いずれの時間も繊維の裏側および周囲にコロニー
が観察された。
【0045】大腸菌を使用した調査では、実施例は、い
ずれの時間も菌の発育が見られなかった。比較例は、1
時間以降は、布の裏側および周囲にコロニーが観察され
た。
【0046】上記調査結果から明らかなように、実施例
の炭素繊維は、比較例の炭素繊維,綿繊維に比べ、良好
な殺菌性を示していることがわかる。
【0047】上記のように、本発明の炭素繊維は、ヒト
に病原性のある細菌や常在細菌に対して増殖を抑制する
作用があり、極めて優れた抗菌性と殺菌性とを兼ね備え
たものである。したがって、開放された化膿創傷に本発
明の炭素繊維を添付し維持することにより、局所の細菌
増殖を阻止できる等の効果を期待することができ、医療
用品への適用等が期待できる。
【0048】
【発明の効果】以上のように、本発明の炭素繊維の製造
方法によれば、炭素繊維に存在する無数の多孔中に、木
酢液や竹酢液中に含まれる酢酸やフェノール,ポリフェ
ーノール等を中心とした多くの有効成分が浸透し、炭素
繊維に抗菌性および殺菌性を付与することができ、極め
て優れた抗菌性と殺菌性とを兼ね備えた炭素繊維を得る
ことができる。しかも、工程自体もそれほど複雑でな
く、比較的容易に炭素繊維の特性を向上させることがで
きる。
【0049】本発明の炭素繊維の製造方法において、加
熱処理液中にヨモギエキスを含有させている場合には、
木酢液や竹酢液に含まれる成分に加え、ヨモギエキス中
の有効成分の働きにより、炭素繊維にさらに有効な抗菌
性・殺菌性を付与することができる。
【0050】本発明の炭素繊維の製造方法において、浸
漬処理された炭素繊維を蒸留水で洗浄したのち乾燥させ
るようにした場合には、木酢液や竹酢液に特有の臭いを
炭素繊維から容易に除去することができる。また、蒸留
水は不純物を含まないことから、炭素繊維の多孔中に不
純物を吸着させてしまうことがなく、抗菌性・殺菌性を
付与した炭素繊維の特性を劣化させることがないからで
ある。
【0051】本発明の炭素繊維の製造方法において、浸
漬処理された炭素繊維を、真空中で加熱することにより
乾燥させるようにした場合や、浸漬処理された炭素繊維
を、温風により乾燥させるようにした場合には、炭素繊
維を短時間で効率的に乾燥させることができるうえ、炭
素繊維を炭化や酸化させたり、乾燥中に炭素繊維に余分
な物質を吸着させたりすることがほとんどなく、抗菌性
・殺菌性を付与した炭素繊維の特性を劣化させることが
少ない。
【0052】本発明の第1の炭素繊維は、10CFU
/ミリリットルの培養菌液が塗沫された培地において阻
止円を形成しうる抗菌性を示し、極めて優秀な抗菌性を
発揮する。
【0053】また、本発明の第2の炭素繊維は、10
CFU/ミリリットルの培養菌液を付着させた炭素繊維
が載置された培地において、繊維下面の菌の生育を阻止
しうる殺菌性を示し、極めて優秀な殺菌性を発揮する。
【0054】本発明の第1の炭素繊維において、10
CFU/ミリリットルの培養菌液を付着させた炭素繊維
が載置された培地において、繊維下面の菌の生育を阻止
しうる殺菌性を示すようにした場合には、極めて優秀な
抗菌性と殺菌性を兼ね備えたものとなる。
【0055】本発明の炭素繊維の製造方法およびそれに
よって得られた炭素繊維において、炭素繊維が、フェノ
ール系炭素繊維,ビスコース系炭素繊維,アラミド系炭
素繊維,セルロース系炭素繊維のうち少なくともいずれ
かである場合には、これらの炭素繊維は吸着性能が高い
ため、木酢液や竹酢液に含まれる抗菌性・殺菌性を発揮
する有効成分を効果的に吸着し、抗菌性・殺菌性を長期
間維持する炭素繊維を得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】枯草菌に対する増殖阻止円の測定結果である。
【図2】黄色ブドウ球菌に対する増殖阻止円の測定結果
である。
【図3】表皮ブドウ球菌に対する増殖阻止円の測定結果
である。
【図4】大腸菌に対する増殖阻止円の測定結果である。
【図5】緑農菌に対する増殖阻止円の測定結果である。
【図6】セラチアに対する増殖阻止円の測定結果であ
る。
【図7】サルモネラ菌に対する増殖阻止円の測定結果で
ある。
【図8】枯草菌に対する殺菌性の調査結果である。
【図9】黄色ブドウ球菌に対する殺菌性の調査結果であ
る。
【図10】表皮ブドウ球菌に対する殺菌性の調査結果で
ある。
【図11】大腸菌に対する殺菌性の調査結果である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年11月30日(1998.11.
30)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木酢液と竹酢液の少なくともいずれかを
    主成分とする加熱処理液中に炭素繊維を浸漬処理する工
    程と、上記浸漬処理された炭素繊維を乾燥させる工程と
    を含むことを特徴とする炭素繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 加熱処理液中にヨモギエキスを含有させ
    ている請求項1記載の炭素繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 浸漬処理された炭素繊維を蒸留水で洗浄
    したのち乾燥させるようにした請求項1または2記載の
    炭素繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 炭素繊維が、フェノール系炭素繊維,ビ
    スコース系炭素繊維,アラミド系炭素繊維,セルロース
    系炭素繊維のうち少なくともいずれかである請求項1〜
    3のいずれか一項に記載の炭素繊維の製造方法。
  5. 【請求項5】 浸漬処理された炭素繊維を、真空中で加
    熱することにより乾燥させるようにした請求項1〜4の
    いずれか一項に記載の炭素繊維の製造方法。
  6. 【請求項6】 浸漬処理された炭素繊維を、温風により
    乾燥させるようにした請求項1〜4のいずれか一項に記
    載の炭素繊維の製造方法。
  7. 【請求項7】 10CFU/ミリリットルの培養菌液
    が塗沫された培地において阻止円を形成しうる抗菌性を
    示すことを特徴とする炭素繊維。
  8. 【請求項8】 10CFU/ミリリットルの培養菌液
    を付着させた炭素繊維が載置された培地において、炭素
    繊維下面の菌の生育を阻止しうる殺菌性を示すことを特
    徴とする炭素繊維。
  9. 【請求項9】 10CFU/ミリリットルの培養菌液
    を付着させた炭素繊維が載置された培地において、炭素
    繊維下面の菌の生育を阻止しうる殺菌性を示す請求項7
    記載の炭素繊維。
  10. 【請求項10】 炭素繊維が、フェノール系炭素繊維,
    ビスコース系炭素繊維,アラミド系炭素繊維,セルロー
    ス系炭素繊維のうち少なくともいずれかである請求項7
    〜9のいずれか一項に記載の炭素繊維。
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Cited By (5)

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