JP2000160203A - 合金粉末、合金焼結体およびそれらの製造方法 - Google Patents

合金粉末、合金焼結体およびそれらの製造方法

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JP2000160203A JP11243603A JP24360399A JP2000160203A JP 2000160203 A JP2000160203 A JP 2000160203A JP 11243603 A JP11243603 A JP 11243603A JP 24360399 A JP24360399 A JP 24360399A JP 2000160203 A JP2000160203 A JP 2000160203A
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Katsuyoshi Kondo
勝義 近藤
Ai Ito
愛 伊藤
Takatoshi Takigawa
貴稔 瀧川
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流動性に優れた合金粉末とその製造方法と、
寸法精度の高い合金焼結体とその製造法を提供する。 【解決手段】 粒子径5μm以上300μm以下のアル
ミニウムを主成分とした1次粒子粉末2を、有機系バイ
ンダー3により互いに結合させることにより、粒子径1
0μm以上500μm以下の2次粒子粉末1を作製す
る。また、同様に、粒子径20μm以上100μm以下
の鉄を主成分とした1次粒子粉末を、有機系バインダー
により互いに結合させることにより、粒子径50μm以
上200μm以下の2次粒子粉末を作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、合金粉末、合金焼
結体およびそれらの製造方法に関し、特に、アルミニウ
ム合金粉末とその製造方法、鉄合金粉末と鉄合金焼結体
の製造方法、金属粉末と金属焼結体に関するものであ
る。
【0002】アルミニウム合金粉末とその製造方法は、
特に、流動性に優れ、ギアロータやサイドプレートなど
の高い寸法精度が要求される焼結アルミニウム合金部品
に適用できるアルミニウム合金粉末とその製造方法に関
するものである。
【0003】鉄合金粉末と鉄合金焼結体の製造方法は、
特に、流動性に優れるために圧粉成形体の寸法精度が向
上し、その結果、焼結体の寸法精度が向上できる鉄合金
粉末と鉄合金焼結体の製造方法とに関するものである。
【0004】金属粉末と金属焼結体は、特に、流動性に
優れた金属粉末と、そのような金属粉末を用いた焼結体
とに関するものである。
【0005】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】ま
ず、アルミニウム合金粉末について説明する。
【0006】駆動系部品や動弁系部品に対して、近年軽
量化が要求されており、それを実現させる方策として鉄
系材料の代わりにアルミニウム合金の適用が検討されて
いる。アルミニウム合金の中でも、特に、高強度、高硬
度、高剛性および高耐熱性といった優れた機械的特性を
有する焼結アルミニウム合金が期待されている。たとえ
ば、駆動系部品の1つであるギアロータに代表されるよ
うに、いずれの部品も高い寸法精度が要求される。
【0007】しかしながら、原料粉末であるアルミニウ
ム合金粉末は、鉄系粉末に比べると密度が低いために垂
直方向へ落下しようとする力が小さい。また、アルミニ
ウム合金粉末は、一般にアトマイズ法によって形成され
るため、粒子が微粒であり、しかも、図15に示すよう
に粉末表面に凹凸を有した粉末異形状を有している。そ
のため、アルミニウム合金粉末の流動性 (流動度) およ
び金型内への充填性が、鉄系粉末の場合と比較して顕著
に劣るといった問題がある。
【0008】その結果、従来のアルミニウム合金粉末を
金型内に供給して充填すると、粉末同士のブリッジング
現象により充填された粉末内部に空隙が存在することが
ある。そして、この状態でアルミニウム合金粉末を圧粉
成形すると、成形体の内部に空孔が不均一に分散してし
まう。このため、成形体の密度が不均一となり、成形体
の表面に亀裂が発生したり、成形体の寸法精度の悪化を
招いたりする。さらに、圧粉成形体を焼結する際には、
焼結現象が局所的に進行するために焼結体の寸法精度も
悪化するといった問題が生じる。
【0009】このような問題点を解決するために、特開
平04−154902号公報に記載されているように、
たとえば図16に示すように、アルミニウムの1次粒子
粉末2同士をロール圧延により機械的に結合させるとと
もに、これを粉砕することによって、1次粒子粉末2よ
りも粒子径が大きい2次粒子粉末21を作製する乾式造
粒法が適用された。この方法によって得られた2次粒子
粉末21は、図17に示すように、ロール圧延によって
より偏平になった1次粒子粉末2が互いに固着したフレ
ーク状の構造を有し、1次粒子粉末2よりも粒子径が大
きくなる。このようにして、アルミニウム合金粉末が粗
粒化することによって、アルミニウム合金粉末の流動性
の改善効果が見出された。
【0010】しかしながら、乾式造粒法によって形成さ
れたアルミニウムの2次粒子粉末では、運搬や移動させ
る際にその2次粒子粉末に振動や衝撃が加わると、1次
粒子粉末同士が機械的に固着しているため、2次粒子粉
末中の1次粒子粉末が再度分離して微粒子粉末が多く存
在するようになる。その結果、アルミニウム合金粉末の
流動性が経時変化して、再び上述した問題が生じるよう
になる。
【0011】次に、鉄合金粉末について説明する。自動
車部品や家電製品などの機械部品の製造方法としては、
伝統的な鋳造法や鋼板からの切削加工による方法が採用
されている。この他に、金属粉末を金型に充填して圧力
をかけて成形し、その圧粉成形体を焼結炉で焼成を行な
って金属粉末間を結合させる焼結法がある。
【0012】焼結法では、鋳造法より大量生産が可能で
あり、また、切削加工法より安価に製造することができ
るという利点を有している。
【0013】しかしながら、原料である金属粉末の流動
性が悪い場合には、金属粉末の供給槽であるホッパー内
で閉塞現象が生じたり、金型に金属粉末を充填させるシ
ューボックスから金属粉末が金型内へ入りにくくなるこ
とがある。このため、金型内において金属粉末が比較的
多く入る部分とそうでない部分とが生じる。
【0014】そして、金型内に金属粉末が充填された後
も、金型の内部で金属粉末の移動が生じにくい。このた
め、圧力をかけて圧粉体を成形した後も、その圧粉体内
で密度のばらつきが生じることがあった。また、個々の
圧粉体間でも密度のばらつきが生じた。
【0015】そのような圧粉体を焼成すると、密度の違
いによって収縮挙動が異なるために、焼成して得られる
焼結体の密度のばらつきがさらに拡大してしまうことが
あった。このため、焼結体の寸法精度が低下することが
あった。したがって、得られた焼結体では、機械部品と
してそのままでは適用することができず、さらなる機械
加工が必要になることがあった。その結果、製品の製造
コストが上昇するという問題が発生した。
【0016】一方、粉末冶金用粉末の技術においては、
主成分となる金属粉末以外に、1種類以上の金属粒子ま
たは非金属粒子の添加が行なわれる。このとき、金属粉
末の供給時にその金属粉末以外の成分の偏析現象が避け
られず、圧粉体内部の成分の偏析が、焼結後の焼結体の
寸法精度を低下させたり、あるいは、焼結体の機械強度
を低下させるという問題があった。
【0017】このような成分偏析現象に対処するため
に、主成分となる金属粒子に他の非金属粒子を付着させ
る技術が提案されている(特許第2898461号、特
開平5−148505号公報など)。
【0018】しかしながら、成分偏析を防止した金属粉
末では、金型内に金属粉末を均一に充填し圧粉体内にお
ける密度を均一にして、圧粉体および焼結体の寸法精度
を向上させることは困難であることがわかった。
【0019】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、優れた流動性および充填性を有
するアルミニウム合金粉末とその製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0020】また本発明は、金型内に均一に充填でき、
圧粉体内の密度のばらつきを低減させて焼結後の焼結体
の寸法精度を向上することができる流動性の高い鉄合金
粉末と、鉄合金焼結体の製造方法を提供することを目的
とする。
【0021】さらに本発明は、優れた流動性を有し金型
内へ均一に充填することのできる金属粉末と、金属焼結
体を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々の実
験および検討を行なった結果、優れた流動性および充填
性を有するアルミニウム合金粉末とその製造方法を発明
した。まず、その構成を以下に示す。
【0023】本発明の第1の局面におけるアルミニウム
合金粉末は、アルミニウムを主成分とする1次粒子粉末
を、バインダーによって互いに結合させた2次粒子粉末
からなるアルミニウム合金粉末である。
【0024】本発明の第2の局面におけるアルミニウム
合金粉末は、アルミニウムを主成分とする1次粒子粉末
を、互いに結合させた2次粒子粉末からなるアルミニウ
ム合金粉末であって、2次粒子粉末は、2次粒子粉末を
投影することによって得られる投影像において、次の
式、針状比=粒子1個の投影像における最大径/最大径
に直交する方向の投影像の径によって与えられる針状比
の平均値が2.0以下であるアルミニウム合金粉末であ
る。
【0025】1次粒子粉末は、アトマイズ法によって得
られた急冷凝固粉末であることが好ましい。
【0026】2次粒子粉末の粒子径は10μm以上50
0μm以下であることが好ましい。1次粒子粉末の粒子
径は5μm以上300μm以下であることが好ましい。
【0027】2次粒子粉末のうち、50μm以上の粒子
径を有する2次粒子粉末は、2次粒子粉末全体の25重
量%以下であることが好ましい。
【0028】日本工業規格による金属粉の流動度試験方
法(JIS Z 2502)に基づいて、口径2.6m
mφのロート状オリフィス管により測定した2次粒子粉
末の流動性が4.0秒/cm3 以下であることが好まし
い。
【0029】日本工業規格による金属粉の流動度試験方
法(JIS Z 2502)に基づいて、口径4.0m
mφのロート状オリフィス管により測定した2次粒子粉
末の流動性が2.5秒/cm3 以下であることが好まし
い。
【0030】日本工業規格による金属粉の見掛密度試験
方法(JIS Z 2504)に基づいて測定した2次
粒子粉末の見掛密度は、日本粉末冶金工業会による金属
粉のタップ密度試験方法(JPMA P 08)に基づ
いて測定した2次粒子粉末のタップ密度の80%以上1
00%以下であることが好ましい。
【0031】2次粒子粉末を投影することによって得ら
れる投影像において、次の式、 円形度=4π×(粒子1個の投影像の面積)/(粒子1
個の投影像の外周長さ)2 によって与えられる円形度の平均値が0.6以上であ
る、ことが好ましい。
【0032】2次粒子粉末を投影することによって得ら
れる投影像において、次の式、 針状比=粒子1個の投影像における最大径/最大径に直
交する方向の投影像の径 によって与えられる針状比の平均値が2.0以下である
ことが好ましい。
【0033】バインダーは有機系バインダーであること
が好ましい。2次粒子粉末中の有機系バインダーの量は
0.05重量%以上0.5重量%以下であることが好ま
しい。
【0034】有機系バインダーの分解温度は400℃以
下であることが好ましい。有機系バインダーは、ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、カルボキ
シメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース
からなる群から選ばれるいずれかの有機化合物を主成分
とすることが好ましい。
【0035】本発明の第3の局面におけるアルミニウム
合金粉末の製造方法は、造粒工程と乾燥工程とを備えて
いる。造粒工程では、アルミニウムを主成分とした粒子
径5μm以上300μm以下の1次粒子粉末を、有機系
バインダーの水溶液を介して互いに結合させて2次粒子
粉末を作製する。乾燥工程では、2次粒子粉末中に含ま
れる水分を除去する。
【0036】1次粒子粉末は、アトマイズ法によって得
られた急冷凝固粉末であることが好ましい。
【0037】造粒工程は、1次粒子粉末を流動層内に浮
遊させるとともに、浮遊している1次粒子粉末に有機系
バインダーの水溶液を噴霧することを含んでいることが
好ましい。
【0038】乾燥工程は、2次粒子粉末を流動層内で乾
燥させることを含んでいることが好ましい。
【0039】乾燥工程は、流動層内に所定温度のガスを
導入することを含んでいることが好ましい。
【0040】乾燥工程における、流動層内の温度は60
℃以上120℃以下であることが好ましく、70℃以上
90℃以下であることがより好ましい。
【0041】造粒工程における有機系バインダーの水溶
液の濃度は1%以上8%以下であることが好ましい。
【0042】次に、アルミニウム合金粉末とその製造方
法の特徴および作用効果について説明する。
【0043】2次粒子粉末からなるアルミニウム合金粉
末の特性について 1次粒子粉末(原料粉末)の粒子径 粒子径が5μm以上300μm以下のアルミニウムを主
成分としたアルミニウム合金粉末を出発原料粉末として
用いる。この原料粉末は、アトマイズ法によって得られ
た急冷凝固粉末である。本発明者は、この出発原料粉末
である1次粒子粉末を互いに結合して得られる2次粒子
粉末を用いることで、従来課題であった流動性や金型へ
の充填性を改善することができることを見出した。
【0044】この2次粒子粉末は、1次粒子粉末を流動
層内で浮遊させた状態で、1次粒子粉末に有機系バイン
ダー水溶液を噴霧して、1次粒子粉末を互いに結合さ
せ、水分を乾燥除去することによって形成される。この
水分を乾燥除去する際に、1次粒子粉末の粒子径が5μ
m未満の場合では、2次粒子粉末の比表面積が大きくな
るために、焼結の際に酸化現象が顕著に進行して2次粒
子粉末同士の焼結性が阻害されるといった問題が生じ
る。なお、比表面積とは、単位量(体積)の粉末中に含
まれる全粉末粒子の表面積の総和をいう。
【0045】一方、1次粒子粉末の粒子径が300μm
を超える場合では、2次粒子粉末の粒子径が500μm
または1mmを超えるために、粗大な2次粒子粉末が形
成されて、かえって2次粒子粉末の流動性や充填性を阻
害するといった問題が生じる。
【0046】したがって、本発明では、出発原料粉末で
あるアルミニウム合金の1次粒子粉末の粒子径は5μm
以上300μm以下が望ましく、1次粒子粉末のハンド
リング性、経済性等の観点からは、粒子径は40μm以
上200μm以下がより好ましい。
【0047】2次粒子粉末(複合造粒粉末)の粒子径 本発明の2次粒子粉末は、図1に示すように、1次粒子
粉末2を有機系のバインダー3にて互いに結合して得ら
れる2次粒子粉末1である。その2次粒子粉末の粒子径
は10μm以上500μm以下であることが望ましい。
2次粒子粉末の粒子径が10μm未満の場合では、微粒
粉末であるために十分な流動性が得られず、その結果、
均一な密度分布を有する圧粉成形体を得ることが困難に
なる。
【0048】一方、2次粒子粉末の粒子径が500μm
を超える場合では、粗粒粉末となるためにかえって2次
粒子粉末の流動性や充填性が阻害されるといった問題が
生じる。したがって、本発明では、2次粒子粉末の粒子
径は10μm以上500μm以下であることが望まし
く、金型の隙間への噛み込みの抑制や2次粒子粉末の流
動性と充填性とを安定化させるためには、2次粒子粉末
の粒子径は60μm以上250μm以下であることがよ
り好ましい。
【0049】また、このような2次粒子粉末において、
粒子径が50μm以下である2次粒子粉末の全2次粒子
粉末に対する含有率は25重量%以下であることが望ま
しい。粒子径が50μm以下の2次粒子粉末の含有率が
25重量%を超えると、日本工業規格による金属粉の流
動度試験方法(JIS Z 2502 (1958−制
定、1979−改正))に規定される流動性の測定方法に
基づいて、口径2.6mmφのロート状オリフィス管に
より測定した2次粒子粉末の流動性が4.0秒/cm3
を超えて十分な流動性が得られなくなる。
【0050】このため、たとえば、金型の肉厚さが1m
m以下の極めて給粉が困難な金型を用いる場合では、2
次粒子粉末を均一かつ高速で充填することができなくな
り、その結果、均一な密度分布を有する圧粉成形体を得
ることが困難となる。ただし、上記日本工業規格による
流動度試験方法に基づいて、口径4.0mmφのロート
状オリフィス管を用いて測定した場合における2次粒子
粉末の流動性は2.5秒/cm3 以下となり、本発明で
規定した適正範囲を満足する。
【0051】2次粒子粉末の流動性 本発明に係る2次粒子粉末の流動性について、上記日本
工業規格による流動度試験方法に基づいて、口径2.6
mmφのロート状オリフィス管により測定した2次粒子
粉末の流動性は4.0秒/cm3 以下である。また、同
様に上記日本工業規格による流動性度試験方法に基づい
て、口径4.0mmφのロート状オリフィス管により測
定した2次粒子粉末の流動性は2.5秒/cm3 以下で
ある。
【0052】本発明者は、2次粒子粉末がこのような流
動性を満足することで、高い寸法精度が要求される複雑
形状部品の圧粉成形体を経済性よく創製するために有効
であることを初めて見出した。口径2.6mmφのロー
ト状オリフィス管により測定した2次粒子粉末の流動性
が4.0秒/cm3 を超える場合や、口径4.0mmφ
のロート状オリフィス管により測定した2次粒子粉末の
流動性が2.5秒/cm3 を超える場合では、2次粒子
粉末を金型内に均一に充填するまでの時間が長くなるた
めに、生産性を著しく低下させるといった問題がある。
【0053】特に、ギアロータのような複雑形状金型あ
るいは肉厚の小さい金型内へ2次粒子粉末を給粉する場
合には、2次粒子粉末の充填性の改善はさらに重要とな
る。このような観点からも、2次粒子粉末の流動性に関
して、口径4.0mmφのロート状オリフィス管により
測定した2次粒子粉末の流動性は2.0秒/cm3 以下
であることがより望ましい。
【0054】2次粒子粉末の充填性(見掛密度とタップ
密度の比率) 本発明に係る2次粒子粉末の充填性について、日本工業
規格による金属粉の見掛密度試験方法(JIS Z 2
504 (1960−制定、1979−改正))に基づいて
測定した2次粒子粉末の見掛密度(AD)は、日本粉末
冶金工業会による金属粉のタップ密度試験方法(JPM
A P 08−1992)に基づいて測定した2次粒子
粉末のタップ密度(TD)の80%以上100%以下で
ある。
【0055】本発明者は、2次粒子粉末がこのような見
掛密度とタップ密度との比を満足することが、高い寸法
精度が要求される複雑形状部品の圧粉成形体を経済性よ
く創製するために有効であることを初めて見出した。出
発原料粉末であるアルミニウム合金の1次粒子粉末で
は、AD/TDの値は60〜70%程度である。そのた
め、一般に工業的には金型内にアルミニウム合金粉末を
充填する際には、シューボックス(粉末供給箱)を数回
往復させたり、振動を与えることにより、よりタップ密
度に近い高充填状態になるような工夫が施されている。
【0056】これに対して、本発明に係る2次粒子粉末
では、見掛密度とタップ密度の比率(AD/TD)の値
が80%以上であり、1次粒子粉末に比べて、その値が
大きく改善されている。このことにより、本発明に係る
2次粒子粉末では、シューボックス等から金型内に2次
粒子粉末を給粉する際に、2次粒子粉末をタップ密度に
近い充填状態、すなわち、より緻密に充填することがで
きる。その結果、圧粉成形時間を短縮することができ
る。
【0057】本発明に係る2次粒子粉末の見掛密度とタ
ップ密度との比率が80%未満の場合では、1次粒子粉
末に比べて2次粒子粉末の顕著な充填性の改善効果がな
く、圧粉成形時間の短縮化による著しい経済性の効果を
得ることが困難である。より好ましくは、本発明の2次
粒子粉末における見掛密度とタップ密度との比率は85
%以上100%以下である。なお、AD値がTD値を超
えることはないので、AD/TDの値は100%以下と
なる。
【0058】2次粒子粉末の形状(円形度、針状比) 本発明に係る2次粒子粉末では、図2に示すように、2
次粒子粉末を投影することによって得られた投影像1a
において、粒子1個あたりの面積をS、粒子1個の投影
像の外周の長さをGLとすると、下記の(1)式によっ
て与えられる円形度の平均値が0.6以上である。
【0059】また、図3に示すように、粒子1個の投影
像1aにおける最大径をLmax 、最大径に直交する方向
の投影像の径をLとすると、下記の(2)式によって与
えられる針状比の平均値が2.0以下である。本発明者
は、2次粒子粉末が、円形度および針状比について上記
条件を満たすことが、2次粒子粉末の流動性を改善する
ために有効であることを見出した。
【0060】 円形度=4π×(粒子1個の投影像の面積S)/(粒子1個の投影像の外周長 さGL)2 (1) 針状比=粒子1個の投影像における最大径Lmax /最大径に直交する方向の投 影像の径L (2) (1)式および(2)式で規定された円形度および針状
比は、ともに2次粒子粉末の球形度を表わす指標とな
る。すなわち、円形度が大きいほど、また針状比が小さ
いほど(ただし、1.0以上)、その2次粒子粉末が球
形状に近くなり、その結果、2次粒子粉末の流動性が向
上する。
【0061】本発明に係る2次粒子粉末において、円形
度が0.6未満または針状比が2.0を超える場合で
は、2次粒子粉末が本発明が規定する流動性を満足しな
くなるといった問題が生じる。さらに、前述したよう
に、口径4.0mmφのロート状オリフィス管により測
定した2次粒子粉末の流動性が2.0秒/cm3 以下で
あるためには、円形度の平均値が0.8以上であり、針
状比の平均値が1.5以下であることがより好ましい。
なお、比較のために、図11に示された従来の2次粒子
粉末では、その針状比は5〜10程度である。
【0062】有機系バインダーによって造粒された2次
粒子粉末本発明に係る2次粒子粉末1は、図4に示すよ
うに、1次粒子粉末2を窒素などのガス5によって流動
層4内に浮遊させるとともに、ノズル6から有機系のバ
インダー水溶液7を浮遊した1次粒子粉末に噴霧するこ
とにより、1次粒子粉末2を互いに結合させて形成され
る。
【0063】その2次粒子粉末に含まれる有機系バイン
ダーの量は2次粒子粉末の重量に対して0.05重量%
以上0.5重量%以下である。
【0064】従来、図10に示すように、ローラコンパ
クターやプレス等により圧延、圧縮などの塑性加工を施
して機械的に1次粒子粉末同士を結合させることによっ
て、粗大な2次粒子粉末を作製することは可能であっ
た。しかしながら、このような手法により得られた2次
粒子粉末は、図11に示すように、球状ではなく偏平状
に近くなるために、2次粒子粉末の流動性を十分に改善
することは困難であった。
【0065】また、前述したように、このような機械的
に結合されて得られる2次粒子粉末に、運搬や移動の際
に振動や衝撃が加わると、2次粒子粉末同士が機械的に
固着しているために、再度2次粒子粉末が分離して微粒
子粉末が多く存在するようになり、2次粒子粉末の流動
性が経時変化する。
【0066】このような問題点を解決するために、本発
明者は、強固な結合力を有し、かつ、得られた2次粒子
粉末が球形状になり、さらに、その圧粉成形体を焼結す
る際に焼結体中に残存しないように加熱過程で分解する
ような特性を有する有機系バインダーを結合剤として用
いることが有効であることを見出した。
【0067】特に、安全性および経済性の観点から、バ
インダーの溶媒としてはアルコール系の有機溶媒ではな
く、水を溶媒としたバインダー水溶液を使用する。そし
て、得られた2次粒子粉末中の有機系バインダーの量
は、2次粒子粉末全体に対して0.05重量%以上0.
5重量%以下であることが望ましい。有機系バインダー
の量が0.05重量%未満であると、1次粒子粉末同士
が十分に結合せずに、微粒な1次粒子粉末が残存するた
めに、2次粒子粉末の流動性を十分に改善できないとい
った問題が生じる。
【0068】一方、有機系バインダーの量が0.5重量
%を超えても、2次粒子粉末の流動性はさらに向上する
ことはなく、かえって2次粒子粉末同士がさらに結合し
て、粒子径が500μmを超えるような粗大粉末が形成
されて、2次粒子粉末の流動性が低下する。また、2次
粒子粉末中の有機系バインダーを熱分解により除去する
時間が長くなるために経済性の問題が生じる。
【0069】したがって、本発明に係る2次粒子粉末中
の有機系バインダーの量は2次粒子粉末全体に対して
0.05重量%以上0.5重量%以下であることが望ま
しく、2次粒子粉末の流動性の向上と有機系バインダー
の除去時間の短縮化のバランスを考慮すると、有機系バ
インダーの量は0.15重量%以上0.4重量%以下で
あることがより好ましい。
【0070】有機系バインダーの特性および種類 上述したように、有機系バインダーを除去するには、圧
粉成形体を焼結する前に焼結温度よりも低い温度域での
予備加熱工程(脱バインダー工程)が必要となる。この
工程の処理時間を短縮することは、経済性の向上に大き
く寄与する。
【0071】一般に、アルミニウム合金粉末の焼結現象
は430〜570℃の温度範囲で進行する。また、本発
明者が見出した直接窒化反応によるAlN(窒化アルミ
ニウム)を生成する方法では、温度400℃からマグネ
シウムによるアルミニウム合金粉末表面の酸化アルミニ
ウム被膜の還元分解が開始することなどから、本発明に
係る2次粒子粉末に含まれる有機系バインダーの分解温
度は、400℃以下であることが望ましい。
【0072】有機系バインダーの分解温度が400℃を
超えると、2次粒子粉末同士の界面に分解しない有機系
バインダーが残存するために、2次粒子粉末間の焼結現
象が抑制されたり、またはアルミニウムと窒素ガスとの
直接窒化反応が抑制されるといった問題が生じる。より
好ましくは、350℃以下の分解温度を有する有機系バ
インダーを適用することが、脱バインダー工程の温度管
理といった生産技術面における利点をもたらす。
【0073】上述したような特性を満足し、かつ、水に
溶解する有機系バインダーとしては、ポリビニルアルコ
ール(PVA)、ポリビニルメチルエーテル(PVM
E)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロ
キシエチルセルロース(HEC)などがある。これら以
外には、ポリビニルブチラール(PVB)、脂肪酸エス
テル、フェノール樹脂、ポリビニルエチルエーテル(P
VAE)、ポリビニルイソブチルエーテル(PVIE)
などでも1次粒子粉末同士を結合させる効果があり、か
つ、400℃以下の分解温度を有している。しかしなが
ら、これらの樹脂はアルコール系有機溶媒にのみ溶けて
水には溶解しないか、あるいは、水への溶解が困難であ
るために、本発明の製造方法に適用することは好ましく
ない。
【0074】2次粒子粉末からなるアルミニウム合金粉
末の製造方法 前述したように、本発明に係るアルミニウム合金粉末の
製造方法では、図4に示すように、まず、出発原料粉末
として既に説明した粒子径が5μm以上300μm以下
のアルミニウムを主成分とした1次粒子粉末2を流動層
4内で浮遊させた状態にして、この浮遊した1次粒子粉
末2に対して前述した有機系バインダー水溶液7を噴霧
させることにより、1次粒子粉末2を互いに結合させた
2次粒子粉末1を作製する造粒工程と、2次粒子粉末1
中に含まれるバインダー水溶液7の水分を除去する乾燥
工程とを繰返し行なうことにより、前述した所望の2次
粒子粉末を製造することが可能である。
【0075】有機系バインダー水溶液の噴霧 有機系バインダー水溶液の結合力により、1次粒子粉末
同士が結合する。このとき、大きな水滴が1次粒子粉末
と接触すると粗大な2次粒子粉末が形成されるため、有
機系バインダー水溶液は可能な限り微細な水滴として1
次粒子粉末に塗布することが有効である。このことか
ら、本発明者は、霧吹きやスプレーの原理を使用して、
有機系バインダー水溶液を噴霧することにより所定の粒
子径を有する2次粒子粉末が得られることを見出した。
【0076】特に、1次粒子粉末に対して均一に塗布す
る観点からは、有機系バインダーを霧状に噴霧する際
に、図4に示すように、流動層4内で流動層4の下部か
ら空気または窒素ガス5を流入させて1次粒子粉末2を
浮遊させた状態にして、その浮遊した1次粒子粉末2に
流動層4の上部から有機系バインダー水溶液7を噴霧す
ることが有効であることを見出した。その結果、所定の
粒子径を有する2次粒子粉末が、凝集、偏析を起こすこ
となく均一に製造できることが確認された。
【0077】逆に、流動層内の下部から空気または窒素
ガスなどを流入させずに1次粒子粉末を浮遊させない状
態で有機系バインダーを1次粒子粉末に噴霧すると、均
一な2次粒子粉末が得られないだけでなく、粗大な2次
粒子粉末が形成されるといった問題が生じる。
【0078】流動層内の温度 上述した2次粒子粉末を製造する方法において、流動層
内の温度は60℃以上120℃以下であり、より好まし
くは70℃以上90℃以下である。流動層内に流れる空
気または窒素ガスの温度管理は、2次粒子粉末中に含ま
れる有機系バインダー水溶液中の水分を蒸発除去するた
めに必要である。
【0079】この温度が60℃未満であれば、2次粒子
粉末中の水分および2次粒子粉末の乾燥工程に長時間を
要し経済性の問題が生じるとともに、高温下で2次粒子
粉末中に水分が残存する時間が長くなるために、2次粒
子粉末が酸化してしまう。また、2次粒子粉末中に水分
が残存した状態で2次粒子粉末を保管すると、2次粒子
粉末が酸化するといった問題も生じる。
【0080】一方、流動層内の温度が120℃を超えて
も、顕著な乾燥効果はなく、逆に、乾燥後の2次粒子粉
末を取出す際のハンドリング性の問題がある。また、流
入ガスの温度が120℃を超えると、スプレーから有機
系バインダー水溶液を噴霧中に水分が蒸発して、有機系
バインダーがスプレーノズルの先端に凝固、固着してノ
ズルが詰まり、有機系バインダーを均一に噴霧すること
ができなくなるといった問題が生じる。なお、乾燥効率
が良く、乾燥後の2次粒子粉末の取出を容易にするため
には、流動層内の温度を70℃以上90℃以下にするこ
とがより好ましい。
【0081】有機系バインダー水溶液の濃度 上述した2次粒子粉末の製造方法において、有機バイン
ダー水溶液の濃度は1%以上8%以下であることが望ま
しい。有機系バインダー水溶液の濃度が1%未満であれ
ば、十分な結合力が得られないために、本発明が規定す
る所定の2次粒子粉末を得ることが困難になる。
【0082】一方、有機系バインダー水溶液の濃度が8
%を超えると、有機系バインダー水溶液を噴霧する際に
有機系バインダーの粘性が大きいために微細な噴霧状水
滴が得られなくなり、その結果、粒子径が500μmを
超えるような粗大な2次粒子粉末が得られる。
【0083】したがって、本発明で使用する有機系バイ
ンダー水溶液の濃度は1%以上8%以下であることが望
ましく、さらには、その濃度を2%以上にすることによ
り、バインダー水溶液量の削減による造粒工程および乾
燥工程の短縮化といった経済性の効果が得られる。ま
た、有機系バインダー水溶液の濃度を5%以下にするこ
とにより、噴霧時におけるスプレー圧力の低減といった
経済性の効果が得られる。これらのことにより、有機系
バインダー水溶液の濃度は2%以上5%以下にすること
がより好ましい。
【0084】また、本発明者らは種々の実験および検討
を行なった結果、優れた流動性を有する鉄合金粉末と、
寸法精度の高い鉄合金焼結体の製造方法を発明した。そ
の構成を以下に示す。
【0085】本発明の第4の局面における鉄合金粉末
は、鉄を主成分とする鉄系1次粒子粉末同士を、また
は、鉄を主成分とする鉄系1次粒子粉末同士とともに非
鉄成分の1次粒子粉末を、それぞれバインダーによって
互いに結合させた2次粒子粉末からなる鉄合金粉末から
なる鉄合金粉末である。
【0086】好ましくは、鉄系1次粒子粉末の平均粒子
径は20μm以上100μm以下であり、2次粒子粉末
の平均粒子径は50μm以上200μm以下である。
【0087】好ましくは、2次粒子粉末のうち、45μ
m以下の粒子径を有する2次粒子粉末は、2次粒子粉末
全体の10重量%以下である。
【0088】好ましくは、ベット等温吸着式より得られ
る2次粒子粉末の表面積の値が0.08m2/g以下で
ある。
【0089】好ましくは、2次粒子粉末の表面はバイン
ダーによって覆われている。また好ましくは、バインダ
ーは有機バインダーである。
【0090】さらに好ましくは、2次粒子粉末中の有機
バインダーの量は0.05重量%以上5重量%以下であ
る。
【0091】また好ましくは、有機バインダーは、ポリ
ビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリエチレン
オキサイド、メチルセルロースおよびカルボキシルメチ
ルセルロースからなる群から選ばれるいずれかの有機化
合物を主成分とする。
【0092】好ましくは、可動セルと固定セルとからな
る水平2分割式引張り強度測定用セルを用いて、セル内
に鉄合金粉末を充填し、その鉄合金粉末に上方から所定
の荷重を加えて空隙率が0.5以上0.7以下の鉄合金
粉体層を形成し、可動セルを水平方向に引張ることによ
って鉄合金粉体層が破断する引張り破断強度を求め、そ
の引張り破断強度が100Pa以下である。
【0093】好ましくは、それぞれノッチが設けられた
固定板と可動板とからなる平行平板式せん断強度測定セ
ルを用いて、その固定板と可動板との間に鉄合金粉末を
挟み込み、その鉄合金粉末に上方から圧力を加えて空隙
率が0.5以上0.7以下である鉄合金粉体層を形成
し、所定の荷重のもとで固定板と平行に可動板を引張る
ことによって鉄合金粉末がせん断するせん断応力を求
め、その荷重とせん断応力との関係を示す破壊包絡線か
ら得られる1軸破壊強度が300Pa以下である。
【0094】また好ましくは、破壊包絡線に接するモー
ル円から得られる最大主応力の値を1軸破壊強度の値で
割った比の値が10以上である。
【0095】本発明の第5の局面における鉄合金焼結体
の製造方法は以下の工程を備えている。鉄を主成分とす
る鉄系1次粒子粉末同士を、または、鉄を主成分とする
鉄系1次粒子粉末同士とともに非鉄成分の1次粒子粉末
を、それぞれバインダーによって互いに結合させて2次
粒子粉末を作製する。2次粒子粉末を圧粉して圧粉成形
体を作製する。圧粉成形体の所定の寸法を測定する。圧
粉成形体を焼結して焼結体を作製する。圧粉成形体の所
定の寸法に対応する焼結体の所定の寸法を測定する。そ
して焼結体の所定の寸法の標準偏差の6倍の値を、圧粉
成形体の所定の寸法の標準偏差の6倍の値で割った値が
1.3以下になる。
【0096】好ましくは、2次粒子粉末を作製する造粒
工程と圧粉成形体を作製する工程との間に、2次粒子粉
末に潤滑剤を添加する工程を含んでいる。
【0097】次に、鉄合金粉末と鉄合金焼結体の特徴お
よび作用効果について説明する。 鉄系1次粒子粉末(原料粉末)の特性と2次粒子粉末の
特性について 平均粒径・粒度・比表面積 平均粒径20μm以上100μm以下の鉄系1次粒子粉
末を、バインダーによって互いに結合させた2次粒子粉
末の平均粒径は50μm以上200μm以下になること
が判明した。そして、上記のような平均粒径の範囲にあ
る2次粒子粉末は、高い流動性を示すことがわかった。
【0098】これは、2次粒子粉末の粒径が鉄系1次粒
子粉末の粒径よりも大きくなることで、粒子間の接触点
数が低減し、粒子間力が小さくなるためである。また、
2次粒子粉末に含まれる粒径45μm以下(篩目325
mesh下)の粒子の割合が10重量%以下であること
が望ましいことがわかった。これは、その割合が10重
量%を超えると、微粒子による粒子間の摩擦力が大きく
なり、結果として2次粒子粉末の流動性が低下するため
である。
【0099】さらに、BET法によって得られた2次粒
子粉末の比表面積は0.08m2/g以下であることが
望ましいことが明らかになった。BET法による比表面
積の値は、粉末の粒径や粒度分布と密接に関係してい
る。この値が0.08m2/gを大きく超える場合に
は、微粒子が比較的多く含まれていることを意味する。
微粒子が多く含まれることは、上述したように2次粒子
粉末の流動性を悪化させることになる。
【0100】なお、BET法では、Brunauer−
Emmet−Tellerの等温吸着式に基づいて、固
体の表面積が求められる。
【0101】また、鉄合金粉末には、通常主成分である
鉄粉末以外に、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、カーボ
ン(C)などの粒子が添加されたり、圧粉時に合金粉末
が金型に焼付くのを防止するために、ステアリン酸亜鉛
やワックスなどの固形潤滑剤が添加されている。
【0102】得られた2次粒子粉末にこれらの固形潤滑
剤を添加した場合と、鉄系1次粒子粉末に同様の固形潤
滑剤を添加した場合とでは、前者の方が後者の方よりも
流動性が向上していることが判明した。
【0103】力学的特性 粉末の流動性を示す指標は複数ある。中でも、予圧密荷
重を加えた粉体層の引張り強度、剪断強度を測定するこ
とにより、粉末の流動性を測定する方法が広く知られて
いる。粉末の流動性は粒子間同士の相互作用に支配され
る。その粒子間相互作用には付着力と摩擦力の種類があ
る。粉体層の引張り強度が付着力に関係し、剪断力は摩
擦力に関係すると言われている。特に粉体層の引張り強
度が小さいほど付着力は小さく、高流動性であると言え
る。
【0104】そこで、図9に示すように、可動セル22
と固定セル23とからなる水平二分割式引張り強度測定
セル21(三協パイオテク株式会社製パウダーベッドテ
スタ)を用いて、粉体層の引張り強度(破断強度)を測
定した。
【0105】具体的には、そのセル21内に鉄合金粉末
を充填し、その鉄合金粉末に予圧密荷重をかけて、空隙
率0.5以上0.7以下の鉄合金粉体層24を形成す
る。そして、可動セル22を水平に引張ることによって
その鉄合金粉体層24が破断する引張り強度を測定す
る。その結果、その引張り強度の値が100Pa以下で
ある場合に、鉄合金粉末は高い流動性を示すことが判明
した。
【0106】また、図10に示すように、ノッチがそれ
ぞれ設けられた固定板と可動板とからなる平行平板式剪
断強度測定セルを用いて、粉末の流れ関数を求めた。
【0107】具体的には、まず、予圧密荷重により空隙
率を0.5以上0.7に調整した粉体層を固定板と可動
板との間に挟み込む。その可動板に上方から荷重σをか
けた状態で、固定板に平行に可動板に剪断力を加える。
そして粉体層に滑りが生じて粉体層が崩壊するときの剪
断力τを求める。これを異なる3つの荷重についてそれ
ぞれ剪断力τを求める。
【0108】得られた荷重σと剪断力τの値の組から、
次のWarren−Springの式、 (τ/c)n=1+(σ/σT) τ:剪断応力、σ:荷重、σT:引張り応力、c:粘着
強度、n:剪断指数 における粘着強度cおよび剪断指数nを算出して、破壊
包絡線PYL(PowderYield Locus)を求める。そし
て、図11に示すように、σ−τ座標にこの破壊包絡線
を図示する。
【0109】σ−τ座標の原点を通り、破壊包絡線に接
するモール円Aを求める。モール円Aとσ軸との交点の
応力の値(Fc)を求める。この交点における応力は、
単位面積を有する円柱状の粉体を崩壊させるのに必要な
応力に相当し、一軸破壊強度と呼ばれる。
【0110】次に、破壊包絡線のE点に接するモール円
Bとσ軸との交点の応力の値σ1を求める。この応力σ1
は、特に最大主応力または最大圧密応力と呼ばれる。な
お、破壊包絡線におけるE点は、粉体層の空隙率が変化
せずに粉体層に剪断破壊が生じる点である。
【0111】その最大主応力σ1の値を一軸破壊強度Fc
の値で割った値を求める。この値は、一般に流れ関数
(Flow Function)と呼ばれる。この流れ関数の値が1
0より大きな場合に、その粉末は流動性が高いことがわ
かっている。
【0112】なお、空隙率は粉末の嵩体積中の空隙の割
合をいう。具体的には、粉末の重量を、粉末の真密度と
粉末の嵩体積との積で割った値である充填率を求め、1
からこの充填率の値を差引いた値が空隙率になる。
【0113】有機バインダー 2次粒子粉末からなる鉄合金粉末は、鉄を主成分とする
鉄系1次粒子粉末同士を、または、鉄を主成分とする鉄
系1次粒子粉末同士とともに非鉄成分の1次粒子粉末
を、それぞれバインダーによって互いに結合させること
によって製造される。その製造方法は、上述したアルミ
ニウム合金粉末の製造方法と同様である。
【0114】その2次粒子粉末中の有機バインダーの量
は0.05重量%以上5重量%以下の範囲にあることが
望ましい。有機バインダーの量が0.05重量%よりも
少ない場合には、2次粒子粉末の造粒が十分に行なわれ
ないために、微粒な1次粒子粉末が多く残留する。この
ため、2次粒子粉末の流動性は1次粒子粉末の場合に比
べてあまり向上しない。また、2次粒子粉末の結合力が
弱いために2次粒子粉末を搬送する際に細分化してしま
うおそれがある。
【0115】一方、有機バインダーの量が5重量%を超
える場合には、圧粉体を成形した後に有機バインダーを
除去する熱処理を行なっても、有機バインダーの成分が
残留することがある。このため、有機バインダー中のカ
ーボン(C)の存在により、焼結体中にボイドが発生し
て、焼結体の機械的強度が低下するおそれがある。ま
た、有機バインダーの量が5重量%よりも多い場合に
は、2次粒子粉末同士がさらに結合して、粗大な粉末が
形成されるおそれがある。
【0116】2次粒子粉末の表面には有機バインダーの
被膜が形成されている。このため、その2次粒子粉末を
金型に充填して圧粉することによって得られる圧粉体を
その金型から抜き出す際に発生する応力を低減すること
ができる。このことにより、通常金型への焼付きを防止
するために添加されるステアリン酸亜鉛やワックスなど
の固形潤滑剤の量を低減することができる。
【0117】このような固形潤滑剤は、一般的に微粒で
あることと、その性質から、粉末の流動性を悪化させる
ことがわかっている。したがって、そのような固形潤滑
剤の添加量を抑えることで2次粒子粉末の流動性を向上
することができる。
【0118】特に、本2次粒子粉末の場合には、固形潤
滑剤を添加しても2次粒子粉末の流動性が悪化するのを
防止できることが判明した。これは、2次粒子粉末を造
粒することで微粒末が減少し、微粉末と潤滑剤との摩擦
力が低下したことと、有機バインダーと固形潤滑剤との
間に静電気的な引力が作用し、潤滑剤がトラップされる
ためであると推察される。
【0119】その有機バインダーとしては、ポリビニル
アルコール、ポリビニルエーテル、ポリエチレンオキサ
イド、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロー
スのうち少なくとも1種類以上の有機化合物を主成分と
したものが望ましい。これらの有機バインダーは水溶性
であり、粘着性が強く、しかも500℃以下で容易に分
解するため、本2次粒子粉末からなる鉄合金粉末の造粒
に適している。
【0120】鉄合金焼結体の製造方法 本発明に係る鉄合金焼結体の製造方法では、鉄を主成分
とする鉄系1次粒子粉末同士を、または、鉄を主成分と
する鉄系1次粒子粉末同士とともに非鉄成分の1次粒子
粉末を、それぞれバインダーによって互いに結合させて
2次粒子粉末を製造する。その2次粒子粉末に圧力を加
えて圧粉成形体を作製し、1つの圧粉成形体について特
に圧縮方向の寸法を4ヶ所測定する。そして、その圧粉
成形体を焼結して焼結体を作製する。作製された焼結体
について、対応する4ヶ所の寸法を測定する。
【0121】本2次粒子粉末からなる鉄合金粉末を用い
た場合には、焼結体の寸法の標準偏差値を6倍した値
を、圧粉成形体の寸法の標準偏差値を6倍した値で割っ
た値が1.3以下になる。
【0122】本2次粒子粉末では、流動性が高いこと
で、2次粒子粉末を金型に充填する際に均一に充填され
て、圧粉成形体内における密度のばらつきや圧粉成形体
間の密度のばらつきが大幅に低減する。
【0123】そして、そのような圧粉成形体を焼結する
場合には、密度のばらつきが小さいために収縮挙動がほ
ぼ同じになり、焼結体内の密度のばらつきや焼結体間の
密度のばらつきも低減する。
【0124】その結果、焼結体の所定寸法の標準偏差値
を6倍した値を、圧粉成形体の所定寸法の標準偏差値を
6倍した値で割った値が1.3以下になる。
【0125】また、上述したように、金型への焼付きを
防止するために添加されるステアリン酸亜鉛やワックス
などの固形潤滑剤は、通常粉末の流動性を悪化させるこ
とがわかっている。
【0126】しかしながら、本2次粒子粉末の場合に
は、そのような固形潤滑剤を添加しても、2次粒子粉末
の流動性が悪化するのを防止できることが判明した。そ
の結果、本2次粒子粉末では、固形潤滑剤を添加しても
寸法精度の高い焼結体を製造することができることが確
認された。
【0127】さらに、本発明者らは流動性の高い金属粉
末と、寸法精度の高い金属焼結体を発明した。その構成
を以下に示す。
【0128】本発明の第5の局面における金属粉末は、
金属を主成分とする1次粒子粉末を、バインダーによっ
て互いに結合させた2次粒子粉末からなる。
【0129】好ましくは、バインダーは有機系バインダ
ーである。本発明の第6の局面における金属焼結体は、
金属を主成分とする1次粒子粉末をバインダーによって
互いに結合させた2次粒子粉末からなる圧粉体を焼結し
て得られた金属焼結体である。
【0130】次に、金属粉末と金属焼結体の特徴および
作用効果について説明する。 金属粉末と金属焼結体 アルミニウム合金粉末や鉄合金粉末に限られず、たとえ
ば銅などの他の金属についても、1次粒子粉末をバイン
ダーによって互いに結合させて2次粒子粉末を作製する
ことで、金属粉末の流動性を向上させることができる。
その結果、金型内への充填が均一に行われ、得られた圧
粉成形体を焼結して製造される金属焼結体の寸法精度が
向上する。
【0131】
【実施例】まず、アルミニウム合金粉末に関する実施例
について以下に説明する。
【0132】実施例1 アトマイズ法によって得られた、表1に示す粒子径を有
するアルミニウム合金粉末を1次粒子粉末(出発原料粉
末)として準備した。このアルミニウム合金粉末を円筒
状の転動式流動層造粒装置に充填し、底部から大気を流
し込み、アルミニウム合金粉末を流動層内部で浮遊させ
た状態で、上部からスプレーにより濃度2%のポリビニ
ルアルコール(PVA)水溶液を、アルミニウム合金粉
末の重量に対して10重量%(PVAの量がアルミニウ
ム合金粉末に対して0.2重量%)噴霧することにより
2次粒子粉末を作製した。
【0133】流動層内の温度を75℃とした。また、バ
インダーとしてのPVA水溶液の噴霧時間を15分、乾
燥時間を10分とした。その他の条件についても、いず
れも本発明が規定する適正範囲を満足する条件の下で2
次粒子粉末を作製した。
【0134】得られた2次粒子粉末の流動性および酸素
含有量を測定および分析した。2次粒子粉末の流動性
は、日本工業規格による金属粉の流動度試験方法(JI
S Z2502)に規定される流動性の測定方法に基づ
いて、口径2.6mmφのロート状オリフィス管と口径
4.0mmφのロート状オリフィス管のそれぞれを用い
て、2次粒子粉末25グラムが流動完了するまでの時間
を測定するとともに、その値を日本工業規格による金属
粉の見掛密度試験方法(JIS Z 2504)に基づ
いて測定した2次粒子粉末の見掛密度(AD)により換
算した2次粒子粉末25グラムに相当する2次粒子粉末
体積により除した数値を、流動性の評価指標として用い
た。その結果を同表1に示す。なお、いずれの1次粒子
粉末も、上述した測定方法において流動現象を示さなか
った。
【0135】
【表1】
【0136】本発明例No.1〜10においては、本発
明が規定する適正な粒子径を有する1次粒子粉末を出発
原料として用いることにより、得られた2次粒子粉末は
優れた流動性を有し、また、造粒工程および乾燥工程に
おいて顕著な酸化現象は生じていない。
【0137】特に、本発明例No.3〜6および9で
は、1次粒子粉末の粒子径が40〜200μmであり、
流動層造粒装置に充填する際に1次粒子粉末が舞うこと
なく容易に搬送することができた。また、この場合に
は、微粒子粉末の含有量が少ないために安価であるとい
った特徴を有するとともに、表1からもわかるように、
2次粒子粉末の流動性がより顕著に改善されていること
がわかる。したがって、粒子径が40〜200μmの1
次粒子粉末を出発原料粉末として用いることがより好ま
しいといえる。
【0138】一方、本発明が規定する適正範囲を満足し
ない比較例No.11〜13においては、次のような問
題が生じた。比較例No.11では、1次粒子粉末の粒
子径が5μm未満であり、特に、1μmを下回る微粒子
粉末が存在するために、造粒工程および乾燥工程におい
て顕著な酸化現象が生じたとともに、得られた2次粒子
粉末は、口径2.6mmφおよび口径4.0mmφのオ
リフィス管による流動性の測定において、流動性を示さ
なかった。
【0139】比較例No.12では、1次粒子粉末の粒
子径が5μm未満であるために、造粒工程および乾燥工
程において顕著な酸化現象が生じたとともに、得られた
2次粒子粉末においては、口径2.6mmφのオリフィ
ス管による流動性の測定において流動性を示さず、ま
た、口径4.0mmφのオリフィス管による流動性の測
定において、本発明の規定する適正範囲を満足しないこ
とがわかった。
【0140】比較例No.13では、1次粒子粉末の粒
子径が300μmを超えるために、得られた2次粒子粉
末は、口径2.6mmφのオリフィス管による流動性の
測定において流動性を示さず、また、口径4.0mmφ
のオリフィス管による流動性の測定において、本発明の
規定する適正範囲を満足しないことがわかった。
【0141】実施例2 アトマイズ法によって得られた、最小粒子径7μm、最
大粒子径180μm、平均粒径57μmである1次粒子
粉末を出発原料粉末とした。この1次粒子粉末を転動式
流動層造粒装置を用いて、1次粒子粉末に噴霧するPV
A水溶液バインダー(濃度3%)添加量を種々、変更す
ることにより、表2に示す粒子径を有する2次粒子粉末
を作製した。
【0142】得られた2次粒子粉末において、粒子径が
50μm以下である2次粒子粉末の含有率(重量基準)
も併せて同表2に示した。そして、2次粒子粉末の流動
性に関して、前述した日本工業規格に基づき、口径2.
6mmφのロート状オリフィス管と口径4.0mmφの
ロート状オリフィス管のそれぞれを用いて、2次粒子粉
末25グラムが流動完了するまでの時間を測定するとと
もに、その値を前述した日本工業規格に基づいて測定し
た2次粒子粉末の見掛密度(AD)により換算した2次
粒子粉末25グラムに相当する2次粒子粉末体積により
除した数値を、流動性の評価指標として用いた。その結
果を同表2に示す。
【0143】
【表2】
【0144】本発明例No.1〜6においては、本発明
が規定する適正な粒子径を有する2次粒子粉末は優れた
流動性を有していることがわかった。特に、本発明例N
o.3、4は、2次粒子粉末の粒子径が60μm以上2
50μm以下の範囲内であり、他の例に比べて特に優れ
た流動性を有していることが判明した。したがって、2
次粒子粉末の粒子径は60μm以上250μm以下であ
ることがより好ましいといえる。
【0145】一方、本発明が規定する適正範囲を満足し
ない比較例No.7〜9においては、次のような問題が
生じた。比較例No.7では、2次粒子粉末の粒子径が
50μm以下である粉末の含有率が25重量%を超える
ために、2次粒子粉末が良好な流動性を有さなかった。
【0146】比較例No.8では、2次粒子粉末の粒子
径が50μm以下である粉末の含有率が25重量%を超
えるために、2次粒子粉末が良好な流動性を有さなかっ
た。比較例No.9では、2次粒子粉末の粒子径が50
0μmを超える粗大粉末であるために、2次粒子粉末が
良好な流動性を有さなかった。
【0147】実施例3 アトマイズ法によって得られた、最小粒子径8μm、最
大粒子径150μm、平均粒子径46μmである1次粒
子粉末を出発原料粉末とした。この1次粒子粉末を転動
式流動層造粒装置を用いて、1次粒子粉末に噴霧するP
VA水溶液バインダー(濃度2%)添加量を種々、変更
することにより、表3に示す形状(円形度、針状比)を
有する2次粒子粉末を作製した。
【0148】そして、2次粒子粉末の流動性に関して、
前述した日本工業規格に基づき、口径2.6mmφのロ
ート状オリフィス管と口径4.0mmφのロート状オリ
フィス管のそれぞれを用いて、2次粒子粉末25グラム
が流動完了するまでの時間を測定するとともに、その値
を前述した日本工業規格に基づいて測定した2次粒子粉
末の見掛密度(AD)により換算した2次粒子粉末25
グラムに相当する2次粒子粉末体積により除した数値
を、流動性の評価指標として用いた。その結果を同表3
に示す。なお、円形度および針状比は、図2または図3
において説明したように、次式により算出した。
【0149】円形度=4π×(粒子1個の投影像の面
積)/(粒子1個の投影像の外周の長さ)2 針状比=粒子1個の投影像における最大径/最大径に交
差する方向の投影像の径
【0150】
【表3】
【0151】本発明例No.1〜4においては、本発明
が規定する適正な形状(円形度、針状比)を有する2次
粒子粉末は、優れた流動性を有していることがわかっ
た。特に、本発明例No.3、4は円形度が0.8以
上、針状比が1.5以下であり、他の例に比べて、より
優れた流動性を有していることが判明した。
【0152】一方、本発明が規定する適正範囲を満足し
ない比較例No.5〜8においては、次のような問題が
生じた。比較例No.5では、2次粒子粉末の円形度が
0.6未満であるために、2次粒子粉末が良好な流動性
を有さなかった。比較例No.6では、2次粒子粉末の
針状比が2.0を超えるために、2次粒子粉末が良好な
流動性を有さなかった。
【0153】比較例No.7では、2次粒子粉末の円形
度が0.6未満であり、かつ、針状比が2.0を超える
ために、2次粒子粉末の著しい流動性の低下を招いた。
比較例No.8では、2次粒子粉末の円形度が0.6未
満であり、かつ、針状比が2.0を超えるために、2次
粒子粉末の著しい流動性の低下を招いた。
【0154】実施例4 アトマイズ法によって得られた、本発明が規定する適正
な粒子径を有するアルミニウム合金の1次粒子粉末(最
小粒子径6μm、最大粒子径215μm、平均粒子径6
5μm)を出発原料粉末とした。この1次粒子粉末を転
動式流動層造粒装置内で有機系バインダー水溶液(バイ
ンダーの濃度2%)を噴霧することにより、1次粒子粉
末を互いに結合させて、表4に示す粒子径を有する2次
粒子粉末を作製した。
【0155】なお、1次粒子粉末に対して噴霧するバイ
ンダーの量を種々、変更し、2次粒子粉末を作製した。
得られた2次粒子粉末中のバインダーの含有量、粒子径
および流動性を評価した結果を同表4に示す。2次粒子
粉末の流動性に関しては、前述した日本工業規格に基づ
き、口径2.6mmφのロート状オリフィス管と口径
4.0mmφのロート状オリフィス管とをそれぞれ用い
て、2次粒子粉末25グラムが流動完了するまでの時間
を測定するとともに、その値を前述した日本工業規格に
基づいて測定した2次粒子粉末の見掛密度(AD)によ
り換算した2次粒子粉末25グラムに相当する2次粒子
粉末体積により除した数値を、流動性の評価指標として
用いた。
【0156】
【表4】
【0157】本発明例No.1〜8においては、本発明
が規定する水溶液の結合用バインダーを使用して作製し
た2次粒子粉末は、適正量のバインダーを含有すること
により、優れた流動性を有していることが判明した。
【0158】一方、本発明が規定する適正範囲を満足し
ない比較例No.9〜13においては、次のような問題
が生じた。比較例No.9では、バインダーの含有量が
0.015重量%と少ないために、粒子径50μm以下
の粉末の含有率が25%を超えて、その結果、2次粒子
粉末が良好な流動性を有さなかった。比較例No.10
では、バインダーの含有量が0.030重量%と少ない
ために、粒子径が10μm未満となり、その結果、2次
粒子粉末が良好な流動性を有さなかった。
【0159】比較例No.11では、バインダーの含有
量が0.60重量%と多いために、粒子径が500μm
を超える粗大粉末が形成されて、その結果、2次粒子粉
末が良好な流動性を有さなかった。比較例No.12で
は、バインダーの含有量が0.025重量%と少ないた
めに、粒子径50μm以下の粉末の含有率が25%を超
えて、その結果、2次粒子粉末が良好な流動性を有さな
かった。
【0160】比較例No.13では、バインダーの含有
量が0.80重量%と多いために、粒子径が500μm
を超える粗大粉末が形成されて、その結果、2次粒子粉
末が良好な流動性を有さなかった。
【0161】実施例5 アトマイズ法によって得られた、本発明が規定する適正
な粒子径を有するアルミニウム合金の1次粒子粉末(最
小粒子径7μm、最大粒子径148μm、平均粒子径3
7μm)を出発原料粉末とした。また、表5に示すよう
な分解温度を有する有機系バインダーを蒸留水で希釈し
て、濃度3%の有機系バインダー水溶液を準備した。出
発原料粉末を転動式流動層造粒装置(温度70〜80℃
に保持)内で浮遊させた状態で、上部よりバインダーを
噴霧することにより、1次粒子粉末を複数個結合させて
2次粒子粉末を作製した。
【0162】得られた2次粒子粉末を面圧7t/cm2
で圧粉固化した後、400℃に管理した窒素ガス雰囲気
中で1時間加熱保持することにより、圧粉成形体中のバ
インダーを除去することを試みた。そして、その試料か
ら抗折試験片を作製し、曲げ強度を測定した。2次粒子
粉末中のバインダーの含有量、加熱後の圧粉成形体中の
バインダーの量および曲げ強度の測定結果を同表5に示
す。
【0163】
【表5】
【0164】本発明例No.1〜4においては、本発明
が規定する分解温度を有するバインダーを使用して作製
した2次粒子粉末を用いることにより、それらの圧粉成
形体のバインダーを、400℃の加熱処理により十分に
分解および除去することができ、残存するバインダーの
量は測定限界以下(<0.01%)であることがわかっ
た。また、バインダーを十分に除去することによって
は、圧粉成形体の強度は低下しないことも確認された。
なお、残存するバインダーの量は、TG−MS法により
測定した。
【0165】一方、本発明が規定する適正範囲を満足し
ないバインダーを用いて作製した比較例No.5.6で
は、ともに、バインダーの分解温度が440℃と高いた
めに、加熱処理を施した圧粉成形体中にはバインダーが
残存しており、十分にバインダーが除去されていないこ
とがわかった。その結果、2次粒子粉末間における焼結
現象が阻止されて、圧粉成形体の強度が低下した。
【0166】実施例6 アトマイズ法によって得られた、本発明が規定する適正
な粒子径を有するアルミニウム合金の1次粒子粉末(最
小粒子径7μm、最大粒子径146μm、平均粒子径4
1μm)を出発原料粉末とした。この1次粒子粉末を転
動式流動層造粒装置内に充填した後、装置底部から流量
50リットル/時間の窒素ガスを流入させることによ
り、1次粒子粉末を造粒装置内で浮遊させた状態にし、
上部よりスプレーによりPVAバインダー水溶液を噴霧
することで、1次粒子粉末を互いに結合させて2次粒子
粉末を作製した。
【0167】PVAバインダー水溶液の濃度および流動
層の温度を表6に示す条件とし、得られた2次粒子粉末
の粒子径および酸素含有量の測定結果を同表6に示す。
【0168】
【表6】
【0169】本発明例No.1〜4においては、本発明
が規定するバインダー濃度および流動層内温度をそれぞ
れ管理して作製した2次粒子粉末は、適正な粒子径を有
し、かつ、顕著な酸化現象を生じることなく良好な粉末
であることが確認された。
【0170】一方、本発明が規定する適正範囲を満足し
ない製造条件を用いて作製した比較例No.5〜8で
は、次のような問題が生じた。比較例No.5では、バ
インダー濃度が0.5重量%と小さいために、1次粒子
粉末同士の結合が十分に進行せず、その結果、適切な粒
子径を有する2次粒子粉末を作製することができなかっ
た。比較例No.6では、流動層内の温度が50℃と低
いために、粉末の乾燥が不十分となり、造粒および乾燥
過程において2次粒子粉末が酸化した。
【0171】比較例No.7では、流動層内の温度が1
25℃と高いために、バインダーを噴霧している際に、
バインダーがノズル先端で凝固してノズル詰まりが生じ
て、安定してバインダーを噴霧することができなかっ
た。比較例No.8では、バインダー濃度が10重量%
と大きいために、バインダーの粘性が増加し、スプレー
噴霧時に微細な水滴状のバインダーが形成されず、その
結果、粒子径が500μmを超える粗大な2次粒子粉末
が形成された。
【0172】実施例7 アトマイズ法によって得られた、本発明が規定する適正
な粒子径を有するアルミニウム合金の1次粒子粉末(最
小粒子径6μm、最大粒子径98μm、平均粒子径34
μm)を出発原料粉末とした。この1次粒子粉末を転動
式流動層造粒装置内に充填させた後、装置底部から流量
50リットル/時間の空気を流入させることにより、1
次粒子粉末を装置内で浮遊させた状態にし、装置の上部
からスプレーによりPVAバインダー水溶液を噴霧する
ことで1次粒子粉末を互いに結合させて2次粒子粉末を
作製した。
【0173】このとき、バインダー水溶液の濃度および
噴霧量を変えることにより、表7に示すような見掛密度
(AD)、タップ密度(TD)を有する2次粒子粉末を
作製した。なお、既に説明したように、AD値、TD値
はそれぞれ日本工業規格による金属粉の見掛密度試験方
法(JIS Z 2504)に記載の方法および日本粉
末冶金工業会による金属粉のタップ密度試験方法(JP
MA P 08)に記載の方法に基づいて測定した。ま
た、同表7中の比較例No.7は出発原料粉末(1次粒
子粉末)である。
【0174】そして、図5の模式図に示すように、得ら
れた2次粒子粉末1を上部から縦100mm×横100
mm×深さ50mmのシューボックス(粉末供給箱)8
に充填し、このシューボックス8を、金型9に形成され
た外径40mmφ×内径30mmφのリング状金型フィ
ル10上で前後に移動させることにより、金型フィル1
0内に2次粒子粉末1を給粉および充填することを試み
た。シューボックス8を前後に移動させる回数(1往復
を1回とする)と粉末充填量の関係を同表7に示す。
【0175】
【表7】
【0176】本発明例No.1〜4においては、本発明
が規定するAD/TDの値を有する2次粒子粉末が得ら
れ、シューボックスを2〜4回移動させることによりタ
ップ密度に近い充填状態となり、短時間で十分に2次粒
子粉末を金型内に充填できることが確認された。
【0177】一方、本発明が規定する適正範囲を満足し
ない比較例No.5〜7では、次のような問題が生じ
た。比較例No.5では、AD/TDの値が74.2%
と小さいために、シューボックスの5回の移動ではタッ
プ密度に近い2次粒子粉末の充填を行なうことは困難で
あり、本発明No.1〜4に比べて金型への給粉に時間
が要することがわかった。なお、この場合にはシューボ
ックスの10回の移動によってようやく所定の充填量を
確保することができた。
【0178】比較例No.6では、AD/TD値が7
5.0%と小さいために、シューボックスの5回程度の
移動ではタップ密度に近い2次粒子粉末の充填を行なう
ことは困難であり、本発明No.1〜4に比べて金型へ
の給粉に時間が要することが判明した。なおこの場合に
は、シューボックスの10回の移動によってようやく所
定の充填量を確保することができた。
【0179】比較例No.7では、金型に充填する粉末
が原料粉末であるために難流動性であり、かつ、AD/
TDの値が70.1%と小さいために、シューボックス
の5回程度の移動ではタップ密度に近い粉末充填を行な
うことは困難であり、所定の充填量を確保するために1
0回程度シューボックスを移動させなければならないこ
とがわかった。
【0180】実施例8 アトマイズ法によって得られた、本発明が規定する適正
な粒子径を有するアルミニウム合金の1次粒子粉末(最
小粒子径6μm、最大粒子径175μm、平均粒子径5
8μm)を出発原料粉末とした。転動式流動層造粒装置
内で、この1次粒子粉末にPVAバインダー水溶液を噴
霧することにより、1次粒子粉末を互いに結合させた2
次粒子粉末を作製した。得られた2次粒子粉末の外観に
ついて、走査型電子顕微鏡 (SEM)により観察した写
真を図6に示す。
【0181】図6に示された2次粒子粉末は、1次粒子
粉末1kgに対して濃度2%のPVA水溶液を150g
噴霧(バインダー量0.3重量%)させて得られた2次
粒子粉末である。この2次粒子粉末では、平均粒子径2
21μm、最大粒子径340μm、最小粒子径52μm
となり、本発明が規定する流動性を満足することが確認
された。また、いずれの2次粒子粉末も、擬似球形状を
呈していることが確認された。
【0182】一方、比較のために、1次粒子粉末1kg
に対して濃度4%のPVA水溶液を250g噴霧(バイ
ンダー量1.0重量%)させて得られた2次粒子粉末の
外観SEM写真を図7に示す。この2次粒子粉末では、
平均粒子径340μm、最大粒子径327μm、最小粒
子径143μmとなり、本発明が規定する適正な粒子径
の範囲や流動性を満足しないことが確認された。また、
バインダーの量が多すぎるために、2次粒子粉末同士が
さらに結合(2次結合現象) した粗大な粒子が形成され
ていることが確認された。
【0183】また、比較のために、1次粒子粉末1kg
に対して濃度10%のPVA水溶液を100g噴霧(バ
インダー量1.0重量%)させて得られた2次粒子粉末
の外観SEM写真を図8に示す。この2次粒子粉末で
は、バインダーの濃度が10%と大きいために、平均粒
子径441μm、最大粒子径685μm、最小粒子径1
52μmとなり、本発明が規定する適正な粒子径の範囲
や流動性を満足しないことが確認された。
【0184】次に、鉄合金粉末に関する実施例について
以下に説明する。 実施例9 アトマイズ法によって得られた、表8に示す平均粒径を
有する鉄合金粉末(鉄系1次粒子粉末および非鉄金属成
分の1次粒子粉末)を準備した。その鉄合金粉末を転動
式流動層造粒装置に装填した。その転動式流動層造粒装
置の底部から所定温度の大気を送り込み、鉄合金粉末を
流動層内部で浮遊させた状態で、上部に取付けたノズル
から、濃度5%のポリビニルアルコール(以下「PV
A」と記す)水溶液を吹き付けた。PVAの固形分が鉄
合金粉末の2重量%となるように調整した。流動層内部
の温度を約60℃に保った。PVAを吹き付けた後、同
じ流動層内部で約15分間程度の乾燥を行ない、2次粒
子粉末を作製した。
【0185】得られた2次粒子粉末を、寸法約150m
m×150mm×高さ75mmのシューボックス(粉末
供給用)内に充填した。そのシューボックスを前後方向
に運動させて、外径45mmφ×内径35mmφの金型
フィル内に2次粒子粉末を供給した。シューボックスの
往復回数を3回とした。2次粒子粉末を供給した後に圧
粉し圧粉体を作製した。連続して20個の圧粉体を作製
した。
【0186】圧粉体の圧縮方向の厚さを1つの圧粉体に
つき4ヶ所測定した。その測定値から標準偏差を算出
し、その標準偏差値(σ)の6倍の値(6σ)を寸法精
度とした。次に、圧粉体を焼成して焼結体を作製した。
圧粉体と同様に、得られた焼結体の厚さを1つの焼結体
につき4ヶ所測定し、同様に寸法精度6σを算出した。
【0187】2次粒子粉末の流動性を、前述したよう
に、三協パイオテク株式会社製のパウダーベッドテスタ
を用いて評価した。まず、2次粒子粉末の流れ関数を、
平行平板式剪断強度測定セルを用いて評価した。その手
順を簡単に説明する。予め所定の空隙率0.5〜0.7
になるように、予圧密荷重を粉体層に加える。3水準の
垂直荷重をその粉体層に加え剪断試験を行なう。剪断試
験における垂直荷重(σ)と剪断応力(τ)をグラフ上
にプロットし、破壊包絡線を求める。(図11を参照) 次に、σ−τ座標の原点を通り、破壊包絡線に接する限
界モール円Aを求める。この限界モール円Aとσ軸との
交点の応力、すなわち、一軸破壊応力または一軸破壊強
度Fcを求める。破壊包絡線のE点に接するモール円B
とσ軸との交点の応力、すなわち、最大圧密応力σ1
求める。その最大圧密応力σ1を一軸破壊応力Fcで割
る。その値が粉体の流れ関数(F.F)になる。この値
が10以上の場合に高流動性と判断される。
【0188】次に、2次粒子粉末の引張り強度を、水平
二分割式引張り強度測定セルを用いて評価した。その手
順を簡単に説明する。剪断試験の場合と同様に、所定の
空隙率0.5〜0.7になるように予圧密荷重を粉体層
に加える。つぎに、可動セルに水平方向に引張り応力を
加える。その粉体層が崩壊するときの荷重を読取り、引
張り強度を算出する。
【0189】また、2次粒子粉末に含まれる粒径45μ
m以下の粒子の重量割合を、篩分け法によって評価し
た。
【0190】2次粒子粉末の比表面積を、BET法によ
るガス吸着方法によって測定した。結果を表8に示す。
【0191】
【表8】
【0192】表8の発明例(No.1〜4)に示すよう
に、鉄系1次粒子粉末の平均粒径が20μm以上100
μm以下の範囲にある場合に得られる2次粒子粉末の流
れ関数(F.F)が10以上となり、高流動性を示すこ
とがわかった。
【0193】また、発明例(No.5、6)に示すよう
に、鉄系1次粒子粉末同士とともに、非鉄成分としての
カーボン(C)または銅(Cu)の1次粒子粉末を結合
させた2次粒子粉末の場合にも、2次粒子粉末の流れ関
数(F.F)は10以上となり、高流動性を示すことが
わかった。
【0194】このような高流動性を示す2次粒子粉末の
特徴として、平均粒径は50μm以上であり、平均粒径
が45μm以下の粒子の割合は10重量%以下であっ
た。
【0195】2次粒子粉末の平均粒径が200μmを超
えると、成形性が悪化するために好ましくない。したが
って、2次粒子粉末の平均粒径は、50μm以上200
μm以下の範囲であることが好ましい。この2次粒子粉
末を用いて圧粉体を作製するとともに、その圧粉体を焼
成して焼結体を作製した。
【0196】焼結体の所定の寸法精度を圧粉体の所定の
寸法精度で割った値(焼結体の寸法精度/圧粉体の寸法
精度)が1.3以下となり、焼結体の寸法精度のばらつ
きを小さく抑えることができることが判明した。これ
は、高流動性を有する2次粒子粉末が金型内に均一に充
填され、均一な密度の圧粉体が得られたためであると考
えられる。
【0197】一方、鉄系1次粒子粉末の流動性を評価し
た結果を、比較例(No.7〜10)に示した。それぞ
れに示されるように、鉄系1次粒子粉末では、粒径45
μm以下の微粒子の割合が高く、また、比表面積の値も
大きいために、流動性が低いことがわかる。
【0198】また、この鉄系1次粒子粉末を用いて成形
した圧粉体と焼結体についてそれぞれ寸法精度を評価し
たところ、焼結体の寸法精度を圧粉体の寸法精度で割っ
た値が1.3よりも大きくなり、焼結体の寸法精度が悪
化していることが判明した。
【0199】さらに、平均粒径が適正範囲にない2次粒
子粉末の場合を比較例(No.11、12)に挙げた。
この場合、鉄系1次粒子粉末の平均粒径以外は、発明例
(No.1)の場合と同様の手法により2次粒子粉末を
作製した。鉄系1次粒子粉末の平均粒径が18μmの場
合には、得られる2次粒子粉末の平均粒径が30μmで
あり、平均粒径45μm以下の粒子の割合が70重量%
になった。その結果、流れ関数(F.F)は3.4とな
り、流動性が低いことが判明した。
【0200】一方、鉄系1次粒子粉末の平均粒径が10
0μmを超える場合には、2次粒子粉末の平均粒径が2
00μmより大きくなり、流動性は比較的高いが、高い
成形密度を得ることが困難になるという問題が生じた。
【0201】また、比表面積の値(BET値)は0.0
8m2/g以下である場合に2次粒子粉末は高流動性を
示すことがわかった。さらに、2次粒子粉末の引張り強
度と一軸破壊強度を求めたところ、引張り強度は100
Pa以下、一軸破壊強度は300Pa以下である場合
に、流れ関数(F.F)が適正範囲にあることが判明し
た。
【0202】実施例10 実施例9に準じた手順により、鉄系1次粒子粉末から2
次粒子粉末を作製した。作製した2次粒子粉末に、表9
に示すような組成割合にて、カーボン(C)、銅(C
u)粉末、または固形潤滑剤として、パラフィンワック
スまたはステアリン酸亜鉛粉末を添加した。この2次粒
子粉末をV型混合ミキサにて約30分間混合して、混合
粉末を作製した。
【0203】得られた混合粉末を圧粉して圧粉体を作製
した。その圧粉体を焼結して焼結体を作製した。実施例
9に準じた手順により、圧粉体と焼結体のそれぞれの所
定の寸法精度を評価した。また、2次粒子粉末の流れ関
数(F.F)、引張り強度および一軸破壊強度を測定し
た。その結果を表9に示す。
【0204】
【表9】
【0205】2次粒子粉末に、カーボンや銅などの金属
粉末、パラフィンワックスやステアリン酸亜鉛などの非
金属粉末を添加した混合粉末の場合でも、焼結体の寸法
精度の劣化は小さいことが判明した。
【0206】また、その混合粉末の流れ関数(F.F)
は10以上であり、高流動性を示すことが判明した。し
たがって、得られた2次粒子粉末は、混合粉末として実
用的に使用する際にも有効であることがわかった。
【0207】さらに、得られた混合粉末をSEMにより
観察したところ、添加された固形潤滑剤の多くが、2次
粒子粉末の表面に付着していることが明らかとなった。
【0208】比較例(No.5)では、鉄系1次粒子粉
末にカーボン粉末0.8重量%、パラフィンワックス粉
末0.7重量%を添加し作製した混合粉末の流動性を評
価した。その結果、流れ関数(F.F)の値は6.3で
あり、この1次粒子粉末を用いて作製した焼結体では、
寸法精度が大きく低下することがわかった。
【0209】また、SEMによる観察により、この比較
例(No.5)の場合には、鉄合金粉末と固形潤滑剤が
単独に存在していることがわかった。
【0210】このことにより、2次粒子粉末の高流動性
は、鉄合金の微粒子が減少したことと、固形潤滑剤が2
次粒子粉末の表面に付着し、単独に存在している固形潤
滑剤が減少したことによるものと考えられる。
【0211】そして、流動性の高い2次粒子混合粉末が
作製されて、2次粒子混合粉末が金型内に均一に充填さ
れる結果、焼結体の寸法精度が向上すると考えられる。
【0212】実施例11 実施例9に準じた手順により、鉄系1次粒子粉末から2
次粒子粉末を作製した。この際、有機バインダーの種類
とその添加量を表10に示すように調整した。得られた
2次粒子粉末について、実施例9および10と同様に、
流れ関数(F.F)、引張り強度、一軸破壊強度、45μ
m以下の粒子の割合および所定の寸法精度を評価した。
その結果を表10に示す。
【0213】
【表10】
【0214】発明例(No.1〜3)では、PVAの量
を2次粒子粉末の重量に対して0.05〜5重量%の範
囲内で変化させた。PVAの量がこの範囲にある場合に
は、2次粒子粉末の流れ関数(F.F)が10を超え、
流動性は良好であることがわかった。
【0215】2次粒子粉末について、引張り強度および
一軸破壊強度を評価した。また、得られた2次粒子粉末
を用いて圧粉体を成形し、さらにこれを焼結して焼結体
を作製した。そして、圧粉体と焼結体の所定の寸法精度
を評価した。その結果、いずれの値も所定の範囲内の値
を満足していることがわかった。
【0216】さらに、この評価においては、鉄系1次粒
子粉末として平均粒径が74μmのものを用いたが、平
均粒径が20μm以上100μm以下の鉄系1次粒子粉
末を用いた場合にも、PVAの量が0.05〜5重量%
の範囲にあれば、同様の結果が得られることがわかっ
た。
【0217】また、発明例(No.4〜7)では、有機
バインダーとしてポリビニルエーテル、ポリエチレンオ
キサイド、メチルセルロース、カルボキシルメチルセル
ロースをそれぞれ使用した。そして、それぞれの有機バ
インダーの量が1.0重量%となるように2次粒子粉末
を作製した。これらの発明例の場合にも、PVAを用い
た場合と同様の結果が得られ、上記したこれらの有機バ
インダーもバインダーとして有効であることがわかっ
た。
【0218】一方、有機バインダーの量が適正範囲にな
い場合についても評価した。その結果を比較例(No.
8〜11)に示す。有機バインダーの濃度が0.02重
量%の場合には、結合力が小さいために、2次粒子粉末
の粒径は大きくならず、流動性を向上することができな
いことがわかった。
【0219】また、有機バインダーの濃度が低い場合に
は、2次粒子粉末のハンドリングの際に、2次粒子粉末
が砕けやすくなる傾向があるので好ましくないことがわ
かった。一方、有機バインダーの濃度が5重量%を超え
ると、2次粒子粉末の粒径が大きくなりすぎて成形性が
悪化することがわかった。
【0220】実施例12 平均粒径が75μmの鉄系1次粒子粉末を用意した。そ
の鉄系1次粒子粉末を、実施例9と同様の方法で処理す
ることにより、平均粒径が92μmの2次粒子粉末を作
製した。有機バインダーとしてPVAを用い、その量を
2重量%とした。得られた2次粒子粉末に、さらに0.
8重量%のカーボン粉末と0.8重量%のステアリン酸
亜鉛粉末を添加混合し、混合粉末を作製した。
【0221】次に、作製した2次粒子粉末または2次粒
子混合粉末を、シューボックス内に充填するとともに、
充填した混合粉末を所定の金型フィル内に供給した。こ
の際、シューボックスの往復回数を3回とした。金型フ
ィル内に供給した後、2次粒子粉末または2次粒子混合
粉末を加圧し、圧粉体を作製した。連続して20個の圧
粉体を作製した。そのうち、偶数番目の圧粉体の重量と
そのばらつきを評価した。さらに、その圧粉体を焼成
し、焼結体と圧粉体の所定の寸法精度をそれぞれ比較し
た。結果を表11に示す。
【0222】
【表11】
【0223】一方、比較のために比較例(No.3、
4)として、鉄系1次粒子粉末および鉄系1次粒子粉末
に0.8重量%のカーボン粉末と0.8重量%のステア
リン酸亜鉛を添加した混合粉末についても同様の評価を
行なった。
【0224】発明例(No.1、2)および比較例(N
o.3、4)に示すように、2次粒子粉末および2次粒
子混合粉末を用いた場合には、圧粉体の重量のばらつき
が相対的に小さくなっていることがわかった。また、2
次粒子粉末または2次粒子混合粉末を用いた場合の方が
鉄系1次粒子粉末または鉄系1次粒子混合粉末を用いた
場合よりも、焼結体の寸法精度を向上することができる
ことがわかった。すなわち、2次粒子粉末の高流動性に
より、金型内に均一に充填される結果、焼結体の寸法精
度が向上することが確認された。
【0225】粉末の連続供給においては、圧粉体の重量
のばらつきは、粉末として2次粒子粉末を用いた場合の
方が、鉄系1次粒子粉末を用いた場合よりも低く抑える
ことができた。これは、2次粒子粉末の方が鉄系1次粒
子粉末の場合よりも流動性が高いことによるものと考え
られる。
【0226】実施例13 アトマイズ法によって得られた、鉄系1次粒子粉末を出
発原料粉末として、この鉄系1次粒子粉末にPVAバイ
ンダー水溶液を噴霧することにより、鉄系1次粒子粉末
を互いに結合させた2次粒子粉末を作製した。得られた
2次粒子粉末の外観について、走査型電子顕微鏡 (SE
M)により観察した。
【0227】まず、発明例に係る2次粒子粉末の外観を
図12に示す。図12に示された2次粒子粉末は、PV
Aの含有量が1.0重量%の2次粒子粉末である。この
2次粒子粉末では、本発明が規定する適正な粒子径の範
囲や流動性を満足し、この2次粒子粉末を圧粉焼結して
得られる焼結体の所望の寸法精度が向上することが確認
された。
【0228】一方、比較例として、PVAの含有量が
0.02重量%と6重量%の2次粒子粉末の外観を図1
3、14にそれぞれ示す。図13または図14に示され
た2次粒子粉末では、本発明が規定する適正な粒子径の
範囲や流動性を満足せず、所望の寸法精度の高い焼結体
を製造することができないことがわかった。
【0229】特に、図14に示された2次粒子粉末で
は、PVAの量が多すぎるために、2次粒子粉末同士が
さらに結合(2次結合現象) した粗大な粒子が形成され
ていることが確認された。
【0230】なお、1次粒子粉末をバインダーによって
互いに結合させることにより流動性に優れた2次粒子粉
末を作製する考え方は、上記各実施例において説明した
アルミニウム合金粉末や鉄合金粉末に限られず、たとえ
ば銅などの他の金属粉末についても同様に適用すること
ができる。そして、そのような金属粉末を圧粉し焼結す
ることで、寸法精度の高い金属焼結体を得ることができ
る。
【0231】今回開示された実施例は全ての点で例示で
あって、制限的なものではないと考えられるべきであ
る。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の
範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味およ
び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図され
る。
【0232】
【発明の効果】本発明に係るアルミニウム合金の2次粒
子粉末を用いることにより、2次粒子粉末の流動性およ
び金型への充填性が改善されて、たとえば、トロコイド
曲線、インボリュート曲線、ハイポサイクロイド曲線の
いずれかを基調とした歯形形状を内周部または外周部に
有する内接ロータセットを高い寸法精度で創製すること
ができる。その結果、機械加工費の削減による経済性の
改善や、ロータの歯形部間のチップクリアランスの削減
によるポンプ性能の向上といった効果が得られて、他の
駆動系部品や動弁系部品においても同様の効果を得るこ
とが期待できる。
【0233】また、本発明に係る鉄合金粉末の2次粒子
粉末を用いることにより、2次粒子粉末の流動性および
金型への充填性が改善されて、寸法精度の高い鉄合金焼
結体からなる機械部品等を製造することができる。その
結果、焼結体に付加的に機械加工を施す必要がなくな
り、機械部品等の製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係る2次粒子粉末の断面構
造を示す模式図である。
【図2】 本発明の実施例に係る2次粒子粉末の円形度
を示す図である。
【図3】 本発明の実施例に係る2次粒子粉末の針状比
を示す図である。
【図4】 本発明の実施例に係る2次粒子粉末の製造工
程を示す図である。
【図5】 本発明の実施例に係る2次粒子粉末を金型内
に充填する際の様子を示す一断面図である。
【図6】 本発明の実施例8に係る2次粒子粉末の外観
SEM写真である。
【図7】 同実施例において、比較のための1つの2次
粒子粉末の外観SEM写真である。
【図8】 同実施例において、比較のための他の2次粒
子粉末の外観SEM写真である。
【図9】 本発明の実施例9において、2次粒子粉末の
引張り強度を測定するための水平2分割式引張り強度測
定セルの断面模式図である。
【図10】 同実施例において、2次粒子粉末の流れ関
数を測定するための平行平板式剪断強度測定セルの断面
模式図である。
【図11】 同実施例において、2次粒子粉末の流れ関
数を求めるための破壊包絡線とモール円を示す図であ
る。
【図12】 本発明の実施例13に係る2次粒子粉末の
外観SEM写真である。
【図13】 同実施例において、比較のための2次粒子
粉末の外観SEM写真である。
【図14】 同実施例において、比較のための他の2次
粒子粉末の外観SEM写真である。
【図15】 アトマイズ法によって得られるアルミニウ
ムの1次粒子粉末の外観模式図である。
【図16】 従来のアルミニウム2次粒子粉末の製造工
程を示す図である。
【図17】 従来の2次粒子粉末の断面構造を示す模式
図である。
【符号の説明】
1 2次粒子粉末、1a 投影像、2 1次粒子粉末、
3 バインダー、4流動層、5 ガス、6 ノズル、7
バインダー水溶液、8 シューボックス、9 金型、
10 金型フィル、21 水平2分割式強度測定セル、
22 可動セル、23 固定セル、24 粉体層、25
平行平板式剪断強度測定セル、26可動板、27 固
定板、A、B モール円。

Claims (38)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムを主成分とする1次粒子粉
    末を、バインダーによって互いに結合させた2次粒子粉
    末からなる、アルミニウム合金粉末。
  2. 【請求項2】 アルミニウムを主成分とする1次粒子粉
    末を、互いに結合させた2次粒子粉末からなるアルミニ
    ウム合金粉末であって、 前記2次粒子粉末は、前記2次粒子粉末を投影すること
    によって得られる投影像において、次の式、 針状比=粒子1個の投影像における最大径/最大径に直
    交する方向の投影像の径によって与えられる針状比の平
    均値が2.0以下である、アルミニウム合金粉末。
  3. 【請求項3】 前記1次粒子粉末は、アトマイズ法によ
    って得られた急冷凝固粉末である、請求項1また2に記
    載のアルミニウム合金粉末。
  4. 【請求項4】 前記2次粒子粉末の粒子径は10μm以
    上500μm以下である、請求項1または2に記載のア
    ルミニウム合金粉末。
  5. 【請求項5】 前記1次粒子粉末の粒子径は5μm以上
    300μm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載
    のアルミニウム合金粉末。
  6. 【請求項6】 前記2次粒子粉末のうち、50μm以上
    の粒子径を有する2次粒子粉末は、前記2次粒子粉末全
    体の25重量%以下である、請求項1または2に記載の
    アルミニウム合金粉末。
  7. 【請求項7】 日本工業規格による金属粉の流動度試験
    方法(JIS Z2502)に基づいて、口径2.6m
    mφのロート状オリフィス管により測定した前記2次粒
    子粉末の流動性が4.0秒/cm3 以下である、請求項
    1または2に記載のアルミニウム合金粉末。
  8. 【請求項8】 日本工業規格による金属粉の流動度試験
    方法(JIS Z2502)に基づいて、口径4.0m
    mφのロート状オリフィス管により測定した前記2次粒
    子粉末の流動性が2.5秒/cm3 以下である、請求項
    1または2に記載のアルミニウム合金粉末。
  9. 【請求項9】 日本工業規格による金属粉の見掛密度試
    験方法(JIS Z2504)に基づいて測定した前記
    2次粒子粉末の見掛密度は、日本粉末冶金工業会による
    金属粉のタップ密度試験方法(JPMA P 08)に
    基づいて測定した前記2次粒子粉末のタップ密度の80
    %以上100%以下である、請求項1または2に記載の
    アルミニウム合金粉末。
  10. 【請求項10】 前記2次粒子粉末を投影することによ
    って得られる投影像において、次の式、 円形度=4π×(粒子1個の投影像の面積)/(粒子1
    個の投影像の外周長さ)2 によって与えられる円形度の平均値が0.6以上であ
    る、請求項1または2に記載のアルミニウム合金粉末。
  11. 【請求項11】 前記2次粒子粉末を投影することによ
    って得られる投影像において、次の式、 針状比=粒子1個の投影像における最大径/最大径に直
    交する方向の投影像の径 によって与えられる針状比の平均値が2.0以下であ
    る、請求項1記載のアルミニウム合金粉末。
  12. 【請求項12】 前記バインダーは有機系バインダーで
    ある、請求項1記載のアルミニウム合金粉末。
  13. 【請求項13】 前記2次粒子粉末中の前記有機系バイ
    ンダーの量は0.05重量%以上0.5重量%以下であ
    る、請求項12記載のアルミニウム合金粉末。
  14. 【請求項14】 前記有機系バインダーの分解温度は4
    00℃以下である、請求項12記載のアルミニウム合金
    粉末。
  15. 【請求項15】 前記有機系バインダーは、ポリビニル
    アルコール、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシメ
    チルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースから
    なる群から選ばれるいずれかの有機化合物を主成分とす
    る、請求項12記載のアルミニウム合金粉末。
  16. 【請求項16】 アルミニウムを主成分とした粒子径5
    μm以上300μm以下の1次粒子粉末を、有機系バイ
    ンダーの水溶液を介して互いに結合させて2次粒子粉末
    を作製する造粒工程と、 前記2次粒子粉末中に含まれる水分を除去するための乾
    燥工程とを備えた、アルミニウム合金粉末の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記1次粒子粉末は、アトマイズ法に
    よって得られた急冷凝固粉末である、請求項16記載の
    アルミニウム合金粉末の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記造粒工程は、前記1次粒子粉末
    を、流動層内に浮遊させるとともに、浮遊している前記
    1次粒子粉末に有機系バインダーの水溶液を噴霧するこ
    とを含む、請求項16記載のアルミニウム合金粉末の製
    造方法。
  19. 【請求項19】 前記乾燥工程は、前記2次粒子粉末を
    前記流動層内で乾燥させることを含む、請求項18記載
    のアルミニウム合金粉末の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記乾燥工程は、前記流動層内に所定
    温度のガスを導入することを含む、請求項18記載のア
    ルミニウム合金粉末の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記乾燥工程における、前記流動層内
    の温度は60℃以上120℃以下であり、より好ましく
    は70℃以上90℃以下である、請求項19記載のアル
    ミニウム合金粉末の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記造粒工程における前記有機系バイ
    ンダーの水溶液の濃度は1%以上8%以下である、請求
    項16記載のアルミニウム合金粉末の製造方法。
  23. 【請求項23】 鉄を主成分とする鉄系1次粒子粉末同
    士を、または、鉄を主成分とする鉄系1次粒子粉末同士
    とともに非鉄成分の1次粒子粉末を、それぞれバインダ
    ーによって互いに結合させた2次粒子粉末からなる、鉄
    合金粉末。
  24. 【請求項24】 前記鉄系1次粒子粉末の平均粒子径は
    20μm以上100μm以下であり、前記2次粒子粉末
    の平均粒子径は50μm以上200μm以下である、請
    求項23記載の鉄合金粉末。
  25. 【請求項25】 前記2次粒子粉末のうち、45μm以
    下の粒子径を有する2次粒子粉末は、前記2次粒子粉末
    全体の10重量%以下である、請求項23記載の鉄合金
    粉末。
  26. 【請求項26】 ベット等温吸着式より得られる前記2
    次粒子粉末の表面積の値が0.08m2/g以下であ
    る、請求項23記載の鉄合金粉末。
  27. 【請求項27】 前記2次粒子粉末の表面はバインダー
    によって覆われている、請求項23記載の鉄合金粉末。
  28. 【請求項28】 前記バインダーは有機バインダーであ
    る、請求項27記載の鉄合金粉末。
  29. 【請求項29】 前記2次粒子粉末中の前記有機バイン
    ダーの量は0.05重量%以上5重量%以下である、請
    求項28記載の鉄合金粉末。
  30. 【請求項30】 前記有機バインダーは、ポリビニルア
    ルコール、ポリビニルエーテル、ポリエチレンオキサイ
    ド、メチルセルロースおよびカルボキシルメチルセルロ
    ースからなる群から選ばれるいずれかの有機化合物を主
    成分とする、請求項28記載の鉄合金粉末。
  31. 【請求項31】 可動セルと固定セルとからなる水平2
    分割式引張り強度測定用セルを用いて、セル内に鉄合金
    粉末を充填し、その鉄合金粉末に上方から所定の荷重を
    加えて空隙率が0.5以上0.7以下の鉄合金粉体層を
    形成し、 可動セルを水平方向に引張ることによって前記鉄合金粉
    体層が破断する引張り破断強度を求め、 その引張り破断強度が100Pa以下である、請求項2
    3記載の鉄合金粉末。
  32. 【請求項32】 それぞれノッチが設けられた固定板と
    可動板とからなる平行平板式せん断強度測定セルを用い
    て、その固定板と可動板との間に鉄合金粉末を挟み込
    み、その鉄合金粉末に上方から圧力を加えて空隙率が
    0.5以上0.7以下である鉄合金粉体層を形成し、 所定の荷重のもとで固定板と平行に可動板を引張ること
    によって鉄合金粉末がせん断するせん断応力を求め、 その荷重とせん断応力との関係を示す破壊包絡線から得
    られる1軸破壊強度が300Pa以下である、請求項2
    3記載の鉄合金粉末。
  33. 【請求項33】 前記破壊包絡線に接するモール円から
    得られる最大主応力の値を前記1軸破壊強度の値で割っ
    た比の値が10以上である、請求項32記載の鉄合金粉
    末。
  34. 【請求項34】 鉄を主成分とする鉄系1次粒子粉末同
    士を、または、鉄を主成分とする鉄系1次粒子粉末同士
    とともに非鉄成分の1次粒子粉末を、それぞれバインダ
    ーによって互いに結合させて2次粒子粉末を作製する造
    粒工程と、 前記2次粒子粉末を圧粉して圧粉成形体を作製する工程
    と、 前記圧粉成形体の所定の寸法を測定する工程と、 前記圧粉成形体を焼結して焼結体を作製する工程と前記
    圧粉成形体の所定の寸法に対応する前記焼結体の所定の
    寸法を測定する工程とを備え、 前記焼結体の前記所定の寸法の標準偏差の6倍の値を、
    前記圧粉成形体の前記所定の寸法の標準偏差の6倍の値
    で割った値が1.3以下になる、鉄合金焼結体の製造方
    法。
  35. 【請求項35】 前記2次粒子粉末を作製する造粒工程
    と、前記圧粉成形体を作製する工程との間に、前記2次
    粒子粉末に潤滑剤を添加する工程を含む、請求項34記
    載の鉄合金焼結体の製造方法。
  36. 【請求項36】 金属を主成分とする1次粒子粉末を、
    バインダーによって互いに結合させた2次粒子粉末から
    なる、金属粉末。
  37. 【請求項37】 前記バインダーは有機系バインダーで
    ある、請求項36記載の金属粉末。
  38. 【請求項38】 金属を主成分とする1次粒子粉末をバ
    インダーによって互いに結合させた2次粒子粉末からな
    る圧粉体を焼結して得られた金属焼結体。
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