JP2000159942A - 熱可塑性エラストマー組成物及びそれからなるエアバッグ収納カバー - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物及びそれからなるエアバッグ収納カバー

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JP2000159942A
JP2000159942A JP10338829A JP33882998A JP2000159942A JP 2000159942 A JP2000159942 A JP 2000159942A JP 10338829 A JP10338829 A JP 10338829A JP 33882998 A JP33882998 A JP 33882998A JP 2000159942 A JP2000159942 A JP 2000159942A
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air bag
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 エアバッグ収納カバーとしてエアバッグの膨
張、展開時の予定開裂線部以外での破壊等がなく、耐熱
剛性等にも優れ、エアバッグ収納カバーを成形するに好
適な熱可塑性エラストマー組成物、及びエアバッグ収納
カバー。 【解決手段】 下記の(A)〜(C)成分からなり、下
記の(1)〜(3)の特性を満足する熱可塑性エラスト
マー組成物。 (A)芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水
素添加物からなる熱可塑性エラストマー;25〜40重
量% (B)オレフィン系樹脂;35〜50重量% (C)炭化水素系ゴム用軟化剤;15〜40重量% (1)JIS K7210に準拠した温度230℃、荷
重2.16kgでのメルトフローレート1〜60g/1
0分 (2)JIS K6301に準拠したスプリング式硬さ
(A形)86以上 (3)JIS K7203に準拠した曲げ弾性率300
MPa以下

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車が衝突事故
等の際に、その衝撃や変形を感知することにより作動
し、膨張、展開することによって乗員を保護するエアバ
ッグ装置のエアバック収納カバーに用いるに好適な熱可
塑性エラストマー組成物、及びそれからなるエアバッグ
収納カバーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車の内装パネル、例えば
インストルメントパネルに設置されるエアバッグ装置
は、エアバッグ用開口部を設けたインストルメントパネ
ル本体と、エアバッグ収納カバー及びエアバッグ収納部
とを、それぞれ別工程で射出成形により成形した後、こ
れらを一体化すると共にエアバッグモジュールを組付け
ることにより製造されている。又、更に、開口部を設け
たインストルメントパネル本体とエアバッグ収納カバー
のいずれか一方を予め射出成形してそれを金型にインサ
ートし他方を射出成形して両者を一体成形することによ
り、製造工程、工数の削減を図る方法も採られている。
【0003】そして、エアバッグ収納カバーの構造は、
その裏面に、エアバッグの膨張時に該カバーを容易に開
裂させるための薄肉脆弱部とした予定開裂線が設けられ
ると共に、エアバツグ収納部を取り付けるための取付
部、及び、外周にはエアバッグの膨張による破壊等を防
止するための補強用リブ付き枠体が設けられるという複
雑な構造が採られている。
【0004】これら従来の技術において、エアバッグ収
納カバーは射出成形によって成形されるが、その際、エ
アバッグの膨張によるカバー破片の飛散防止を目的とし
てネット等の補強材がインサートされるため、製造工数
が多く生産性に欠けるという問題があり、これに対し
て、形状保持のための硬質熱可塑性樹脂のコア層と、軟
質熱可塑性エラストマーの表皮層からなる二色射出成形
体が提案されたが、成形サイクルが長くなって、依然と
して生産性の問題が未解決であり、更に、これに対し
て、単層射出成形体が提案されている(例えば、特開平
2−171364号、特開平4−151348号、特開
平4−314648号、特開平5−38996号、各公
報等参照。)。
【0005】所が、近年のエアバッグ装置は、エアバッ
グの膨張、展開時にその圧力によって乗員に二次災害を
与えるのを防止するため、膨張、展開圧力を低下させる
と共に、エアバッグ収納カバーの予定開裂線の肉厚を更
に薄くし、又、補強用リブ付き枠体を拡大する傾向にあ
り、これに対して、前記単層射出成形体は、ゴム成分を
高含量に含有させていることから、耐熱剛性が不十分で
あったり、又、流動性が劣り、予定開裂線部や補強用リ
ブ部等の肉厚変化部分におけるヒケ等が発生し易いとい
った問題があり、市場の要求を十分に満足し得ていると
は言い難いのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、エアバッグ
装置における単層射出成形体からなるエアバッグ収納カ
バーの前述の従来技術に鑑みてなされたもので、従っ
て、本発明は、広温度範囲において衝撃破壊時の耐飛散
性等に優れ、エアバッグ収納カバーとしてエアバッグの
膨張、展開時の予定開裂線部以外での破壊や飛散等がな
いのは勿論、耐熱剛性、及び成形外観等にも優れ、エア
バッグ収納カバーを成形するに好適な熱可塑性エラスト
マー組成物、及びそのような特長を有するエアバッグ収
納カバーを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を
達成すべく鋭意検討した結果、特定の組成からなり、且
つ、特定の物性を有する熱可塑性エラストマー組成物が
前記目的を達成できることを見出し本発明を完成したも
ので、即ち、本発明は、下記の(A)成分、(B)成
分、及び(C)成分〔但し、各成分の重量%はこの三成
分の合計100重量%に対するものでである。〕からな
り、下記の(1)、(2)、及び(3)の特性を満足す
る熱可塑性エラストマー組成物、及び、該組成物からな
るエアバッグ収納カバー、を要旨とする。 (A)芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水
素添加物からなる熱可塑性エラストマー;25〜40重
量% (B)オレフィン系樹脂;35〜50重量% (C)炭化水素系ゴム用軟化剤;15〜40重量% (1)JIS K7210に準拠した温度230℃、荷
重2.16kgでのメルトフローレート1〜60g/1
0分 (2)JIS K6301に準拠したスプリング式硬さ
(A形)86以上 (3)JIS K7203に準拠した曲げ弾性率300
MPa以下
【0008】
【発明の実施の形態】本発明において、熱可塑性エラス
トマー組成物を構成する(A)成分の芳香族ビニル−共
役ジエンブロック共重合体の水素添加物からなる熱可塑
性エラストマーは、芳香族ビニルの重合体ブロックと共
役ジエンの重合体ブロックとからなり、その芳香族ビニ
ルの重合体ブロックがハードセグメントを、共役ジエン
の重合体ブロックがソフトセグメントをそれぞれ構成
し、後者重合体ブロックの二重結合が水素添加された水
素添加ブロック共重合体であって、スチレン系熱可塑性
エラストマーとして知られているものである。
【0009】尚、このブロック共重合体における芳香族
ビニルとしては、スチレン、α−メチルスチレン、p−
メチルスチレン、ジメチルスチレン等が挙げられ、中
で、スチレンが好ましく、又、共役ジエンとしては、ブ
タジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3
−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられ、中で、
ブタジエン、イソプレン、又は、ブタジエン/イソプレ
ンが重量比で20/80〜60/40の割合の両者混合
物であるものが好ましい。
【0010】又、本発明における水素添加ブロック共重
合体としては、芳香族ビニルの含有量が5〜50重量
%、更には8〜45重量%、特には10〜40重量%で
あるものが好ましく、又、1,2−ミクロ構造が60%
未満、更には45%未満であるものが好ましい。芳香族
ビニルの含有量が前記範囲未満では、組成物として機械
的特性、耐熱性等が劣る傾向となり、一方、前記範囲超
過では、組成物として柔軟性、ゴム弾性等が劣ると共
に、後述する(C)成分のブリードアウトが生じ易い傾
向となる。又、1,2−ミクロ構造が前記範囲以上で
は、組成物として柔軟性等が劣る傾向となる。
【0011】又、共役ジエンの重合体ブロックの二重結
合の水素添加率は、80%以上、更には90%以上、特
には95%以上であるものが好ましい。水素添加率が前
記範囲未満では、組成物として耐候性、熱安定性等が劣
る傾向となる。
【0012】又、水素添加ブロック共重合体の重量平均
分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーに
より測定した値として、50000〜500000、更
には60000〜400000、特には70000〜3
00000であるものが好ましい。重量平均分子量が前
記範囲未満では、組成物としてゴム弾性、機械的特性等
が劣る傾向となり、一方、前記範囲超過では、組成物と
して成形加工性等が劣る傾向となる。
【0013】本発明において、熱可塑性エラストマー組
成物を構成する(B)成分のオレフィン系樹脂として
は、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1等の炭
素数2〜8程度のα−オレフィンの単独重合体、それら
のα−オレフィンと、エチレン、プロピレン、ブテン−
1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、4−メチル
ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−
1等の炭素数2〜20程度の他のα−オレフィンや、酢
酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エス
テル、メタクリル酸エステル、スチレン、塩化ビニル等
のビニル化合物との共重合体等が挙げられ、具体的に
は、例えば、低・中・高密度ポリエチレン等(分岐状又
は直鎖状)のエチレン単独重合体、エチレン−プロピレ
ン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン
−4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン−ヘキセ
ン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共
重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−
メタアクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸
エチル共重合体等のエチレン系樹脂、プロピレン単独重
合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エ
チレン−ブテン−1共重合体等のプロピレン系樹脂、及
び、ブテン−1単独重合体、ブテン−1−エチレン共重
合体、ブテン−1−プロピレン共重合体等のブテン−1
系樹脂等が挙げられる。
【0014】本発明におけるオレフィン系樹脂として
は、以上の中で、プロピレン系樹脂が好ましく、就中、
プロピレンの単独重合体、又は、プロピレン−エチレン
共重合体が好ましく、その場合、エチレン含有量は15
重量%まで、更には13重量%まで、特には10重量%
までのものが好ましい。
【0015】又、オレフィン系樹脂のメルトフローレー
トは、JIS K7210に準拠して温度230℃、荷
重2.16kgで測定した値として、1〜120g/1
0分、更には2〜110g/10分、特には5〜100
g/10分であるものが好ましい。メルトフローレート
が前記範囲未満では、組成物として成形加工性等が劣る
傾向となり、一方、前記範囲超過では、組成物として機
械的特性等が劣る傾向となる。
【0016】本発明において、熱可塑性エラストマー組
成物を構成する(C)成分の炭化水素系ゴム用軟化剤
は、一般に、芳香族環、ナフテン環、及びパラフィン鎖
の三者の混合物であって、パラフィン鎖炭素が全炭素数
の50%以上を占めるものがパラフィン系オイル、ナフ
テン環炭素が全炭素数の30〜45%のものがナフテン
系オイル、芳香族環炭素が全炭素数の30%以上のもの
が芳香族系オイルと、それぞれ分類されている鉱物油系
で高沸点の石油留分であり、中で、本発明においては、
パラフィン系のものが好ましい。
【0017】又、炭化水素系ゴム用軟化剤の分子量は、
重量平均分子量で300〜2000、更には500〜1
500であるものが好ましく、40℃の動粘度が20〜
800cSt、更には50〜600cStであるもの、
流動点が−40〜0℃、更には−30〜0℃であるも
の、引火点が200〜400℃、更には250〜350
℃であるもの、がそれぞれ好ましい。
【0018】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
前記(A)成分の水素添加ブロック共重合体、前記
(B)成分のオレフィン系樹脂、及び前記(C)成分の
炭化水素系ゴム用軟化剤からなり、それら各成分の量比
は、この三成分の合計100重量%に対するものとし
て、(A)成分が25〜40重量%、(B)成分が35
〜50重量%、(C)成分が15〜40重量%であるこ
とが必須である。
【0019】(A)成分が前記範囲未満では、組成物の
ゴム弾性や耐衝撃性が低下して、エアバッグ収納カバー
としての低温時の展開性が劣ることとなり、一方、前記
範囲超過では、組成物の成形加工性が劣ることとなる。
又、(B)成分が前記範囲未満では、組成物の耐熱剛性
が劣ることとなると共に、エアバッグ収納カバーとして
の高温時の展開性が劣ることとなり、一方、前記範囲超
過では、組成物の耐衝撃性が低下して、エアバッグ収納
カバーとしての低温時の展開性が劣ることとなる。又、
(C)成分が前記範囲未満では、組成物の成形加工性が
劣ることとなり、一方、前記範囲超過では、組成物の耐
熱剛性が劣ることとなると共に、エアバッグ収納カバー
としての高温時の展開性が劣ることとなる。
【0020】尚、本発明の熱可塑性エラストマー組成物
は、特に成形体の形状保持性の面から、前記(A)成
分、(B)成分、及び(C)成分の他に、更に、例え
ば、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク、マイカ、ウ
ィスカー、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスバルーン等の
無機充填材、中で、好ましくはタルク、マイカ等の板状
粒子形状の無機充填材を含有しているのが好ましく、そ
の含有量としては、(A)、(B)、(C)成分の合計
100重量部に対して、1〜25重量部、更には1〜1
5重量部であるのが好ましい。
【0021】又、本発明の熱可塑性エラストマー組成物
は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、更に、前
記(A)成分の水素添加ブロック共重合体以外の各種熱
可塑性エラストマーやゴム、前記(B)成分のオレフィ
ン系樹脂以外の各種樹脂、及び、前記(C)成分の炭化
水素系ゴム用軟化剤以外の各種軟化剤、並びに、これら
組成物に通常用いられる添加剤、例えば、酸化防止剤、
熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防
曇剤、ブロッキング防止剤、分散剤、帯電防止剤、難燃
剤、着色剤、発泡剤、架橋剤、架橋助剤等が添加されて
いてもよい。
【0022】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
前記(A)成分の水素添加ブロック共重合体と、前記
(B)成分のオレフィン系樹脂と、前記(C)成分の炭
化水素系ゴム用軟化剤とを、必要に応じて、更に、前記
無機充填材、及び、他のエラストマーやゴム、他の樹
脂、他の軟化剤、その他の添加剤等と共に、通常は、粉
状又は粒状の各成分をヘンシェルミキサー、リボンブレ
ンダー、V型ブレンダー等により均一に混合した後、一
軸又は多軸押出機、ニーダー、ブラベンダープラストグ
ラフ、バンバリーミキサー、ロール等により、100〜
400℃程度の温度で溶融混練することにより製造され
る。尚、その際、有機過酸化物等の架橋剤及びポリエン
化合物等の架橋助剤を共存させて動的に熱処理する公知
の動的架橋を行わしめてもよい。
【0023】本発明においては、前記熱可塑性エラスト
マー組成物が、更に、下記の(1)、(2)、及び
(3)の特性を満足することが必須である。 (1)JIS K7210に準拠した温度230℃、荷
重2.16kgでのメルトフローレート1〜60g/1
0分 (2)JIS K6301に準拠したスプリング式硬さ
(A形)86以上 (3)JIS K7203に準拠した曲げ弾性率300
MPa以下
【0024】尚、メルトフローレートは5〜40g/1
0分であるのが、又、スプリング式硬さは100以下で
あるのが、又、曲げ弾性率は100MPa以上であるの
が、それぞれ好ましい。
【0025】メルトフローレートが前記範囲未満では、
成形外観が劣ることとなり、一方、前記範囲超過では、
耐衝撃性等の機械的特性が劣ることとなる。又、硬さが
前記範囲未満では、耐熱剛性が劣ることとなり、又、曲
げ弾性率が前記範囲超過では、特に低温耐衝撃性が低下
し、エアバッグ収納カバーとしての低温時の展開性が劣
ることとなる。
【0026】又、本発明の熱可塑性エラストマー組成物
は、更に、下記の(4)、又は(5)、又は(6)の特
性を満足するものであるのが好ましい。 (4)JIS K7110に準拠した温度−40℃での
ノッチ付きアイゾット衝撃強度30kJ/m2 以上 (5)引張速度5m/秒における温度−40℃での高速
引張破壊伸び16mm以下 (6)引張速度5m/秒における温度80℃での高速引
張破壊伸び50mm以上
【0027】アイゾット衝撃強度が前記範囲未満では、
エアバッグ収納カバーとしての低温時の展開性が劣る傾
向となり、又、−40℃での高速引張破壊伸びが前記範
囲超過では、エアバッグ収納カバーとして低温時に予定
開裂線部以外での破壊が生じ易い傾向となり、又、80
℃での高速引張破壊伸びが前記範囲未満では、エアバッ
グ収納カバーとして高温時に予定開裂線部以外での破壊
が生じ易い傾向となる。
【0028】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
射出成形法、射出圧縮成形法、射出発泡成形法、射出中
空成形法等により所望の成形体に成形されるが、特に、
エアバッグ装置のエアバッグ収納カバーを成形するに好
適である。ここで、射出成形法における成形条件として
は、成形温度は、通常、100〜300℃、好ましくは
150〜280℃程度、射出圧力は、通常、5〜100
MPa、好ましくは10〜80MPa程度、金型温度
は、通常、20〜80℃、好ましくは20〜60℃程度
である。
【0029】以上により成形される本発明のエアバッグ
収納カバーの形状及び構造は、特に限定されるものでは
ないが、薄肉脆弱部とした予定開裂線を裏面に設けた平
板部からなるカバー本体と、その裏面に形成された補強
用リブ付き枠体とからなる構造を基本構造とし、例え
ば、その平均肉厚は2〜5mm程度であり、予定開裂線
は、前記平均肉厚の50%以下、例えば、0.3〜1.
5mm程度の肉厚の連続線とするか、或いは、ミシン目
状の不連続の貫通孔を設けること等により形成され、
又、予定開裂線の両側に平均肉厚の10〜30%の肉盛
部を設けることもできる。
【0030】又、成形されたエアバッグ収納カバーの表
面には、耐傷付き性、耐久性等を付与するため、アクリ
ルウレタン系、ポリエステルウレタン系等のウレタン系
塗料、アクリルメラミン系、ポリエステルメラミン系等
のメラミン系塗料等の光又は熱硬化性塗料、好ましくは
ウレタン系塗料による塗膜層を形成させることもでき
る。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の
実施例に限定されるものではない。尚、以下の実施例及
び比較例に用いた(A)成分、(B)成分、及び(C)
成分は、以下に示す通りである。
【0032】(A)芳香族ビニル−共役ジエンブロック
共重合体の水素添加物 スチレン含有量30重量%、1,2−ミクロ構造38
%、水素添加率98%以上、重量平均分子量11000
0のスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加
物 スチレン含有量33重量%、1,2−ミクロ構造38
%、水素添加率98%以上、重量平均分子量24000
0の、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添
加物 スチレン含有量30重量%、1,2−ミクロ構造4
%、水素添加率98%以上、重量平均分子量10500
0の、スチレン−イソプレンブロック共重合体の水素添
加物
【0033】(B)オレフィン系樹脂 メルトフローレート14g/10分のプロピレン単独
重合体 エチレン含有量4.2重量%、メルトフローレート3
0g/10分のプロピレン−エチレンブロック共重合体 エチレン含有量4.2重量%、メルトフローレート6
0g/10分のプロピレン−エチレンブロック共重合体
【0034】(C)炭化水素系ゴム用軟化剤 重量平均分子量746、40℃の動粘度382cS
t、流動点が−15℃、引火点300℃のパラフィン系
オイル
【0035】実施例1〜9、比較例1〜7 表1に示す(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の
組成物に、該組成物100重量部に対して酸化防止剤と
してテトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t
−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕メタン(日本チバガイギー社製「イルガノックス1
010」)0.1重量部を添加して、シリンダー径45
mm、L/D33の二軸押出機(池貝社製「PCM4
5」)を用いて200℃にて溶融混練し、ペレット化す
ることにより、熱可塑性エラストマー組成物を製造し
た。
【0036】得られた熱可塑性組成物について、以下に
示す方法でメルトフローレートを測定し、結果を表1に
示した。メルトフローレート JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.
16kgで測定した。
【0037】更に、得られた熱可塑性エラストマー組成
物を、インラインスクリュータイプ射出成形機(日本製
鋼所社製「N100B」)を用いて、射出温度220
℃、射出圧力50MPa、金型温度40℃にて、硬さ、
曲げ弾性率、引張破壊強度、アイゾット衝撃強度、及び
高速引張破壊伸びの各試験用のテストピースを射出成形
し、それぞれの測定を以下に示す方法で実施し、結果を
表1に示した。
【0038】硬さ JIS K6301に準拠し、スプリング式硬さ(A
形)を測定した。曲げ弾性率 JIS K7203に準拠し、厚さ4mm、幅10m
m、長さ90mmのテストピースを用い、スパン間64
mm、曲げ速度2mm/分にて測定した。引張破壊強度 JIS K6301に準拠し、テストピースから3号ダ
ンベルを打ち抜き、スパン間80mm、引張速度500
mmにて測定した。
【0039】アイゾット衝撃強度 JIS K7110に準拠し、厚さ4mm、幅10m
m、長さ80mmのテストピースを用い、温度−40℃
でのノッチ付き衝撃強度を測定した。高速引張破壊伸び テストピースから、平行部分の幅2.5mm、平行部分
の長さ12.5mm、小半径7mm、大半径12.5m
m、両端の幅12.5mm、全長75mmのダンベル
を、引張方向がTD方向となるように打ち抜き、スパン
間80mm、引張速度5m/秒にて、恒温槽内で温度−
40℃及び80℃で測定した。
【0040】一方、得られた熱可塑性エラストマー組成
物を、インラインスクリュータイプ射出成形機(東芝機
械社製「IS220」)を用いて、射出温度220℃、
射出圧力50MPa、金型温度40℃にて、裏面に補強
用リブ付き枠体を有し、平均肉厚3mm、予定開裂線の
肉厚0.5mmのエアバッグ収納カバーを射出成形し、
以下に示す方法で、成形外観、耐熱剛性を評価し、又、
エアバッグの膨張、展開テストを実施してエアバッグ収
納カバーの膨張、展開性を評価し、結果を表1に示し
た。
【0041】成形外観 リブ部や予定開裂線部のヒケ等の有無を目視にて観察
し、ヒケ等の異常が生じるている場合を×、異常が認め
られない場合を○として評価した。耐熱剛性 エアバッグ収納カバーを110℃雰囲気下のオーブン中
に1時間放置した後の触感、変形等の有無を目視にて観
察し、触感の変化や変形等が生じている場合を×、変化
が認められない場合を○として評価した。
【0042】エアバッグ収納カバーの膨張、展開性 エアバッグ収納カバーの裏面の枠体部にエアバッグ収納
部及びエアバッグモジュールを取り付け、−35℃及び
80℃の恒温槽内に1時間放置した後、エアバッグの膨
張、展開テストを実施し、エアバッグが正常に展開しな
かったり、カバーが破壊して飛散したり、枠体部が破壊
した場合を×、このような問題が生じなかった場合を○
として評価した。
【0043】実施例10 射出成形したエアバッグ収納カバー表面に2液ウレタン
塗料(藤倉化成社製「レクラック770M」)を約30
μmの厚さで塗装して塗膜層を形成した外は、実施例4
と同様とした。
【0044】実施例11 (A)、(B)、及び(C)成分の合計100重量部に
対して、更に、アスペクト比6.2、平均粒径2.8μ
mのタルクを10重量部配合した熱可塑性エラストマー
組成物を用いた外は、実施例4と同様とした。
【0045】実施例12 (A)、(B)、及び(C)成分の合計100重量部に
対して、架橋剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(化薬アクゾ社製
「カヤヘキサAD」)0.1重量部と、架橋助剤として
トリメチロールプロパントリメタクリレート(三菱レイ
ヨン社製「アクリルエステルTMP」)0.2重量部と
を添加して溶融混練することにより動的架橋を施した熱
可塑性エラストマー組成物を用いた外は、実施例4と同
様とした。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、広温度範囲において衝
撃破壊時の耐飛散性等に優れ、エアバッグ収納カバーと
してエアバッグの膨張、展開時の予定開裂線部以外での
破壊や飛散等がないのは勿論、耐熱剛性、及び成形外観
等にも優れ、エアバッグ収納カバーを成形するに好適な
熱可塑性エラストマー組成物、及びそのような特長を有
するエアバッグ収納カバーを提供することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の(A)成分、(B)成分、及び
    (C)成分〔但し、各成分の重量%はこの三成分の合計
    100重量%に対するものである。〕からなり、下記の
    (1)、(2)、及び(3)の特性を満足することを特
    徴とする熱可塑性エラストマー組成物。 (A)芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水
    素添加物からなる熱可塑性エラストマー;25〜40重
    量% (B)オレフィン系樹脂;35〜50重量% (C)炭化水素系ゴム用軟化剤;15〜40重量% (1)JIS K7210に準拠した温度230℃、荷
    重2.16kgでのメルトフローレート1〜60g/1
    0分 (2)JIS K6301に準拠したスプリング式硬さ
    (A形)86以上 (3)JIS K7203に準拠した曲げ弾性率300
    MPa以下
  2. 【請求項2】 更に下記の(4)の特性を満足する請求
    項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。 (4)JIS K7110に準拠した温度−40℃での
    ノッチ付きアイゾット衝撃強度30kJ/m2 以上
  3. 【請求項3】 更に下記の(5)の特性を満足する請求
    項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。 (5)引張速度5m/秒における温度−40℃での高速
    引張破壊伸び16mm以下
  4. 【請求項4】 更に下記の(6)の特性を満足する請求
    項1乃至3のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組
    成物。 (6)引張速度5m/秒における温度80℃での高速引
    張破壊伸び50mm以上
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の熱可
    塑性エラストマー組成物からなることを特徴とする、エ
    アバッグ装置のエアバッグ収納カバー。
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