JP2000159602A - 抗菌・防黴性複合体 - Google Patents

抗菌・防黴性複合体

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JP2000159602A
JP2000159602A JP10332828A JP33282898A JP2000159602A JP 2000159602 A JP2000159602 A JP 2000159602A JP 10332828 A JP10332828 A JP 10332828A JP 33282898 A JP33282898 A JP 33282898A JP 2000159602 A JP2000159602 A JP 2000159602A
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silicate
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antifungal
powder
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Shuji Nishihama
脩二 西浜
Shoichiro Shio
庄一郎 塩
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Shiseido Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、抗菌性、防黴性、防腐力、安全
性、安定性等の面で総合的に優れた抗菌・防黴性粉末を
提供することを目的とする。 【解決手段】 前記目的を達成するために、本発明にか
かる抗菌・防黴性複合体は、酸化ケイ素を主成分とする
ケイ酸塩に金属または金属酸化物の1種またはそれ以上
を含有させた、金属または金属酸化物とケイ酸塩の複合
体からなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌・防黴剤、特
に抗菌・防黴剤における金属種の溶出の減少及び安定な
抗菌・防黴性の向上の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、消費者を取り巻く生活環境の衛生
面に関する関心の高まりから、生活の中で使用する身の
回りの品にはその品質だけでなく、目に見ることのでき
ない細菌やバクテリア、汚れに対して滅菌、抗菌、防黴
効果を有することが望まれ、あらゆる分野において抗
菌、防黴加工を施した商品が市場に出回っている。
【0003】抗菌性、防黴性を有する物質としては、パ
ラベン類、塩化ベンザルコニウム、グルコン酸クロルヘ
キシジン、トリクロロカルバニリド等の有機性防腐剤
や、酸化亜鉛、銀複合化ゼオライト等の無機防腐剤など
が存在する。これらの防腐剤は日用雑貨類、化粧品等に
配合することにより菌の繁殖による各製品の汚染、変臭
を防止することができるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般に
防腐剤として使用されるパラベン類等有機性防腐剤は、
安全性の面で若干酸化亜鉛、銀複合化ゼオライトに劣
る。さらに有機物であるため熱による分解、pHの変化
による防腐力の失活等の影響を受けやすいものであっ
た。
【0005】それに対し無機防腐剤は、比較的熱や薬品
による影響は受けにくいものの、有機性防腐剤に比べ一
般的に抗菌作用が弱いものであった。また無機防腐剤の
中でも銀複合化ゼオライトなどは強い抗菌性を持ってい
るが、青かびには効果が弱いという欠点があり、さらに
液体中で使用すると水に分散する際、銀が水中に溶解
し、かつ溶解した銀が酸化するため、水が黒色に変化し
てしまうといった欠点も有する。そして無機防腐剤の中
にもホウ酸のように毒性の強いものもあり、防腐力、安
全性、安定性等の面で総合的に優れた抗菌・防黴剤は存
在しなかった。
【0006】本発明は上記課題に鑑み為されたものであ
り、抗菌性、防黴性、防腐力、安全性、安定性等の面で
総合的に優れた抗菌・防黴性複合体を提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明にかかる抗菌・防黴性複合体は、酸化ケイ素
を主成分とするケイ酸塩に金属または金属酸化物の1種
またはそれ以上を含有させた、金属または金属酸化物と
ケイ酸塩の複合体からなることを特徴とする。
【0008】また本発明において、ケイ酸塩とともに金
属種を凝集させることにより複合化したことが好適であ
る。また本発明において、ケイ酸塩に含有させた金属種
の少なくとも1種に亜鉛またはその酸化物を含むことが
好適である。また本発明において、ケイ酸塩に含有させ
た原料亜鉛種が酢酸亜鉛であることが好適である。
【0009】また本発明において、ケイ酸塩に含有させ
た金属種に銀、銅及びそれらの金属の酸化物より選択さ
れる1種または2種以上を含むことが好適である。また
本発明において、ケイ酸塩が直径1〜1000nmの球
状シリカゾルの凝集体からなることが好適である。また
本発明において、ケイ酸塩が棒状シリカからなることが
好適である。また本発明において、含有される金属種、
或いは金属の酸化物の割合が0.5〜80重量%である
ことが好適である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明者らは、抗菌性、防黴性、
防腐力、安全性、安定性等の面で総合的に優れた抗菌・
防黴性複合体を提供するために鋭意研究、検討を重ねた
結果、ある種の金属、またはその酸化物をシリカゾル等
のケイ酸塩に複合化させた複合体に優れた抗菌性・防黴
性があり、さらに無機防腐剤では効果の弱かった青かび
にまで作用することを見出し、本発明の完成に至った。
【0011】すなわち本発明は球状シリカゾルの凝集体
またはメソポーラスシリカのような酸化ケイ素を主成分
とするケイ酸塩に亜鉛、銀、銅などの金属種またはその
酸化物の1種またはそれ以上を含有させた金属または金
属酸化物とケイ酸塩の複合体からなることを特徴とす
る。
【0012】本発明は、珪酸塩を析出させる原料として
各種のケイ素を含有する物質を用いることができる。ケ
イ素を含有する物質としていくつか例示すれば、酸化ケ
イ素、珪酸塩、シリコンアルコキシド、水ガラスなどが
挙げられる。珪酸塩としては、NaSiO、Na
SiO等が挙げられる。また、シリコンアルコキシド
としては、テトラメチルオルトシリケート、テトラエチ
ルオルトシリケートなどが挙げられる。また、水ガラス
としては、例えばJIS1号、JIS2号、JIS3号
などが挙げられる。
【0013】また本発明において、用いられる各金属の
塩としては、硫酸塩、硝酸塩、ハロゲン塩などの無機塩
類、酢酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩などの有機塩類い
ずれの場合でもかまわないが、いずれの塩類においても
水に溶解することが必要である。また本発明において、
得られた複合体全体に対し、金属種、或いは金属の酸化
物の割合は、0.5〜80重量%、より好ましくは5〜
60重量%含有されていることが好適である。
【0014】製造方法 本発明の抗菌・防黴性複合体の一般的な製造方法を説明
する。市販のシリカゾル分散体(例えば日産化学製のス
ノーテックス30などが挙げられる)や前記ケイ素を含
有する物質を溶解させた溶液に金属塩水溶液を添加・分
散させた後、酸または塩基の添加により溶液中のシリカ
ゾルと金属塩を凝集、沈殿させ乾燥もしくは焼成させる
ことにより目的物を得ることができる。
【0015】本発明で原料として用いられるシリカゾル
の直径は0.1〜1000nmが好ましく、さらには1
〜100nmであることがより好適である。また本発明
の複合体に用いられる形態は特開平10−152317
で述べられている微粒子状メソポーラス粉体や、製法の
違いによって得られる外径が20〜200nmで長手方
向にメソ孔が伸長していることを特徴とする棒状メソポ
ーラス粉体、或いはメソ孔をほとんど有さない棒状マク
ロポーラス粉体でも良い。ここで前記微粒子状メソポー
ラス粉体、棒状メソポーラス粉体、棒状マクロポーラス
粉体の形態をとる本発明の抗菌・抗黴性複合体の製法を
説明する。
【0016】各ポーラス粉体の形態をとる本発明の製造
方法 前記ポーラス粉体の製造方法は、ケイ酸塩を溶解する溶
解工程、ケイ酸をミセル上に析出させる縮合工程、界面
活性剤を除去する除去工程からなる。本発明の抗菌・抗
黴性複合体を前記各ポーラス粉体の形態をとって実施す
るには、各工程のいずれかで、複合化させる金属の水溶
液を添加すればよい。複合化させる金属塩水溶液をケイ
酸塩の溶解工程、縮合工程、活性剤除去工程のいずれの
工程で添加しても、得られた複合体の抗菌・防黴効果に
変わりはないことがわかっている。
【0017】以下各ポーラス粉体の製造方法を説明す
る。微粒子状メソポーラス粉体は0<SiO/Y
<2のケイ酸塩(Y:アルカリ金属原子)を0.1〜
5.0M濃度、カチオン界面活性剤の存在下、pH11
以上で溶解し、pHを10.5以下として前記カチオン
界面活性剤で棒状ミセルを形成させるとともにケイ酸を
棒状ミセル上に析出させ、析出により形成された珪酸塩
を外殻としたミセル状析出物よりカチオン界面活性剤を
除去することで得られる。
【0018】棒状メソポーラス粉体は上記の微粒子状メ
ソポーラス粉体の製造方法において、溶解工程で珪酸塩
を0.3〜1.3M濃度で溶解し、縮合工程でpHを3
0分以内に10.5以下とすることで得られる。また棒
状マクロポーラス粉体は上記の微粒子状メソポーラス粉
体の製造方法において、溶解工程で珪酸塩を1.2〜
2.0M濃度で溶解し、縮合工程でpHを30分以内に
10.5以下とすることで得られる。
【0019】前記製造過程において金属の水溶液をいず
れかの工程で添加することによって各ポーラス粉体の形
態をとった本発明の抗菌・抗黴性複合体を得ることがで
きる。以下、本発明の実施例を挙げ、本発明の実施形態
をさらに詳細に説明する。なお本発明はこれらの実施形
態に限定されるものではない。
【0020】
【実施例】[実施例1]メタケイ酸ナトリウム0.5M
と、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド(BT
C)0.1Mを1Lのイオン交換水に溶解させた。この
ときの温度は70℃とし、溶解直後に2M塩酸を120
ml/minの流速で添加し、pHを8〜9に調整し
た。この後、濾過、水洗を行い、得られたケーキ状のも
のを0.1M硝酸銀水溶液700ml中に分散させ、3
時間攪拌をおこなった。得られた分散物を再び濾過し、
2回水洗をおこなった後700℃にて3時間焼成し、目
的物を得た。この実施例1で得られた粉末のX線回折パ
ターンを図1に示す。得られたX線回折パターンから粉
末に担持されている金属は金属銀であることが確かめら
れた。
【0021】[実施例2]メタケイ酸ナトリウム1Mと、
ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(ST
C)0.2Mを1Lのイオン交換水に分散させ、70℃
に加温し溶解させた。この溶液中に0.1M硫酸銅水溶
液700mlを添加させ攪拌混合した。その後、2M塩
酸を120ml/minの流速で添加し、pHを8〜9
に調整した。得られた分散物を濾過、水洗した後700
℃にて3時間焼成し、目的物を得た。この実施例2で得
られた粉末のX線回折パターンを図2に示す。得られた
X線回折パターンから粉末に担持されている金属は銅で
あり、酸化銅の形で担持されていることが確かめられ
た。
【0022】[実施例3]メタケイ酸ナトリウム1Mと、
ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(ST
C)0.2Mを1Lのイオン交換水に分散させ、70℃
に加温し溶解させた。この溶液中に0.1M硫酸銅水溶
液700mlを添加させ攪拌混合した。その後、2M塩
酸を120ml/minの流速で添加し、pHを8〜9
に調整した。得られた分散物を濾過、水洗した後アンモ
ニア雰囲気中で900℃、4時間焼成し目的物を得た。
この実施例3で得られた粉末のX線回折パターンを図3
に示す。得られたX線回折パターンから粉末に担持され
ている金属は、実施例2では酸化銅の形で担持されてい
たにも関わらず、本実施例においては金属銅であること
が確かめられた。
【0023】[実施例4]メタケイ酸ナトリウム0.5M
と、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド(BT
C)0.1Mを1Lのイオン交換水に分散させ、70℃
に加温し溶解させた。この溶液中に1M塩化亜鉛水溶液
100mlを10ml/minの流速で添加した。その
後、2M塩酸を120ml/minの流速で滴下し、p
Hを8〜9に調整した。この後、濾過、水洗を行い、得
られたケーキ状のものを700℃にて3時間焼成し、目
的物を得た。
【0024】[実施例5]スノーテックスS(日産化学
製)80g、イオン交換水120gを混合し、0.3M
酢酸亜鉛水溶液400mlをさらに加え攪拌した。この
中に0.5M炭酸ナトリウム250mlを加え、得られ
た分散物を再び濾過し、5回水洗を行った後300℃に
て3時間焼成し、目的物を得た。
【0025】[実施例6]スノーテックスC(日産化学
製)100g、イオン交換水100gを混合し、0.1
M硝酸銀水溶液200mlをさらに加え攪拌した。この
中に1M水酸化ナトリウムを溶液のpHが9になるまで
加えた。得られたゲル化物の濾過・水洗を5回繰り返し
た後、250℃にて3時間焼成し、目的物を得た。
【0026】[実施例7]スノーテックスC(日産化学
製)100g、イオン交換水100gを混合し、0.1
M硫酸銅水溶液200mlをさらに加え攪拌した。この
中に1M水酸化ナトリウムを溶液のpHが9になるまで
加えた。得られたゲル化物の濾過・水洗を5回繰り返し
た後、600℃にて3時間焼成し、目的物を得た。
【0027】比較実験1 実施例1から7で得られた粉末を200メッシュのふる
いを通し、回収した。これを直径8mmの円盤状に打錠
成型し、それぞれあらかじめ青カビ、黒カビ、カンジダ
菌、緑膿菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌を培養しておいた
各供試菌株を塗布した培地上に静置した。このようにし
て調製したサンプルを青カビ、黒カビ、カンジダ菌は7
2時間、その他バクテリアは48時間培養し、その時に
生成する生育阻止帯を観察した。また比較例1として銀
複合化ゼオライト(ゼオミック:シナネン製)を打錠成
型し、各カビ、酵母及びバクテリア類の各供試菌株を塗
布した培地上に静置し、各実施例と同様の条件で生成す
る生育阻止帯を観察した。結果を次の表1に示す。なお
表1において、 ×:阻止帯を形成せず △:阻止帯の直径が15mm未満 ○:阻止帯の直径が15mm以上 で評価し、記載されている。
【0028】
【表1】
【0029】この結果から、実施例1〜7の各粉末はそ
れぞれに抗菌性を有し、特に実施例1、3乃至6で得ら
れた粉末は比較例1である銀複合化ゼオライトには見ら
れなかった青カビへの生育抑止力があることが認められ
た。さらに実施例3及び5、6は特に良好な結果を得る
ことができた。
【0030】比較実験2 実施例4で得られた粉末を用いてタイル目地剤を試作し
た。サンプルは、酸化カルシウム63部、シリカ22
部、アルミナ8部、ベンガラ4部を混合、溶融させたク
リンカーを粉砕し、これに3部の石膏を加え再度混合粉
砕することにより得たポルトラントセメントと実施例4
で得た粉末を、ポルトラントセメント:粉末=9:1と
なるように混合したものの中に水を加え、スラリー化さ
せたものを幅50mm×50mm、厚さ3mmに成型
し、風乾させることによりタイル目地剤(製造例1)を
得た。こうして得られた製造例1表面に青カビ及び黒カ
ビを含んだ水を噴霧し、その後3〜4日に1度培養液を
噴霧し1ヶ月間の状態を観察した。
【0031】また実施例4がケイ酸塩と酸化亜鉛の複合
体であることから、比較例2として実施例4で得た粉末
の代わりに酸化亜鉛粉末を、ポルトラントセメント:粉
末=9:1となるように混合し、タイル目地剤を試作し
た。さらに比較例3として銀粉末を、比較例4として二
酸化ケイ素粉末を、比較例5として二酸化珪素粉末:銀
粉末=9:1で混合し、二酸化珪素表面に銀を吸着させ
た粉末を、比較例6として二酸化珪素粉末:酸化亜鉛粉
末=9:1で混合し、二酸化珪素表面に酸化亜鉛を吸着
させた粉末を、ポルトラントセメント:粉末=9:1と
なるように混合し、タイル目地剤を試作した。
【0032】そして製造例1のサンプルと同じ条件下
で、表面に青カビ及び黒カビを含んだ水を噴霧し、その
後3〜4日に1度培養液を噴霧し1ヶ月間の状態を観察
した。結果を次の表2に示す。なお表2において、 ×:カビによる汚れが非常に認められる △:カビによる汚れが多少認められる ○:カビによる汚れが全く見られない で評価し、記載されている。
【0033】
【表2】
【0034】この比較試験の結果を検討してみると、金
属化合物および金属粉末を混合したタイル目地剤である
比較例2、3は確かに抗菌性を示したものの、その効果
は長続きしないものであった。また二酸化珪素を混合し
た比較例4には、全く抗菌性が認められなかった。さら
に二酸化珪素表面に、金属を吸着させた粉末を混合した
比較例5、6は確かに抗菌性を示したもののやはり本発
明の実施例4を配合した製造例1には及ばないものであ
った。
【0035】また銀をそのまま混合した比較例3より二
酸化珪素に吸着させて混合した比較例5の方がよりよい
抗菌性を示したのは、金属銀のままであると溶出が激し
く、抗菌効果が長続きしないためと思われる。この結果
から、実施例4で得られた粉末を配合した製造例1のタ
イル目地剤は、金属又は金属酸化物或いは、ケイ酸塩を
単純に配合したものでは得ることのできない抗菌性を示
していることがわかる。
【0036】比較実験3 精製水に実施例6の粉末、1.3−ブチレングリコー
ル、塩化ベンザルコニウム、水溶性増粘剤を加えて溶解
した。無水エチルアルコールにポリオキシエチレン(4
0)硬化ヒマシ油と香料を溶解し、水相にアルコール相
を混合し、濾過してデオドラントローション(製造例
2)を得た。試作したデオドラントローションの配合量
を下記表3に示す。
【0037】
【表3】
【0038】また上記配合表の実施例6で得られた複合
体の代わりに銀複合化ゼオライト10重量%を配合した
以外は上記配合表と同様の材料を同量づつ配合して比較
例7としたデオドラントローションを、さらに実施例6
の粉体の代わりに比較実験2で用いた二酸化珪素:銀=
9:1で混合して二酸化珪素表面に金属銀を吸着させた
粉末10重量%を配合した以外は上記配合表と同様の材
料を同量づつ配合して比較例8としたデオドラントロー
ションをそれぞれ作製した。そしてこれらの製造例2と
比較例7、8の制菌効果と製品水相部の濁りの程度を観
察した。
【0039】制菌効果についてはあらかじめ菌数がわか
っている培地上に、製造例2、比較例7、8をそれぞれ
塗布し、7時間後に菌数を調べて、塗布7時間後の生菌
数/塗布前の生菌数という生菌数の比率を調べる方法を
用い、水相部の濁りの程度の観察は目視によって調べ
た。結果を次の表4に示す。なお表4において、制菌効
果を評価する際には、 ×:塗布前に比べ、塗布後の菌数の減少が10分の1未
満、または菌数が増加(制菌効果 無) △:塗布前に比べ、塗布後の菌数が10分の1〜100
分の1未満に減少(制菌効果 弱) ○:塗布前に比べ、塗布後の菌数が100分の1以下に
減少(制菌効果 強) で評価し、水相部の濁りの程度を評価する際には、 ×:水相の濁りが非常に認められる △:水相の濁りが多少認められる ○:水相の濁りがまったく認められず、透明である で評価し、記載されている。
【0040】
【表4】
【0041】表4からわかるように製造例2及び比較例
7、比較例8はすべてが高い抗菌性を示していた。しか
し水相部の濁りを観察すると、比較例7にはいくらかの
濁りが認められ、多少黒く変色をしていた。また比較例
8は濁りがひどく、水相も黒くなっていた。これに対し
て本発明を用いた製造例2は水相部に濁りが認められ
ず、変色もない極めて良好な状態であった。
【0042】この結果から、実施例6で得られた複合体
を配合した製造例2と銀複合化ゼオライトを配合した比
較例7及び8の化粧料による制菌効果は同程度である
が、比較例7、8の水相部は灰色に濁り、銀イオンが溶
出していることが確かめられた。それに比べ実施例6で
得られた粉末を配合した製造例2は、銀イオンの溶出が
見られず安定であることが確かめられた。
【0043】また本発明の実施例6を配合した製造例2
には銀の溶出が見られなかったのに対して、比較例8に
は銀の溶出が見られたことから、本発明の抗菌・防黴性
複合体は、金属種を単純に吸着によって保持しているの
ではなく、ケイ酸塩が構成する粉体中に取り込まれた形
で保持されているものと思われる。これは金属種をケイ
酸塩の結晶構造中に化学的に結合していることを意味す
るのではなく、結晶構造中に編み込まれるように金属種
が存在するものであると思われる。このため本発明の抗
菌・防黴性複合体は安定しているにも関わらず、高い抗
菌性を示すことができるものと思われる。
【0044】比較実験1〜3に示したように、本発明に
おける抗菌・防黴性粉末は抗菌性、防黴性、防腐力、安
全性、安定性の面で総合的に優れたものである。また本
発明における抗菌・防黴性粉末は物品を製造する際に材
料に添加してすることによって本発明の粉末が持つ優れ
た抗菌・防黴力を添加された物品に付与することが可能
である。
【0045】なお、本発明はケイ酸塩に複合化させる金
属または金属酸化物を複数種複合化させることができ
る。以下そのような例を示す。実施例8 スノーテックスC(日産化学製)100g、イオン交換
水100gを混合し、0.1M硝酸銀水溶液100m
l、0.1M硫酸銅水溶液100mlをさらに加え攪拌
した。この中に1M水酸化ナトリウムを溶液のpHが9
になるまで加えた。得られたゲル化物の濾過・水洗を5
回繰り返した後、250℃にて3時間焼成し、目的物を
得た。ここで得られた粉末には、銀と銅が担持されてい
た。
【0046】実施例9 メタケイ酸ナトリウム0.5Mと、ベヘニルトリメチル
アンモニウムクロライド(BTC)0.1Mを1Lのイ
オン交換水に分散させ、70℃に加温し溶解させた。こ
の溶液中に1M塩化亜鉛水溶液100mlを10ml/
minの流速で添加した。その後、2M塩酸を120m
l/minの流速で滴下し、pHを8〜9に調整した。
この後、濾過、水洗を行い、得られたケーキ状のものを
0.1M硝酸銀水溶液700ml中に分散させ、3時間
攪拌をおこなった。得られた分散物を再び濾過し、2回
水洗をおこなった後700℃にて3時間焼成し、目的物
を得た。ここで得られた粉末には、銀と亜鉛が担持され
ていた。
【0047】このように複数の金属種をケイ酸塩と複合
化させることでそれぞれが持つ抗菌・防黴効果を補い合
うようにすることができ、より優れた抗菌効果を得るこ
ともできる。さらに1種の金属種が複合化された複合体
と他の金属種1種が複合化された複合体を混合して用い
ることも可能であり、このような場合にも前述と同様の
効果を得ることができる。
【0048】
【発明の効果】本発明における抗菌・防黴性複合体は、
抗菌性、防黴性、防腐力、安全性、安定性の面で総合的
に優れ、材料等に混合して用いることで物品に優れた抗
菌・防黴効果を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた粉末のX線回折ピークであ
る。
【図2】実施例2で得られた粉末のX線回折ピークであ
る。
【図3】実施例3で得られた粉末のX線回折ピークであ
る。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化ケイ素を主成分とするケイ酸塩に金
    属または金属酸化物の1種またはそれ以上を含有させ
    た、金属または金属酸化物とケイ酸塩の複合体からなる
    ことを特徴とする抗菌・防黴性複合体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の抗菌・防黴性複合体にお
    いて、ケイ酸塩とともに金属種を凝集させることにより
    複合化したことを特徴とする抗菌・防黴性複合体。
  3. 【請求項3】 請求項1乃至2のいずれかに記載の抗菌
    ・防黴性複合体において、ケイ酸塩に含有させた金属種
    の少なくとも1種に亜鉛またはその酸化物を含むことを
    特徴とする抗菌・防黴性複合体。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の抗菌・防黴性複合体にお
    いて、ケイ酸塩に含有させた原料亜鉛種が酢酸亜鉛であ
    ることを特徴とする抗菌・防黴性複合体。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至2のいずれかに記載の抗菌
    ・防黴性複合体において、ケイ酸塩に含有させた金属種
    に銀、銅及びそれらの金属の酸化物より選択される1種
    または2種以上を含むことを特徴とする抗菌・防黴性複
    合体。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載の抗菌
    ・防黴性複合体において、ケイ酸塩が直径1〜1000
    nmの球状シリカゾルの凝集体からなることを特徴とす
    る抗菌・防黴性複合体。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至5のいずれかに記載の抗菌
    ・防黴性複合体において、ケイ酸塩が棒状シリカからな
    ることを特徴とする抗菌・防黴性複合体。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれかに記載の抗菌
    ・防黴性複合体において、含有される金属種、或いは金
    属の酸化物の割合が0.5〜80重量%であることを特
    徴とする抗菌・防黴性複合体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012532921A (ja) * 2009-07-13 2012-12-20 ディオウム,セリグネ 流体の汚染除去製品およびその製造方法
EP4056037A4 (en) * 2019-10-29 2023-12-27 Biológicos Estratégicos Bioest S.A.S. GREEN ANTIFUNGAL AGROCHEMICAL FORMULATION BASED ON SILICA AND ZINC NANOMATERIALS

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