JP2000156147A - 冷陰極電界電子放出素子及び冷陰極電界電子放出型表示装置 - Google Patents

冷陰極電界電子放出素子及び冷陰極電界電子放出型表示装置

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JP2000156147A
JP2000156147A JP32970798A JP32970798A JP2000156147A JP 2000156147 A JP2000156147 A JP 2000156147A JP 32970798 A JP32970798 A JP 32970798A JP 32970798 A JP32970798 A JP 32970798A JP 2000156147 A JP2000156147 A JP 2000156147A
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electron
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Tokiko Takahashi
斗紀子 高橋
Ichiro Saito
一郎 斎藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】平面電極型の表示装置に用いられる電界放出素
子における放出電子軌道の収束性を改善する。 【解決手段】冷陰極電界電子放出素子は、支持体30表
面に電子放出層31、絶縁層32、ゲート電極層33が
この順に積層され、ゲート電極層33と絶縁層32と電
子放出層31とを貫通する開口部34sssが設けら
れ、開口部34sss内に露出した電子放出層31から
電子を放出し、開口部34sssの開口面積は、開口上
端部側から開口底面側に向かって連続的に、又は不連続
的に、又は連続的及び不連続的の組合せによって減少し
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷陰極電界電子放
出素子及び冷陰極電界電子放出型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在主流の陰極線管(CRT)に代わる
画像表示装置として、平面型(フラットパネル形式)の
表示装置が種々検討されている。このような平面型の表
示装置としては、液晶表示装置(LCD)、エレクトロ
ルミネッセンス表示装置(ESD)、プラズマ表示装置
(PDP)が例示される。又、熱的励起によらず固体か
ら真空中に電子を放出することが可能な冷陰極電界電子
放出型の表示素子、所謂フィールドエミッションディス
プレイ(FED)も提案されており、画面の明るさ及び
低消費電力の観点から注目を集めている。
【0003】冷陰極電界電子放出型の表示装置(以下、
単に、表示装置と称する場合がある)は、一般に、2次
元マトリクス状に配列された各画素に対応して電子放出
部を有するカソードパネルと、この電子放出部から放出
された電子との衝突により励起されて発光する蛍光体層
を有するアノードパネルとが、真空層を介して対向配置
された構成を有する。カソードパネル上の各画素におい
ては、通常、複数の電子放出部が形成され、更に、これ
ら電子放出部から電子を引き出すためのゲート電極も形
成されている。この電子放出部とゲート電極(あるいは
ゲート電極層)から構成された部分を、電界放出素子と
称することにする。
【0004】かかる表示装置の構成において、低い駆動
電圧で大きな放出電子電流を得るためには、電子放出部
の先端形状を鋭く尖らせた形状とすること、個々の電子
放出部を微細化して、一画素に対応する区画内における
電子放出部の存在密度を高めること、電子放出部の先端
とゲート電極との距離を短縮することが必要である。従
って、これらを実現するために、従来より様々な構成を
有する冷陰極電界電子放出素子が提案されている。
【0005】従来の表示装置の代表例の1つとして、例
えば Journal of Applied Physics,Vol.47, No.12 (197
6), p.5248〜5263 に記載されるような、電子放出部を
円錐形の導電体で構成した、所謂スピント(Spind
t) 型表示装置が知られている。この表示装置において
は、カソードパネル側の支持体表面にカソード電極層、
絶縁層及びゲート電極層が順次形成されており、ゲート
電極層及び絶縁層を貫通するように、直径1μm程度以
下の微細な開口部が2次元マトリクス状に多数形成さ
れ、各開口部の底面を構成するカソード電極層の上に電
子放出部が1つずつ位置する。開口部の開口端部を構成
するゲート電極に電圧が印加されると、これによって生
ずる電界の強度に応じて、電子放出部の先端部から電子
が放出される。放出された電子は、開口部の外へ引き出
され、カソードパネルと0.1〜1mmの間隔を隔てて
対向配置されたアノードパネルの上の蛍光体層に衝突
し、この蛍光体層を励起・発光させ、所望の画像の形成
に寄与する。
【0006】上記の円錐形の電子放出部は、導電材料を
垂直蒸着する過程で開口部の開口端付近に形成される導
電材料のオーバーハング状の堆積物による遮蔽効果を利
用して、開口部の内部に入射可能な蒸着粒子の量を経時
的に減少させることで自己整合的に形成される。一般的
な電子放出部の高さは1μm以下、先端部の曲率半径は
数十nm以下である。スピント型表示装置の1画素に
は、通常、上述のように微細な円錐形の電子放出部が数
十〜数千個含まれる。従って、数百万画素を有する対角
画面寸法17インチ以上の表示装置を構成するには、億
単位の個数の電子放出部を精度良く形成することが必要
となる。
【0007】米国特許第5528103号には、かかる
スピント型表示装置の改良型として、隣接するストライ
プ状の各ゲート電極の間にストライプ状の収束電極を配
した表示装置が開示されている。この収束電極は、電子
放出部の先端部から放出された電子の軌道が発散し、電
子が隣接画素の蛍光体層に衝突して色濁りを起こす現
象、即ち光学的クロストークを防止するために設けられ
ている。収束電極は、導電体層、誘電体層、表面の少な
くとも一部を導電体被膜で覆った誘電体層等の材料から
構成可能であり、収束電極の高さはゲート電極の高さの
10倍以上、より好ましくは100倍以上とされる。
【0008】又、スピント型とは別のタイプの表示装置
として、円錐形の電子放出部の代わりに、層状の電子放
出部を備えた平面電極型の表示装置も知られている。こ
の表示装置における電界放出素子は、支持体である絶縁
性基板の上に電子放出層、絶縁層、ゲート電極層が順次
積層されて成り、ゲート電極層と絶縁層とを貫通する開
口部が設けられており、この開口部の底面に露出した電
子放出層から電子が放出される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
いずれのタイプの従来の表示装置にも、それぞれに問題
がある。先ず、スピント型表示装置については、寸法精
度上の理由から大画面化への対応が困難である。即ち、
電子放出部をはじめとする各部の寸法がミクロン・オー
ダーであるため、これらを作製するためには更に1桁小
さい加工精度が必要であり、半導体集積回路の製造と同
等のプロセスや製造装置が必要となる。しかし、対角画
面寸法が17インチを超えるような中〜大型の表示装置
を製造するための製造装置は、極めて大規模となる。加
えて、かかる大面積のカソードパネルの全体に亙って、
数億個にも上る電子放出部の形状や寸法、及び電子放出
部の先端部からゲート電極の縁部までの距離を均一に揃
えることは、実際には極めて困難であり、何らかの面内
ばらつきやロット間ばらつきは避けられない。このばら
つきは、表示装置の画像表示特性、例えば画像の明るさ
にばらつきを発生させる原因となる。これらの問題点
は、米国特許第5528103号に記載されるような収
束電極を備える表示装置においても解決されてはいな
い。
【0010】一方、平面電極型の表示装置では、スピン
ト型表示装置の欠点がかなり解消されている。即ち、ゲ
ート電極層の縁部から電子放出層までの距離は、絶縁層
の厚さでほぼ決定することができるため、この距離の制
御はスピント型表示装置の場合に比べて遥かに容易であ
る。従って、大面積の支持体上でも電子放出部の電子放
出特性を均一化することが容易となり、表示装置の画像
の明るさも均一化され得る。しかし、電子放出部の形状
がスピント型表示装置におけるような先鋭な端点ではな
く、平面であるため、放出電子軌道の収束性に本質的に
劣るという問題を抱えている。
【0011】そこで、1つの解決策として、平面電極型
の表示装置の電界放出素子に、米国特許第552810
3号に記載されるような収束電極を設ける構成が考えら
れる。図13は、かかる構成の概念図である。図13の
(A)に示す電界放出素子においては、支持体60上に
電子放出層61、絶縁層62及びゲート電極層63が順
次積層され、ゲート電極層63と絶縁層62を垂直に貫
通する開口部64が設けられている。開口部64の底面
に露出する電子放出層61の部分が、電子放出部として
機能する部分である。ゲート電極層63の上であって、
且つ開口部64を挟む領域には、一対の収束電極67が
設けられている。収束電極67には、電子放出層61や
ゲート電極層63とは独立した電位を印加する必要があ
るため、絶縁性の支柱部65の一部を導電膜66で被覆
した構成とする。
【0012】図13の(B)に示すカソードパネルは、
図13の(A)の変形例である。絶縁層62の上であっ
て、且つ、ゲート電極層73が設けられていない領域
に、開口部64を挟む一対の収束電極77が設けられて
いる。この収束電極77は、ゲート電極層73と接して
いないため、全体を導電材料で構成することができる。
図13の(A)及び(B)に示すこれらのカソードパネ
ルにおいて、電子放出層61の法線に対して比較的小さ
な角度で放出された電子e1は、そのままアノードパネ
ル方向に進行するが、比較的大きな角度で放出された電
子e2は、収束電極67、77が形成する電界の作用に
より途中で軌道が曲げられ、発散が抑制される。
【0013】しかしながら、米国特許第5528103
号にも記載されるように、収束電極67、77の高さ
は、ゲート電極層63、73の高さ(厚さ)の10倍以
上、好ましくは100倍以上とされる。このように寸法
の桁が大きく異なる部材を同一基板上に作製すること
は、実際には容易ではない。収束電極67の支柱部65
及び収束電極77の形成方法としては、スクリーン印刷
法、エッチング法、サンドブラスト法を例示することが
できるが、いずれの方法も形成に時間がかかったり、プ
ロセスが煩雑化する等の問題があり、スループットが大
幅に低下する虞れがある。更に、図13の(A)に示し
た構成においては、収束電極67の支柱部65の付け根
部分に導電膜66を被着させないために、導電膜66を
斜め蒸着法あるいは斜めスパッタリング法により成膜す
る必要がある。しかし、このような導電膜66の成膜方
法は、対角画面寸法が数インチ程度の表示装置用のカソ
ードパネルに対して適用する限りはそれ程困難ではない
が、寸法が十数インチ程度に大きくなると、適用は困難
となる。これは、カソードパネル面内の各地点におい
て、導電膜66を構成するための成膜材料粒子の入射方
向が微妙に変化するために、カソードパネル上の地点に
よっては、支柱部65の付け根部分にも導電膜66が被
着され、収束電極67に独自の電位を与えることができ
なくなる虞れが大きいからである。
【0014】このように、従来の表示装置に使用されて
いる冷陰極電界電子放出素子では、放出電子軌道の優れ
た収束性、大画面化にも対応し得る電子放出特性の均一
化、製造の容易性といった要件を実用上十分なレベルで
同時に満足させることは、極めて困難である。
【0015】従って、本発明の目的は、これらの各要件
を高いレベルで満足させることが可能な冷陰極電界電子
放出素子(以下、電界放出素子と称する)とこれを用い
た冷陰極電界電子放出型表示装置(以下、表示装置と称
する)を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、電子放出層、
絶縁層、ゲート電極層の3つの層から成る積層体に、電
子放出を可能とするための開口部を形成して成る電界放
出素子において、開口部の断面形状の工夫を通じて開口
部近傍に形成される電界を湾曲させることで、一種の電
界レンズ効果を創出でき、そして、この効果を利用すれ
ば、従来のように煩雑なプロセスを経て高さの高い収束
電極を設けることなく、放出電子軌道の発散を抑制でき
る、との知見に基づいて提案されるものである。
【0017】即ち、本発明の第1の態様に係る電界放出
素子は、支持体表面に、電子放出層、絶縁層、ゲート電
極層とがこの順に積層され、ゲート電極層と絶縁層とを
貫通する開口部が設けられ、開口部の底面に露出した電
子放出層から電子を放出する電界放出素子であって、開
口部の開口面積は、開口上端部側から開口底面側に向か
って連続的に又は不連続的に減少していることを特徴と
する。
【0018】あるいは又、本発明の第2の態様に係る電
界放出素子は、支持体表面に、電子放出層、絶縁層、ゲ
ート電極層がこの順に積層され、ゲート電極層と絶縁層
とを貫通する開口部が設けられ、開口部の底面に露出し
た電子放出層から電子を放出する電界放出素子であっ
て、開口部は、ゲート電極層に設けられた第1開口部
と、絶縁層に設けられた第2開口部とから成り、第2開
口部の平均開口面積S2avは第1開口部の平均開口面積
1avよりも小さい(S2av<S1av)ことを特徴とす
る。ここで、平均開口面積を、「開口部の上端部におけ
る開口面積と、開口部の下端部における開口面積との平
均値」と定義する。この定義は、側壁面が垂直な開口部
に適用しても構わないが、側壁面が傾斜した開口部の開
口面積を規定する上で特に有用である。本発明の第1若
しくは第2の態様に係る電界放出素子においては、上記
開口部は2つの層、即ちゲート電極層と絶縁層とを貫通
しているので、かかる構成を「2開口系」と称すること
にする。
【0019】図1は、2開口系として可能な開口部のパ
ターンを一覧表形式で示す概念図である。図1では、説
明を簡略化するために、開口部近傍の構成要素としてゲ
ート電極層G、絶縁層D、及び電子放出層Eのみを示
し、しかも、開口部の左半分断面のみを示す。2開口系
では、電子放出層Eを貫通するような開口部は形成され
ず、開口部の底面に露出した電子放出層Eから電子が放
出される。一覧表の縦方向の2列は、絶縁層Eの側壁面
のプロファイルを基準とした分類であり、1系は垂直、
2系は傾斜である。また、一覧表の横方向の4行は、ゲ
ート電極層Gの側壁面のプロファイル、及びゲート電極
層Gと絶縁層Dとの連続性を基準とした分類であり、a
系はゲート電極層Gが垂直且つ連続的、b系はゲート電
極層が垂直且つ不連続的、c系はゲート電極層が傾斜且
つ連続的、d系はゲート電極層Gが傾斜且つ不連続的で
ある場合をそれぞれ表す。なお、ここで述べる「連続
的」とは、ゲート電極層Gに設けられた第1開口部の下
端部と絶縁層Dに設けられた第2開口部の上端部との位
置が一致している状態、「不連続的」とは一致していな
い状態をそれぞれ指すものとする。また、電子放出層E
の下に位置する支持体の表面に対して開口部の側壁面が
垂直である場合を「垂直」、傾斜している場合を「傾
斜」と表現する。図1において、上記の2列と4行との
組合せによれば、一見、8種類のパターンが存在するよ
うに思われるが、垂直な絶縁層Dと垂直なゲート電極層
Gとが連続するような開口部は、「開口上端部側から開
口底面側に向かって開口面積が縮小する」、あるいは
「S2av<S1av」という本発明の第1若しくは第2の態
様に係る電界放出素子に対する要件を満たしていないの
で、除外する。従って、本発明にて構成可能な2開口系
は、7パターン存在する。
【0020】本発明の第3の態様に係る電界放出素子
は、支持体表面に電子放出層、絶縁層、ゲート電極層が
この順に積層され、ゲート電極層と絶縁層と電子放出層
とを貫通する開口部が設けられ、開口部内に露出した電
子放出層から電子を放出する電界放出素子であって、開
口部の開口面積は、開口上端部側から開口底面側に向か
って連続的に、又は不連続的に、又は連続的及び不連続
的の組合せによって減少していることを特徴とする。
【0021】あるいは又、本発明の第4の態様に係る電
界放出素子は、支持体表面に電子放出層、絶縁層、ゲー
ト電極層がこの順に積層され、ゲート電極層と絶縁層と
電子放出層とを貫通する開口部が設けられ、開口部内に
露出した電子放出層から電子を放出する電界放出素子で
あって、開口部は、ゲート電極層に設けられた第1開口
部と、絶縁層に設けられた第2開口部と、電子放出層に
設けられた第3開口部とから成り、第2開口部の平均開
口面積S2avは第1開口部の平均開口面積S1av以下であ
り(S2av≦S1av)、第3開口部の平均開口面積S3av
は第2開口部の平均開口面積S2avよりも小さい(S3av
<S2av)ことを特徴とする。第3の態様若しくは第4
の態様における開口部は、3つの層、即ちゲート電極層
と絶縁層と電子放出層とを貫通しているので、かかる構
成を「3開口系」と称することにする。
【0022】図2及び図3は、3開口系として可能な開
口部のパターンを一覧表形式で示す概念図である。図2
には、3開口系の中でも絶縁層Dが垂直なグループ、図
3には絶縁層Dが傾斜したグループをそれぞれ纏めた。
両図共、一覧表の縦方向の3列は、絶縁層Dと電子放出
層Eとの組合せによる分類である。即ち、11系及び2
1系は電子放出層Eが垂直且つ絶縁層Dと不連続、12
系及び22系は電子放出層Eが傾斜且つ絶縁層Dと連
続、13系及び23系は電子放出層Eが傾斜且つ絶縁層
Dと不連続である。また、両図共、一覧表の横方向の4
行は、ゲート電極層Gと絶縁層Dとの組合せによる分類
である。即ち、a系はゲート電極層Gが垂直且つ絶縁層
Dに対して連続的、b系はゲート電極層Gが垂直且つ絶
縁層Dに対して不連続的、c系はゲート電極層Gが傾斜
且つ絶縁層Dに対して連続的、d系はゲート電極層Gが
傾斜且つ絶縁層Dに対して不連続的である場合をそれぞ
れ表す。図2及び図3のそれぞれにおいて、これら3列
と4行との組合せにより12種類、計24種類のパター
ンが存在する。なお、ここで述べる「連続的」とは、ゲ
ート電極層Gに設けられた第1開口部の下端部と絶縁層
Dに設けられた第2開口部の上端部との位置、あるいは
又、絶縁層Dに設けられた第2開口部の下端部と電子放
出層Eに設けられた第3開口部の上端部との位置が一致
している状態、「不連続的」とは一致していない状態を
それぞれ指すものとする。
【0023】なお、図2と図3には、絶縁層Dと電子放
出層Eとの組合せとして、「電子放出層Eが垂直且つ絶
縁層Dと連続」という組合せが記載されていない。かか
る組合せは、b系、c系、及びd系において本発明の要
件を満たすが、電子放出層Eの端部が絶縁層Dの側壁面
から突出しない構造となるために、実用上十分な電子放
出効率を得ることは困難と考えられるので、ここでは一
応除外しておく。
【0024】本発明の第4の態様に係る電界放出素子に
おいては、第2開口部の平均開口面積S2avは第1開口
部の平均開口面積S1av以下であるが(S2av
1av)、第2開口部の平均開口面積S2avが第1開口部
の平均開口面積S1avと同じ場合(S2a v=S1av)と
は、図2のパターン11a、12a、13aに相当し、
第2開口部の平均開口面積S2avが第1開口部の平均開
口面積S1avよりも小さい場合(S2a v<S1av)とは、
図2及び図3において上記パターン11a、12a、1
3a以外の全てのパターンに相当する。
【0025】なお、第1及び第2の態様に係る電界放出
素子における第1開口部及び第2開口部、若しくは第3
及び第4の態様に係る電界放出素子における第1〜第3
開口部の少なくともいずれかにおいて、上端部と下端部
とで開口部の平面形状が変化しているような場合、開口
部の側壁面の断面プロファイルが複雑に変化し、開口部
が必ずしも開口上端側から開口底面側に向かって減少し
ていない場所が局部的に発生する可能性もある。しか
し、本発明では、開口部が全体として電界レンズ効果を
創出し得る限りにおいて、かかる局部的な変形は許容さ
れるものとする。
【0026】電界放出素子を構成する各層の材料や厚さ
を同じとし、また絶縁層に設けられた第2開口部の底面
側の面積を同じと仮定すると、2開口系の方が3開口系
に比べて放出電子軌道の収束性が強化される。即ち、電
界レンズの焦点距離が短縮した効果が得られる。また、
2開口系同士、あるいは3開口系同士で比較すると、よ
り多くの層が傾斜面を持つほど、また不連続部の数が多
いほど、放出電子軌道の収束性が強くなる。例えば、図
1に示した各パターンの中では、パターン1bよりもパ
ターン2cの方が電界レンズの収束効果が大きく、パタ
ーン2dの方が更に収束効果が大きい。また、図2及び
図3に示した各パターンの中では、パターン11aより
もパターン11bの方が電界レンズの収束効果が大き
く、パターン23cはより大きく、パターン23dは更
に大きい。なお、図1、図2及び図3には記載しなかっ
たが、傾斜面の数や不連続部の数が等しい場合には、傾
斜面の傾きが小さいほど、また不連続部の水平距離が長
いほど、電界レンズの収束効果が大きくなる。なお、複
数の傾斜面が存在する場合、各傾斜面の勾配はそれぞれ
に異なっていてもよい。
【0027】なお、本発明においては、ゲート電極層G
と電子放出層Eとアノード電極層との電位の組合せや、
電子放出層Eとアノード電極層との間の距離、絶縁層の
厚さ、開口部の平均開口面積や形状によっては、電子の
最収束地点がアノードパネル上の蛍光体層の表面に合致
せず、蛍光体層の手前にずれたり、あるいは蛍光体層を
越えた地点にずれる場合もある。しかし、ある画素内で
放出された電子が隣接画素に侵入しない限りにおいて、
電子の最収束地点が蛍光体層の表面からずれていても構
わない。
【0028】例えば、図1のパターン1bに示す本発明
の第1若しくは第2の態様に係る電界放出素子におい
て、ゲート電極層Gに設けるべき第1開口部の平面形状
を円形(直径g)、絶縁層Dに設けるべき第2開口部の
平面形状を円形(直径h)、絶縁層の厚さをdとして、
以下、g,h,dの関係を説明する。
【0029】ゲート電極層及びアノード電極層に適切な
電位を加えると、後述する図6に示すと同様に、電子放
出層Eの表面近傍における電界の等電位線が、g/dに
依存して、開口部の開口上端部側から開口底面側に向か
って湾曲する。g/dがおよそ1以下では、g/dの値
を変えても電子放出層Eの表面近傍における電界強度に
は殆ど変化が認められない。一方、g/dがおよそ1付
近を越えると、g/dの値が大きくなるに従い、電子放
出層Eの表面近傍における電界強度の変化が大きくな
る。即ち、カソードパネルとアノードパネルとの間に形
成される電界の等電位線が、開口部の開口上端部側から
開口底面側に向かって湾曲する割合が大きくなる。従っ
て、g/dは1より大きくなるように設計することが好
ましい。
【0030】また、電界レンズの収束効果(あるいは発
散を抑制する効果)もg/dに依存する。即ち、g/d
の値が大きくなるほど、電界レンズの収束効果は小さく
なる。言い換えれば、例えば凸レンズとしての機能を有
する電界レンズの焦点距離Fが長くなる。従って、アノ
ード電極層とゲート電極層との間の距離、アノード電極
層の電位、及び、アノードパネル上の蛍光体層に衝突す
る電子ビームのスポット径といった設計仕様値に基づ
き、g/dの値を決定する必要がある。つまり、電子ビ
ームのスポット径を小さくするためには、g/dの値を
小さくし、アノード電極層とゲート電極層との間の距離
を短くし、アノード電極層の電位を高くすればよい。と
ころで、冷陰極電界電子放出型表示装置に要求される輝
度からアノード電極層に加えるべき電位が決定され、ア
ノード電極層に加えるべき電位に基づきアノード電極層
とゲート電極層との間の距離が決定され、これらの決定
された値に基づきg/dの値が決定される。
【0031】また、絶縁層Dに設けられた第2開口部の
底面に露出した電子放出層Eから電子が放出されるの
で、第2開口部の直径hが小さくなれば電子ビームの径
が小さくなる。然るに、電子ビームの径が小さくなる
と、電子ビームに及ぼす電界レンズの収束効果(あるい
は発散を抑制する効果)が小さくなる。従って、電子ビ
ーム電流と画素の大きさ、閾値電界(電界放出層Eから
の電子放出が生ずる電界強度の閾値)に基づき、最初
に、絶縁層Dに設けるべき第2開口部の直径hの値を決
定する。
【0032】開口部の側壁面を支持体の表面に対して傾
斜させると、g/dを大きくしたと同じ効果を得ること
ができる。但し、電界の等電位線が開口部の傾斜壁に沿
って緩やかに変化するので、側壁面が垂直な開口部の平
均開口面積と、側壁面が傾斜している開口部の平均開口
面積とが等しい場合、側壁面が傾斜している開口部に基
づき生じる電界レンズの方が収束効果はより小さくな
る。
【0033】本発明において、電界放出素子を構成する
各層の垂直壁や傾斜壁は、いかなる方法により形成して
もよい。垂直壁は、蒸着法、スパッタリング法、CVD
法、イオン・プレーティング法等、通常の薄膜形成プロ
セスで作製された被加工層を異方的にエッチングした
り、あるいはレジスト・パターンを利用してリフトオフ
・プロセスを行うことにより、簡便に形成することがで
きる。一方、傾斜壁は、ドライエッチング法、リソグラ
フィ法、あるいはスクリーン印刷法やグラビア印刷法等
の印刷法により形成可能である。傾斜壁をドライエッチ
ング法で形成する場合には、エッチング反応の過程で生
成する堆積性物質によるレジスト・マスクのパターン幅
太りを利用して、被加工層の側壁面を傾斜させることが
できる。あるいは、被加工層の上に傾斜壁を有するレジ
スト・マスクを形成しておき、このレジスト・マスクも
一緒に除去し得る条件でエッチングを行うことにより、
レジスト・マスクのエッジ・プロファイルを被加工層に
転写してもよい。被加工層自身が感光性材料から成る場
合には、意図的なデフォーカス露光を行って感光領域の
厚さ方向分布を制御することで、現像後の被加工層の側
壁面を傾斜面とすることができる。あるいは、各層の構
成材料を含むペースト状のインキを印刷法により塗布す
ると、インキの自重により塗膜のエッジがだれるので、
自然に傾斜壁が得られる。
【0034】本発明の電界放出素子を構成する支持体
は、少なくとも表面が絶縁性部材より構成されていれば
よく、ガラス基板、表面に絶縁膜が形成されたガラス基
板、石英基板、表面に絶縁膜が形成された石英基板、表
面に絶縁膜が形成された半導体基板を用いることができ
る。又、電子放出層に対する親和性を改善するために、
支持体の表面にプライマー等から成る下地層が形成され
ていてもよい。
【0035】電子放出層は、タングステン(W)、ニオ
ブ(Nb)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリ
ブデン(Mo)、クロム(Cr)、アルミニウム(A
l)、銅(Cu)等の金属層又はこれらの金属元素を含
む合金層、あるいは不純物を含有するシリコン等の半導
体層を用いて形成することもできるが、導電性微粒子を
分散させた導電性ペーストを用いて形成することが一層
好適である。
【0036】導電性微粒子としては、グラファイト粉
末;酸化バリウム粉末、酸化ストロンチウム粉末、金属
粉末の少なくとも一種を混合したグラファイト粉末;窒
素、リン、ホウ素、トリアゾール等の不純物を含むダイ
ヤモンド粒子又はダイヤモンドライク・カーボン粉末;
シリコン・カーバイド粉末を例示することができる。特
に、導電性微粒子としてグラファイト粉末を選択するこ
とは、閾値電界の低減や電子放出部の耐久性の観点から
好ましい。導電性微粒子の形状を、球状、鱗片状の他、
あらゆる定形形状や不定形形状とすることができる。ま
た、導電性微粒子の粒径は、電子放出層の厚さやパター
ン幅以下であればよい。粒径が小さい方が、単位面積当
たりの放出電子数を増大させることができるが、あまり
小さ過ぎると電子放出層の導電性が劣化する虞れがあ
る。よって、好ましい粒径の範囲はおおよそ0.01〜
4.0μmである。かかる導電性微粒子をガラス成分そ
の他の適当な結合剤と混合して導電性ペーストを調製
し、この導電性ペースを用いて印刷法により所望のパタ
ーンを形成し、パターンを焼成することによって電子放
出層を形成することができる。
【0037】平面電極型の表示装置では、電子放出層に
相対的に負の電位、ゲート電極層に相対的に正の電位、
アノードパネル側のアノード電極層に相対的に正の電位
(但し、ゲート電極層に与える電位よりは高い)を与
え、電子放出層とアノード電極層とが重複する空間領域
に発生する電界強度が所定の閾値(閾値電界)の値を超
えた時に、電子放出が生ずる。スピント型表示装置で
は、かかる電界強度の閾値(閾値電界)は一般に107
V/cm程度であるが、本発明の電界放出素子を組み込
んだ表示装置では、これを104〜105V/cmのオー
ダーに低減させることが可能である。このため、電子放
出層に印加する電圧を手かさせることができ、表示装置
の消費電力の低減につながる。また、スピント型表示装
置ではイオン衝撃による電子放出部の先端部の劣化が避
けられず、この劣化を少しでも低減するために、表示装
置の内部の真空度として1.3×10-5〜1.3×10
-6Pa(1×10-7〜1×10-8Torr)程度のオー
ダーが必要とされていた。しかし、本発明の電界放出素
子においては、電子放出部のイオン衝撃に対する耐性が
高く、真空度は一桁低い1.3×10-4〜1.3×10
-5Pa(1×10-6〜1×10-7Torr)程度のオー
ダーで十分である。従って、表示装置の高真空設計が容
易となり、表示画面の大面積化へ対応する上で有利とな
る。
【0038】絶縁層の構成材料としては、SiO2、S
iN、SiON、ガラス・ペースト硬化物を単独あるい
は適宜積層して使用することができる。絶縁層の成膜に
は、CVD法、塗布法、スパッタリング法、印刷法等の
公知のプロセスが利用できる。
【0039】ゲート電極層は、タングステン(W)、ニ
オブ(Nb)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モ
リブデン(Mo)、クロム(Cr)、アルミニウム(A
l)、銅(Cu)、銀(Au)等の金属層又はこれらの
金属元素を含む合金層、あるいはダイヤモンド等の半導
体層を用いて形成することができる。
【0040】開口部の平面形状は特に規定されないが、
一般に円、楕円、あるいはn角形(但し、nは3以上の
整数)が可能である。n角形は、正n角形でなくてもよ
く、又、その頂点は丸みを帯びていてもよい。第1及び
第2の態様に係る電界放出素子における第1開口部の平
面形状と第2開口部の平面形状、あるいは第3及び第4
の態様に係る電界放出素子における第1開口部の平面形
状、第2開口部の平面形状、及び第3開口部の平面形状
は、互いに相似であっても無くてもよい。又、第1〜第
4の態様に係る電界放出素子におけるゲート電極層に穿
設される第1開口部の平面形状は、ゲート電極層の厚さ
方向の任意の点を含む仮想平面において常に相似でなく
てもよい。第1〜第4の態様に係る電界放出素子におい
て、絶縁層に穿設される第2開口部の平面形状は、絶縁
層の厚さ方向の任意の点を含む仮想平面において常に相
似でなくてもよい。更に、第3及び第4の態様に係る電
界放出素子において、電子放出層に穿設される第3開口
部の平面形状は、電子放出層の厚さ方向の任意の点を含
む仮想平面において常に相似でなくてもよい。又、表示
装置全体としては、同一のカソードパネル上に第1〜第
4の態様に係る電界放出素子が混在していても構わな
い。
【0041】本発明の表示装置は、支持体表面に、電子
放出層、絶縁層、ゲート電極層がこの順に積層され、少
なくともゲート電極層と絶縁層とを貫通する開口部が設
けられ、開口部の底面に露出した電子放出層から電子を
放出する電界放出素子を複数有するカソードパネルと、
透明支持体表面に蛍光体層と透明電極層とが形成されて
成るアノードパネルとが真空層を挟んで対向配置され、
電子放出層、ゲート電極層及び透明電極層に所定の電位
を与えた時に、カソードパネルとアノードパネルとの間
に形成される電界の等電位線が、開口部の開口上端部側
から開口底面側に向かって湾曲することを特徴とする。
電界放出素子としては、第1〜第4の態様に係る電界放
出素子を、いずれも使用することができる。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、発明の実
施の形態(以下、実施の形態と略称する)に基づき、本
発明の電界放出素子の典型的な構成例について説明す
る。
【0043】(実施の形態1)実施の形態1は、本発明
の第1及び第2の態様に係る2開口系の電界放出素子に
関する。実施の形態1に係る電界放出素子を、図4に示
す。ここで、図4の(B)は開口部の立体形状を示す概
略斜視図であり、図4の(A)は図4の(B)のX−X
線に沿った1つの開口部近傍の模式的な一部断面図であ
る。図4の(B)では、図示の都合上、絶縁層と支持体
とを省略しているが、絶縁層に設けられた開口部を破線
で示す。また、ゲート電極層と電子放出層との距離を、
若干拡大して示している。
【0044】なお、図4も含め、本明細書において参照
する以下の各図面においては、開口部を示す参照番号に
添字を付すが、添字「v」は第1〜第3開口部の側壁面
が垂直壁である場合を示し、添字「s」は第1〜第3開
口部の側壁面が傾斜壁である場合を表すものとする。
又、2連の添字は、第1開口部と第2開口部とから構成
される開口部を表すために用い、最初の文字は第1開口
部、2番目の文字は第2開口部の各側壁面のプロファイ
ルをそれぞれ表す。例えば、「開口部34sv」と表記
した場合には、側壁面の垂直な第1開口部と側壁面の傾
斜した第2開口部とが組み合わせられたパターン2a又
はパターン2b(図1参照)を指す。更に、3連の添字
は、第1開口部と第2開口部と第3開口部とから構成さ
れる開口部を表すために用い、最初の文字は第1開口
部、2番目の文字は第2開口部、3番目の文字は第3開
口部の各側壁面のプロファイルをそれぞれ表す。例え
ば、「開口部34ssv」と表記した場合には、側壁面
の傾斜した第1開口部と、側壁面の傾斜した第2開口部
と、側壁面の垂直な第3開口部とが組み合わせられたパ
ターン21c又はパターン21d(図3参照)を指す。
また、あらゆる形状の開口部を総称する場合は、添字を
使用せず、「開口部34」のように記載する。
【0045】図4に示す電界放出素子において、支持体
30の表面に、一方向に延在するストライプ状の電子放
出層31、絶縁層32、及び電子放出層31と直交する
方向に延在するストライプ状のゲート電極層33が順次
積層され、ゲート電極層33と絶縁層32とが重複する
領域に、これら両層33、32を貫通する開口部34v
vが設けられている。開口部34vvの底面に露出した
電子放出層31の部分が、電子放出部として機能する部
分である。開口部34vvは、ゲート電極層33に垂直
に穿設された第1開口部33vと、絶縁層32に垂直に
穿設された第2開口部32vとから成る。第1開口部3
3vの開口面積S1は、第2開口部32vの開口面積S2
よりも常に大きく(S2<S1)、従って、開口部34v
vは開口上端部側から開口底面側へ向けて開口面積が不
連続に減少した断面プロファイルを有することになる
(図1のパターン1bに相当)。垂直な側壁面を有する
これらの開口部33v、32vの各開口面積S1、S
2は、深さ方向に一定なので、平均開口面積S1av,S
2avと等しい。
【0046】図4の(B)は、ゲート電極層33と電子
放出層31とが重複する各領域にそれぞれ1個だけ開口
部34vvが形成された状態を例示しているが、実際に
表示装置に組み込まれる電界放出素子においては、各領
域に複数個の開口部34vvが形成される場合が多い。
【0047】(実施の形態2)実施の形態2は、実施の
形態1の変形例である。この電界放出素子を、図5に示
す。ここで、図5の(B)は開口部の立体形状を示す概
略斜視図であり、図5の(A)は図5の(B)のX−X
線に沿った1つの開口部近傍の模式的な一部断面図であ
る。図5の(B)では、図示の都合上、絶縁層と支持体
とを省略しているが、絶縁層に設けられた開口部を破線
で示す。また、ゲート電極層と電子放出層との距離を、
若干拡大して示している。図5における開口部34sv
は、傾斜壁を有する第1開口部33sと、垂直壁を有す
る第2開口部32vとから構成される。しかも、第1開
口部33vの下端部の位置と、第2開口部32vの上端
部の位置とが一致している(図1のパターン1cに相
当)。このような場合に、第1開口部33sの開口面積
が第2開口部32vの開口面積よりも大きいことを表現
するためには、第1開口部33sの開口面積の代表値と
して、平均開口面積S 1avを採用することが好適であ
る。ここで、第1開口部33sの側壁面の勾配を一定と
仮定すると、ゲート電極層33の厚さ方向の半分の地点
における開口面積が、平均開口面積S1avと等しくな
る。第2開口部32vの開口面積S2は平均開口面積S
2avと等しい。
【0048】(実施の形態3)実施の形態3は、本発明
の表示装置に関する。この表示装置に含まれる電界放出
素子は、本発明の第1及び第2の態様に係る電界放出素
子であり、図6に示すように、支持体30の表面に電子
放出層31、絶縁層32及びゲート電極層33が順次積
層され、ゲート電極層33と絶縁層32とを貫通する開
口部34ssが設けられている。開口部34ssの底面
に露出した電子放出層31の部分が、電子放出部として
機能する部分である。開口部34ssは円形の平面形状
を有し、ゲート電極層33に傾斜面をもって設けられた
第1開口部33sと、絶縁層32に傾斜面をもって設け
られた第2開口部32sとから成り、第1開口部33s
の下端部の位置と第2開口部32sの上端部の位置とは
一致している(図1のパターン2cに相当)。即ち、開
口部34ssの開口面積は、開口上端部側から開口底面
側に向かって連続的に減少する。
【0049】支持体30としては、一例としてガラス基
板を使用する。電子放出層31は、厚さ約10μm、幅
約100μmのグラファイト焼結体パターンから成り、
約120μmのピッチでストライプ状に配列されてい
る。グラファイト焼結体パターンは、一例として平均粒
径4μmのグラファイト粒子を含む。絶縁層32は、厚
さ約15μmの絶縁性ガラス層から成る。ゲート電極層
33は、厚さ約10μm、幅約100μmの銀焼結体パ
ターンから成り、約120μmのピッチでストライプ状
に配列されている。ゲート電極層33の延在方向は、図
4にも既に示したように、電子放出層31の延在方向と
直交している。ゲート電極層33に設けられた第1開口
部33sの上端部の直径を140μm、下端部の直径を
120μm、平均開口面積S1avを1.34×10
-82、絶縁層32に設けられた第2開口部32sの上
端部の直径を120μm、下端部の直径を100μm、
平均開口面積S2avを0.96×10-82とする。
【0050】実際に表示装置を構成する際には、上述の
ような構成を有する電界放出素子が多数配列されたカソ
ードパネルCPとアノードパネルAPとを外周枠を介し
て対向配置し、両パネルCP,APと外周枠によって囲
まれた空間を真空層とする。アノードパネルAPには、
透明支持体表面の電界放出素子との対向面側において
R、G、Bの3色の蛍光体層と、例えばITO(インジ
ウム・錫酸化物)等の透明導電材料から成るアノード電
極層が形成されているが、これらの図示は省略した。電
界放出素子とアノードパネルAPとは、外周枠を用いて
約0.15mmの空間を隔てて対向配置され、この空間
の真空度は1.3×10-4Pa(10-6Torr)のオ
ーダーに設定されている。このようにして構成される表
示装置について、電界強度分布のシミュレーションを行
った。電子放出層31の電位を0V、ゲート電極層33
の電位を100V、アノード電極層の電位を5kVに設
定した。
【0051】かかるシミュレーション条件により得られ
た等電位線は、図6に示すとおり、アノードパネルAP
の表面近傍ではほぼ平行に走るが、電界放出素子の近傍
では開口部34ssの開口上端部側から開口底面側に向
かって湾曲し、電界レンズ効果を顕す。この電界レンズ
効果により、電子の軌道をアノードパネルAPへ向かう
電子の軌道を収束させ、あるいは又、発散を弱めること
ができる。
【0052】次に、実施の形態3にかかる表示装置の電
界放出素子を印刷法を主体として製造するプロセスにつ
いて、図7を参照しながら説明する。先ず、図7の
(A)に示すように、一例としてガラス基板から成る支
持体40の上に、例えば厚さ約10μmの下地層40a
を形成する。この下地層40aは、電子放出層31を形
成するための導電性ペーストの流動抑制を目的として、
吸収性のガラス・ペーストを印刷することにより形成さ
れる。
【0053】その後、電子放出層41を形成するため、
支持体表面に(より具体的には、下地層40aの上に)
導電性ペーストをストライプ状に印刷する。この導電性
ペーストは、導電性物質としてグラファイト粒子、結合
剤の一部としてガラス粉末を含有している。ストライプ
のピッチは、作製しようとする表示装置の画面の画素ピ
ッチに等しい。ここでは、対角寸法20インチの表示装
置用の電界放出素子の製造を想定し、各ストライプの幅
を100μm、ピッチを120μmとする。実施の形態
3では、電子放出層31を貫通する開口部を設けないの
で、各ストライプに開口部は形成されていない。この
後、480°Cで焼成を行ってグラファイト粉末を焼結
させ、図7の(B)に示すように、一例として厚さ10
μmの電子放出層41を形成する。下地層40aと導電
性ペースト中のガラス成分は、グラファイト粒子を支持
体40であるガラス基板上に固着させる働きをする。な
お、完成した電子放出層41に更にプラズマ・エッチン
グ、電気分解、酸洗浄等の処理を施し、グラファイト粒
子を活性化させてもよい。
【0054】次に、絶縁層を形成するため、全面に一例
としてガラス・ペーストを印刷する。ガラス・ペースト
の印刷パターンには、電子放出層41と後に形成される
ゲート電極層43との重複予定領域において、必要な個
数の第2開口部42sが設けられている。第2開口部4
2sの側壁面の傾斜は、ガラス・ペーストの自重による
「だれ」に起因して自然に形成されるものである。この
後、480°Cで焼成を行い、図7の(C)に示すよう
に、一例として厚さ15μmの絶縁性ガラス層から成る
絶縁層42を形成する。
【0055】その後、ゲート電極層43を形成するた
め、絶縁層42の上に一例として銀ペーストをストライ
プ状に印刷する。ストライプのピッチは、作製しようと
する表示装置の画面の画素ピッチに等しい。ここでは、
対角寸法20インチの表示装置用の電界放出素子の製造
を想定し、各ストライプの幅を100μm、ピッチを1
20μmとする。この銀ペーストの印刷パターンには、
第2開口部42sと位置合わせされた第1開口部43s
が形成されている。第1開口部43sの側壁面の傾斜
は、銀ペーストの自重による「だれ」に起因して自然に
形成されるものである。この後、480°Cで焼成を行
い、図7の(D)に示すように、一例として厚さ10μ
mのゲート電極層43を形成すると、電界放出素子を有
するカソードパネルCPを完成させることができる。な
お、上述のプロセスでは、電子放出層41、絶縁層4
2、ゲート電極層43を形成するためのペーストを塗布
する毎に焼成を行ったが、電子放出層41を構成するグ
ラファイト粒子は焼成を繰り返すうちに酸素と化合し、
二酸化炭素となって消失する可能性もある。それ故、焼
成回数を減らすために、各層41,42,43の印刷工
程を連続して行い、その後、焼成を行ってもよい。
【0056】一方、アノードパネルAPは、一例として
ガラス板から成る透明支持体の表面に、ITOから成る
アノード電極層を形成し、更に、アノード電極層の上に
蛍光体層をストライプ状又はドット状に形成する。ある
いは又、蛍光体層をストライプ状又はドット状に形成し
た後、その上にアノード電極層を形成してもよい。蛍光
体層を構成する蛍光体として、高速電子励起用蛍光体や
低速電子励起用蛍光体を用いることができる。
【0057】表示装置を組み立てるには、カソードパネ
ルCPとアノードパネルAPのいずれか一方の表面であ
って、放出電子軌道を妨げない領域(外縁部)に外周枠
を形成し、更に外周枠の近傍に真空封止用フリットを塗
布して両パネルCP,APを貼り合わせる。この後、両
パネルCP,APと外周枠により囲まれた空間を適切な
真空度となるまで排気してから、封止を行う。
【0058】ここで、アノードパネルAP上のアノード
電極層の延在方向を水平方向とし、カソードパネルCP
上における電子放出層31の延在方向を垂直方向とした
場合の表示装置の駆動方法の一例を示す。水平同期信号
に従って閾値電界を黒レベルに設定した電圧を電子放出
層31に印加する。画像を表示する際には、各画素に対
応してサンプリングした画像信号を、対応する画素を構
成する電子放出層31及びアノード電極層に印加する。
これにより、各画素は所望の色彩を表示することがで
き、画像が表示される。
【0059】(実施の形態4)実施の形態4は、本発明
の第3及び第4の態様に係る3開口系の電界放出素子に
関する。この電界放出素子を、図8に示す。開口部34
ssvは、傾斜壁を有する第1開口部33sと、傾斜壁
を有する第2開口部32sと、垂直壁を有する第3開口
部31vとから構成されている(図3のパターン21c
に相当)。第1開口部33sの下端部の位置と、第2開
口部32sの上端部の位置とは一致(連続)している
が、第2開口部32sの平均開口面積S2avは、第1開
口部33sの平均開口面積S1avよりも小さい(S2av
1av)。更に、第3開口部31vの開口面積S3は、第
2開口部32sの平均開口面積S2avよりも小さく(S3
<S2av)、且つ、第2開口部32sの下端部の位置
と、第3開口部31vの上端部の位置とは一致していな
い。即ち、不連続である。なお、第3開口部31vの開
口面積S3は平均開口面積S3avと等しい。
【0060】電子放出層31に設けられた第3開口部が
傾斜壁を有する場合、第3開口部の上端部における開口
面積を、第3開口部の下端部における開口面積より大き
くしてもよい。即ち、例えば、図8に示した第3開口部
31sの開口断面形状を逆テーパ形状としてもよい。こ
の場合には、第3開口部の上端部における開口面積を平
均開口面積S3avとする。また、この場合には、第2開
口部の下端部の位置と、第3開口部の上端部の位置と一
致させず、不連続とする必要がある。
【0061】(実施の形態5)実施の形態5は、本発明
の表示装置に関する。この表示装置に含まれる電界放出
素子は、本発明の第3及び第4の態様に係る電界放出素
子であり、図9に示すように、支持体30の表面に電子
放出層31、絶縁層32及びゲート電極層33が順次積
層され、ゲート電極層33と絶縁層32と電子放出層3
1とを貫通する開口部34sssが設けられている。開
口部34sssの底面に露出した電子放出層31の部分
が、電子放出部として機能する部分である。開口部34
sssは円形の平面形状を有し、ゲート電極層33に傾
斜面をもって設けられた第1開口部33sと、絶縁層3
2に傾斜面をもって設けられた第2開口部32sと、電
子放出層31に傾斜面をもって設けられた第3開口部3
3sから成る(図3のパターン22cに相当)。そし
て、第1開口部33sの下端部の位置と第2開口部32
sの上端部の位置、及び第2開口部の下端部の位置と第
3開口部33sの上端部の位置とは、それぞれ一致して
いる。即ち、開口部34sssの開口面積は、開口上端
部側から開口底面側に向かって連続的に減少する。
【0062】電界放出素子の各部の構成材料や寸法は、
実施の形態3と同じである。ゲート電極層33に設けら
れた第1開口部33sの上端部の直径を140μm、下
端部の直径を120μm、平均開口面積S1avを1.3
4×10-82、絶縁層32に設けられた第2開口部3
2sの上端部の直径を120μm、下端部の直径を10
0μm、平均開口面積S2avを0.96×10-82、電
子放出層31に設けられた第3開口部31sの上端部の
直径を100μm、下端部の直径を60μm、平均開口
面積S3avを0.53×10-82とする。かかる3開口
系の電界放出素子が多数形成されたカソードパネルCP
をアノードパネルAPと組み合わせ、表示装置を構成し
た場合の電界強度分布のシミュレーションを行った。表
示装置の仕様やシミュレーション条件も、実施の形態3
と共通である。
【0063】シミュレーションにより得られた等電位線
は、図9に示すとおり、アノードパネルAPの表面近傍
ではほぼ平行に走るが、電界放出素子の近傍では開口部
34sssの開口上端部側から開口底面側に向かって湾
曲し、電界レンズ効果を顕す。ただし、実施の形態5に
おける等電位線の湾曲は、図6に示した実施の形態3に
おける湾曲よりも大きく、従って、電界レンズの収束効
果が大きくなっており、放出電子軌道をより狭い範囲内
に収束させることが可能となっている。
【0064】かかる3開口系の電界放出素子の製造方法
は、前述の2開口系の電界放出素子の製造方法と基本的
に変わらないが、3開口系では電子放出層41に第3開
口部を設ける必要がある。第3開口部の形成は、実施の
形態1で前述したような印刷法によっても勿論可能であ
るが、他にも変形例が幾つか考えられるので、以下、図
10乃至図12を参照しながら順次説明する。なお、以
下に述べる各方法は、第3開口部のパターンを形成しな
いようにすれば、いずれも、実施の形態1〜実施の形態
3におけるストライプ状の電子放出層41の形成に適用
可能である。
【0065】図10は、リソグラフィ法による電子放出
層41の形成プロセスを説明する概略断面図である。先
ず、図10の(A)に示すように、一例としてガラス基
板から成る支持体40の上に、前述と同様に下地層40
aを形成した後、全面に感光性ペーストを塗布し、感光
性ペースト層41pを形成する。この感光性ペースト
は、ジアゾ化合物等の感光性物質から成る結合剤とグラ
ファイト粒子を含み、スピンコート法により例えば1μ
mの厚さに塗布される。勿論、この厚さは、感光性ペー
ストの粘度や下地層40aとの親和性に応じて、適宜選
択することができる。
【0066】次に、図10の(B)に示すように、フォ
トマスクPMを介し、感光性ペースト層41pの選択露
光を行う。ここでは、一例としてポジ型の感光性ペース
トを使用する。フォトマスクPMは、透明なフォトマス
ク基板50の一方の表面上に、例えばクロム(Cr)膜
から成る遮光膜パターン51が形成されて成る。図10
の(B)では、フォトマスクPMと被露光体を近接配置
させたプロキシミティ露光の状態が例示されているが、
露光の形式はコンタクト露光であっても、投影露光であ
っても構わない。遮光膜パターン51が形成されていな
いフォトマスクPMの部分を透過した露光光hνによ
り、感光性ペースト層41の一部に露光部41eが形成
される。露光光hνの波長は、必要な解像度に応じて選
択することができるが、ここでは近紫外線とする。
【0067】次に、図10の(C)に示すように、露光
済みの感光性ペースト層41を現像し、下地層40a上
に露光部41eを残す。現像は、炭酸ナトリウム水溶液
等のアルカリ現像液を感光性ペースト層41に噴霧する
か、露光部eを現像液に浸漬するか、あるいはパドル現
像により行う。更に、例えば480°Cで焼成を行う
と、図10の(D)に示すように、第3開口部41vを
有する電子放出層41を形成することができる。なお、
図10の(D)に示す第3開口部41vは垂直壁を有し
ているが、露光時にデフォーカス露光を行い、感光性ペ
ースト層41pの深部における露光量を不足気味とする
ことにより、傾斜壁を形成することも可能である。
【0068】図11は、エッチングによる電子放出層4
1の形成プロセスを説明する概略断面図である。先ず、
図11の(A)に示すように、一例としてガラス基板か
ら成る支持体40の上に、前述と同様に下地層40aを
形成した後、全面に導電性ペーストを塗布し、導電性ペ
ースト層41cを形成する。ただし、この導電性ペース
ト層41cに替えて、蒸着法、スパッタリング法、CV
D法等の公知の薄膜形成技術により導電膜を形成しても
よい。次に、導電性ペースト層41cの上で常法に従っ
てレジスト・パターニングを行い、レジスト・パターン
45を形成する。レジスト・パターン45には、第3開
口部41vを規定するためのレジスト開口部45aが設
けられている。
【0069】次に、図11の(B)に示すように、レジ
スト・パターン45をマスクとしてエッチングを行っ
た。このエッチングは、20kgf/cm2〜50kg
f/cm2の高圧純水スプレー法によって行った。な
お、この段階では、エッチングの代わりにサンドブラス
ト処理を行ってもよい。
【0070】次に、図11の(C)に示すように、レジ
ストを除去する。更に、得られた導電性ペースト層41
cのパターンを480°Cで焼成すると、図11の
(D)に示すように、第3開口部41vを有する電子放
出層41を形成することができる。なお、図11の
(D)に示す第3開口部41vは垂直壁を有している
が、エッチング時の条件によっては傾斜壁を形成するこ
ともできる。例えば、エッチング反応の過程で十分量の
堆積性物質が生成する場合には、この堆積性物質がレジ
スト・パターンの側壁面に堆積して見掛け上のレジスト
・パターン幅を経時的に増大させるため、かかるパター
ンをマスクとしてエッチングされる導電性ペースト層4
1cの加工端面が傾斜壁となる。あるいは、レジスト・
パターン45を初めから傾斜壁を有するパターンに形成
しておき、レジスト・パターンに対するエッチング選択
比を低下させた条件でエッチングを行えば、傾斜したレ
ジスト・パターンのエッジ・プロファイルを被加工層に
転写することができる。
【0071】図12は、リフトオフ法による電子放出層
41の形成プロセスを説明する概略断面図である。先
ず、図12の(A)に示すように、一例としてガラス基
板から成る支持体40の上に、前述と同様に下地層40
aを形成した後、常法に従ってレジスト・パターニング
を行い、レジスト・パターン46を形成する。レジスト
・パターン46に設けられたレジスト開口部46aは、
最終的には電子放出層41の形成部位を規定する。
【0072】次に、図12の(B)に示すように、一例
として導電性ペーストを用い、全面に導電性ペースト層
41cを成膜する。この成膜は、印刷法、蒸着法、スパ
ッタリング法、CVD法等の方法で行うことができる。
【0073】次に、図12の(C)に示すように、有機
溶剤等の剥離液を用い、レジスト・パターン46を剥離
する。この時、レジスト・パターン46と共にその直上
部の導電性ペースト層41cが除去され、レジスト開口
部46aの内部を埋め込んでいた部分のみが残膜として
下地層40a上に残る。更に、焼成を行うと、図12の
(D)に示すように、第3開口部41vを有する電子放
出層41を形成することできる。なお、図12の(D)
に示す第3開口部41vは垂直壁を有しているが、レジ
スト・パターン46の断面形状を予め逆テーパ形状に形
成しておけば、レジスト開口部を埋め込むように形成さ
れる導電性ペースト層41cの残膜は、上記の逆テーパ
形状とは相補的な形状を有することになり、傾斜壁を形
成することが可能となる。
【0074】ところで、上述の各実施の形態において
は、電界放出素子に含まれる電子放出層を、グラファイ
ト焼結体にて構成したが、グラファイト粒子を含有する
電子放出層を用いた電界放出素子は、従来にも知られて
いた。しかし、従来知られる電界放出素子は、グラファ
イト粒子を誘電体層中に含有させたり、あるいは非絶縁
性の結合剤を用いて柱状体の先端部に固着させており、
グラファイト粒子が誘電体層や結合剤に被覆されてしま
うと、電子放出が阻害されるという問題があった。これ
に対し、本発明では、グラファイト粒子は基本的にはフ
ァンデルワールス力を利用して支持体の表面に(下地層
の表面を含む)に固着され、結合剤を併用する場合で
も、結合剤層の厚さをグラファイト粒子を埋没させない
程度の薄さとすれば、電子放出が何ら妨げられることが
ない。
【0075】以上、実施の形態に基づき本発明を説明し
たが、本発明はこれらの実施の形態に何ら限定されるも
のではなく、電界放出素子の構造の細部、製造方法にお
ける加工条件や使用した材料等の詳細事項に関しては、
適宜変更、選択、組合せが可能である。例えば、電界放
出素子とアノードパネルAPとの間の距離は約0.15
mmに限定されるのもではなく、表示装置の仕様に準じ
て0.1〜1mmとすることができる。
【0076】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明においては、収束電極のような余分の部材を用いるこ
となく、電界放出素子の構成に本来必要な部材のみを使
用し、パターン上の工夫によって放出電子軌道を収束さ
せ、あるいは又、発散を抑制することができる。その結
果、煩雑なプロセスを経る必要が一切なく、高い製造歩
留まりとスループットを期待することができる。また、
開口部の開口面積、開口部の側壁面を構成する各層の厚
さ、不連続部の有無、不連続部の数や大きさ、傾斜面の
有無、傾斜面の勾配等の様々な要素により放出電子軌道
を制御できるため、制御の自由度も高い。従って、平面
電極型の表示装置の大画面化に容易に対応することが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電界放出素子において、2開口系とし
て可能なパターンを一覧表形式で示す概念図である。
【図2】本発明の電界放出素子において、3開口系とし
て可能なパターン中、絶縁層が垂直なグループを一覧表
型式で示す概念図である。
【図3】本発明の電界放出素子において、3開口系とし
て可能なパターン中、絶縁層が傾斜したグループを一覧
表型式で示す概念図である。
【図4】発明の実施の形態1の電界放出素子を示す図で
あり、(A)は開口部近傍を示すX−X線断面図、
(B)は開口部の立体形状を示す概略斜視図である。
【図5】発明の実施の形態2の電界放出素子を示す図で
あり、(A)は開口部近傍を示すX−X線断面図、
(B)は開口部の立体形状を示す概略斜視図である。
【図6】発明の実施の形態3の表示装置における電界強
度分布をシミュレーション結果に基づいて示す模式図で
ある。
【図7】発明の実施の形態3の表示装置内に組み込まれ
た電界放出素子を、印刷法を主体とするプロセスで作製
する手順を示す支持体等の模式的な一部断面図であり、
(A)は下地層の印刷工程、(B)は電子放出層の印刷
・焼成工程、(C)は絶縁層の印刷・焼成工程、(D)
はゲート電極層の印刷・焼成工程をそれぞれ表す。
【図8】発明の実施の形態4の電界放出素子を示す図で
あり、(A)は開口部近傍を示すX−X線断面図、
(B)は開口部の立体形状を示す概略斜視図である。
【図9】発明の実施の形態5の表示装置における電界強
度分布をシミュレーション結果に基づいて示す模式図で
ある。
【図10】3開口系における電子放出層をリソグラフィ
法により形成する手順を示す模式的な一部断面図であ
り、(A)は感光性ペーストの塗布工程、(B)は露光
工程、(C)は現像工程、(D)は焼成工程をそれぞれ
表す。
【図11】3開口系における電子放出層をエッチングに
より形成する手順を示す模式的な一部断面図であり、
(A)はレジスト・パターニング工程、(B)はエッチ
ング工程、(C)はレジスト除去工程、(D)は焼成工
程をそれぞれ表す。
【図12】3開口系における電子放出層をリフトオフ法
により形成する手順を示す模式的な一部断面図であり、
(A)はレジスト・パターニング工程、(B)は導電性
ペースト層の成膜工程、(C)はリフトオフ工程、
(D)は焼成工程をそれぞれ表す。
【図13】平面電極型の表示装置の電界放出素子に収束
電極を設けた状態を示す模式的な一部断面図であり、
(A)は絶縁性の支柱部と導電膜から成る収束電極を設
けた例、(B)は導電材料から成る収束電極を設けた例
をそれぞれ表す。
【符号の説明】
30,40・・・支持体、30a,40a・・・下地
層、31,41・・・電子放出層、31v,41v・・
・第3開口部(垂直壁)、31s,41s・・・第3開
口部(傾斜壁)、32,42・・・絶縁層、32v,4
2v・・・第2開口部(垂直壁)、32s,42s・・
・第2開口部(傾斜壁)、33,43・・・ゲート電極
層、33v,43v・・・第1開口部(垂直壁)、33
s,43s・・・第1開口部(傾斜壁)、34,44・
・・開口部、41p・・・感光性ペースト層、41e・
・・露光部、CP・・・カソードパネル、AP・・・ア
ノードパネル

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体表面に、電子放出層、絶縁層、ゲー
    ト電極層がこの順に積層され、 ゲート電極層と絶縁層とを貫通する開口部が設けられ、 開口部の底面に露出した電子放出層から電子を放出する
    冷陰極電界電子放出素子であって、 開口部の開口面積は、開口上端部側から開口底面側に向
    かって連続的に又は不連続的に減少していることを特徴
    とする冷陰極電界電子放出素子。
  2. 【請求項2】支持体表面に、電子放出層、絶縁層、ゲー
    ト電極層とがこの順に積層され、 ゲート電極層と絶縁層とを貫通する開口部が設けられ、 開口部の底面に露出した電子放出層から電子を放出する
    冷陰極電界電子放出素子であって、 開口部は、ゲート電極層に設けられた第1開口部と、絶
    縁層に設けられた第2開口部とから成り、第2開口部の
    平均開口面積は第1開口部の平均開口面積よりも小さい
    ことを特徴とする冷陰極電界電子放出素子。
  3. 【請求項3】第1開口部の側壁面及び第2開口部の側壁
    面がいずれも支持体表面に対して垂直であることを特徴
    とする請求項2に記載の冷陰極電界電子放出素子。
  4. 【請求項4】第1開口部の側壁面及び第2開口部の側壁
    面の少なくとも一方が、支持体の表面に対して傾斜して
    いることを特徴とする請求項2に記載の冷陰極電界電子
    放出素子。
  5. 【請求項5】支持体表面に電子放出層、絶縁層、ゲート
    電極層がこの順に積層され、 ゲート電極層と絶縁層と電子放出層とを貫通する開口部
    が設けられ、 開口部内に露出した電子放出層から電子を放出する冷陰
    極電界電子放出素子であって、 開口部の開口面積は、開口上端部側から開口底面側に向
    かって連続的に、又は不連続的に、又は連続的及び不連
    続的の組合せによって減少していることを特徴とする冷
    陰極電界電子放出素子。
  6. 【請求項6】支持体表面に電子放出層、絶縁層、ゲート
    電極層がこの順に積層され、 ゲート電極層と絶縁層と電子放出層とを貫通する開口部
    が設けられ、 開口部内に露出した電子放出層から電子を放出する冷陰
    極電界電子放出素子であって、 開口部は、ゲート電極層に設けられた第1開口部と、絶
    縁層に設けられた第2開口部と、電子放出層に設けられ
    た第3開口部とから成り、第2開口部の平均開口面積は
    第1開口部の平均開口面積以下であり、第3開口部の平
    均開口面積は第2開口部の平均開口面積よりも小さいこ
    とを特徴とする冷陰極電界電子放出素子。
  7. 【請求項7】第1開口部の側壁面、第2開口部側壁面及
    び第3開口部の側壁面がいずれも支持体表面に対して垂
    直であることを特徴とする請求項6に記載の冷陰極電界
    電子放出素子。
  8. 【請求項8】第1開口部の側壁面、第2開口部の側壁面
    及び第3開口部の側壁面の少なくとも1つが、支持体表
    面に対して傾斜していることを特徴とする請求項6に記
    載の冷陰極電界電子放出素子。
  9. 【請求項9】支持体表面に、電子放出層、絶縁層、ゲー
    ト電極層がこの順に積層され、少なくともゲート電極層
    と絶縁層とを貫通する開口部が設けられ、開口部の底面
    に露出した電子放出層から電子を放出する冷陰極電界電
    子放出素子を複数有するカソードパネルと、 透明支持体表面に蛍光体層と透明電極層とが形成されて
    成るアノードパネルとが真空層を挟んで対向配置されて
    成る冷陰極電界電子放出型表示装置であって、 電子放出層、ゲート電極層及び透明電極層に所定の電位
    を与えた時に、カソードパネルとアノードパネルとの間
    に形成される電界の等電位線が、開口部の開口上端部側
    から開口底面側に向かって湾曲することを特徴とする冷
    陰極電界電子放出型表示装置。
  10. 【請求項10】開口部はゲート電極層と絶縁層とを貫通
    し、開口部の開口面積は、開口上端部側から開口底面側
    に向かって連続的に、又は不連続的に減少していること
    を特徴とする請求項9に記載の冷陰極電界電子放出型表
    示装置。
  11. 【請求項11】開口部は、ゲート電極層に設けられた第
    1開口部と、絶縁層に設けられた第2開口部とから成
    り、第2開口部の平均開口面積は第1開口部の平均開口
    面積よりも小さいことを特徴とする請求項9に記載の冷
    陰極電界電子放出型表示装置。
  12. 【請求項12】開口部はゲート電極層と絶縁層と電子放
    出層とを貫通し、開口部の開口面積は、開口上端部側か
    ら開口底面側に向かって連続的に、又は不連続的に、又
    は連続的及び不連続的の組合せによって減少しているこ
    とを特徴とする請求項9に記載の冷陰極電界電子放出型
    表示装置。
  13. 【請求項13】開口部は、ゲート電極層に設けられた第
    1開口部と、絶縁層に設けられた第2開口部と、電子放
    出層に設けられた第3開口部とから成り、第2開口部の
    平均開口面積は第1開口部の平均開口面積以下であり、
    第3開口部の平均開口面積は第2開口部の平均開口面積
    よりも小さいことを特徴とする請求項9に記載の冷陰極
    電界電子放出型表示装置。
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