JP2000154601A - コンクリート製建物の外断熱工法用アンカー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 断熱材の種類を選ぶことなくモルタル仕上げ
ができ、また外装材取り付け用の受け材を別途設けるこ
となく外装材仕上げができるコンクリート製建物の外断
熱工法用アンカーを提供する。 【解決手段】 断熱材をコンクリート壁面に固定するた
めの専用アンカー５であって、コンクリート壁面に打ち
込まれた時にコンクリート中に埋め込まれる多数の突起
８を先端に形成した軸部６と、外装材やラスなどを固定
するためのビスを打ち込む頭部７を有している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート壁面
に断熱材を固定するコンクリート製建物の外断熱工法用
アンカーに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、コンクリート製建物の外断熱工法
としては、断熱材の施工と仕上げ材の施工の、大きく２
つの工程に分けられる。断熱材の施工は、図８（ａ）に
示すように、接着剤１０１等を用いて断熱材１００をコ
ンクリート壁面１０２に貼り付ける工法と、図８（ｂ）
に示すように、アンカー１０３等を用いて断熱材１００
をコンクリート壁面１０２に取り付ける工法がある。ア
ンカー１０３等による断熱材１００の取り付けでは、コ
ンクリート壁面１０２と断熱材１００を接着する場合も
あるが、接着しない場合もある。

【０００３】仕上げ材の施工は、図９（ａ）（ｂ）に示
すように、断熱材１００に直接モルタル１０４等を塗っ
て仕上げる工法と、図１０（ａ）（ｂ）に示すように、
外装材１０５を取り付けて仕上げる工法とがある。外装
材１０５による仕上げ工法は、予めコンクリート壁面１
０２に外装材１０５の受け材１０６を取り付けておき、
その受け材１０６に外装材１０５を止め付けるものであ
る。また、コンクリート製建物の外断熱工法は、特別な
工法を除き、上記の断熱材の施工と仕上げ材の施工の組
み合せからなっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のコンク
リート製建物の外断熱工法において、仕上げがモルタル
等の場合、断熱材としては、モルタル等が直接塗れる形
状・材質が要求され、更にモルタル等の重量を断熱材自
体で支えることができる強度が要求されるため、断熱材
が限定されてしまう。また、仕上げが外装材の場合、断
熱材に直接外装材を取り付けることができず、更にアン
カー等で断熱材を取り付けた場合でも、外装材取り付け
用の受け材が別途必要になるため、作業工程が多くなっ
てしまう。

【０００５】本発明は、従来の技術が有するこのような
問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすると
ころは、断熱材の種類を選ぶことなくモルタル仕上げが
でき、また外装材取り付け用の受け材を別途設けること
なく外装材仕上げができるコンクリート製建物の外断熱
工法用アンカーを提供しようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく請
求項１に係る発明は、断熱材をコンクリート壁面に固定
するための専用アンカーであって、コンクリート壁面に
打ち込まれた時に先端がコンクリート中に埋め込まれる
軸部と、外装材やラスなどを固定するためのビスを打ち
込む頭部を有しているものである。

【０００７】請求項２に係る発明は、外装材やラスなど
を固定するためのビスを打ち込むワッシャーと、このワ
ッシャーに挿通すると共にコンクリート壁面に打ち込ん
で断熱材をコンクリート壁面に固定するためのアンカー
とからなるものである。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。ここで、図１は本発明に係る
専用アンカーを使用したコンクリート製建物の外断熱工
法の工程説明図、図２は本発明に係る専用アンカーの側
面図、図３は専用アンカーの各種先端形状の側面図、図
４は専用アンカーの各種頭部形状の正面図、図５は本発
明に係る専用アンカーをワッシャーとアンカーとで構成
した場合の斜視図、図６はワッシャーの各種形状の正面
図である。

【０００９】本発明に係る専用アンカーを使用したコン
クリート製建物の外断熱工法は、図１（ａ）に示すよう
に、先ずグラスウールの断熱材１を貫通してコンクリー
ト壁面２に専用アンカーを打ち込むための穴３をコンク
リート用ドリルで開ける。この時、予めグラスウールの
断熱材１をコンクリート壁面２にスプレー糊４で接着仮
止めしておくとよい。

【００１０】ここで、図２に示すように、本発明に係る
専用アンカー５は、コンクリート壁面２に打ち込まれた
時にコンクリート中に埋め込まれる多数の突起８を先端
に形成した軸部６と、ストッパとしての役割を果たすと
共に外装材等を固定するビスを打ち込む頭部７を有して
いる。

【００１１】次いで、図１（ｂ）に示すように、グラス
ウールの断熱材１の上から、穴３に専用アンカー５を差
し込み、更にプラスチックハンマ等で専用アンカー５の
頭部７を叩いて打ち込む。専用アンカー５は、先端近傍
にヒレ状の突起８を形成しているので、穴３に押し込ま
れると抜け難い構造になっている。頭部７は、ビスが止
められるように厚くなっており、更にビスを止め易いよ
うな面積を有している。

【００１２】次いで、外装材仕上げの場合は、図１
（ｃ）に示すように、ビス９により外装材１０を専用ア
ンカー５の頭部７に直接固定することにより、コンクリ
ート製建物の外断熱工法は完了する。すると、グラスウ
ールの断熱材１と外装材１０の間に通気層１１が形成さ
れる。

【００１３】また、モルタル仕上げの場合は、図１
（ｄ）に示すように、ラス１２をビス９で専用アンカー
５の頭部７に固定し、ラス１２にモルタル１３を塗って
仕上げることにより、コンクリート製建物の外断熱工法
は完了する。すると、グラスウールの断熱材１とモルタ
ル１３の間に通気層１１が形成される。

【００１４】断熱材１については、グラスウールに限ら
ず、例えばロックウールのような無機繊維系断熱材や、
例えばポリウレタンフォームやポリスチレンフォームの
ような有機系断熱材など、いかなる断熱材も使用可能で
ある。断熱材１の厚さに対しては、専用アンカー５の軸
部６の長さを変えることで対応可能であり、断熱材１の
大きさに対しては、取り扱いに問題が生じない範囲で対
応可能である。

【００１５】また、断熱材１のコンクリート壁面２への
仮止めは、スプレー糊４に限定する必要はない。例え
ば、モルタル、アスファルト、各種接着剤や両面テープ
など、仮止めができるものであるならば適用できる。ま
た、釘やビスなどで固定してもよい。更に、作業上特に
問題がなければ仮止めをしなくてもよい。断熱材１は、
専用アンカー５で固定されるので、仮止めしなくても脱
落することはない。

【００１６】専用アンカー５の材質としては、例えばポ
リプロピレン、ポリエチレンやＡＢＳなどの各種プラス
チックを用いることができる。その場合、先端の形状と
しては、図３（ａ）に示すように、株式会社タイルメン
ト製プラファスや日本ヒルティ株式会社製ＩＤＰ吸音・
断熱ファスナーのようなヒレ状突起８を多数有している
専用アンカー１５が考えられる。なお、専用アンカー１
５は、図２に示す専用アンカー５と同じである。

【００１７】また、他の先端の形状としては、例えば図
３（ｂ）に示すように、日本パワーファスニング株式会
社製インシュレーションアンカーのようなプラグ打ち込
みにより先端が扇状に広がる専用アンカー１６が考えら
れる。

【００１８】専用アンカー５の材質としては、金属を用
いることもできる。その場合、先端の形状としては、例
えば図３（ｃ）に示すように、株式会社タイルメント製
メタファス、日本ヒルティ株式会社製ＩＤＰＳ吸音・断
熱ファスナーや日本パワーファスニング株式会社製エキ
スプレスピンのような金属のバネ性によりコンクリート
に保持される専用アンカー１７が考えられる。この他、
一般的なプラグ打ち込みにより先端が扇状に広がるもの
が考えられる。専用アンカーの先端の形状や大きさなど
は、上記市販品に準じたものであれば、特に限定するも
のではない。

【００１９】また、図２に示すように、専用アンカー５
の全長Ｌは、穴３に専用アンカー５を所定の深さまで打
ち込んだ時、専用アンカー５の頭部７と断熱材１が密着
するよう選定すればよく、特に限定されない。

【００２０】専用アンカー５の頭部７は、断熱材１が脱
落しないための押さえであり、また外装材１０やラス１
２などをビス９で固定する場合のビス９受けでもある。
頭部７の形状は、円形、矩形や多角形など各種形状でよ
く、その大きさは断熱材１を押さえるのに必要な大きさ
で、且つビス９を頭部７に打ち込む作業が容易な大きさ
であればよい。円形の場合、直径２０ｍｍ〜２００ｍｍ
程度が好ましい。

【００２１】また、図２に示すように、専用アンカー５
の頭部７の厚さＤは、ビス９が確実に保持できる厚さで
あれば特に限定されない。なお、厚さＤを厚くした場
合、断熱材１と外装材１０又はモルタル１３との間に隙
間ができるが、この隙間は、通気層１１として利用する
こができるので問題はない。この場合、厚さＤは、５ｍ
ｍ〜３０ｍｍ程度が好ましい。

【００２２】専用アンカー５の頭部７は、無垢板に限ら
れず、例えば図４（ａ）に示すように、同円心状にリブ
が付いたもの２０、図４（ｂ）に示すように、放射線状
にリブが付いたもの２１、図４（ｃ）に示すように、格
子状にリブが付いたもの２２でよい。更に、図４（ｄ）
に示すように、断面が波形状のもの２３でもよく、特に
限定されない。

【００２３】専用アンカー５は、コンクリート壁面２に
打ち込まれた時にコンクリート中に埋め込まれる多数の
突起８を先端に形成した軸部６と、外装材１０等を固定
するビス９を打ち込む頭部７を有していることが要求さ
れるが、軸部６と頭部７が必ずしも一体である必要はな
い。例えば、図５に示すように、ビス９を打ち込む頭部
をワッシャー２５とし、このワッシャー２５に従来のア
ンカー２６を組み合わせて専用アンカーとして使用する
こともできる。

【００２４】ワッシャー２５の形状としては、専用アン
カー５の頭部７と同様に、円形、矩形や多角形など各種
形状でよく、その大きさは断熱材１を押さえるのに必要
な大きさで、且つビス９をワッシャー２５に打ち込む作
業が容易な大きさであればよい。

【００２５】ワッシャー２５の厚さは、ビス９が確実に
保持できる厚さであれば特に限定されない。なお、断熱
材１と外装材１０又はモルタル１３との間に通気層を確
保する場合には、厚さを厚くすればよく、５ｍｍ〜３０
ｍｍ程度が好ましい。

【００２６】また、ワッシャー２５は、図５に示すよう
な無垢板に限られず、図６又は図７に示すような各種形
状でよく、特に限定されない。図６（ａ）（ｂ）に示す
ものは、格子状にリブが付いたワッシャー３０、図７
（ａ）に示すものは、同円心状にリブが付いたワッシャ
ー３１、図７（ｂ）に示すものは、放射線状にリブが付
いたワッシャー３２である。更に、図７（ｃ）に示すよ
うに、断面が波形状ワッシャー３３でもよい。

【００２７】外装材１０は、特に限定されず一般的に使
用されているものであればよい。また、ラス１２につい
ても、特に限定されず一般的に使用されているものであ
ればよい。しかし、作業性を考慮すると、リブ等を付け
て剛性を高めたラス１２が使用上好ましい。また、モル
タル１３が裏側に落下しないよう、防水紙等を貼り合わ
せてあるラス１２が使用上好ましい。

【００２８】なお、本発明に係る専用アンカーを使用す
るコンクリート製建物の外断熱工法は、コンクリート製
建物に限らず、下地がコンクリートであれば断熱材を施
工することが可能なので、例えば一般住宅の基礎部分の
断熱工法として応用することも可能である。

【００２９】

【発明の効果】以上説明したように請求項１に係る発明
によれば、仕上げがモルタルの場合でも、断熱材を固定
する専用アンカーにラスを止めしてモルタル仕上げする
ので、断熱材はモルタルが直接塗れる形状・材質である
必要は特になく、またモルタルの重量を断熱材自体で支
える必要もないので、断熱材の種類が限定されない。ま
た、専用アンカーはラスを固定してモルタル仕上げする
ことも、直接外装材を固定して外装材仕上げすることも
できる。また、専用アンカーの頭部を厚くした場合、厚
さ分だけ断熱材とモルタル又は外装材の間に隙間がで
き、この隙間は通気層として機能するので、簡単に通気
層を確保することができる。更に、断熱材を固定した専
用アンカーがそのまま外装材受けとしての役割を果たす
ので、別途外装材受け材を取り付ける必要がないため、
作業工程の簡略化が図れる。

【００３０】請求項２に係る発明によれば、ワッシャー
と従来のアンカーとで専用アンカーを容易に構成するこ
とができ、仕上げがモルタルの場合でも、ワッシャーに
ラスを止めしてモルタル仕上げするので、断熱材はモル
タルが直接塗れる形状・材質である必要は特になく、ま
たモルタルの重量を断熱材自体で支える必要もないの
で、断熱材の種類が限定されない。また、ワッシャーは
ラスを固定してモルタル仕上げすることも、直接外装材
を固定して外装材仕上げすることもできる。また、ワッ
シャーを厚くした場合、厚さ分だけ断熱材とモルタル又
は外装材の間に隙間ができ、この隙間は通気層として機
能するので、簡単に通気層を確保することができる。更
に、ワッシャーがそのまま外装材受けとしての役割を果
たすので、別途外装材受け材を取り付ける必要がないた
め、作業工程の簡略化が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る専用アンカーを使用したコンクリ
ート製建物の外断熱工法の工程説明図

【図２】本発明に係る専用アンカーの側面図

【図３】専用アンカーの各種先端形状の側面図

【図４】専用アンカーの各種頭部形状の側面図

【図５】本発明に係る専用アンカーをワッシャーとアン
カーとで構成した場合の斜視図

【図６】ワッシャーの正面図で、（ａ）は正面図、
（ｂ）は断面図

【図７】ワッシャーの各種形状の正面図

【図８】従来のコンクリート製建物の外断熱工法の工程
説明図

【図９】従来のコンクリート製建物の外断熱工法の工程
説明図

【図１０】従来のコンクリート製建物の外断熱工法の工
程説明図

【符号の説明】

１…断熱材、２…コンクリート壁面、３…穴、４…スプ
レー糊、５…専用アンカー、６…軸部、７…頭部、８…
突起、９…ビス、１０…外装材、１１…通気層、１２…
ラス、１３…モルタル、２５…ワッシャー、２６…アン
カー。

フロントページの続き Ｆターム(参考） 2E001 DD01 EA01 FA04 GA12 HA32 HD03 HD09 KA01 LA00 LA12 NA07 ND12 2E110 AA02 AB04 AB22 BA04 BC07 CA03 CA05 CA25 CC03 CC04 CC13 DA12 DB27 DC12 DC14 GA02W GA02Y GA02Z GA32Y GA33W GB01Z GB11W GB11Y GB24W GB43Z GB54W GB54Y

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 断熱材をコンクリート壁面に固定するた
   めの専用アンカーであって、コンクリート壁面に打ち込
   まれた時に先端がコンクリート中に埋め込まれる軸部
   と、外装材やラスなどを固定するためのビスを打ち込む
   頭部を有していることを特徴とするコンクリート製建物
   の外断熱工法用アンカー。
2. 【請求項２】 外装材やラスなどを固定するためのビス
   を打ち込むワッシャーと、このワッシャーに挿通すると
   共にコンクリート壁面に打ち込んで断熱材をコンクリー
   ト壁面に固定するためのアンカーとからなることを特徴
   とするコンクリート製建物の外断熱工法用アンカー。