JP2000154043A - ガラス表面処理用水性組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】外装用窓ガラス等のヤケや水アカ等による重度
な汚染である「黒ずみ」を化学的に処理することができ
るガラス表面処理用水性組成物を提供すること。 【解決手段】酸性フッ化アンムニウム１０〜３０重量
％、界面活性剤０．１〜１０重量％、有機酸及び／また
は無機酸５〜４０重量％を含むガラス表面処理用水性組
成物を用いることにより、従来除去することが困難であ
ったガラス表面の重度な汚染である「黒ずみ」を除去で
きる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、外装用窓ガラス等
のヤケや水アカ等による重度な汚染である「黒ずみ」を
化学的に処理することができる酸性フッ化アンモニウム
系ガラス表面処理用水性組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】ホテル、レストラン、デパート等の商業
施設のフロントファサードガラスやショーウィンドーガ
ラスをはじめアトリウム・トップライト等の特殊ガラ
ス、オフィスビルや公共施設のガラス、旅館、ゴルフ場
の浴室ガラス等、外装用ガラスはあらゆる所で使用され
ている。ガラスを構成する主成分は硅砂（ＳｉＯ２）、
ソーダ灰（Ｎａ２Ｏ）、石灰（ＣａＯ）である。このガ
ラス表面に水分が長期にわたって付着すると、表面から
徐々にガラス内部に拡散し、ソーダ灰を加水分解して、
アルカリ液としてガラスの表面に残る。

【化 Ｉ】

ＳｉＯ２＋Ｎａ２Ｏ＋（_χ＋２）Ｈ２Ｏ→ Ｈ２ＳｉＯ３・_χＨ２Ｏ＋２ＮａＯＨ

【０００３】この成分が直ちに洗い流されてしまえば、
ガラスの表面の状態は目に見えるほどの変化にはならな
い。しかし、この状態で乾燥、湿潤を繰り返したり、ま
たさらに大気中の炭酸ガス（ＣＯ２）、硫黄酸化物（Ｓ
Ｏ_χ）、窒素酸化物（ＮＯ_χ）による化学作用が生じる
と下記の化学反応が起こる。

【化 ＩＩ】

２ＮａＯＨ＋ＣＯ２ → Ｎａ２ＣＯ３＋Ｈ２Ｏ

【０００４】これらの生成物質（ＮａＯＨ、Ｎａ２ＣＯ
３）は徐々に、ガラスの主成分である硅素構造に影響を
及ぼし、硅素のゲル化など、ガラス表面に化学変化を起
こす。この結果、ガラスの光沢が低下し曇ったような状
態である「白濁現象」になったり、また、水分（湿気）
の付着、蒸発、乾燥、というサイクルが頻繁に繰り返さ
れる条件においてはウロコ状の損傷である「ウロコ状現
象」が発生することもある。またガラス表面に薄膜が形
成されると光の干渉を起こし虹色に見える「虹彩現象」
を起こすこともあり、最近では、特に都心部や交通量の
多い幹線道路付近、工場や焼却場周辺で、粉塵や排気ガ
ス、亜硫酸ガスが原因で生じる「黒ずみ現象」が見られ
ることがある。特に「黒ずみ」に汚染されたガラス表面
は、通常の洗浄剤では、ほとんど除去できない。唯一の
例外は、フッ化水素酸を利用する方法がある。フッ化水
素酸によりこのような頑固な汚染である「黒ずみ」も除
去されるが、フッ化水素酸は、毒物であるため、取り扱
いが困難であり、一般的でない。従って、フッ化水素酸
に匹敵するものとして、酸性フッ化アンモニウムを原料
とするものが開発されている。一般公知の洗浄剤とし
て、市販品には酸性フッ化アンモニウムを原料とするも
のに、例えば、クリンストン社製、商品名「クリンスト
ン」として販売され、それなりの効果を上げている。し
かし、この洗浄剤を使用しても上記のような頑固な汚染
には効果がなく、優れた洗浄剤の開発が切望されている
状況にある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、ガラス表面
上の上記のような頑固な汚染である「黒ずみ」を除去す
るための新規な酸性フッ化アンモニウム系洗浄剤を提供
せんとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この課題に対し、本発明
者らは鋭意検討した結果、本発明を完成するに至ったも
のである。即ち本発明は、酸性フッ化アンモニウム１０
〜３０重量％、界面活性剤０．５〜１０重量％、有機酸
及び／または無機酸５〜４０重量％を含むことを特徴と
するガラス表面処理用水性組成物である。本発明におい
て使用される酸性フッ化アンモニウムは、通常、フッ化
水素酸１モルにアンモニアガス０．５〜１モルを原料と
して製造されるものが使用できる。また、界面活性剤と
しては、アニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性
剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等を使用す
ることができるが、特に酸性フッ化アンモニウム溶液と
の相溶性あるいは水性組成物の安定性の面からアニオン
系界面活性剤が好まれる。さらに有機酸及び無機酸は、
酸性フッ化アンモニウム溶液との相溶性が良いものが使
用され、有機酸としては水酸基やカルボキシル基を有す
る炭素数が５以下のものが好ましく、一例として、シュ
ウ酸、クエン酸、グリコール酸等が好適であり、無機酸
としては、一般公知の無機酸が使用でき、一例として、
塩酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。これらの有機酸及
び無機酸は、それぞれ単独あるいは併用して使用され
る。上記酸性フッ化アンモニウム、界面活性剤、さらに
有機酸及び／または無機酸は、ガラス表面処理用水性組
成物中、酸性フッ化アンモニウムを１０〜３０重量％、
好ましくは１５〜２５重量％の範囲、界面活性剤を０．
５〜１０重量％、好ましくは１〜４重量％の範囲、有機
酸を５〜４０重量％、好ましくは１５〜２５重量の範
囲、無機酸を５〜４０重量％、好ましくは１０〜３０重
量％の範囲で用いることができる。上記のガラス表面処
理用水性組成物を使用してガラス表面を洗浄する方法
は、ガラス表面処理用水性組成物をウエスに含ませ対象
ガラス表面に均一に塗布し、ガラス表面処理用水性組成
物を１５秒滞留させる。その後濡れたウエスでガラス表
面を拭き、スクイジーで水分を切る。

【０００７】

【実施例】以下本発明の好ましい実施例について説明す
る。

【０００８】実施例１ 酸性フッ化アンモニウム２０重量％、リン酸２５重量
％、アニオン系界面活性剤２重量％、水５３重量％より
なる水溶液を調整し、これを洗浄剤１とした。

【０００９】実施例２ 酸性フッ化アンモニウム２０重量％、グリコール酸１０
重量％、アニオン系界面活性剤２重量％、水６８重量％
よりなる水溶液を調整し、これを洗浄剤２とした。

【００１０】実施例３ 酸性フッ化アンモニウム２０重量％、グリコール酸２０
重量％、アニオン系界面活性剤２重量％、水５８重量％
よりなる水溶液を調整し、これを洗浄剤３とした。

【００１１】実施例４ 酸性フッ化アンモニウム２０重量％、グリコール酸３０
重量％、アニオン系界面活性剤２重量％、水４８重量％
よりなる水溶液を調整し、これを洗浄剤４とした。

【００１２】比較例１ 酸性フッ化アンモニウム２０重量％、水８０重量％より
なる水溶液を調整し、これを比較洗浄剤１とした。

【００１３】比較例２ 酸性フッ化アンモニウム２０重量％、リン酸２５重量
％、グリコール酸１０重量％、水４５重量％よりなる水
溶液を調整し、これを比較洗浄剤２とした。

【００１４】比較例３ 酸性フッ化アンモニウム２０重量％、アニオン系界面活
性剤２重量％、水７８重量％よりなる水溶液を調整し、
これを比較洗浄剤３とした。

【００１５】比較例−４ フッ化水素酸６重量％、水９４重量％よりなる水溶液を
調整して、これを比較洗浄剤４とした。

【００１６】比較例５ 商品名「クリンストン」を比較洗浄剤５として利用し
た。

【００１７】以上、実施例１、２、３、４及び比較例
１、２、３、４、５の各洗浄剤を使用し、以下に示す方
法により洗浄効果を調べた。川崎市内の交通量の比較的
多い道路に接して立地した建物で、長く使用され、「黒
ずみ」現象を生じている外装用ガラスを選び、このガラ
ス表面において汚染が均等と思われる部分を９等分し
て、上記に示す実施例１、２、３、４による各種洗浄剤
及び比較例１、２、３、４、５のによる比較洗浄剤を用
いて該洗浄面を洗浄した。洗浄方法は、各洗浄剤をそれ
ぞれウエスに含ませ対象ガラス表面に均一に塗布し、洗
浄剤を１５秒滞留させた。その後濡れたウエスでガラス
表面を拭き、スクイジーで水分を切った。洗浄後、直ち
に汚染の洗浄効果を次の基準に従って肉眼で評価した。 １．汚染「黒ずみ」がはっきりと残っている状態・・・
１ ２．汚染「黒ずみ」が残っている部分ある状態・・・２ ３．汚染「黒ずみ」がやや残っている状態・・・３ ４．汚染「黒ずみ」がわずかに残っている状態・・・４ ５．汚染「黒ずみ」がまったく残っていない状態・・・
５ 以上の結果を表１にまとめた。

【００１８】

【００１９】

【発明の効果】本発明によるガラス表面処理用水性組成
物を用いることにより、従来除去することが困難であっ
た汚染であるガラス表面の「黒ずみ」を除去でき、工業
的利用価値は、極めて大きい。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】酸性フッ化アンモニウム１０〜３０重量
   ％、界面活性剤０．５〜１０重量％、有機酸及び／また
   は無機酸５〜４０重量％を含むことを特徴とするガラス
   表面処理用水性組成物。