JP3965518B2 - 中性洗浄剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中性洗浄剤に関し、より詳細には、衣料用、食器用、車両用、家具用など各種用途に適用することができ、特に衣料用洗浄剤として好適な中性洗浄剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
一般に、色物衣料、特におしゃれ着と呼ばれる衣料の洗浄においては、アルカリ性の強い洗剤を用いると色落ちし易いことから、非イオン界面活性剤や陰イオン界面活性剤からなる中性洗浄剤が用いられている。しかし、これまでの中性洗浄剤で色物と白物を一緒に洗濯すると、洗濯中に溶け出した色(染料等)が白物に移るという問題がある。
【0003】
そのため、従来、色物衣料については、予め色止め薬剤で予備洗浄し、色止めした後に中性洗浄剤を用いて洗う方法、また、多少の色落ちは承知の上で、色止めせずに中性洗浄剤で洗浄する方法がとられている。また、移染を防止するために、カルボキシメチルセルロースやポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンを併用して洗浄する方法も用いられているが、従来の中性洗浄剤では汚れが落ちにくいという欠点がある。これは、従来の中性洗浄剤においては、汚れ落ちよりもおしゃれ着などのデリケートな衣料を傷めないことに重点が置かれており、洗浄性についてはそれほど高いものが要求されていなかったためである。
【0004】
このように汚れ落ちという点では必ずしも十分でない従来の中性洗浄剤での洗浄において、頑固な汚れを落すために単にアルカリ剤を加えたのでは、ウール、シルクなどの動物繊維においては蛋白質で繊維ができているためアルカリで繊維が損傷を受け収縮、毛羽立ち、風合変化等の繊維ダメージが発生してしまう。
【0005】
また、綿の洗浄においては、アルカリ洗浄剤で洗うのが通例であり、その場合、洗浄後の濯ぎは2〜3回行われる。しかし、水道料金の節約、時間の短縮などにより、濯ぎ回数を減らしたいという要望がある。大規模なクリーニング業者にとっては、水道料金もさることながら、水の確保も困難になり、濯ぎ回数、濯ぎ水量を減らす節水を課題として持っている。しかし、アルカリ洗浄剤を使用してこのような節水を行うと、アルカリが残留してアルカリ焼けのおそれがあり、アルカリ焼けした場合、再洗浄が必要となるため、節水しにくい状態にある。
【0006】
大手リネン業者は、大型の連続洗浄機を使用してシーツ、タオル、枕カバー、浴衣を同一連続洗浄機で洗浄しているが、この機械は特に節水型の機械であり、濯ぎ水が十分に使えないため、アルカリ洗浄剤を多く使用するとアルカリが濯ぎきれないという問題もかかえている。また、濯ぎ水が十分でないため再汚染が起きやすく、従って、これを防止し、かつアルカリの少ない、洗浄性の強い洗浄剤の開発が望まれている。
【0007】
[発明の目的]
本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、繊維に対するダメージやアルカリ焼けなどアルカリ性に起因する問題がない中性洗浄剤でありながら、汚れ落ちが良好であり、かつ、色移り、再汚染を抑えて洗浄することができる中性洗浄剤を提供するところにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の点に鑑みて鋭意検討した結果、中性洗浄剤に対しては通常使用しないキレート剤を特定の配合割合で用いて、これにポリビニルピロリドン、界面活性剤及び有機酸を組み合わせることにより、上記の課題を解決できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の中性洗浄剤は、アミノカルボン酸塩系キレート剤、ポリカルボン酸塩系キレート剤及び無機キレート剤からなる群より選択される少なくとも一種のキレート剤、ポリビニルピロリドン、非イオン界面活性剤と陰イオン界面活性剤の少なくとも一方の界面活性剤、並びに、有機酸を含有する中性洗浄剤であって、前記キレート剤を30〜80重量%含有するものである。
【0010】
本発明の中性洗浄剤においては、前記ポリビニルピロリドンを1〜20重量%、前記界面活性剤を0.5〜30重量%、前記有機酸を5〜25重量%、それぞれ含有することが好ましい。
【0011】
本発明の中性洗浄剤は、粉末洗浄剤であってもよく、また、液体洗浄剤であってもよい。液体洗浄剤の場合、本発明の中性洗浄剤は、前記のキレート剤、ポリビニルピロリドン、界面活性剤及び有機酸を、溶質成分中の比率として、それぞれ前記の配合割合にて含有することが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
【0013】
本発明の中性洗浄剤において、キレート剤は、洗浄性を向上し、洗浄効果の持続性を確保するために、30〜80重量%配合される。キレート剤の配合割合が30重量%未満では洗浄性が低く、また80重量%を越えると有機酸での中和が困難となり、本発明の効果が得られにくくなる。キレート剤の配合割合のより好ましい下限は40重量%であり、より好ましい上限は70重量%である。
【0014】
上記キレート剤としては、有機キレート剤と無機キレート剤のいずれも使用することができ、これらを組み合わせて使用してもよい。
【0015】
有機キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン4酢酸、ニトリロ3酢酸、L−グルタミン酸2酢酸などの塩であるアミノカルボン酸塩系キレート剤、ポリアクリル酸、アクリル酸−マレイン酸共重合体などの塩であるポリカルボン酸塩系キレート剤が好適に使用できる。これらキレート剤の対イオンとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、アンモニウムなどが挙げられる。
【0016】
無機キレート剤としては、例えば、ヘキサメタリン酸等のメタリン酸、トリポリリン酸などの塩である縮合リン酸塩系キレート剤が好適に使用できる。該キレート剤の対イオンとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、アンモニウムなどが挙げられる。
【0017】
本発明の中性洗浄剤において、ポリビニルピロリドンは、染料等の再付着を防止して色移り防止効果を発揮させるために、1〜20重量%配合されることが好ましい。ポリビニルピロリドンの配合割合が1重量%未満では色移り防止効果などが十分に発現されず、また、20重量%より多く加えてもそれ以上の効果は見られない。ポリビニルピロリドンの配合割合のより好ましい下限は3重量%であり、より好ましい上限は10重量%である。
【0018】
上記ポリビニルピロリドンの平均分子量は特に限定されないが、通常は1万〜50万のものが用いられる。
【0019】
本発明の中性洗浄剤において、界面活性剤は、洗浄性を高めるために、0.5〜30重量%配合されることが好ましい。界面活性剤の配合割合が0.5重量%未満では界面活性剤を加えたことによる特別の効果が発現せず、また、30重量%より多く加えてもそれ以上の効果はみられない。界面活性剤の配合割合のより好ましい下限は5重量%であり、より好ましい上限は20重量%である。
【0020】
上記界面活性剤としては、非イオン界面活性剤と陰イオン界面活性剤のいずれか一方、または、双方を組み合わせて用いることができる。
【0021】
非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルの他、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルなどが挙げられる。
【0022】
陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。
【0023】
本発明の中性洗浄剤において、有機酸は、中性を保持するため及び本発明の効果の発現のために、5〜25重量%配合されることが好ましい。有機酸の配合割合は、キレート剤やその他の配合成分の種類及び配合量などに応じて調整され、使用時のpH、詳細には中性洗浄剤が固形状の場合には水に溶解させたときのpH、また、中性洗浄剤が液状の場合にはそのもの又は水で希釈したときのpHが、6〜8となるように調整される。
【0024】
該有機酸としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸などのカルボン酸の他、スルファミン酸、スルホン酸、スルフィン酸などが挙げられる。
【0025】
本発明の中性洗浄剤は、その効果を損なわない範囲で、必要に応じて更に炭酸塩、硫酸塩、燐酸塩、食塩、蛍光剤、再汚染防止剤、香料、酵素等を加えてもよい。また、上記以外の界面活性剤、即ち、カチオン界面活性剤や両性界面活性剤を本発明の効果を妨げない範囲内で添加することもできる。
【0026】
本発明の中性洗浄剤の形態としては、粉末状でもよく、また、これを固めて所定形状に成形したペレット状でもよい。また、このような固形状のものに限定されず、水に溶かして水溶液の形態とした液体洗浄剤とすることもできる。液体洗浄の場合、水などの溶媒を除く溶質中の比率として、上記各成分をそれぞれ上記した配合割合にて配合する。また、その場合、液体洗浄剤の固形分濃度(すなわち、液体洗浄剤中に占める溶質の割合)としては、20〜50重量%であることが好ましい。50重量%を越えると、通常、透明液体になりにくく、また粘度が高くて取り扱いにくくなる。
【0027】
本発明の中性洗浄剤は、色柄物やおしゃれ着などのデリケートな衣料や、節水型の連続洗浄機、大型洗濯機でのリネン品(タオル、シーツ、枕カバー、浴衣等)の洗浄に好適に用いることができる。但し、衣料用に限定されるものではなく、食器用洗浄剤、自動車などの車両用洗浄剤、家具用洗浄剤などとして使用することもできる。なお、衣料用として用いる場合、洗濯浴槽中における洗浄剤濃度(固形分濃度)は、通常0.01〜0.4重量%とされ、より好ましくは0.02〜0.2重量%とされる。洗浄剤濃度が0.01重量%未満では洗浄効果、再汚染防止効果が低下し、また、0.4重量%を越えると濯ぎが不十分となって衣料に残留しやすくなり、洗剤分の残留による皮膚への影響、着用の不快感、衣料の黄変などの問題が生じるおそれがある。また、本発明の中性洗浄剤は、他の中性洗浄剤やアルカリ洗浄剤等と併用することもできる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例において、「%」は重量%を意味する。
【0029】
〔実施例1〜5及び比較例1〜6〕
下記表1に示す含有率にて各成分を配合し、均一に混合して実施例1〜5及び比較例1〜6の粉末状洗浄剤を調製した。得られた各洗浄剤について、0.1%水溶液でのpHを測定するとともに、再汚染率、洗浄効率、シルクの触感、アルカリ焼け及び脆化の有無を評価した。各評価の試験方法は以下の通りである。
【0030】
再汚染率の試験方法:下記構造の染料A、Bそれぞれ0.01gを水に溶かして1Lとした液に上記各洗浄剤をそれぞれ2g加え、これに木綿ブロードを10分間漬け置きした。2回すすぎした後、乾燥して反射率を測定し、下記式(1)の再汚染率計算式から再汚染率を求めた。
【0031】
【化1】
Figure 0003965518
【数1】
Figure 0003965518
【0032】
洗浄効率の試験方法:湿式人工汚染布((財)洗濯科学協会、5×5cm)を白タオル(30×80cm)に張り付け、業務用洗濯機エコノマット10(アサヒ製作所製)で洗浄した。洗浄は、上記各洗浄剤が0.2%水溶液濃度となるように洗濯水中に添加し、60℃で10分間洗浄した。洗浄時の被洗物の重量と水の量の割合は、被洗物8kg/水40kg(浴比1/5)であった。洗浄終了後、すすぎは2回行ない、脱水し取出した後、乾燥した。乾燥後、湿式人工汚染布の反射率を測定し、下記式(2)の洗浄効率計算式から洗浄効率を求めた。
【0033】
【数2】
Figure 0003965518
【0034】
触感試験方法:上記各洗浄剤2gを溶かした水1L中に絹(30×30cm)を10分間漬け置きし、2回すすぎ後、陰干しし乾燥させた。10名のパネラーにより、下記基準による官能評価を行い、その平均点を触感評価点とした。
触感が良好…3点
触感が普通…2点
触感が悪い…1点。
【0035】
アルカリ焼け及び脆化試験方法:上記各洗浄剤2gを溶かした水1L中に木綿ブロードを10分間漬け置きし、脱水後、アイロン掛けした。アイロンをかけた後、茶色の模様が出たものをアルカリ焼け有り、出なかったものをなしとした。また、生地が脆化し、脆くなったものを脆化有り、変化がなかったものを脆化なしと評価した。
【0036】
結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0003965518
【0038】
〔実施例6〜7及び比較例7〜8〕
下記表2に示す含有率にて各成分を配合し、均一に混合して実施例6〜7及び比較例7〜8の液体洗浄剤を調製した。得られた各洗浄剤について、0.1%水溶液でのpHを測定するとともに、再汚染率、洗浄効率、シルクの触感、アルカリ焼け及び脆化の有無を評価した。各評価の試験方法は上記した通りである。但し、再汚染率試験、触感試験およびアルカリ焼け・脆化試験では、各液体洗浄剤を水1Lに対して5ml添加し、洗浄効率試験では、洗濯浴槽中における洗浄剤濃度(固形分濃度)が0.2%となるように各液体洗浄剤を添加した。結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
Figure 0003965518
【0040】
【発明の効果】
以上の結果からも明らかなように、本発明の中性洗浄剤であると、色移りすることなく衣料を洗浄することができ、汚れ落ちも良好である。また、シルクやウールなどの動物繊維に対しても毛羽立ちがなく触感に優れ、従って繊維に対するダメージを低減することができる。更に、中性洗浄剤であるため、アルカリ焼けのおそれもなく、また洗浄によって生地が脆化することもない。

Claims (5)

  1. アミノカルボン酸塩系キレート剤、ポリカルボン酸塩系キレート剤及び無機キレート剤からなる群より選択される少なくとも一種のキレート剤、ポリビニルピロリドン、非イオン界面活性剤と陰イオン界面活性剤の少なくとも一方の界面活性剤、並びに、有機酸を含有する中性洗浄剤であって、前記キレート剤を30〜80重量%含有することを特徴とする中性洗浄剤。
  2. 前記ポリビニルピロリドンを1〜20重量%、前記界面活性剤を0.5〜30重量%、前記有機酸を5〜25重量%、それぞれ含有することを特徴とする請求項1記載の中性洗浄剤。
  3. アミノカルボン酸塩系キレート剤、ポリカルボン酸塩系キレート剤及び無機キレート剤からなる群より選択される少なくとも一種のキレート剤、ポリビニルピロリドン、非イオン界面活性剤と陰イオン界面活性剤の少なくとも一方の界面活性剤、並びに、有機酸を含有する液体中性洗浄剤であって、前記キレート剤を溶質成分中の比率として30〜80重量%含有することを特徴とする中性洗浄剤。
  4. 溶質成分中の比率として、前記ポリビニルピロリドンを1〜20重量%、前記界面活性剤を0.5〜30重量%、前記有機酸を5〜25重量%、それぞれ含有することを特徴とする請求項3記載の中性洗浄剤。
  5. 衣料用洗浄剤である請求項1〜4のいずれかに記載の中性洗浄剤。
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