JP2000150894A - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

半導体装置及びその製造方法

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JP2000150894A
JP2000150894A JP10323709A JP32370998A JP2000150894A JP 2000150894 A JP2000150894 A JP 2000150894A JP 10323709 A JP10323709 A JP 10323709A JP 32370998 A JP32370998 A JP 32370998A JP 2000150894 A JP2000150894 A JP 2000150894A
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single crystal
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Masataka Shingu
正孝 新宮
Hisayoshi Yamoto
久良 矢元
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 共通基板上に分離形成した知的資産機能ブロ
ック又は素子間にクロストークを生じない半導体装置及
びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 ガラス基板1上にサファィア膜50を設
け、この上にシリコン・インジウム溶融液層6から単結
晶シリコン層7をエピタキシャル成長させた後、この単
結晶シリコン層に所定の処理を施し、知的資産機能ブロ
ック又は素子間を分離したIPIC用の半導体装置を形
成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置及び半
導体装置の製造方法に関し、特に絶縁基板上にエピタキ
シャル成長させた単結晶シリコン層にMOSFET(絶
縁ゲート型電界効果トランジスタ)等を作り、互いに干
渉することのない知的資産機能ブロックを構成した半導
体装置とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】今後の情報化社会においては、より多く
のデータをより速く交換すると共に、情報処理装置、通
信機器、ネットワーク機器などのシステムの性能や機能
を大幅に向上したいという要求がある。それに応える情
報処理、通信、民生用機器などの各システムの設計は、
今ではシステムLSIを設計するという方式に変化して
きている。
【0003】このため、システムLSI(Large
Scale IntegratedCircuit:大
規模集積回路)は集積規模が非常に大型化している。即
ち、いくつものコアやセルといった回路ブロックが1チ
ップに集積されたものになる傾向がある。従って、数百
万ゲートの回路を1つのシリコンチップに形成すること
になる。
【0004】そして、このようなシステムLSIを1つ
のLSIメーカーや1つの設計グループだけで設計する
ことは、最早不可能になってきている。なぜならば新た
に必要な回路ブロックを設計したり、その回路ブロック
の性能を最適化するためには大変な時間と労力を費やす
ことになるため、商品化のタイミングを遅らせてしまた
り、開発費が膨大となって割高な製品となってしまうか
らである。
【0005】そこで今では、IP(Intellect
ual Property:知的資産)を利用した、I
PベースのシステムLSI(IPIC)が今後の設計技
術の方向と考えられている。
【0006】このIPICとは、図9に示すように、例
えば、異なるLSI製造メーカーの知的資産であるDS
P(Digital Signal Processo
r)からなる機能ブロックIP1、DRAM(Dyna
mic Random Access Memory)
からなる機能ブロックIP2、マイクロプロセッサから
なる機能ブロックIP3、コントローラからなる機能ブ
ロックIP4、FeRAM(Ferroelectri
c Random Access Memory)から
なる機能ブロックIP5及びROM(Read Onl
y Memory)からなる機能ブロックIP6を共通
のシリコン基板31に搭載するものである。これは、即
ち、過去の設計資産として多くのIP機能ブロックやI
P素子を持つLSIメーカーがIPを供給し合ったり、
新しく設計したIPを提供するIPベンダーがIPを供
給したりし、それらのIPをシステムメーカーがうまく
組み合わせて、新たなシステムLSIをIPICという
形にまとめあげて作るものである。
【0007】そして、このようなシステムを効果的なも
のにするためには、いかに良いIPを組み合わせて優れ
たIPICを作るか、あるいは設計期間を短縮させるか
が求められてくる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、既に機
能が検証されているIPを使うとはいえ、また各IP間
のインターフェースを注意深く行っても、社内、社外か
ら調達したIPを無秩序に使用したシステムLSIでは
クロストークの発生を予想しきれない。また、発生した
クロストークに対する対策を行うにしてもクロストーク
の発生場所の特定は甚だ困難である。
【0009】クロストーク発生の概略を図10に示す。
この図は、一方のIPであるIPaと他方のIPである
IPbの間に、共通基板31を通してクロストークが発
生し、回路が誤動作することを示している。
【0010】図10に示すように、IPaには基板31
に多数のNチャネルの絶縁ゲート型電界効果トランジス
タ〔以下、MOSFET(Metal Oxide S
emiconductor Field Effect
Transistor)又はMOSトランジスタ〕そ
の代表例としてMOS(a)が設けられ、IPbにはN
チャネルのMOSトランジスタMOS(b)が設けられ
ている。そして、図中、N+ はソース又はドレイン領域
としてのN+ 不純物拡散領域、P+ は基板電位を与える
ための不純物拡散領域を示す。更に、この両ドレイン領
域間にN+ 型アイソレーション47領域が設けられてい
てもよい。
【0011】しかし、図示の如く、動作時に不純物拡散
領域P+ 及びN+ やチャネル領域と基板31との間には
空乏層容量からなる寄生容量Cp、Crが生じ、互いに
分離されるべき両トランジスタMOS(a)−MOS
(b)間に不所望な基板電流が内部抵抗rpを介して流
れ、クロストークが発生し易い。この結果、このIPI
Cは誤動作を生じてしまう。
【0012】クロストーク防止対策としては、各トラン
ジスタのバックゲートを完全に分離できるプロセスを採
用することが有効である。例えば図示したアイソレーシ
ョン47であれば深い領域までイオン注入して完全に遮
断するか、又は図示省略するが、3重ウエルやSOI
(Silicon on Insulator)の採用
が最も有効である。
【0013】しかしながら、これらはいずれも簡単には
採用できない。即ち、アイソレーション47を設ける場
合は、そのための領域を確保しなければならず、高密度
化が難しいし、高電圧イオン注入などが必要である。ま
た、3重ウエルとするには、これも非常な高電圧のイオ
ン注入が必要となり、設備としても高価であり、工程も
複雑で長くなる。これらは、いずれもコスト上昇につな
がる。
【0014】また、従来から提案されているSOI(S
IMOX法、貼り合わせ法、SOS法)は、単結晶シリ
コン層を絶縁膜上に形成し、これを能動領域に用いるも
のであるが、これを採用しても、次のような問題があ
る。
【0015】SIMOX(セパレーション・バイ・イン
プランティッド・オキシジェン)法の場合は、多量の酸
素イオン注入のため、複合積層欠陥などの結晶欠陥によ
るリーク電流の発生の問題や、シリコンの活性領域厚が
厚いのでトランジスタが高速化できないという問題があ
る。
【0016】貼り合わせ法の場合は、応力集中、ボイド
の発生、活性領域のシリコン厚の不均一、発塵などの問
題点がある。
【0017】SOS(シリコン・オン・サファイア)法
の場合は、基板が割れやすく、大口径の基板が使えない
し、サファイア自体が非常に高価であるということでコ
スト面の欠点が大である。
【0018】また、SIMOX法や貼り合わせ法につい
ては、上記した問題と共に、今のところ直径300mm
以上の大口径のシリコンウエーハを入手できる見込みが
つかず、コストダウンが頭打ちというのが現状である。
【0019】そこで本発明の目的は、新たに提案するS
OIを用いて基板上に搭載するMOSFETなど素子を
おのおの別々に分離し、IP間のクロストークを防止す
ると共に、IPICの設計手法によるシステムLSIの
開発に際して高集積化及び基板の大口径化が可能であっ
て、高速かつ低消費電力、高品質で安価に、かつ開発期
間の短縮も可能となる半導体装置及びその製造方法を提
供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、絶縁基
板上に、単結晶シリコンに対して格子整合の良い物質層
と、この物質層上の単結晶シリコン層とが形成され、前
記単結晶シリコン層が活性素子領域ごとに分離され、こ
れらの分離された単結晶シリコン層が、複数の知的資産
機能ブロック又は素子を構成している半導体装置(以
下、本発明の装置と称する。)に係るものである。
【0021】本発明の装置によれば、絶縁基板上に形成
する物質層が、この上に形成している単結晶シリコン層
に対して格子整合が良いので、単結晶シリコン層を容易
に形成することができ、例えばIP機能ブロックを構成
する各MOSトランジスタは少なくとも前記物質層を用
いて確実に絶縁させることができ、絶縁分離のための特
別なアイソレーション拡散領域の確保やイオン注入は不
要となる。その結果、IP機能ブロック又は素子間のク
ロストークの発生を防止できる上に、機能ブロックや素
子間の距離を縮小して高集積化も可能となる。更に、絶
縁基板としてガラスやセラミックスを用いれば、基板の
入手が容易であると共に、絶縁のための物質層として高
価なサファイアを使用するが、サファイアを膜として設
ければよいので、サファイア膜を薄く形成してもたいし
てコスト高になることなく供給することができる。従っ
て、システム設計者にとっては未知のIPも安心して使
用可能になると共に、基板選択の配慮も心配なくなり、
低コストで基板の大型化も可能となる。この装置をIP
ICに適用すれば、多くのIP機能ブロック又は素子を
共通の基板上に搭載しながらも、開発期間の短縮及び開
発費用の低減を図ることができる。
【0022】また、本発明は、絶縁基板上に、単結晶シ
リコンに対して格子整合の良い物質層を形成する工程
と、この物質層上に、単結晶シリコン層をエピタキシャ
ル成長させる工程と、前記単結晶シリコン層を複数の活
性素子ごとの領域に分画する工程と、各活性素子領域の
単結晶シリコン層にそれぞれ所定の処理を施して、互い
に異なる複数の知的資産機能ブロック又は素子を構成す
る半導体素子を作製する工程と、前記の複数の知的資産
機能ブロック又は素子間を配線する工程とを有する、半
導体装置の製造方法(以下、本発明の方法と称する。)
に係るものである。
【0023】本発明の方法によれば、絶縁基板上に形成
する物質層が、この上に形成する単結晶シリコン層に対
して格子整合が良いので、シリコンのエピタキシャル成
長が容易であると共に、単結晶シリコン層を分画して互
いに異なる機能ブロック又は機能素子を構成することが
できる。なお、前記の「分画」とは、前記単結晶シリコ
ン層をパターニングして分離すること(この場合は分画
はIP機能ブロック間の分離と同時に行える。)であ
る。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を図面を参照しながら説明する。
【0025】上記した装置及び方法においては、前記I
P機能ブロック又は素子が既述したIPIC又はシステ
ムLSIを構成し、前記IP機能ブロック又は素子間が
少なくとも前記物質層によって絶縁分離されている。こ
れにより既述したIPICをクロストークから解放する
など、より効果的に実現することができる。
【0026】この場合、前記絶縁基板がガラスやセラミ
ックス又は有機物質からなり、前記物質層がサファイ
ア、スピネル構造体及びフッ化カルシウムからなる群よ
り選ばれた物質で膜状に形成されている。これにより基
板の選択範囲が広がると共に、次の(A)〜(D)に述
べるような顕著な効果を得ることができる。
【0027】(A)上記した物質層は、ガラス基板等の
上に減圧CVD(化学的気相成長:基板温度500〜6
00℃)などの方法で形成できる。また、例えば溶融液
法によりシリコンを1重量%程度含有する低融点金属の
溶融液層を低温(例えば500℃)で調製し、それより
少し高いだけの温度に加熱した上記基板上に塗布などに
よって形成し、徐冷することによってシリコン単結晶層
を均一にしかも容易に形成することができる。特に結晶
性サファイア薄膜を上記物質層として採用すれば、単結
晶シリコンと格子整合が良く(特に格子定数の一致によ
り)、シリコンエピタキシー成長が極めて容易になる。
【0028】(B)特に、溶融液法などを単結晶シリコ
ン層の成長に用いるときには、歪点の比較的低いガラス
基板やセラミックス基板などの入手し易く、低コストで
物性も良好な基板を用いることができ、また基板の大型
化も可能となる。従って、ガラス基板を広幅・長尺ロー
ル状にし、連続して、シリコン単結晶薄膜を形成するこ
ともできる。
【0029】(C)サファイア薄膜などの上記物質層
は、様々な原子の拡散バリヤになるため、ガラス基板か
らの不純物の拡散を抑制することができる。
【0030】(D)ガラス基板等の上に低温で形成した
シリコン単結晶層の電子移動度は、540cm2 /v・
sec(後述の文献3参照)であって、シリコン基板並
の大きな値が得られるため、高速で低消費電力のNチャ
ネルMOS(NMOS)及びPチャネルMOS(PMO
S)のトランジスタや、機能素子トランジスタ、ダイオ
ード、キャパシタ、抵抗等の半導体素子、或いはこれら
を集積したSOI型電子回路をガラス基板等の上に作成
することができる。
【0031】また、前記IP機能ブロック又は素子は、
前記単結晶シリコン層をソース領域、ドレイン領域及び
チャネル領域とするCMOSトランジスタから構成され
ているのが一般的であるが、トランジスタの動作速度を
さらに上げるのが望ましい。
【0032】そのための方法として、前記ソース及びド
レイン領域を形成する不純物拡散層が前記物質層の位置
まで達していることが望ましい。即ち、MOSFETを
動作させる際には、図8に示すように、単結晶シリコン
層の内部のソース、ドレイン及びチャネル領域に空乏層
51s、51d、51cによる空乏層容量Cs、Cd、
Ccが生じるが、トランジスタのスイッチング時にはこ
れらの寄生容量を充放電しなければならず、それだけ電
流を多く要し、充放電のためのスイッチング時間を要す
る。しかし、図7(a)のように、イオン注入がサファ
イア膜まで達しておればCsやCdは無視できるように
なるし、Ccも極めて小さくなる。この結果、極めて高
速かつ極めて低消費電力で動作が可能になる。
【0033】さて上記の単結晶シリコン層の製法におい
ては、前記物質層上に、シリコンを含有する低融点金属
の溶融液層を形成し、冷却処理によって前記溶融液層の
シリコンを前記物質層をシードとしてエピタキシャル成
長させることが高品質のシリコン層が得られ望ましい。
【0034】また、前記溶融液層は塗布又は印刷法によ
って形成することができる。更に、塗布法として溶融液
面上に基板を接触させるフローティング法や浸漬法によ
って形成してもよい。
【0035】また、シリコン層及び低融点金属層を積層
し、或いはシリコン含有低融点金属層を成膜した後、加
熱によってシリコン含有低融点金属の溶融液層を形成す
ることもできる。この場合、積層又は成膜の方法として
は、化学的気相成長法(CVD法)や、スパッタ(基板
温度約100〜400℃)や蒸着等の物理的成膜法であ
ってよい。
【0036】また、前記物質層上に公知の触媒CVD法
(基板温度約500〜650℃)によって単結晶シリコ
ンをエピタキシャル成長させることもできる。更にプラ
ズマCVD法によることもできる。
【0037】そして、前記物質層を上記の如く低温成膜
技術で例えば5〜200nmの厚さに絶縁基板上に形成
し、更にシリコンを1.0〜0.001重量%含有する
低融点金属の溶融液を加熱された前記絶縁基板に塗布
し、所定時間(数分〜数10分)保持した後、前記冷却
処理を徐々に行うことが望ましい。これによって、厚さ
5μm〜10nmの単結晶シリコン膜を得ることができ
る。
【0038】この場合、前記低融点金属をインジウム、
ガリウム、スズ、ビスマス、鉛、亜鉛、アンチモン及び
アルミニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種で
形成することが望ましい。
【0039】そして、前記低融点金属としてインジウム
を使用するときには前記溶融液層を850〜1100
℃、更に好ましくは、900〜950℃に加熱された前
記絶縁基板に塗布し、前記低融点金属としてインジウム
・ガリウムを使用するときには前記溶融液層を300〜
1100℃、更に好ましくは、350〜600℃に加熱
された前記絶縁基板に塗布し、前記低融点金属としてガ
リウムを使用するときには溶融液層を400〜1100
℃、好ましくは420〜600℃に加熱された前記絶縁
基板にそれぞれ塗布する。基板の加熱は、電気炉やラン
プ等を用いて基板全体を均一に加熱する方法の他、光レ
ーザー、電子ビーム等によって、所定の場所のみを局部
的に加熱する方法も可能である。
【0040】また、前記溶融液層に3族又は5族の不純
物元素を混入させ、これによって前記単結晶シリコン層
の不純物種及び/又はその濃度を制御することができ
る。
【0041】このようにシリコンを含有する低融点金属
は、図6に示す状態図から明らかなように、低融点金属
の割合に応じて融点が低下する。インジウムを用いると
きには、シリコンを含有(例えば1重量%含有)するイ
ンジウム溶融液層を850〜1100℃の基板温度で形
成するのは、1100℃程度までは基板として石英板ガ
ラスを使用でき、1100℃〜850℃まではそれより
も耐熱性が低いガラスでも使用できることになる。但
し、850℃〜600℃は、アルミノシリケートガラス
の最高使用温度(殆んど歪点と同じ)から決められる。
ガリウムを用いるときにも、上記と同様の理由から、シ
リコンを含有(例えば1重量%含有)するガリウム溶融
液層を400〜1100℃の基板温度で形成することが
できる。
【0042】いずれも、基板として、歪点の低いガラス
基板を用い得るので、大型ガラス基板(1m2 以上)上
にシリコン単結晶層を作成することが可能であるが、エ
ピタキシー温度が上記した400〜450℃と一層低い
場合は、ガラス基板として、歪点が470〜670℃と
低いガラスを用いることができる。これは、安価で、薄
板化が容易であり、長尺ロール化されたガラス板を作製
できる。これを用いて、長尺ロール化ガラス板上に、上
記手法を用いて、薄いエピタキシー層を連続して又は非
連続に作製することができる。また、上記した如く溶融
液塗布式の場合、ガラス基板を上記溶融液に浸して、一
定時間(数分〜数十分)保持した後、徐々に引き上げ
る。溶融液の組成、温度、引き上げ速度によって、エピ
タキシャル成長層の厚さを制御することができる。塗布
式、ディップ式とも、基板を連続又は断続送りして処理
できるため、量産性も向上させることができる。
【0043】上記したシリコンを溶かした低融点金属か
ら、徐冷によって、上記物質層をシードとして前記単結
晶シリコン層を析出させた後に、この上の前記低融点金
属層を塩酸などで溶解除去し、しかる後に前記単結晶シ
リコン層に所定の処理を施して半導体素子を作製するこ
とができる。
【0044】このように、冷却後に単結晶シリコン層の
上に析出した金属インジウムなどの低融点金属薄膜は塩
酸等を用いて溶解除去するが、金属インジウム等はシリ
コン層中に微量(1016atoms/cc程度)しか残
留しないよう作成できるので、作成直後はP型半導体が
作成される。従って、これはNチャネルMOSトランジ
スタの作製にとって都合が良い。しかし、適量のリン原
子などのN型不純物をイオン注入することによって、N
型半導体結晶層を作成することができるので、Pチャネ
ルMOSトランジスタを作成することもできる。このた
め、CMOSトランジスタも作成できることになる。ま
た、前記溶液層に不純物元素を混入させ、これによって
前記単結晶シリコン層の不純物種及び/又はその濃度を
制御することもできる。
【0045】このようにして、基板上にエピタキシャル
成長した前記単結晶シリコン層をSOI−CMOS絶縁
ゲート型電界効果トランジスタのチャネル領域、ソース
領域及びドレイン領域に適用し、これら各領域の不純物
種及びその不純物濃度を最適に制御すればよい。
【0046】これらに対し、本発明と関連し、単結晶シ
リコン層を基板上に形成する公知の成膜技術としては次
の(1)〜(3)のものが知られている。
【0047】(1)単結晶シリコン基板をシードにし
て、920〜930℃に加熱されたインジウム・シリコ
ン溶融液又はインジウム・ガリウム・シリコン溶融液か
ら、冷却処理によりシリコンエピタキシー層を形成し、
この層の上にシリコン半導体層を作成する。(文献1,
Soo Hong Lee,"VERY-LOW-TEMPERATURE LIQUID-PHASE EP
ITAXIAL GROWTH OF SILICON".MATERIALS LETTERS. Vol.
9.No.2,3(Jan.,1990)pp53-56. 文献2,R.Bergmann et a
l,"MOS transistors with epitaxial Si,laterally gro
wn over SiO/Sub 2/ by liquid phase epitaxy."J.Appl
ied Physics A,vol.A54,no.1 p.103-5.文献3,R.P.Zingg
et al,"First MOS transistors on Insulator by Sili
con Saturated Liquid Solution Epitaxy."IEEE ELECTR
ON DEVICE LETTERS.VOL.13,NO.5,MAY 1992 p294-6.)
【0048】(2)サファイア基板上にシリコンをエピ
タキシャル成長させる。(文献4,G.A.Garcia,R.E.Reed
y,and M.L.Burger,"High-quality CMOS in thin (100n
m)silicon on sapphire,"IEEE ELECTRON DEVICE LETTER
S.,VOL.9,pp32-34,Jan.,1988.)
【0049】(3)酸素イオン注入法により、絶縁基板
上にシリコン層を形成する。(文献5,K.Izumi,M.Doken,
and H.Ariyoshtl,"CMOS device fabrication on buried
SiO2 layers formed by oxygen implantation into si
licon,"Electron.Lett.,vol.14,no.18,pp593-594,Aug.1
978.)
【0050】前述のように、(2)、(3)の方法は、
ガラスなどの絶縁基板上に溶融液法などでサファイアな
どの結晶性物質層上に単結晶シリコン層をエピタキシャ
ル成長させる本発明の方法とは異なって、サファイア基
板上に直接単結晶シリコンを成長させたり、或いは単結
晶シリコン基板に直接イオン注入した後再び単結晶化す
るものであるから、基板が高価であったり、機械的強度
が弱く、また結晶欠陥が生じ易いなどという欠点を回避
することができない。
【0051】次に、本発明を好ましい実施の形態につい
て更に詳細に説明する。
【0052】<第1の実施の形態>図1〜図5につい
て、本発明の第1の実施の形態によるIPICをその製
造方法に沿って説明する。
【0053】まず、図1の(1)に示すように、石英ガ
ラス基板1(歪点約1000℃以上、厚さ50ミクロン
〜数mm)の一主面に、結晶性サファイア薄膜(以下、
単にサファイア薄膜と記す。)(厚さ5〜200nm)
50を形成する。このサファイア薄膜50は、高密度プ
ラズマCVD法や、触媒CVD法(特開昭63−403
14号公報参照)により、トリメチルアルミニウムガス
を酸化性ガス(酸素・水分)で酸化し、結晶化させて作
成する。
【0054】次いで、図1の(2)に示すように、サフ
ァイア薄膜50上に、シリコンを約1〜0.001重量
%含有するシリコン・インジウム溶融融液6を約920
〜930℃に加熱された基板1に塗布する。
【0055】次いで、基板1を数分〜数10分間保持し
た後、徐々に冷却することによって、金属インジウムに
溶解していたシリコンは、サファイア薄膜50をシード
(種)として図1の(3)に示すようにエピタキシャル
成長し、厚さ5μm〜10nm、例えば50nm程度の
単結晶シリコン層7として析出する。この場合、サファ
イアは、単結晶シリコンと格子定数が殆んど同じである
ので、シリコンはサファイア薄膜50上に例えば(10
0)面がエピタキシーに成長する。この析出は、シリコ
ンをインジウムに溶かした溶液から生じるため、シリコ
ンの本来の析出温度よりもずっと低温で生じる。
【0056】こうして、基板1上に(100)面の単結
晶シリコン層7を析出させた後、図1の(4)のよう
に、表面側に付着・析出した金属インジウム6Aを塩酸
などによって溶解除去し、所望の厚さの単結晶シリコン
層7を作製することができる。
【0057】このようにしてSOIを作成するための基
板であるSOG(シリコン・オン・ガラス)を作製する
ことができる。このシリコン層7の部分に既述した各I
Pを構成するためのCMOSトランジスタ(Nチャネル
MOSTFT及びPチャネルMOSTFTからなる相補
型MOSトランジスタ)を作製することにより、クロス
トークが発生しないシステムLSIを作製することがで
きる。
【0058】以下、SOG(シリコン・オン・ガラス)
にCMOSトランジスタを作製する方法を示す。
【0059】まず、図2の(5)に示すように、単結晶
シリコン層7を各トランジスタのソース、ドレインおよ
びゲートの形成領域を除いてエッチング除去する。この
除去法としては通常のフォトレジストを用いたRIE法
(リアクティブイオンエッチング法)でシリコン層をエ
ッチングすればよい。これにより図2の(5)の如く、
アイソレーション40を形成することができる。また、
このようなアイソレーションの形成方法としてはエッチ
ングに限らず、通常のLOCOS法(選択酸化法)を採
用することもできる。
【0060】次いで、図2の(6)に示すように、CV
DによりSiN成長(図示せず)後に酸化処理すること
によって単結晶シリコン層7の表面に厚さ5nmのゲー
ト酸化膜8を形成する。
【0061】次いで、図2の(7)に示すように、Nチ
ャネルMOSトランジスタ用のチャネル領域の不純物濃
度制御のために、PチャネルMOSトランジスタ部をフ
ォトレジスト9でマスクし、P型不純物イオン(例えば
+ )10を例えば10kVで7×1011 atoms
/cm2 のドーズ量で打込み、単結晶シリコン層7の導
電型を最適な不純物濃度にP型化したシリコン層11と
する。
【0062】次いで、図2の(8)に示すように、Pチ
ャネルMOSトランジスタ用のチャネル領域の不純物濃
度制御のために、今度はNチャネルMOSトランジスタ
部をフォトレジスト12でマスクし、N型不純物イオン
(例えばP+ )13を例えば30kVで5×1012at
oms/cm2 のドーズ量で打込み、単結晶シリコン層
7のP型を補償しN型で不純物濃度を最適化したシリコ
ン層14とする。
【0063】次いで、図3の(9)に示すように、ゲー
ト電極材料としてのコバルトシリサイドなどの層15を
例えば、CVD法やスパッタ法によって厚さ200nm
に堆積させる。
【0064】次いで、図3の(10)に示すように、フ
ォトレジスト16を所定パターンに形成し、これをマス
クにしてコバルトシリサイド層15をゲート電極形状に
パターニングし、更に、フォトレジスト16の除去後に
図3の(11)に示すように、例えばコバルトシリサイ
ドからなるゲート電極15の上面を含む全面にSiO2
をCVDで形成し、RIEでエッチバックしてLDD用
のサイドウオールとしての酸化膜17を形成する。サイ
ドウオール下方のシリコン層11、14にはPチャネル
とNチャネルのライトリー・ドープト・ドレインを10
13atoms/cm2 程度のドーズ量でイオン注入を行
う(図示省略)。
【0065】次いで、図3の(12)に示すように、P
チャネルMOSトランジスタ部をフォトレジスト18で
マスクし、N型不純物である例えばAs+ イオン19を
例えば50kVで3×1015atoms/cm2 のドー
ズ量でイオン注入し、1000℃程度のランプアニール
によって、NチャネルMOSトランジスタのN+ 型ソー
ス領域20及びドレイン領域21をそれぞれ形成する。
【0066】次いで、図4の(13)に示すように、N
チャネルMOSトランジスタ部をフォトレジスト22で
マスクし、P型不純物である例えばB+ イオン23を例
えば10kVで3×1015atoms/cm2 のドーズ
量でイオン注入し、1000℃程度のランプアニールに
よって、PチャネルMOSトランジスタのP+ 型ソース
領域24及びドレイン領域25をそれぞれ形成する。
【0067】次いで、図4の(14)に示すように、全
面にSiO2 膜26をP−TEOSやSOGを用いて6
000Å程度の厚みに形成する。
【0068】次いで、図4の(15)に示すように、絶
縁膜の所定位置にコンタクト窓開けを行い、各ホールを
タングステン27で埋め込んでから全面にアルミニウム
などの電極材料をスパッタ法等で150℃で1μmの厚
みに堆積し、これを図5の(16)に示すようにパター
ニングして、PチャネルMOSFET及びNチャネルM
OSFETのそれぞれのソース電極28又はドレイン電
極29とゲート取出し電極(図示省略)を形成し、各M
OSトランジスタを完成すると共に相互に接続する。こ
れにより各IPは所定の動作が可能になる。電極のアル
ミニウムは図5の(16)では一層で示してあるが、こ
の電極は多層にするのが通常である。又、DRAMやF
eRAMなどではそれぞれ追加の工程が必要だが、ここ
では省略した。
【0069】以上に説明したように、本実施の形態によ
れば、次の如き顕著な作用効果が得られる。
【0070】(a)本実施の形態のCMOSトランジス
タを含むIPICによれば、ガラス基板1上に形成する
サファイア膜50が、この上に形成されている単結晶シ
リコン層7に対して格子整合が良いので、単結晶シリコ
ン層7を容易に形成することができる。この単結晶シリ
コン層に形成されているIP機能ブロック又は素子はC
MOSの構成素子であるトランジスタ間を、サファイア
膜50(更にはアイソレーション40)を用いて確実に
絶縁させることができ、絶縁分離のための特別なアイソ
レーションやイオン注入は不要となる。その結果、IP
機能ブロック又は素子間のクロストークの発生を防止で
きる上に、素子間の距離を縮小して高集積化も可能とな
る。更に、絶縁基板としてガラス(或いはセラミック
ス)を用いているので、基板の入手が容易であると共
に、絶縁のための物質層として高価なサファイアを使用
する場合も、サファイアを膜50として設ければよいの
で、サファイア膜を薄く形成してコストも低減すること
ができる。基板は絶縁物であり、ソース−ドレイン寄生
容量は小さいので、高速動作が可能になると共に、基板
選択の範囲が広がり、低コストで基板の大型化も可能と
なり、この装置をIPICに適用すれば、クロストーク
の心配なしに多くのIP機能ブロック又は素子を共通の
基板上に搭載して開発期間の短縮及び開発費用の低減を
図れる。
【0071】(b)また、製法的にみれば、ガラス基板
1上に、920〜930℃と低温でシリコン単結晶層7
を均一に形成することができる。従って、ガラス基板の
みならず、セラミック基板などの絶縁基板上に、シリコ
ン単結晶薄膜を形成できるため、歪点が低く、低コスト
で物性も良好な基板材質を任意に選択でき、また、基板
の大型化(1m2 以上)や長尺化(100m以上)も可
能となる。
【0072】(c)しかも、最初から上記の溶融液を作
製しておけば、塗布などの簡単なプロセスで溶解用金属
量も少なくして、安価にシリコンエピタキシー層を作成
することができる。
【0073】(d)サファイア薄膜50は、ガラス基板
1から単結晶シリコン層7への拡散を抑制するバリアと
して作用する。
【0074】(e)ガラス基板等の上に形成したシリコ
ン単結晶層7の電子移動度は、540cm2 /v・se
cとシリコン基板並の大きな値が得られるため、高速で
低電圧動作のトランジスタを作成することができる。ト
ランジスタ以外にも、ダイオード、機能素子トランジス
タ、キャパシタ、抵抗等や、これらを集積した電子回路
をガラス基板上に作成することができる。MOSトラン
ジスタ等のシリコン半導体素子を形成するプロセスは、
従来公知のSOIの作製プロセスと殆んど変わらない。
【0075】<第2の実施の形態>次に、本発明の第2
の実施の形態を説明する。
【0076】本実施の形態では、上述の第1の実施の形
態において、単結晶シリコン層7の導電型(又は不純物
濃度)を制御するために、図1の(2)のシリコン・イ
ンジウム溶融液6の塗布時に不純物を混入又は溶解する
ものである。
【0077】即ち、溶融液6に溶解度が大きい3価又は
5価元素を、例えばB、P、Sb、Asなどを適量ドー
プしておけば、成長するシリコンエピタキシャル層7の
P型又はN型や、キャリア濃度を任意に制御することが
できる。
【0078】<第3の実施の形態>次に、本発明の第3
の実施の形態を説明する。
【0079】本実施の形態では、上述の第1の実施の形
態と比べて、図1の(1)に示す工程で、基板1とし
て、歪点が例えば670℃程度と低いホウケイ酸ガラス
などのガラスを用いるので、安価でかつ大型化が容易で
あり、薄板化(例えば50μm厚さ)すればロール化/
長尺化が可能であり、このようなガラス板を採用するこ
とができる。もちろん、石英基板も採用することができ
る。
【0080】そして、上述と同様にサファイア薄膜50
を形成した後、図1の(2)に示す工程で、シリコンを
約1重量%含有するシリコン・インジウム・ガリウム溶
液6(融点約400℃)(又はシリコン・ガリウム溶
液)を、全面に亘って、約400〜450℃(又は45
0〜600℃)に加熱された基板1に塗布する。
【0081】次いで、基板1を数分〜数10分間保持し
た後、徐々に冷却することによって、金属インジウム・
ガリウム(又は金属ガリウム)に溶解していたシリコン
は、サファイア薄膜50をシード(種)として図1の
(3)に示すようにエピタキシャル成長し、厚さ5μm
〜10nm、例えば50nm程度の単結晶シリコン層7
として析出する。この析出は、シリコンをインジウム・
ガリウム(又はガリウム)に溶かした溶液から生じるた
め、シリコンの本来の析出温度よりもずっと低温で生じ
る。
【0082】こうして、基板1上に単結晶シリコン層7
を析出させた後、表面側に付着・析出した金属インジウ
ム・ガリウム(又は金属ガリウム)を塩酸などによって
溶解除去し、単結晶シリコン層7をパターニングしてS
OG型CMOSトランジスタの作製を行う。作製工程
は、図2の(5)〜図5の(16)と同様に行えばよ
い。
【0083】本実施の形態によれば、上述した第1の実
施の形態で述べた効果に加え、更に次の如き顕著な効果
が得られる。
【0084】(a)ガラス基板1上に、約400〜45
0℃又は450〜600℃と更に低温でシリコン単結晶
薄膜7を均一に形成することができる。従って、石英ガ
ラス基板のみならず、ホウケイ酸ガラスやセラミック基
板、有機基板などの絶縁基板上に、シリコン単結晶薄膜
を形成できるため、歪点が低く、低コストで物性も良好
な基板材質を任意に選択でき、また、基板の大型化(1
2 以上)や長尺化(100m以上)も可能となる。ガ
ラス基板や有機基板は、石英板に比べて、安価に作成す
ることができ、さらに薄板化/長尺化/ロール化が可能
であるので、シリコン単結晶薄膜を形成した薄板を長尺
/ロール化した大型ガラス基板などを生産性良く、安価
に作製することができる。
【0085】(b)ガラス基板として、歪点が低い(例
670℃)ガラスを用いると、この上層へガラスからそ
の構成元素が拡散して、トランジスタ特性に影響するこ
とがあるが、これは、サファイア薄膜50がバリアとな
るために効果的に防止できる。
【0086】(c)各IPはそれぞれ非常に多数のCM
OSFETから構成されている回路であるが、基板が絶
縁物であるのでいかなるクロストークも発生しないため
クロストークの回避を考えた設計をする必要もないし、
試作品が正常に動作しなくてもクロストークを疑う必要
もない。従って開発期間が短縮され、開発コストも安く
することができる。
【0087】(d)ウエーハプロセスとしてもクロスト
ーク対策のために高価なイオン注入装置を導入したり、
複雑なプロセスにすることもないので、開発費用も製造
費用も安価にできる。
【0088】(e)SOGのシリコン厚と、ソースとド
レインの深さを最適化し、高速かつ低消費電力のシステ
ムLSIを作成できる。
【0089】上述した第1〜第3の各実施の形態におい
ては、上記した如く、SOGの単結晶シリコン層7の層
厚を1例として50nmとしたが、これは、図3の(1
2)や図4の(13)に示したソース及びドレイン用不
純物をイオン注入してアニールした後に、ソース及びド
レイン領域の不純物がそのシリコン全体に行きわたり、
サファイア膜50に達するようにするためである。
【0090】アニール後のその部分の拡大図を図7に示
す。前述したように、MOSFETの動作時にはSOG
のシリコン内部のソース、ドレイン及びチャネル領域に
も、図8に示すように空乏層容量Cs、Cd、Ccが生
じる。そして、トランジスタのスイッチング時にはこれ
らの寄生容量を充放電しなければならないので、それだ
け電流も多く必要になり、充放電のためにスイッチング
時間も多く必要となる。
【0091】従って、図7(a)のように、イオン注入
がサファイア膜50に達しておれば、図8に示した空乏
層容量のうちCsやCdは無視できるようになり、Cc
も極めて小さくなる。この結果、極めて高速かつ極めて
低消費電力の動作が可能になる。これはCs、Cd、C
cを充放電する電力も時間も極めて小さいためである。
本発明はこの場合の単結晶シリコン膜厚のコントロール
に都合がよい。
【0092】しかし、図7(a)は最適な単結晶シリコ
ン膜厚とイオン注入およびアニールによる場合である
が、図7(b)のような構造でもソース及びドレイン下
方のシリコン層の全てが空乏層51になる場合は、C
s、Cdの充放電もかなり短時間で行うことができる。
これは、シリコン薄膜中でMOSトランジスタの動作時
に空乏層51の幅を変化させるので、キャパシターをチ
ャージアップするのとは違い、応答速度がかなり早いか
らである。
【0093】従って、このようにソース及びドレイン領
域下方のシリコン層が全て空乏層になる程度のシリコン
層の厚さや、シリコン層中の不純物濃度のものも本発明
に含める。これにより、高速かつ低消費電力を達成する
ことができる。
【0094】以上に述べた本発明の実施の形態は、本発
明の技術的思想に基づいて種々変形が可能である。
【0095】例えば、上述したサファイア(Al
2 3 )に代えて、単結晶シリコンと格子整合の良好な
スピネル構造体(例えばマグネシアスピネル)(MgO
・Al2 3 )やフッ化カルシウム(CaF2 )などが
使用可能である。
【0096】また、図2の(5)に示すパターニング
(分画)以外に、アイソレーション部分を選択的に酸化
させ、単結晶シリコン層の一部をアイソレーション用の
酸化膜に選択的に変化させることも可能である。この場
合も、その後のCMOSトランジスタの作製工程を上述
と同様に行うことができる。
【0097】また、上述した実施の形態では、シリコン
・インジウムなどの溶融液から単結晶シリコンを溶融液
法で成長させたが、例えば図1の(2)に仮想線で示す
ように、多結晶シリコン層60を化学的気相成長させ、
この上にインジウム層61をスパッタ法で形成し(或い
はシリコン含有のインジウム層をスパッタ法で形成
し)、しかる後に加熱してシリコン含有のインジウム溶
融液層(これは上述の溶融液層6に相当する。)とな
し、冷却によって単結晶シリコン層7をエピタキシャル
成長させてもよい。或いは、インジウムなどの低融点金
属を用いないで、図1の(1)の状態で公知の触媒CV
D法やプラズマCVD法によってサファイア膜50上に
単結晶シリコン層7を直接気相成長させることもでき
る。
【0098】いずれの方法によるも単結晶シリコン層7
を結晶性良く、又、膜厚のコントロールを良好に行うこ
とによりIPICの作製に適用することができる。
【0099】
【発明の作用効果】上述した如く、本発明の半導体装置
によれば、絶縁基板上に、単結晶シリコンに対して格子
整合の良い物質層と、この物質層上の単結晶シリコン層
とが形成され、前記単結晶シリコン層が活性素子領域ご
とに分離され、これらの分離された単結晶シリコン層
が、複数の知的資産機能ブロック又は素子を構成してい
る。従って、絶縁基板上に形成する物質層が、この上に
形成されている単結晶シリコン層に対して格子整合が良
いので、単結晶シリコン層を容易に形成することができ
る。例えばIP機能ブロック又は素子を構成するトラン
ジスタは、少なくとも前記物質層を用いて確実に絶縁さ
せることができ、絶縁分離のための特別なアイソレーシ
ョンやイオン注入は不要となる。その結果、IP機能ブ
ロック又は素子間のクロストークの発生を防止できる上
に機能ブロック又は素子間の距離を縮小して高集積化も
可能となる。更に、絶縁基板としてガラスやセラミック
スを用いれば、基板の入手が容易であると共に、絶縁の
ための物質層として高価なサファイアを使用する場合
も、サファイアを膜として設ければよいので、サファイ
ア膜を薄く形成してコストも低減することができる。
又、高速動作が可能になると共に、基板選択の範囲が広
がり、低コストで基板の大型化も可能となり、この装置
をIPICに適用したシステムLSIは、多くのIP機
能ブロック又は素子を共通の基板上に搭載していながら
開発期間の短縮及び開発費用の低減を図ることができ
る。
【0100】また、本発明の方法によれば、絶縁基板上
に形成する物質層が、この上に形成する単結晶シリコン
層に対して格子整合が良いので、シリコン層の膜厚を最
適化してCMOSトランジスタ等の素子を形成し、高速
動作かつ低消費電力のシステムLSIを提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による半導体装置の
製造プロセスを工程順に示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態による半導体装置の
製造プロセスを工程順に示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態による半導体装置の
製造プロセスを工程順に示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態による半導体装置の
製造プロセスを工程順に示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態による半導体装置の
製造プロセスを工程順に示す断面図である。
【図6】Si−In状態図(A)及びSi−Ga状態図
(B)である。
【図7】図5の一部分の拡大概略図であり、(a)はイ
オン注入が十分な場合、(b)はシリコン層が厚くイオ
ン注入が浅い場合を示す。
【図8】本実施の形態におけるシリコン層内の空乏層を
示す模式図である。
【図9】IPベースのシステムLSIにおけるICチッ
プを示す概略図である。
【図10】従来例によるSOIにおいてクロストークの
発生を示す模式図である。
【符号の説明】
1…基板、6…シリコン、6A…インジウム、7…単結
晶シリコン層、8…ゲート酸化膜、9、12、16、1
8、22…レジストマスク、10、23…P型不純物イ
オン、11…P型不純物注入層、13、19…N型不純
物イオン、14…N型不純物注入層、15…ゲート電
極、17…サイドウオール、20、21…N+ 型ソース
又はドレイン領域、24、25…P+ 型ソース又はドレ
イン領域、26…絶縁膜、27…タングステン、28、
29…電極、50…サファイア膜、51…空乏層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5F038 EZ06 EZ14 EZ17 EZ20 5F110 AA09 BB04 DD01 DD03 DD04 DD12 DD24 EE04 EE05 EE32 EE44 EE45 FF03 FF29 GG02 GG12 HJ01 HJ04 HJ13 HM15 NN66 PP10 PP31 PP34 PP36 QQ04

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁基板上に、単結晶シリコンに対して
    格子整合の良い物質層と、この物質層上の単結晶シリコ
    ン層とが形成され、前記単結晶シリコン層が活性素子領
    域ごとに分離され、これらの分離された単結晶シリコン
    層が、複数の知的資産機能ブロック又は素子を構成して
    いる半導体装置。
  2. 【請求項2】 前記知的資産機能ブロック又は素子がシ
    ステム化された大規模集積回路を構成し、前記知的資産
    機能ブロック又は素子間が少なくとも前記物質層によっ
    て絶縁分離されている、請求項1に記載した半導体装
    置。
  3. 【請求項3】 前記絶縁基板がガラス、セラミックス又
    は有機物質からなり、前記物質層がサファイア、スピネ
    ル構造体及びフッ化カルシウムからなる群より選ばれた
    物質で膜状に形成されている、請求項1に記載した半導
    体装置。
  4. 【請求項4】 前記知的資産機能ブロック又は素子が、
    前記単結晶シリコン層をソース領域、ドレイン領域及び
    チャネル領域とする絶縁ゲート型電界効果トランジスタ
    を含んでいる、請求項1に記載した半導体装置。
  5. 【請求項5】 前記ソース及びドレイン領域を形成する
    不純物拡散層が前記物質層の位置まで達している、請求
    項4に記載した半導体装置。
  6. 【請求項6】 前記不純物拡散層から延びる空乏層が前
    記物質層の位置まで達している、請求項5に記載した半
    導体装置。
  7. 【請求項7】 前記絶縁基板が広幅、長尺状体で構成さ
    れ、この上に前記単結晶シリコン層が形成されている、
    請求項1に記載した半導体装置。
  8. 【請求項8】 絶縁基板上に、単結晶シリコンに対して
    格子整合の良い物質層を形成する工程と、 この物質層上に、単結晶シリコン層をエピタキシャル成
    長させる工程と、 前記単結晶シリコン層を活性素子ごとの領域に分画する
    工程と、 各活性素子領域の単結晶シリコン層にそれぞれ所定の処
    理を施して、互いに異なる複数の知的財産機能ブロック
    又は素子を構成する半導体素子を作製する工程と、 前記の複数の知的資産機能ブロック又は素子間を配線す
    る工程とを有する、半導体装置の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記物質層上に、シリコンを含有する低
    融点金属の溶融液層を形成し、冷却処理によって前記溶
    融液層のシリコンを前記物質層をシードとしてエピタキ
    シャル成長させる、請求項8に記載した半導体装置の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 前記溶融液層を塗布又は印刷法によっ
    て形成する、請求項9に記載した半導体装置の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 シリコン層及び低融点金属層を積層
    し、或いはシリコン含有低融点金属層を成膜した後、加
    熱によってシリコン含有低融点金属の溶融液層を形成す
    る、請求項9に記載した半導体装置の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記物質層上に化学的気相成長法又は
    物理的成膜法によって単結晶シリコンをエピタキシャル
    成長させる、請求項8に記載した半導体装置の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 前記物質層上に触媒CVD法又はプラ
    ズマCVD法、スパッタ法又は蒸着法によって単結晶シ
    リコンをエピタキシャル成長させる、請求項12に記載
    した半導体装置の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記知的資産機能ブロック又は素子が
    システム化された大規模集積回路を構成し、前記知的資
    産機能ブロック又は素子間が少なくとも前記物質層によ
    って絶縁分離されている半導体装置を製造する、請求項
    8に記載した半導体装置の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記絶縁基板をガラス、セラミックス
    又は有機物質で形成し、前記物質層をサファイア、スピ
    ネル構造体及びフッ化カルシウムからなる群より選ばれ
    た物質で膜状に形成する、請求項8に記載した半導体装
    置の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記物質層を絶縁基板上に形成し、シ
    リコンを1.0〜0.001重量%含有する低融点金属
    の溶融液を加熱された前記絶縁基板に塗布し、所定時間
    保持した後、前記冷却処理を行う、請求項9に記載した
    半導体装置の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記低融点金属をインジウム、ガリウ
    ム、スズ、ビスマス、鉛、亜鉛、アンチモン及びアルミ
    ニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種とする、
    請求項9に記載した半導体装置の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記低融点金属としてインジウムを使
    用するときには前記溶融液層を850〜1100℃に加
    熱された前記絶縁基板に塗布し、前記低融点金属として
    インジウム・ガリウムを使用するときには前記溶融液層
    を300〜1100℃に加熱された前記絶縁基板に塗布
    し、また、前記低融点金属としてガリウムを使用すると
    きには前記溶融液層を400〜1100℃に加熱された
    前記絶縁基板に塗布する、請求項17に記載した半導体
    装置の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記溶融液層に3族又は5族の不純物
    元素を混入させ、これによって前記単結晶シリコン層の
    不純物種及び/又はその濃度を制御する、請求項9に記
    載した半導体装置の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記知的資産機能ブロック又は素子
    が、前記単結晶シリコン層をソース領域、ドレイン領域
    及びチャネル領域とする絶縁ゲート型電界効果トランジ
    スタを含んでいる半導体装置を製造する、請求項8に記
    載した半導体装置の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記ソース及びドレイン領域を形成す
    る不純物拡散層が前記物質層の位置まで達している、請
    求項20に記載した半導体装置の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記不純物拡散層から延びる空乏層が
    前記物質層の位置まで達するように、前記不純物拡散層
    を形成する、請求項21に記載した半導体装置の製造方
    法。
  23. 【請求項23】 広幅、長尺状の絶縁基板上に連続して
    前記単結晶シリコン層を形成する、請求項8に記載した
    半導体装置の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007184552A (ja) * 2005-12-07 2007-07-19 Kovio Inc プロセス変動に耐性を有するダイオード、同ダイオードを有するスタンダードセル、同ダイオードを含むタグ及びセンサ、並びに同ダイオードを製造する方法
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