JP2000145879A - 制振装置 - Google Patents

制振装置

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JP2000145879A
JP2000145879A JP10313537A JP31353798A JP2000145879A JP 2000145879 A JP2000145879 A JP 2000145879A JP 10313537 A JP10313537 A JP 10313537A JP 31353798 A JP31353798 A JP 31353798A JP 2000145879 A JP2000145879 A JP 2000145879A
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ball screw
vibration
mass
ball nut
pitch
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Koji Fukui
宏治 福井
Yoshihiro Gofuku
義博 呉服
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Tokico Ltd
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Tokico Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は動吸振器の制振力を確保しながら付
加質量の軽量化及び装置小型化を図ることを課題とす
る。 【解決手段】 制振装置11は、ビル12の屋上12a
に設置された動吸振器13と、動吸振器13を駆動制御
する制御装置15とから構成されている。動吸振器13
は、例えばビル12のX方向の振動を制振する向きに設
置されており、制御装置15からの制御信号により制振
動作してビル12のX方向の振動を制振する。動吸振器
13は、回転質量30を回転駆動し、その反力で制振す
る構成であり、モータ26の回転駆動力によりボールね
じ32が軸方向に移動し、ボールねじ32の直動に伴っ
て回転質量30が回転駆動されると、その反力が制振力
としてビル12に作用して振動を制振する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は制振装置に係り、特
に小型化及び軽量化を図ると共に制振力を高めるよう構
成された制振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えばビル等の構造物においては、地震
あるいは風圧あるいは大型車両や鉄道車両の通過による
交通振動等による振動が発生する場合、制振装置を設置
してビルの振動を制振するようにしている。この種の制
振装置では、主にビルの質量に応じた所定の重量を有す
る付加質量をビルの振動状態に応じて駆動させる動吸振
器をビルの屋上に設置し、付加質量が振動方向に移動し
てビルの振動を制振するように構成されている。
【0003】図9は従来の制振装置の用いられている動
吸振器の一例を示す。図9に示されるように、動吸振器
1は、付加質量2をリニアベアリング3により摺動自在
に支持するとともに、付加質量2に取り付けられたボー
ルナット4にボールねじ5を螺合させ、ボールねじ5を
モータ6により回転駆動して付加質量2を振動方向(X
方向)に駆動させる構成となっている。
【0004】ボールねじ5は、カップリング7を介して
モータ6の駆動軸6aに結合されており、且つベース8
に固定された支持部9に取り付けられたアンギュラ軸受
10により回転可能に軸承されている。また、アンギュ
ラ軸受10は、半径方向及び軸方向の荷重に耐える構造
となっている。そして、動吸振器1は、ビルの変位及び
速度などの振動状態を検出するセンサ(図示せず)から
の出力値の大きさに応じた制御量を演算する制御装置か
らの駆動信号によりモータ6が駆動制御され、モータ6
の回転駆動力がボールねじ5に伝達されると、ボールナ
ット4が付加質量2と共にX方向に移動し、その反力を
制振力として用いることによりビルの振動を制振するよ
うになっている。
【0005】すなわち、上記のような構成とされた動吸
振器1は、モータ6のトルクをボールねじ5に伝達し
て回転駆動力を発生させる。ボールねじ5の回転駆動
力は、ボールナット4を介して軸方向の推力に変換
される。そして、ボールナット4が固着された付加質量
2は、推力によりX方向に駆動されて加速度を得てリ
ニアベアリング3に沿って移動する。
【0006】このように、付加質量2が加速度を得る
と、そのときの慣性力の反力がアンギュラ軸受10か
ら支持部9を介してビルに固定されたベース8に伝達さ
れる。その結果、ビル12には、振動による加速度の作
用方向と逆方向の反力が伝達されて制振される。上記
制振力Fは次式から求まる。
【0007】F=Ma ×xa ″… (1) (1)式において、Fは制振力(N)、Ma は付加質量
(kg) 、xa ″は付加質量加速度(m/s2 )である。
上記式(1)より制振力Fは、付加質量2の重量と付加
質量2の加速度で決まることが分かる。すなわち、より
大きな制振力Fを得るには、付加質量2を大きくして重
量を増やすか、あるいは付加質量2の加速度を大きくす
るために変位量を長くする必要がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の制振装置においては、付加質量2を水平方向に往復
動させる構成であるため、付加質量2の大きさ(重量)
と加速度(モータ6のトルク)で制振性能が決まり、よ
り大きな制振力を得るには付加質量2を大きくする必要
がある。
【0009】また、従来の制振装置では、付加質量2の
加速度を大きくすることにより制振力としての反力を確
保することができるが、その場合には付加質量2の移動
ストロークを長くする必要があり、装置自体が大型化す
ると共に設置スペースが大きくなってしまう。そのた
め、従来の制振装置では、制振力を大きくして制振性能
を向上させることと付加質量2の小型化及び軽量化を図
ることが相反する事項であるので、両立させることが難
しかった。
【0010】従って、従来のものでは、制振性能を確保
するために装置全体の小型化及び軽量化を図ることがで
きず、例えばビルの屋上等に設置のときには動吸振器1
を吊り上げるためのクレーン等の重機を用意する必要が
あり、設置作業が大掛かりになってしまうばかりか、装
置を設置する場所のスペースの確保及び動吸振器1の荷
重に耐えるように補強することも必要であるといった問
題があった。
【0011】そこで、本発明は上記課題を解決した制振
装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は以下のような特徴を有する。上記請求項1
記載の発明では、構造物の振動に応じて駆動される駆動
源と、該駆動源からの駆動力により直線運動する直動部
材と、該直動部材の直線運動を回転運動に変換する変換
機構と、該変換機構からの回転力により回転駆動される
回転質量と、からなり、前記回転質量の回転に伴う反力
が前記直動部材に伝達されて前記構造物の振動を制振す
ることを特徴とするものである。
【0013】従って、上記請求項1記載の発明によれ
ば、回転質量の回転に伴う反力が直動部材に伝達されて
構造物の振動を制振するため、質量を直動させる従来の
ものよりも回転質量の回転による周方向の移動量を大き
くすることができ、これにより回転質量の慣性力が大き
くなって見かけ上の質量を大きくすることができる。そ
のため、制振力を確保すると共に回転質量の軽量化及び
装置の小型化を図ることが可能となる。
【0014】また、上記請求項2記載の発明では、前記
請求項1記載の制振装置であって、前記変換機構は、ボ
ールねじ機構であることを特徴とするものである。従っ
て、上記請求項2記載の発明によれば、変換機構がボー
ルねじ機構であるので、直動部材の直線運動を回転運動
に変換する際の変換効率をおよそ90%程度まで高める
ことができ、損失が小さい分回転質量を駆動するための
駆動源を小型化できる。
【0015】また、上記請求項3記載の発明では、構造
物の振動に応じて駆動されるモータと、該モータからの
回転駆動力により回転駆動される駆動側ボールナット
と、該駆動側ボールナットに螺合するボールねじと、該
ボールねじが螺合する従動側ボールナットと、前記ボー
ルねじの回転を拘束する回転拘束手段と、前記従動側ボ
ールナットと一体的に結合された回転質量と、からな
り、前記回転質量の回転に伴う反力が前記ボールねじに
伝達されて前記構造物の振動を制振することを特徴とす
るものである。
【0016】従って、上記請求項3記載の発明によれ
ば、モータからの回転駆動力により駆動側ボールナット
を回転させてボールねじを軸方向に直動させ、これによ
り従動側ボールナットを回転させるため、駆動力及び制
振力としての反力の伝達効率を高めることができると共
に、駆動側ボールナットと従動側ボールナットとで1本
のボールねじを共用することができ、その分部品点数の
削減を図ることができる。
【0017】また、上記請求項4記載の発明では、前記
請求項3記載の制振装置であって、前記ボールねじの軸
方向の一端側のピッチと他端側のピッチを異ならせると
共に、前記ボールねじの各ピッチに応じて前記駆動側ボ
ールナットのピッチと前記従動側ボールナットのピッチ
とを異ならせたことを特徴とするものである。従って、
上記請求項4記載の発明によれば、駆動側ボールナット
のピッチと従動側ボールナットのピッチとを異ならせた
ため、例えば駆動側のピッチを従動側より小さくするこ
とにより駆動側ボールナットを小さいトルクで駆動する
ようにでき、これと逆に駆動側のピッチを従動側より大
きくすることにより同じトルクで回転質量をより高速回
転させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下図面と共に本発明の実施の形
態について説明する。図1は本発明になる制振装置の一
実施例がビルの屋上に設置された状態を示す構成図であ
る。図1に示されるように、制振装置11は、大略、構
造物としてのビル12の屋上12aに設置された動吸振
器13と、動吸振器13を駆動制御する制御装置15と
から構成されている。動吸振器13は、例えばビル12
のX方向の振動を制振する向きに設置されており、制御
装置15からの制御信号により制振動作してビル12の
X方向の振動を制振する。
【0019】また、ビル12の奇数階及び屋上には、地
震あるいは風圧によるX方向の振動状態を変位、速度、
あるいは加速度により検出する振動状態検出センサ(以
下単に「センサ」という)16(161 〜165 )が設
置されている。尚、これらのセンサ16は、ビル12が
一方向へ移動すると正の検出信号を出力し、ビル12が
他方向へ移動すると負の検出信号を出力するようになっ
ている。そのため、制御装置15は、各センサ16から
出力された信号によりビル12の各振動方向(X方向)
の変位、速度、あるいは加速度を求めることができる。
【0020】センサ16から出力された振動状態検出信
号は、夫々増幅器18(181 〜185 )により増幅さ
れてA/D変換器20でデジタル信号に変換されて制御
回路22に出力される。また、制御回路22は、A/D
変換器20から入力されたセンサ16からのデジタル信
号に基づいて動吸振器13の制御量を演算する。そし
て、制御回路22の演算結果は、D/A変換器24によ
りアナログ信号に変換されて動吸振器13のACサーボ
モータ(以下「モータ」という)26のドライブ回路2
8に供給される。さらに、ドライブ回路28は、制御回
路22で演算された制御量に応じた駆動信号としての速
度指令電圧を動吸振器13のモータ26に出力する。
【0021】動吸振器13は、後述するように回転質量
30を回転駆動し、その反力で制振する構成であり、駆
動源としてのモータ26の回転駆動力によりボールねじ
32が軸方向に移動し、ボールねじ32の直動に伴って
回転質量30が回転駆動されると、その反力が制振力と
してビル12に作用する。このようにしてビル12の振
動は、動吸振器13のモータ26が駆動制御されること
により制振される。
【0022】上記制御回路22において、センサ16か
らの検出信号に基づいて演算する制御量の演算方法とし
ては、LQ制御を用いて演算する。尚、LQ制御は、従
来から用いられている周知の技術であるので、ここでは
その説明は省略する。また、制御回路22では、LQ制
御方法に限らず、此れ以外のスカイフック制御等の他の
制御方法を用いることもできる。
【0023】ここで、動吸振器13の構成について説明
する。図2は動吸振器13の構成を説明するための縦断
面図である。図2に示されるように、動吸振器13は、
ビル12の屋上12aに固定されるベース34と、ベー
ス34上に固定されたモータ支持部36に支持されたモ
ータ26と、モータ26からの回転力を直線運動に変換
する第1の変換機構37と、第1の変換機構37からの
駆動力により直線運動するボールねじ(直動部材)32
と、ボールねじ32の直線運動を回転運動に変換する第
2の変換機構38と、第2の変換機構38からの回転力
により回転駆動される回転質量30とからなる。
【0024】本実施の形態では、ボールねじ32自体が
直動部材として機能するため、ボールねじ32を直接軸
方向に駆動させることにより構成の簡略化が図られてい
る。尚、直動部材を直線運動させるため、モータ26及
び第1の変換機構37を用いているが、これに限らず、
直接直線運動させるアクチュエータや伝達機構等を用い
ても良い。
【0025】また、第1の変換機構37は、モータ26
の駆動軸26aとカップリング40を介して結合された
結合部材42と、結合部材42にフランジ42aにボル
ト44の締結により結合されるフランジ45aを有する
ホルダ45と、ホルダ45の内部を貫通する貫通孔45
bに嵌合固定された第1のボールナット46と、一端3
2aが第1のボールナット46に螺合するボールねじ3
2とからなる。
【0026】また、結合部材42は、支柱47に保持さ
れた軸受49により回転自在に軸承されており、内部に
はボールねじ32の端部が進入する空間42bが軸方向
に形成されている。また、ホルダ45は、ベース34上
に固定された第1の軸受支持部48に保持された一対の
アンギュラ軸受50,50により回転自在に軸承されて
いる。このアンギュラ軸受50,50は、軸方向及び半
径方向の荷重に耐える構造となっており、夫々逆向きの
軸荷重を受けるように配置されている。また、第1の軸
受支持部48の左側には、アンギュラ軸受50,50が
軸方向に脱落しないようにストッパとしての突部48a
が設けられている。また、第1の軸受支持部48の右側
面には、突部48aと逆側でアンギュラ軸受50の内
輪、外輪を保持する環状の保持板51a,51bがボル
ト52a,52bにより固定されている。
【0027】そのため、アンギュラ軸受50,50は、
軸方向の荷重が作用しても第1の軸受支持部48から脱
落せずの第1のボールナット46を支持することができ
る。そして、モータ26からの回転力がカップリング4
0、結合部材42、ホルダ45を介してボールナット4
6に伝達されると、ボールねじ32は軸方向(X方向)
に駆動される。
【0028】第2の変換機構38は、ボールねじ32
と、ボールねじ32の他端32bが螺合する第2のボー
ルナット55と、第2のボールナット55に嵌合固定さ
れた回転質量30とからなる。第2のボールナット55
は、第1のボールナット46と同一構造であるが取付け
方向が180°逆向きとなっている。また、第2のボー
ルナット55は、ボールねじ32が軸方向(X方向)に
直動するのに伴って回転する。尚、本実施の形態では、
ボールねじ32の一端32aが第1のボールナット46
に螺合し、ボールねじ32の他端32bが第2のボール
ナット55に螺合しているため、1本のボールねじ32
が第1のボールナット46と第2のボールナット55に
螺合して共用化して駆動力及び制振力としての反力の伝
達効率を高めることができると共に、部品点数の削減を
図ることができる。
【0029】上記のように構成されたボールねじ機構で
は、直線運動を回転運動に変換する際の変換効率がおよ
そ90%程度あるので、ボールねじ32の軸方向への移
動量に応じた回転角度で回転質量30を回転させること
ができる。そのため、直線運動を回転運動に変換する際
の損失が小さく、回転質量30を駆動するためのモータ
26を小型化することが可能となる。
【0030】回転質量30は、第2のボールナット55
に嵌合する軸受部30aと、軸受部30aより半径方向
に延在する円板30bと、円板30bの端面に固定され
た慣性質量30cとからなる。回転質量30は、円板状
に形成されており、ビル12の構造や大きさに応じて慣
性質量30cを適宜増やしたり、減らして全体の質量が
調整されるようになっている。また、回転質量30は、
半径が大きくなるほど慣性力が大きくなるため、従来の
装置のように付加質量を直動させるものに比べ質量が小
さくても十分な慣性力を得ることができる。
【0031】さらに、回転質量30の軸受部30aは、
ベース34上に起立する第2の軸受支持部58に保持さ
れた一対のアンギュラ軸受56,56により回転自在に
軸承されている。このアンギュラ軸受56,56は、軸
方向及び半径方向の荷重に耐える構造となっており、夫
々逆向きの軸荷重を受けるように配置されている。ま
た、第2の軸受支持部58には、アンギュラ軸受56,
56が軸方向に脱落しないようにストッパとしての突部
58aが設けられている。また、第2の軸受支持部58
の左側面には、アンギュラ軸受56の外輪を保持する環
状の保持板61bがボルト62bにより固定されてい
る。また、第2の軸受支持部58の右側面には、アンギ
ュラ軸受56の内輪、外輪を保持する環状の保持板61
a,61bがボルト62a,62bにより固定されてい
る。
【0032】そのため、アンギュラ軸受56,56は、
軸方向の荷重が作用しても第2の軸受支持部58から脱
落せずの第2のボールナット55を支持することができ
る。さらに、第2のボールナット55を貫通したボール
ねじ32の端部は、回転拘束機構64により回転方向の
動き規制されている。回転拘束機構64は、ボールねじ
32の端部32bより突出する係合部32cに嵌合して
半径方向に延在する腕部66と、腕部66の先端部分に
挿通されるロッド68と、ロッド68を軸方向(X方
向)に摺動可能に軸承する滑り軸受70とからなる。
【0033】腕部66とロッド68は、ボールねじ32
の端部から半径方向に離間した位置からボールねじ32
の回転を拘束することができるので、ロッド68と滑り
軸受70との寸法誤差がボールねじ32の回転位置に影
響しないように設けられている。また、ボールねじ32
が軸方向(X方向)に移動するときは、ロッド68が滑
り軸受70に軸承されながら平行移動して回転拘束状態
を維持する。
【0034】このようにボールねじ32は、回転拘束機
構64によって回転方向の動きが規制されているので、
第1のボールナット46が回転駆動されると、回転トル
クが軸方向の推力として90%以上の効率で伝達される
ため、軸方向(X方向)に移動する。従って、第1のボ
ールナット46の回転方向によってボールねじ32は、
図2において左方向又は右方向に直動する。また、ボー
ルねじ32は、わずかな移動量がねじのピッチにより第
2のボールナット55及び回転質量30を大きく回転さ
せる。
【0035】そして、ボールねじ32が軸方向(X方
向)に移動するのに伴って第2のボールナット55が回
転質量30と共に回転し、その際第2のボールナット5
5及び回転質量30の慣性力の反力がボールねじ32、
アンギュラ軸受50、第1の軸受支持部48を介してベ
ース34に伝達される。その結果、ビル12の振動の作
用方向と逆方向の制振力がビル12に作用してビル12
の振動を制振する。
【0036】ここで、回転質量30の回転による制振動
作の原理について説明する。前述したように、動吸振器
13は、上記式(1)より制振力は、付加質量2の重量
と付加質量2の加速度で決まる。そのため、より大きな
制振力を得るには、付加質量を大きくして重量を増やす
か、あるいは付加質量の加速度を大きくして変位量を長
くする必要がある。
【0037】そこで、付加質量を小さくすると共に、付
加質量の加速度をより大きくして変位量をより長くする
ことにより、装置の小型化及び軽量化と制振力の向上を
同時に実現する方法を考え出した。図3は本発明の制振
動作の原理を説明するための概略を示す図である。図3
に示されるように、駆動源からの入力Fは、支点Oとの
距離Laと付加質量Mまでの距離Lb(>La)との比
によって拡大される。つまり、入力FはLb/La倍さ
れて付加質量Mに伝達される。
【0038】さらに、付加質量Mを回転させることによ
り、付加質量Mを直動させる場合よりも変位量を数倍に
拡大することができる。このように、付加質量Mを回転
させて変位量を実質的に長くすることができるので、そ
の分付加質量M自体の重量を軽減して軽量化及び小型化
を促進することが可能となる。ここで、ボールねじ機構
の直動−回転変換効率について説明する。
【0039】図4はボールねじの作動原理を説明するた
めの斜視図である。図4に示されるように、上記ボール
ねじ32とボールナット46,55の変換効率ηは、ボ
ールねじのリード角βから求まる。すなわち、次式
(2)のように表される。 β=tan-1(Pt/dp π) … (2) (2)式において、βはリード角、Ptはボールねじの
ピッチ(=リードL)、dp はボール中心径である。
尚、リード角βは5.3degで変換効率ηが90.3
%となる。
【0040】図5は動吸振器13の回転慣性式AMDの
数学モデルを示す図である。図5に示されるように、動
吸振器13の数学モデルは、モータ26と、各構成部品
の等価ばね定数kと、各構成部品の等価減衰係数C
e と、第2のボールナット55及び回転質量30の等価
慣性質量me とからなる。この数学モデルの運動方程式
は、次式(3)のように表される。
【0041】 me y″+Ce ′+k(y−x)=0 … (3) また、動吸振器13の各構成部品の固有振動数fn は、
次式(4)のように表される。 fn =√(k/me )/2π … (4) (4)式において、等価ばね定数kは、ボールねじ32
の軸方向剛性ks と、ボールナット46,55の軸方向
剛性kN と、アンギュラ軸受50,56の軸方向剛性K
B とから求まる全体の剛性であり、次式ようにように表
せる。
【0042】 k=1/{(1/ks )+(1/kN )+(1/kB )} … (5) また、等価慣性質量me は、次式から求まる。 me =(2π/p)2 ×Im … (6) (6)式において、pはねじのピッチ、Im は慣性モー
メントである。また、慣性モーメントIm は、次式から
求まる。
【0043】 Im =mt ×(rout 2 −rin 2 )/2 … (7) (7)式において、mt は回転質量30の質量、rout
は回転質量30の外半径、rinは回転質量30の内半径
である。図6はxを入力としたときの直動yの周波数応
答を示す波形図である。図6に示されるように、動吸振
器13の各構成部品の固有振動数は、制御周波数5Hz
から離れている。しかしながら、ベース34等の剛性
は、固有振動数f n から外れるように上記式(4)より
求まる固有振動数50Hz以上とする。
【0044】図7は動吸振器の変形例1を示す縦断面図
である。尚、図7において、上記実施の形態と同一部分
には同一符号を付してその説明を省略する。図7に示さ
れるように、動吸振器71は、第1のボールナット46
に螺合する第1のボールねじ72と、第2のボールナッ
ト55に螺合する第2のボールねじ74とを有する。駆
動側となる第1のボールねじ72のピッチp1 は、従動
側となる第2のボールねじ74のピッチp2 より小さい
(p1 <p2 )。また、第1のボールナット46のピッ
チは第1のボールねじ72のピッチp1 と同じであり、
第2のボールナット55のピッチは第2のボールねじ7
4のピッチp2 と同じである。
【0045】そして、第1のボールねじ72の端部は、
結合部材76の一端側に結合され、第2のボールねじ7
4の端部は、結合部材76の他端側に結合されている。
よって、第1のボールねじ72と第2のボールねじ74
は、結合部材76を介して一体化されており、第1のボ
ールナット46が回転駆動されると、同一方向に同一距
離移動する。
【0046】上記のようなピッチ差により第1の変換機
構37では、第1のボールナット46の回転量に対して
第1のボールねじ72の軸方向の移動量が小さく、第2
の変換機構38では、第2のボールねじ74の軸方向の
移動量に対し第2のボールナット55及び回転質量30
の回転量が大きくなっている。そのため、モータ26の
回転量を拡大することが可能になり、モータ26を小型
化しても初期の制振力を得ることができる。
【0047】また、上記以外にも、駆動側となる第1の
ボールねじ72のピッチp1 を従動側となる第2のボー
ルねじ74のピッチp2 より大きく(p1 >p2 )する
こともできる。さらに、変形例1では、第1のボールね
じ72と第2のボールねじ74が結合部材76を介して
一体化される構成を一例として挙げたが、1本のボール
ねじの一端側のピッチと他端側のピッチとを異ならせる
ようにしても良い。
【0048】図8は動吸振器の変形例2を示す縦断面図
である。尚、図8において、上記実施の形態と同一部分
には同一符号を付してその説明を省略する。図8に示さ
れるように、動吸振器81は、ボールねじ32の回転方
向の動きを規制する回転拘束機構82を有する。この回
転拘束機構82は、ボールねじ32の係合部32cの外
周の軸方向に形成されたキー溝32dと、ベース34上
に固定された支柱83に保持された滑り軸受84と、滑
り軸受84の内周に軸方向に形成されたキー溝85と、
キー溝32d及びキー溝85に挿入されたキー86とか
らなる。
【0049】このように、回転拘束機構82は、キー8
6によりボールねじ32の回転を拘束する構成であるの
で、構成の簡略化及び製造コストの低減が図られてい
る。尚、上記実施の形態では、ビル12の制振を行う制
振装置を一例として挙げたが、これに限らず上記制振装
置11をビル以外の構造物(例えば橋梁、鉄塔、高架建
築物、スタジアム等)にも適用できるのは勿論である。
【0050】また、回転質量30は、円板形状としても
良いが、これに限らず、例えば複数のリング状の質量を
組み合わせても良いし、あるいは鋳物等により任意の形
状とするようにしても良いのは勿論である。
【0051】
【発明の効果】上述の如く、上記請求項1記載の発明に
よれば、回転質量の回転に伴う反力が直動部材に伝達さ
れて構造物の振動を制振するため、質量を直動させる従
来のものよりも回転質量の回転による周方向の移動量を
大きくすることができ、これにより回転質量の慣性力が
大きくなって見かけ上の質量を大きくすることができ
る。そのため、制振力を確保すると共に回転質量の軽量
化及び装置の小型化を図ることができる。
【0052】また、上記請求項2記載の発明によれば、
変換機構がボールねじ機構であるので、直動部材の直線
運動を回転運動に変換する際の変換効率をおよそ90%
程度まで高めることができ、損失が小さい分回転質量を
駆動するための駆動源を小型化できる。また、上記請求
項3記載の発明によれば、モータからの回転駆動力によ
り駆動側ボールナットを回転させてボールねじを軸方向
に直動させ、これにより従動側ボールナットを回転させ
るため、駆動力及び制振力としての反力の伝達効率を高
めることができると共に、駆動側ボールナットと従動側
ボールナットとで1本のボールねじを共用することがで
き、その分部品点数の削減を図ることができる。
【0053】また、上記請求項4記載の発明によれば、
駆動側ボールナットのピッチと従動側ボールナットのピ
ッチとを異ならせたため、例えば駆動側のピッチを従動
側より小さくすることにより駆動側ボールナットを小さ
いトルクで駆動するようにでき、モータを小型化するこ
とができる。また、これと逆に駆動側のピッチを従動側
より大きくすることにより同じトルクで回転質量をより
高速回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる制振装置の一実施例がビルの屋上
に設置された状態を示す構成図である。
【図2】動吸振器13の構成を説明するための縦断面図
である。
【図3】本発明の制振動作の原理を説明するための概略
を示す図である。
【図4】ボールねじの作動原理を説明するための斜視図
である。
【図5】動吸振器13の回転慣性式AMDの数学モデル
を示す図である。
【図6】xを入力としたときの直動yの周波数応答を示
す波形図である。
【図7】動吸振器の変形例1を示す縦断面図である。
【図8】動吸振器の変形例2を示す縦断面図である。
【図9】従来の制振装置の用いられている動吸振器の一
例を示す。
【符号の説明】
11 制振装置 12 ビル 13,71,81 動吸振器 15 制御装置 16(161 〜165 ) 振動状態検出センサ 22 制御回路 26 ACサーボモータ( 30 回転質量 32 ボールねじ 34 ベース 37 第1の変換機構 38 第2の変換機構 42 結合部材 45 ホルダ 46 第1のボールナット 48 第1の軸受支持部 50,56 アンギュラ軸受 55 第2のボールナット 58 第2の軸受支持部 64 回転拘束機構 72 第1のボールねじ 74 第2のボールねじ 76 結合部材 82 回転拘束機構 86 キー

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物の振動に応じて駆動される駆動源
    と、 該駆動源からの駆動力により直線運動する直動部材と、 該直動部材の直線運動を回転運動に変換する変換機構
    と、 該変換機構からの回転力により回転駆動される回転質量
    と、からなり、 前記回転質量の回転に伴う反力が前記直動部材に伝達さ
    れて前記構造物の振動を制振することを特徴とする制振
    装置。
  2. 【請求項2】 前記請求項1記載の制振装置であって、 前記変換機構は、ボールねじ機構であることを特徴とす
    る制振装置。
  3. 【請求項3】 構造物の振動に応じて駆動されるモータ
    と、 該モータからの回転駆動力により回転駆動される駆動側
    ボールナットと、 該駆動側ボールナットに螺合するボールねじと、 該ボールねじが螺合する従動側ボールナットと、 前記ボールねじの回転を拘束する回転拘束手段と、 前記従動側ボールナットと一体的に結合された回転質量
    と、 からなり、 前記回転質量の回転に伴う反力が前記ボールねじに伝達
    されて前記構造物の振動を制振することを特徴とする制
    振装置。
  4. 【請求項4】 前記請求項3記載の制振装置であって、 前記ボールねじの軸方向の一端側のピッチと他端側のピ
    ッチを異ならせると共に、前記ボールねじの各ピッチに
    応じて前記駆動側ボールナットのピッチと前記従動側ボ
    ールナットのピッチとを異ならせたことを特徴とする制
    振装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010107017A (ja) * 2008-10-31 2010-05-13 Nsk Ltd 制振装置およびその組み込み構造
JP2017214721A (ja) * 2016-05-30 2017-12-07 株式会社Nttファシリティーズ 軸長可変装置、制振装置及び制振システム
KR102142154B1 (ko) 2019-10-31 2020-08-06 김윤석 제진장치
CN114232829A (zh) * 2021-11-26 2022-03-25 沈阳建筑大学 基于转动惯量虚拟平动惯性质量的tmd控制系统

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