JPH0884454A - 回転機械の制振装置 - Google Patents

回転機械の制振装置

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JPH0884454A
JPH0884454A JP21488594A JP21488594A JPH0884454A JP H0884454 A JPH0884454 A JP H0884454A JP 21488594 A JP21488594 A JP 21488594A JP 21488594 A JP21488594 A JP 21488594A JP H0884454 A JPH0884454 A JP H0884454A
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JP
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vibration
damping device
rotary machine
vibration damping
permanent magnet
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JP21488594A
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English (en)
Inventor
Yukihiko Kazao
幸彦 風尾
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、既設の回転機械にも大きな改造を加
えることなく容易に設置でき、回転機械の回転軸の振動
を外部からの強制的な減衰力を付加することなく制振す
ることを最も主要な目的としている。 【構成】本発明は、回転機械の回転軸の外周部に嵌め込
まれた磁性材からなるスリーブと、スリーブの外周部
に、外周側の極性が全てN極となるように円筒状に貼付
けられた第1の永久磁石と、スリーブの外周部で第1の
永久磁石から回転軸方向に一定距離だけ離れた位置に、
外周側の極性が全てS極となるように円筒状に貼付けら
れた第2の永久磁石と、両先端に第3の永久磁石が貼付
けられ、第1,第2の永久磁石と対向する位置に、永久
磁石の極性により反発力が生じるように配設された断面
コ字状の磁極と、磁極の外周部に回転軸と同心に配設さ
れ、磁力により回転軸の回りを浮上する浮上リングとを
備えたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回転機械の回転軸の振
動、例えば不釣り合い振動等を、外部からの強制的な減
衰力を付加することなく制振できるようにした回転機械
の制振装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、回転機械の回転軸には、材料上
あるいは部品構成上の不釣り合いが存在するため、通
常、運転前には、「釣り合わせ」と呼ばれるバランス取
りの作業が行なわれ、この不釣り合いが回転機械毎に決
められた許容値内に入るように、調整作業が行なわれ
る。
【0003】しかしながら、不釣り合いを完全に取り去
ることは現実的にできないので、その残留不釣り合いを
mr(m:不釣り合い質量、r:回転半径)とすると、
回転軸の回転角速度をωとして、
【0004】
【数1】 なる不釣り合い遠心力Fが回転軸に作用する。 一方、回転軸を、簡単のために1自由度モデルに置き換
えると、その運動は、等価質量をM、等価減衰をC、等
価ばね剛性をK、質量中心の変位をxとして、
【0005】
【数2】 なる運動方程式で表わすことができる。この(2)式は
簡単に計算でき、変位x(t)の解は、
【0006】
【数3】 となる。
【0007】上式より、(K−Mω2 )が最小となる回
転角速度ωの時、xは逆に大きくなる。これを回転軸の
「危険速度」と称し、一般的には、回転速度はこの危険
速度以下に設定される。よって、危険速度を超えて回転
させなければならないような回転機械においては、上式
のCの値をできるだけ大きくなるように設計することに
なる。
【0008】しかしながら、回転軸に対して減衰を与え
る有効な手段としては、通常の回転機械においては、す
べり軸受の油膜のスクイズ膜効果か、転がり軸受の外周
部に構成するスクイズフィルムタンパしかない。これら
の減衰作用は決して少なくないのであるが、軸受部にし
か与えられないのが欠点であり、例えば軸受と軸受との
中間部や、軸受からオーバーハングした部分が振れ易い
振動モードでは、十分な減衰効果が与えられず、振動変
位が大きくなる可能性がある。
【0009】そして、この回転軸の不釣り合い振動が大
きいと、回転軸自身の機械的強度に悪影響を与えるだけ
でなく、軸受を介して回転機械全体に振動が伝搬して、
全体の機械的強度に悪影響を及ぼすことになる。さらに
は、回転機械の架台から建物の床に伝わり、建物全体や
付近の機械、構造物にも影響を及ぼすことになる。
【0010】ところで、このような不釣り合い振動の大
きい回転機械の回転軸の振動を低減するためには、減衰
効果のある軸受を追加するのが最も効果的ではある。し
かしながら、かかる方法では、機械的な損失が増えるば
かりでなく、潤滑油を供給するための構造が必要にな
り、既設の回転機械に追加することはほとんど不可能で
ある。
【0011】また、新たに設計する回転機械において
も、軸受の数や位置は、機器の配置の関係からほぼ決ま
ってしまい、振動低減の観点からの設計自由度は余りな
いのが現状である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
回転機械の回転軸の振動を低減する手段は、既設の回転
機械に追加することがほとんど不可能であり、また新た
に設計する回転機械においても設計自由度が得られない
という問題があった。
【0013】本発明の目的は、既設の回転機械にも大き
な改造を加えることなく容易に設置でき、回転機械の回
転軸の振動を外部からの強制的な減衰力を付加すること
なく制振することが可能な回転機械の制振装置を提供す
ることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、まず、請求項1に係る発明では、回転機械の回転
軸の外周部に嵌め込まれた磁性材からなるスリーブと、
スリーブの外周部に、外周側の極性が全てN極となるよ
うに円筒状に貼り付けられた第1の永久磁石と、スリー
ブの外周部で第1の永久磁石から回転軸方向に一定距離
だけ離れた位置に、外周側の極性が全てS極となるよう
に円筒状に貼り付けられた第2の永久磁石と、両先端に
第3の永久磁石が貼り付けられ、第1および第2の永久
磁石と対向する位置に、永久磁石の極性により反発力が
生じるように配設された断面コ字状の磁極と、磁極の外
周部に回転軸と同心に配設され、磁力により回転軸の回
りを浮上する浮上リングとを備えて成る。
【0015】また、請求項2に係る発明では、上記請求
項1に係る発明の回転機械の制振装置において、永久磁
石の反発力による回転軸と浮上リングの相対バネ剛性
と、磁極を含む浮上リングの総質量から決定される浮上
リングの固有振動数を、回転軸の固有振動数の近傍に設
定するようにしている。
【0016】さらに、請求項3に係る発明では、上記請
求項2に係る発明の回転機械の制振装置において、磁極
の回りにコイルを巻き、かつ当該コイルの両端に抵抗を
接続するようにしている。
【0017】一方、請求項4に係る発明では、上記請求
項2に係る発明の回転機械の制振装置において、磁極の
回りにコイルを巻き、かつ当該コイルに電流を流して電
磁石を形成し、第3の永久磁石の磁力に加えて当該電磁
石の磁力により浮上リングの相対バネ剛性を決定するよ
うにしている。
【0018】また、請求項5に係る発明では、上記請求
項4に係る発明の回転機械の制振装置において、回転軸
の適当な位置の振動を検出する第1の検出手段と、浮上
リングの振動を検出する第2の検出手段、もしくは回転
軸と浮上リングの相対振動を検出する第3の検出手段
と、各検出手段からの検出信号に基づいて、電磁石のコ
イルに流す電流を制御する制御手段とを付加して成る。
【0019】さらに、請求項6に係る発明では、上記請
求項1に係る発明の回転機械の制振装置において、回転
軸のスリープ状に貼り付ける第1および第2の永久磁石
を、円錐状に貼り付けるようにしている。
【0020】さらにまた、請求項7に係る発明では、上
記請求項1に係る発明の回転機械の制振装置において、
浮上リングを、回転軸と直交方向に自由に移動させ、回
転軸方向に移動させないようにする手段を付加して成
る。
【0021】
【作用】従って、本発明の回転機械の制振装置において
は、回転機械の回転軸に対して磁気浮上する浮上リング
が動吸振器の副振動系となり、回転軸の振動を吸振する
ことができる。
【0022】また、電磁石を併用したハイブリッド型の
ものにおいては、永久磁石の磁束に電磁石による磁束を
加えることで、動吸振器のチューニング(主振動系であ
る回転軸系の固有振動数に対し、副振動系である浮上リ
ングの固有振動数を近接させる作業)が容易となる上、
浮上リングの浮上バネ剛性や減衰をアクティブに制御す
ることができる。これにより、回転機械の最適な振動制
御が可能となる。
【0023】さらに、永久磁石に両端に抵抗を接続して
コイルを併用したものにおいては、浮上リングの動きに
伴う磁束の変化に対応した電流に抵抗を与えることで、
減衰効果を高めることができる。
【0024】すなわち、一般に、動吸振器は、特定の周
波数の振動には制振効果が大きいが、その周波数の前後
に新たな共振周波数(振動が拡大する周波数)が作られ
てしまうため、周波数の変動する回転機械には適用し難
い。そこで、上述の副振動系に減衰を与えることで、広
い範囲の周波数領域において制振効果を得ることができ
ることになる。
【0025】
【実施例】本発明の回転機械の制振装置は、一般に動吸
振器(ダイナミックダンパ)と称される吸振装置であっ
て、回転機械の回転軸の回りに電磁力により反発して浮
上する浮上リングを載せ、この電磁力を制御により加減
して、相互に作用するバネ力や減衰力を制御し、回転軸
の振動を吸収するものである。
【0026】すなわち、本発明の回転機械の制振装置
は、上記吸振装置であって、回転機械の回転軸の回り
に、永久磁石と電磁石の併用による電磁力により反発し
て浮上する浮上リングを載せ、かつ永久磁石の材料や形
状、磁石間の隙間やリングの重さをあらかじめ設定し
て、回転軸系の固有振動数と浮上リングの固有振動数と
をほぼ一致させ、かつ浮上リング上に設けられた電磁石
のコイルの電流を、回転軸の振動や浮上リングの振動を
計測した信号により加減する制御を行なうものである。
【0027】また、本発明の回転機械の制振装置は、上
記吸振装置であって、回転機械の回転軸の回りに永久磁
石のみの磁力により反発して浮上する浮上リングを載
せ、かつ回転軸とリング相互の反発によるバネ力を、永
久磁石の材料や形状、永久磁石間の隙間の大きさや浮上
リングの重さ等を考慮することで、回転軸系の固有振動
数と浮上リングの固有振動数とを近似させるものであ
る。
【0028】さらに、本発明の回転機械の制振装置は、
上記吸振装置であって、回転機械の回転軸の回りに永久
磁石の反発力により浮上する浮上リングに永久磁石の磁
束に対してコイルを有し、そのコイルの両端に抵抗を接
続するものである。
【0029】以下、上記のような考え方に基づく本発明
の一実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明による回転機械の制振装置の構成例を示す
縦断面図、図2は同じくその横断面図である。
【0030】図1および図2において、回転機械の回転
軸1の外周部には、磁性材からなるスリーブ2を嵌め込
んでいる。また、このスリーブ2の外周部には、外周側
の極性が全てN極となるように、第1の永久磁石3を円
筒状に隙間なく貼り付けている。さらに、このスリーブ
2の外周部で第1の永久磁石3から回転軸1方向に一定
距離だけ離れた位置には、外周側の極性が全てS極とな
るように、第2の永久磁石4を円筒状に隙間なく貼り付
けている。
【0031】一方、これら第1および第2の永久磁石3
および4と対向する位置には、あるギャップを存して永
久磁石の極性により反発力が生じるように断面コ字状の
磁極5を全部で4つ配設し、さらにこの4つの磁極5の
回りにコイル6,7を巻き、かつこのコイル6,7に電
流を流して、ハイブリッド型の電磁石をリング状に構成
している。なお、このコイル6,7の両端には、図示し
ない抵抗を接続している。
【0032】また、この4つの磁極5の両先端、すなわ
ち内周側には、回転軸1側の第1,第2の永久磁石3,
4と反発するように、第3の永久磁石8,9を貼り付け
ている。具体的には、第3の永久磁石8の内周側がN極
に、第3の永久磁石9の内周側がS極となる。
【0033】さらに、この4つの磁極5の外周部には、
磁力により回転軸1の回りを浮上する浮上リング10
を、回転軸1と同心に配設固定している。一方、上記コ
イル6,7に流す電流をアクティブに制御するため、回
転軸1の適当な位置の振動を検出する図示しないセンサ
ーと、回転軸1と浮上リング10の相対振動(変位)を
検出する図示しないセンサ、あるいは浮上リング10の
絶対振動(変位)を検出する図示しないセンサとを、そ
れぞれx,y方向に設置している。
【0034】そして、このように構成したハイブリッド
型の電磁石のコイル6,7に流す電流を、例えば図3に
ブロック図を示すような制御装置により、上記各センサ
からの検出信号に基づいて制御するようにしている。
【0035】なお、上記において、永久磁石の反発力に
よる回転軸1と浮上リング10の相対バネ剛性と、磁極
5を含む浮上リング10の総質量から決定される浮上リ
ング10の固有振動数を、回転軸1の固有振動数の近傍
に設定するようにしている。
【0036】次に、以上のように構成した本実施例の回
転機械の制振装置の作用について説明する。回転機械の
回転軸1の回りに、電磁力により反発して浮上する浮上
リング10を載せ、この電磁力を制御により加減して、
相互に作用するバネ力や減衰力を制御し、回転軸1の振
動を吸収する。
【0037】すなわち、本実施例の回転機械の制振装置
は、前記吸振装置であって、回転機械の回転軸1の回り
に、第3の永久磁石8,9と電磁石の併用による電磁力
により反発して浮上する浮上リング10を載せ、かつ第
3の永久磁石8,9の材料や形状、磁石間の隙間や浮上
リング10の重さをあらかじめ設定して、回転軸系の固
有振動数と浮上リング10の固有振動数とをほぼ一致さ
せ、かつ浮上リング10上に設けられた電磁石のコイル
6,7の電流を、回転軸1の振動や浮上リング10の振
動を計測した信号に基づいて加減する制御を行なう。
【0038】具体的には、図3において、センサは前述
の通り4個備えており、その出力はそれぞれ分岐して、
その一方はそのままA/Dコンバータに、他方は微分器
を通してA/Dコンバータに入力する。
【0039】すなわち、この時点でA/Dコンバータに
は、8個の信号が入力されることになる。この入力され
た信号は、あらかじめプログラムされた制御演算器によ
り演算し、その結果をD/Aコンバータによりアナログ
変換して出力する。
【0040】この場合、本実施例では、合計8個の磁極
5があり、それぞれにコイル6,7が巻かれているの
で、D/Aコンバータからはそれぞれのコイル6,7に
対する電流指令値を出力し、パワーアンプを介して増幅
された電流を、それぞれのコイル6,7に流すことにな
る。
【0041】次に、この制御演算器にあらかじめプログ
ラムされた制御演算について、以下に詳述する。すなわ
ち、回転軸1の等価質量と吸振用の浮上リング10との
間に作用する磁力Fは、磁力がクーロンの法則に従うと
して、次のような(4)式で表わすことができる(図4
参照)。
【0042】
【数4】
【0043】ここで、mは永久磁石の磁荷(Wb)、
μ0 は空気中の透磁率(H/m)、γ1 ,γ2 はそれぞ
れN極,S極のギャップ、Leff1,Leff2はそれぞれN
極,S極のハイブリッド電磁石の自己インダクタンスに
おける磁力に対する有効成分(Hm)、i1 ,i2 はN
極,S極のハイブリッド電磁石に流れる電流(A)であ
る。これを、平衡点(γ1 =γ2 =γ0 、i1 =i2
0 )回りで線形化近似すると、上記(4)式は次の
(5)式のようになる。
【0044】
【数5】 いま、回転軸1の振動を(1)式のように1自由度系で
表わすと、吸振器を含む回転軸1の運動方程式は、
【0045】
【数6】
【0046】
【数7】
【0047】
【数8】
【0048】
【数9】 となる。
【0049】ここで、x1 ,y1 は回転軸1のx方向、
y方向の変位、x2 ,y2 は吸振用の浮上リング10重
心の変位、M1 ,C1 ,K1 はそれぞれ回転軸1の振動
を表わす等価質量、等価減衰、等価バネ剛性、M2 は吸
振用の浮上リング10の質量、i1 ,i2 はx方向の2
つのハイブリッド電磁石のコイル6,7それぞれに流れ
る電流、i3 ,i4 はy方向の2つのハイブリッド電磁
石のコイル6,7それぞれに流れる電流、εは偏重心の
偏心率、ωは回転角速度、βは位相である。
【0050】本吸振器は、上記(6)〜(9)式の電流
1 ,i2 ,i3 ,i4 を制御することで制振効果を高
めるものである。すなわち、具体的には、これらの式か
ら系の状態方程式と観測方程式を導き、回転軸1の振動
を抑制することを制御目標とした評価関数を定義する。
そして、最適制御則に従って、この評価関数を最小化す
る最適制御則を求め、この最適制御則により入力信号
(変位と速度)に対する各コイル6,7に流す電流値を
演算する。
【0051】図5は、これらの式を用いてシミュレーシ
ョン解析した結果の一例を示す図である。なお、図5
中、横軸は回転数(周波数)、縦軸は振動変位の大きさ
をそれぞれ示している。
【0052】図5において、一点鎖線11が回転機械の
制振装置を取り付けない場合(従来手法)の振動変位
で、ある特定の回転数(図5中では、周波数14Hz)
において、急激に振動変位が拡大している様子がわか
る。
【0053】これに対して、本実施例による回転機械の
制振装置のうち、永久磁石8,9の反発力だけを利用し
た場合には、図5中破線12に示すような振動応答とな
り、振動の山が2つできるが、山の高さは半分程度に低
減していることがわかる。もちろん、従来手法の振動の
山となる14Hz付近の振動応答で比較すると、永久磁
石8,9のみの場合でも、大幅に振動振幅が低減してい
ることがわかる。
【0054】さらに、本実施例による回転機械の制振装
置をハイブリッド型の電磁石として、電磁石のコイル
6,7に流れる電流をアクティブに制御した場合には、
図5中の実線13に示すような振動応答となり、2つで
きる山の高さも十分に低減できることがわかる。そし
て、この場合には、全体に回転数(図5中では周波数)
が変化しても、振動が拡大することはない。
【0055】一方、図6(a)は、本実施例による制振
装置を、回転機械に適用した場合の一例を示す概要図で
ある。図6(a)において、回転機械の回転軸14は、
両端の軸受15,16によって支持されており、中央に
円板17が取り付けられている。そして、本実施例の制
振装置18は、中央の円板17付近の振動が大きくなる
箇所に設置される。
【0056】また、図6(b)は、回転機械の回転軸1
4が、本実施例による制振装置無しで危険速度付近で回
転した時の振動振幅の分布の一例を示しており、さらに
図6(c)は、本実施例による制振装置18を設置した
場合の振動振幅の分布の一例を示している。
【0057】図6(b),(c)中のδ1 とδ2 は、図
5における一点鎖線11と実線13の振動振幅の違いに
相当し、本実施例による制振装置の効果により、振動が
大幅に低減されていることがわかる。
【0058】一方、図7(a)は、同様に本実施例によ
る制振装置を、回転機械に適用した場合の他の例を示す
概要図である。図7(a)において、回転機械の回転軸
19は、軸受20,21により支持され、かつ各軸受2
0,21間の中央に円板22が、また回転軸19のオー
バーハングした部分に円板23がそれぞれ取り付けられ
ている。そして、本実施例の制振装置24は、オーバー
ハングした部分の円板23付近の振動が大きくなる箇所
に設置される。
【0059】また、図7(b)は、回転機械の回転軸1
9が、本実施例による制振装置を取り付けない場合で回
転した時の振動振幅の分布の一例を示しており、さらに
図7(c)は本実施例による制振装置24を設置した場
合の振動振幅の分布の一例を示している。
【0060】図7(b),(c)から、回転軸19の端
部の振動の他、各軸受20,21間中央の振動振幅も十
分に抑えられていることがわかる。上述したように、本
実施例による回転機械の制振装置は、回転機械の回転軸
1の回りに回転軸1と同心の浮上リング10を、回転軸
1と浮上リング10に設けた磁極5の各永久磁石3,
4,8,9の磁気反発力によって非接触で浮上させると
共に、反発のバネ剛性と浮上リング10の質量を調整し
て動吸振器を構成し、また上記磁極5にコイル6,7を
巻いて電磁石を形成し、この電磁石のコイル6,7の電
流を回転軸1および浮上リング10の動きに応じて制御
して、回転軸1の振動を抑制するアクティブ動吸振器を
構成するようにしたものである。
【0061】従って、回転機械の回転軸1に対して磁気
浮上する浮上リング10が動吸振器の副振動系となり、
回転軸1の振動を吸振することが可能となる。また、電
磁石を併用したハイブリッド型のものとしているので、
永久磁石8,9の磁束に電磁石による磁束を加えること
で、動吸振器のチューニング(主振動系である回転軸系
の固有振動数に対し、副振動系である浮上リング10の
固有振動数を近接させる作業)が容易となる上、浮上リ
ング10の浮上バネ剛性や減衰をアクティブに制御する
ことができる。これにより、回転機械の最適な振動制御
が可能となる。
【0062】さらに、永久磁石に両端に抵抗を接続して
コイル6,7を併用したものとしているので、浮上リン
グ10の動きに伴う磁束の変化に対応した電流に抵抗を
与えることで、減衰効果を高めることが可能となる。
【0063】すなわち、一般に、動吸振器は、特定の周
波数の振動には制振効果が大きいが、その周波数の前後
に新たな共振周波数(振動が拡大する周波数)が作られ
てしまうため、周波数の変動する回転機械には適用し難
い。そこで、上述の副振動系に減衰を与えることで、広
い範囲の周波数領域において制振効果を得ることが可能
となる。
【0064】以上により、回転機械の例えば不釣り合い
による回転軸1の振動を、外部からの強制的な減衰力を
付加することなく、広い範囲の回転数(周波数)領域で
大幅に低減することが可能となり、結果として振動の少
ない回転機械を得ることができる。
【0065】また、本実施例の制振装置は、小形で設置
スペースが小さい上、大きな改造が不要であるため、既
設の回転機械にも容易に設置することが可能である。
尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、次
のようにしても同様に実施できるものである。
【0066】(a)図8および図9は、それぞれ本発明
による回転機械の制振装置の他の実施例を示す縦断面図
であり、図1および図2と同一要素には同一符号を付し
て示している。
【0067】すなわち、本各実施例による回転機械の制
振装置は、それぞれ図8および図9に示すように、回転
軸1側と浮上リング10側の磁極部分がN極とS極とが
対向するような円錐状に構成しているもので、これ以外
の構成については、全て上記実施例の制振装置と同様で
ある。
【0068】このように構成することにより、浮上リン
グ10を半径方向だけでなく、回転軸1方向にも浮上さ
せることができ、浮上リング10の回転軸1方向の移動
防止手段が不要となる。
【0069】(b)図10は、本発明による回転機械の
制振装置の他の実施例を示す縦断面図であり、図1およ
び図2と同一要素には同一符号を付して示している。す
なわち、本実施例による回転機械の制振装置は、図10
に示すように、縦型の回転軸1に設置するようにしたも
のである。そして、それぞれの磁極の構成は上記実施例
の場合と同様であるが、浮上リング25がサポート26
の面を自由にスライドできるように構成している。な
お、この場合は、摺動する2つの面の表面仕上げを良く
し、間に潤滑材(例えば、油、グリース、炭素粉等)を
介在させるようにしている。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、回
転機械の回転軸の外周部に嵌め込まれた磁性材からなる
スリーブと、スリーブの外周部に、外周側の極性が全て
N極となるように円筒状に貼り付けられた第1の永久磁
石と、スリーブの外周部で第1の永久磁石から回転軸方
向に一定距離だけ離れた位置に、外周側の極性が全てS
極となるように円筒状に貼り付けられた第2の永久磁石
と、両先端に第3の永久磁石が貼り付けられ、第1およ
び第2の永久磁石と対向する位置に、永久磁石の極性に
より反発力が生じるように配設された断面コ字状の磁極
と、磁極の外周部に回転軸と同心に配設され、磁力によ
り回転軸の回りを浮上する浮上リングとを備えるように
したので、既設の回転機械にも大きな改造を加えること
なく容易に設置でき、回転機械の回転軸の振動を外部か
らの強制的な減衰力を付加することなく制振することが
可能な回転機械の制振装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による回転機械の制振装置の一実施例を
示す縦断面図。
【図2】本発明による回転機械の制振装置の一実施例を
示す横断面図。
【図3】同実施例における回転機械の制振装置の制御方
法の一例を示すブロック図。
【図4】同実施例における回転機械の制振装置の作用を
説明するための概念図。
【図5】同実施例における回転機械の制振装置の効果を
説明するための振動応答特性図。
【図6】同実施例における回転機械の制振装置の適用の
一例を示す概要図。
【図7】同実施例における回転機械の制振装置の適用の
その他の例を示す概要図。
【図8】本発明による回転機械の制振装置の他の実施例
を示す縦断面図。
【図9】本発明による回転機械の制振装置の他の実施例
を示す縦断面図。
【図10】本発明による回転機械の制振装置の他の実施
例を示す縦断面図。
【符号の説明】
1…回転軸、2…スリーブ、3…第1の永久磁石、4…
第2の永久磁石、5…磁極、6…コイル、7…コイル、
8…第3の永久磁石、9…第3の永久磁石、10…浮上
リング、11…従来手法による回転軸の振動振幅、12
…本実施例による永久磁石のみからなる回転機械の制振
装置を設置した場合の振動振幅、13…本実施例による
ハイブリッド電磁石からなる制振装置を設置した場合の
振動振幅、14…回転軸、15…軸受、16…軸受、1
7…円板、18…本実施例による回転機械の制振装置、
19…回転軸、20…軸受、21…軸受、22…円板、
23…円板、24…本実施例による回転機械の制振装
置、25…浮上リング、26…サポート。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転機械の回転軸の外周部に嵌め込まれ
    た磁性材からなるスリーブと、 前記スリーブの外周部に、外周側の極性が全てN極とな
    るように円筒状に貼り付けられた第1の永久磁石と、 前記スリーブの外周部で前記第1の永久磁石から回転軸
    方向に一定距離だけ離れた位置に、外周側の極性が全て
    S極となるように円筒状に貼り付けられた第2の永久磁
    石と、 両先端に第3の永久磁石が貼り付けられ、前記第1およ
    び第2の永久磁石と対向する位置に、永久磁石の極性に
    より反発力が生じるように配設された断面コ字状の磁極
    と、 前記磁極の外周部に前記回転軸と同心に配設され、磁力
    により前記回転軸の回りを浮上する浮上リングと、 を備えて成ることを特徴とする回転機械の制振装置。
  2. 【請求項2】 前記請求項1に記載の回転機械の制振装
    置において、 前記永久磁石の反発力による回転軸と浮上リングの相対
    バネ剛性と、前記磁極を含む浮上リングの総質量から決
    定される浮上リングの固有振動数を、前記回転軸の固有
    振動数の近傍に設定するようにしたことを特徴とする回
    転機械の制振装置。
  3. 【請求項3】 前記請求項2に記載の回転機械の制振装
    置において、 前記磁極の回りにコイルを巻き、かつ当該コイルの両端
    に抵抗を接続するようにしたことを特徴とする回転機械
    の制振装置。
  4. 【請求項4】 前記請求項2に記載の回転機械の制振装
    置において、 前記磁極の回りにコイルを巻き、かつ当該コイルに電流
    を流して電磁石を形成し、前記第3の永久磁石の磁力に
    加えて当該電磁石の磁力により前記浮上リングの相対バ
    ネ剛性を決定するようにしたことを特徴とする回転機械
    の制振装置。
  5. 【請求項5】 前記請求項4に記載の回転機械の制振装
    置において、 前記回転軸の適当な位置の振動を検出する第1の検出手
    段と、前記浮上リングの振動を検出する第2の検出手
    段、もしくは前記回転軸と浮上リングの相対振動を検出
    する第3の検出手段と、前記各検出手段からの検出信号
    に基づいて、前記電磁石のコイルに流す電流を制御する
    制御手段とを付加して成ることを特徴とする回転機械の
    制振装置。
  6. 【請求項6】 前記請求項1に記載の回転機械の制振装
    置において、 前記回転軸のスリープ状に貼り付ける第1および第2の
    永久磁石を、円錐状に貼り付けるようにしたことを特徴
    とする回転機械の制振装置。
  7. 【請求項7】 前記請求項1に記載の回転機械の制振装
    置において、 前記浮上リングを、回転軸と直交方向に自由に移動さ
    せ、回転軸方向に移動させないようにする手段を付加し
    て成ることを特徴とする回転機械の制振装置。
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