JP2000145661A - ギヤポンプ - Google Patents

ギヤポンプ

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JP2000145661A
JP2000145661A JP10314990A JP31499098A JP2000145661A JP 2000145661 A JP2000145661 A JP 2000145661A JP 10314990 A JP10314990 A JP 10314990A JP 31499098 A JP31499098 A JP 31499098A JP 2000145661 A JP2000145661 A JP 2000145661A
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Japan
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gear
side plate
gear pump
chamber
solid lubricant
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JP10314990A
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English (en)
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Tetsuya Oda
徹也 小田
Takatoshi Sakata
隆敏 阪田
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Koyo Seiko Co Ltd
Original Assignee
Koyo Seiko Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ブレーキフルードや潤滑特性の悪いガソリンの
供給に用いるギヤポンプにおいて、耐久性を向上させる
こと。 【解決手段】固体潤滑剤として二硫化モリブデン及びグ
ラファイトを含むワニス状のポリアミドイミド樹脂を、
アニミニウム合金製のサイドプレート12の表面に吹き
付けた後、ポリアミドイミド樹脂を加熱して熱硬化させ
る。固体潤滑剤を均一分散した組成物からなるなじみ性
向上被膜Fを形成する。固体潤滑剤の働きで初期摩耗の
段階でサイドプレートと摺接部分とがなじみ、以後の使
用において摩耗の進行が抑制される。表面に硬化処理を
施す従来の場合と比較して格段に摩耗量が少ない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は互いに噛み合う一対
のギアの回転によりポンプ作用をなすギヤポンプに関す
る。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来よ
り、ギヤポンプは、簡単な構造でありながら容量を大き
くできることから、種々の産業分野に用いられている。
この種のギヤポンプの構造としては、ハウジング内部の
空洞に一対のサイドプレートを嵌め合わせてギア室を区
画し、このギア室の内部に互いに噛み合う一対のギアを
収容して、各ギアの支軸を各サイドプレートに形成した
支持孔によって嵌合支持すると共に、上記ギア室の内部
に両ギアの噛み合い位置を挟んで作動流体の吸込室およ
び吐出室を形成したタイプのものが一般的である。
【0003】そして、上記のハウジングやサイドプレー
トには、加工性および軽量化のためにアルミニウム合金
が使用される一方、各歯車には耐摩耗性が要求されるの
で鋳鉄等の鉄系の材料が使用されることが一般化してい
る。しかしながら、ギアの支軸をアルミニウム合金製の
サイドプレートの支持孔によって直接支持した場合、支
持孔の摩耗が激しく耐久性が悪くなる。
【0004】そこで、例えばフッ素樹脂でコーティング
した金属製のブッシュを上記アルミニウム製のサイドプ
レートの支持孔に嵌め入れて、ブッシュを介してギアの
支軸を支持することが考えられる。しかし、高圧で負荷
が大きい場合や低粘度の作動油を用いて潤滑条件が厳し
い場合等には不完全であった。例えば、自動車のオート
クラッチに油圧を供給するためのオイルポンプとしての
ギヤポンプや、潤滑特性の不良なガソリンを使用する場
合の燃料ポンプとしてのギヤポンプ等の用途である。
【0005】また、互いに対向するギアの側面とサイド
プレートとの側面との間の摺動によって摩耗が発生する
という問題もあり、上記のブッシュではこの部分の摩耗
に対処できない。そこで、耐摩耗性を向上させるため
に、サイドプレートを構成するアルミニウム合金の表面
に硬化処理膜を形成することが考えられる。硬化処理膜
として、例えば、ニッケル−リンの金属マトリックス中
に、炭化タングステン等の硬質微粒子を複合共析させた
ものが提供されている(例えば特開平10−14124
6号公報参照)。
【0006】ところが、この種の硬化処理膜を有するア
ルミニウム合金製のサイドプレートを用いた場合、表面
処理をしない場合よりも逆に摩耗量が大きくなって実機
での耐久性に問題がある場合があることが判明した。そ
こで、本発明の課題は、耐久性に優れた長寿命のギヤポ
ンプを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1記載の発明の態様は、ハウジング内部の空
洞に一対のサイドプレートを嵌め合わせてギア室を区画
し、このギア室の内部に互いに噛み合う一対のギアを収
容してギアの支軸を各サイドプレートにそれぞれ形成し
た一対の支持孔に嵌合支持すると共に、ギア室の内部に
両ギアの噛み合い位置を挟んで作動流体の吸込室および
吐出室を形成したギヤポンプにおいて、上記サイドプレ
ートはアルミニウム合金からなり、その表面の少なくと
も一部に、固体潤滑剤と被膜形成成分とを含む組成物か
ら形成されるなじみ性向上被膜を設けていることを特徴
とするものである。
【0008】請求項2記載の発明の態様は、請求項1に
おいて、上記被膜形成成分は有機化合物を含むことを特
徴とするものである。請求項3記載の発明の態様は、請
求項2において、上記固体潤滑剤は二硫化モリブデン及
びグラファイトを含み、上記有機化合物は熱硬化性樹脂
を含むことを特徴とするものである。
【0009】請求項4記載の発明の態様は、請求項1に
おいて、上記被膜形成成分は無機化合物を含むことを特
徴とするものである。請求項5記載の発明の態様は、請
求項1において、上記被膜形成成分は金属化合物を含む
ことを特徴とするものである。本願発明者は、上述した
硬化処理膜(ニッケル−リンの金属マトリックス中に、
炭化タングステン等の硬質微粒子を複合共析させたも
の)の摩耗が大きくなる理由を下記のように推測した。
すなわち、硬化処理膜は下地となる母材との間に相当な
硬度差があり、このため、硬化処理膜と母材との間の境
界部分で剥離を生じ易く、剥離によってできた窪みが摩
耗として大きく検出されているのではないかと考えた。
【0010】そこで、請求項1,2,3,4又は5記載
の態様では、「硬さの向上」よりもむしろ「なじみ性の
向上」を企図して、アルミニウム合金製のサイドプレー
トの表面に、なじみ性向上被膜を形成するようにした。
これにより、初期摩耗の段階で、サイドプレートとこれ
に摺接する部品とが互いになじむことにより、互いの部
品精度が向上し、以後の使用においてかじり等の発生が
防止される。その結果、ギアの側面との摺接部分や支軸
を受ける部分の耐摩耗性を向上することができる。結果
として、摩耗に起因した流体漏れによるポンプ効率の低
下を抑制することができる。
【0011】ここで、アルミニウム合金としては、例え
ば鋳造性の良いAC2A材やH−4040材、A201
4材などがある。また、請求項1,2,4又は5で用い
る固体潤滑剤としては、PTFE(ポリテトラフルオロ
エチレン)、黒鉛(グラファイト)、モリブデン化合
物、硫黄化合物、塩素化合物、リン化合物及び軟質な金
属があり、これらを1種又は2種以上用いることができ
る。モリブデン化合物としては、例えば二硫化モリブデ
ン(MoS2 )、を示すことができる。塩素化合物とし
ては、例えば塩化カドミウム(CdCl2 )を示すこと
ができる。硫黄化合物としては、例えば硫化タングステ
ン(例えばWS2 )、硫化カルシウム(CaS)、硫化
チタン( 例えばTiS 2 )を示すことができる。リン化
合物としては、例えばFe4 (P2 7 3 、Zn2
2 7 、Ca2 2 7 、Sn2 2 7 、Mg2 2
7 を示すことができる。軟質な金属としては、例えば
鉛(Pb)、銅(Cu)、銀(Ag)を示すことができ
る。固体潤滑剤は被膜形成成分中に均一に分散している
ことが好ましい。また、固体潤滑剤は被膜形成成分と化
合していても良い。
【0012】また、請求項2で用いる有機化合物として
は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂又は合成ゴムを含むこ
とができ、また、有機化合物が、例えばPTFE等の有
機化合物系の固体潤滑剤自身であっても良い。熱硬化性
樹脂としては、例えば熱硬化性のポリアミドイミド樹脂
(PAI)、ポリイミド樹脂(PI)を示すことができ
る。熱可塑性樹脂としては、例えば熱可塑性のポリアミ
ド樹脂(PA)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリフ
ェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリアセタール
樹脂(POM)を示すことができる。合成ゴムとして
は、例えばウレタンゴムを示すことができる。
【0013】また、請求項3記載の被膜を形成する方法
としては、ワニス状の上記組成物をアルミニウム合金の
表面に吹き付けた後、熱硬化性樹脂を熱硬化温度まで加
熱して焼成し熱硬化させることで、固体潤滑剤としての
二硫化モリブデン及びグラファイトが均一に分散した被
膜を形成する方法がある。また、請求項4で用いる無機
化合物としては、セラミックス、ケイ酸塩又はリン酸塩
を含むことができ、また、無機化合物が、例えば窒化ホ
ウ素(BN)、フッ化黒鉛[(CF)n ]、酸化鉛(P
bO)、フッ化カルシウム(CaF2 )等の無機化合物
系の固体潤滑剤自身であっても良い。セラミックスとし
ては、例えばアルミナ、炭化ケイ素、チタニア、ムライ
ト、ジルコニア、窒化ケイ素(例えばSi3 4 )を示
すことができる。ケイ酸塩としては、例えば[Mg3
410(OH)2 ]を示すことができる。
【0014】また、請求項5で用いる金属化合物として
は、例えばニッケル−リン(Ni−P)合金、銅−錫
(Cu−Sn)合金を示すことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施形態を添付
図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の一実施形態
に係るギヤポンプの断面図であり、図2は図1のII−II
線に沿う断面図であってハッチングを省略してある。ま
た、図3は図1のIII −III 線に沿う断面図であり、図
4はIV−IV線に沿う断面図である。
【0016】図1を参照して、本ギヤポンプは、その中
央部を貫通する長円形断面の空洞を有する本体筒10の
両側を、これの全面を覆う態様にねじ止めされた一対の
蓋板11により塞いで構成されたハウジング1を備えて
いる。このハウジング1の内部には、前記空洞部の両側
から嵌挿されたアルミニウム合金製の一対のサイドプレ
ート12同士の間にギア室14が区画されており、この
ギア室14内には、互いに対をなす駆動ギア3と従動ギ
ア4が配置されている。19は、蓋板11の環状溝に収
容され、蓋板11とサイドプレート12との間に介在し
てギア室14を密封するためのOリングである。13は
サイドプレート12の収容溝に収容され、ギア室14内
において対向するサイドプレート12と蓋板11との間
の空間を低圧側と高圧側とに仕切るシールである。
【0017】駆動ギア3および従動ギアの支軸30,4
0は、長円形断面を有するギア室14の両側の半円部の
軸心上にそれぞれ位置し、互いに平行をなして架設され
ている。すなわち、支軸30,40は各サイドプレート
12にそれぞれ一対形成された支持孔31,41により
両持ち支持されている。一対の支持孔31によって支持
された一方の支軸30は、一方の蓋板11を貫通して外
部に延長され、この延長端に伝達される図示しないモー
タからの駆動力により回転駆動される駆動軸を構成して
いる。また、支軸30には、ギア室14の内部において
駆動ギア3が一体回転可能に装着されている。支軸30
が蓋板11を貫通する部分にはオイルシール17が配置
されている。
【0018】また、一対の支持孔41によって支持され
た他方の支軸40は、各サイドプレート12の支持孔4
1内に軸端を有する従動軸を構成している。支軸40に
は、ギア室14の内部において従動ギア4が装着されて
いる。従動ギア4の支軸40への装着では、軸回りの回
転を拘束しても良いし軸回りの回転を許容しても良い。
従動ギア4は両支軸30,40の軸心を含む平面内にお
いて駆動ギア3と噛み合い、支軸30により駆動される
駆動ギア3の回転に伴って、支軸40と共に(或いは支
軸40の回転を伴わずに)従動回転するようにしてあ
る。
【0019】図2には、駆動ギア3およびこれに連動す
る従動ギア4の回転方向が矢符により示してあり、両ギ
ア3,4の噛み合い位置を挟んだ両側には、前記回転方
向側に吸込口室5が、反回転方向側に吐出室6が形成さ
れている。これら吸込室5および吐出室6は、本体筒1
0の対応位置に開口する吸込口15および吐出口16を
介して、ハウジング1外の図示しない吸込先および吐出
先にそれぞれ接続されるようにしてある。
【0020】図3において、サイドプレート12のギア
側側面12aには、両ギア3,4の噛み合い位置から吸
込室5側へ延びる逃げ溝63および吐出室6側へ延びる
逃げ溝64が形成されている。これらの逃げ溝63,6
4は、両ギア3,4の噛み合い位置で流体が各サイドプ
レート12と各噛合ギア歯とで形成される閉塞領域に閉
じ込められる、いわゆる閉じ込みの発生を防止するため
のものである。両逃げ溝63,64は両ギア3,4の噛
み合い中心位置を避けるようにして設けられ、互いの間
に所定の距離が確保されている。これは両逃げ溝63,
64を連通させてしまうと、吸込室5側と吐出室6側が
連通されて、ポンプ機能を果たせなくなるので、これを
防止するためである。また、上記ギア側側面12aに
は、各支持孔31,41と吸込室5側とをそれぞれ連通
する連通溝65が形成されている。
【0021】一方、図4において、サイドプレート12
の反ギア側側面12bには、略W字形形状のシール溝に
上記のシール13を収容しており、このシール13を境
界として、互いに対向するサイドプレート12と蓋板1
1との間の空間が、吸込室5側に連通する低圧側空間と
吐出室6側に連通する高圧側空間とに仕切られている。
このように、サイドプレート12の背面である反ギア側
側面12bには、シール13で仕切られた状態で、低圧
の作動流体および高圧の作動流体が背圧として作用し、
これが、サイドプレート12に吐出圧に応じて負荷され
るので、サイドプレート12と両ギア3,4との間の隙
間が高精度で維持される結果、高圧時のポンプ効率を高
く維持できる。また、上記反ギア側側面12bには、上
記低圧側空間において各支持孔31,41と吸込室5側
とをそれぞれ連通する各一対の連通溝65が形成されて
いる。
【0022】このような構成により、吸込口15を経て
吸込室5に導入される作動流体は、該吸込室5に臨む駆
動ギア3および従動ギア4の歯間に受け入れられ、両ギ
ア3,4の回転により、それぞれの歯間の本体筒10の
内周面との間に封止された状態で搬送され、吐出室6に
送り出される。吐出室6への送り出しを終えた駆動ギア
3と従動ギア4とは、両ギア3,4の噛み合い位置を経
て吸込室5側に向き、該吸込室5内の作動流体を再度受
け入れて吐出室6側へ送り出す作用をなす。
【0023】一方、ギヤポンプの要部の一部破断分解斜
視図である図5を参照して、支持孔31,41と各支軸
30,40との摺動面には、低圧側の吸込室5からの作
動流体が循環されるようになっている。すなわち、支持
孔31,41の内周面31a,41aには、螺旋状溝3
1c,41cが形成されていることから、支軸30,4
0が回転することによって、サイドプレート12の一方
の側面12a又は12bに形成された連通溝65を通し
て、吸込室5側の作動流体が支持孔31,41内に導入
され、サイドプレート12の他方の側面12b又は12
aに形成された連通溝65を通して、吸込室5に還流さ
れるようになっている。なお、各支持孔31,41の螺
旋状溝31c,41cは全て同方向に形成してあり、両
ギア3,4が互いに逆回転することから、図1および図
5において、左上および右下の支持孔41,31内へ
は、サイドプレート12の反ギア側側面12bから作動
流体が導入され(図5において黒抜き矢符で示す)、右
下および左上の支持孔31,41内へはサイドプレート
12のギア側側面12aから作動流体が導入される(図
5において白抜き矢符で示す)ようになっている。
【0024】サイドプレート12を構成するアルミニウ
ム合金としては、例えば鋳造性の良いAC2A材やH−
4040材、A2014材などがあり、サイドプレート
12の表面のうち、図6に示すように、少なくとも支持
孔31,41の内周面31a,41aおよびギア側側面
12aには、なじみ性向上被膜Fが形成されている。こ
のなじみ性向上被膜Fとしては、下記の1)〜3)のも
のを例示することができる。 1)固体潤滑剤と被膜形成成分としての有機化合物とを
含む組成物から形成される被膜 2)固体潤滑剤と被膜形成成分としての無機化合物とを
含む組成物から形成される被膜 3)固体潤滑剤と被膜形成成分としての金属化合物とを
含む組成物から形成される被膜 1)〜3)の各々に用いる固体潤滑剤としては、PTF
E(ポリテトラフルオロエチレン)、黒鉛(グラファイ
ト)、モリブデン化合物、硫黄化合物、塩素化合物、リ
ン化合物及び軟質な金属があり、これらを1種又は2種
以上用いることができる。モリブデン化合物としては、
例えば二硫化モリブデンを示すことができる。塩素化合
物としては、例えば塩化カドミウム(CdCl2 )を示
すことができる。硫黄化合物としては、例えば硫化タン
グステン(例えばWS2 )、硫化カルシウム(Ca
S)、硫化チタン( 例えばTiS2 )を示すことができ
る。リン化合物としては、例えばFe4 (P
2 7 3 、Zn2 2 7 、Ca2 27 、Sn2
2 7 、Mg2 2 7 等のピロリン酸塩を示すこと
ができる。軟質な金属としては、例えば鉛(Pb)、銅
(Cu)、銀(Ag)を示すことができる。
【0025】1)の有機化合物としては、熱硬化性樹
脂、熱可塑性樹脂又は合成ゴムを含むことができ、ま
た、有機化合物が、例えばPTFE等の有機化合物系の
固体潤滑剤自身であっても良い。熱硬化性樹脂として
は、例えば熱硬化性のポリアミドイミド樹脂(PAI)
の他、ポリイミド樹脂(PI)を示すことができる。熱
可塑性樹脂としては、例えば熱可塑性のポリアミド樹脂
(PA)の他、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリフェ
ニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリアセタール樹
脂(POM)を示すことができる。合成ゴムとしては、
例えばウレタンゴム、EPDM(エチレン・プロピレン
・ジエン・メチレン)を示すことができる。
【0026】特に1)の有機化合物の被膜によるなじみ
性向上被膜Fとしては、固体潤滑剤として二硫化モリブ
デン及びグラファイトを含む、熱硬化性樹脂の組成物か
らなるものが好ましい。この組成物をアルミニウム合金
の表面に吹き付けた後、熱硬化温度まで加熱して、熱硬
化樹脂を熱硬化させることでなじみ性向上被膜Fを形成
することができる。例えば上記の組成物をアルミニウム
合金の表面に吹き付けた後、190〜230°Cの雰囲
気中に、30〜50分間保持して熱硬化させ、2〜25
μm(好ましくは5〜15μm)の膜厚の被膜Fを形成
することが考えられる。
【0027】また、2)の無機化合物としては、セラミ
ックス、ケイ酸塩又はリン酸塩を含むことができ、ま
た、無機化合物が、例えば窒化ホウ素(BN)、フッ化
黒鉛[(CF)n ]、酸化鉛(PbO)、フッ化カルシ
ウム(CaF2 )等の無機化合物系の固体潤滑剤自身で
あっても良い。セラミックスとしては、例えばアルミ
ナ、炭化ケイ素、チタニア、ムライト及びジルコニアの
他、窒化ケイ素(例えばSi3 4 )を示すことができ
る。ケイ酸塩としては、例えば[Mg3 Si4 10(O
H)2 ]を示すことができる。
【0028】また、3)の金属化合物としては、例えば
ニッケル−リン(Ni−P)合金、銅−錫(Cu−S
n)合金を示すことができる。本実施の形態では、アル
ミニウム合金製のサイドプレート12の表面に、なじみ
性向上被膜Fを形成することにより、初期摩耗の段階
で、サイドプレート12とこれに摺接する部品とが固体
潤滑剤の働きで互いに現合でなじむことになり、互いの
部品精度が向上すると共に摩耗が飽和状態となる。これ
により、以後の使用において摩耗の進行が抑制されると
共にかじり等の発生が防止される。特に、支軸30,4
0を受ける支持孔31,41の内周面31a,41a
や、ギア3,4の側面と摺接するサイドプレート12の
ギア側側面12aでの耐摩耗性の向上により、耐久性を
格段に向上できる。結果として、摩耗に起因した流体漏
れによるポンプ効率の低下を抑制することができる。
【0029】なお、本発明は上記実施形態に限定される
ものではなく、なじみ性向上被膜は支持孔31,41の
内周面31a,41a、及びサイドプレート12のギア
側側面12aの何れか一方に形成するようにしても良
い。その他、本発明の範囲で種々の変更を施すことがで
きる。
【0030】
【実施例】アルミニウム合金材としてAC2A材を用
い、その表面に下記のような内容の、なじみ性向上被膜
を生成した実施例1と、何らの表面処理も施していない
比較例1と、硬度向上被膜を生成した比較例2とを作成
した。これら実施例及び比較例を実機のギヤポンプに組
み込み、下記の試験条件にてパルス耐久試験を実施し、
摩耗量を測定したところ、図7に示す結果を得た。
【0031】試験条件 油圧負荷:8MPaのオンオフ 回転数:3000rpm 潤滑:ブレーキフルード 負荷サイクル:10000サイクル実施例1 固体潤滑剤として二硫化モリブデン及びグラファイトを
均一分散した熱硬化性樹脂としてのポリアミドイミドの
ワニス状の組成物を、アルミニウム合金材の表面に吹き
付けた後、210°Cの雰囲気中に40分間保持して熱
硬化させ、15μmの厚みのなじみ性向上被膜を形成し
た。
【0032】比較例2 ニッケル−リンの金属マトリックス中に硬質微粒子とし
て炭化ケイ素を複合共析させた無電解複合ニッケルメッ
キ皮膜を、アルミニウム合金材の表面に20μmの厚み
で形成した。図7に示すように、比較例1,2が摩耗量
の許容レベルを大幅に上まわっているのに対して、実施
例1は摩耗量が許容レベルよりも格段に少なく、優れた
耐久性を実現することができた。なじみ性向上による効
果が実証された。
【0033】
【発明の効果】本発明では、アルミニウム合金製のサイ
ドプレートの表面に、固体潤滑剤と被膜形成成分の組成
物からなる被膜を形成することにより、初期摩耗段階で
摺接部品に対するなじみ性を向上させるようにした。こ
のなじみによって摺接部品に対する部品精度が現合で確
保されることになるので、耐摩耗性を向上することがで
きる。その結果、耐久性を向上できるとともに摩耗に起
因した流体漏れによるポンプ効率の低下を抑制すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のギヤポンプの断面図であ
る。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図であり、ハッチン
グを省略してある。
【図3】図1のIII −III 線に沿う断面図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】ギヤポンプの要部の一部破断分解斜視図であ
る。
【図6】サイドプレートの断面図である。
【図7】本発明の実施例と比較例を実機に組み込んでの
耐久結果を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 ハウジング 3 駆動ギア 4 従動ギア 5 吸込室 6 吐出室 12 サイドプレート 12a ギア側側面 14 ギア室 30,40 支軸 31,41 支持孔 31a,41a 内周面 F なじみ性向上被膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3H041 AA02 BB02 CC07 CC13 DD04 DD33 3H044 AA02 BB02 CC07 CC12 DD04 DD21 DD23

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハウジング内部の空洞に一対のサイドプレ
    ートを嵌め合わせてギア室を区画し、このギア室の内部
    に互いに噛み合う一対のギアを収容してギアの支軸を各
    サイドプレートにそれぞれ形成した一対の支持孔に嵌合
    支持すると共に、ギア室の内部に両ギアの噛み合い位置
    を挟んで作動流体の吸込室および吐出室を形成したギヤ
    ポンプにおいて、 上記サイドプレートはアルミニウム合金からなり、その
    表面の少なくとも一部に、固体潤滑剤と被膜形成成分と
    を含む組成物から形成されるなじみ性向上被膜を設けて
    いることを特徴とするギヤポンプ。
  2. 【請求項2】上記被膜形成成分は有機化合物を含むこと
    を特徴とする請求項1記載のギヤポンプ。
  3. 【請求項3】上記固体潤滑剤は二硫化モリブデン及びグ
    ラファイトを含み、上記有機化合物は熱硬化性樹脂を含
    むことを特徴とする請求項2記載ギヤポンプ。
  4. 【請求項4】上記被膜形成成分は無機化合物を含むこと
    を特徴とする請求項1記載のギヤポンプ。
  5. 【請求項5】上記被膜形成成分は金属化合物を含むこと
    を特徴とする請求項1記載のギヤポンプ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100413616C (zh) * 2005-02-28 2008-08-27 合肥波林新材料有限公司 一种齿轮油泵粉末冶金侧板
JP2015203389A (ja) * 2014-04-16 2015-11-16 住友ベークライト株式会社 ポンプ、および樹脂組成物
CN105715704A (zh) * 2016-04-13 2016-06-29 曾义波 液体阻尼式制动系统

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