JP2000138382A - 量子波干渉層を有したダイオ―ド及びダイオ―ドを構成する量子波干渉層の設計方法 - Google Patents

量子波干渉層を有したダイオ―ド及びダイオ―ドを構成する量子波干渉層の設計方法

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JP2000138382A
JP2000138382A JP31570999A JP31570999A JP2000138382A JP 2000138382 A JP2000138382 A JP 2000138382A JP 31570999 A JP31570999 A JP 31570999A JP 31570999 A JP31570999 A JP 31570999A JP 2000138382 A JP2000138382 A JP 2000138382A
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Hiroyuki Kano
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 最適構造の量子波干渉層をp層またはn層に
設けることにより、動作抵抗を著しく減少させたダイオ
ードの設計方法を提供する。 【解決手段】 第1層と第1層よりもバンド幅の広い第
2層とを多重周期で積層した量子波干渉層を有するダイ
オードの、第1層と第2層の厚さの設計方法において、
量子波干渉層を有するダイオードを作製して動作抵抗を
測定する際、ダイオードの量子波干渉層の第2層の厚さ
を固定して第1層の厚さを変化させたダイオードをそれ
ぞれ作製し、動作抵抗の極小値付近を示す第1層の厚さ
の範囲を求める作業と、ダイオードの量子波干渉層の第
1層の厚さを固定して第2層の厚さを変化させたダイオ
ードをそれぞれ作製し、動作抵抗の極小値付近を示す第
2層の厚さの範囲を求める作業とにより、量子波干渉層
を有するダイオードの動作抵抗が極小値付近となるよ
う、第1層と第2層の厚さを決定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は動作抵抗を減少させ
た新規構造のダイオードに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、pn接合のダイオードが知られて
いる。これらのダイオードは順方向電圧を印加する時に
流れる電流は、その順方向電圧がバンド電位差を越える
電圧から急激に増加する。この動作領域での電圧電流特
性の傾きが大きい程、ダイオードを各種の素子に応用す
る場合に都合が良い。しかし、この傾きは、半導体材料
により決定されており、変化させることはできなかっ
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、JJAP L
etters Vol.29,No.11(1990年) L1977-L1980に記載され
たように、クラッド層に多重量子井戸障壁を設けること
で、キャリアを反射させることが提案されている。しか
し、この文献では、キャリアの運動エネルギーをどのよ
うな値とするかは示唆がなく、この文献によって指摘さ
れた第1層と第2層との最適な厚さは、本発明者らが最
適とする厚さに対して1/4〜1/6である。この結
果、キャリアの反射の効果が十分ではないという問題が
残されている。
【0004】そこで、本発明者らは、多重量子井戸構造
を光の多重反射における誘電体多層膜に対応させて、キ
ャリアの量子波が多重量子井戸構造により多重反射され
ると考えた。そして、この反射によりキャリアの通電時
のVI特性を急峻とすることができる考え、量子波干渉
層の最適構造を創作した。従って、本発明の目的は、最
適構造の量子波干渉層をp層又はn層に設けることで、
動作抵抗を著しく減少させたダイオードを提供すること
である。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、第1層と第1層よりもバンド幅の広い第2層とを多
重周期で積層した量子波干渉層を有するダイオードの、
第1層と第2層の厚さの設計方法において、量子波干渉
層をp層又はn層に有するダイオードを作製して動作抵
抗を測定する際、ダイオードの量子波干渉層の第2層の
厚さを固定して第1層の厚さを変化させたダイオードを
それぞれ作製し、動作抵抗の極小値付近を示す第1層の
厚さの範囲を求める作業と、ダイオードの量子波干渉層
の第1層の厚さを固定して第2層の厚さを変化させたダ
イオードをそれぞれ作製し、動作抵抗の極小値付近を示
す第2層の厚さの範囲を求める作業とにより、量子波干
渉層を有するダイオードの動作抵抗が極小値付近となる
よう、第1層と第2層の厚さを決定することを特徴とす
る。
【0006】請求項2に記載の発明は、第1層と第2層
の厚さが、いずれも20nm以下であることを特徴とする。
【0007】請求項3の発明は、第1層と第1層よりも
バンド幅の広い第2層とを多重周期で積層し、第1層と
第2層との間にそれらの厚さに比べて充分に薄く、エネ
ルギーバンドを急変させるδ層を有する量子波干渉層を
有するダイオードの、第1層と第2層とδ層の厚さの設
計方法において、量子波干渉層をp層又はn層に有する
ダイオードを作製して動作抵抗を測定する際、ダイオー
ドの量子波干渉層の第2層とδ層の厚さを固定して第1
層の厚さを変化させたダイオードをそれぞれ作製し、動
作抵抗の極小値付近を示す第1層の厚さの範囲を求める
作業と、ダイオードの量子波干渉層の第1層とδ層の厚
さを固定して第2層の厚さを変化させたダイオードをそ
れぞれ作製し、動作抵抗の極小値付近を示す第2層の厚
さの範囲を求める作業と、ダイオードの量子波干渉層の
第1層と第2層の厚さを固定してδ層の厚さを変化させ
たダイオードをそれぞれ作製し、動作抵抗の極小値付近
を示すδ層の厚さの範囲を求める作業とにより、量子波
干渉層を有するダイオードの動作抵抗が極小値付近とな
るよう、第1層と第2層とδ層の厚さを決定することを
特徴とする。
【0008】請求項4に記載の発明は、第1層と第2層
の厚さがいずれも20nm以下であり、δ層の厚さが5nm以
下であることを特徴とする。
【0009】請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4
のいずれか1項に記載の設計方法によって設計された量
子波干渉層をp層又はn層に有することを特徴とするダ
イオードである。
【0010】請求項6の発明は、キャリアの反射層とし
て機能する量子波干渉層を有することを特徴とするダイ
オードである。
【0011】
【発明の作用及び効果】〔請求項1、2、5、6の発
明〕本発明にかかる量子波干渉層の原理を次に説明す
る。図1は、p層に形成されたバンド幅の異なる層の多
重層構造の伝導帯を示している。少数キャリアである電
子がp層へ注入、即ち、図上左から右方向に伝導すると
する。伝導に寄与する電子は、第2層の伝導帯の底付近
に存在する電子と考えられる。この電子の運動エネルギ
ーをEとする。すると、第2層Bから第1層Wに伝導す
る電子は第2層から第1層へのバンド電位差Vにより加
速されて、第1層Wにおける運動エネルギーはE+Vと
なる。又、第1層Wから第2層Bへ伝導する電子は第1
層から第2層へのバンド電位差Vにより減速されて、第
2層Bにおける電子の運動エネルギーはEに戻る。伝導
電子の運動エネルギーは、多重層構造のポテンシャルエ
ネルギーによりこのような変調を受ける。
【0012】一方、第1層と第2層の厚さが電子の量子
波長と同程度となると、電子は波動として振る舞う。電
子の量子波は電子の運動エネルギーを用いて、次の
(1)、(2)式により求められる。 DW=nWλW/4=nWh/4[2mW(E+V)]1/2 …(1) DB=nBλB/4=nBh/4(2mBE)1/2 …(2)
【0013】但し、DW、DBは第1層と第2層の厚さ、
λW、λBは第1層と第2層における電子の量子波長、h
はプランク定数、mWは第1層におけるキャリアの有効
質量、mBは第2層におけるキャリアの有効質量、Eは
第2層に流入された、第2層の最低エネルギーレベル付
近におけるキャリアの運動エネルギー、Vは第1層に対
する第2層のバンド電位差、nW、nBは奇数である。即
ち、式(1)、(2)では第1層と第2層の厚さを、各
層における電子の量子波の波長の1/4とした。
【0014】さらに、波の反射率Rは第2層B、第1層
Wにおける量子波の波数ベクトルをKB,KWとする時、
次式で求められる。 R=(|KW|−|KB|)/(|KW|+|KB|) =[{mW(E+V)}1/2−(mBE)1/2]/[{mW(E+V)}1/2+(mBE)1/2] =[1−{mBE/mW(E+V)}1/2]/[1+{mBE/mW(E+V)}1/2] …(3)
【0015】又、mB=mWと仮定すれば、反射率は次式
で表される。 R=[1−{E/(E+V)}1/2]/[1+{E/(E+V)}1/2] …(4)
【0016】E/(E+V)=xとおけば、(4)式は次
式のように変形できる。 R=(1−x1/2)/(1+x1/2) …(5)
【0017】この反射率Rのxに対する特性は図2のよ
うになる。
【0018】又、第2層Bと第1層WがそれぞれS層多
重化された場合の量子波の入射端面での反射率RSは次
式で与えられる。 RS=[(1−xS)/(1+xS)]2 …(6)
【0019】x≦1/10の時R≧0.52となり、そ
のためのE,Vの関係は E≦V/9 …(7) となる。第2層Bにおける伝導電子の運動エネルギーE
は伝導帯の底付近であることから、(7)式の関係が満
足され、第2層Bと第1層Wとの境界での反射率Rは5
2%以上となる。このような多重層構造により、p層へ
流入される電子の量子波を効率良く反射させることがで
きる。
【0020】又、xを用いて第2層Bの厚さの第1層W
の厚さに対する比DB/DWは次式で求められる。 DB/DW=[mW/(mBx)]1/2 …(8)
【0021】このような量子波干渉層をp層に形成した
ダイオードにおいて、順方向に電圧を印加すると、p層
に注入される電子の運動エネルギーが上記の量子波干渉
層の厚さの設計に用いられた運動エネルギーを大きく越
えるまでは、電子の反射が起こり電子による電流は流れ
ない。注入される電子の運動エネルギーが設定された運
動エネルギーを大きく越えると、反射していた電子が急
激に流れるようになる。この結果、ダイオードのVI特
性が急峻となる。即ち、動作抵抗が低下する。
【0022】又、価電子帯においても、エネルギーレベ
ルが周期的に変動するが、バンド電位差Vが伝導帯のバ
ンド電位差と異なること、第1層、第2層における正孔
の有効質量が電子の有効質量と異なること等のため、電
子に対して反射率を高くするように設定された第1層と
第2層の幅の設定値は正孔に対する高反射率が得られる
条件にはならない。よって、上記の構造の量子波干渉層
は、電子だけを反射させ正孔を反射させないようにする
ことができる。
【0023】又、逆に、価電子帯のバンド電位差、正孔
の有効質量を用いて、第1層、第2層の厚さを設計する
ことで、量子波干渉層をn層に設け正孔を反射させ電子
を透過させる層とすることもできる。
【0024】このような設計のために、量子波干渉層を
例えばp層に有するダイオードの、第1層と第2層の厚
さを変化させたものを作製し、動作抵抗の極小値付近を
とる第1層と第2層の厚さの最適化により、電子を反射
する量子波干渉層の第1層と第2層の厚さを設計するこ
とができる。同様に、量子波干渉層を例えばn層に有す
るダイオードの、第1層と第2層の厚さを変化させたも
のを作製し、動作抵抗の極小値付近をとる第1層と第2
層の厚さの最適化により、正孔を反射する量子波干渉層
の第1層と第2層の厚さを設計することができる。
【0025】このような量子波干渉層を有するダイオー
ドの動作抵抗の極小値付近をとる第1層と第2層の厚さ
の最適化には、量子波の波長程度とするため、40nm以下
の厚さで最適化することが望ましく、更には20nm以下が
望ましい。また、このように最適とされた第1層と第2
層の厚さの、各々奇数倍の厚さの第1層と第2層とを積
層した量子波干渉層を設計しても良い。
【0026】上記のような電子の量子波干渉層をp層に
設け、正孔の量子波干渉層をn層に設けることで、この
ダイオードのVI特性をさらに急峻とすることができ、
動作抵抗を著しく低下させることができる。
【0027】〔請求項3、4の発明〕図3に示すよう
に、第1層Wと第2層Bとの境界において、エネルギー
バンドを急変させる厚さが第1層W、第2層Bに比べて
十分に薄いδ層を設けても良い。境界での反射率は
(7)式で得られるが、境界にδ層を設けることで、バ
ンド電位差Vを大きくすることができx値が小さくな
る。x値が小さいことから反射率Rが大きくなる。この
δ層は、図3(a)に示すように、各第1層Wの両側の
境界に設けられているが、片側の境界だけに設けても良
い。又、δ層は、図3(a)に示すように、境界に第2
層Bのバンドの底よりもさらに高い底を有するバンドが
形成されるように設けているが、図3(b)に示すよう
に、境界に第1層の底よりもさらに低い底を有するバン
ドを有するように形成しても良い。さらに、図3(c)
に示すように、境界に第2層Bよりも高いエネルギーレ
ベルを有し第1層Wよりも低いエネルギーレベルを有す
る2つのδ層を形成しても良い。このようにすること
で、第1層Wと第2層Bとの境界での量子波の反射率を
大きくすることができ、多重層に形成した場合に全体で
の量子波の反射率を大きくすることができる。
【0028】このようなδ層の厚さの設計も、上述の第
1層、第2層の設計同様、量子波干渉層を例えばp層に
有するダイオードの、第1層と第2層との間のδ層の厚
さを変化させたものを作製し、動作抵抗の極小値付近を
とるδ層の厚さの最適化により、電子を反射する量子波
干渉層のδ層の厚さを設計することができる。
【0029】このような量子波干渉層の動作抵抗の極小
値付近をとる第1層と第2層の厚さの最適化には、量子
波の波長程度とするため、40nm以下の厚さで最適化する
ことが望ましく、更には20nm以下が望ましい。また、δ
層はそれら第1層と第2層の厚さより充分薄くする必要
があるため、10nm以下で最適化することが望ましく、更
には5nm以下が望ましい。また、このように最適とされ
た第1層と第2層の厚さの、各々奇数倍の厚さの第1層
と第2層とを積層した量子波干渉層を設計しても良い。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的な実施例に
基づいて説明する。なお本発明は下記実施例に限定され
るものではない。
【0031】〔第1実施例〕図4は量子波干渉層をp層
に形成したダイオードの断面図である。GaAsから成る基
板10の上に、n-GaAsから成る厚さ0.3μm、電子濃度2
×1018/cm3のバッファ層12が形成され、その上にn-Ga
0.51In0.49Pから成る厚さ0.1μm、電子濃度2×1018/cm3
のn形コンタクト層14が形成されている。n形コンタ
クト層14の上には、n-Al0.51In0.49Pから成る厚さ0.5
μm、電子濃度1×1018/cm3のn層16が形成され、その
上にはAl0.51In0.49Pから成る厚さ0.6μmのp層18が
形成されている。さらに、そのp層18の中に量子波干
渉層である電子反射層20が形成されている。尚、電子
反射層20の入射端面側のp層18aは厚さ0.1μm、正
孔濃度1×1017/cm3であり、電子反射層20の出射端面
側のp層18bは厚さ0.5μm、正孔濃度1×1018/cm3
ある。そして、p層18bの上にp-Ga0.51In0.49Pから
成る厚さ0.1μm、正孔濃度2×1018/cm3の第2p形コン
タクト層22とp-GaAsから成る厚さ0.1μm、正孔濃度2
×1018/cm3の第1p形コンタクト層24が形成されてい
る。さらに、基板10の裏面には厚さ0.2μmのAu/Geか
ら成る電極26が形成され、第1p形コンタクト層24
の上には厚さ0.2μmのAu/Znから成る電極28が形成さ
れている。尚、基板10は、2インチ径の大きさであ
り、基板の主面は面方位(100)に対して15°方位[011]方
向にオフセットしている。
【0032】このダイオードは、ガスソースMBE法に
より製造された。ガスソースMBE法は、結晶のエレメ
ント材料全てを固体ソースから供給する従来形のMBE
法とは異なり、V族元素(As,P)等をガス状原料(AsH3,PH
3)の熱分解により供給し、III族エレメント(In,Ga,Al)
は固体ソースから供給する超高真空下の分子線結晶成長
法である。
【0033】電子反射層(量子波干渉層)20は、図5
に示すように、第1層Wにp-Ga0.51In0.49P、第2層B
にp-Al0.51In0.49Pを用いた15周期の多重量子構造で
あり、第1層Wと第2層Bの境界にp-Al0.33Ga0.33In
0.33Pから成るδ層が形成されている。厚さの条件は上
記した(1)、(2)式で決定され、最初の第2層B0
(p層18a)の厚さはキャリアのトンネル伝導を防止
できる程の厚さに設計されている。又、δ層の厚さは、
1.3nmである。図5のエネルギーダイヤグラムでは、n
層16とp層18aと電子反射層20が図示されてい
る。図5(a)は電圧が印加されていない状態を示し、
(b)は電圧Vが印加された状態を示している。このよ
うな構造とすることで、このダイオードに順方向に電圧
を印加すると、n層16からp層18に注入された電子
は電子反射層20により効果的に反射され、電子はp層
に注入されない。さらに、電圧を増加させて注入される
電子の運動エネルギーが電子反射層20を設計した運動
エネルギーEを大きく越えると、この電子反射層20が
電子を反射しなくなり、電子を通過させるようになる。
この結果、VI特性は印加電圧があるしきい値を越える
と急峻に立ち上がる。
【0034】又、価電子帯においても、多重量子井戸構
造が形成されるが、この構造では電子が効果的に反射さ
れるように第1層Wと第2層Bの厚さの条件が決定され
ているので、正孔はこの多重量子井戸構造では反射され
ない。よって、p層18bからの正孔はこの電子反射層
20を通過して、n層16に達する。
【0035】第1層Wと第2層Bの厚さを各種変化させ
てVI特性を測定した。第2層Bの厚さを7nmにして、
第1層Wの厚さを各種変化させてVI特性を測定した。
第1層Wの厚さが5nmの時にVI特性の傾き(動作抵
抗)は最小となった。次に、第1層Wの厚さを5nmにし
て、第2層Bの厚さを各種変化させてVI特性を測定し
た。第2層Bの厚さが7nmの時に動作抵抗が最小となっ
た。このように、電子反射層20は第1層Wの厚さを5
nm、第2層Bの厚さを7nmにする時にダイオードの動作
抵抗が最小となった。このダイオードの測定されたVI
特性Bを図6、図7に示す。又、上記の実施例におい
て、電子反射層20だけが存在しないダイオードを製造
し、そのVI特性Aも測定した。図6は、電流が急激に
立ち上がる前の領域を示している。本実施例のダイオー
ドの電流が従来形のダイオードに比べて電流が抑制され
ているのが理解される。又、VI特性A−VI特性Bを
表した特性がCである。約2Vで最大の電流抑制が実現
されていることが理解される。この約2Vを印加した時
に第2層を越える程度のエネルギーが第1層と第2層の
厚さの設計に用いられたp層に注入される電子の運動エ
ネルギーEに対応していると考えられる。図7は直線目
盛りで表されたVI特性である。本実施例のダイオード
の動作抵抗は、従来のダイオードの動作抵抗に比べて1
/4に低下した。
【0036】〔第2実施例〕図8に示すように、n層1
6にも正孔反射層30が設けられている。正孔の量子波
入射端面のn層16aはトンネル電流を阻止するに十分
な厚さがある。この正孔反射層30も電子反射層20と
構造的には同一である。正孔を効果的に反射させるため
に、第1層Wの厚さは1.0nmであり、第2層Bの厚さは
1.2nmである。このように電子反射層20と正孔反射層
30とを形成することで、電子反射層20と正孔反射層
30が形成されていないダイオードに比べて、約1/6
の動作抵抗の低下が得られた。
【0037】上記実施例では、δ層を形成している。こ
のδ層により反射率を著しく向上させることができる
が、効果は低下するがδ層がない多重量子井戸構造でも
良い。又、上記実施例では、量子波干渉層をGa0.51In
0.49PとAl0.51In0.49Pとの多重層で構成したが、4元系
のAlxGayIn1-x-yP(0≦x,y≦1の任意の値)で組成比を異
にして形成しても良い。さらに、量子波干渉層は、他の
III族-V族化合物半導体、II族-VI族化合物半導体、Si/G
e、その他の異種半導体の多重接合で構成することが可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概念を説明するための説明図。
【図2】第2層におけるキャリアの運動エネルギーの第
1層における運動エネルギーに対する比xに対する反射
率Rの関係を示した特性図。
【図3】本発明の概念を説明するための説明図。
【図4】本発明の具体的な一実施例に係るダイオードの
構造を示した断面図。
【図5】その実施例に係るダイオードのエネルギーダイ
ヤグラム。
【図6】その実施例に係るダイオードのVI特性の測定
図。
【図7】その実施例に係るダイオードのVI特性の測定
図。
【図8】他の実施例に係るダイオードの構造を示した断
面図。
【符号の説明】
10…基板 12…バッファ層 14…n形コンタクト層 16…n層 18…p層 20…電子反射層 22…第2p形コンタクト層 24…第1p形コンタクト層 26,28…電極 30…正孔反射層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1層と第1層よりもバンド幅の広い第
    2層とを多重周期で積層した量子波干渉層を有するダイ
    オードの、前記第1層と前記第2層の厚さの設計方法に
    おいて、 前記量子波干渉層をp層又はn層に有するダイオードを
    作製して動作抵抗を測定する際、 前記ダイオードの前記量子波干渉層の前記第2層の厚さ
    を固定して前記第1層の厚さを変化させた前記ダイオー
    ドをそれぞれ作製し、動作抵抗の極小値付近を示す前記
    第1層の厚さの範囲を求める作業と、 前記ダイオードの前記量子波干渉層の前記第1層の厚さ
    を固定して前記第2層の厚さを変化させた前記ダイオー
    ドをそれぞれ作製し、動作抵抗の極小値付近を示す前記
    第2層の厚さの範囲を求める作業とにより、 前記量子波干渉層を有するダイオードの動作抵抗が極小
    値付近となるよう、前記第1層と前記第2層の厚さを決
    定することを特徴とするダイオードを構成する量子波干
    渉層の設計方法。
  2. 【請求項2】 前記第1層と前記第2層の厚さが、いず
    れも20nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の
    ダイオードを構成する量子波干渉層の設計方法。
  3. 【請求項3】 第1層と第1層よりもバンド幅の広い第
    2層とを多重周期で積層し、前記第1層と前記第2層と
    の間にそれらの厚さに比べて充分に薄く、エネルギーバ
    ンドを急変させるδ層を有する量子波干渉層を有するダ
    イオードの、前記第1層と前記第2層と前記δ層の厚さ
    の設計方法において、 前記量子波干渉層をp層又はn層に有するダイオードを
    作製して動作抵抗を測定する際、 前記ダイオードの前記量子波干渉層の前記第2層と前記
    δ層の厚さを固定して前記第1層の厚さを変化させた前
    記ダイオードをそれぞれ作製し、動作抵抗の極小値付近
    を示す前記第1層の厚さの範囲を求める作業と、 前記ダイオードの前記量子波干渉層の前記第1層と前記
    δ層の厚さを固定して前記第2層の厚さを変化させた前
    記ダイオードをそれぞれ作製し、動作抵抗の極小値付近
    を示す前記第2層の厚さの範囲を求める作業と、 前記ダイオードの前記量子波干渉層の前記第1層と前記
    第2層の厚さを固定して前記δ層の厚さを変化させた前
    記ダイオードをそれぞれ作製し、動作抵抗の極小値付近
    を示す前記δ層の厚さの範囲を求める作業とにより、 前記量子波干渉層を有するダイオードの動作抵抗が極小
    値付近となるよう、前記第1層と前記第2層と前記δ層
    の厚さを決定することを特徴とするダイオードを構成す
    る量子波干渉層の設計方法。
  4. 【請求項4】 前記第1層と前記第2層の厚さがいずれ
    も20nm以下であり、前記δ層の厚さが5nm以下であるこ
    とを特徴とする請求項3に記載のダイオードを構成する
    量子波干渉層の設計方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に
    記載の設計方法によって設計された量子波干渉層をp層
    又はn層に有することを特徴とするダイオード。
  6. 【請求項6】 キャリアの反射層として機能する量子波
    干渉層を有することを特徴とする請求項5に記載のダイ
    オード。
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