JP2000137025A - 排ガスモニタシステム - Google Patents
排ガスモニタシステムInfo
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Abstract
ベンゼン類のリアルタイム測定を可能にする。 【解決手段】排ガスを採取するガス採取部と、前記排ガ
スをほぼ大気圧下でイオン化する大気圧イオン源と、当
該大気圧イオン源にて生成したイオンを大気圧よりも低
い圧力に排気された室で質量分析を行う質量分析部と、
計測された信号を処理するデータ処理部とを備えた排ガ
スモニタシステムであって、前記大気圧イオン源は、導
入した排ガスを負イオン化する。 【効果】排ガス中の主要成分,窒素,空気,炭化水素,
二酸化炭素、塩化水素などの妨害を排除し、ごく微量の
有機塩素化合物が選択的にモニタ可能になる。
Description
廃棄物を焼却した燃焼排ガスに含まれるダイオキシン
類,クロロフェノール類,クロロベンゼン類の濃度を質
量分析することにより求めようとする排ガスモニタシス
テムに関する。
排ガス中に猛毒のダイオキシンが発生し環境汚染を起こ
し深刻な社会問題となっている。
性体をもつポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PCDD
s)および135種類の異性体をもつポリ塩化ジベンゾ
フラン(PCDFs)の総称であり、より広義にはコプ
ラナーポリ塩化ビフェニル(Coplanar PCBs )を含める
こともある。以後ダイオキシンおよびそれに関連した化
合物群を総称してダイオキシン類と略記する。
な化学的処理と高価な分析機器を駆使して行われる。そ
のため、分析結果の取得までには一週間/一検体の時間
が必要である。当然、実際の焼却炉の運転状況下でのリ
アルタイムモニタは不可能である。その代案として、極
く低濃度(ppt レベル)のダイオキシン類の濃度を直接
求めるのではなく、ダイオキシン類より相対的に高濃度
の他の代替物質の測定を行い、その結果からダイオキシ
ン類の濃度を推定する方法が提案されている。この技術
としては、横浜国大環境研紀要18:1−8(199
2),特開平4−161849号公報,特開平5−312796号公
報,特開平7−155731号公報,特開平9−15229号公報,
特開平9−243601号公報に記載されている方法ならびに
装置が開示されている。
2),特開平4−161849号公報,特開平5−312796 号公
報に記載されている技術は、クロロベンゼン類をガスク
ロマトグラフィー(GC)により測定し、ダイオキシン
類の代替指標として用いるものである。両者の相関から
ダイオキシン類を推定する方法である。
は、燃焼灰を加熱処理することにより、灰中に含まれる
ダイオキシン類などを熱分解しダイオキシン類等抑制し
ようとするものである。加熱処理前後の灰中のクロロベ
ンゼン類またはクロロフェノール類を分析しダイオキシ
ン類の除去率を推定する。これにより、熱分解条件の最
適化を図ろうとするものである。
排ガス中のクロロベンゼン類とクロロフェノール類の濃
度を測定し、これらと別途求めたダスト濃度と排ガスの
滞留時間からダイオキシン類の濃度を求めようとする方
法である。
は、排ガス中のクロロベンゼン類,クロロフェノール類
をリアルタイムで測定し、ダイオキシン類の濃度を連続
的に求めようとするものである。排ガスをレーザイオン
化質量分析装置に導きイオン化,質量分析することでク
ロロベンゼン類,クロロフェノール類の濃度を求め、ひ
いてはダイオキシン類の濃度を間接的に求めようとする
ものである。
8:1−8(1992),特開平4−161849 号公報,特
開平5−312796 号公報に記載されている技術は、ダイオ
キシン類の前駆物質として考えられるクロロベンゼン類
をトラップ管に捕捉濃縮し、ガスクロマトグラフィー
(GC)により分離,検出を行っている。そのため、試
料濃縮採取及びGC測定に最低一時間以上の時間が必要
である。また、GCの検知器では大量に存在する有機化
合物の中から目的とするクロロベンゼン類を過ちなくか
つ選択的に検出することは困難である。また、妨害物質
による定量値の誤認も頻繁に起きる危険性が常に存在す
る。
技術は、熱処理前後の灰中のクロロベンゼン類またはク
ロロフェノール類の定量を行おうとするものである。ク
ロロベンゼン類やクロロフェノール類は灰からアセトン
等の溶媒により抽出し、測定する。本公報にはオンライ
ンの試料導入,自動測定など具体的な技術は開示されて
いない。また、測定もGCなど従来法を使用するもの
で、抽出操作を除いても一試料あたり20,30分の測
定時間を必要とされる。
術は、ダイオキシン類とクロロベンゼン類,クロロフェ
ノール類の相関を述べている。しかし、発明の前提とな
るダイオキシン類とクロロフェノール類,クロロベンゼ
ン類等の間の関係式には、明確な根拠があるわけではな
い。さらに、クロロフェノール類,クロロベンゼン類等
の定量は専ら、時間のかかる在来法(GCなど)によっ
てなされたものである。即ち、測定時間は1検体(測
定)あたり1時間以上必要である。
は、クロロベンゼン類のリアルタイム濃度測定の可能性
を示している。しかし、この方式におけるイオン化は多
光子イオン化である。このイオン化では、モノクロロベ
ンゼン類はある程度測定できる。しかし、この多光子イ
オン化においてはベンゼン核に置換した塩素の数が1ケ
ずつ増えるたびに1/7から1/10の感度低下が起こ
るとされる。例えば、トリクロロベンゼンはモノクロロ
ベンゼンの約1/100の効率でしかイオン化されな
い。即ちトリクロロベンゼンはモノクロロベンゼンの1
/100の感度しかないといえる。
知られている2,3,7,8−テトラクロロジベンゾ−
p−ジオキシン(2,3,7,8−TCDD)は、ダイオ
キシンの2,3,7,8位の4個の水素が塩素に置換さ
れた化合物である。また、有毒なダイオキシン類は全て
塩素が4個以上置換したダイオキシン類である。この猛
毒のダイオキシン類が、クロロフェノール類,クロロベ
ンゼン類を前駆体として、焼却場内で合成されるとする
と、少なくとも、塩素が2個または3個以上置換したク
ロロフェノール類,クロロベンゼン類が前駆物質でなけ
ればならない。従って、この発明で示された多光子イオ
ン化方式では、多置換塩素化合物を効率よくイオン化す
ることができない。即ち、実際の焼却炉の排ガス中に含
まれるクロロフェノール類やクロロベンゼン類の濃度
(1000ng/Nm3(1ppb)程度)での測定は、非
常に難しいといえる。
ダイオキシン類またはその前駆物質をリアルタイムで測
定する手段,装置は開示されていない。ダイオキシン類
のリアルタイムモニタ法がないために、以下のような問
題を生じていた。
イオキシン類が含まれているか、変動がどのくらいある
のか、把握されていなかった。
ら排ガスが煙突から大気中に排出されるまで、排ガスは
多くの温度の異なる空間を経ると共に、排ガス中におけ
る多くの化学反応プロセスを経て排出される。この複雑
なプロセス一つ一つにおけるダイオキシン類の生成,分
解などを追跡することはできない。また、当然プロセス
条件を変更,最適化してダイオキシン類の削減を図るこ
ともできない。
ルタイム化ができないため、焼却炉内の多くの場所での
ダイオキシン類の濃度測定はできない。各部でのダイオ
キシン類の挙動を把握できない。
なされたものであり、ダイオキシン類,クロロフェノー
ル類,クロロベンゼン類のリアルタイムでの測定を可能
にするシステムを提供することを目的とするものであ
る。
の本発明の特徴は、排ガスを採取するガス採取部と、前
記排ガスをほぼ大気圧下でイオン化する大気圧イオン源
と、当該大気圧イオン源にて生成したイオンを大気圧よ
りも低い圧力に排気された室で質量分析を行う質量分析
部と、計測された信号を処理するデータ処理部とを備え
た排ガスモニタシステムであって、前記大気圧イオン源
は、導入した排ガスを負イオン化することである。
ル類やクロロベンゼン類などが負イオンになり易いこと
を積極的に利用している。
以下であり、クロロフェノール類,クロロベンゼン類等
の濃度は1ppb 程度といわれている。このように極微量
の成分をモニタするためには、以下の二項目が重要であ
る。(1)極微量成分の信号を効率よく発するようにす
る。(2)微量成分より圧倒的に存在量の多い成分(窒
素,酸素,二酸化炭素等)は妨害信号を発しないように
する。即ち高いS/B比(Signal/Backgound )が達成
できる手法が必要になる。
ードの大気圧化学イオン化が、排ガス中のダイオキシン
類等の選択的イオン化,検出に最適であることを見出し
た。本発明によれば、塩素,酸素元素を複数分子内に有
するダイオキシン類,クロロフェノール類,クロロベン
ゼン類の検出を高感度に行うことができる。塩素や酸素
は電気陰性度の高い元素で、これら元素を多数含む有機
化合物は低エネルギの熱電子を捕獲して負イオンになり
易い。クロロフェノール類は分子内に塩素原子を一個以
上、酸素原子を一個有している。またクロロベンゼン類
は分子内に塩素原子を一個以上持っている。猛毒のダイ
オキシン類は分子内に4個から8個の塩素原子、2個の
酸素原子を有している。そのため、ダイオキシン類など
は大気圧下における負のコロナ放電により生じた熱電子
により効率よくイオン化され、質量分析計により高感度
にモニタが可能になる。
れ、質量分析計にも常時生成したイオンが導入されるの
で、連続した測定が可能になる。更に、イオントラップ
式の質量分析計の場合、測定するためのイオン溜め込み
時間は数秒で、1回の測定スピードはmsオーダーなの
で、データ処理を含めても10秒/回以下の連続測定が
でき、オンラインリアルタイム測定が可能となる。しか
も、同時に多項目分析ができるので、ダイオキシン類,
クロロフェノール類,クロロベンゼン類などの濃度を同
時に測定することが可能となる。
を示す。
分より成り立っている。測定対象場所である煙道1から
排気ガスを採取する排気ガス採取部2,採取した排気ガ
ス中から測定対象物質を検出するモニタ部4、更に検
出,取得したデータを処理するデータ処理部6である。
21,配管22,ダスト処理部20,送気ポンプ30な
どよりなっている。モニタ部4は送り込まれた排気ガス
中の分析対象物質を大気圧化学イオン源40における負
のコロナ放電により選択的にかつ高い効率でイオン化を
行い、質量分析部50で質量分析し、分析対象物質を検
出(モニタ)する。検出された信号はデータ処理部6に
送られ検量線から濃度に換算され、データとしてCRT
やプリンタに出力される。また、ごみ焼却場の燃焼制御
のためのデータとして外部の燃焼制御装置などに送られ
る。
を示す。
取り付けられ、ダスト処理部20まで排気ガス導入配管
22aが接続されている。ダスト処理部20には、ダス
トフィルタ23と、必要に応じ塩化水素や硫化水素など
の阻害物質を取り除く除去剤24が接続されている。ダ
スト処理部20からモニタ装置8までは、排気ガス導入
管22bが接続されている。配管22は短いほど望まし
い。
象物質(クロロフェノール,クロロベンゼン,ダイオキ
シン等)の吸着や、酸・アルカリ等の腐食の影響を極力
小さくするために保温材27が巻かれ、必要に応じヒー
タ26で加温し、熱電対25や温調器35で一定温度に
保つ構造としている。本実施例では、排ガスの温度に近
い値(150−240℃)に設定できるようにしてい
る。更に、吸着や腐食,耐熱性の観点から、配管22の
材質は内面鏡面仕上げをしたSUS−EP管を使用して
いる。ダストフィルタ23は石英ウールが一般的で、除
去剤24は分析対象物質の吸着が少なく塩化水素や硫化
水素などの除去効率が高いCa(OH)2 を使用してい
る。これらダストフィルタ23や除去剤24は容易に着
脱可能としている。
直接送気ポンプ30に導いているが、一部をバイパス配
管26にて大気圧化学イオン源40を通過させ、その後
送気ポンプ30に導いている。それぞれの流路にはマス
フローメータ28a,28bと絞り機構29a,29b
を設け、一定の流量を維持するよう流量調節計33にて
制御を行う。送気ポンプ30は大気圧化学イオン源40
の前段に入れて排ガスを押し込む構造でも良いが、本実
施例では排ガスに与える影響をなくすために吸引式のポ
ンプを使用している。送気ポンプ30を通過後、排ガス
はモニタ装置8外に排気している。
過するイオン化室44があり、イオンを発生するための
コロナ放電電極42が設けられている。コロナ放電電極
42は高圧電源48から負の電圧(−2から−7kV程
度)が印加される。放電効率をよくするために引込み電
極43(−50Vから−1kV程度)を設けることもあ
る。
めに、酸素ボンベやドライエアーなどの酸素源34を設
け、配管37を通してイオン化前室41に送り込む構造
としている。ここでもマスフローメータ28cと絞り2
9cを備え、流量調節計33にて流量を調整している。
尚、イオン化促進は、大気を導入し、大気中の酸素によ
って行うことも可能である。
界によって隔壁45の細孔46aを通り中間圧力部47
に導かれるように隔壁45には0から−50Vの電圧を
かけている。更に引き込みをよくするために2段細孔4
6b(電圧0から−10V)を設けている。中間圧力部
47はイオンと共に導入されたほとんどの中性ガスを排
気するために、1Torr程度の真空に排気する油回転ポン
プ等の真空ポンプ57が設けられている。細孔を通過し
たイオン内の排除しきれなかった中性ガスを取り除くた
めにレンズ51が設けられ、導入されたイオンを質量対
電荷比(m/z)に分けてイオン量を計測(質量分析)す
る質量分析計50が設けられている。質量分析計50に
は、四重極質量分析計(QMS)や磁場型質量分析計も
使用することができる。しかし、高感度測定が可能なイ
オン蓄積型の質量分析計すなわちイオントラップを用い
れば、更なる高感度モニタが達成できる。
質量分析を行った。数秒以下の時間でイオントラップ5
2で溜め込んだイオンを掃引処理により測定したいイオ
ンのみを吐き出し、そのイオンの電荷を増幅する電子増
倍管53と長寿命化を図るためのフォトマルチプライヤ
54を設けている。質量分析室55はターボ分子ポンプ
などの真空ポンプ56により10-5Torr以上の高真空に
維持されている。
オントラップ52,イオン源40の制御は分析制御ユニ
ット60で行われる。又、配管の温度,流量制御も可能
である。分析制御ユニット60で検出されたイオン量
(電荷量)のデータ処理はパソコンなど上位のデータ処
理部61で行われる。分析対象物質の総量,マススペク
トルなどが結果として得られる。その情報は通信又はア
ナログ信号として他システムに送信可能である。
るので空調機70を設け室内を常温に維持することで分
析の信頼性を上げている。
ス導入配管22とは別に、較正用として、較正用配管3
1aまたは31bの何れかを、排ガス採取プローブ21
の出口近くかモニタ装置8の入り口の排ガス導入配管2
2に接続するよう配置し、排ガスには存在せず分析対象
物質と同様なイオン化挙動をする較正用物質32(たと
えばニトロフェノール類)を一定量流し続け、配管系や
分析系の経時変化を補正する機構を設けている。較正用
物質32の量は、マスフローメータ28dと絞り29d
を設け、流量調節計33によって調節し、酸素源34の
送気によって一定流量を維持するようにしている。ま
た、較正用物質32の蒸発量は温度によって変わるの
で、保温材27cとヒータ26c,26dによって一定
に管理されている。
れた排ガスは、送気ポンプ30により吸引され配管22
aを経てダストフィルタ23に導かれる。ここで排ガス
中のダストやミストが除去された後、塩化水素などのイ
オン化の阻害物質を除去する除去剤24に導かれる。そ
の後配管22bを経由してモニタ装置8に導かれる。大
部分の排ガスは送気ポンプ30により吸引され排気する
が、大気圧イオン化源40のごく近傍で排ガス導入配管
22bから分岐してバイパス配管26を経由してイオン
化室44に排ガスが導入される。ここでフィルタ処理部
20や配管22,26は分析対象物質の吸着を最小限に
するためと、水分の結露を避けるため、150−220
℃程度に保温材27a,27bとヒータ26a,26b
で保温されている。又、吸着を少なくするためには配管
内での滞在時間を少なくすることが有効であるため、排
ガス導入配管22bは可能な限り大流量を流す(本実施
例では10−15l/min )。逆に、バイパス配管26
は排ガス導入配管22bよりも流量が1桁近く減るよう
に、且つ極力短くするようにした。イオン化室44への
流量を減らしたのは分析装置40,50が長期にわたっ
て連続運転するので、内部の汚れを極力抑えるためであ
る。本装置は分析対象物質が極微量でも感度高く測定で
きるので、少流量でも問題はない。流量はマスフロー2
8a,28bにより測定できるので、その比によって分
析対象物質の総量を知ることができる。
圧電源48から印加されたコロナ放電電極42からの負
のコロナ放電によりイオン化される。コロナ放電電極4
2には高圧電源48から負の高電圧(−2kVから−7
kV程度)が印加され、コロナ放電電極50の先端から
は引込み電極43に向かって大気中に負のコロナ放電が
発生する。導入された排ガスは負のコロナ放電で生成し
た熱電子の照射を受け、ダイオキシン類,クロロフェノ
ール類やクロロベンゼン類は速やかに熱電子を捕獲して
負イオンとなる。一方、排ガス中の主成分である窒素,
酸素,二酸化炭素,一酸化炭素,炭化水素等はこの負の
コロナ放電ではイオン化されない。即ち、ダイオキシン
類やクロロフェノール類,クロロベンゼン類は排ガス中
に微量にしか存在しないにも関わらず、選択的にイオン
化され高感度に検知されるようになる。これらを化学平
衡式で表すと O2+e- → O2 - 一次イオン化 M+O2 - → (M−H)- + HO2 二次イオン化 M:分析対象物質 となり、まずO2 - イオンができた後、分析対象物質と
反応することが分かる。但し、塩化水素(HCl)があ
るとClがイオンし易いため、次式のようにO2 - イオ
ンがCl- イオンになってしまい、分析対象物質のイオ
ン化が阻害されてしまう。
ることによってO2 -イオンを促進することにより分析対
象物質のイオン化効率を上げることができる。新鮮なO
2 を入れるため電極42の汚れ対策にもなる。
の負イオンは、イオン化室44と中間圧力部47の間の
隔壁45に設けられた細孔46aから中間圧力部47に
連続して導入される。ここでイオンは電界に導かれて細
孔46a、更には二次細孔46bから質量分析部50に
導入される。中間圧力部47は油回転ポンプ等の真空ポ
ンプ57により1〜10-1Torr程度の真空に排気され、
イオンと共に中間圧力室47に導入された中性ガスはこ
こで排気される。細孔を通過したイオン内の排除しきれ
なかった中性ガスは、電界をかけたレンズ51の軸をイ
オントラップ52の入射軸とずらすことによりイオント
ラップ52に入らないようにしている。
スキャンすることにより、必要な分析対象物質のイオン
をイオントラップ52から摘出し電子増倍管53,フォ
トマルチプライヤ54で検知することができる。又、試
料ガスは連続してイオン源に送られ、質量分析計にも常
時生成したイオンが導入されるので、連続した測定が可
能になる。更に、イオントラップ式の質量分析計の場
合、測定するためのイオン溜め込み時間は数秒で、1回
の測定スピードはmsオーダーなので、データ処理を含
めても10秒/回以下の連続測定ができ、オンラインリ
アルタイム測定が可能となる。しかも、同時に多項目分
析ができるので、ダイオキシン類,クロロフェノール
類,クロロベンゼン類などの濃度を同時に測定すること
が可能となる。
真空ポンプ56により10-5Torr以上の高真空に維持さ
れ、感度の高い測定が可能となっている。
オントラップ52,イオン源40のシーケンス,電圧,
温度制御は分析制御ユニット60で行われる。又、排ガ
ス導入配管の温度,流量制御は独立した調節計で制御可
能であるが、総量演算のため分析制御ユニット60かデ
ータ処理部61に送信できるようにしている。分析制御
ユニット60で検出されたイオン量(電荷量)のデータ
処理はパソコンなど上位のデータ処理部61で行われ
る。分析対象物質の総量,マススペクトルなどが結果と
して得られる。その情報は通信又は4−20mAなどの
アナログ信号として焼却場監視システムなどの他システ
ムに送信可能である。
るので空調機70を設け、更には断熱構造として室内を
常温に維持することで分析の信頼性を上げている。
積のため徐々に測定値がシフトしたり、何らかの要因で
突発的な環境変化が生じた場合、感度が低下することが
考えられる。そのため、装置の安定化対策として、較正
用として、排ガスには存在せず分析対象物質と同様なイ
オン化挙動をする較正用物質32(たとえばニトロフェ
ノール類)を排ガス採取プローブ21の出口近くかモニ
タ装置8の入口の排ガス導入配管22に取込むよう配置
し、一定量流し続けることにより、その変化率と実際の
分析対象物質の実測値から配管系や分析系の経時変化を
補正することができる。較正用物質32の量はマスフロ
ーセンサ28dと絞り29dもしくはマスフローコント
ローラ28dのみを設け、ドライエアー34の送気によ
って一定流量を維持するようにしている。また、較正用
物質32の蒸発量は温度によって変わるので保温材27
cとヒータ26cによって一定に管理されている。
の一例を示す。
公知の標準試料ガス発生装置と希釈装置を排ガス採取プ
ローブ21に接続して測定を行った。試料は2,3ジク
ロロフェノール(分子量162)を用いた。
/分で流し、この中に標準試料として、2,3ジクロロ
フェノールの一定量を気化混入させ、更に窒素ガスで希
釈して規定の濃度になるようにした。濃度は、0.2pp
b,0.4ppb、及び0.8ppbの濃度とした。モニタした
イオンの質量対電荷比(m/z)は、161で脱プロト
ンイオン(M−H)- である。
いては、高いS/N比と直線性を得ることができる。
ノール類やクロロベンゼン類をオンラインで直接モニタ
することが可能になった。又、長時間安定した秒単位の
リアルタイム連続測定をすることが可能となった。
ータ処理部、8…モニタ装置、20…フィルタ処理部、
21…排気ガス採取プローブ、22a,22b…排ガス
導入配管、23…ダストフィルタ、24…除去剤、25
…熱電対,26a,26b,26c…ヒータ、27a,2
7b,27c…保温材、28a,28b,28c,28
d…マスフローメータ,29a,29b,29c,29
d…絞り機構、30…送気ポンプ、31a,31b…較
正用配管、32…較正用物質、33…流量調節計、34
…酸素源、35…温度調節計、40…大気圧化学イオン
源、41…イオン源前室、42…コロナ放電電極、43
…引込み電極、44…イオン化室、45…隔壁、46
a,46b…細孔、47…中間圧力部、48…高圧電
源、50…質量分析部、51…レンズ、52…イオント
ラップ、53…電子増倍管、54…フォトマルチプライ
ア、55…質量分析室、56,57…真空ポンプ、60
…分析制御ユニット、61…データ処理部、70…空調
機。
Claims (8)
- 【請求項1】排ガスを採取するガス採取部と、前記排ガ
スをほぼ大気圧下でイオン化する大気圧イオン源と、当
該大気圧イオン源にて生成したイオンを大気圧よりも低
い圧力に排気された室で質量分析を行う質量分析部と、
計測された信号を処理するデータ処理部とを備えた排ガ
スモニタシステムであって、 前記大気圧イオン源は、導入した排ガスを負イオン化す
ることを特徴とするモニタシステム。 - 【請求項2】請求項1において、 前記大気圧イオン源は、コロナ放電を行う第1の室と、
採取した排ガスが導入される第2の室を備え、前記第1
の室には、酸素が供給されることを特徴とする排ガスモ
ニタシステム。 - 【請求項3】請求項2において、 前記第2の室は、排ガスが導入される導入口と、排ガス
が排出される排出口を備えることを特徴とする排ガスモ
ニタシステム。 - 【請求項4】請求項1において、 前記大気圧イオン源は、連続的に前記排ガスを導入する
ことを特徴とする排ガスモニタシステム。 - 【請求項5】請求項1において、 前記ガス採取部から排ガスを導く第1の配管と、当該第
1の配管から分岐して前記大気圧イオン源に排ガスを導
く第2の配管を備え、前記第1及び第2の配管の流量比
から排ガス中のダイオキシン又は前駆体の量を算出する
ことを特徴とする排ガスモニタシステム。 - 【請求項6】請求項5において、 前記第1及び第2の配管は、150℃から240℃の間
に保たれることを特徴とする排ガスモニタシステム。 - 【請求項7】請求項5において、 前記ガス採取部と前記第1の配管の間に、塩化水素又は
硫化水素を捕獲するフィルタを備えることを特徴とする
排ガスモニタシステム。 - 【請求項8】請求項5において、 前記第1の配管に任意の量のニトロフェノールを導入す
る手段を有することを特徴とする排ガスモニタシステ
ム。
Priority Applications (1)
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