JP2000130223A - 多気筒内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

多気筒内燃機関の排気浄化装置

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JP2000130223A
JP2000130223A JP10308694A JP30869498A JP2000130223A JP 2000130223 A JP2000130223 A JP 2000130223A JP 10308694 A JP10308694 A JP 10308694A JP 30869498 A JP30869498 A JP 30869498A JP 2000130223 A JP2000130223 A JP 2000130223A
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Japan
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ignition timing
fuel ratio
air
cylinder
temperature
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JP10308694A
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English (en)
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Naohide Fuwa
直秀 不破
Takayuki Demura
隆行 出村
Yasuyuki Irisawa
泰之 入澤
Naoto Suzuki
直人 鈴木
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Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定した運転状態で、排気浄化触媒を十分高
温にかつ早期に昇温させることによって、良好な排気浄
化性能を発揮し得る多気筒内燃機関の排気浄化装置を提
供すること。 【解決手段】 本発明の多気筒内燃機関の排気浄化装置
は、排気通路2a〜2c上に設けられた排気浄化触媒3
a〜3cと、多気筒内燃機関の各気筒#1〜#4の空燃
比を制御する空燃比制御手段と、各気筒#1〜#4の点
火時期を制御する点火時期制御手段とを備えており、空
燃比制御手段が、第一気筒群#1,#4をリッチ空燃比
で運転し、かつ、第二気筒群#2,#3をリーン空燃比
で運転すると共に、点火時期制御手段が、全気筒#1〜
#4の点火時期を最適点火時期よりも遅角させて、排気
浄化触媒3a〜3cを昇温させることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多気筒内燃機関の
排気ガス中に含まれる有害物質を浄化する多気筒内燃機
関の排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の排気通路上に排気浄化触媒を
配設し、この排気浄化触媒によって内燃機関の排気ガス
中に含まれる有害物質を浄化させる排気浄化装置が一般
に知られている。このような装置においては、種々の場
面で排気浄化触媒を昇温させたい状況が生じる。例え
ば、冷間始動時などの排気浄化触媒、例えば三元触媒の
温度が活性温度以下である場合や、排気浄化触媒がNOx
吸蔵還元触媒のときにNOx吸蔵還元触媒をSOx被毒から回
復させたい場合などである。
【0003】排気浄化触媒を昇温させる排気浄化装置と
しては、特開平8-61052号公報に記載のものなどが知ら
れている。特開平8-61052号公報に記載の排気浄化装置
は、ある気筒群の空燃比を理論空燃比よりもリッチに、
他の気筒群の空燃比を理論空燃比よりもリーンとなるよ
うに空燃比状態を制御するものである。この排気浄化装
置は、各気筒群からの排気ガスを合流させて排気浄化触
媒に流入させ、合流後の排気ガスを排気浄化触媒上で反
応させた反応熱で排気浄化触媒を昇温させるものであ
る。このような排気浄化装置においては、リッチ空燃比
(理論空燃比よりもリッチな空燃比のことを指す、以下
同じ)の気筒群とリーン空燃比(理論空燃比よりもリー
ンな空燃比のことを指す、以下同じ)の気筒群との間の
空燃比差が大きいほど、排気浄化触媒をより高温に昇温
させることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、内燃機関とし
て安定的に運転できる空燃比の範囲は限られており、リ
ーン側及びリッチ側のそれぞれに空燃比の限界値があ
る。各気筒群の間の空燃比差を大きくし過ぎてしまう
と、上述した限界値を超えた空燃比で運転される気筒群
によって内燃機関の運転状態が不安定なものとなってし
まう。このため、各気筒群間の空燃比差をあまりに大き
くすることは不可能であり、排気浄化触媒を十分に昇温
させることができない場合があった。また、充分に昇温
させることが可能であったとしても、昇温させるまでに
時間がかかってしまい、排気浄化触媒の浄化能力を十分
に発揮させられない場合もあった。
【0005】従って、本発明の目的は、安定した運転状
態で、排気浄化触媒をより早期に十分高温に昇温させる
ことによって、良好な排気浄化性能を発揮し得る多気筒
内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、排気通路上に設けられた排気浄化触媒と、多気筒内
燃機関の各気筒の空燃比を制御する空燃比制御手段と、
各気筒の点火時期を制御する点火時期制御手段とを備え
た多気筒内燃機関の排気浄化装置において、空燃比制御
手段が、第一気筒群をリッチ空燃比で運転し、かつ、第
二気筒群をリーン空燃比で運転すると共に、点火時期制
御手段が、全気筒の点火時期を最適点火時期よりも遅角
させて、排気浄化触媒を昇温させることを特徴とする。
【0007】請求項1に記載の発明によれば、第一気筒
群の空燃比を理論空燃比よりもリッチ、第二気筒群の空
燃比を理論空燃比よりもリーンとなるように空燃比状態
を制御して、各気筒群からの排気ガスを合流させて排気
浄化触媒上で反応させた反応熱で排気浄化触媒を昇温さ
せる。また、これと同時に、全気筒の点火時期を最適点
火時期よりも遅角させて各気筒から排出される排気ガス
の温度を上昇させ、この排気ガスの温度によっても排気
浄化触媒を昇温させる。
【0008】空燃比制御と遅角制御とを併用して排気浄
化触媒を昇温させるため、空燃比及び点火時期の双方の
制御範囲を機関を安定して運転することのできる範囲内
とすることができ、内燃機関を安定して運転させつつ、
排気浄化触媒を充分に高温に昇温させることができる。
また、このとき、排気浄化触媒を、反応熱と排気ガス温
度とによって、より早期に昇温させることができる。こ
の結果、排気浄化触媒の浄化機能を有効に発揮させるこ
とができ、排気ガス内の有害物質を良好に浄化すること
ができる。
【0009】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、点火時期制御手段が、点火時期の遅角
量を各気筒群毎に制御して、各気筒の気筒出力トルクを
一致させることを特徴とする。
【0010】請求項2に記載の発明によれば、排気ガス
内の有害物質を良好に浄化するに際して、各気筒群毎に
点火時期を制御して各気筒毎の気筒出力トルクを一致さ
せるので、第一気筒群と第二気筒群との間の気筒出力ト
ルクのバラツキを吸収させて内燃機関の運転状態をより
安定した状態とすることができる。
【0011】また、請求項3に記載の発明は、排気通路
上に設けられた排気浄化触媒と、第一気筒群をリッチ空
燃比で運転させると共に第二気筒群をリーン空燃比で運
転させる空燃比制御手段と、各気筒の点火時期を制御す
る点火時期制御手段とを備えた多気筒内燃機関の排気浄
化装置において、点火時期制御手段が、第一気筒群の点
火時期を最適点火時期よりも遅角させると共に第二気筒
群の点火時期を最適点火時期よりも進角させて点火時期
の制御状態を第一点火時期制御状態に切り替え、第一点
火時期制御状態時に内燃機関の安定度合いが低下したと
きには、第一気筒群及び第二気筒群の双方の点火時期を
最適点火時期よりも遅角させて点火時期の制御状態を第
二点火時期制御状態にさらに切り替えて、排気浄化触媒
を昇温させることを特徴とする。
【0012】請求項3に記載の発明によれば、第一点火
時期制御状態において、第一気筒群の空燃比をリッチ空
燃比、第二気筒群の空燃比をリーン空燃比となるように
空燃比状態を制御して、各気筒群からの排気ガスを合流
させて排気浄化触媒上で反応させた反応熱で排気浄化触
媒を昇温させる。また、これと同時に、第一点火時期制
御状態においては、第一気筒群の点火時期を最適点火時
期よりも遅角させると共に第二気筒群の点火時期を最適
点火時期よりも進角させて、機関出力トルクを高く維持
しつつ、第一気筒群と第二気筒群との間の気筒出力トル
クのバラツキを吸収させることができる。
【0013】次に、第一点火時期制御状態時に内燃機関
の安定度合いが低下し、内燃機関の運転状態が低下した
ときは、第二点火時期制御状態に移行し、第一気筒群と
第二気筒群との間に空燃比差を生じさせたまま、第一気
筒群及び第二気筒群の双方の点火時期を最適点火時期よ
りも遅角させる。これにより、各気筒から排出される排
気ガスの温度を上昇させ、この排気ガスの温度によって
も排気浄化触媒を昇温させる。第二点火時期制御状態に
おいては、気筒群毎に空燃比を異ならせて反応熱で排気
浄化触媒を昇温させると同時に、点火時期を遅角させて
排気ガスで排気浄化触媒を昇温させるため、内燃機関を
安定した状態で運転させつつ、排気浄化触媒を充分に高
温に昇温させることができる。また、このとき、排気浄
化触媒を、反応熱と排気ガス温度とによって、より早期
に昇温させることができる。この結果、排気浄化触媒の
浄化機能を有効に発揮させることができ、排気ガス内の
有害物質を良好に浄化することができる。
【0014】請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の
何れか一項に記載の発明において、排気浄化触媒がNOx
吸蔵還元触媒であることを特徴とする。
【0015】請求項4に記載の発明によれば、排気浄化
触媒がNOx吸蔵還元触媒であるので、排気浄化触媒がNOx
を還元させることができないとき(例えば、内燃機関の
全気筒がリーン空燃比で運転されているときなど)はNO
xを吸蔵しておき、排気浄化触媒がNOxを還元できる状態
となったときに還元浄化させることによって、排気ガス
の浄化をより良好に行うことができる。
【0016】また、NOx吸蔵還元触媒がSOxを吸蔵してし
まってNOxの吸蔵が困難になった場合(SOxに被毒された
場合)は、上述したようにNOx吸蔵還元触媒を充分に高
温に昇温させることができるので、NOx吸蔵還元触媒をS
Ox被毒から確実に回復させることができる。この結果、
NOx吸蔵還元触媒の浄化機能を有効に発揮させることが
でき、排気ガス内の有害物質を良好に浄化することがで
きる。
【0017】請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の
何れか一項に記載の発明において、機関の運転状態に応
じた各気筒群の空燃比及び点火時期を規定した空燃比-
点火時期マップに基づいて、空燃比制御手段により各気
筒の空燃比を制御すると共に点火時期制御手段により各
気筒の点火時期の遅角量を制御することを特徴とする。
【0018】請求項5に記載の発明によれば、各気筒の
空燃比及び遅角量が、内燃機関の運転状態毎に両者がバ
ランス良く最適となるように予め作成した空燃比-点火
時期マップに基づいて決定されるため、内燃機関は昇温
制御中であっても非常に安定して運転され、かつ、排気
浄化触媒を反応熱と排気ガス温度とによって、より早期
に昇温させることができる。この結果、機関を安定的に
運転しつつ、排気浄化触媒の浄化機能を有効に発揮させ
ることができ、排気ガス内の有害物質を良好に浄化する
ことができる。
【0019】請求項6に記載の発明は、請求項1〜4の
何れか一項に記載の発明において、機関の運転状況に応
じて空燃比制御手段により各気筒群の空燃比を決定し、
決定された各気筒群の空燃比に基づいて、点火時期制御
手段により各気筒の点火時期の遅角量を制御することを
特徴とする。
【0020】請求項6に記載の発明によれば、空燃比差
による昇温で不足する分を遅角制御による昇温によって
補い、空燃比差による昇温と遅角制御による昇温とを併
用するので、内燃機関は昇温制御中であっても非常に安
定して運転され、かつ、排気浄化触媒を反応熱と排気ガ
ス温度とによって、より早期に昇温させることができ
る。この結果、機関を安定的に運転しつつ、排気浄化触
媒の浄化機能を有効に発揮させることができ、排気ガス
内の有害物質を良好に浄化することができる。
【0021】請求項7に記載の発明は、請求項1〜4の
何れか一項に記載の発明において、機関の運転状況に応
じて点火時期制御手段により各気筒の点火時期の遅角量
を決定し、決定された各気筒群の点火時期の遅角量に基
づいて、空燃比制御手段により各気筒群の空燃比を制御
することを特徴とする。
【0022】請求項7に記載の発明によれば、遅角制御
による昇温で不足する分を空燃比差による昇温によって
補い、遅角制御による昇温と空燃比差による昇温とを併
用するので、内燃機関は昇温制御中であっても非常に安
定して運転され、かつ、排気浄化触媒を反応熱と排気ガ
ス温度とによって、より早期に昇温させることができ
る。この結果、機関を安定的に運転しつつ、排気浄化触
媒の浄化機能を有効に発揮させることができ、排気ガス
内の有害物質を良好に浄化することができる。
【0023】また、請求項8に記載の発明は、多気筒内
燃機関を複数の気筒群に分割するとともに各気筒群に接
続された上流排気通路と、上流排気通路が合流された合
流排気通路と、合流排気通路上に設けられた排気浄化触
媒と、各気筒の点火時期を制御する点火時期制御手段と
を備えた多気筒内燃機関の排気浄化装置において、点火
時期制御手段が、上流排気通路上の部品耐熱温度に基づ
いて、点火時期の遅角量を各気筒群毎に制御して、排気
浄化触媒を昇温させることを特徴とする。
【0024】請求項8に記載の発明によれば、点火時期
の遅角量を各気筒群毎に制御するため、各気筒群に連通
する各上流排気通路上の部品耐熱温度に応じて、排気ガ
スの温度を各気筒群毎に最大限にまで上昇させることが
でき、排気浄化触媒を効率的に昇温させることができ
る。逆に言えば、点火時期の遅角量を各気筒群毎に制御
しないと、全気筒群を複数の上流排気通路のうちの最も
部品耐熱温度が低い上流排気通路に合わせて排気ガスの
温度を上昇させることになり、耐熱上まだ余裕のある上
流排気通路に関しては排気ガスの温度が最大限利用され
ないことになる。
【0025】これに対して、請求項8に記載の発明によ
れば、排気ガスの温度を各気筒群毎に最大限にまで上昇
させることによって、排気浄化触媒をより早期に十分高
温に昇温させることができ、この結果、排気浄化触媒の
浄化機能を有効に発揮させて排気ガス内の有害物質を良
好に浄化することができる。なお、ここに言う上流排気
通路上の部品とは、排気管自体、排気管に設けた排気
弁、温度センサ、NOxセンサ、空燃比センサなどの各種
センサ類、上流排気通路上に排気浄化触媒が配置される
ときはこの排気浄化触媒などの上流排気通路上に位置す
る全ての部品を指している。また、排気通路上にHC吸着
材を設けるような場合は、HC吸着材も上流排気通路上の
部品である。
【0026】請求項9に記載の発明は、請求項8に記載
の発明において、上流排気通路に前置触媒を設け、前置
触媒の耐熱温度に基づいて点火時期の遅角量を各気筒群
毎に制御することを特徴としている。
【0027】請求項9に記載の発明によれば、上流排気
通路上の前置触媒の耐熱温度に基づいて排気ガスの温度
を各気筒群毎に最大限にまで上昇させることによって、
合流排気通路上の排気浄化触媒をより早期に十分高温に
昇温させることができる。この結果、排気浄化触媒の浄
化機能を有効に発揮させて排気ガス内の有害物質を良好
に浄化することができる。また、前置触媒の耐熱温度に
基づいて点火時期の遅角量を制御するので、前置触媒の
温度を常に耐熱温度以下としておくことができ、前置触
媒の機能を十分発揮させつつ、その寿命を縮めてしまう
ようなことを防止できる。
【0028】
【発明の実施の形態】まず、本発明の排気浄化装置の第
一実施形態について説明する。
【0029】図1は本実施形態の排気浄化装置の構成を
示している。エンジン1は、四気筒エンジンであり、#1
気筒と#4気筒とで第一気筒群を構成し、#2気筒と#3気筒
とで第二気筒群を構成している。各気筒からの排気通路
は、各気筒群毎にそれぞれ第一上流排気通路2a及び第
二上流排気通路2bにまとめられた後、さらにその下流
側で合流排気通路2cとして一本にまとめられている。
【0030】各上流排気通路2a,2b上には、排気浄
化触媒である第一前置触媒3a及び第二前置触媒3bが
それぞれ配設されている。そして、各上流排気通路2
a,2b上の各前置触媒3a,3bの上流側には、排気
ガス中の酸素濃度から各気筒群の空燃比を検出する空燃
比センサである第一酸素センサ4a及び第二酸素センサ
4bがそれぞれ配設されている。一方、合流排気通路2
c上には、排気浄化触媒であるNOx吸蔵還元触媒3cが
配設されている。そして、合流排気通路2c上のNOx吸
蔵還元触媒3cの上流側にも空燃比センサである第三酸
素センサ4cが配設されている。これらの酸素センサ4
a,4b,4cは、理論空燃比を境にして大きく変化す
る電圧を出力し、空燃比がリッチ空燃比であるかリーン
空燃比であるかをオン-オフ的に検出する。尚、酸素セ
ンサ4a、4b、4cは、空燃比をリニアに測定可能な
限界電流式酸素センサであっても良い。あるいは、酸素
センサ4cのみを、限界電流式酸素センサとしても良
い。
【0031】第一前置触媒3a及び第二前置触媒3bに
は、それぞれの触媒温度(即ち排気温度)を検出する第
一温度センサ5a及び第二温度センサ5bがそれぞれ取
り付けられている。また、NOx吸蔵還元触媒3cにも、
その触媒温度(即ち排気温度)を検出する第三温度セン
サ5cが取り付けられている。さらに、エンジン1の各
気筒の燃焼室内には燃料噴射弁6がそれぞれ配設されて
おり、燃料噴射弁6によって各気筒毎に独立して気筒内
に直接燃料噴射(筒内噴射)を行うことができる。ま
た、エンジン1の各気筒毎に点火プラグ7が配設されて
いる。
【0032】点火プラグ7は、イグナイタ(図示せず)
を介して、電子制御コントロールユニット(ECU)9に
接続されている。ここでは、気筒毎に点火時期を制御す
ることのできるダイレクトイグニッション方式がとられ
ており、ECU9からの信号に基づいて、各気筒毎にその
点火時期を進角あるいは遅角させることができ、その進
角量や遅角量も制御することができる。また、エンジン
1には、そのクランク角度を検出するクランクポジショ
ンセンサ8も取り付けられている。
【0033】酸素センサ4a,4b,4c、温度センサ
5a,5b,5c、燃料噴射弁6及びクランクポジショ
ンセンサ8も、ECU9に接続されている。酸素センサ4
a,4b,4c、温度センサ5a,5b,5c及びクラ
ンクポジションセンサ8による検出結果はECU9に送ら
れ、燃料噴射弁6はECU9からの信号に基づいて燃料を
噴射すると共に、点火プラグ7はECU9からの信号に基
づく点火時期で点火される。
【0034】ECU9は、CPU,ROM,RAM,バックアップRAMな
どで構成されるマイクロコンピュータである。バックア
ップRAMは、イグニッションキーをオフにした後もバッ
テリによって記憶内容が保持されるものである。また、
ECU9には、吸入空気量に相当する吸気管圧力を検出す
る吸気管圧センサ10、エンジン回転数センサ11、ア
クセル開度センサ12及びその他のエンジン制御に必要
な各種センサが接続されている。ECU9は、エンジン制
御全般を司っており、空燃比制御手段及び点火時期制御
手段としても機能する。
【0035】第一前置触媒3a及び第二前置触媒3b
は、表面にアルミナの薄膜層がコーティングされた担体
上に、白金やパラジウムやロジウムなどの貴金属を担持
させた三元触媒であり、排気ガス内の炭化水素HC、一酸
化炭素CO、窒素酸化物NOxを浄化する。HC,CO,NOxの浄化
は、理論空燃比近傍で燃焼されたときに最も効率良く行
われる。第一前置触媒3a及び第二前置触媒3bは、エ
ンジン1本体に近い位置に設置されており、エンジン1
の始動後、排気ガスによって、より早期に触媒活性化温
度に達する。
【0036】NOx吸蔵還元触媒3cは、基本的には、上
述した三元触媒であるが、アルミナコーティング層上
に、アルカリ金属(カリウム,ナトリウム,リチウム,
セシウムなど)、アルカリ土類金属(バリウム,カルシ
ウムなど)又は希土類元素(ランタン,セシウム,イッ
トリウムなど)などをもさらに担持させ、空燃比がリー
ンのときにNOxを吸蔵させることができるようにしたも
のである。
【0037】このため、NOx吸蔵還元触媒3cは、通常
の三元触媒としての機能、即ち、理論空燃比近傍で燃焼
されたときの排気ガス内のHC,CO,NOxを浄化する機能に
加えて、排気ガス中に含まれる還元されないNOxを吸蔵
することができる。リーン空燃比で燃焼された排気ガス
中には還元剤となるHC,COがほとんど含まれないためNOx
は還元されにくく、この還元されないNOxがNOx吸蔵還元
触媒3cに一時的に吸蔵される。
【0038】NOx吸蔵還元触媒3cに吸蔵されたNOxは、
リッチ空燃比(あるいは理論空燃比近傍)で燃焼された
ときの排気ガス中のHC,COによって還元されて浄化され
る(このときHC,COは同時に酸化される)。このため
に、NOx吸蔵還元触媒3cにある程度NOxが吸蔵されたと
判断されたときは、リッチ空燃比で短時間エンジン1を
運転して吸蔵されたNOxを還元させる、いわゆるリッチ
スパイク運転を行う。
【0039】また、上述したようなNOx吸蔵還元触媒3
cは、排気ガス中に硫黄酸化物SOxが存在すると、NOxの
吸蔵と同様に、このSOxも吸蔵する性質を有している。
しかも、SOxはNOxに比べてNOx吸蔵還元触媒3cに安定
的に吸蔵されてしまうため、NOxよりも還元されにく
い。このため、NOx吸蔵還元触媒3cに吸蔵されたSOx
は、通常のリッチスパイク運転では還元されずに、NOx
吸蔵還元触媒3cに吸蔵され続けてしまうという傾向が
ある。この結果、NOx吸蔵還元触媒3cに吸蔵されたSOx
量が増加し、その分NOxを吸蔵できなくなり(この現象
をSOx被毒という)、NOxがNOx吸蔵還元触媒3cによっ
て浄化されなくなる場合がある。
【0040】NOx吸蔵還元触媒3cに吸蔵されたSOxを放
出させるには、NOx吸蔵還元触媒3cの温度をNOx還元時
よりも高温(例えば600〜850℃)とし、かつ、周囲雰囲
気を還元雰囲気として還元させれば良い。このため、NO
x吸蔵還元触媒3cの温度を昇温させつつ、理論空燃比
よりもややリッチな空燃比で燃焼された後の排気ガスと
同等な還元雰囲気中でSOxを還元させて、NOx吸蔵還元触
媒3cをSOx被毒から回復させる。
【0041】第一気筒群をリッチ空燃比で燃焼させると
共に第二気筒群をリーン空燃比で燃焼(あるいはこの
逆)させれば、第一気筒群からの排気ガス中にはHC,CO
が含まれ、第二気筒群からの排気ガス中には酸素が含ま
れる。これらの排気ガスを合流させてNOx吸蔵還元触媒
3cに流入させれば、HC,COが酸化されて酸化反応熱に
よってNOx吸蔵還元触媒3cが昇温され、SOxが還元され
て放出される。このとき、酸素とHC,COと酸化反応後に
若干のHC,COが排気ガス中に残存して還元雰囲気が形成
されれば、SOxを還元させる上で好ましい。
【0042】また、上述したSOx被毒からの回復のみな
らず、NOx吸蔵還元触媒3cの温度を早期に触媒活性化
温度に昇温させたいような場合など、NOx吸蔵還元触媒
3cを積極的に昇温させる必要がある場合にも、ある気
筒群をリッチ空燃比で運転させると共に他の気筒群をリ
ーン空燃比で運転させることは有用である。このよう
に、多気筒内燃機関の空燃比状態を、気筒群毎に異なら
せることによって、NOx吸蔵還元触媒3cの温度を昇温
させることができる。
【0043】また、NOx吸蔵還元触媒3cを昇温させる
手段としては、エンジン1の各気筒の点火時期を最適点
火時期よりも遅角させて排気ガスの温度を上昇させ、排
気ガスの温度によってNOx吸蔵還元触媒3cのを昇温さ
せる方法もある。この方法によれば、排気ガス自体の温
度を上昇させるため、NOx吸蔵還元触媒3cのみなら
ず、第一前置触媒3a及び第二前置触媒3bを昇温させ
ることも可能である。最適点火時期とは、理論空燃比状
態におけるMBT(Minimum spark advance for BestTorqu
e)、またはノッキング開始直前の進角値の何れか遅い時
期のことであり、点火時期をこの最適点火時期よりも積
極的に遅角させることによって排気ガスの温度を上昇さ
せることができる。
【0044】次に、上述した排気浄化装置において、排
気浄化触媒であるNOx吸蔵還元触媒3cを昇温させる行
程について説明する。本実施形態における昇温制御ルー
チンのフローチャートを図2に示す。
【0045】ここでは、第一気筒群(#1,#4)の空燃比を
リッチ空燃比とすると共に第二気筒群(#2,#3)の空燃比
をリーン空燃比とし、各気筒群からの排気ガスをNOx吸
蔵還元触媒3c上で反応させて反応熱によってNOx吸蔵
還元触媒3cを昇温させる。また、これと同時に、各気
筒の点火時期を最適点火時期よりも遅角させて排気ガス
の温度を上昇させることによってもNOx吸蔵還元触媒3
cを昇温させる。
【0046】ECU9は、接続された各種センサの検出結
果に基づいて、NOx吸蔵還元触媒3cを昇温させる必要
があるどうかを常時監視している。ここでは、NOx吸蔵
還元触媒3cのSOx被毒が顕著となり、NOx吸蔵還元触媒
3cからSOxを放出させるためにNOx吸蔵還元触媒3cの
昇温が必要となった場合で説明する。SOx被毒回復制御
が必要であるとECU9によって判断された場合には、NOx
吸蔵還元触媒3cの昇温させるべくSOx被毒回復制御状
態に移行する。SOx被毒回復制御状態中は、図2に示さ
れるルーチンが、所定時間(例えば、数ミリ秒)毎に繰
り返し行われる。
【0047】まず、SOx被毒回復制御を実行中であるか
否かが判断される(ステップ100)。SOx被毒回復制
御を実行中でない場合(SOx被毒回復制御が終了したと
きなど)は、目標遅角量がクリアされる(ステップ10
5)。SOx被毒回復制御が実行中である場合は、NOx吸蔵
還元触媒3cを昇温させるべく、ステップ101以降で
エンジン1の空燃比及び点火時期が制御される。
【0048】なお、上述したように、エンジン1の空燃
比は、第一気筒群がリッチ空燃比とされ、かつ、第二気
筒群がリーン空燃比とされる。また、第一気筒群の各気
筒の点火時期の遅角量と第二気筒群との点火時期の遅角
量とは、各気筒の気筒出力トルクが一致するような遅角
量にそれぞれ制御される。本実施形態においては、機関
(エンジン1)の運転状況に応じた最適な各気筒群毎の
空燃比及び点火時期(遅角量)が、予め「空燃比−点火
時期マップ」としてECU9内のROMに格納されている。
【0049】このため、ステップ100においてSOx被
毒回復制御を行うと判断された場合は、上述した各種セ
ンサ類によって検出された検出結果から機関の運転状態
を判断し、「空燃比−点火時期マップ」から機関の運転
状態に応じた目標遅角量及び目標空燃比が決定される
(ステップ101,102)。この決定された目標遅角
量及び目標空燃比に従って、遅角制御処理及び空燃比制
御処理が行われる(ステップ103,104)。ここで
の目標空燃比と目標遅角量とは、両者がバランスされた
最適なものとして「空燃比−点火時期マップ」内に記憶
されている。このため、空燃比がリッチ過ぎ、あるい
は、リーン過ぎに偏って、内燃機関の安定度合いが低下
するようなことは発生しない。
【0050】また、点火時期を遅角させ過ぎて、内燃機
関の安定度合いが低下することもない。さらに、このと
きの遅角量は、各気筒の気筒出力トルクが一致するよう
に各気筒群毎に制御される。このため、第一気筒群と第
二気筒群との間の気筒出力トルクのバラツキが吸収さ
れ、内燃機関の運転状態がより安定した状態となる。
【0051】ここで、図3に示されるフローチャート中
のステップ103の遅角制御処理について簡単に説明す
る。この遅角制御処理ルーチンのフローチャートを図3
に示す。図3に示されるルーチンは、遅角制御中に所定
時間(例えば、数ミリ秒)毎に繰り返し行われる。
【0052】第一気筒群(リッチ気筒)と第二気筒群
(リーン気筒)とで、気筒出力トルクを一致させるべく
遅角制御を行うので、リッチ気筒の遅角量とリーン気筒
との遅角量とは異なる。このため、まず、リッチ気筒に
ついての遅角制御を行うか否かを判定する(ステップ2
00)。ステップ200が肯定された場合は、リッチ気
筒についての遅角制御を行い、ステップ200が否定さ
れた場合は、リーン気筒の遅角制御を行う。いずれにし
ても、リッチ気筒の遅角制御及びリーン気筒の遅角制御
の双方が行われる。
【0053】まず、ステップ200が肯定された場合、
即ち、リッチ気筒についての遅角制御について説明す
る。ここでは、リッチ気筒の遅角量を上述した目標遅角
量となるように徐変させる。このため、まず、リッチ気
筒に対して行った前回の実行遅角量(遅角制御実行直後
は0°CA)が、目標遅角量に対して大きいか否かを判定
する(ステップ201)。なお、ここでは、進角量を正
の値として扱い、遅角量を負の値として扱うこととす
る。即ち、目標遅角量は負の値である。
【0054】前回の実行遅角量が目標遅角量よりも大き
い場合、即ち、ステップ201が肯定された場合は、実
行遅角量を前回の実行遅角量に対して1°CA遅角させ
る。即ち、前回の実行遅角量から1°CAを減じた値を新
たな実行遅角量とする(ステップ203)。一方、前回
の実行遅角量が目標遅角量以下である場合、即ち、ステ
ップ201が否定された場合は、実行遅角量が既に目標
遅角量であるとして新たな実行遅角量を目標遅角量とす
る(ステップ204)。このような制御を行うことによ
って、リッチ気筒の遅角量が目標遅角量となるように徐
変される。
【0055】ステップ200が否定された場合、即ち、
リーン気筒についての遅角制御についても同様である。
ここでも、リーン気筒の遅角量を上述した目標遅角量と
なるように徐変させる。まず、リーン気筒に対して行っ
た前回の実行遅角量が、目標遅角量に対して大きいか否
かを判定する(ステップ202)。前回の実行遅角量が
目標遅角量よりも大きい場合は、実行遅角量を前回の実
行遅角量に対して1°CA遅角させる(ステップ20
5)。一方、前回の実行遅角量が目標遅角量以下である
場合は、実行遅角量が既に目標遅角量であるとして新た
な実行遅角量を目標遅角量とする(ステップ206)。
そして、ステップ203〜206によって決定された新
たな実行遅角量に基づいて、実際に各気筒の点火時期が
遅角される。
【0056】次に、図3に示されるフローチャート中の
ステップ104の空燃比制御処理について簡単に説明す
る。まず、一般的な空燃比制御について説明し、次い
で、気筒群毎に異なる空燃比で運転する場合の空燃比制
御について具体的に説明する。
【0057】通常、機関を運転する際の燃料噴射量TAU
は、次のように決定され、この燃料噴射量TAUによって
空燃比が目標空燃比となるように制御されている。 TAU←α・QALL・EFTOTAL+β・・・・(I) QALLは吸気管圧力及びエンジン回転数から決定される
基本燃料噴射量であり(アクセル開度とエンジン回転数
から決定される場合もある)、この基本燃料噴射量QAL
Lを機関運転状態に応じて補正することにより、燃料噴
射量TAUを決定する。また、EFTOTALは、空燃比反映トー
タル値である。空燃比反映トータル値EFTOTALは、空燃
比を目標空燃比とするために基本燃料噴射量QALLを補
正する成分であり、この値によって空燃比のフィードバ
ック制御が行われる。α及びβは、始動直後の暖気増量
補正値や加速時の加速増量補正値などの他の補正成分で
ある。このEFTOTALは、例えば、空燃比フィードバック
補正値FAFと空燃比学習値KGとの和で表される。即ち、
この場合、(I)式は次のようになる。 TAU←α・QALL・(FAF+KG)+β・・・・(II)
【0058】空燃比フィードバック補正値FAFは、酸素
センサの出力を基に実際の空燃比を検出して、この空燃
比が目標空燃比になるようにフィードバック補正するた
めのものである。例えば、空燃比を目標空燃比(通常は
理論空燃比)とする際には、図4(a)及び図4(b)に示さ
れるように、酸素センサによって検出された空燃比が目
標空燃比よりもリッチである間は、空燃比フィードバッ
ク補正値FAFに対して、燃料噴射量を徐々に減量する値
が与えられ、酸素センサによって検出された空燃比がリ
ッチからリーンに変わったときには、応答性向上を考慮
して燃料噴射量を増量する値がスキップ的に与えられ
る。
【0059】逆に、酸素センサによって検出された空燃
比が目標空燃比よりもリーンである間は、空燃比フィー
ドバック補正値FAFに対して、燃料噴射量を徐々に増量
する値が与えられ、酸素センサによって検出された空燃
比がリーンからリッチに変わったときには、応答性向上
を考慮して燃料噴射量を減量する値がスキップ的に与え
られる。このようにして、機関空燃比を常に目標空燃比
に維持すべく、空燃比フィードバック補正値FAFが生成
される。
【0060】なお、酸素センサの検出遅れを考慮して、
空燃比フィードバック補正値FAFに図4(c)に示されるよ
うな遅れ時間DT1,DT2を設定する場合もある。また、ECU
において酸素センサの出力からリーン-リッチをオン-オ
フ的に判定した判定信号を一旦生成し、この判定信号に
基づいてFAF信号を生成する場合もある。
【0061】一方、空燃比学習値KGは、空燃比フィード
バック補正値FAFを平均化した空燃比フィードバック補
正平均値FAFAVから生成される。空燃比学習値KGは、燃
料噴射弁や空燃比センサなどの機関の個体差や経時変化
を反映させるための補正値であり、所定の機関負荷領域
毎に定められる。空燃比のフィードバック制御が行われ
ずにオープンループ制御されているような場合(例えば
FAF=1.0に固定して制御する場合)であっても、機関の
個体差や経時変化により生じる空燃比のズレを吸収する
ために、この空燃比学習値KGを用いて補正する。
【0062】空燃比フィードバック補正値FAFを用いて
空燃比のフィードバック制御を行っていれば、機関空燃
比は、このような空燃比学習値KGを用いなくても酸素セ
ンサの出力に基づく空燃比フィードバック補正値FAFに
よって目標空燃比に補正される。しかし、機関の個体差
や経時変化を反映させてより精度の高い制御を行うた
め、オープンループ制御中のみならずフィードバック制
御中も空燃比学習値KGが反映される。なお、この空燃比
学習値KGは、ECU内のバックアップRAM内に記憶され、必
要時に取り出される。
【0063】上述した空燃比フィードバック補正値FAF
や空燃比フィードバック補正平均値FAFAV、空燃比学習
値KGなどは、ECU内のROMに格納されたプログラムによっ
て数ミリ秒毎に演算・更新される。また、ECUにおいて
演算された空燃比フィードバック補正値FAFや空燃比フ
ィードバック補正平均値FAFAV、空燃比学習値KGに基づ
いて、燃料噴射量TAUが決定され、燃料噴射弁を用いて
燃料が噴射される。ECUにおいては、燃料噴射量TAU以外
に、点火時期やバルブタイミング、EGR量、スロット
ル弁開度も演算・決定される。
【0064】本実施形態における内燃機関においても、
全気筒が理論空燃比で運転される場合は、第一酸素セン
サ4a及び第二酸素センサ4bの出力に基づいて、各気
筒群毎に上述した空燃比フィードバック制御が行われ
る。
【0065】以下、説明のために、第一気筒群(#1,#
4)の空燃比反映トータル値をEFTOTAL1とし、第二気筒
群(#2,#3)の空燃比反映トータル値をEFTOTAL2とす
る。同様に、第一気筒群の第一酸素センサ4aに基づく
空燃比フィードバック補正値をFAF1とし、この空燃比フ
ィードバック補正値FAF1から得られる空燃比フィードバ
ック補正平均値をFAFAV1、空燃比学習値をKG1とする。
同様に、第二気筒群の第二酸素センサ4bに基づく空燃
比フィードバック補正値をFAF2とし、この空燃比フィー
ドバック補正値FAF2から得られる空燃比フィードバック
補正平均値をFAFAV2、空燃比学習値をKG2とする。
【0066】即ち、第一気筒群に関して、EFTOTAL1=FAF
1+KG1となり、 TAU1←α・QALL・EFTOTAL1+β=α・QALL・(FAF1+KG1)+β で基本燃料噴射量QALLをフィードバック制御によって
補正し、第一気筒群の燃料噴射量TAU1を決定する。同様
に、第二気筒群に関して、EFTOTAL2=FAF2+KG2となり、 TAU2←α・QALL・EFTOTAL2+β=α・QALL・(FAF2+KG2)+β で基本燃料噴射量QALLをフィードバック制御によって
補正し、第二気筒群の燃料噴射量TAU2を決定する。
【0067】このように、全気筒が理論空燃比で運転さ
れる場合は、第一酸素センサ4aの出力に基づいて第一
気筒群の空燃比フィードバック制御が行われ、第二酸素
センサ4bの出力に基づいて第二気筒群の空燃比フィー
ドバック制御が行われる。
【0068】次に、NOx吸蔵還元触媒3cを昇温させる
べく、第一気筒群をリッチ空燃比で運転し、第二気筒群
をリーン空燃比で運転する場合について具体的に説明す
る。
【0069】ここでは、合流排気通路2c上のNOx吸蔵
還元触媒3cに流入される合流後の排気ガスが、理論空
燃比(あるいは、これよりもややリッチな空燃比)で燃
焼されたときの排気ガスと同等となるように、第三酸素
センサ4cの出力に基づいて空燃比がフィードバック制
御される。
【0070】このとき、第一上流排気通路2a及び第二
上流排気通路2bを通過する排気ガスは、その一方がリ
ッチ空燃比で燃焼された後の排気ガスで、他方がリーン
空燃比で燃焼された後の排気ガスであるため、理論空燃
比を境にして空燃比がリッチであるかリーンであるかを
オン-オフ的に検出する第一酸素センサ4a及び第二酸
素センサ4bによっては、高精度に空燃比のフィードバ
ック制御を行うことが困難な場合もある。このため、こ
こでは、NOx吸蔵還元触媒3cの上流側の第三酸素セン
サ4cの出力に基づいて、NOx吸蔵還元触媒3cに流入
される合流後の排気ガスが理論空燃比(あるいは、これ
よりもややリッチな空燃比)で燃焼されたときの排気ガ
スと同等となるように空燃比フィードバック制御が行わ
れる。
【0071】両気筒群から排出されて合流後にNOx吸蔵
還元触媒3cに流入される排気ガスを、理論空燃比(あ
るいはこれよりもややリッチな空燃比)で燃焼された場
合の排気ガスと同等となるようにフィードバック制御が
行われるので、合流後の排気ガスがNOx吸蔵還元触媒3
c上で酸化反応を起こし、NOx吸蔵還元触媒3cを昇温
させる。以下、説明のために、合流排気通路2c上の第
三酸素センサ4cに基づく空燃比フィードバック補正値
をFAF3とする。
【0072】第三酸素センサ4cに基づいて、各気筒群
毎の燃料噴射量TAU1,TAU2が以下の式から求められる。 TAU1←α・QALL1・EFTOTAL1+β=α・QALL1・[FAF3+kg1]+β TAU2←α・QALL2・EFTOTAL2+β=α・QALL2・[FAF3+kg2]+β 上式から分かるように、「空燃比−点火時期マップ」か
ら得られた基本燃料噴射量QALL1,QALL2をフィードバ
ック制御によって補正し、各気筒群の燃料噴射量TAU1,T
AU2を決定する。なお、ここでは、単一の空燃比フィー
ドバック補正値FAF3によるフィードバック制御に移行す
る結果、各気筒群毎に空燃比学習値KG1,KG2の正確な学
習を行えないため、単一の空燃比フィードバック補正値
FAF3によるフィードバック制御に移行する以前に学習さ
れた空燃比学習値kg1,kg2(固定値)を、それぞれ反映
させている。
【0073】また、第一気筒群をリッチ空燃比で運転さ
せるので、第一気筒群の基本燃料噴射量QALL1はリッチ
寄りの噴射量とされている。同様に、第二気筒群をリー
ン空燃比で運転させるので、第二気筒側の基本燃料噴射
量QALL2はリーン寄りの噴射量とされている。上述した
空燃比制御を行うことで、各気筒群の空燃比が目標空燃
比となるように制御している。
【0074】本実施形態における上述した空燃比と点火
時期と気筒出力トルクとの関係を模式的に表した図を図
5に示す。図5中A点は、理想空燃比で運転したときの
最適点火時期を示している。図5中AR点は、A点に対
応した、リッチ空燃比における最適点火時期を示してい
る。図5中AL点は、A点に対応した、リーン空燃比に
おける最適点火時期を示している。AR点とAL点とで
は点火時期は一致している。第一気筒群と第二気筒群と
をそれぞれAR点とAL点とで示される空燃比及び点火
時期で運転すれば、空燃比差に起因する反応熱の分だけ
NOx吸蔵還元触媒3cが昇温される。
【0075】ここではさらに、第一気筒群及び第二気筒
群に対して遅角制御も行い、それぞれ図5中BR点,B
L点で示される空燃比及び点火時期で運転する。この結
果、空燃比差に起因する昇温分に加えて、遅角制御によ
る昇温分が加えられ、NOx吸蔵還元触媒3cが、より早
期に十分高温に昇温される。また、このとき、BR点,
BL点で示されるように、両者の気筒出力トルクが一致
するように第一気筒群及び第二気筒群の遅角量が決定さ
れるので、気筒群間での気筒出力トルクのバラツキも抑
制される。本実施形態では、上述したように、機関の運
転状態に対して最適なBR点,BL点が、予め上述した
「空燃比−点火時期マップ」としてECU9内のROMに格納
されている。
【0076】上述した実施形態によれば、第一気筒群を
リッチ空燃比で燃焼させると共に、第二気筒群をリーン
空燃比で燃焼させるように空燃比状態を制御し、各気筒
群からの排気ガスを合流させてNOx吸蔵還元触媒3c上
で反応させた反応熱でNOx吸蔵還元触媒3cを昇温させ
る。これと同時に、全気筒の点火時期を最適点火時期よ
りも遅角させて各気筒から排出される排気ガスの温度を
上昇させ、この排気ガスの温度によってもNOx吸蔵還元
触媒3cを昇温させる。空燃比差による昇温と遅角制御
による昇温とを併用するため、内燃機関を安定した状態
で運転させつつ、NOx吸蔵還元触媒3cを、より早期
に、かつ、充分に高温に昇温させることができる。この
結果、NOx吸蔵還元触媒3cの浄化機能を有効に発揮さ
せることができ、排気ガス内の有害物質を良好に浄化す
ることができる。
【0077】また、本実施形態においては、各気筒の空
燃比と点火時期(遅角量)とが、内燃機関の運転状態に
応じてバランス良く最適になるように予め決定された
「空燃比−点火時期マップ」に基づいて決定されるた
め、内燃機関はNOx吸蔵還元触媒3cの昇温制御中であ
っても非常に安定して運転される。さらに、本実施形態
においては、各気筒群の気筒出力トルクが一致するよう
に遅角量が決定されるので、この点からも、内燃機関を
非常に安定して運転させることができる。
【0078】次に、本発明の排気浄化装置の第二実施形
態について説明する。
【0079】本実施形態の排気浄化装置の構成は、上述
した第一実施形態と全く同様であるため、装置の構成に
ついての説明は省略する。本実施形態は、上述した第一
実施形態とは、NOx吸蔵還元触媒3cを昇温させる昇温
制御が異なるだけである。
【0080】以下に、本実施形態の排気浄化装置におい
て、排気浄化触媒であるNOx吸蔵還元触媒3cを昇温さ
せる行程について説明する。本実施形態における昇温制
御ルーチンのフローチャートを図6に示す。
【0081】上述した第一実施形態においては、予め最
適な空燃比と点火時期との組み合わせが決定された「空
燃比−点火時期マップ」に基づいて空燃比と点火時期を
決定した。本実施形態においては、まず、空燃比差を設
けることによってNOx吸蔵還元触媒3cを昇温させ、こ
の空燃比制御による昇温では足りない場合(空燃比差の
みで昇温させようとすると、空燃比差が大きすぎて機関
の安定度合いが低下してしまう場合など)に、遅角制御
による昇温を行う。以下、図6のフローチャートに沿っ
て説明する。
【0082】まず、現在のNOx吸蔵還元触媒3cの温度
を第三温度センサ5cによって測定すると共にNOx吸蔵
還元触媒3cの目標温度を各種センサの検出結果に基づ
く機関運転状態からECU9において算出し、このNOx吸蔵
還元触媒3cの現在の温度と目標温度との差を求める
(ステップ300)。この求められた温度差から、NOx
吸蔵還元触媒3cを昇温させるための第一気筒群(リッ
チ気筒)及び第二気筒群(リーン気筒)それぞれの必要
空燃比をECU9によって演算により求める(ステップ3
01)。
【0083】次に、求められた必要空燃比となるよう
に、各気筒の空燃比を徐変させる(ステップ302)。
徐変させる度に、各気筒毎にその空燃比が必要空燃比で
あるかを判定する(ステップ303)。各気筒の空燃比
が必要空燃比でない場合、即ち、ステップ303が否定
された場合は、さらに空燃比を徐変させるのであるが、
その都度、機関出力トルクの変動が限界値を超えている
かを判定する(ステップ304)。ここで、エンジン1
全体の機関出力トルクの変動が限界値を超えている場合
は、機関の安定度合いが低下し、エンジン1の運転状態
が悪化している場合であると考えられる。
【0084】エンジン1全体の機関出力トルクの変動が
限界値を超えている場合、即ち、ステップ304が肯定
された場合は、空燃比差が限界を超えてエンジン1の運
転状態が悪化していると考えられるため、ステップ30
5の後、ステップ306以降の遅角制御を行う。一方、
エンジン1全体の機関出力トルクの変動が限界値以下で
ある場合、即ち、ステップ304が否定された場合は、
空燃比差によるNOx吸蔵還元触媒3cの昇温にまだ余裕
があると考えられるので、ステップ302に戻って空燃
比の徐変を継続して行う。
【0085】なお、空燃比差が限界を超えている場合と
しては、第一気筒群(リッチ気筒)の空燃比が内燃機関
として安定的に運転できるリッチ限界を超えてしまった
場合、第二気筒群(リーン気筒)の空燃比が内燃機関と
して安定的に運転できるリーン限界を超えてしまった場
合、あるいは、空燃比差によって第一気筒群の気筒出力
トルクと第二気筒群の気筒出力トルクとの差が大きくな
り過ぎて、エンジン1全体の機関出力トルクが不安定と
なってしまった場合などが考えられる。
【0086】また、ステップ303において、各気筒の
空燃比が必要空燃比である場合、即ち、ステップ303
が肯定された場合は、その時点の空燃比差によるNOx吸
蔵還元触媒3cの昇温で十分であるので、遅角制御は行
われずにNOx吸蔵還元触媒3cの昇温制御が終了され
る。
【0087】ステップ305においては、再度、現在の
NOx吸蔵還元触媒3cの温度を第三温度センサ5cによ
って測定し、このNOx吸蔵還元触媒3cの現在の温度が
目標温度よりも大きいか否かを判定する。NOx吸蔵還元
触媒3cの現在の温度が目標温度よりも大きい場合、即
ち、ステップ305が肯定された場合は、空燃比差によ
る昇温によってNOx吸蔵還元触媒3cを目標温度に昇温
させることができたとして、昇温制御が終了される。
【0088】一方、NOx吸蔵還元触媒3cの現在の温度
が目標温度以下である場合、即ち、ステップ305が否
定された場合は、遅角制御によって不足分を昇温させる
べく、まず、測定したNOx吸蔵還元触媒3cの現在の温
度と目標温度との差を求める(ステップ306)。この
求められた温度差から、NOx吸蔵還元触媒3cを昇温さ
せるための必要点火時期(遅角量)を第一気筒群及び第
二気筒群のそれぞれについてECU9によって演算により
求める(ステップ307)。このとき、第一気筒群及び
第二気筒群の各必要点火時期は、互いの気筒出力トルク
が一致するように決定される。
【0089】次に、求められた必要点火時期となるよう
に、各気筒の点火時期を徐変させる(ステップ30
8)。徐変させる度に、各気筒毎にその点火時期が必要
点火時期であるかを判定する(ステップ309)。各気
筒の点火時期が必要点火時期でない場合、即ち、ステッ
プ309が否定された場合は、さらに点火時期を遅角さ
せるのであるが、その都度、排気通路上の部品の温度が
限界値を超えていないかどうかを判定する(ステップ3
10)。
【0090】なお、ここに言う排気通路上の部品とは、
上流排気通路2a,2bを形成する排気管自体、NOx吸
蔵還元触媒3cの上流側に位置する合流排気通路2cの
一部を形成する排気管自体、酸素センサ4a〜4cや温
度センサ5a,5bなどの各種センサ類、前置触媒3
a,3bなどの部品を指している。また、排気管に設け
た排気弁や排気通路2a〜2c上にNOxセンサを設ける
場合はこのNOxセンサもここに言う排気通路上の部品に
該当する。さらに、前置触媒3a,3bやNOx吸蔵還元
触媒3c以外にHC吸着材を排気通路2a〜2c上に設け
る場合は、このHC吸着材なども、ここに言う排気通路上
の部品に該当する。
【0091】遅角制御による昇温は、排気ガス自体の温
度を上昇させることによってNOx吸蔵還元触媒3cを昇
温させるので、NOx吸蔵還元触媒3cの上流側の部品も
排気ガスによって昇温されてしまうことになる。このた
め、排気通路上の部品の温度が限界値を超えていないか
を、ステップ310において判定している。なお、各部
品の温度は、温度センサ5a〜5cの検出結果から推定
するようにしても良い。
【0092】ステップ310において、排気通路上の部
品の温度が限界値を超えている場合、即ち、ステップ3
10が肯定された場合は、それ以上排気ガスの温度を上
昇させることはできないので、NOx吸蔵還元触媒3cを
目標温度まで昇温させることができなかったとしても、
点火時期の変更を停止し(ステップ311)、NOx吸蔵
還元触媒3cの昇温制御が終了される。一方、排気通路
上の部品の温度が限界値以下である場合、即ち、ステッ
プ310が否定された場合は、遅角制御によるNOx吸蔵
還元触媒3cの昇温にまだ余裕があると考えられるの
で、ステップ308に戻って点火時期の徐変を継続して
行う。
【0093】点火時期を徐変させるうちに、ステップ3
09において、各気筒の点火時期が必要点火時期である
と判定された場合は、NOx吸蔵還元触媒3cを目標温度
に昇温させたと判断できるので昇温制御が終了される。
【0094】本実施形態によっても、上述した第一実施
形態と同様に、空燃比差による昇温と遅角制御による昇
温とを併用するため、内燃機関を安定した状態で運転さ
せつつ、NOx吸蔵還元触媒3cを、より早期に、かつ、
充分に高温に昇温させることができる。この結果、NOx
吸蔵還元触媒3cの浄化機能を有効に発揮させることが
でき、排気ガス内の有害物質を良好に浄化することがで
きる。
【0095】また、本実施形態においては、空燃比差に
よる昇温で不足する分を遅角制御による昇温によって補
うようにしてあるため、内燃機関はNOx吸蔵還元触媒3
cの昇温制御中であっても非常に安定して運転される。
さらに、本実施形態においても、各気筒群の気筒出力ト
ルクが一致するように遅角量が決定されるので、この点
からも、内燃機関を非常に安定して運転させることがで
きる。
【0096】次に、本発明の排気浄化装置の第三実施形
態について説明する。
【0097】本実施形態の排気浄化装置の構成は、上述
した第一実施形態及び第二実施形態と全く同様であるた
め、装置の構成についての説明は省略する。本実施形態
は、上述した第一実施形態及び第二実施形態とは、NOx
吸蔵還元触媒3cを昇温させる昇温制御が異なるだけで
ある。
【0098】以下に、本実施形態の排気浄化装置におい
て、排気浄化触媒であるNOx吸蔵還元触媒3cを昇温さ
せる行程について説明する。本実施形態における昇温制
御ルーチンのフローチャートを図7に示す。
【0099】上述した第一実施形態においては、「空燃
比−点火時期マップ」に基づいて空燃比及び点火時期を
決定し、第二実施形態においては、空燃比差による昇温
で不足が生じたときに遅角制御による昇温で補完させ
た。本実施形態においては、まず、遅角制御による昇温
を行ってNOx吸蔵還元触媒3cを昇温させ、この遅角制
御による昇温では足りない場合(遅角制御のみで昇温さ
せようとすると、排気ガスの温度上昇によって排気通路
上の部品が耐熱温度以上に昇温されてしまう場合など)
に、空燃比制御による昇温を行う。以下、図7のフロー
チャートに沿って説明する。
【0100】まず、現在のNOx吸蔵還元触媒3cの温度
を第三温度センサ5cによって測定すると共にNOx吸蔵
還元触媒3cの目標温度を各種センサの検出結果に基づ
く機関運転状態からECU9において算出し、このNOx吸蔵
還元触媒3cの現在の温度と目標温度との差を求める
(ステップ400)。この求められた温度差から、NOx
吸蔵還元触媒3cを昇温させるための第一気筒群(リッ
チ気筒)及び第二気筒群(リーン気筒)それぞれの必要
点火時期(遅角量)をECU9によって演算により求める
(ステップ401)。このとき、第一気筒群及び第二気
筒群の各必要点火時期は、互いの気筒出力トルクが一致
するように決定される。
【0101】次に、求められた必要点火時期となるよう
に、各気筒の点火時期を徐変させる(ステップ40
2)。徐変させる度に、各気筒毎にその点火時期が必要
点火時期であるかを判定する(ステップ403)。各気
筒の点火時期が必要点火時期でない場合、即ち、ステッ
プ403が否定された場合は、さらに点火時期を遅角さ
せるのであるが、その都度、排気通路上の部品の温度が
限界値を超えていないかどうかを判定する(ステップ4
04)。
【0102】上述したように、遅角制御による昇温は、
排気ガス自体の温度を上昇させることによってNOx吸蔵
還元触媒3cを昇温させる。このため、NOx吸蔵還元触
媒3cの上流側の部品も昇温させてしまうので、排気通
路上の部品の温度が限界値を超えていないかを、ステッ
プ404において判定している。
【0103】排気通路上の部品の温度が限界値を超えて
いる場合、即ち、ステップ404が肯定された場合は、
それ以上排気ガスの温度を上昇させることはできないの
で、ステップ405の後、ステップ406以降の空燃比
制御を行う。一方、排気通路上の部品の温度が限界値以
下である場合、即ち、ステップ404が否定された場合
は、遅角制御によるNOx吸蔵還元触媒3cの昇温にまだ
余裕があると考えられるので、ステップ402に戻って
点火時期の徐変を継続して行う。
【0104】また、ステップ403において、各気筒の
点火時期が必要点火時期である場合、即ち、ステップ4
03が肯定された場合は、その時点の遅角制御によるNO
x吸蔵還元触媒3cの昇温で十分であるので、空燃比制
御は行われずにNOx吸蔵還元触媒3cの昇温制御が終了
される。
【0105】ステップ405においては、再度、現在の
NOx吸蔵還元触媒3cの温度を第三温度センサ5cによ
って測定し、このNOx吸蔵還元触媒3cの現在の温度が
目標温度よりも大きいか否かを判定する。NOx吸蔵還元
触媒3cの現在の温度が目標温度よりも大きい場合、即
ち、ステップ405が肯定された場合は、遅角制御によ
る昇温によってNOx吸蔵還元触媒3cを目標温度に昇温
させることができたとして、昇温制御が終了される。
【0106】一方、NOx吸蔵還元触媒3cの現在の温度
が目標温度以下である場合、即ち、ステップ405が否
定された場合は、空燃比制御によって不足分を昇温させ
るべく、まず、測定したNOx吸蔵還元触媒3cの現在の
温度と目標温度との差を求める(ステップ406)。こ
の求められた温度差から、NOx吸蔵還元触媒3cを昇温
させるための必要空燃比を第一気筒群及び第二気筒群の
それぞれについてECU9によって演算により求める(ス
テップ407)。
【0107】次に、求められた必要空燃比となるよう
に、各気筒の空燃比を徐変させる(ステップ408)。
徐変させる度に、各気筒毎にその空燃比が目標空燃比で
あるかを判定する(ステップ409)。各気筒の空燃比
が目標空燃比でない場合、即ち、ステップ409が否定
された場合は、さらに空燃比を徐変させるのであるが、
その都度、機関出力トルクの変動が限界値を超えている
かを判定する(ステップ410)。
【0108】ステップ410において、機関出力トルク
の変動が限界値を超えている場合、即ち、ステップ41
0が肯定された場合は、空燃比差が限界を超えてエンジ
ン1の運転状態が悪化していると考えられるため、NOx
吸蔵還元触媒3cを目標温度まで昇温させることができ
なかったとしても、点火時期の変更を停止し(ステップ
411)、NOx吸蔵還元触媒3cの昇温制御が終了され
る。空燃比差が限界を超えている場合は、上述した第二
実施形態において説明した場合が考えられる。一方、機
関出力トルクの変動が限界値以下である場合、即ち、ス
テップ410が否定された場合は、空燃比制御によるNO
x吸蔵還元触媒3cの昇温にまだ余裕があると考えられ
るので、ステップ408に戻って点火時期の徐変を継続
して行う。
【0109】空燃比を徐変させるうちに、ステップ40
9において、各気筒の空燃比が必要空燃比であると判定
された場合は、NOx吸蔵還元触媒3cを目標温度に昇温
させたと判断できるので昇温制御が終了される。
【0110】本実施形態によっても、上述した第一実施
形態及び第二実施形態と同様に、空燃比差による昇温と
遅角制御による昇温とを併用するため、内燃機関を安定
した状態で運転させつつ、NOx吸蔵還元触媒3cを、よ
り早期に、かつ、充分に高温に昇温させることができ
る。この結果、NOx吸蔵還元触媒3cの浄化機能を有効
に発揮させることができ、排気ガス内の有害物質を良好
に浄化することができる。
【0111】また、本実施形態においては、遅角制御に
よる昇温で不足する分を空燃比制御によって補うように
してあるため、内燃機関はNOx吸蔵還元触媒3cの昇温
制御中であっても非常に安定して運転される。さらに、
本実施形態においても、各気筒群の気筒出力トルクが一
致するように遅角量が決定されるので、この点からも、
内燃機関を非常に安定して運転させることができる。な
お、ステップ408において気筒群毎に空燃比を徐変さ
せることによって、気筒出力トルクが変動するような場
合は、ステップ408の後にこの気筒出力トルクを調整
するための点火時期補正を行っても良い。
【0112】次に、本発明の排気浄化触媒の第四実施形
態について説明する。
【0113】本実施形態の排気浄化装置の構成は、上述
した第一実施形態と全く同様であるため、装置の構成に
ついての説明は省略する。本実施形態は、上述した第一
実施形態とは、NOx吸蔵還元触媒3cを昇温させる昇温
制御が異なるだけである。
【0114】以下に、本実施形態の排気浄化装置におい
て排気浄化触媒であるNOx吸蔵還元触媒3cを昇温させ
る行程について説明する。本実施形態における昇温制御
ルーチンのフローチャートを図8に示す。
【0115】上述した第一実施形態においては、空燃比
制御と共に行う点火時期の制御で第一気筒群及び第二気
筒群の双方を遅角させた。本実施形態においては、空燃
比制御と共に行う点火時期制御においては、まず、リッ
チ空燃比で運転される第一気筒群を遅角させると共にリ
ーン空燃比で運転される第二気筒群を進角させる(第一
点火時期制御状態)。そして、第一点火時期制御状態時
に機関の安定度合いが低下したときに、第一気筒群及び
第二気筒群の双方を遅角させる(第二点火時期制御状
態)。以下、図8のフローチャートに沿って説明する。
【0116】ECU9は、接続された各種センサの検出結
果に基づいて、NOx吸蔵還元触媒3cを昇温させる必要
があるどうかを常時監視している。ここでは、NOx吸蔵
還元触媒3cのSOx被毒が顕著となり、NOx吸蔵還元触媒
3cからSOxを放出させるためにNOx吸蔵還元触媒3cの
昇温が必要となった場合で説明する。SOx被毒回復制御
が必要であるとECU9によって判断された場合には、NOx
吸蔵還元触媒3cの昇温させるべくSOx被毒回復制御状
態に移行する。SOx被毒回復制御状態中は、図8に示さ
れるルーチンが、所定時間(例えば、数ミリ秒)毎に繰
り返し行われる。
【0117】まず、SOx被毒回復制御を実行中であるか
否かが判断される(ステップ500)。SOx被毒回復制
御を実行中でない場合(SOx被毒回復制御が終了したと
きなど)は、目標補正量がクリアされる(ステップ50
8)。SOx被毒回復制御が実行中である場合は、NOx吸蔵
還元触媒3cを昇温させるべく、ステップ501以降で
エンジン1の空燃比及び点火時期が制御される。
【0118】ステップ500においてSOx被毒回復制御
をを実行中であると判断された場合は、まず、機関の安
定度合いが安定しているかどうかの判定を行う(ステッ
プ501)。ステップ501は、SOx被毒回復制御、即
ち、NOx吸蔵還元触媒3cの昇温制御中における機関の
安定度合いを見るためのステップである。
【0119】なお、ここに言う機関の安定度合いとは、
各気筒における燃焼状態の安定度のことであり、具体的
にはエンジン回転数の変動率に基づいて判断され、エン
ジン回転数の変動率が所定値以上であるときに安定度合
いが低下したと判断される。また、エンジン回転数以外
にも、燃焼室に設けられた燃焼圧センサにより燃焼圧の
変化、点火栓で測定されるイオン電流の大きさ、ノッキ
ングセンサ(振動センサ)による機関の振動、クランク
シャフトに設けたトルクセンサの出力変化等からも機関
安定度合いを判断することが可能である。
【0120】ステップ501において、機関が安定的に
運転されていると判断された場合は、上述した各種セン
サ類によって検出された検出結果から機関の運転状態を
判断し、「空燃比−点火時期マップ」から機関の運転状
態に応じた目標遅角量及び目標進角量並びに目標空燃比
が決定される(ステップ502,503)。この決定さ
れた目標遅角量及び目標進角量並びに目標空燃比に従っ
て、点火時期制御処理及び空燃比制御処理が行われる
(ステップ506,507)。ここでの目標空燃比は、
第一気筒群をリッチ空燃比とし第二気筒群をリーン空燃
比とするものである。また、ここでの目標点火時期は、
第一気筒群を遅角させると共に第二気筒群を進角させる
ものである。
【0121】第一気筒群をリッチ空燃比とし第二気筒群
をリーン空燃比とし、かつ、第一気筒群を遅角させると
共にリーン空燃比で運転される第二気筒群を進角させる
制御状態を、第一点火時期制御状態とする。第一点火時
期制御状態では、第一気筒群を遅角させると共に第二気
筒群を進角させるので、気筒出力トルクをほとんど低下
させることなく両気筒群の気筒出力トルクの差を小さく
し、機関の安定度合いを向上させることができる。この
とき、第一気筒群の遅角量と第二気筒群の進角量とが、
各気筒群の気筒出力トルクを一致させるように決定され
ることが好ましい。
【0122】一方、ステップ501において、機関の安
定度合いが低下していると判断された場合は、上述した
各種センサ類によって検出された検出結果から機関の運
転状態を判断し、「空燃比−点火時期マップ」から機関
の運転状態に応じた目標遅角量及び目標空燃比が決定さ
れる(ステップ504,505)。この決定された目標
遅角量及び目標空燃比に従って、遅角制御処理及び空燃
比制御処理が行われる(ステップ506,507)。こ
こでの目標空燃比は、第一気筒群をリッチ空燃比とし第
二気筒群をリーン空燃比とするものである。また、ここ
での目標点火時期は、第一気筒群及び第二気筒群の双方
を遅角させるものである。このとき、第一気筒群及び第
二気筒群の遅角量とが、各気筒群の気筒出力トルクを一
致させるように決定されることが好ましい。
【0123】機関の安定度合いが低下する要因として
は、上述した第二実施形態における説明で述べたよう
に、第一気筒群(リッチ気筒)の空燃比が内燃機関とし
て安定的に運転できるリッチ限界に達した場合や、第二
気筒群(リーン気筒)の空燃比が内燃機関として安定的
に運転できるリーン限界に達した場合が考えられる。こ
のため、第一気筒群の空燃比と第二気筒群の空燃比との
間の空燃比差をそれ以上大きくすることはせず(あるい
は、積極的に空燃比差を小さくして)、機関の安定度合
いを安定させる必要がある。また、これと同時にNOx吸
蔵還元触媒3cの昇温もさせなくてはならない。
【0124】そこで、機関の安定度合いが低下している
場合、即ち、ステップ501が否定されるような場合
は、上述したように両気筒群とも点火時期を遅角させて
排気ガスの温度を上昇させることによって、NOx吸蔵還
元触媒3cを昇温させる第二点火時期制御状態に移行す
る。第二点火時期制御状態においては、空燃比制御によ
る昇温と遅角制御による昇温とを併用することによっ
て、内燃機関を安定した状態で運転させつつ、NOx吸蔵
還元触媒3cを、より早期に、かつ、充分に高温に昇温
させることができる。この結果、NOx吸蔵還元触媒3c
の浄化機能を有効に発揮させることができ、排気ガス内
の有害物質を良好に浄化することができる。
【0125】なお、ステップ506の点火時期制御処理
については、上述した第一実施形態における遅角制御処
理にほぼ準じるため(本実施形態の点火時期制御処理に
おいては、一部進角させる制御がある点のみが異な
る)、ここでの説明を省略する。また、ステップ507
の空燃比制御処理についても、上述した第一実施形態に
おける空燃比制御処理と同様であるため、ここでの説明
を省略する。
【0126】本実施形態における上述した空燃比と点火
時期と気筒出力トルクとの関係を模式的に表した図を図
9に示す。図9(a)が第一点火時期制御状態における空
燃比と点火時期と気筒出力トルクとの関係を示してお
り、図9(b)が第二点火時期制御状態における空燃比と
点火時期と気筒出力トルクとの関係を示している。
【0127】図9(a)中A点は、理想空燃比で運転した
ときの最適点火時期を示している。図2中AR点は、A
点に対応した、リッチ空燃比における最適点火時期を示
している。図9(a)中AL点は、A点に対応した、リー
ン空燃比における最適点火時期を示している。AR点と
AL点とでは点火時期は一致している。ここではさら
に、第一気筒群及び第二気筒群に対して点火時期制御も
行い、それぞれ図9(a)中CR点,CL点で示される空
燃比及び点火時期で運転する。この結果、空燃比制御に
よってNOx吸蔵還元触媒3cを昇温させると共に、点火
時期制御によって気筒出力トルクをほとんど低下させる
ことなく、各気筒間の気筒出力トルクの差を小さくする
(図9(a)においては、各気筒間の気筒出力トルクを完
全に一致させている)ことができる。この状態が、上述
した第一点火時期制御状態である。
【0128】そして、第一点火時期制御状態時に、第一
気筒群又は第二気筒群が安定的に運転し得る空燃比範囲
を逸脱して機関の安定度合いが低下した場合は、図9
(b)に示される第二点火時期制御状態に移行する。第二
点火時期制御状態においては、第一点火時期制御におけ
る両気筒群の点火時期を双方とも最適点火時期より遅角
させる。即ち、第一気筒群及び第二気筒群を、それぞれ
図9(b)中DR点,DL点で示される空燃比及び点火時
期での運転に移行させる。
【0129】第二点火時期制御状態においては、空燃比
差による昇温と遅角制御による昇温とを併用するため、
内燃機関を安定した状態で運転させつつ、NOx吸蔵還元
触媒3cを、より早期に、かつ、充分に高温に昇温させ
ることができる。この結果、NOx吸蔵還元触媒3cの浄
化機能を有効に発揮させることができ、排気ガス内の有
害物質を良好に浄化することができる。また、このと
き、DR点,DL点で示されるように、両者の気筒出力
トルクが一致するように第一気筒群及び第二気筒群の遅
角量が決定されるので、気筒出力トルクのバラツキも抑
制される。
【0130】なお、本実施形態においては、「空燃比−
点火時期マップ」に基づいて各気筒群の空燃比と点火時
期を決定するようにしたが、上述した第二実施形態のよ
うに、まず空燃比を決定してから点火時期を決定するよ
うにしても良い。また、第三実施形態のように、まず点
火時期を決定してから空燃比を決定するようにしても良
い。
【0131】次に、本発明の排気浄化触媒の第五実施形
態について説明する。
【0132】本実施形態の排気浄化装置の構成は、上述
した第一実施形態と全く同様であるため、装置の構成に
ついての説明は省略する。本実施形態は、上述した第一
実施形態とは、NOx吸蔵還元触媒3cを昇温させる昇温
制御が異なるだけである。
【0133】本実施形態では、遅角制御によってのみNO
x吸蔵還元触媒3cを昇温させる。遅角制御によってNOx
吸蔵還元触媒3cを昇温させるには、第一気筒群及び第
二気筒群の双方の点火時期を最適点火時期よりも遅角さ
せる。点火時期を遅角させることによって、排気ガスの
温度が上昇し、排気ガスによってNOx吸蔵還元触媒3c
が昇温される。
【0134】このとき、第一気筒群の遅角量は、第一気
筒群に連通する第一上流排気通路2a上の部品耐熱温度
に基づいて、第一上流排気通路2a上の各部品がその耐
熱温度を超えず、かつ、排気ガスの温度を最大限に上昇
させることができる遅角量となるように制御される。一
方、第二気筒群の遅角量は、第二気筒群に連通する第二
上流排気通路2b上の部品耐熱温度に基づいて、第二上
流排気通路2b上の各部品がその耐熱温度を超えず、か
つ、排気ガスの温度を最大限に上昇させることができる
遅角量となるように制御される。
【0135】即ち、第一気筒群及び第二気筒群の遅角量
は、それぞれ第一上流排気通路2a及び第二上流排気通
路2bそれぞれの部品耐熱温度に基づいて、それぞれ独
立して決定される。特に、排気通路の上流側に配置され
た前置触媒3a,3bは、排気ガスによって非常に高温
になり易く、耐熱温度を超え易い状況にあると言える。
また、前置触媒3a,3bは、配設の仕方によって放出
される熱量が異なったり、外気の吹き付け方によっても
放出される熱量が異なる。このため、第一前置触媒3a
と第二前置触媒3bとの温度には差が生じ易く、耐熱温
度から見た許容し得る排気ガス温度上昇分(即ち、遅角
量)に差が生じ易い。
【0136】そこで、本実施形態においては、特に前置
触媒3a,3bの温度を温度センサ5a,5bで検出
し、検出した触媒温度に基づいて、各気筒群の遅角量を
各気筒群毎に制御している。このようにすることによっ
て、両気筒群の遅角量を、前置触媒3a,3bがその耐
熱温度を超えず、かつ、排気ガスの温度を最大限に上昇
させることができる。この結果、NOx吸蔵還元触媒3c
を効率よく良く昇温させることができ、排気ガス内の有
害物質を良好に浄化することができる。
【0137】上述したように気筒群毎に遅角量を制御し
ない場合は、耐熱温度に対して余裕のない気筒群側に合
わせて両気筒群の点火時期を単一の遅角量で制御するこ
とになる。この場合は、耐熱温度に対してまだ余裕があ
る気筒群側では、さらに遅角して排気ガス温度を上昇さ
せてNOx吸蔵還元触媒3cを昇温させることができるに
も関わらず、遅角量が制限されていることになる。本実
施形態では、気筒群毎に遅角量を制御するので、このよ
うなことはない。
【0138】なお、本実施形態においては、遅角制御の
みでNOx吸蔵還元触媒3cを昇温させる場合を説明した
が、空燃比制御と遅角制御を併用してNOx吸蔵還元触媒
3cを昇温させる場合も、気筒群毎に遅角量を独立して
制御し、各気筒群の排気通路の部品耐熱温度に基づいて
決定しても良い。また、本実施形態においては、特に前
置触媒3a,3bの耐熱温度に基づいて遅角量を気筒群
毎に制御したが、各気筒群に連通する上流排気通路2
a,2b上の部品は、上述した前置触媒3a,3bでな
くても第一上流排気通路2a上の部品と上流排気通路2
b上の部品とで異なる温度となる場合がある。このた
め、前置触媒3a,3b以外の上流排気通路2a,2b
上の部品の耐熱温度に基づいて遅角量を気筒群毎に制御
する場合もあり得る。
【0139】上述した第二実施形態や第三実施形態にお
いては、第一気筒群と第二気筒群の気筒出力トルクを一
致させるという観点で各気筒群の遅角量を決定した。し
かし、機関の安定度合いが不安定にならない範囲であれ
ば、各気筒群の気筒出力トルクに多少の差が生じても許
容できる。そこで、このような場合に、本実施形態に準
じた制御を行うことによって、各気筒群の排気通路の部
品が耐熱温度を超えない範囲で、各気筒群の排気ガスの
温度をそれぞれ独立させて最大限上昇させ、遅角制御に
よるNOx吸蔵還元触媒3cの昇温を効率的に行うように
することも可能である。
【0140】本発明の多気筒内燃機関の排気浄化装置
は、上述した実施形態のものに限定されない。例えば、
上述した実施形態においては、#1気筒と#4気筒により第
一気筒群を構成し、#2気筒と#3気筒とで第二気筒群を構
成したが、ある一気筒により一つの気筒群を構成し、残
りの三気筒で他の気筒群を構成するようにしても良い。
また、気筒群は二つに限られるものではなく、三つ以上
の気筒群とされても良い。さらに、全気筒数は必ずしも
四気筒に限られるものではなく、直列六気筒やV型八気
筒のような他の種類の多気筒エンジンにも適用可能であ
る。
【0141】また、上述した実施形態においては、NOx
吸蔵還元触媒3cのSOx被毒回復で説明したが、これに
限定されない。排気浄化触媒としては三元触媒がSOxに
よって被毒した場合、三元触媒を昇温することで被毒劣
化が解消されることも知られている。従って、本発明
は、三元触媒のSOx被毒回復にも適用することが可能で
ある。
【0142】
【発明の効果】本発明の多気筒内燃機関の排気浄化装置
は、排気通路上に設けられた排気浄化触媒と、多気筒内
燃機関の各気筒の空燃比を制御する空燃比制御手段と、
各気筒の点火時期を制御する点火時期制御手段とを備え
ており、空燃比制御手段が、第一気筒群をリッチ空燃比
で運転し、かつ、第二気筒群をリーン空燃比で運転する
と共に、点火時期制御手段が、全気筒の点火時期を最適
点火時期よりも遅角させて、排気浄化触媒を昇温させる
ので、安定した運転状態で、排気浄化触媒をより早期に
十分高温に昇温させることによって、排気ガス中の有害
物質を良好に浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多気筒内燃機関の排気浄化装置の一実
施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明の多気筒内燃機関の排気浄化装置の第一
実施形態における排気浄化触媒の昇温制御ルーチンを示
すフローチャートである。
【図3】本発明の多気筒内燃機関の排気浄化装置の第一
実施形態における排気浄化触媒の昇温制御における遅角
制御処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】本発明の多気筒内燃機関の排気浄化装置の第一
実施形態における排気浄化触媒の空燃比制御における、
空燃比センサ(酸素センサ)の出力信号と生成される空
燃比フィードバック補正値の信号との関係を示す説明図
である。
【図5】本発明の多気筒内燃機関の排気浄化装置の第一
実施形態における排気浄化触媒の昇温制御における空燃
比と点火時期と気筒出力トルクとの関係を示す説明図で
ある。
【図6】本発明の多気筒内燃機関の排気浄化装置の第二
実施形態における排気浄化触媒の昇温制御ルーチンを示
すフローチャートである。
【図7】本発明の多気筒内燃機関の排気浄化装置の第三
実施形態における排気浄化触媒の昇温制御ルーチンを示
すフローチャートである。
【図8】本発明の多気筒内燃機関の排気浄化装置の第四
実施形態における排気浄化触媒の昇温制御ルーチンを示
すフローチャートである。
【図9】本発明の多気筒内燃機関の排気浄化装置の第四
実施形態における排気浄化触媒の昇温制御における空燃
比と点火時期と気筒出力トルクとの関係を示す説明図で
あり、(a)が第一点火時期制御状態、(b)が第二点火時期
制御状態を示している。
【符号の説明】
1…エンジン、2a…第一上流排気通路(上流排気通
路、排気通路)、2b…第二上流排気通路(上流排気通
路、排気通路)2c…合流排気通路(排気通路)、3a
…第一前置触媒(排気浄化触媒)、3b…第二前置触媒
(排気浄化触媒)、3c…NOx吸蔵還元触媒(排気浄化
触媒)、4a…第一酸素センサ(空燃比センサ)、4b
…第二酸素センサ(空燃比センサ)、4c…第三酸素セ
ンサ(空燃比センサ)、5a,5b,5c…温度セン
サ、6…燃料噴射弁、7…点火プラグ、8…クランクポ
ジションセンサ、9…ECU(空燃比制御手段、点火時期
制御手段)。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F01N 3/24 F01N 3/24 R E 3/28 3/28 K 301 301C F02D 43/00 301 F02D 43/00 301B 301E 45/00 312 45/00 312R F02P 5/15 F02P 5/15 K (72)発明者 入澤 泰之 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 鈴木 直人 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3G022 AA03 BA01 DA01 DA02 EA04 FA04 FA05 FA06 GA01 GA05 GA07 GA08 GA10 3G084 AA03 BA02 BA13 BA17 BA24 CA01 CA02 DA10 DA28 EB03 EB11 EB17 EB25 EC02 FA11 FA13 FA18 FA26 FA30 FA32 FA33 FA35 FA38 3G091 HA42 HB02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排気通路上に設けられた排気浄化触媒
    と、多気筒内燃機関の各気筒の空燃比を制御する空燃比
    制御手段と、各気筒の点火時期を制御する点火時期制御
    手段とを備えた多気筒内燃機関の排気浄化装置におい
    て、 前記空燃比制御手段が、第一気筒群をリッチ空燃比で運
    転し、かつ、第二気筒群をリーン空燃比で運転すると共
    に、前記点火時期制御手段が、全気筒の点火時期を最適
    点火時期よりも遅角させて、前記排気浄化触媒を昇温さ
    せることを特徴とする多気筒内燃機関の排気浄化装置。
  2. 【請求項2】 前記点火時期制御手段が、点火時期の遅
    角量を前記各気筒群毎に制御して、各気筒の気筒出力ト
    ルクを一致させる、請求項1に記載の多気筒内燃機関の
    排気浄化装置。
  3. 【請求項3】 排気通路上に設けられた排気浄化触媒
    と、第一気筒群をリッチ空燃比で運転させると共に第二
    気筒群をリーン空燃比で運転させる空燃比制御手段と、
    各気筒の点火時期を制御する点火時期制御手段とを備え
    た多気筒内燃機関の排気浄化装置において、 前記点火時期制御手段が、前記第一気筒群の点火時期を
    最適点火時期よりも遅角させると共に前記第二気筒群の
    点火時期を最適点火時期よりも進角させて点火時期の制
    御状態を第一点火時期制御状態に切り替え、前記第一点
    火時期制御状態時に内燃機関の安定度合いが低下したと
    きには、前記第一気筒群及び前記第二気筒群の双方の点
    火時期を最適点火時期よりも遅角させて点火時期の制御
    状態を第二点火時期制御状態にさらに切り替えて、前記
    排気浄化触媒を昇温させることを特徴とする多気筒内燃
    機関の排気浄化装置。
  4. 【請求項4】 前記排気浄化触媒がNOx吸蔵還元触媒で
    ある、請求項1〜3の何れか一項に記載の多気筒内燃機
    関の排気浄化装置。
  5. 【請求項5】 機関の運転状態に応じた前記各気筒群の
    空燃比及び点火時期を規定した空燃比-点火時期マップ
    に基づいて、前記空燃比制御手段により前記各気筒の空
    燃比を制御すると共に前記点火時期制御手段により前記
    各気筒の点火時期の遅角量を制御する、請求項1〜4の
    何れか一項に記載の多気筒内燃機関の排気浄化装置。
  6. 【請求項6】 機関の運転状況に応じて前記空燃比制御
    手段により前記各気筒群の空燃比を決定し、決定された
    前記各気筒群の空燃比に基づいて、前記点火時期制御手
    段により各気筒の点火時期の遅角量を制御する、請求項
    1〜4の何れか一項に記載の多気筒内燃機関の排気浄化
    装置。
  7. 【請求項7】 機関の運転状況に応じて前記点火時期制
    御手段により各気筒の点火時期の遅角量を決定し、決定
    された前記各気筒群の点火時期の遅角量に基づいて、前
    記空燃比制御手段により前記各気筒群の空燃比を制御す
    る、請求項1〜4の何れか一項に記載の多気筒内燃機関
    の排気浄化装置。
  8. 【請求項8】 多気筒内燃機関を複数の気筒群に分割す
    るとともに前記各気筒群に接続された上流排気通路と、
    前記上流排気通路が合流された合流排気通路と、前記合
    流排気通路上に設けられた排気浄化触媒と、各気筒の点
    火時期を制御する点火時期制御手段とを備えた多気筒内
    燃機関の排気浄化装置において、 前記点火時期制御手段が、前記上流排気通路上の部品耐
    熱温度に基づいて、点火時期の遅角量を前記各気筒群毎
    に制御して、前記排気浄化触媒を昇温させることを特徴
    とする多気筒内燃機関の排気浄化装置。
  9. 【請求項9】 前記上流排気通路に前置触媒を設け、前
    記前置触媒の耐熱温度に基づいて点火時期の遅角量を各
    気筒群毎に制御する、請求項8に記載の多気筒内燃機関
    の排気浄化装置。
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