JP2000129353A - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
方向性電磁鋼板の製造方法Info
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- JP2000129353A JP2000129353A JP10305128A JP30512898A JP2000129353A JP 2000129353 A JP2000129353 A JP 2000129353A JP 10305128 A JP10305128 A JP 10305128A JP 30512898 A JP30512898 A JP 30512898A JP 2000129353 A JP2000129353 A JP 2000129353A
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Abstract
性電磁鋼板の製造方法において、製品中にインヒビター
成分が残留することによって引き起こされる鉄損および
二次加工性の劣化を回避し、磁気特性並びに加工性に優
れる方向性電磁鋼板を提供する。 【解決手段】 Si:2.0 〜8.0 重量%、Mn:0.005 〜3.
0 重量%、Al:0.0010〜0.012 重量%を含み、Se,S,
NおよびOの含有量をそれぞれ30ppm 以下に低減した溶
鋼から製造したスラブに熱間圧延を施し、その後必要に
応じて熱延板焼鈍を施してから、1回もしくは中間焼鈍
を挟む2回以上の冷間圧延を施した後、連続焼鈍による
再結晶焼鈍を行い、さらに必要に応じて絶縁コーティン
グを施す方向性電磁鋼板の製造方法において、最終冷間
圧延前の平均結晶粒径を0.03〜0.20mmとすること、最終
冷間圧延を圧下率:55〜75%の範囲で行うこと、そして
再結晶焼鈍を950 〜1175℃の温度域で行う。
Description
変圧器あるいは回転機の鉄心材料に用いられる方向性電
磁鋼板である。
〔001〕方位や(100)〔001〕方位に配向した
方向性電磁鋼板は、鋼中にインヒビターと呼ばれる成分
を含有させ、鋼スラブを高温で加熱し該インヒビターを
高温で固溶させた後、熱間圧延を施して微細にインヒビ
ターを析出させ、2次再結晶と呼称される現象を利用し
て、上述の結晶方位を得る、一連の工程にて製造される
のが一般的である。
れたAlN や MnSを使用する方法、特公昭51−13469 号公
報に記載されたMnS やMnSeを使用する方法などが開示さ
れ、工業的に実用化されている。さらに、CuSeとBNを添
加する技術が特公昭58−42244 号公報に、Ti, Zr, Vの
窒化物を使用する方法が特公昭46−40855 号公報に、そ
れぞれ記載されている。
定して二次再結晶粒を発達させるのに有用であるが、析
出物を微細に分散させる必要があるため、熱間圧延前の
スラブ加熱を1300℃以上の高温で行っている。このスラ
ブの高温加熱は、それを実現するための設備コストがか
かり、さらに熱間圧延時に生成するスケールの量も多大
になるから、歩留りが低下するだけでなく、設備のメン
テナンス等の問題も多くなる。
鋼板の製造は、箱焼鈍で高温かつ長時間の最終仕上焼鈍
を施すことが、通常であるが、この最終仕上焼鈍後に、
インヒビター成分が残存すると、磁気特性を劣化させる
という問題がある。そこで、インヒビター成分である、
例えばAl,N,Se,Sなどを鋼中より除去するために、
二次再結晶に引き続いて、1100℃以上の水素雰囲気中で
数時間にわたる鈍化焼鈍を必要とするのである。しか
し、高温の純化焼鈍は、鋼板の機械強度を低下してコイ
ルの下部に座屈が発生し易くなるため、得られる製品で
の歩留りが著しく低下する不利が生じる。
造工程を簡略化することを目的として、箱焼鈍を連続焼
鈍化する試みが古くからなされている。すなわち、従来
の連続焼鈍による方向性電磁鋼板の製造技術としては、
特公昭48−3929号公報、特公昭62−31050 号公報および
特開平5−70833 号公報に開示されているように、AlN,
MnS, MnSeなどのインヒビターを使用して短時間に二次
再結晶させる技術がある。
る短時間焼鈍では除去することができずに製品板に残留
し、インヒビター成分、特にSeやSが鋼に残留している
と、磁壁の移動を妨げるために鉄損特性に悪影響を及ぼ
し、さらにこれらのインヒビター成分は脆化元素でもあ
るから、製品の二次加工性も低下することになる。従っ
て、インヒビターを使用する限りは、連続焼鈍によって
良好な磁気特性と加工性を得ることができなかったので
ある。
ターを使用した連続焼鈍による方向性電磁鋼板の製造方
法において、製品中にインヒビター成分が残留すること
によって引き起こされる鉄損および二次加工性の劣化を
回避し、磁気特性並びに加工性に優れる方向性電磁鋼板
を提供しようとするものである。
ヒビター成分を含まない高鈍度素材を用いて再結晶組織
の形成に関する研究を行ったところ、素材の高純度化の
うち、特にSe,S,NおよびOを低減するとともに、あ
る限定された条件下で製造することによって、再結晶後
に高度に{110}<001>組織が発達することを知
見し、この発明を完成させた。
おりである。 (1) Si:2.0 〜8.0 重量%、Mn:0.005 〜3.0 重量%、
Al:0.0010〜0.012 重量%を含み、Se,S,NおよびO
の含有量をそれぞれ30ppm 以下に低減した溶鋼から製造
したスラブに熱間圧延を施し、その後必要に応じて熱延
板焼鈍を施してから、1回もしくは中間焼鈍を挟む2回
以上の冷間圧延を施した後、連続焼鈍による再結晶焼鈍
を行い、さらに必要に応じて絶縁コーティングを施す方
向性電磁鋼板の製造方法において、最終冷間圧延前の平
均結晶粒径を0.03〜0.20mmとすること、最終冷間圧延を
圧下率:55〜75%の範囲で行うこと、そして再結晶焼鈍
を950 〜1175℃の温度域で行うことを特徴とする方向性
電磁鋼板の製造方法。
i:0.01〜1.50重量%、Sn:0.01〜0.50重量%,Sb:0.0
05 〜0.50重量%,Cu:0.01〜0.50重量%,Mo:0.005
〜0.50重量%およびCr:0.01〜0.50重量%の少なくとも
1種類を含有することを特徴とする方向性電磁鋼板の製
造方法。
を加熱することなく直接熱間圧延することを特徴とする
方向性電磁鋼板の製造方法。
ら直接鋳造法で得られた厚さ100mm以下の薄鋳片を用い
ることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
た実験結果について詳しく説明する。 C:33ppm ,Mn:0.15重量%,Si:3.3 重量%およびA
l:0.0050重量%を含む鋼成分を基本とし、この基本成
分に対して不純物としてのSe,S,NおよびO量を種々
に変化させた鋼塊を多数溶製した。それらの鋼塊を、11
00℃に加熱してから熱間圧延し2.2mm 厚に仕上げた。そ
の後、冷間圧延にて0.85mm厚に仕上げ、900 ℃で60秒間
の中間焼鈍を施し、次いで冷間圧延にて0.35mm厚に仕上
げた後、1000℃,3分間の再結晶焼鈍を行った。
鈍後の圧延方向の磁束密度を測定した。その結果を図1
に示すように、Se,S,N,Oの含有量がそれぞれ30pp
m 以下になると、磁束密度B8 は1.75T以上となった。
なお、中間焼鈍後の平均再結晶粒径は、各鋼塊とも約0.
10mmであった。
である製品について、その集合組織をX線で調査した。
その調査結果を図2に示すように、{110}<001
>方位の組織が高度に集積して、他の方位成分が全く存
在しないことがわかる。
ことにより、短時間の再結晶焼鈍によっても{110}
<001>方位の組織を発達させて圧延方向の磁化特性
を向上できることが判明した。
以下,S:13ppm ,N:12ppm ,O:15ppm )を用いて
中間板厚と中間焼鈍温度を変更して最終冷間圧延前の結
晶粒径を変化させ、最終冷間圧延で0.29mm厚に仕上げた
のち、1100℃で5分間の再結晶焼鈍を行って得た、製品
について磁束密度を調べた。その調査結果を図3に示す
ように、最終冷間圧延前の粒径が0.03〜0.20mmかつ最終
冷間圧延の圧下率が55〜75%の範囲において、B8 >1.
75Tの良好な磁束密度が得られることがわかった。すな
わち、最終冷間圧延前の粒径と最終冷間圧延の圧下率が
製品の磁束密度に大きく影響を与えることが、ここに新
規に知見されたのである。
いて検討を行ったところ、Niを添加することにより、製
品の磁東密度が向上することを見い出した。すなわち、
C:22ppm ,Mn:0.12重量%,Si:3.3 重量%およびA
l:0.0040重量%を含有する鋼成分を基本として、この
基本成分に対してNi量を種々に変化させた鋼塊(Se:5
ppm 以下,S:10ppm ,N:9ppm ,O:11ppm )を溶
製し、それらの鋼塊を1140℃に加熱して熱間圧延して2.
5mm 厚に仕上げたのち、0.80mm厚まで冷間圧延し、800
℃で120 秒間の中間焼鈍を施した。その後、冷間圧延で
0.26mm厚に仕上げてから、1050℃5分間の再結晶焼鈍を
行った。最終冷間圧延前の再結晶平均粒径は、0.085 〜
0.095mm であった。
の磁束密度を測定した。その結果を図4に示すように、
Niを添加することにより磁束密度を向上することができ
た。ここで、磁束密度が向上した理由は定かではない
が、Niが強磁性体元素であることが何らかの形で磁束密
度の向上に寄与しているものと推定される。
1種または2種以上の添加により、鉄損を改善する傾向
が認められた。おそらく、電気抵抗を増加させることに
より鉄損が低減されたものと、推定される。
粒径は0.30〜2.0mm 程度であり、従来のインヒビターを
用いて二次再結晶させて製造する方向性電磁鋼板の粒
径、3.0 〜30mm程度と比較して微細である。この粒径が
微細であることは、打抜きや穴開け等の加工性を改善す
るのに有利である。すなわち、この発明に従って連続焼
鈍にて{ll0}<001>方位組織を発達させると、
従来のインヒビターを用いて二次再結晶させて製造する
技術に比べて、加工性に優れた製品が製造されるのであ
る。
を含まない素材を用いて連続焼鈍により、{ll0}<
001>方位の組織が高度に発達し、微細結晶粒を有す
る、加工性の良好な方向性電磁鋼板を製造する方法が完
成されたのである。
使用しない高純度成分系の素材を用いて、ある限定され
た条件下で製造することによって、再結晶後に{ll
0}<001>方位の組織が高度に発達する理由は必ず
しも明らかではないが、以下のように考えている。
{ll0}<001>方位組織の発達過程を詳しく調査
したところ、再結晶完了時には{ll0}<001>方
位組織は十分発達しておらず、再結晶完了後の粒成長段
階で{ll0}<001>方位が優先的に成長すること
を認めた。このような優先的な{ll0}<001>方
位粒の優先成長においては、インヒビターの存在下にお
ける二次再結晶に類似した粒成長が起きているものと考
えられる。
において{ll0}<001>粒が二次再結晶する理由
について鋭意研究を重ねた結果、一次再結晶組織におけ
る方位差角20〜45°である粒界が重要な役割を果たして
いることを見出し、Acta Material 45巻(1997)85ペー
ジに報告した。すなわち、図5に方向性電磁鋼板の一次
再結晶組織における方位差角20〜45°である粒界の存在
頻度を示すように、ゴス方位が最も高い頻度を持つ。こ
の方位差角20〜45°の粒界は、C.G.Dunnらによる実験デ
ータ(AIME Transaction 188巻(1949)368 ページ)に
よれば、高エネルギー粒界である。高エネルギー粒界
は、粒界内の自由空間が大きく乱雑な構造をしている。
そして、粒界拡散は粒界を通じて原子が移動する過程で
あるから、粒界中の自由空間の大きい、高エネルギー粒
界のほうが粒界拡散が速い。
呼ばれる析出物の拡散律速による成長に伴って発現する
ことが知られている。そして、高エネルギー粒界上の析
出物は、仕上焼鈍中に優先して粗大化が進行する。一
方、粒界移動を抑制する力、いわゆる「ピン止め力」は
析出物粒界に反比例する。そのため、高エネルギー粒界
が優先的に粒界移動を開始し、ゴス粒が成長するのであ
る。
ヒビターを使用して二次再結晶させるためには、Al,S
e,S量およびそれらと結合するN,Mn,Cu量を適正量
含有させ、かつインヒビターを微細分散させる必要があ
り、そのために工程条件、特に熱間圧延工程に細心の注
意を払う必要がある。これらの条件が満たされない場合
は、二次再結晶が起きずに正常粒が成長するため、{l
l0}<001>組織が発達しないことが、よく知られ
ている。
は、粒界、特に構造の乱雑なエネルギーの高い粒界に偏
析しやすく、B,Se,Sおよびそれらと結合するN,M
n,Cuが同時に適正量含有されていない場合、あるいは
微細に析出物が分散していない場合には、Se,S,Nお
よびOの粒界偏析効果の方が、上記析出物による方位選
択効果よりも大きな影響を与え、結果として高エネルギ
ー粒界と他の粒界との移動速度に差がなくなり、ゴス方
位粒の優先成長が妨げられると考えられる。
うな不純物元素、特にSe,S,NおよびOの影響を排除
すると、高エネルギー粒界の構造に依存する本来的な移
動速度差が顕在化すること、および粒界移動速度が素材
の高純度化によって増大することから、インヒビター成
分を含まない高純度成分系において、再結晶完了後の粒
成長過程で{ll0}<001>粒が優先的に成長する
ものと推定される。
2 重量%含有させることにより、再結晶完了後の粒成長
過程において、良好な{ll0}<001>粒を発達さ
せている。この理由は明らかでないが、微量Alが鋼中の
微量に残留するNとO等を固定してマトリックスを清浄
にする働き、あるいは表層に緻密な酸化層を形成して再
結晶焼鈍時の窒化を抑える働き、が有効に作用するもの
と推定される。
ついて述べる。まず、電磁鋼板を製造する際の溶鋼成分
の限定理由を以下に説明する。溶鋼成分としては、Si:
2.0 〜8.0 重量%を含有することが肝要である。すなわ
ち、Siが2.0 重量%未満であると、γ変態を生じて熱延
組織が大きく変化する他、最終冷間圧延後の再結晶焼鈍
において高温で通板することができず、良好な磁気特性
を得ることができない。さらに、Siが2.0 重量%未満で
あると、電気抵抗が小さく鉄損の改善も不十分となる。
一方、Siが8.0 重量%をこえると、製品の二次加工性が
悪化し、さらに飽和磁東密度も低下するため、Si量は2.
0 〜8.0重量%に限定する。
元素であるが、0.005 重量%未満であると効果がなく、
一方3.0 重量%をこえると、二次再結晶が困難となるた
め、0.005 〜3.0 重量%とする。
により、再結晶完了後の粒成長過程にて{ll0}<0
01>粒が良好に発達する。しかし、Alが0.0010重量%
未満であると、{ll0}<001>方位の強度が低下
して磁束密度が低下し、一方0.012 重量%をこえると、
再結晶時の粒成長が抑制されて鉄損が劣化するため、Al
の範囲は0.0010〜0.012 重量%とする。
1>粒の優先成長に対して有害かつ地鉄中に残存して鉄
損を劣化させるため、30ppm 以下に低減する。
ように、50ppm 以下に低減することが望ましい。
を添加することができる。その添加量は、0.01重量%未
満であると磁気特性の向上量が小さく、一方1.50重量%
を超えると{ll0}<001>組織の発達が不十分で
磁気特性が劣化するため、0.01〜1.50重量%とする。
0.50重量%,Sb:0.005 〜0.50重量%,Cu:0.01 〜0.
50重量%,Mo:0.005 〜0.50重量%,Cr:0.01〜0.50重
量%を添加することが有効である。この範由より添加量
が少ない場合には鉄損改善効果がなく、添加量が多い場
合には{ll0}<001>組織が発達しなくなり、鉄
損が劣化する。
塊法または連続鋳造法でスラブに製造してもよいし、10
0mm 以下の厚さの薄鋳片を連続鋳造法で直接製造しても
よい。得られたスラブは、通常の方法で加熱して熱間圧
延するが、鋳造後加熱せずに直ちに熱間圧延してもよ
い。薄鋳片の場合には熱間圧延しても良いし、熱間圧延
を省略してそのまま以後の工程に進んでもよい。なお、
素材成分にインヒビター成分を含まないため、加熱温度
は熱間圧延可能な最低限の1100℃程度で十分である。
さらに必要に応じて中間焼鈍を挟む1回以上の冷間圧延
を施した後、連続焼鈍による再結晶焼鈍を行い{ll
0}<001>組織を発達させ、必要に応じて絶縁コー
ティングを施す。この発明では、最終冷間圧延前の平均
結晶粒径を0.03〜0.20mmとすることが肝要である。この
範囲をはずれた粒径の場合、再結晶焼鈍後の{ll0}
<001>組織の発達が不十分である。
0.03〜0.20mmとするには、最終冷延前における焼鈍温度
と時間を制御すること、熱間圧延後の粒径を、熱延前の
加熱温度、仕上圧延温度および圧下率を変更することに
よって制御すること、などの手段が有利に適合する。
範囲で行う必要がある。この範囲をはずれた圧下率での
圧延では、再結晶焼鈍後の{ll0}<001>組織の
発達が不十分になり、磁気特性が劣化する。
再結晶焼鈍を950 〜1175℃で行う。連続焼鈍による再結
晶焼鈍温度が950 ℃未満であると、再結晶焼鈍後の{l
l0}<001>組織の発達が不十分になり磁気特性が
劣化し、一方1175℃をこえると鋼板の機械強度が低下
し、焼鈍時にクリープ変形を生じて通板が困難になるた
め、1175℃以下に制限する。
特性を向上させることが可能であり、同様に中間焼鈍を
冷間圧延の間に挟むことも磁気特性の安定化に有用であ
る。しかし、どちらの処理も生産コストを上昇させるこ
とになるから、経済的観点および最終冷間圧延前の粒径
を好適範囲の0.03〜0.20mmの範囲にすること、最終冷間
圧延の圧下率を55〜75%の範囲にする必要から、熱延板
焼鈍および中間焼鈍の取捨選択、あるいは各焼鈍温度並
びに時間が決定される。また、最終冷間圧延後、あるい
は再結晶焼鈍後に浸珪法によって、Si量を増加させる技
術を併用してもよい。さらに、鋼板を積層して使用する
場合には、鉄損を改善するために、鋼板表面に絶縁コー
ティングを施すことが有効である。この目的のために
は、該絶縁コーティングを2種類以上の被膜からなる多
層膜とすることも可能である。あるいは、用途に応じ
て、樹脂等を混合させたコーティングを施してもよい。
l:0.0034重量%を含み,Se<5ppm ,S:20ppm ,
N:6ppm およびO:10ppm に抑制した、残部実質的に
Feの組成に成るスラブを連続鋳造にて製造した。次に、
該スラブを1150℃で20分間加熱したのち、熱間圧延にて
2.0mm 厚に仕上げた。その後、熱延板焼鈍を1000℃で60
秒の条件で行った後、表1に示す条件にて、冷間圧延、
中間焼鈍、さらに冷間圧延を行い0.35mmの最終板厚に仕
上げた。中間焼鈍後の最終冷間圧延前の平均粒径を測定
した結果を表1に示す。
件で再結晶焼鈍を施したのち、重クロム酸アルミニウ
ム、エマルジョン樹脂、エチレングリコールを重量比で
3:3:1の割合で混合したコーティング液を塗布して
300 ℃で焼き付けて製品とした。かくして得られた製品
板の磁気特性および加工性について調査した結果を、表
1に併記する。なお、加工性は直径5mmのドリルによる
穴開けを100 ポイント実施し、穴周囲のしわ、割れの発
生率を調査することにより評価した。
を0.03〜0.20mmかつ最終冷間圧延の圧下率を55〜75%の
範囲として製造した製品板は、連続焼鈍により良好な磁
束密度が得られ、また良好な加工性も得られることがわ
かる。
そして、該スラブを加熱することなく、連続鋳造後に直
ちに熱間圧延を施して4.0mm 厚に仕上げてから、1170℃
で20分加熱したのち、熱間圧延にて2.6mm 厚に仕上げ
た。次いで、熱延板焼鈍を900 ℃で30秒の条件で行った
後、冷間圧延にて0.60mmの中間板厚に仕上げた。その
後、850 ℃30秒の中間焼鈍を施したのち冷間圧延で0.23
mmの最終板厚に仕上げた。引き続き、窒素雰囲気で1000
℃で180 秒間の再結晶焼鈍を施してから、リン酸アルミ
ニウム、重クロム酸カリウム、ホウ酸を重量比で30:1
0:1に混合したコーティング液を塗布して300 ℃で焼
き付けて製品とした。かくして得られた製品板の磁気特
性および加工性について調査した結果を、表2に併記す
る。
ppm 以下に低減した溶鋼を用いることにより、連続焼鈍
により磁束密度B8 >1.75Tの製品が得られることがわ
かる。
l:0.005 重量%を含有し、Se<5ppm ,S:10ppm ,
N:10ppm およびO:15ppm に抑制した、残部実質的に
Feの組成に成る、板厚4.5mm の薄鋳片を連続鋳造で直接
製造した。該鋳片に熱延板焼鈍を表3に示す条件で行
い、平均結晶粒径を測定した後、冷間圧延にて1.2mm の
最終板厚に仕上げた。このときの最終冷延圧下率は73.3
%である。次いで、Ar雰囲気で1000℃で5分間の再結晶
焼鈍を施して製品とした。かくして得られた製品板の磁
気特性について調査した結果を表3に併記する。
が0.03〜0.20mmの範囲で透磁率の高い製品が連続焼鈍に
より得られていることがわかる。
がB8 >1.75Tである加工性の良好な方向性電磁鋼板
を、インヒビターを使わない高純度素材を用いて冷間圧
延後の連続焼鈍にて{ll0}<001>方位の組織を
発達させることにより生産することができる。従って、
優れた特性の方向性電磁鋼板を、簡略された工程でかつ
低コストで提供できる。
束密度との関係を示す図である。
粒径と製品板の磁束密度との関係を示す図である。
図である。
各方位粒に対する存在頻度を示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 Si:2.0 〜8.0 重量%、Mn:0.005 〜3.
0 重量%、Al:0.0010〜0.012 重量%を含み、Se,S,
NおよびOの含有量をそれぞれ30ppm 以下に低減した溶
鋼から製造したスラブに熱間圧延を施し、その後必要に
応じて熱延板焼鈍を施してから、1回もしくは中間焼鈍
を挟む2回以上の冷間圧延を施した後、連続焼鈍による
再結晶焼鈍を行い、さらに必要に応じて絶縁コーティン
グを施す方向性電磁鋼板の製造方法において、最終冷間
圧延前の平均結晶粒径を0.03〜0.20mmとすること、最終
冷間圧延を圧下率:55〜75%の範囲で行うこと、そして
再結晶焼鈍を950 〜1175℃の温度域で行うことを特徴と
する方向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1において、溶鋼が、さらにNi:
0.01〜1.50重量%、Sn:0.01〜0.50重量%,Sb:0.005
〜0.50重量%,Cu:0.01〜0.50重量%,Mo:0.005 〜0.
50重量%およびCr:0.01〜0.50重量%の少なくとも1種
類を含有することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方
法。 - 【請求項3】 請求項1および2において、スラブを加
熱することなく直接熱間圧延することを特徴とする方向
性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項4】 請求項1および2において、溶鋼から直
接鋳造法で得られた厚さ100mm 以下の薄鋳片を用いるこ
とを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
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