JP2000129285A - 可塑性油脂組成物 - Google Patents
可塑性油脂組成物Info
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Abstract
可塑性範囲が広く、かつ口どけの良い可塑性油脂組成物
を提供すること。 【解決手段】 沃素価60以上のパーム軟質油を硬化し
て得られるSFC(固体脂含量)が10℃で20〜60
%、20℃で10〜40%のパーム軟質硬化油と、融点
25〜45℃の魚油硬化油とからなる。
Description
利用したマーガリン、ショートニング等の可塑性油脂に
好適な油脂組成物に関する。
油脂であるが、ラードや牛脂あるいは大豆、ナタネ等の
植物硬化油、魚油硬化油等に比べると可塑性範囲が狭
く、また、オレオイルジパルミチン(POP)を主成分
とするため結晶化が遅く、可塑化後に粗大結晶が生じや
すい等の欠点があった。この欠点を改良することを目的
として、パーム油の分別、水添、エステル交換等が行わ
れている。特にエステル交換を行うことは可塑性範囲を
広げかつ粗大結晶の発生を抑制するという点においては
ある程度有効であったが、エステル交換の結果、トリ飽
和酸トリグリセリド(SSS)が生成するため口どけの
悪いものとなり利用は限定されていた。
昭59−174700号公報には、パーム油とトランス
酸とを多く含む油脂をエステル交換後、分別して得たオ
レイン画分を利用する方法が開示されている。また、特
開昭60−27337号公報には、液体油、融点25〜
50℃の部分硬化油、極度硬化油及び/またはラウリン
系油脂のエステル交換油の分別オレインを、パーム系の
油脂と混合する方法が開示されている。また、特開平8
−242765号公報には、パーム系油脂とラウリン系
油脂、液体油脂のエステル交換油と魚油硬化油とを配合
する方法が開示されている。また、特開昭64−603
25号公報には、SFIが20℃で50%以上、30℃
で30%以上であるパーム軟質油の硬化油と魚油硬化油
とを配合する方法が開示されている。
号公報及び特開昭60−27337号公報の方法は、エ
ステル交換と分別を行うため工程が煩雑であった。ま
た、上記の特開平8−242765号公報の方法は、魚
油硬化油と相溶性を有する可塑性油脂に関するもので、
パーム系油脂とラウリン系油脂、液状油脂をエステル交
換したエステル交換油脂とを使用したものであり、原料
として比較的少量のパーム系油脂を利用できるのみであ
った。また、上記の特開昭64−60325号公報の方
法では、ロールインマーガリン等で要求される低温での
可塑性が不十分であった。
は、パーム系油脂を用いた、低温でも軟らかく、可塑性
範囲が広く、かつ口どけの良い可塑性油脂組成物を提供
することにある。
上のパーム軟質油を硬化して得られるSFC(固体脂含
量)が10℃で20〜60%、20℃で10〜40%の
パーム軟質硬化油と、融点25〜45℃の魚油硬化油と
からなる可塑性油脂組成物を提供することにより、上記
目的を達成したものである。
をその好ましい実施形態について詳細に説明する。本発
明の可塑性油脂組成物は、沃素価60以上のパーム軟質
油を硬化して得られるSFC(固体脂含量)が10℃で
20〜60%、20℃で10〜40%のパーム軟質硬化
油(以下、硬化油(a)という)と、融点25〜45℃
の魚油硬化油(以下、硬化油(b)という)とからなる
ものである。
化油(a)の原料となるパーム軟質油としては、パーム
油またはパームオレインからドライ分別により得られた
オレイン画分が一般的であるが、溶剤分別により得られ
たものでも差し支えない。但し、この軟質油は沃素価が
60以上であることが必要であり、好ましくは62以
上、より好ましくは64以上である。沃素価が60未満
であると、可塑性油脂組成物としたとき、低温で硬く、
可塑性を有する温度範囲が狭くなる。
して得られるものである。この際、硬化油(a)のSF
C(固体脂含量)が、10℃で20〜60%、20℃で
10〜40%、好ましくは10℃で20〜50%、20
℃で10〜30%、更に好ましくは10℃で20〜40
%、20℃で10〜20%となるように硬化する。10
℃で20〜60%、20℃で10〜40%の範囲にない
ものは、硬化油(b)と配合して可塑性油脂組成物とし
たときに、広い温度範囲で可塑性を得ることができな
い。このときのSFCは、次のようにして測定する。即
ち、硬化油(a)を60℃に30分保持し、油脂を完全
に融解し、そして0℃に30分保持して固化させる。さ
らに25℃に30分保持し、テンパリングを行い、その
後0℃に30分保持する。これをSFCの各測定温度に
30分保持後、SFCを測定する。また、上記パーム軟
質油を硬化する方法として、硬化中にトランス酸を多く
生成する異性化水添は好ましくなく、例えば、通常のN
i触媒を用いて、硫黄化合物等の触媒毒の非存在下で、
200℃以下で水添を行うのがよい。
35℃、更に好ましくは27〜33℃である。融点が2
5〜35℃の範囲でないと、魚油硬化油(b)を配合し
て可塑性油脂としても広い可塑性範囲を得ることができ
ないので好ましくない。また、硬化油(a)中のトラン
ス酸含量は、広い可塑性範囲を得るため、好ましくは5
〜20重量%、更に好ましくは8〜17重量%である。
化油(b)は、魚油を硬化したものであり、硬化の方法
はどのような方法でも構わない。この硬化油(b)は、
融点を25〜45℃、好ましくは25〜40℃、さらに
好ましくは28〜38℃としたものである。融点が25
℃より低いと可塑性油脂組成物としたときの酸化安定性
が悪く、45℃よりも高いと可塑性油脂組成物としたと
き、口どけが悪く、また低温での可塑性が不十分なもの
となってしまう。
は45〜90、更に好ましくは60〜90、一層好まし
くは75〜85である。沃素価が45よりも小さいと可
塑性油脂組成物としたとき口どけが悪く、また低温での
可塑性が不十分なものとなるおそれがあり、90よりも
大きいと可塑性油脂組成物としたときの酸化安定性が悪
くなるおそれがあるので好ましくない。また、硬化油
(b)のトランス酸含量は、好ましくは30〜55重量
%、更に好ましくは35〜55重量%である。
(a)に硬化油(b)を配合することにより、著しく可
塑性範囲が広がり、マーガリン、ショートニングなどの
可塑性油脂組成物とした場合に良好な物性を示すもので
ある。これに対し、硬化油(a)単独から製造された可
塑性油脂組成物は、可塑性範囲が狭く、パーム系油脂の
欠点を強く示すものである。
配合割合は、広い可塑性範囲を得るため、硬化油(a)
が20〜80重量%、硬化油(b)が80〜20重量%
であり、さらに好ましくは硬化油(a)が25〜75重
量%、硬化油(b)が75〜25重量%である。このと
き、硬化油(a)は1種類の油脂または2種類以上の油
脂を混合した混合油を使用でき、硬化油(b)も1種類
の油脂または2種類以上の油脂を混合した混合油を使用
できる。
(a)及び硬化油(b)のほかに、その他の油脂とし
て、例えばパーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、
綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラ
ワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油など
の各種植物油脂、動物油脂並びにこれらを水素添加、分
別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理
を施した加工油脂から選ばれた1種または2種以上を使
用してもよい。その他の油脂の配合量は、本発明の可塑
性油脂組成物中、好ましくは0〜75重量%、更に好ま
しくは0〜50重量%である。
要により、水、乳化剤、食塩、乳製品、着香料、調味料
等の呈味成分、着色料、酸化防止剤等を添加することが
できる。
に制限されず、上述した各原料を混合、急冷、可塑化す
ることにより、可塑性組成物を得ることができる。得ら
れた本発明の可塑性油脂組成物は、マーガリンタイプで
もショートニングタイプでもどちらでもよく、またその
乳化状態は、油中水型、水中油型、及び二重乳化型のい
ずれでも構わない。
ン、調理用油脂として、練り込み用途、折り込み用途、
サンド・フィリング用途、スプレット用途に使用するこ
とができる。また、本発明の可塑性油脂組成物の使用量
は、使用用途により異なるものであり、特に限定される
ものではない。
するが、本発明は、これらの実施例により何等制限され
るものではない。
をドライ分別により分画して得られた沃素価65のパー
ム軟質油を原料とし、ニッケル触媒を用いて水素添加を
行いSFCが10℃で30%、20℃で15%の硬化油
(a)(パーム軟質硬化油)を得た。得られた硬化油
(a)の融点は30℃、沃素価は57、IR法により求
めたトランス酸含量は10重量%であった。上記の硬化
油(a)25重量%と、融点30℃、沃素価80、IR
法により求めたトランス酸含量が44重量%の硬化油
(b)(魚油硬化油)75重量%とを混合、急冷可塑化
しショートニングを製造した。得られたショートニング
の硬さ(5℃、10℃、15℃及び20℃それぞれにお
ける硬さ)を表1に示す。ショートニング硬さの測定方
法は、ショートニング(縦4cm×横4cm×高さ3cm)を
5℃で1週間保存後、各温度に1時間放置し、レオメー
ター(不動工業製)にて、直径5mmの円板型アダプタ
ーを用い、試料台上昇速度20mm/分で最大応力を測
定し、硬さとした。
(a)50重量%と、実施例1で得られた硬化油(b)
50重量%とを用いて、実施例1と同様の方法でショー
トニングを製造した。得られたショートニングについ
て、実施例1と同様の方法で硬さを測定した。その結果
を表1に示す。
(a)75重量%と、実施例1で得られた硬化油(b)
25重量%とを用いて、実施例1と同様の方法でショー
トニングを製造した。得られたショートニングについ
て、実施例1と同様の方法で硬さを測定した。その結果
を表1に示す。
(a)40重量%と、実施例1で得られた硬化油(b)
40重量%と、大豆油20重量%とを用いて、実施例1
と同様の方法でショートニングを製造した。得られたシ
ョートニングについて、実施例1と同様の方法で硬さを
測定した。その結果を表1に示す。
(a)のみを用いて、実施例1と同様の方法で、急冷可
塑化し、ショートニングを製造した。得られたショート
ニングについて、実施例1と同様の方法で硬さを測定し
た。その結果を表1に示す。
を、ニッケル触媒を用いて水素添加し、融点30℃のパ
ーム軟質硬化油を得た。このパーム軟質硬化油の沃素価
は53、トランス酸含量は7重量%で、SFCは10℃
で45%、20℃で26%であった。ここで得られたパ
ーム軟質硬化油25重量%と、実施例1で得られ硬化油
(b)75重量%を用いて、実施例1と同様の方法でシ
ョートニングを製造した。得られたショートニングにつ
いて、実施例1と同様の方法で硬さを測定した。その結
果を表1に示す。
質硬化油50重量%と、実施例1で得られた硬化油
(b)50重量%とを用いて、実施例1と同様の方法で
ショートニングを製造した。得られたショートニングに
ついて、実施例1と同様の方法で硬さを測定した。その
結果を表1に示す。
質硬化油75重量%と、実施例1で得られた硬化油
(b)25重量%とを用いて、実施例1と同様の方法で
ショートニングを製造した。得られたショートニングに
ついて、実施例1と同様の方法で硬さを測定した。その
結果を表1に示す。
(a)単独を用いたショートニングである比較例1の組
成物、及び硬化油(a)以外のパーム軟質硬化油と硬化
油(b)とを用いたショートニングである比較例2〜4
の組成物は、温度変化によって硬軟の変化が大きいので
可塑性範囲が狭い。これに対し、硬化油(a)と硬化油
(b)とを用いたショートニングである実施例1〜4の
可塑性油脂組成物は、温度変化による硬軟の変化が小さ
いので可塑性範囲が広いことが判る。
0以上のパーム軟質油を硬化して得られるSFCが10
℃で20〜60、20℃で10〜40のパーム軟質硬化
油と、融点25〜45℃の魚油硬化油とからなるもの
で、低温でも軟らかく、可塑性範囲が広く、かつ口どけ
がよいものである。
Claims (3)
- 【請求項1】 沃素価60以上のパーム軟質油を硬化し
て得られるSFC(固体脂含量)が10℃で20〜60
%、20℃で10〜40%のパーム軟質硬化油と、融点
25〜45℃の魚油硬化油とからなることを特徴とする
可塑性油脂組成物。 - 【請求項2】 上記パーム軟質硬化油20〜80重量%
と上記魚油硬化油80〜20重量%とからなる請求項1
記載の可塑性油脂組成物。 - 【請求項3】 上記パーム軟質硬化油が、トランス酸を
5〜20重量%含有する請求項1または2記載の可塑性
油脂組成物。
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JP30015098A JP4070327B2 (ja) | 1998-10-21 | 1998-10-21 | 可塑性油脂組成物 |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP2000129285A true JP2000129285A (ja) | 2000-05-09 |
JP4070327B2 JP4070327B2 (ja) | 2008-04-02 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004016096A (ja) * | 2002-06-17 | 2004-01-22 | Asahi Denka Kogyo Kk | 油脂組成物 |
CN102028046A (zh) * | 2009-09-29 | 2011-04-27 | 日清奥利友集团株式会社 | 食用油的制造方法 |
-
1998
- 1998-10-21 JP JP30015098A patent/JP4070327B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102028046A (zh) * | 2009-09-29 | 2011-04-27 | 日清奥利友集团株式会社 | 食用油的制造方法 |
CN102028046B (zh) * | 2009-09-29 | 2014-11-05 | 日清奥利友集团株式会社 | 食用油的制造方法 |
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---|---|
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