JP2000128795A - 糖尿病性末梢神経傷害治療剤 - Google Patents
糖尿病性末梢神経傷害治療剤Info
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Abstract
ソルビトールにより誘発(トリガー)される白内障など
の糖尿病合併症、即ち糖尿病性末梢神経傷害の治療剤と
して、天然植物を基源とする優れたアルドース還元酵素
の活性阻害作用を有する治療剤を提供する。 【解決手段】 紅景天(Rhodiola sacr
a)などの紅景天属(Rhodiola、ベンケイソウ
科)植物の粉末及び/又は抽出物を有効成分とするアル
ドース還元酵素(アルドースレダクターゼ)の活性阻害
作用を有する糖尿病性末梢神経傷害治療剤。
Description
する白内障などの糖尿病性末梢神経傷害に対して有効な
薬剤(以下、糖尿病性末梢神経傷害治療剤ともいう。)
に関するものである。
景天属(Rhodiola、ベンケイソウ科)植物を有
効成分とするアルドース還元酵素(アルドースレダクタ
ーゼ)の活性阻害作用を有する糖尿病性末梢神経傷害治
療剤に関するものである。
加すると、これを還元する酵素(アルドース還元酵素)
の活性の上昇がみられる。この種のアルドース還元酵素
は、体内の色々な場所にみられる。例えば、眼のレンズ
において、アルドース還元酵素によりブドウ糖などのア
ルドースが還元され、ソルビトールや果糖の増加をもた
らし、これにより白内障の進行を進めるとして問題にさ
れている。このため、前記アルドース還元酵素の活性阻
害剤が白内障治療剤として知られている。
して解糖系で代謝され、エネルギーの源ともなってい
る。一方、高血糖等の血糖値の異常が長期間継続する
と、この血糖値を少しでも低下させようとして解糖系で
はない他の代謝系が活性化されてくる。即ち、血糖値を
示す血中ブドウ糖がソルビトールに還元され、さらにフ
ルクトースに代謝される経路のあることが知られてお
り、この代謝系はポリオール代謝系と言われている。
にする酵素は、ソルビトール還元酵素といわれるもので
ある。この中でポリオール代謝系、特にソルビトールか
らフルクトースへ変換する代謝系は、大変緩慢なもので
あり細胞内にソルビトールが蓄積するようになる。そし
て、このようにして体内に蓄積されるソルビトールに起
因して種々の問題が出てくる。
子)としては、細胞内のソルビトール蓄積が、重要な役
割を演じていることが実験的にも明らかにされ、このた
めアルドース還元酵素の活性を抑制することが、糖尿病
性合併症の大きな問題点の解決になると考えられるに至
っている。
レダクターゼ)の体内での分布を見ると、抹消神経、網
膜、水晶体、腎臓などに多く、いずれも糖尿病合併症が
発症しやすい部位と一致する。
天然物系では、フラボノイドに属する成分を利用するも
のが知られている。しかしながら、ヒトでの有効性な
ど、未知の分野が多いため、より有効な薬物、それも安
全で安価なアルドース還元酵素の活性阻害剤が強く望ま
れている。
来技術の限界に鑑み創案されたものである。本発明者
は、従来の糖尿病合併症用の合成医薬品に見られる副作
用は有効性以上に問題視しなければならないこと、ま
た、糖尿病合併症という病気の性質上、長期に及ぶこと
から、その治療や発症の予防には、従来から食品とした
り、伝承的に効果の知られている天然物に有効なものが
あれば最適である、という観点から糖尿病性末梢神経傷
害治療剤の開発を進めた。
治療剤として使用されたことがない紅景天(Rhodi
ola sacra)が、アルドース還元酵素の活性を
著しく阻害するという知見を見い出した。本発明は、前
記知見をベースにするものであり、本発明により生体安
全性が高く、かつ経済的なアルドース還元酵素の活性阻
害作用に優れた糖尿病性末梢神経傷害治療剤が提供され
る。
れば、本発明は、紅景天などの紅景天属(Rhodio
la、ベンケイソウ科)植物の粉末及び/または抽出物
を有効成分とするアルドース還元酵素(アルドースレダ
フターゼ)の活性阻害作用を有する糖尿病性抹消神経傷
害治療剤に関するものである。
ついて詳しく説明する。
基源とする新しい治療剤に関するため、従来の化学物質
(合成物質)に代って天然植物を重視するという理由か
ら説明する。
天然物で食用に供されている物や、古くから用いられて
いる各民族の伝承薬物の多数について、眼レンズのアル
ドースレダクターゼ活性阻害を指標として検討した。よ
り具体的には、ラットの眼レンズからアルドース還元酵
素を抽出し、本酵素反応の抑制作用が認められる天然物
を多数スクリーニング試験し、有効性の研究を進めた。
紅景天の粉末体または溶媒抽出物にアルドース還元酵素
の活性阻害作用があることを見い出した。なお、紅景天
にこのような特性があることは、当然のことながら全く
知られていないことである。
剤の有効成分である紅景天属植物について説明する。日
本国内において、ベンケイソウ科に属する紅景天は、よ
り具体的には前記紅景天と同じ仲間であるベンケイソウ
などは薬用となることが知られていない。一方、主とし
て中国高山岩石地帯のチベットや雲南、貴州などにおい
ては基源植物の違いにより、それぞれの生薬名が付けら
れている。その用途は、中国の代表的な薬用植物辞典で
ある「中薬大辞典」(上海科学技術出版)によると、止
血、鎮咳などの目的に内服したり、打撲傷や、火傷に外
用することが示されている。またチベットや旧ソ連にお
いては、前記した目的で用いる他に強壮薬として用いる
ことも知られている。
効成分である紅景天属(Rhodiola)植物を例示
すると、次の通りである。なお、以下、植物名(学名/
産地)の順に例示する。喜冷紅景天(R.algida
/青海、海北、海西)、唐古紅景天(R.algida
var.Tangutica/青海、四川)、西川紅
景天(R.alsia/四川)、小座紅景天(R.du
mulosa/四川、甘粛)、大花紅景天(R.eur
yphylla/雲南西北、チベット)、長鞭紅景天
(R.fastigiata/雲南西北、チベット)、
長鱗紅景天(R.gelida/宇天山)、豌豆七紅景
天(R.henryi/甘粛、河南、湖北、四川、貴
州)、昇歯紅景天(R.heterodonta/新
彊、チベット)、狭葉紅景天(R.kirilowii
/河北、山西、雲南、四川、チベット)、四烈紅景天
(R.quadrifida/甘粛、青海、新彊、四
川、チベット)、庫頁紅景天(R.sachaline
nsis/黒龍江、吉林)、茎地紅景天(全弁)(R.
sacra/雲南西北部、チベット東南)、▲造▼紅景
天(R.scabrida/四川西部、雲南西北部)、
粗茎紅景天(R.wallichiana/雲南西北
部、チベット東南)、大株粗茎紅景天(R.walli
chiana var.cholaensis/青海、
雲南西北部)、雲南紅景天(R.yunnanensi
s/湖北西部)、などを例示することができる。前記紅
景天属植物の産地としては、中華人民共和国のチベッ
ト、四川省、雲南省などが有名である。なお、本発明に
おいて使用した紅景天は、主として中華人民共和国のチ
ベット、四川省、あるいは雲南省から乾燥した全草をそ
のまま輸入し、植物の形態などを文献上確認して同定を
行なったものである。
いて、その有効成分である紅景天などの紅景天属植物
は、粉末状のもの、あるいは水やアルコールなどの所望
の溶媒により抽出した抽出物、更にはこれらの混合物の
形態であってもよいものである。また、前記紅景天属植
物、例えば紅景天において、全ての部位を利用すること
ができるが、特に全草部を用いるのが経済的でありかつ
効率的である。
体または抽出物を調製するには、所望の態様で行なえば
よいが、以下にその一例を示す。例えば、紅景天の粉末
体は、通常の粉砕機によって100〜150メッシュ程
度の粉末状にすればよい。また、紅景天の溶媒抽出物
は、紅景天の粉末1kgに対して3〜51の溶媒(水あ
るいはメタノールやエタノールなどのアルコールなど)
を加え、加温または冷温下で抽出する。加温の場合は8
0〜90℃で3時間、冷温の場合は室温で3日間放置後
いずれも濾過し、その濾液を45℃以下で減圧濃縮し、
完全に溶媒を留去して、乾燥エキスとすればよい。本発
明において、前記粉末体や抽出エキスに、適当な賦形剤
あるいは乳糖や澱粉などを加え、顆粒や錠剤の形態の抗
糖尿病剤を得てもよい。更にまた、本発明において、粗
切りした紅景天を、そのまま煎じて茶剤として用いても
よい。本発明において、前記溶媒抽出法に用いる溶媒
は、水、含水アルコール、アルコールなどであるが、ア
ルコールとしては、低級アルコール、特に安全性の面か
らエチルアルコールが好ましい。また、前記含水アルコ
ールの濃度は特に限定しないが、30〜90%、通常4
0〜70%濃度のものを使用すればよい。
用量は、年令や症状によって異なるが、通常成人の有効
量は、紅景天粉末の場合1回2〜3g、水抽出エキスや
アルコール抽出エキスでは800mg〜1500mgで
あり、1回3回服用するのが望ましい。
明する。なお、本発明は実施例のものに限定されないこ
とはいうまでもないことである。
00〜150メッシュの粉末とし、次いで水、含水アル
コール、あるいはアルコールなどの溶媒により抽出する
ことにより調製することができる。具体的には、以下の
抽出操作を行なって抽出エキスを調製した。即ち、粗
切、あるいは粉砕した紅景天1kgに水、アルコールな
どの溶媒5lを加え、90℃前後で加温、3時間後濾
過、濾液を45℃以下で減圧濃縮し、それぞれ水エキ
ス、アルコールエキスを得た。エキスの収率は極めて高
く、いずれも45%〜50%前後であった。
験 ラット眼レンズからアルドース還元酵素の分離と反応
は、Dufraneらの方法[Dufrane S.P. et al, Bi
ochem. Med.32,99-105(1985)]に少し改変を加えて行な
った。即ち、ラットの眼レンズを10mMの2−メルカ
プトエタノールが含有する135mMのNa、K−リン
酸緩衝液pH7.0でホモジネイト後、遠心分離を10
gで30分間行ない、上清を酵素液とした。反応は次の
ようにして行なった。即ち、135mMのNa、K−リ
ン酸緩衝液pH7.0に100mM LiSO4 、0.
03mM NADPH、1mM D6−グリセルアルデ
ヒドを加え、100μlの酵素液を添加した。総容量は
0.5mlで添加する試料は25μlとし、試料はDM
SOに溶解させた。次いで、NADPHを添加、30
℃、30分間行ない150μlの0.5N HCl を添
加して反応を止めた。
次のように行なった。即ち、10mMのイミダゾールを
含有する、0.5mlの6N NaOHを加え、60℃
で10分間、加温してNADPHが変化して生成するN
ADP量を蛍光光度計で測定することにより行なった。
のように、大花紅景天、茎地紅景天、全弁紅景天および
四烈紅景天の水及びアルコールエキスのいずれにして
も、アルドースレダクターゼの活性阻害作用が認められ
た。なお、比較対照薬としてエパルレスタット(小野製
薬工業社製)を用いた。
経傷害の発症要因(因子)がアルドース還元酵素(アル
ドースレダクターゼ)によりブドウ糖などのアルドース
が還元されてソルビトールが蓄積されることに鑑み、前
記アルドース還元酵素の活性阻害作用を有する新規な天
然植物由来の糖尿病性末梢神経傷害治療剤を提供するも
のである。
治療剤として使用されたことがない紅景天(Rhodi
ola sacra)などの紅景天属(Rhodiol
a、ベンケイソウ科)植物を基源とするものであり、長
期間の使用が前提となる糖尿病製神経傷害の治療剤とし
ては極めて有用なものである。
Claims (2)
- 【請求項1】 紅景天属(Rhodiola、ベンケイ
ソウ科)植物の粉末及び/又は抽出物を有効成分とする
アルドース還元酵素(アルドースレダクターゼ)の活性
阻害作用を有する糖尿病性末梢神経傷害治療剤。 - 【請求項2】 紅景天属植物が、紅景天(Rhodio
la sacra)である請求項1に記載の糖尿病性末
梢神経傷害治療剤。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP29705898A JP3968179B2 (ja) | 1998-10-19 | 1998-10-19 | 糖尿病性末梢神経傷害治療剤 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100932849B1 (ko) * | 2007-12-20 | 2009-12-21 | 강원대학교산학협력단 | 참돌꽃 뿌리 추출물의 제조방법 |
KR20120055370A (ko) * | 2010-11-23 | 2012-05-31 | 대한민국(산림청 국립수목원장) | 돌나물 추출물을 포함하는 당뇨병 합병증의 예방 또는 치료용 조성물 |
CN104383338A (zh) * | 2014-12-03 | 2015-03-04 | 王维 | 一种治疗慢性肾绞痛的中药制剂 |
-
1998
- 1998-10-19 JP JP29705898A patent/JP3968179B2/ja not_active Expired - Lifetime
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KR20120055370A (ko) * | 2010-11-23 | 2012-05-31 | 대한민국(산림청 국립수목원장) | 돌나물 추출물을 포함하는 당뇨병 합병증의 예방 또는 치료용 조성물 |
KR101695166B1 (ko) | 2010-11-23 | 2017-01-12 | 대한민국 | 돌나물 추출물을 포함하는 당뇨병 합병증의 예방 또는 치료용 조성물 |
CN104383338A (zh) * | 2014-12-03 | 2015-03-04 | 王维 | 一种治疗慢性肾绞痛的中药制剂 |
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