JP2000126631A - ローラ式粉砕装置 - Google Patents

ローラ式粉砕装置

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JP2000126631A
JP2000126631A JP10302784A JP30278498A JP2000126631A JP 2000126631 A JP2000126631 A JP 2000126631A JP 10302784 A JP10302784 A JP 10302784A JP 30278498 A JP30278498 A JP 30278498A JP 2000126631 A JP2000126631 A JP 2000126631A
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Japan
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roller
crushing
vibration
pressurizing
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JP10302784A
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English (en)
Inventor
Eiji Murakami
英治 村上
Hidekazu Nishida
英一 西田
Kazunori Sato
一教 佐藤
Hiroaki Kanemoto
浩明 金本
Hideo Mitsui
秀雄 三井
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Mitsubishi Power Ltd
Original Assignee
Babcock Hitachi KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ローラ式粉砕装置において粉砕時に発生する
激しい自励振動を吸収低減すること。 【解決手段】 回転自在に支持された粉砕リング8、粉
砕リングの回転方向に沿って配置された複数の粉砕ロー
ラ7、粉砕ローラの回転軸を保持するローラブラケット
5、ローラブラケットを保持する加圧フレーム26、を
それぞれハウジング10内部に有し、加圧フレームに加
圧軸12を介して荷重を作用させる加圧装置をハウジン
グ外部に有して、被粉砕物を粉砕ローラと粉砕リングで
粉砕するローラ式粉砕装置であって、加圧フレーム26
から鉛直方向に伸ばした加圧フレーム拘束軸12を設
け、拘束軸の上下方向のスライド運動を抑制する抑制装
置74をハウジング外部に設け、拘束軸の振動を吸収す
る振動吸収材を抑制装置に設定し、粉砕ローラに因る振
動が規定値以上になった場合に抑制装置を作動させて振
動吸収材を拘束軸12に当接させること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は石炭、セメントクリ
ンカあるいは化学製品の原料を粉砕するローラ式粉砕装
置(ローラミルとも称する)に係わり、特に、粉砕時に
発生する激しい自励振動を吸収低減するのに好適なロー
ラ式粉砕装置に関する。
【0002】
【従来の技術】石炭焚ボイラにおいては低公害燃焼や急
速負荷変動運用が実施され、それに伴い微粉砕機に対し
ても給炭量の幅拡い変動等によりフレキシブルな運用へ
の対応が要求されるようになった。
【0003】石炭、セメント原料あるいは新素材原料な
どの塊状物を細かく粉砕する粉砕機の1つの型式とし
て、低速回転運動を行う粉砕テーブルとその上で自転す
る複数の粉砕ローラとを備えた堅型のローラ式粉砕装置
があり、最近では代表機種のひとつとしての地位を固め
つつある。
【0004】従来のローラ式粉砕装置の全体構造を図1
7に示す。ヨーク10は減速機11の出力軸上に回転可
能なように取り付けられており、このヨーク10上には
環状の粉砕リング1が固定されている。粉砕リング1上
のくぼみ部には、ローラブラケット3に軸及びベアリン
グにより回転可能なように取り付けられたローラ2が等
間隔で3組設置されている。
【0005】ローラブラケット3の上部及び加圧フレー
ム9下面にはピボツトピン4が入る溝が加工されてお
り、ローラブラケット3及びローラ2はピボツトピン4
を介して加圧フレーム9により粉砕リング1上に加圧さ
れるとともに、ピボツトピン4を中心にローラ2が振り
子運動できるようになっている。加圧フレーム9にはピ
ボツトアーム12が取り付けられており、このピボツト
アーム12のもう一方の端は油圧シリンダ17に固定さ
れたローディングロッド13とつながっている。
【0006】モーターにより減速機11の入力軸を回転
させると、減速機11の出力軸に取り付けられたヨーク
10及びヨーク10に固定された粉砕リング1が回転す
る。この時、油圧シリンダ17はローディングロッド1
3を下方向に引張っており、この引張り力はピボツトア
ーム12を介して加圧フレーム9を下方向に押し付ける
ように作用する。こうした機構により、この加圧フレー
ム9、ピボツトピン4、ローラブラケット3を介してロ
ーラ2が粉砕リング1上に強く押し付けられ、粉砕リン
グ1上の被粉砕物18の粉砕が効率よく行われる。
【0007】一方、被粉砕物(例えば、石炭)は中央上
部の供給管14から投下され、ローラ2と粉砕リング1
にはさまれ、圧壊作用により粉砕される。粉砕された被
粉砕物(例えば、微粉炭)は熱風に吹き上げられ、分級
機15を通り、所定の粒度のものは出口管16へ、それ
より粒度の大きいものは粉砕部へ落下し、再び粉砕され
る構造となっている。
【0008】図18には、従来のローラ式粉砕装置の加
圧機構の側面図を示す。粉砕リング1上のくぼみ部に
は、ローラブラケット3に軸5及びベアリングにより回
転可能なように支持されたローラ2が設置されている。
ローラブラケット3の上部及び加圧フレーム9の下面に
はピボツトピン4が入る溝が加工されており、ローラブ
ラケット3及びローラ2はピボツトピン4を介して加圧
フレーム9により粉砕リング1上に押しつけられ、ロー
ラ2が転倒しないようになっている。
【0009】加圧フレーム9にはピボツトアーム12が
取り付けられており、このピボツトアーム12のもう一
方の端はローディングロッド13とつながっている。ロ
ーディングロッド13のもう一方の端部は、シリンダ2
0内のピストン21につながっている。シリンダ20に
は管路27がつながっており、この管路27を通して油
圧媒体26をポンプで供給することにより、ローディン
グロッド13を引張り、ローラ2を粉砕リング1上に加
圧できるようになっている。また、管路27にはアキュ
ムレータ22が取り付けられており、油圧媒体26の圧
力変動をある程度吸収できるように考慮されている。
【0010】また、ローラ式粉砕装置の粉砕部の他の一
例を図19に示す。図19に示すように粉砕ローラ7の
回転軸6は、該粉砕ローラ7の上部に設けられたローラ
ブラケット5により支持される。ローラブラケット5
は、その上部に設けられた加圧フレーム26により、ロ
ーラピボット4を介して支持される。ローラピボット4
はピン構造を有するため、ローラブラケット5は粉砕テ
ーブル9の半径方向への振子運動が可能である。この振
子運動はローラ7の摩耗を少なくしており、これがロー
ラピボットを有するミルの利点であるといわれている。
【0011】粉砕性能を支配する主要因子である粉砕荷
重は、粉砕ローラ7や加圧フレーム26等の粉砕部の自
重と、加圧フレーム26と基礎マット15を連結する加
圧装置31付きの加圧軸(以下、テンションロッド12
と呼ぶ。)によって加圧される荷重の合力として与えら
れる。この合力のことを以下では全粉砕荷重と呼ぶ。加
圧装置の荷重値は、給炭量で代表されるミル運転条件の
信号41を荷重制御装置40に入力することによってコ
ントロールされる。
【0012】上記の従来装置では、低負荷時や停止時
に、激しい自励振動が発生するという問題点があった。
低負荷時や停止時には粉砕装置内へ供給される被粉砕物
が少量またはゼロとなるため、粉砕テーブル上の被粉砕
物の量が少なくなると共に粒度が細かくなり、ローラと
被粉砕物との間に滑りが発生しやすくなる。ローラと被
粉砕物に滑りが発生した場合、ローラに上下方向の振動
が誘発され、この振動が自励的に成長し非常に激しい振
動となるので、粉砕装置の運転を継続できない等の支障
をきたしている。このような振動は、通常15Hz程度
の比較的振動数が高い領域で起こり、その振動の強さを
表す加速度レベルは重力加速度の数倍となる。
【0013】このような問題点を解決するため、本願と
同一出願人による次に示すような技術(特開平9ー47
680号公報)が開発されている。まず、図20の発明
は、油圧媒体26に流れ抵抗を与える手段として、流量
調整弁23を油圧管路27に設け、流量調整弁23の開
度を変えて油圧媒体26に対する流れ抵抗値を最適な値
に設定することにより油式ダンパーを形成し、粉砕部の
振動を吸収低減させるものである。
【0014】粉砕装置運転中にローラ2と被粉砕物18
の間にスリップが発生し、ローラ2が上下方向に激しく
振動すると、ローラブラケット3、加圧フレーム9、ピ
ボツトアーム12、ローディングロッド13、ピストン
21も同様に上下動し、シリンダ20内の油圧媒体26
がシリンダ20から流出/流入する。これに伴って、管
路27中の油圧媒体26も動き、油圧媒体26は流量調
整弁23を通過し、アキュムレータ22に流出/流入す
ることになる。
【0015】流量調整弁23の開度を調整して油圧媒体
26の流れに適当な抵抗を与えてやることにより、流量
調整弁23が油式ダンパーとして機能し油圧媒体26の
振動エネルギを吸収することが可能であり、ひいてはロ
ーラ2の振動成長を防止することが可能である。この技
術では、ローラブラケット23に粉砕部の振動をモニタ
ーするためのセンサ25が取り付けられており、制御装
置24で流量調整弁23の流れ抵抗値を振動吸収効果が
常に最大となるように調整することができるようになっ
ている。
【0016】更に、図21に示した技術は図20の従来
技術の振動吸収効果を増大させるために、ピストン21
の上部側及び下部側両方に油圧媒体26a,26bを収
容したものである。油圧媒体26a,26bそれぞれに
対して流量調整弁23a,23bが設けられているの
で、両者で振動吸収が可能であり、大きな防振効果を得
ることができる。
【0017】また、本願と同一出願人による他の従来技
術(特開平9ー47678号公報)を図22及び図23
を用いて説明する。図22に示すように、この技術はハ
ウジング10とテンションロッド12の間に摩擦ダンパ
101を設け、ロッド12の軸方向の動きを抑制し、ミ
ルの振動を抑えるものである。図23は図22に示す摩
擦ダンパ101の一つを横割りにし、拡大したものであ
る。このダンパは、ボルト109を締付けて皿バネ10
5に圧縮力を与えることにより、締付用治具107を介
して摩擦材108をテンションロッド12に締め付け、
ロッド12に摩擦力を与えて振動を止めるものである。
【0018】上記した油圧ダンパや摩擦ダンパの他、こ
れまでに一般的な防振の目的で各種のダンパが開発され
ている。それらの代表的なものの特徴を図24に示す。
以下、ミル防振への適用性という観点から、各種ダンパ
の特徴を説明する。
【0019】まず油圧ダンパは、振動数が約10Hz以
上となる高い振動数の領域では、油の内部に気泡が生じ
る現象、いわゆるベーパロックにより制振性能が劣るこ
とがあるため、15Hz程度の振動となるミルの振動を
抑制する効果が小さくなる可能性がある。
【0020】これに対して磁力ダンパは、低振動数から
高振動数にわたる広い領域で制振できるダンパである
が、このダンパは制振力が小さく、ミルの振動を抑える
ことができない。
【0021】磁力ダンパと同様に、広い振動数の領域で
振動を抑えることができるダンパとして、樹脂などの粘
り特性を利用した粘弾性ダンパがある。粘弾性ダンパ
は、対象振動数及び制振力の点からミルの防振に効果が
期待できる。
【0022】これと同様に、摩擦ダンパも対象振動数及
び制振力の点ではミルの防振への有効であると言える。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】粘弾性ダンパは、抑え
られる揺れの幅(以下、ストロークと呼ぶ。)が数cm
程度と小さいことが問題である。これに対して、ミルの
ローラは運転時に石炭を噛み込んで、ローラの上下方向
の位置が10〜20cm程度変化する(以下、この現象
をローラのドリフトと呼ぶ)。このドリフトは問題とな
るミルの振動とは関係ない。このドリフト量は、粘弾性
ダンパのストロークをはるかに越えてしまい、粘弾性ダ
ンパをミルの防振に適用する場合には、このようなスト
ロークの問題を解決する必要がある。
【0024】一方、摩擦ダンパは摩擦材の消耗が激しい
ことが問題である。例えば、図23のように、振動が起
きていない場合でも常時摩擦力が作用するようにしたダ
ンパの場合、問題となる振動に関係のないローラのドリ
フト時であってもダンパが機能し、摩擦材の摩耗を加速
することにつながる。これにより、摩擦ダンパをミルの
防振に適用する場合には、問題となる激しい振動が生じ
た場合にのみダンパが働くように工夫する必要がある。
【0025】また、油圧ダンパでは、ローラに発生した
振動すべてが振動吸収作用のある流量調整弁に伝わら
ず、振動吸収作用のない加圧ポンプ側に伝わったり、弾
性体として作用する多量の油圧媒体内で散逸したりする
ため、ローラの振動を吸収する効果が十分でなく、ロー
ラの振動が成長してしまう場合があるという問題点があ
った。
【0026】本発明の目的は、上記粘弾性ダンパのスト
ロークの問題、及び摩擦ダンパの摩耗の問題を解決する
ことにより、メインテナンスが容易でかつ信頼性の高い
構造改善を行い、粉砕性能を損なうことなく、振動を防
止することにある。
【0027】また、本発明の目的は、従来技術の油圧ダ
ンパよりも振動吸収効果が大きく、自励振動が発生しや
すい被粉砕物を粉砕する場合においても振動を十分に防
止できるローラ式粉砕装置を提案することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は主として次のような構成を採用する。
【0029】回転自在に支持された粉砕リング、前記粉
砕リングの回転方向に沿って所定間隔に配置された複数
の粉砕ローラ、前記粉砕ローラの回転軸を保持するロー
ラブラケット、前記ローラブラケットを保持する加圧フ
レーム、をそれぞれハウジング内部に有し、前記加圧フ
レームに加圧軸を介して荷重を作用させる加圧装置をハ
ウジング外部に有して、被粉砕物を前記粉砕ローラと前
記粉砕リングで粉砕するローラ式粉砕装置であって、前
記加圧フレームから鉛直方向に伸ばした加圧フレーム拘
束軸を設け、前記拘束軸の上下方向のスライド運動を抑
制する抑制装置をハウジング外部に設け、前記拘束軸の
振動を吸収する振動吸収材を前記抑制装置に設定し、前
記粉砕ローラに因る振動が規定値以上になった場合に前
記抑制装置を作動させて前記振動吸収材を前記拘束軸に
当接させるローラ式粉砕装置。
【0030】また、前記ローラ式粉砕装置において、前
記拘束軸は、その軸の上下部分を粘弾性ダンパを介在さ
せて連係しているローラ式粉砕装置。
【0031】また、回転自在に支持された粉砕リング
と、前記粉砕リングの回転方向に沿って所定間隔に配置
された複数の粉砕ローラと、前記粉砕ローラの回転軸を
保持するローラブラケットと、前記ローラブラケットを
保持する加圧フレームと、前記加圧フレームに荷重を作
用させる加圧用油圧機構と、を備えて、被粉砕物を前記
粉砕ローラと前記粉砕リングで粉砕するローラ式粉砕装
置であって、前記加圧用油圧機構の加圧方向上流側に粉
砕ローラに因る振動を減衰させるための振動減衰付加用
油圧機構を設けるローラ式粉砕装置。
【0032】また、前記ローラ式粉砕装置において、前
記振動減衰付加用油圧機構は、シリンダ内のピストンの
上部側及び下部側の両方に圧力媒体を収容し、両圧力媒
体を連結する配管に前記圧力媒体の流れに抵抗を与える
流れ抵抗付与手段を設けるローラ式粉砕装置。
【0033】また、回転自在に支持された粉砕リング
と、前記粉砕リングの回転方向に沿って所定間隔に配置
された複数の粉砕ローラと、前記粉砕ローラの回転軸を
保持するローラブラケットと、前記ローラブラケットを
保持する加圧フレームと、前記加圧フレームに荷重を作
用させる加圧用油圧機構と、を備えて、被粉砕物を前記
粉砕ローラと前記粉砕リングで粉砕するローラ式粉砕装
置であって、前記加圧用油圧機構の加圧方向上流側に粉
砕ローラに因る振動を減衰させるための振動減衰付加用
油圧機構を設け、前記振動減衰付加用油圧機構は、シリ
ンダ内のピストンの上部側及び下部側の両方に圧力媒体
を収容し、前記ピストンは絞り機構付きピストンであっ
て、前記絞り機構によって前記両圧力媒体を流通させる
とともに前記圧力媒体の流れに抵抗を与えるローラ式粉
砕装置。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態に係るローラ式
粉砕装置(ローラミル)について図面を用いて以下説明
する。
【0035】図1〜図4には、本発明の第1の実施形態
に係るローラ式粉砕装置を示す。まず、図1は、ミルを
縦割りにした断面図で、テンションロッド12と加圧フ
レーム26の連結部付近の概要を示したものである。本
発明は、ミルの振動が発生した場合にのみ、粘弾性体や
摩擦材を振動吸収材として機能させ、加圧フレーム26
の上下振動を抑える構造に関するものである。その構造
は、加圧フレーム26の上部にピン結合部12cを介し
てロッド12aを設け、そのロッド12aの上端部に板
12eを、さらに板12eの上端部に別のロッド12d
を設けたものである。ロッド12dはガイド62dによ
り前後左右方向の動きは拘束されており、上下方向には
自由に動く状態になっている。
【0036】一方、ハウジング10には板12eの上下
動を抑制する抑制装置74を設置している。この抑制装
置74には油圧シリンダ69(図3を参照)が設けられ
ており、このシリンダ69により板12eにブレーキを
かける仕組みになっている。油圧シリンダ69と板12
eの間には振動吸収材75(図3を参照)を設けてお
り、ブレーキをかけた場合、振動吸収材が板12eに押
しつけられる仕組みになっている。
【0037】以上述べたような構造にしておけば、ミル
で問題となる振動が起きて板12eが上下した場合だけ
ロッド抑制装置74を用いて振動が吸収できる。
【0038】図1では、ロッド抑制装置74の例として
油圧式のものを示した。この装置74には、センサ64
で測定した加速度に応じて油圧制御装置65及び油圧装
置66を介して油圧がかけられ、ブレーキ力を発生する
仕組みになっている。
【0039】本実施形態に係るロッド抑制装置74がミ
ル全体にどのように設置されるかを、図1中のH−H断
面で見たものが図2である。抑制装置74は1台あたり
二つの固定治具74aを有している。本実施形態では抑
制装置は加圧フレーム26の各コーナ部に1台設置され
ている。このように抑制装置を配置すれば、加圧フレー
ム26全体の揺れを均等に抑えることができる。
【0040】図2中のロッド抑制装置の固定治具74
a、板12e等を拡大したものが図3であり、図3の断
面図が図4である。油圧シリンダ69は、治具74aを
介してハウジング10に固定されている。シリンダ69
の先端には、板70を介して振動吸収材75をボルト7
1で固定している。このような固定方法にしておけば、
メインテナンス等のときに振動吸収材75の着脱が容易
である。振動吸収材としては、粘弾性体あるいは摩擦材
を使用する。
【0041】粘弾性体には高分子材料が広く使用されて
おり、摩擦材としては窒化処理した鋳鉄等の金属製の材
料が一般に用いられているので、そのような材料を用い
ればよい。
【0042】以上、油圧式のロッド抑制装置について述
べたが、電磁式のもの又は空気圧を利用するもの等も使
用可能であり、本実施形態では特にその形式を限定する
ものではない。
【0043】次に、図3及び図4に示した振動吸収材7
5として2枚の粘弾性板を用い、ミルの振動を抑えるの
に必要な粘弾性板の厚さ、表面積及びせん断強度等のパ
ラメータを設定する方法を以下に述べる。
【0044】ミルの振動を止めるのに必要な減衰定数C
V、ミルの振動数f、振幅yを用いれば、振動を抑える
ために要求されるダンパの制振力FVは、下式で計算で
きる。
【0045】 FV=2πfCVy ……(1) 一方、式(1)に示したFVは、振幅y、粘弾性板の厚
さtV、表面積AV及びせん断強度GVの関数になってお
り、下式でも算定できる。
【0046】 FV=2GVVy/tV ……(2) 以上より、式(1)及び式(2)を用いれば、ミルの振
動を抑えるのに必要なGV,AV及びtV等のパラメータ
を決められる。
【0047】このようなパラメータの設定例として、1
00万キロワット級ボイラのミルの振動を止める場合を
考える。例として、振動数f=15(Hz)、振幅y=
0.2(cm)に設定し、これらの値の他、CVを式
(1)に代入して計算したFVは約2×104(N)にな
る。仮に、粘弾性板の厚さtV=1(cm)、表面積AV
=100(cm2)とし、FV,tV,y及びAVを式
(2)に代入して計算すれば、必要なせん断強度として
V=約50(kgf/cm2)が得られる。
【0048】また、図1に示すロッド抑制装置74に発
生すべきブレーキ力について説明する。ミルが振動する
場合の加速度レベルは、通常、重力加速度の3倍程度と
なる。1本のロッド12aを介して板12eに連結され
ているローラ7や加圧フレーム等26の部品の重量は約
20tであるから、ミル振動時には、この約20tの3
倍の約60tの力が板12eに動的に作用する。シリン
ダ69等の部品は、このような力を抑えるように設計す
る必要がある。
【0049】次に、板12eを抑制するためのブレーキ
の操作法について述べる。図1に示したように、本実施
形態ではセンサ64で測定した加速度に応じて油圧制御
装置65、油圧装置66及び油送管63を介してシリン
ダ69に油圧をかけ、ブレーキ力Pを発生する。ブレー
キ力の発生方法の詳細を図10に示す。
【0050】図10に示すように、センサ64で測定し
たロッド12aの加速度の絶対値が規定値Xaを越える
かどうかを判定して、越えた場合に、時間Δtの間だけ
ブレーキ力Pを発生させる。このようにブレーキを操作
すれば、前述した粘弾性板が効くので、ミルの振動が増
幅するのを妨げる。実機ボイラのミルの振動を例にとっ
た場合に、Δtは10s程度、加速度の規定値xa
0.1G程度に設定すればよい。
【0051】ロッド12aに生じる加速度の絶対値が規
定値xaを越えるかどうかを判定する方法として、時刻
歴波形を用いる代わりに、図11に示すような波形を変
換したスペクトルを用いてもよい。図11はロッドの上
下加速度を縦軸にとり、ミルで問題となる振動数で無次
元化した振動数を横軸にとったものである。この図に示
すように、実線で描いたスペクトルが点線のように変化
して加速度が規定値Xaを越えたかどうかを判定すれば
よい。
【0052】図3及び図4に示した振動吸収剤75とし
て、粘弾性板の代わりに摩擦板を用いた場合も、振動を
抑えるのに要求されるダンパの振動力Ffは、式(1)
のFと同じである。
【0053】 F=Fv=2πfCVy ……(3) 一方、Ffは、以下のように、摩擦板の動摩擦系数μ
と、油圧シリンダ69によってかけられるブレーキ力P
の関数になる。
【0054】 Ff=2μP ……(4) 以上より、式(3)及び(4)を用いれば、ミルの振動
を抑えるのに必要なμ、およびP等のパラメータを決め
られる。
【0055】このようなパラメータの設定例として、1
00万キロワット級ボイラのミルの振動を止める場合を
考える。例として、振動数f=15(Hz)、振幅y=
0.2(cm)に設定し、これらの値の他、Cvを式
(1)に代入して計算したFfは約2(tf)になる。
仮に、動摩擦系数μ=0.3とすれば、P=約3.3
(tf)が得られる。
【0056】図1に示すロッド制御装置74によるブレ
ーキの操作法は、振動吸収剤として、粘弾性板を使う場
合に述べたものと同じ方法でよい。
【0057】次に、本発明の第2の実施形態について図
5〜図9を用いて説明する。図5はミルを縦割りにした
断面図で、テンションロッド12と加圧フレーム26の
連結部付近の概要を示したものである。本実施形態は、
ミルの振動が発生した場合にのみ粘弾性ダンパ61を機
能させ、振動が起きていない場合には機能させないよう
にする防振構造に関するものである。
【0058】この防振構造は、加圧フレーム26の上部
にピン結合部12cを介してロッド12bを設け、その
ロッド12bの上端部に粘弾性ダンパ61を設けたもの
である。粘弾性ダンパ61の上部には別のロッド12a
を設け、ロッド12aの上には板12e、板12eの上
にはロッド12dを設けている。ロッド12dはガイド
62dにより前後左右方向の動きは拘束されており、上
下方向には自由に動く状態になっている。一方、ハウジ
ング10には板12eの上下動を抑制する装置74を設
置している。この抑制装置74には油圧シリンダ69が
設けられており、このシリンダ69により板12eにブ
レーキをかける仕組みになっている。
【0059】以上述べたような構造を採用することによ
って、問題となる振動が起きて板12eが上下した場合
だけダンパ61が効くように、抑制装置74によりブレ
ーキをかけてロッド板12e及びロッド12aの動きを
止めることができる。
【0060】図5では、抑制装置74の例として油圧式
のもの示した。この装置には、センサ64で測定した加
速度に応じて油圧制御装置65及び油圧装置66を介し
て油圧がかけられ、ブレーキ力を発生する仕組みになっ
ている。
【0061】図6は、図5に示す粘弾性ダンパ61を拡
大したものである。図6の(1)に示すように、このダ
ンパ61を用いるにはロッド12aの端を凸型61aに
加工して、下側のロッド12bの端を凹型61bに加工
する。図6の(1)中の線A−Aを境に、上側のロッド
12aと下側のロッド12bを見たものを図6の(2)
に示す。粘弾性ダンパは、図6の(3)に示すように、
このように加工した部分61a,61bの間に粘弾性体
で作った板61cを張合わせたものである。
【0062】以上の説明では、ロッド12aの端を凸型
に、ロッド12bを凹型に加工すると述べたが、上側1
2aを凹型に、下側12bを凸型に加工しても良い。ま
た、ロッド自体を加工する必要はなく、例えば図7に示
すように、線B−Bと線C−Cで区切られる部分61
a,61b,61cを持つ装置を利用し、その装置を溶
接61dによって固定してもよい。また、図8に示すよ
うに、部品61a,61b,61cを持つ装置を、ボル
ト61eを使って接合するものであってもよい。
【0063】また、図6(1)に示すような凸型61a
と凹型61bを用いたダンパについて述べたが、ダンパ
の形状は、図9に示すようなものであっても良く、本発
明の第2の実施形態では、特にその形にはこだわらない
ものである。
【0064】次に、本発明の第3の実施形態に係るロー
ラ式粉砕装置について、図12〜図14を用いて以下説
明する。第3の実施形態の側面図を図12に示す。粉砕
リング1上のくぼみ部には、ローラブラケット3に軸5
及びベアリングにより回転可能なように支持されたロー
ラ2が設置されている。ローラブラケット3の上部及び
加圧フレーム9の下面にはピボツトピン4が入る溝が加
工されており、ローラブラケット3及びローラ2はピボ
ツトピン4を介して加圧フレーム9により粉砕リング1
上に押しつけられるとともに、ローラ2がピボツトピン
4を中心に振り子運動できるようになっている。
【0065】加圧フレーム9にはピボツトアーム12が
取り付けられており、このピボツトアーム12のもう一
方の端部はローディングロッド13とつながっている。
ローディングロッド13のもう一方の端部側には、減衰
付加用ピストン24及び加圧用ピストン21が取り付け
られている。
【0066】加圧用ピストン21は加圧用シリンダ20
に収容されており、加圧用シリンダ20内の加圧用ピス
トン21の上部には管路22が取り付けられ、この管路
22を通して加圧された油圧媒体23を図示していない
加圧ポンプで加圧用ピストン21の上部に供給すること
によりローラ2を粉砕リング1上に加圧するようになっ
ている。
【0067】一方、減衰付加用ピストン24は、加圧用
シリンダ20の上部に固定された減衰付加用シリンダ2
5に収容されており、減衰付加用シリンダ25の上部側
及び下部側部屋にはそれぞれ圧力媒体26a,26bが
収容され、両部屋は管路27a及び27bでつながって
いる。管路27aと27bの間には流量調整弁28が設
けられており、管路27a,27bを通過する圧力媒体
の動きに抵抗を与えられるようになっている。ローラブ
ラケット3には振動計29が取り付けられており、粉砕
部の振動をモニターすることにより、制御装置30によ
り流量調整弁28の開度を振動吸収効果が常に最大とな
るように制御することが可能になっている。
【0068】図12において、ローラ2と被粉砕物18
に滑りが発生し、スティックスリップやコルゲーション
現象により、ローラ2が上下方向に激しく振動すると、
ローラブラケット3、加圧フレーム9、ピボツトアーム
12、ローディングロッド13及び減衰付加用ピストン
24も同様に上下動することになる。減衰付加用シリン
ダ24内の減衰付加用ピストン21が上下動すると、減
衰付加用シリンダ25内の上部側油圧媒体26a及び下
部側油圧媒体26bの両方が減衰付加用シリンダ25か
ら流出/流入する。
【0069】これに伴って、管路27a,27b中の油
圧媒体26a,26bも動き、油圧媒体26a,26b
は流量調整弁28を通過する。流量調整弁28は油圧媒
体26a,26bに対して流れ抵抗として働くことにな
る。更に、検討の結果によると、流量調整弁28の開度
すなわち流れ抵抗値を適切に設定することによって減衰
付加用シリンダ25を油式ダンパーとして働かせること
ができ、粉砕部の激しい振動を吸収低減させることが可
能である。
【0070】本実施形態に係る粉砕装置では、減衰付加
用油圧シリンダ25が加圧用油圧シリンダ20の加圧方
向上流側に配置されているため、ローラ2に発生した振
動すべてが油圧媒体26a,26bを介して流量調整弁
28に伝わるため、非常に大きな振動吸収効果を得るこ
とが可能である。
【0071】これに対して、図20及び図21に示した
従来装置においては、ローラ2に発生した振動はピスト
ン21からシリンダ20内の油圧媒体26、管路27内
の油圧媒体を介して流量調整弁23だけではなく図示し
ていない加圧ポンプ側にも伝わること、管路27及び油
圧シリンダ20内の油圧媒体26が本発明に比べて多量
であるため、振動が油圧媒体内で散逸してしまうことな
どにより、すべての振動が流量調整弁23に伝わらない
ため、十分な振動吸収効果を得ることができない。
【0072】次に、油圧媒体に流れ抵抗を与えることに
より振動を吸収できることについて説明する。図13
は、流量調整弁28の開度を変化させることにより油圧
媒体の流れ抵抗値を変化させた時の振動吸収低減効果を
示す模式図である。横軸は流れ抵抗値R(Ns/m
5)であり、流量調整弁28を通過する油圧媒体26
の流量Q(mm3/s)、減衰付加用シリンダ25及び
管路27aの圧力Pa(N/mm2)、管路27b内の圧
力Pb(N/mm2)と次式の関係がある。
【0073】 Q=(Pa−Pb)/R ……(5) 縦軸はローラ2を上下方向に固有振動数で強制加振した
ときの振動変位の大きさである。粉砕装置に自励振動が
発生した場合、その振動数はほぼ粉砕部の固有振動数と
なるため、固有振動数における振動を吸収できる必要が
ある。
【0074】図13に示すように、流れ抵抗値を変化さ
せるローラ2の固有振動数における振動変位量も変化
し、最も振動変位量が小さくなる流れ抵抗値、すなわ
ち、振動吸収効果が最も大きくなる流れ抵抗値が存在す
る。
【0075】以下に代表的な3つの流れ抵抗値の領域に
おけるローラ2及び減衰付加用ピストン24の動きにつ
いて説明する。
【0076】領域RA〜RBは、流れ抵抗値が小さすぎる
領域であり、油圧媒体26は流量調整弁28を抵抗なく
通過する。この場合、減衰付加用ピストン24はローラ
2の振動に伴って自由に上下動できることになり、ロー
ラ2の振動を吸収低減することができない。
【0077】一方、領域RD〜REは流れ抵抗値が大きす
ぎる領域であり、油圧媒体26は流量調整弁28をほと
んど通過しないことになる。油圧媒体26が流量調整弁
28を通過しないと、減衰付加用ピストン24もほとん
ど上下動できないが、ローラ2に発生した振動により、
軸5、ピボツトピン4、ローディングロッド13及び油
圧媒体26が弾性体として振動するため、ローラ2の振
動も成長し、振動を吸収低減することはできない。
【0078】領域RB〜RDは振動を吸収低減できる流れ
抵抗値である。この場合、ローラ2及び減衰付加用ピス
トン24の上下動によって生じた油圧媒体26の振動
は、流量調整弁28の流れ抵抗によって吸収することが
できるので、ローラ2の上下動を吸収低減することが可
能である。RCが最も振動を吸収低減できる流れ抵抗値
であり、流量調整弁28の流れ抵抗値をRCに設定すれ
ば、ローラ2及び粉砕部の振動を最も吸収低減すること
ができ自励振動の発生を防止できる。
【0079】次に、本実施形態のローラ式粉砕装置が従
来装置に比べて振動吸収効果が大きいことを確認するた
め、図12(本実施形態)及び図21(従来装置)に対
応する数値解析モデルを作成し、固有値解析を実施し
た。解析モデルは各部品に対応する集中質量をバネで結
合したものであり、流量調整弁の流れ抵抗値Rをパラメ
ータとして固有振動数及び振動吸収効果を表す減衰比を
求めた。
【0080】図14の(1)は固有振動数と流量調整弁
の流れ抵抗値Rの関係である。流量調整弁の流れ抵抗値
が10-7Ns/mm5以下の領域では、本実施形態及び
従来装置ともに油圧媒体が流量調整弁を抵抗なく流れ、
図12の減衰付加用ピストン24及び図21のピストン
21が自由に上下動するため、固有振動数が小さくなっ
ている。流れ抵抗値Rが増加し10-7Ns/mm5以上
になると、流量調整弁を通過する油圧媒体の量が少なく
なり、図12の減衰付加用ピストン24及び図21のピ
ストン21の上下動が抑制されるため、両者とも固有振
動数が急増している。
【0081】流れ抵抗値が10-5Ns/mm5以上で
は、油圧媒体が流量調整弁を全く流れないため、本実施
形態と従来装置はともにその固有振動数は流れ抵抗値に
よらず一定となっている。流れ抵抗値Rが10-7Ns/
mm5以上で、従来装置よりも本実施形態の固有振動数
が高くなっているのは流量調整弁までの油圧媒体の量に
関係しており、本実施形態における減衰付加用シリンダ
25及び管路27内の油圧媒体26の量に比べて、図2
1の従来装置のシリンダ20及び管路27内の油圧媒体
の量が多いためである。
【0082】図14の(2)は振動吸収効果の大きさを
表す減衰比である。減衰比が大きい程、振動吸収効果が
大きいことを示している。流れ抵抗値が10-8Ns/m
5以下の領域では、本発明、従来装置ともに減衰比は
小さく振動吸収効果はほとんどない。流れ抵抗値が増加
し10-5〜10-8Ns/mm5付近になると本発明、従
来装置とも減衰比が急増し、振動吸収効果が最大となっ
ている。最大減衰比は本発明の場合が約0.56、従来
機構が0.4であり約1.4倍になっている。
【0083】本実施形態が従来装置に比べて顕著に振動
吸収効果が大きくなるのは、前述のように本実施形態で
はローラの振動のほとんどが流量調整弁に伝わるのに対
して、従来装置ではローラの振動の一部しか流量調整弁
に伝わらないためである。更に流れ抵抗値が増加すると
減衰比は急激に減少し、10-5Ns/mm5以上ではほ
とんど振動吸収効果がなくなっている。これは、流量調
整弁の流れ抵抗値が大きくなると、油圧媒体26が流量
調整弁をほとんど通過しないので、振動を吸収できない
ためである。
【0084】以上のように、本実施形態に係るローラ式
粉砕装置によれば、従来装置に比べて非常に大きな振動
吸収効果が得られ、自励振動が発生しやすい被粉砕物を
粉砕する場合においても振動を十分に吸収し、自励振動
の発生を未然に防止することが可能である。
【0085】また、本発明の第4の実施形態について説
明する。図15に示す第4の実施形態は加圧用油圧シリ
ンダ20と減衰付加用油圧シリンダ25を離して配置し
たものである。図12の実施形態では減衰付加用油圧シ
リンダ25が加圧用シリンダ20の上部に固定されてい
るのに対して、本実施形態では減衰付加用シリンダ25
がハウジング19の側面に固定されている。本実施形態
も図12と同様に減衰付加用シリンダ25が加圧用シリ
ンダ20よりも加圧方向上流側にあり、その作用・効果
も同様であるが、ハウジング19に大きな荷重が作用す
るためハウジング19の強度の確保について配慮してお
く必要がある。
【0086】図16に示す第5の実施形態は、減衰付加
用シリンダ25内のピストンを絞り機構付ピストン31
としたものである。絞り機構付ピストン31には絞り穴
32が設けられ、流量調整弁33が組み込まれており、
油圧媒体26a,26bがこの絞り穴32及び流量調整
弁33を通過することにより、流れ抵抗を与えられるよ
うになっている。本実施形態に特有の効果としては、油
圧機構がコンパクトになるという利点がある。
【0087】以上説明したように、本発明は、次のよう
な構成と機能乃至作用を奏するものを含むものである。
【0088】(1)問題となるミルの振動が発生した場
合にのみ粘弾性あるいは摩擦材を機能させ、振動が起き
ていない場合には機能させないようにするため、加圧フ
レームの上側に取付けた軸の上部に、前記軸方向の動き
を抑制する抑制装置を設ける。
【0089】(2)前記抑制装置と前記軸の間に粘弾性
体あるいは摩擦材を設け、問題となる振動が起きて前記
軸が上下した場合だけ、抑制装置によりブレーキをかけ
て粘弾性体あるいは摩擦材を前記軸に押し当て、前記軸
の上下動を拘束する。振動が起きていない場合は、抑制
装置を働かせず前記軸が自由に上下できるようにする。
【0090】(3)前記抑制装置によりブレーキをかけ
るかどうかの判定は、測定したミルの振動波形、あるい
は波形を変換して得られるスペクトルが規定値を越える
か越えないかによって行う。
【0091】(4)上記(1)及び(2)の代わりに、
加圧フレームの上側に取付けた軸の上部に、前記軸方向
の動きを抑制する抑制装置を設け、この抑制装置と加圧
フレームの間の前記軸の部分に粘弾性ダンパを設け、問
題となる振動が起きて前記軸が上下した場合だけダンパ
が効くように、抑制装置によりブレーキをかけて前記軸
の上部の振動を止める。
【0092】(1)〜(4)の構成によって、加圧フレ
ームの上部に取付けた軸の軸方向振動を吸収することに
より、前記軸に連結されている加圧フレームや、加圧フ
レームに連結されているブラケット、ブラケットに連結
されるローラの揺れを抑え、ひいてはミル全体を防振す
る。
【0093】(5)粉砕用ローラを粉砕リング上に加圧
するための加圧用油圧機構の加圧方向上流側の同一軸上
に、減衰付加用シリンダ内で加圧ロッドに固定された減
衰付加用ピストンの上部及び下部側の両方に圧力媒体を
収容し、両圧力媒体を連結する配管に例えば絞り弁や流
量調整弁のような圧力媒体の流れに抵抗を与える手段を
取り付け、それぞれの流れ抵抗付与手段の抵抗値を粉砕
部の振動を最も吸収できる値に設定できる減衰付加用油
圧機構を設ける。
【0094】(5)の構成によって、加圧用油圧機構の
加圧方向上流側に減衰付加用油圧機構が配置され、加圧
用及び減衰付加用油圧機構が独立しているため、ローラ
の振動が振動吸収作用のない加圧ポンプ側に伝わった
り、多量の油圧媒体内で散逸したりすることがない。そ
のため、ローラに発生した振動すべてが振動吸収作用の
ある流量調整弁に伝わるようになり、従来装置に比べて
ローラの振動を吸収する効果が顕著に大きくなるので、
振動が発生しやすい被粉砕物を粉砕する場合においても
ローラの振動が成長することはない。
【0095】
【発明の効果】本発明は、防振装置をハウジング外部に
設けるものであるので、たとえ防振装置が破損してもミ
ル粉砕部に損傷を与えることがないため、ミルの運転に
支障なく防振できる。その結果として、ミルだけでなく
プラント全体のフレキシブルな運用が可能となる。
【0096】本発明になるローラ式粉砕装置によれば、
粉砕時の振動を防止することが可能であり、振動発生に
より運転範囲が制限されるようなことはなく、安定な粉
砕が可能となる。
【0097】また、従来振動発生により実現できなかっ
た被粉砕物の超微粉化も可能であり、例えば、本発明を
石炭焚火力発電ボイラの石炭粉砕装置に適用した場合に
は、石炭の超微粉化により燃焼効率が向上するなど、多
大な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るローラ式粉砕装
置に関する全体構成を示した図である。
【図2】第1の実施形態を構成するロッド抑制装置の詳
細を示した図である。
【図3】ロッド抑制装置の詳細を示した図である。
【図4】ロッド抑制装置の詳細を示した図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るローラ式粉砕装
置に関する全体構成を示した図である。
【図6】第2の実施形態を構成する粘弾性ダンパの詳細
を示した図である。
【図7】粘弾性ダンパの詳細を示した図である。
【図8】粘弾性ダンパの詳細を示した図である。
【図9】粘弾性ダンパの詳細を示した図である。
【図10】ロッド抑制装置におけるブレーキの作動態様
を示す図である。
【図11】ロッドの振動態様を示す図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係るローラ式粉砕
装置に関する全体構成を示した図である。
【図13】粉砕部の振動変位と油圧媒体の流れ抵抗値の
関係を示す図である。
【図14】固有振動数変化と流れ抵抗値、減衰比と流れ
抵抗値、のそれぞれの関係の解析結果を示す図である。
【図15】本発明の第4の実施形態に係るローラ式粉砕
装置に関する全体構成を示した図である。
【図16】本発明の第5の実施形態に係るローラ式粉砕
装置に関する全体構成を示した図である。
【図17】従来技術に係るローラ式粉砕装置に関する全
体構成を示した図である。
【図18】従来技術に係るローラ式粉砕装置の一般的な
油圧加圧機構を示す図である。
【図19】従来技術に係るローラ式粉砕装置の加圧機構
を示す図である。
【図20】従来技術に係るローラ式粉砕装置の油圧加圧
機構の一例を示す図である。
【図21】従来技術に係るローラ式粉砕装置の油圧加圧
機構の他例を示す図である。
【図22】従来技術に係るローラ式粉砕装置の加圧機構
の一例を示す図である。
【図23】従来技術に係るローラ式粉砕装置の加圧機構
の一例を示す断面図である。
【図24】従来開発された各種ダンパの特徴を説明する
図である。
【符号の説明】
4 ローラピボット(図1〜図9) 5 ローラブラケット(図1〜図9) 7 粉砕ローラ(図1〜図9) 8 粉砕リング(図1〜図9) 10 ミルハウジング(図1〜図9) 12 テンションロッド(図1〜図9) 26 加圧フレーム(図1〜図9) 61 粘弾性ダンパ(図1〜図9) 63 油送管(図1〜図9) 64 加速度センサ(図1〜図9) 65 油圧制御装置(図1〜図9) 66 油圧装置(図1〜図9) 69 油圧シリンダ(図1〜図9) 70 振動吸収材固定板(図1〜図9) 71 ボルト(図1〜図9) 74 ロッド抑制装置(図1〜図9) 75 振動吸収材(図1〜図9) 1 粉砕リング(図12〜図16) 2 ローラ(図12〜図16) 3 ローラブラケット(図12〜図16) 4 ピボットピン(図12〜図16) 5 軸(図12〜図16) 9 加圧フレーム(図12〜図16) 12 ピボットアーム(図12〜図16) 13 ローディングロッド(図12〜図16) 18 被粉砕物(図12〜図16) 19 ハウジング(図12〜図16) 20 加圧用シリンダ(図12〜図16) 21 加圧用ピストン(図12〜図16) 22 管路(図12〜図16) 23 圧力媒体(図12〜図16) 25 減衰付加用シリンダ(図12〜図16) 26 圧力媒体(図12〜図16) 29 振動計(図12〜図16) 30 制御装置(図12〜図16) 31 絞り機構付きピストン(図12〜図16) 32 絞り穴(図12〜図16) 33 可変流量調整弁(図12〜図16)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 一教 広島県呉市宝町3番36号 バブコック日立 株式会社呉研究所内 (72)発明者 金本 浩明 広島県呉市宝町3番36号 バブコック日立 株式会社呉研究所内 (72)発明者 三井 秀雄 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日立 株式会社呉工場内 Fターム(参考) 4D063 EE03 EE12 EE26 GA08 GA10 GB07 GC21 GC25 GC29 GD13

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転自在に支持された粉砕リング、前記
    粉砕リングの回転方向に沿って所定間隔に配置された複
    数の粉砕ローラ、前記粉砕ローラの回転軸を保持するロ
    ーラブラケット、前記ローラブラケットを保持する加圧
    フレーム、をそれぞれハウジング内部に有し、前記加圧
    フレームに加圧軸を介して荷重を作用させる加圧装置を
    ハウジング外部に有して、被粉砕物を前記粉砕ローラと
    前記粉砕リングで粉砕するローラ式粉砕装置であって、 前記加圧フレームから鉛直方向に伸ばした加圧フレーム
    拘束軸を設け、 前記拘束軸の上下方向のスライド運動を抑制する抑制装
    置をハウジング外部に設け、 前記拘束軸の振動を吸収する振動吸収材を前記抑制装置
    に設定し、 前記粉砕ローラに因る振動が規定値以上になった場合に
    前記抑制装置を作動させて前記振動吸収材を前記拘束軸
    に当接させることを特徴とするローラ式粉砕装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のローラ式粉砕装置にお
    いて、 前記振動吸収材として、粘弾性体又は摩擦材を用いるこ
    とを特徴とするローラ式粉砕装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のローラ式粉砕装置にお
    いて、 前記拘束軸は、その軸の上下部分を粘弾性ダンパを介在
    させて連係していることを特徴とするローラ式粉砕装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項1又は3に記載のローラ式粉砕装
    置において、 前記粉砕ローラに因る振動が規定値以上になったことの
    判定は、測定した振動の時刻歴波形又は前記波形を変換
    して得られるスペクトルを用いることを特徴とするロー
    ラ式粉砕装置。
  5. 【請求項5】 回転自在に支持された粉砕リングと、前
    記粉砕リングの回転方向に沿って所定間隔に配置された
    複数の粉砕ローラと、前記粉砕ローラの回転軸を保持す
    るローラブラケットと、前記ローラブラケットを保持す
    る加圧フレームと、前記加圧フレームに荷重を作用させ
    る加圧用油圧機構と、を備えて、被粉砕物を前記粉砕ロ
    ーラと前記粉砕リングで粉砕するローラ式粉砕装置であ
    って、 前記加圧用油圧機構の加圧方向上流側に粉砕ローラに因
    る振動を減衰させるための振動減衰付加用油圧機構を設
    けることを特徴とするローラ式粉砕装置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のローラ式粉砕装置にお
    いて、 前記振動減衰付加用油圧機構は、シリンダ内のピストン
    の上部側及び下部側の両方に圧力媒体を収容し、両圧力
    媒体を連結する配管に前記圧力媒体の流れに抵抗を与え
    る流れ抵抗付与手段を設けることを特徴とするローラ式
    粉砕装置。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載のローラ式粉砕装置にお
    いて、 前記流れ抵抗付与手段の抵抗値が可変であり、前記粉砕
    ローラに因る振動を測定する振動計により検知した振動
    の大きさによって前記流れ抵抗付与手段の抵抗値を変化
    させることを特徴とするローラ式粉砕装置。
  8. 【請求項8】 回転自在に支持された粉砕リングと、前
    記粉砕リングの回転方向に沿って所定間隔に配置された
    複数の粉砕ローラと、前記粉砕ローラの回転軸を保持す
    るローラブラケットと、前記ローラブラケットを保持す
    る加圧フレームと、前記加圧フレームに荷重を作用させ
    る加圧用油圧機構と、を備えて、被粉砕物を前記粉砕ロ
    ーラと前記粉砕リングで粉砕するローラ式粉砕装置であ
    って、 前記加圧用油圧機構の加圧方向上流側に粉砕ローラに因
    る振動を減衰させるための振動減衰付加用油圧機構を設
    け、 前記振動減衰付加用油圧機構は、シリンダ内のピストン
    の上部側及び下部側の両方に圧力媒体を収容し、 前記ピストンは絞り機構付きピストンであって、前記絞
    り機構によって前記両圧力媒体を流通させるとともに前
    記圧力媒体の流れに抵抗を与えることを特徴とするロー
    ラ式粉砕装置。
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JP (1) JP2000126631A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002159874A (ja) * 2000-11-28 2002-06-04 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd 竪型ミル
JP2012045496A (ja) * 2010-08-27 2012-03-08 Chugoku Electric Power Co Inc:The 竪型ミルの粉砕ローラの監視装置及び監視方法
JP2013091054A (ja) * 2011-10-27 2013-05-16 Ihi Corp ローラミル
JP2014180650A (ja) * 2013-03-21 2014-09-29 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 石炭ミル

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