JP2000124523A - 磁気抵抗効果素子、ならびに、前記磁気抵抗効果素子を用いた薄膜磁気ヘッド - Google Patents

磁気抵抗効果素子、ならびに、前記磁気抵抗効果素子を用いた薄膜磁気ヘッド

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JP2000124523A JP11287864A JP28786499A JP2000124523A JP 2000124523 A JP2000124523 A JP 2000124523A JP 11287864 A JP11287864 A JP 11287864A JP 28786499 A JP28786499 A JP 28786499A JP 2000124523 A JP2000124523 A JP 2000124523A
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Yutaka Yamamoto
豊 山本
Kazuya Ominato
和也 大湊
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来、反強磁性層として使用されていたNi
Mn合金の場合、固定磁性層(例えばNiFe合金)と
の界面構造を整合状態としておいても、適性な交換異方
性磁界を得ることができるが、NiMn合金よりも優れ
た反強磁性材料である白金族元素を用いたX−Mn合金
の場合、固定磁性層との界面構造を整合状態とすると、
交換異方性磁界を得ることができないという問題点があ
った。 【構成】 反強磁性層4はX−Mn(Xは白金族元素)
で形成され、Xの組成比が適性に調節されることによ
り、固定磁性層3との界面構造は非整合状態にされてい
る。従って熱処理を施すことにより、前記反強磁性層4
の結晶構造が変態し、大きな交換異方性磁界を得ること
ができるので、従来に比べてより再生特性を向上させる
ことが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、前記反強磁性層と
強磁性層との界面にて発生する交換異方性磁界を用いた
磁気抵抗効果素子および薄膜磁気ヘッドに係り、特に前
記反強磁性層が元素X(Pt,Pd等)とMnとを含有
する反強磁性材料で形成された場合、より大きい交換異
方性磁界を得られるようにした磁気抵抗効果素子(スピ
ンバルブ型薄膜素子、AMR素子)、ならびに、前記磁
気抵抗効果素子を用いた薄膜磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】スピンバルブ型薄膜素子は、巨大磁気抵
抗効果を利用したGMR(giant magnetoresistive)素
子の1種であり、ハードディスクなどの記録媒体からの
記録磁界を検出するものである。
【0003】このスピンバルブ型薄膜素子は、GMR素
子の中でも比較的構造が単純で、しかも弱い磁界で抵抗
が変化するなど、いくつかの優れた点を有している。
【0004】前記スピンバルブ型薄膜素子は、最も単純
な構造で、反強磁性層、固定磁性層、非磁性導電層およ
びフリー磁性層から成る。
【0005】前記反強磁性層と固定磁性層とは接して形
成され、前記反強磁性層と固定磁性層との界面にて発生
する交換異方性磁界により、前記固定磁性層の磁化方向
は一定方向に単磁区化され固定される。
【0006】フリー磁性層の磁化は、その両側に形成さ
れたバイアス層により、前記固定磁性層の磁化方向と交
叉する方向に揃えられる。
【0007】前記反強磁性層にはFe−Mn(鉄−マン
ガン)合金膜、またはNi−Mn(ニッケル−マンガ
ン)合金膜、固定磁性層及びフリー磁性層にはNi−F
e(ニッケル−鉄)合金膜、非磁性導電層にはCu
(銅)膜、またバイアス層にはCo−Pt(コバルト−
白金)合金膜などが一般的に使用されている。
【0008】このスピンバルブ型薄膜素子では、ハード
ディスクなどの記録媒体からの漏れ磁界により、前記フ
リー磁性層の磁化方向が変動すると、固定磁性層の固定
磁化方向との関係で電気抵抗が変化し、この電気抵抗値
の変化に基づく電圧変化により、記録媒体からの洩れ磁
界が検出される。
【0009】ところで、前述したように、反強磁性層に
は、Fe−Mn合金膜やNi−Mn合金膜が用いられる
が、Fe−Mn合金膜は、耐食性が低く、また交換異方
性磁界が小さく、さらにブロッキング温度が150℃程
度と低くなっている。ブロッキング温度が低いことで、
ヘッドの製造工程中やヘッド動作中における素子温度の
上昇により、交換異方性磁界が消失してしまうという問
題が発生する。
【0010】これに対し、Ni―Mn合金膜は、Fe―
Mn合金膜に比べて、交換異方性磁界が比較的大きく、
しかもブロッキング温度が約300℃と高い。従って反
強磁性層には、Fe―Mn合金膜よりもNi―Mn合金
膜を用いる方が好ましい。
【0011】また、B.Y.Wong,C.Mitsu
mata,S.Prakash,D.E.Laughl
in,and T.Kobayashi:Journa
lof Applied Phsysics,vol.
79,No10,p.7896―p.7904(199
6)には、Ni−Mn合金膜を反強磁性層として用いた
場合における前記反強磁性層と固定磁性層(NiFe合
金膜)との界面構造について報告されている。
【0012】この論文には、「NiFeとNiMnの両
方の{111}面が膜面と平行となるように、NiFe
/NiMn界面での結晶整合状態を保って成長してい
る。界面での整合歪みは、膜面と平行な面を双晶面とす
る双晶が多数導入されることにより緩和されている。た
だし、残存している界面歪みにより、界面近くでのNi
Mnの規則化は低く抑制され、界面から離れた場所では
規則化度が高くなっている。」と記載されている。
【0013】なお、整合とは、界面における反強磁性層
と固定磁性層との原子が、1対1で対応する状態のこと
をいい、逆に非整合とは、界面における反強磁性層と固
定磁性層との原子が一対の位置関係にない状態のことを
いう。
【0014】NiMn合金で反強磁性層が形成される場
合、熱処理が施されることにより、NiMn合金と固定
磁性層との界面に、交換異方性磁界が発生するが、これ
は熱処理が施されることにより、NiMn合金が不規則
格子から規則格子に変態することによる。
【0015】熱処理が施される前では、NiMn合金の
結晶構造は、Ni,Mn原子の配列順序が不規則な面心
立方格子(以下、不規則格子という)であるが、熱処理
が施されると、結晶構造は、面心立方格子から面心正方
格子に変態し、しかも原子位置が規則化(以下規則格子
という)する。なお、結晶構造が完全に規則格子となっ
た場合におけるNi−Mn合金膜の格子定数a,cの比
c/aは、0.942である。
【0016】このように、完全に規則格子となったNi
Mn合金膜の格子定数比c/aは、比較的1に近い値で
あるため、不規則格子から規則格子に変態する時に生じ
る界面での格子歪みは、比較的小さくなっており、従っ
てNiMn合金膜と固定磁性層との界面構造が整合状態
にあっても、熱処理が施されることにより、NiMn合
金が不規則格子から規則格子に変態し、交換異方性磁界
が発生する。
【0017】なお前述した論文に記載されているよう
に、界面における格子歪みは、双晶によりある程度緩和
されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、Ni
Mn合金は、比較的交換異方性磁界が大きく、またブロ
ッキング温度も約300℃と高くなっており、従来のF
eMn合金に比べて優れた特性を有しているが、耐食性
に関しては、FeMn合金と同じ様に、充分であるとは
いえなかった。
【0019】そこで最近では、耐食性に優れ、しかもN
iMn合金よりも大きい交換異方性磁界を発生し、高い
ブロッキング温度を有する反強磁性材料として、白金族
元素を用いたX−Mn合金(X=Pt,Pd,Ir,R
h,Ru,Os)が注目を浴びている。
【0020】白金族元素を含有するX−Mn合金を反強
磁性層として用いれば、従来に比べて再生出力を向上さ
せることができ、またヘッド駆動動作時における素子温
度の上昇により、交換異方性磁界が消滅し再生特性が低
下するといった不具合も生じにくくなる。
【0021】ところで、この白金族元素を含有するX−
Mn合金を反強磁性層として用いた場合、交換異方性磁
界を発生させるには、NiMn合金を反強磁性層として
用いた場合と同様に、成膜後熱処理を施す必要がある。
【0022】NiMn合金の場合、前述した文献によれ
ば、固定磁性層(NiFe合金)との界面構造は整合状
態となっていると記載されているが、X−Mn合金(X
は白金族元素)の場合も同じ様に、固定磁性層との界面
構造を整合状態としておくと、熱処理を施しても交換異
方性磁界がほとんど発生しないことがわかった。
【0023】本発明は上記従来の課題を解決するための
ものであり、反強磁性層として、元素X(Xは白金族元
素)とMnとを含有する反強磁性材料を用いた場合、そ
の成膜順序に応じた最適な合金組成比を備えることで、
大きい交換異方性磁界を発生することができるようにし
た交換結合膜を用いた磁気抵抗効果素子、ならびに、前
記磁気抵抗効果素子を用いた薄膜磁気ヘッドを提供する
ことを目的としている。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気抵抗効果素
子ならびにこの磁気抵抗効果素子を用いた薄膜磁気ヘッ
ドは、反強磁性層が強磁性層の上に位置する場合と、下
に位置する場合とで、前記反強磁性層を構成する組成X
の組成比、またはX+X′の組成比に最適な範囲を与え
ることを特徴としている。
【0025】すなわち、本発明の磁気抵抗効果素子は、
反強磁性層と、この反強磁性層の下側に接して形成さ
れ、前記反強磁性層との交換異方性磁界により磁化方向
が固定される固定磁性層と、前記固定磁性層に非磁性層
を介して形成されたフリー磁性層と、前記フリー磁性層
の磁化方向を前記固定磁性層の磁化方向と交叉する方向
へ揃えるバイアス層とを有し、前記反強磁性層が、X−
Mn合金(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,R
u,Osのうちいずれか1種または2種以上の元素であ
る)で形成され、X−Mn合金のXの組成比はat%
で、47〜57の範囲内であることを特徴とするもので
ある。この磁気抵抗効果素子の膜構成は、反強磁性層と
固定磁性層が接して形成され、前記反強磁性層が固定磁
性層の上側に形成されたシングルスピンバルブ型薄膜素
子である。
【0026】または、反強磁性層と、この反強磁性層の
上側に接して形成され、前記反強磁性層との交換異方性
磁界により磁化方向が固定される固定磁性層と、前記固
定磁性層に非磁性層を介して形成されたフリー磁性層
と、前記フリー磁性層の磁化方向を前記固定磁性層の磁
化方向と交叉する方向へ揃えるバイアス層とを有し、前
記反強磁性層が、X−Mn合金(ただしXは、Pt,P
d,Ir,Rh,Ru,Osのうちいずれか1種または
2種以上の元素である)で形成され、X−Mn合金のX
の組成比はat%で、44〜57の範囲内であることを
特徴とするものである。この磁気抵抗効果素子の膜構成
は、反強磁性層と固定磁性層が接して形成され、前記反
強磁性層が固定磁性層の下側に形成されたスピンバルブ
型薄膜素子である。
【0027】または、磁化方向が固定される固定磁性層
と、前記固定磁性層に非磁性層を介して形成されたフリ
ー磁性層とを有し、前記フリー磁性層の上側に、間隔を
空けて反強磁性層が積層され、前記反強磁性層とフリー
磁性層との界面の交換異方性磁界により前記フリー磁性
層の磁化方向が前記固定磁性層の磁化方向と交叉する方
向へ揃えられ、前記反強磁性層が、X−Mn合金(ただ
しXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうちい
ずれか1種または2種以上の元素である)で形成され、
X−Mn合金のXの組成比はat%で、47〜57の範
囲内であることを特徴とするものである。この磁気抵抗
効果素子の膜構成は、エクスチェンジバイアス層として
の反強磁性層が、フリー磁性層の上側に形成されたシン
グルスピンバルブ型薄膜素子である。
【0028】または、磁化方向が固定される固定磁性層
と、前記固定磁性層に非磁性層を介して形成されたフリ
ー磁性層とを有し、前記フリー磁性層の下側に、間隔を
空けて反強磁性層が積層され、前記反強磁性層とフリー
磁性層との界面の交換異方性磁界により前記フリー磁性
層の磁化方向が前記固定磁性層の磁化方向と交叉する方
向へ揃えられ、前記反強磁性層が、X−Mn合金(ただ
しXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうちい
ずれか1種または2種以上の元素である)で形成され、
X−Mn合金のXの組成比はat%で、44〜57の範
囲内であることを特徴とするものである。この磁気抵抗
効果素子の膜構成は、エクスチェンジバイアス層として
の反強磁性層が、フリー磁性層の下側に形成されたシン
グルスピンバルブ型薄膜素子である。
【0029】または、フリー磁性層の上下に積層された
非磁性層と、一方の前記非磁性層の上および他方の非磁
性層の下に位置する固定磁性層と、一方の前記固定磁性
層の上および他方の固定磁性層の下に位置して、交換異
方性磁界によりそれぞれの固定磁性層の磁化方向を一定
の方向に固定する反強磁性層と、前記フリー磁性層の磁
化方向を前記固定磁性層の磁化方向と交叉する方向に揃
えるバイアス層とを有し、前記固定磁性層の上に位置す
る前記反強磁性層が、X−Mn合金(ただしXは、P
t,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうちいずれか1種
または2種以上の元素である)で形成され、X−Mn合
金のXの組成比はat%で、47〜57の範囲内である
ことを特徴とするものである。
【0030】または、フリー磁性層の上下に積層された
非磁性層と、一方の前記非磁性層の上および他方の非磁
性層の下に位置する固定磁性層と、一方の前記固定磁性
層の上および他方の固定磁性層の下に位置して、交換異
方性磁界によりそれぞれの固定磁性層の磁化方向を一定
の方向に固定する反強磁性層と、前記フリー磁性層の磁
化方向を前記固定磁性層の磁化方向と交叉する方向に揃
えるバイアス層とを有し、前記固定磁性層の下に位置す
る前記反強磁性層が、X−Mn合金(ただしXは、P
t,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうちいずれか1種
または2種以上の元素である)で形成され、X−Mn合
金のXの組成比はat%で、44〜57の範囲内である
ことを特徴とするものである。
【0031】または、フリー磁性層の上下に積層された
非磁性層と、一方の前記非磁性層の上および他方の非磁
性層の下に位置する固定磁性層と、一方の前記固定磁性
層の上および他方の固定磁性層の下に位置して、交換異
方性磁界によりそれぞれの固定磁性層の磁化方向を一定
の方向に固定する反強磁性層と、前記フリー磁性層の磁
化方向を前記固定磁性層の磁化方向と交叉する方向に揃
えるバイアス層とを有し、前記固定磁性層の上と下に位
置するそれぞれの前記反強磁性層が、X−Mn合金(た
だしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち
いずれか1種または2種以上の元素である)で形成さ
れ、固定磁性層の上に位置する反強磁性層のX−Mn合
金のXの組成比はat%で、47〜57の範囲内であ
り、固定磁性層の下に位置する反強磁性層のX−Mn合
金のXの組成比はat%で、44〜57の範囲内である
ことを特徴とするものである。
【0032】上記3つの磁気抵抗効果素子は、反強磁性
層と固定磁性層とが接して形成されたデュアルスピンバ
ルブ型薄膜素子である。
【0033】または、非磁性層を介して重ねられた磁気
抵抗層と軟磁性層とを有し、前記磁気抵抗層の上側に反
強磁性層が重ねられて、前記磁気抵抗層の磁化方向が揃
えられ、前記反強磁性層が、X−Mn合金(ただしX
は、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうちいずれ
か1種または2種以上の元素である)で形成され、X−
Mn合金のXの組成比はat%で、47〜57の範囲内
であることを特徴とするものである。この磁気抵抗効果
素子の膜構成は、エクスチェンジバイアス層としての反
強磁性層が、磁気抵抗層の上側に形成されたAMR型薄
膜素子である。
【0034】または、非磁性層を介して重ねられた磁気
抵抗層と軟磁性層とを有し、前記磁気抵抗層の下側に反
強磁性層が重ねられて、前記磁気抵抗層の磁化方向が揃
えられ、前記反強磁性層が、X−Mn合金(ただしX
は、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうちいずれ
か1種または2種以上の元素である)で形成され、X−
Mn合金のXの組成比はat%で、44〜57の範囲内
であることを特徴とするものである。この磁気抵抗効果
素子の膜構成は、エクスチェンジバイアス層としての反
強磁性層が、磁気抵抗層の下側に形成されたAMR型薄
膜素子である。
【0035】上記において、前記固定磁性層あるいはフ
リー磁性層または磁気抵抗層となる強磁性層の上に形成
された前記反強磁性層が、X−Mn−X′合金(ただ
し、Xは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち
いずれか1種または2種以上の元素であり、X′は、N
e,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,A
l,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,C
u,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,C
d,Ir,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、
及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素であ
る)で形成され、X−Mn−X′合金のX+X′の組成
比はat%で、47〜57の範囲内であってもよい。こ
の場合に、好ましくは、前記X−Mn−X′合金は、元
素XとMnとで構成される空間格子の隙間に元素X′が
侵入した侵入型固溶体であり、あるいは、元素XとMn
とで構成される結晶格子の格子点の一部が、元素X′に
置換された置換型固溶体である。
【0036】この場合、さらに、前記固定磁性層あるい
はフリー磁性層または磁気抵抗層となる強磁性層の上に
形成された前記反強磁性層のX−Mn合金のXの組成
比、あるいはX−Mn−X′合金のX+X′の組成比は
at%で、50〜56の範囲内であることが好ましい。
【0037】また、前記固定磁性層あるいはフリー磁性
層または磁気抵抗層となる強磁性層の下に形成された前
記反強磁性層が、X−Mn−X′合金(ただし、Xは、
Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうちいずれか1
種または2種以上の元素であり、X′は、Ne,Ar,
Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,
P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,
Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Ir,S
n,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元
素のうち1種または2種以上の元素である)で形成さ
れ、X−Mn−X′合金のX+X′の組成比はat%
で、44〜57の範囲内であってもよい。
【0038】この場合、さらに、前記固定磁性層あるい
はフリー磁性層または磁気抵抗層となる強磁性層の下に
形成された前記反強磁性層のX−Mn合金のXの組成
比、あるいはX−Mn−X′合金のX+X′の組成比は
at%で、46〜55の範囲内であることが好ましい。
【0039】次に、前記反強磁性層となるX―Mn合金
での、元素Xは、Ptであることが好ましい。
【0040】この場合に、例えば熱処理後における前記
反強磁性層の格子定数a,cの比c/aは、0.93〜
0.99の範囲内であることが好ましい。
【0041】また、前記反強磁性層となるX―Mn―
X′合金の元素XはPtであることが好ましい。
【0042】例えば、前記元素X′は、Ne,Ar,K
r,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,
Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,G
a,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Ir,S
n,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元
素のうち1種または2種以上の元素であるが、さらに好
ましくは、前記元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xeの
うち1種または2種以上の元素である。
【0043】ここで、前記元素X′の組成比はat%
で、0.2〜10の範囲内であることが好ましい。
【0044】さらには前記元素X′の組成比はat%
で、0.5〜5の範囲内であることが好ましい。
【0045】また、元素XとMnとの組成比の割合X:
Mnは、4:6〜6:4の範囲内であることが好まし
い。
【0046】前記反強磁性層として用いられるX―Mn
―X′合金は、スパッタ法により形成されることが可能
である。
【0047】そして、本発明の薄膜磁気ヘッドは、前記
のいずれかに記載された磁気抵抗効果素子の上下にギャ
ップ層を介してシールド層が形成されていることを特徴
とするものである。
【0048】上記したように本発明では、反強磁性層と
して、少なくとも白金族元素(元素X)とMnとを有す
る反強磁性材料を使用し、前記反強磁性層が強磁性層の
上側に形成されるか、下側に形成されるかにより、前記
反強磁性層の組成比に最適な範囲を与えることで、大き
な交換異方性磁界を発生させることが可能となってい
る。
【0049】このように反強磁性層の組成比を適正化す
ることで、交換異方性磁界を大きくできる理由は、反強
磁性層と強磁性層との格子定数の差を大きくでき、界面
構造を非整合状態にできるからである。
【0050】なお本発明では、上記した反強磁性層の組
成範囲を使用すれば大きな交換異方性磁界が得られるこ
とは実験により明らかにされており、その実験結果につ
いては後述することとする。
【0051】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1実施形態の
シングルスピンバルブ型薄膜素子の構造をABS面側か
ら見た断面図である。なお、図1ではX方向に延びる素
子の中央部分のみを破断して示している。
【0052】このシングルスピンバルブ型薄膜素子は、
ハードディスク装置に設けられた浮上式スライダのトレ
ーリング側端部などに設けられて、ハードディスクなど
の記録磁界を検出するものである。なお、ハードディス
クなどの磁気記録媒体の移動方向はZ方向であり、磁気
記録媒体からの洩れ磁界の方向はY方向である。
【0053】図1の最も下に形成されているのはTa
(タンタル)などの非磁性材料で形成された下地層6で
ある。この下地層6の上にフリー磁性層1、非磁性導電
層2、固定磁性層3、および反強磁性層4が積層されて
いる。そして、前記反強磁性層4の上にTa(タンタ
ル)などの保護層7が形成されている。
【0054】また図1に示すように、下地層6から保護
層7までの6層の両側には、ハードバイアス層5,5が
形成され、前記ハードバイアス層5,5の上には導電層
8,8が積層されている。
【0055】本発明では前記フリー磁性層1および固定
磁性層3が、NiFe合金、CoFe合金、Co合金、
Co、CoNiFe合金などにより形成されている。
【0056】なお図1に示すようにフリー磁性層1は一
層で形成されているが、これが多層構造で形成されても
よい。つまり、前記フリー磁性層1が、例えばNiFe
合金とCoFe合金とが積層された構造となっていても
よいし、NiFe合金とCoとが積層された構造でもよ
い。
【0057】前記フリー磁性層1と固定磁性層3との間
に介在する非磁性導電層2は、Cuで形成されている。
さらに、ハードバイアス層5,5は、例えばCo−Pt
(コバルト−白金)合金やCo−Cr−Pt(コバルト
−クロム−白金)合金などで形成されており、導電層
8,8は、Cu(銅)やW(タングステン)、Cr(ク
ロム)などで形成されている。
【0058】本発明では、固定磁性層3の上に形成され
ている反強磁性層4は、少なくとも元素X(ただしX
は、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうちいずれ
か1種または2種以上の元素である)とMnとを含有す
る反強磁性材料によって形成されている。
【0059】本発明では、図1に示す固定磁性層3と反
強磁性層4との界面構造は、非整合状態となっており、
また界面における前記反強磁性層4の少なくとも一部の
結晶構造は、L10型の面心正方格子(以下、規則格子
という)となっている。
【0060】ここで、L10型の面心正方格子とは、単
位格子の6面のうち、側面の4面の中心をX原子(X=
Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Os)が占め、単位格
子の隅、および上面および下面の中心にMn原子が占め
るものをいう。
【0061】また本発明では、固定磁性層3と反強磁性
層4との結晶配向が異なっていることが、固定磁性層3
と反強磁性層4との界面構造が、非整合状態になりやす
い点で好ましい。
【0062】図1に示すシングルバルブ型薄膜素子で
は、Taの下地層6が敷いてあるので、前記下地層6の
上に形成されるフリー磁性層1、非磁性導電層2、およ
び固定磁性層3の{111}面は、膜面に対して平行な
方向に優先配向している。
【0063】これに対し、前記固定磁性層3の上に形成
される反強磁性層4の{111}面は、前記固定磁性層
3の{111}面の配向度に比べて小さいか、あるいは
無配向となっている。つまり、図1に示す固定磁性層3
と反強磁性層4との界面付近での結晶配向は異なったも
のとなっており、従って前記界面における構造が非整合
状態になりやすくなっている。
【0064】本発明では熱処理前の段階から、固定磁性
層3と反強磁性層4との界面構造を非整合状態としてい
るが、これは熱処理を施すことにより、前記反強磁性層
4の結晶構造を、不規則格子(面心立方格子)から前述
した規則格子に変態させ、適性な交換異方性磁界を得ら
れるようにするためである。
【0065】言い変えれば、界面構造が整合状態にある
と、熱処理を施しても、前記反強磁性層4の結晶構造
が、不規則格子から規則格子に変態しにくく、従って交
換異方性磁界が得られないという問題が生じる。
【0066】本発明では、前記反強磁性層4は、X―M
n合金(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,
Osのうちいずれか1種または2種以上の元素である)
で形成されている。特に本発明では、前記反強磁性層4
がPtMn合金により形成されていることが好ましい。
【0067】X−Mn合金、特にPtMn合金は、従来
から反強磁性層として使用されているFeMn合金、N
iMn合金などに比べて耐食性に優れており、またブロ
ッキング温度も高く、さらに交換異方性磁界(Hex)
が大きいなど反強磁性材料として優れた特性を有してい
る。
【0068】本発明では、前記反強磁性層4がPtMn
合金で形成されている場合、熱処理を施した後、つまり
少なくとも一部の結晶構造が規則格子となった前記反強
磁性層4の格子定数a,cの比c/aは、0.93〜
0.99の範囲内であることが好ましい。
【0069】格子定数a,cの比c/aが0.93以下
になると、前記反強磁性層4の結晶構造のほぼ全てが規
則格子となるが、このような状態になると、前記固定磁
性層3と反強磁性層4との密着性が低下し、膜剥がれな
どが発生し好ましくない。
【0070】格子定数a,cの比c/aが0.99以上
になると、前記反強磁性層4の結晶構造のほぼ全てが不
規則格子となってしまい、前記反強磁性層4と固定磁性
層3との界面にて発生する交換異方性磁界が小さくなっ
てしまい好ましくない。
【0071】ところで前記反強磁性層4が、X―Mn合
金(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Os
のうちいずれか1種または2種以上の元素である)で形
成される場合、熱処理前の段階において、固定磁性層3
と反強磁性層4との界面構造を非整合状態とするため
に、本発明では、前記X―Mn合金の組成比を下記の数
値内に設定している。
【0072】前記反強磁性層4が、X−Mn合金(ただ
しXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうちい
ずれか1種または2種以上の元素である)で形成され、
しかも図1に示すように前記反強磁性層4が固定磁性層
3の上に形成される場合、X−Mn合金の元素Xの組成
比はat%で、47〜57の範囲内であることが好まし
い。より好ましくはX−Mn合金の元素Xの組成比はa
t%で、50〜56の範囲内である。
【0073】上述した組成比内で反強磁性層4を形成す
ると、熱処理前、つまり結晶構造が不規則格子となって
いる段階での前記反強磁性層4の格子定数と、固定磁性
層3の格子定数との差を大きくすることができ、従って
熱処理前にて、前記固定磁性層3と反強磁性層4との界
面構造を非整合状態に保つことができる。
【0074】この状態で熱処理を施すと、前記反強磁性
層4の結晶構造の変化により、交換異方性磁界が発生
し、前述したようにX−Mn合金の元素Xの組成比の組
成比がat%で、47〜57の範囲内であると、400
(Oe:エルステッド)以上の交換異方性磁界を得るこ
とが可能である。またX−Mn合金の元素Xの組成比は
at%で、50〜56の範囲内であると、600(O
e)以上の交換異方性磁界を得ることが可能である。
【0075】このように本発明では、反強磁性層4とし
てX―Mn合金を使用した場合、元素Xの組成比を上述
した範囲内で形成することにより、熱処理前における前
記反強磁性層4と固定磁性層3との界面構造を非整合状
態に保つことが可能である。
【0076】また本発明では、X―Mn合金に、第3元
素として元素X′を添加することにより、反強磁性層4
の格子定数を大きくでき、熱処理前における反強磁性層
4と固定磁性層3との界面構造を非整合状態にすること
が可能である。
【0077】X―Mn合金に元素X′を加えたX―Mn
―X′合金は、元素XとMnとで構成される空間格子の
隙間に元素X′が侵入した侵入型固溶体であり、あるい
は、元素XとMnとで構成される結晶格子の格子点の一
部が、元素X′に置換された置換型固溶体である。ここ
で固溶体とは、広い組成範囲にわたって、均一に成分が
混ざり合った固体のことを指している。なお本発明では
元素XはPtであることが好ましい。
【0078】ところで本発明では前記X―Mn―X′合
金をスパッタ法により成膜している。スパッタによっ
て、前記X―Mn―X′合金は非平衡状態で成膜され、
成膜されたX―Mn―X′合金は、膜中の元素X′が、
元素XとMnとで構成される空間格子の隙間に侵入し、
あるいは、元素XとMnとで構成される結晶格子の格子
点の一部が、元素X′に置換される。このように、前記
元素X′が、X―Mn合金の格子に侵入型であるいは置
換型で固溶することにより、格子は押し広げられ、反強
磁性層4の格子定数は、元素X′を添加しない場合に比
べ大きくなる。
【0079】また本発明では、元素X′として様々な元
素を使用することが可能であるが、反応性の高いハロゲ
ンやO(酸素)等を使用すると、これらがMnとのみ選
択的に化学結合してしまい、面心立方晶の結晶構造を保
てなくなると考えられ好ましくない。本発明における具
体的な元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,
B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,
Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,N
b,Mo,Ag,Cd,Ir,Sn,Hf,Ta,W,
Re,Au,Pb、及び希土類元素(Sc,Yとランタ
ノイド(La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,
Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu))
のうち1種または2種以上の元素である。
【0080】上記に示した様々な元素X′のいずれを使
用しても、スパッタによって、反強磁性層4の格子定数
を大きくできるが、特に置換型で固溶する元素X′を使
用する場合は、前記元素X′の組成比が大きくなりすぎ
ると、反強磁性としての特性が低下し、固定磁性層3と
の界面で発生する交換結合磁界が小さくなってしまう。
【0081】特に本発明では、侵入型で固溶し、不活性
ガスの希ガス元素(Ne,Ar,Kr,Xeのうち1種
または2種以上)を元素X′として使用することが好ま
しいとしている。希ガス元素は不活性ガスなので、希ガ
ス元素が、膜中に含有されても、反強磁性特性に大きく
影響を与えることがなく、さらに、Arなどは、スパッ
タガスとして従来からスパッタ装置内に導入されるガス
であり、ガス圧やスパッタ粒子のエネルギーを適正に調
節するのみで、容易に、膜中にArを侵入させることが
できる。
【0082】なお、元素X′にガス系の元素を使用した
場合には、膜中に多量の元素X′を含有することは困難
であるが、希ガスの場合においては、膜中に微量侵入さ
せるだけで、熱処理によって発生する交換結合磁界を、
飛躍的に大きくできることが実験により確認されてい
る。
【0083】なお本発明では、元素X′の組成比の範囲
を設定しており、好ましい前記元素X′の組成範囲は、
at%で0.2から10であり、より好ましくは、at
%で、0.5から5である。またこのとき、元素XとM
nとの組成比の割合X:Mnは、4:6〜6:4の範囲
内であることが好ましい。元素X′の組成比と、元素X
とMnとの組成比の割合X:Mnを、上記範囲内で調整
すれば、成膜段階(熱処理前)における反強磁性層4の
格子定数を大きくでき、しかも熱処理を施すことにより
反強磁性層4と固定磁性層3との界面で発生する交換結
合磁界を、元素X′を含有しない場合に比べ、大きくす
ることが可能である。
【0084】さらに本発明では、X−Mn−X′合金
(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osの
うちいずれか1種または2種以上の元素であり、X′
は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,M
g,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,N
i,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,A
g,Cd,Ir,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,
Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素
である)で形成された反強磁性層4が、図1に示すよう
に、固定磁性層3の上に形成される場合、前記X−Mn
−X′合金のX+X′の組成比はat%で、47〜57
の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、X−
Mn―X′合金のX+X′の組成比はat%で、50〜
56の範囲内である。
【0085】熱処理を施すことによって反強磁性層4と
固定磁性層3との界面で発生する交換結合磁界により、
前記固定磁性層3の磁化は、図1に示すY方向に単磁区
化され固定される。なお、反強磁性層4として使用され
るX―Mn―X′合金の元素X′が例えばガス系の元素
である場合には、熱処理を施すことにより、前記元素
X′が膜中から抜け出て、成膜された段階での元素X′
の組成比よりも、熱処理後の元素X′の組成比は小さく
なり、あるいは完全に前記X′が膜中から抜け出してし
まって、組成がX―Mnになってしまうことがあるが、
成膜段階(熱処理前)における固定磁性層3と反強磁性
層4との界面構造が非整合状態となっていれば、熱処理
を施すことにより、前記反強磁性層4の結晶構造は、不
規則格子(面心立方格子)から規則格子に適性に変態
し、大きい交換異方性磁界を得ることが可能である。
【0086】またフリー磁性層1は、その両側に形成さ
れているハードバイアス層5,5により、図示X方向に
揃えられる。
【0087】図1に示すシングルスピンバルブ型薄膜素
子では、導電層8からフリー磁性層1、非磁性導電層2
および固定磁性層3に定常電流(センス電流)が与えら
れ、しかも記録媒体からY方向へ磁界が与えられると、
フリー磁性層1の磁化方向がX方向からY方向へ向けて
変化する。このとき、伝導電子が、非磁性導電層2と固
定磁性層3との界面、または非磁性導電層2とフリー磁
性層1との界面で散乱を起こし、電気抵抗が変化する。
よって電圧が変化し、検出出力を得ることができる。
【0088】図2は、本発明の第2実施形態のシングル
スピンバルブ型薄膜素子の構造を示す断面図である。
【0089】図2に示すように、下から下地層6、反強
磁性層4、固定磁性層3、非磁性導電層2、およびフリ
ー磁性層1が連続して積層されている。
【0090】なお、図2に示す反強磁性層4は、図1に
示す反強磁性層4と同じ様に、X−Mn合金(ただしX
は、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうちいずれ
か1種または2種以上の元素である)、好ましくはPt
Mn合金、またはX―Mn―X′合金(ただしX′は、
Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,A
l,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,C
u,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,C
d,Ir,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、
及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素であ
る)で形成されている。
【0091】なお、固定磁性層3、非磁性導電層2、お
よびフリー磁性層1は、図1で説明した材質で形成され
ている。
【0092】この実施例においても、固定磁性層3と反
強磁性層4との界面構造は、非整合状態となっており、
また界面における前記反強磁性層4の少なくとも一部の
結晶構造は、L10型の面心正方格子(以下、規則格子
という)となっている。
【0093】またTaの下地層6の上に形成された前記
反強磁性層4の{111}面は、界面に平行な方向に優
先配向するが、図2に示すように、前記反強磁性層4の
上に固定磁性層3が形成されると、前記固定磁性層3の
{111}面の界面方向に対する配向度は、前記反強磁
性層4の配向度よりも小さいか、あるいは無配向になり
易い傾向がある。このように、図2では界面における前
記反強磁性層4と固定磁性層3との結晶配向は異なって
おり、従ってより界面構造を非整合状態とすることが可
能となっている。
【0094】ところで、反強磁性層4がX―Mn合金
(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osの
うちいずれか1種または2種以上の元素である)で形成
され、図2に示すように、反強磁性層4が固定磁性層3
の下に形成される場合、反強磁性層4を構成するX−M
n合金の元素Xの組成比はat%で、44〜57の範囲
内であることが好ましい。この範囲内であれば、400
(Oe)以上の交換異方性磁界を得ることが可能であ
る。より好ましくはX−Mn合金の元素Xの組成比はa
t%で、46〜55の範囲内である。この範囲内であれ
ば、600(Oe)以上の交換異方性磁界を得ることが
可能である。
【0095】このように上述した組成範囲内であると交
換異方性磁界を大きくすることができるのは、熱処理前
における反強磁性層4の格子定数(不規則格子)と、固
定磁性層3の格子定数との差を大きくすることができ、
熱処理前での界面構造を非整合状態とすることができる
からである。
【0096】従って熱処理を施すことにより、界面にお
ける前記反強磁性層4の少なくとも一部の結晶構造を、
不規則格子から交換異方性磁界を発揮するために必要な
規則格子に変態させることが可能となる。
【0097】また前記反強磁性層4が、X―Mn―X′
合金(ただしX′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,
B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,
Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,N
b,Mo,Ag,Cd,Ir,Sn,Hf,Ta,W,
Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2
種以上の元素である)で形成される場合、前記X―Mn
―X′合金は、スパッタ法によって形成され、元素Xと
Mnとで構成される空間格子の隙間に元素X′が侵入し
た侵入型固溶体となり、あるいは、元素XとMnとで構
成される結晶格子の格子点の一部が、元素X′に置換さ
れた置換型固溶体となっている。
【0098】元素X′を膜中に含有する反強磁性層4の
格子定数は、前記元素X′を含有しない反強磁性層4の
格子定数に比べて大きくなり、成膜段階(熱処理前)に
おける反強磁性層4と固定磁性層3との界面構造を非整
合状態に保つことができる。
【0099】なお本発明では、膜中に占める元素X′の
組成比を、at%で、0.2〜10の範囲内とし、より
好ましい組成範囲をat%で、0.5〜5の範囲内とし
ている。また元素X′を前記組成範囲内で形成し、さら
に、元素XとMnとの組成比の割合X:Mnを、4:6
〜6:4の範囲内とすれば、より大きい交換結合磁界を
得ることが可能である。
【0100】また本発明では、図2に示すように、X―
Mn―X′合金で形成された反強磁性層4が固定磁性層
3の下側に形成される場合、X―Mn―X′合金のX+
X′の組成比は、at%で、44〜57の範囲内である
ことが好ましい。より好ましくはX−Mn―X′合金の
X+X′の組成比はat%で、46〜55の範囲内であ
る。
【0101】なお、図2に示す固定磁性層3の磁化は、
反強磁性層4との界面にて発生する交換異方性磁界によ
り、図示Y方向に単磁区化され固定されている。
【0102】図2に示すように、フリー磁性層1の上に
は、トラック幅Twの間隔を空けてエクスチェンジバイ
アス層9(反強磁性層)が形成されている。
【0103】なおこのエクスチェンジバイアス層9は、
X−Mn合金(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,
Ru,Osのうちいずれか1種または2種以上の元素で
ある)、好ましくはPtMn合金、またはX―Mn―
X′合金(ただしX′は、Ne,Ar,Kr,Xe,B
e,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,C
r,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Z
r,Nb,Mo,Ag,Cd,Ir,Sn,Hf,T
a,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種
または2種以上の元素である)で形成されている。
【0104】X−Mn合金の元素Xの組成比はat%
で、47〜57の範囲内となっている。より好ましくは
X−Mn合金の元素Xの組成比はat%で、50〜56
の範囲内である。なおこの組成範囲は、図1で説明した
反強磁性層4の組成範囲と同じである。またX―Mn―
X′合金の場合、元素X′の組成比はat%で、0.2
〜10の範囲内であり、より好ましい組成範囲はat%
で、0.5〜5の範囲内である。また元素XとMnとの
組成比の割合X:Mnは、4:6〜6:4の範囲内であ
ることが好ましい。さらに、X−Mn―X′合金のX+
X′の組成比はat%で、47〜57の範囲内となって
いることが好ましく、より好ましくはX−Mn―X′合
金のX+X′の組成比はat%で、50〜56の範囲内
である。
【0105】上述した組成範囲内であると、フリー磁性
層1とエクスチェンジバイアス層9との界面構造は非整
合状態となり、少なくとも界面にて400(Oe)以上
の交換異方性磁界を得ることができるが、図2に示すよ
うに、前記エクスチェンジバイアス層9,9は、トラッ
ク幅Tw部分には形成されていないので、フリー磁性層
1の両端部分が、強く交換異方性磁界の影響を受け図示
X方向に単磁区化され、フリー磁性層1のトラック幅T
w領域の磁化は、外部磁界に対して反応する程度に図示
X方向に適性に揃えられている。
【0106】このようにして形成されたシングルスピン
バルブ型薄膜素子では、図示Y方向の外部磁界により、
フリー磁性層1のトラック幅Tw領域の磁化が図示X方
向から図示Y方向に変化する。このフリー磁性層1内で
の磁化の方向の変動と、固定磁性層3の固定磁化方向
(図示Y方向)との関係で電気抵抗が変化し、この電気
抵抗値の変化に基づく電圧変化により、記録媒体からの
洩れ磁界が検出される。
【0107】図3は、本発明の第3実施形態のデュアル
スピンバルブ型薄膜素子の構造を示す断面図である。
【0108】図に示す示すように、下から下地層6、反
強磁性層4、固定磁性層3、非磁性導電層2、およびフ
リー磁性層1が連続して積層されている。さらに前記フ
リー磁性層1の上には、非磁性導電層2、固定磁性層
3、反強磁性層4、および保護層7が連続して積層され
ている。
【0109】また、下地層6から保護層7までの多層膜
の両側にはハードバイアス層5,5、導電層8,8が積
層されている。
【0110】なお、各層は図1および図2で説明した材
質と同じ材質で形成されている。図3に示すように、フ
リー磁性層1よりも下側に形成されている反強磁性層4
は、固定磁性層3の下に形成されているので、図2に示
す反強磁性層4と同じ様に、前記反強磁性層4を構成す
るX−Mn合金の元素Xの組成比はat%で、44〜5
7の範囲内であることが好ましく、より好ましくはX−
Mn合金の元素Xの組成比はat%で、46〜55の範
囲内である。
【0111】また、フリー磁性層1よりも上側に形成さ
れている反強磁性層4は、固定磁性層3の上に形成され
ているので、図1に示す反強磁性層4と同じ様に、前記
反強磁性層4を構成するX−Mn合金の元素Xの組成比
はat%で、47〜57の範囲内であることが好まし
く、より好ましくはX−Mn合金の元素Xの組成比はa
t%で、50〜56の範囲内である。
【0112】この組成範囲内であれば、熱処理前におけ
る固定磁性層3の格子定数と反強磁性層4の格子定数と
の差を大きくすることができるので、熱処理前における
界面構造を非整合状態にすることができ、従って熱処理
を施すことにより、界面での前記反強磁性層4の一部の
結晶構造を不規則格子から交換異方性磁界を発揮するの
に必要な規則格子に変態させることが可能である。なお
前記反強磁性層4がPtMn合金で形成される場合、熱
処理後における前記反強磁性層4の格子定数a,cの比
c/aは、0.93〜0.99の範囲内であることが好
ましい。
【0113】また、反強磁性層4と固定磁性層3との結
晶配向も異なっているので、より界面構造を非整合状態
にすることが可能となっている。
【0114】上述した組成範囲内でれば、少なくとも4
00(Oe)以上の交換異方性磁界を得ることが可能で
あるが、反強磁性層4を固定磁性層3の下に形成する方
が、固定磁性層3の上に形成するよりも、X−Mn合金
の元素Xの組成比の範囲を若干広くすることが可能であ
る。
【0115】また反強磁性層4がX―Mn―X′合金で
形成される場合は、元素X′の組成比は、at%で、
0.2〜10の範囲内であり、より好ましい組成範囲は
at%で、0.5〜5の範囲内である。また元素XとM
nとの組成比の割合X:Mnは、4:6〜6:4の範囲
内であることが好ましい。
【0116】さらにフリー磁性層1よりも下側に形成さ
れている反強磁性層4の場合、前記反強磁性層4を構成
するX―Mn―X′合金のX+X′の組成比はat%
で、44〜57の範囲内であることが好ましく、より好
ましくはX−Mn―X′合金のX+X′の組成比はat
%で、46〜55の範囲内である。
【0117】また、フリー磁性層1よりも上側に形成さ
れている反強磁性層4の場合、前記反強磁性層4を構成
するX−Mn―X′合金のX+X′の組成比はat%
で、47〜57の範囲内であることが好ましく、より好
ましくはX−Mn―X′合金のX+X′の組成比はat
%で、50〜56の範囲内である。
【0118】上記組成範囲内であれば、熱処理前におけ
る固定磁性層3の格子定数と反強磁性層4の格子定数と
の差を大きくすることができ、熱処理前における界面構
造を非整合状態にすることができ、従って熱処理を施す
ことにより、界面での前記反強磁性層4の一部の結晶構
造を不規則格子から交換異方性磁界を発揮するのに必要
な規則格子に変態させることが可能である。
【0119】なおこのデュアルスピンバルブ型薄膜素子
も図1に示すシングルスピンバルブ型薄膜素子と同じよ
うに、固定磁性層3は、交換異方性磁界により、図示Y
方向に単磁区化され固定されており、フリー磁性層1の
磁化は、ハードバイアス層5,5の影響を受けて図示X
方向に揃えられている。
【0120】導電層8からフリー磁性層1、非磁性導電
層2および固定磁性層3に定常電流が与えられ、しかも
記録媒体からY方向へ磁界が与えられると、フリー磁性
層1の磁化は図示X方向からY方向に変動し、このとき
非磁性導電層2とフリー磁性層1との界面、および非磁
性導電層2と固定磁性層3との界面でスピンに依存した
伝導電子の散乱が起こることにより、電気抵抗が変化
し、記録媒体からの漏れ磁界が検出される。
【0121】なお、図1および図2に示すシングルスピ
ンバルブ型薄膜素子では、スピンに依存した電子の散乱
を起こす場所が、非磁性導電層2とフリー磁性層1との
界面、および非磁性導電層2と固定磁性層3との界面の
2箇所であるのに対し、図3に示すデュアルスピンバル
ブ型薄膜素子では、伝導電子の散乱が起こる場所が、非
磁性導電層2とフリー磁性層1との2箇所の界面と、非
磁性導電層2と固定磁性層3との2箇所の界面の計4箇
所であるため、デュアルスピンバルブ型薄膜素子の方が
シングルスピンバルブ型薄膜素子に比べて大きい抵抗変
化率を得ることが可能である。
【0122】図4は、本発明の第4実施形態のAMR型
薄膜素子の構造を示す断面図である。
【0123】図に示すように、下から軟磁性層(SAL
層)10、非磁性層(SHUNT層)11、および磁気
抵抗層(MR層)12が連続して積層されている。
【0124】例えば前記軟磁性層10は、Fe−Ni−
Nb合金、非磁性層11は、Ta膜、磁気抵抗層12
は、NiFe合金により形成されている。
【0125】前記磁気抵抗層12の上には、トラック幅
Twを開けたX方向両側の部分にエクスチェンジバイア
ス層(反強磁性層)9,9が形成され、さらに、前記エ
クスチェンジバイアス層9,9の上には、Cr膜などで
形成された導電層13,13が形成されている。
【0126】図4に示すエクスチェンジバイアス層9,
9は、図2に示すエクスチェンジバイアス層9,9と同
様に、X−Mn合金、好ましくはPtMn合金で形成さ
れており、X−Mn合金の元素Xの組成比はat%で、
47〜57の範囲内となっている。より好ましくはX−
Mn合金の元素Xの組成比はat%で、50〜56の範
囲内である。
【0127】また前記エクスチェンジバイアス層9,9
は、X−Mn―X′合金(ただしX′は、Ne,Ar,
Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,
P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,
Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Ir,S
n,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元
素のうち1種または2種以上の元素である)で形成され
ており、元素X′の組成比は、at%で、0.2〜10
の範囲内であり、より好ましい組成範囲はat%で、
0.5〜5の範囲内である。また元素XとMnとの組成
比の割合X:Mnは、4:6〜6:4の範囲内であるこ
とが好ましい。また図4に示すエクスチェンジバイアス
層9,9は、図2に示すエクスチェンジバイアス層9,
9と同様に、X−Mn―X′合金のX+X′の組成比は
at%で、47〜57の範囲内となっている。より好ま
しくはX−Mn―X′合金のX+X′の組成比はat%
で、50〜56の範囲内である。
【0128】以上X―Mn合金あるいはX―Mn―X′
合金の組成比を上述した範囲内で形成すれば、前記エク
スチェンジバイアス層9,9と磁気抵抗層12との界面
構造は非整合状態となり、熱処理を施すことにより、N
iFe合金の磁気抵抗層12の膜厚が200〜300オ
ングストロームの場合は、前記界面にて約40〜110
(Oe)の交換異方性磁界が得られ、とりわけ、NiF
e合金の磁気抵抗層の膜厚が、約200オングストロー
ムの場合には、約60〜110(Oe)の交換異方性磁
界が得られ、図4に示す磁気抵抗層12のB領域が、図
示X方向に単磁区化される。そしてこれに誘発されて前
記磁気抵抗層12のA領域の磁化が図示X方向に揃えら
れる。また、検出電流が磁気抵抗層12を流れる際に発
生する電流磁界が、軟磁性層10にY方向に印加され、
軟磁性層10がもたらす静磁結合エネルギーにより、磁
気抵抗層12のA領域に横バイアス磁界がY方向に与え
られる。X方向に単磁区化された磁気抵抗層12のA領
域にこの横バイアス層が与えられることにより、磁気抵
抗層12のA領域の磁界変化に対する抵抗変化(磁気抵
抗効果特性:H―R効果特性)が直線性を有する状態に
設定される。
【0129】記録媒体の移動方向はZ方向であり、図示
Y方向に漏れ磁界が与えられると、磁気抵抗層12のA
領域の抵抗値が変化し、これが電圧変化として検出され
る。
【0130】以上詳述したように、本発明では、反強磁
性層4(あるいはエクスチェンジバイアス層9)をX−
Mn合金(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,R
u,Osのうちいずれか1種または2種以上の元素であ
る)、好ましくはPtMn合金で形成する際に、前記反
強磁性層4の組成比を適性に調節することにより、前記
反強磁性層4と、この反強磁性層4と接して形成される
固定磁性層3(あるいはフリー磁性層1または磁気抵抗
層12)との界面構造を非整合状態とすることができ、
従ってより大きな交換異方性磁界を得られ、従来に比べ
て再生特性を高めることが可能である。あるいは、前記
反強磁性層4(あるいはエクスチェンジバイアス層9)
を元素XとMn以外に、第3元素として元素X′(ただ
しX′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,
N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,C
o,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,M
o,Ag,Cd,Ir,Sn,Hf,Ta,W,Re,
Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上
の元素である)を添加することにより、前記元素X′を
添加しない場合に比べ、反強磁性層4の格子定数を大き
くすることができるので、前記反強磁性層4と、この反
強磁性層4と接して形成される固定磁性層3(あるいは
フリー磁性層1または磁気抵抗層12)との界面構造を
非整合状態とすることができ、従ってより大きな交換異
方性磁界を得ることができ、従来に比べて再生特性を高
めることが可能である。
【0131】また反強磁性層4と固定磁性層3との結晶
配向を異なるようにしておくことが、より界面構造を非
整合状態にしやすくできる点で好ましい。
【0132】また界面構造を非整合状態としておくこと
で交換異方性磁界を得ることができるのは、熱処理を施
すことにより、前記反強磁性層4の結晶構造を不規則格
子から規則格子に変態させることができるからである
が、すべての結晶構造が規則格子に変態すると密着性な
どに問題が生じるため、一部の結晶構造のみが規則格子
に変態していることが好ましい。例えば前記反強磁性層
4がPtMn合金で形成される場合、熱処理後における
前記反強磁性層4の格子定数a,cの比c/aは、0.
93〜0.99の範囲内であることが好ましい(ちなみ
にすべての結晶構造が規則格子に変体した場合、前記格
子定数a,cの比c/aは0.918である)。
【0133】なお、本発明では、磁気抵抗効果素子層の
構造を図1〜図4に示す構造に限定するものではない。
例えば図1に示すシングルスピンバルブ型薄膜素子の場
合、ハードバイアス層5,5を形成しないで、フリー磁
性層1の下側にトラック幅Twの間隔を空けてエクスチ
ェンジバイアス層を形成してもよいし、図2に示すシン
グルスピンバルブ型薄膜素子の場合、エクスチェンジバ
イアス層9,9を形成しないで、下地層6から保護層7
までの6層の両側、あるいは少なくともフリー磁性層1
の両側にハードバイアス層を形成してもよい。
【0134】図5は、図1から図4に示す磁気抵抗効果
素子層が形成された読み取りヘッドの構造を記録媒体と
の対向面側から見た断面図である。
【0135】符号20は、例えばNiFe合金などで形
成された下部シールド層であり、この下部シールド層2
0の上に下部ギャップ層21が形成されている。また下
部ギャップ層21の上には、図1から図4に示す磁気抵
抗効果素子層22が形成されており、さらに前記磁気抵
抗効果素子層22の上には、上部ギャップ層23が形成
され、前記上部ギャップ層23の上には、NiFe合金
などで形成された上部シールド層24が形成されてい
る。
【0136】前記下部ギャップ層21及び上部ギャップ
層23は、例えばSiO2やAl2 3(アルミナ)など
の絶縁材料によって形成されている。図5に示すよう
に、下部ギャップ層21から上部ギャップ層23までの
長さがギャップ長Glであり、このギャップ長Glが小
さいほど高記録密度化に対応できるものとなっている。
【0137】
【実施例】本発明では、まず下記に示す膜構成から成る
多層膜を成膜し、反強磁性層を構成する一元素のPt量
と、前記反強磁性層の格子定数との関係について調べ
た。
【0138】膜構成としては、下からSi基板/アルミ
ナ/下地層:Ta(100)/固定磁性層:NiFe
(300)/反強磁性層:PtMn(300)/Ta
(100)の順で積層した。なお上記括弧中の数値は膜
厚を表わしており、単位はオングストロームである。
【0139】実験は熱処理を施さない段階で、X線回折
のθ/2θ法により、Pt量と反強磁性層の格子定数と
の関係を、回折パターンのピーク位置から求めた。
【0140】図6に示すように、Pt量が増加するにつ
れて、反強磁性層(PtMn)の格子定数が大きくなっ
ていることがわかる。また固定磁性層を構成するNiF
e合金、CoFe合金、またはCoの格子定数は、図に
示すように、約3.5〜3.6の範囲である。
【0141】次に、反強磁性層を固定磁性層の下、ある
いは上に形成した2つの多層膜を、DCマグネトロンス
パッタ法により成膜し、熱処理を施した後におけるPt
量(反強磁性層を構成する一元素)と交換異方性磁界と
の関係について調べた。その実験結果を図7に示す。
【0142】反強磁性層が、固定磁性層の下に形成され
ている膜構成としては、下からSi基板/アルミナ/下
地層:Ta(50)/反強磁性層:PtMn(300)
/固定磁性層:Co90Fe10(30)/保護層:Ta
(100)の順で積層し、前記反強磁性層が、固定磁性
層の上に形成されている膜構成としては下から、Si基
板/アルミナ/Ta(50)/固定磁性層:Co90Fe
10(30)/反強磁性層(300)/保護層:Ta(1
00)の順で積層した。なお、上記括弧中の数値は膜厚
を表わしており、単位はオングストロームである。
【0143】また熱処理工程における条件としては、ま
ず昇温に3時間をかけ、次に240度の温度状態を3時
間保持し、さらに、降温に3時間をかけた。なお、熱処
理真空度を5×10-6Torr以下とした。
【0144】図7に示すように、反強磁性層(PtMn
合金)が、固定磁性層の下側にある場合、および上側に
ある場合共に、Pt量が約50at%まで大きくなるに
したがって、交換異方性磁界は高くなっていき、Pt量
が約50at%以上になると、交換異方性磁界は徐々に
小さくなっているのがわかる。
【0145】400(Oe)以上の交換異方性磁界を得
るには、反強磁性層(PtMn)を固定磁性層の下側に
形成した場合、Pt量を44〜57at%の範囲内で、
反強磁性層(PtMn)を固定磁性層の上側に形成した
場合、Pt量を47〜57at%の範囲内で適性に調節
すればよいことがわかる。
【0146】また600(Oe)以上の交換異方性磁界
を得るには、反強磁性層(PtMn)を固定磁性層の下
側に形成した場合、Pt量を46〜55at%の範囲内
で、反強磁性層(PtMn)を固定磁性層の上側に形成
した場合、Pt量を50〜56at%の範囲内で適性に
調節すればよいことがわかる。
【0147】以上の実験結果から、反強磁性層(PtM
n)の組成比を適性に調節した実施例として4種類の多
層膜を成膜し、比較例として1種類の多層膜を成膜し、
各膜の配向性や、交換異方性磁界等について調べた。そ
の実験結果を表1に示す。
【0148】
【表1】
【0149】実施例〜までの多層膜は、シングルス
ピンバルブ型薄膜素子であり、実施例の多層膜はデュ
アルスピンバルブ型薄膜素子である。また比較例の多
層膜は、実施例の多層膜と同じ膜構成で、反強磁性層
(PtMn)の組成比のみが異なっている。
【0150】また実施例の多層膜には、Cu(非磁性
導電層)の上に、Co−FeとNi−Feが積層されて
いるが、この2層でフリー磁性層が構成されている。同
じ様に実施例の多層膜には、Cu(非磁性導電層)の
下に、Ni−FeとCo−Feが積層されているが、こ
の2層でフリー磁性層が構成されている。また実施例
の多層膜には、2つのCu(非磁性導電層)の間に、C
o−Fe、Ni−Fe、およびCo−Feが積層されて
いるが、この3層でフリー磁性層が構成されている。
【0151】表1に示すように、実施例〜までの多
層膜では、PtMn(反強磁性層)とCoFe(固定磁
性層)との界面での格子整合は「なし」となっているの
に対し、比較例の多層膜では、界面での格子整合は
「有り」となっている。
【0152】また「240℃熱処理後のPtMnの規則
化度」の欄を見ると、実施例〜の多層膜では「○」
となっているのに対し、比較例の多層膜では「×」と
なっている。
【0153】さらに、「交換異方性磁界」および「抵抗
変化率」の欄を見ると、実施例〜までの多層膜で
は、大きい交換異方性磁界と抵抗変化率を有しているの
に対し、比較例の多層膜の交換異方性磁界および抵抗
変化率は、実施例〜の多層膜に比べて非常に小さく
なっていることがわかる。
【0154】以上の実験結果は、PtMn合金の組成比
に関係している。表1に示すように、比較例における
PtMnのPt量は44at%であるのに対し、実施例
〜までのPtMnのPt量は、49〜51at%と
なっている。
【0155】このため、図6(熱処理前)を参照する
と、比較例のPtMnの格子定数は、実施例〜ま
でのPtMnの格子定数よりも小さくなっており、比較
例の方が実施例〜に比べて、PtMn(反強磁性
層)の格子定数と、Co−Fe(固定磁性層)の格子定
数との差が小さくなっていることがわかる。
【0156】つまり、熱処理前の段階において、比較例
の多層膜では、PtMnとCoFeとの界面構造が整
合状態になりやすく、一方、実施例〜までの多層膜
では、PtMnとCoFeとの界面構造が非整合状態に
なりやすくなっている。
【0157】熱処理前では、実施例〜および比較例
のPtMnの結晶構造は、不規則格子(面心立方格
子)となっているが、界面構造が整合状態となっている
比較例では熱処理を施しても、PtMnの結晶構造は
不規則格子から規則格子に変態できず、規則化は一向に
進まない状態となっている。
【0158】これに対し、界面構造が非整合状態となっ
ている実施例〜の多層膜では、熱処理を施すことに
より、PtMnの結晶構造が不規則格子から一部が規則
格子(Ll0型の面心正方格子)に変態し、規則化が充
分に進行したものとなっている。
【0159】図8は、熱処理後における実施例のPt
MnとCoFeとの界面構造を示す高分解能TEM写真
である。
【0160】図8に示すように、PtMnとCoFeと
の界面では、PtMnの原子の並び方向とCoFeの原
子の並び方向とが一致しておらず、非整合状態となって
いることがわかる。
【0161】一方、図9は、熱処理後における比較例
のPtMnとCoFeとの界面構造を示す高分解能TE
M写真である。
【0162】図9に示すように、PtMnとCoFeと
の界面では、PtMnの原子の並び方向とCoFeの原
子の並び方向とが一致しており、整合状態となっている
ことがわかる。
【0163】また図10は、実施例の多層膜における
PtMnの規則化度を、図11は比較例の多層膜にお
けるPtMnの規則化度を測定した熱処理後の実験結果
である。
【0164】実験は、PtMnにおける2つの等価な
{111}面のなす角度を測定し、そのなす角度から規
則化度を求めた。なお横軸は、PtMnとCoFeとの
界面からPtMn側への距離を示している。
【0165】図10に示すように、{111}面のなす
角度の測定値は、約65°から約72°の範囲内に散ら
ばっており、PtMnの結晶構造は、熱処理前の不規則
格子の一部が変化して、規則格子となっていることがわ
かる。
【0166】これに対し、図11では、{111}面の
なす角度の測定値が、約70〜約71の範囲内に収まっ
ており、PtMnの結晶構造は、熱処理を施しても、熱
処理前の不規則格子の状態を保ったままとなっているこ
とがわかる。
【0167】以上のように、実施例〜の多層膜で
は、PtMnのPt量を49〜51at%とすること
で、界面構造を非整合状態とすることができ、従って規
則化を適性に進行させることができるので、図7を見て
もわかるように、PtMnとCoFeとの界面で発生す
る交換異方性磁界は非常に大きい値を有している。
【0168】一方、比較例の多層膜では、PtMnの
Pt量が44at%と低いので、界面構造は整合状態と
なり、従って規則化が適性に進まず、図7を見てもわか
るように、PtMnとCoFeとの界面で発生する交換
異方性磁界は非常に小さい値となってしまう。
【0169】またPtMnとCoFeとの界面構造を非
整合状態とするには、PtMnの結晶配向と、CoFe
の結晶配向とを異なるようにしておくことが好ましい。
【0170】なお、表1に示す{111}面の配向度の
「強」「中」「弱」は、膜面方向に対する優先配向度を
表わしている。
【0171】表1に示すように、比較例のPtMnの
{111}面の配向度、およびCoFe(固定磁性層)
の{111}面の配向度は共に「強」となっている。
【0172】これは、実施例の膜構成を参照すると、
Taの上に形成されたNiFe,CoFe(フリー磁性
層)、Cu(非磁性導電層)およびCoFe(固定磁性
層)は、下地層としてのTaの影響を強く受けて、{1
11}面の配向度は強くなり、図6を参照してわかるよ
うに熱処理前におけるCoFe(固定磁性層)の格子定
数とPtMn(反強磁性層)の格子定数との差が小さい
ために、PtMnの{111}面は、CoFeの{11
1}面の配向度の影響を強く受けて、膜面方向に優先配
向してしまう。
【0173】これに対し、実施例ではTaの上に形成
されたNiFe,CoFe(フリー磁性層)、Cu(非
磁性導電層)およびCoFe(固定磁性層)は、下地層
としてのTaの影響を強く受けて、{111}面の配向
度は強くなるものの、図6を参照してわかるように熱処
理前におけるCoFe(固定磁性層)の格子定数とPt
Mn(反強磁性層)の格子定数との差は大きいために、
PtMnの{111}面は、CoFeの結晶配向の影響
をあまり受けず、膜面方向における配向度は弱くなって
いる。
【0174】またPtMnの上にCoFe(固定磁性
層)が積層されている実施例の場合では、CoFe
がPtMnの上に形成されると、CoFeの{111}
面の配向度は弱くなり、従ってPtMnとCoFeとの
結晶配向は、自動的に異なる方向に向けられる。
【0175】次に本発明では、反強磁性層をPt―Mn
―X′(X′=Ar)合金で形成し、元素X′量と、P
t―Mn―X′合金の格子定数との関係について調べ
た。実験に使用した膜構成は下から、Si基板/アルミ
ナ/Ta(50)/Co90Fe10(30)/Pt―Mn
―X′(300)/Ta(100)である。なお括弧内
の数値は膜厚を表しており、単位はオングストロームで
ある。
【0176】反強磁性層の成膜は、スパッタ装置内に、
PtとMnとの割合が6:4、5:5、及び4:6とな
る3種類のターゲットを用意し、各ターゲットを用い
て、元素X′となるArの導入ガス圧を変化させなが
ら、DCマグネトロンスパッタ及びイオンビームスパッ
タによって、Pt―Mn―X′(X′=Ar)合金膜を
形成した。そして、Pt―Mn―X′(X′=Ar)合
金膜中に占めるX′(X′=Ar)量と、Pt―Mn―
X′(X′=Ar)の格子定数との関係について測定し
た。その実験結果を図12に示す。
【0177】図12に示すように、PtとMnとの組成
比の割合が、6:4、5:5、及び4:6のいずれかの
場合においても、元素X′(X′=Ar)量が大きくな
ることにより、Pt―Mn―X′(X′=Ar)の格子
定数は大きくなることがわかる。なお固定磁性層を構成
するNiFe合金、CoFe合金、またはCo の格
子定数は、図12に示すように、約3.5〜3.6の範
囲である。またこの実験では、元素X′(X′=Ar)
量を4at%程度までとし、それ以上大きい含有量の場
合について実験を試みていないが、これは、元素X′と
なるArはガス元素であるために、ガス圧を上げても、
膜中にArを含有しにくいことによるものである。
【0178】次に、上述の実験に使用したPt―Mn―
X′(X′=Ar)合金膜に対し、以下に記載する熱処
理工程を施した。熱処理工程における条件としては、ま
ず昇温に3時間をかけ、次に240度の温度状態を3時
間保持し、さらに、降温に3時間をかけた。なお、熱処
理真空度を5×10-6Torr以下とした。
【0179】図13は、Pt―Mn―X′(X′=A
r)合金膜の元素X′(X′=Ar)量と、前記熱処理
によって、反強磁性層と固定磁性層との界面に発生した
交換結合磁界の大きさとの関係を示すグラフである。
【0180】図13に示すように、元素X′(X′=A
r)量が大きくなると、交換結合磁界は大きくなってい
ることがわかる。すなわち、元素X′(X′=Ar)を
PtMnに添加すれば、元素X′(X′=Ar)を添加
しない場合に比べて大きい交換結合磁界を得ることが可
能である。
【0181】次に本発明では、別の元素X′を用いて、
反強磁性層をPt―Mn―X′(X′=Mo)合金で形
成し、元素X′(X′=Mo)量と、Pt―Mn―X′
(X′=Mo)合金膜の格子定数との関係について調べ
た。実験に使用した膜構成は下から、Si基板/アルミ
ナ/Ta(50)/Co90Fe10(30)/Pt―Mn
―X′(300)/Ta(100)である。なお括弧内
の数値は膜厚を表しており、単位はオングストロームで
ある。
【0182】反強磁性層の成膜には、PtMnのターゲ
ットに元素X′(X′=Mo)のチップを貼り合わせた
複合型ターゲットを用意し、ターゲットに占めるチップ
の面積比を変化させながら、膜中に占める元素X′
(X′=Mo)量を変化させて、前記元素X′(X′=
Mo)量とPt―Mn―X′(X′=Mo)合金の格子
定数との関係について測定した。その実験結果を図14
に示す。
【0183】図14に示すように、PtとMnとの組成
比の割合が6:4、1:1、4:6のいずれかの場合に
おいても、膜中に占める元素X′(X′=Mo)の濃度
が大きくなるほど、Pt―Mn―X′(X′=Mo)の
格子定数は大きくなることがわかる。なお固定磁性層を
構成するNiFe合金、CoFe合金、またはCoの格
子定数は、図14に示すように、約3.5〜3.6の範
囲である。
【0184】次に、上記実験で使用したPt―Mn―
X′(X′=Mo)合金膜に対し、以下に記載する熱処
理工程を施した。熱処理工程における条件としては、ま
ず昇温に3時間をかけ、次に240度の温度状態を3時
間保持し、さらに、降温に3時間をかけた。なお、熱処
理真空度を5×10-6Torr以下とした。
【0185】図15は、Pt―Mn―X′(X′=M
o)合金膜の元素X′(X′=Mo)の濃度と、前記熱
処理によって、反強磁性層と固定磁性層との界面に発生
した交換結合磁界の大きさとの関係を示すグラフであ
る。
【0186】図15に示すように、PtとMnとの組成
比の割合が、6:4、1:1、4:6のいずれの場合で
あっても、膜中の元素X′(X′=Mo)量が約3at
%以上になれば、交換結合磁界は徐々に低下していくこ
とがわかる。特に、膜中の元素X′(X′=Mo)量が
約10at%以上になると、PtとMnとの組成比の割
合が1:1の場合であっても、交換結合磁界は非常に小
さくなってしまい好ましくない。
【0187】ところで、元素X′(X′=Mo)の適性
な含有量であるが、少なくとも、前記元素X′(X′=
Mo)を含有しない場合、すなわち、元素X′(X′=
Mo)量が0at%のときよりも、交換結合磁界が大き
くなることが好ましい。
【0188】Pt:Mnの組成比の割合が、6:4の場
合は、元素X′(X′=Mo)量が、約1at%以下で
あれば、元素X′(X′=Mo)量が0at%のときよ
りも、交換結合磁界が大きくなる。
【0189】また、Pt:Mnの組成比の割合が、1:
1の場合は、元素X′(X′=Mo)量が、約7at%
以下であれば、元素X′(X′=Mo)量が0at%の
ときよりも、交換結合磁界が大きくなる。
【0190】さらに、Pt:Mnの組成比の割合が、
4:6の場合は、元素X′(X′=Mo)量が、約10
at%以下であれば、元素X′(X′=Mo)量が0a
t%のときよりも、交換結合磁界が大きくなる。
【0191】次に、元素X′(X′=Mo)の適性な含
有量の下限であるが、Pt:Mnの組成比の割合が、
6:4の場合、元素X′(X′=Mo)量が、約0.5
at%になると、交換結合磁界が最も大きくなるので、
そこで本発明では、元素X′(X′=Mo)量が、0.
5at%よりも小さい0.2at%を下限として設定し
た。
【0192】以上の実験結果から本発明では、元素X′
の組成比の好ましい範囲をat%で0.2から10とし
た。またより好ましい範囲をat%で0.5から5とし
た。
【0193】なお上記の元素X′の好ましい組成範囲
は、Pt(=元素X)とMnとを4:6から6:4の範
囲内に設定した場合である。
【0194】
【発明の効果】以上詳述した本発明によれば、反強磁性
層と強磁性層とを有する磁気抵抗効果素子において、前
記反強磁性層をX―Mn(ただしXは、Pt,Pd,I
r,Rh,Ru,Osのうちいずれか1種または2種以
上の元素である)で形成する場合、反強磁性層を強磁性
層の上側に形成するか、下側に形成するかで前記反強磁
性層の組成比を適性に調節することにより、より大きい
交換異方性磁界を得ることが可能となっている。
【0195】あるいは本発明では、元素X′(ただし
X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,
Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,
Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,A
g,Cd,Ir,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,
Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素
である)を、X−Mn合金膜中に含有させたX−Mn−
X′合金により反強磁性層を形成し、適正に組成比を調
整することによっても、上記と同様の効果を得ることが
可能になっている。
【0196】以上のように、X−Mn合金、あるいはX
−Mn−X′合金から成る反強磁性層を、固定磁性層の
上側に形成するか、下側に形成するかで適正に組成比を
調整することにより、前記磁気抵抗効果素子層の抵抗変
化率を高めることができ、再生特性を向上させることが
可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のシングルスピンバルブ
型薄膜素子の構造をABS面側から見た断面図、
【図2】本発明の第2実施形態のシングルスピンバルブ
型薄膜素子の構造をABS面側から見た断面図、
【図3】本発明の第3実施形態のデュアルスピンバルブ
型薄膜素子の構造をABS面側から見た断面図、
【図4】本発明の第4実施形態のAMR型薄膜素子の構
造をABS面側から見た断面図、
【図5】本発明における薄膜磁気ヘッドを記録媒体との
対向面側から見た断面図、
【図6】反強磁性層をPtMnで形成した場合におけ
る、熱処理前でのPt量と前記反強磁性層の格子定数と
の関係を示すグラフ、
【図7】反強磁性層をPtMnで形成した場合における
Pt量と交換異方性磁界との関係を示すグラフ、
【図8】表1に示す実施例の多層膜の高分解能TEM
写真、
【図9】表1に示す比較例の多層膜の高分解能TEM
写真、
【図10】表1に示す実施例の多層膜におけるPtM
n(反強磁性層)の規則化度を示すグラフ、
【図11】表1に示す実施例の多層膜におけるPtM
n(反強磁性層)の規則化度を示すグラフ、
【図12】反強磁性層をPt―Mn―X′(X′=A
r)で形成した場合における元素X′(X′=Ar)量
と前記反強磁性層の格子定数との関係を示すグラフ、
【図13】反強磁性層をPt―Mn―X′(X′=A
r)で形成した場合における元素X′(X′=Ar)量
と交換結合磁界との関係を示すグラフ、
【図14】反強磁性層をPt―Mn―X′(X′=M
o)で形成した場合における元素X′(X′=Mo)量
と前記反強磁性層の格子定数との関係を示すグラフ、
【図15】反強磁性層をPt―Mn―X′(X′=M
o)で形成した場合における元素X′(X′=Mo)量
と交換結合磁界との関係を示すグラフ、
【符号の説明】
1 フリー磁性層 2 非磁性導電層 3 固定磁性層 4 反強磁性層 5 ハードバイアス層 6 下地層 7 保護層 8 導電層 9 エクスチェンジバイアス層 10 軟磁性層(SAL層) 11 非磁性層(SHUNT層) 12 磁気抵抗層(MR層) 20 下部シールド層 21 下部ギャップ層 22 磁気抵抗効果素子層 23 上部ギャップ層 24 上部シールド層
フロントページの続き (72)発明者 山本 豊 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 大湊 和也 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 牧野 彰宏 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反強磁性層と、この反強磁性層の下側に
    接して形成され、前記反強磁性層との交換異方性磁界に
    より磁化方向が固定される固定磁性層と、前記固定磁性
    層に非磁性層を介して形成されたフリー磁性層と、前記
    フリー磁性層の磁化方向を前記固定磁性層の磁化方向と
    交叉する方向へ揃えるバイアス層とを有し、 前記反強磁性層が、X−Mn合金(ただしXは、Pt,
    Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうちいずれか1種また
    は2種以上の元素である)で形成され、X−Mn合金の
    Xの組成比はat%で、47〜57の範囲内であること
    を特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 【請求項2】 反強磁性層と、この反強磁性層の上側に
    接して形成され、前記反強磁性層との交換異方性磁界に
    より磁化方向が固定される固定磁性層と、前記固定磁性
    層に非磁性層を介して形成されたフリー磁性層と、前記
    フリー磁性層の磁化方向を前記固定磁性層の磁化方向と
    交叉する方向へ揃えるバイアス層とを有し、 前記反強磁性層が、X−Mn合金(ただしXは、Pt,
    Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうちいずれか1種また
    は2種以上の元素である)で形成され、X−Mn合金の
    Xの組成比はat%で、44〜57の範囲内であること
    を特徴とする磁気抵抗効果素子。
  3. 【請求項3】 磁化方向が固定される固定磁性層と、前
    記固定磁性層に非磁性層を介して形成されたフリー磁性
    層とを有し、 前記フリー磁性層の上側に、間隔を空けて反強磁性層が
    積層され、前記反強磁性層とフリー磁性層との界面の交
    換異方性磁界により前記フリー磁性層の磁化方向が前記
    固定磁性層の磁化方向と交叉する方向へ揃えられ、 前記反強磁性層が、X−Mn合金(ただしXは、Pt,
    Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうちいずれか1種また
    は2種以上の元素である)で形成され、X−Mn合金の
    Xの組成比はat%で、47〜57の範囲内であること
    を特徴とする磁気抵抗効果素子。
  4. 【請求項4】 磁化方向が固定される固定磁性層と、前
    記固定磁性層に非磁性層を介して形成されたフリー磁性
    層とを有し、 前記フリー磁性層の下側に、間隔を空けて反強磁性層が
    積層され、前記反強磁性層とフリー磁性層との界面の交
    換異方性磁界により前記フリー磁性層の磁化方向が前記
    固定磁性層の磁化方向と交叉する方向へ揃えられ、 前記反強磁性層が、X−Mn合金(ただしXは、Pt,
    Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうちいずれか1種また
    は2種以上の元素である)で形成され、X−Mn合金の
    Xの組成比はat%で、44〜57の範囲内であること
    を特徴とする磁気抵抗効果素子。
  5. 【請求項5】 フリー磁性層の上下に積層された非磁性
    層と、一方の前記非磁性層の上および他方の非磁性層の
    下に位置する固定磁性層と、一方の前記固定磁性層の上
    および他方の固定磁性層の下に位置して、交換異方性磁
    界によりそれぞれの固定磁性層の磁化方向を一定の方向
    に固定する反強磁性層と、前記フリー磁性層の磁化方向
    を前記固定磁性層の磁化方向と交叉する方向に揃えるバ
    イアス層とを有し、 前記固定磁性層の上に位置する前記反強磁性層が、X−
    Mn合金(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,R
    u,Osのうちいずれか1種または2種以上の元素であ
    る)で形成され、X−Mn合金のXの組成比はat%
    で、47〜57の範囲内であることを特徴とする磁気抵
    抗効果素子。
  6. 【請求項6】 フリー磁性層の上下に積層された非磁性
    層と、一方の前記非磁性層の上および他方の非磁性層の
    下に位置する固定磁性層と、一方の前記固定磁性層の上
    および他方の固定磁性層の下に位置して、交換異方性磁
    界によりそれぞれの固定磁性層の磁化方向を一定の方向
    に固定する反強磁性層と、前記フリー磁性層の磁化方向
    を前記固定磁性層の磁化方向と交叉する方向に揃えるバ
    イアス層とを有し、 前記固定磁性層の下に位置する前記反強磁性層が、X−
    Mn合金(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,R
    u,Osのうちいずれか1種または2種以上の元素であ
    る)で形成され、X−Mn合金のXの組成比はat%
    で、44〜57の範囲内であることを特徴とする磁気抵
    抗効果素子。
  7. 【請求項7】 フリー磁性層の上下に積層された非磁性
    層と、一方の前記非磁性層の上および他方の非磁性層の
    下に位置する固定磁性層と、一方の前記固定磁性層の上
    および他方の固定磁性層の下に位置して、交換異方性磁
    界によりそれぞれの固定磁性層の磁化方向を一定の方向
    に固定する反強磁性層と、前記フリー磁性層の磁化方向
    を前記固定磁性層の磁化方向と交叉する方向に揃えるバ
    イアス層とを有し、 前記固定磁性層の上と下に位置するそれぞれの前記反強
    磁性層が、X−Mn合金(ただしXは、Pt,Pd,I
    r,Rh,Ru,Osのうちいずれか1種または2種以
    上の元素である)で形成され、固定磁性層の上に位置す
    る反強磁性層のX−Mn合金のXの組成比はat%で、
    47〜57の範囲内であり、固定磁性層の下に位置する
    反強磁性層のX−Mn合金のXの組成比はat%で、4
    4〜57の範囲内であることを特徴とする磁気抵抗効果
    素子。
  8. 【請求項8】 非磁性層を介して重ねられた磁気抵抗層
    と軟磁性層とを有し、前記磁気抵抗層の上側に反強磁性
    層が重ねられて、前記磁気抵抗層の磁化方向が揃えら
    れ、 前記反強磁性層が、X−Mn合金(ただしXは、Pt,
    Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうちいずれか1種また
    は2種以上の元素である)で形成され、X−Mn合金の
    Xの組成比はat%で、47〜57の範囲内であること
    を特徴とする磁気抵抗効果素子。
  9. 【請求項9】 非磁性層を介して重ねられた磁気抵抗層
    と軟磁性層とを有し、前記磁気抵抗層の下側に反強磁性
    層が重ねられて、前記磁気抵抗層の磁化方向が揃えら
    れ、 前記反強磁性層が、X−Mn合金(ただしXは、Pt,
    Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうちいずれか1種また
    は2種以上の元素である)で形成され、X−Mn合金の
    Xの組成比はat%で、44〜57の範囲内であること
    を特徴とする磁気抵抗効果素子。
  10. 【請求項10】 前記固定磁性層あるいはフリー磁性層
    または磁気抵抗層となる強磁性層の上に形成された前記
    反強磁性層が、X−Mn−X′合金(ただし、Xは、P
    t,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうちいずれか1種
    または2種以上の元素であり、X′は、Ne,Ar,K
    r,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,
    Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,G
    a,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Ir,S
    n,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元
    素のうち1種または2種以上の元素である)で形成さ
    れ、X−Mn−X′合金のX+X′の組成比はat%
    で、47〜57の範囲内である請求項1、3、5、7、
    8のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
  11. 【請求項11】 前記固定磁性層あるいはフリー磁性層
    または磁気抵抗層となる強磁性層の上に形成された前記
    反強磁性層のX−Mn合金のXの組成比、あるいはX−
    Mn−X′合金のX+X′の組成比はat%で、50〜
    56の範囲内である請求項1、3、5、7、8、10の
    いずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
  12. 【請求項12】 前記固定磁性層あるいはフリー磁性層
    または磁気抵抗層となる強磁性層の下に形成された前記
    反強磁性層が、X−Mn−X′合金(ただし、Xは、P
    t,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうちいずれか1種
    または2種以上の元素であり、X′は、Ne,Ar,K
    r,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,
    Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,G
    a,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Ir,S
    n,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元
    素のうち1種または2種以上の元素である)で形成さ
    れ、X−Mn−X′合金のX+X′の組成比はat%
    で、44〜57の範囲内である請求項2、4、6、7、
    9のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
  13. 【請求項13】 前記固定磁性層あるいはフリー磁性層
    または磁気抵抗層となる強磁性層の下に形成された前記
    反強磁性層のX−Mn合金のXの組成比、あるいはX−
    Mn−X′合金のX+X′の組成比はat%で、46〜
    55の範囲内である請求項2、4、6、7、9、12の
    いずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
  14. 【請求項14】 前記反強磁性層となるX―Mn合金で
    の、元素Xは、Ptである請求項1ないし9、11、1
    3のうちのいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
  15. 【請求項15】 前記反強磁性層の格子定数a,cの比
    c/aは、0.93〜0.99の範囲内である請求項1
    4記載の磁気抵抗効果素子。
  16. 【請求項16】 前記反強磁性層となるX―Mn―X′
    合金の元素XはPtである請求項10ないし13のうち
    のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
  17. 【請求項17】 前記元素X′は、Ne,Ar,Kr,
    Xeのうち1種または2種以上の元素である請求項10
    ないし13、16のうちのいずれかに記載の磁気抵抗効
    果素子。
  18. 【請求項18】 前記元素X′の組成比はat%で、
    0.2〜10の範囲内である請求項10ないし13、1
    6、17のうちのいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
  19. 【請求項19】 前記元素X′の組成比はat%で、
    0.5〜5の範囲内である請求項18記載の磁気抵抗効
    果素子。
  20. 【請求項20】 元素XとMnとの組成比の割合X:M
    nは、4:6〜6:4の範囲内である請求項10ないし
    13、および16ないし19のうちのいずれかに記載の
    磁気抵抗効果素子。
  21. 【請求項21】 前記反強磁性層として用いられるX―
    Mn―X′合金は、スパッタ法により形成される請求項
    10ないし13、および16ないし20のうちのいずれ
    かに記載の磁気抵抗効果素子。
  22. 【請求項22】 請求項1ないし21のいずれかに記載
    された磁気抵抗効果素子の上下にギャップ層を介してシ
    ールド層が形成されていることを特徴とする薄膜磁気ヘ
    ッド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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