JP2000121743A - 地震動分布の評価方法 - Google Patents
地震動分布の評価方法Info
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Abstract
を推定する。 【解決手段】 SI値分布を推定する対象地域に複数の
観測点を設定する(s2)。観測点のうちの1つを参照
点とし、地盤の増幅特性を予め把握しておく。各地点で
常時微動を観測し(s3)、強震時の地表面最大速度の
増幅特性の指標であるVi値を算出する(s4)。地震
を想定し(s5)、最大速度の距離減衰式から基盤にお
ける最大速度を算出する(s6)。常時微動観測から得
られるVi値を経験に基づいて補正し、SI値に対応す
る地表面最大速度の増幅特性を表すように補正した補正
Vi値から、地表面でのSI値を推定する(s7)。
Description
分布を推定し、被害の予測や復旧対策を行うための地震
動分布の評価方法に関する。
ガス事業者は、大規模な地震が生じても、都市ガスの供
給を維持することができるように種々の対策を施してい
る。しかしながら、発生する可能性がきわめてまれな大
地震にも耐えられるように都市ガス供給用の配管網を整
備することは、経済的な負担が大きくなってしまう。そ
こで、地震動の強度の指標として地表面最大速度のスペ
クトル強度であるSI(Spectrum Intencity)値がある
一定の値、たとえば60カイン(kine)となるとき
を基準に、各種規制や緊急対策などが採られる。
周期Tの1自由度系の応答速度の最大値をSv(T)と
し、T=0.1秒から2.5秒までの積分値の平均値を
SI値とする。
振動の大きさは、地震の規模、震源までの距離、地盤の
構造などによって変化する。このうち、震源となる可能
性がある場所については、いわゆる断層線など、ある程
度明らかになっている。したがって、想定される地震に
対して地表面での地震動の大きさの指標となるSI値分
布をいかに予測するかが重要である。
測する手法には、 距離減衰式などで求めた工学的基盤での加速度応答ス
ペクトルに、地形条件やボーリングデータ等から得られ
る地盤の非線形性を考慮した応答スペクトル増幅率のデ
ータべースを用い、地表面加速度応答スペクトルを求
め、経験式でSI値に換算する。 経験的なSI値の距離減衰式を用いて、SI値分布を
推定する。 等がある。
のSI値の分布を評価する手法には前述のようなや
が知られている。しかしながら、の手法では、地盤の
非線形性を考慮した応答スペクトル増幅率データベース
構築に、地形条件やボーリングデータ等を収集する必要
がある。広域的にデータベースを構築するためには、膨
大な費用や労力が必要となる。また、のSI値の距離
減衰式は、推定のバラツキが大きく、精度の信頼性が乏
しい。
できるデータに基づいて広域的な地震動分布の予測を精
度よく行うことができる地震動分布の評価方法を提供す
ることである。
評価すべき地域内に、基盤からの地表面最大速度の増幅
率が予め求められる参照点を設定し、該地域内に複数の
観測点を設定し、該参照点および該観測点の各地点で、
常時微動を時間領域データとして観測し、各地点で、常
時微動の時間領域データを周波数領域データに変換し、
水平成分と鉛直成分との比を振動の固有周期について積
分して、強震時の地表面最大速度の増幅特性の指標であ
るVi値を求め、各観測点のVi値について、該参照点
でのVi値に対する比を求め、求められた比に従い、該
参照点での地表面最大速度の増幅率から各観測点での地
表面最大速度の増幅率を求め、基盤での地震動の伝播状
態が与えられるとき、各地点での地表面最大速度の増幅
率に従って、地表面最大速度と、地震動の強度を表す指
標であるSI値との分布を推定することを特徴とする地
震動分布の評価方法である。
地域内に参照点と複数の観測点とを設定する。参照点で
は、基盤からの地表面最大速度の増幅率が予め求められ
る。参照点および観測点の各地点で、常時微動を時間領
域データとして観測し、周波数領域データに変換して、
水平成分と鉛直成分との比を振動の固有周期について積
分し、強震時の地表面最大速度の増幅特性の指標である
Vi値を求める。各観測点で得られるVi値について、
参照点でのVi値との比を求め、参照点での地表面最大
速度の増幅率から各観測点での地表面最大速度の増幅率
を求める。各観測点での地表面最大速度の増幅率が求め
られるので、基盤での地震動の伝播状態が与えられる
と、各地点での地表面最大速度の増幅率に従って、地表
面最大速度と、地震動の強度を表す指標であるSI値を
求め、地域内での分布を推定することができる。各地点
での常時微動の観測は、地形条件やボーリングデータ等
を収集してのデータベース構築よりは簡易に行うことが
でき、SI値の距離減衰式による簡易な方法よりは高精
度で信頼性の高い推定を行うことができる。
記Vi値を、経験的に知られている関係式に従って、前
記SI値に対応する地表面最大速度についての増幅率を
表すように補正し、補正されたVi値をSI値に換算す
ることを特徴とする。
ている関係式に従って、地震動の評価指標であるSI値
に対応するように補正するので、補正されたVi値から
SI値に換算することによって、広域的なSI値分布を
容易にかつ高精度に推定することができる。
の地震動の分布の評価の手順を示す。ステップs1から
評価を開始し、ステップs2では、地震動の分布を推定
する対象となる地域を設定する。また、設定される地域
内に、常時微動を観測する観測点とそのうちの1つとし
ての参照点とを設定する。ステップs3では、各地点で
常時微動の観測を行う。常時微動の観測は、複数の地点
で同時に行うこともでき、また1箇所ずつ移動しながら
順次観測することもできる。ステップs4では、各地点
での常時微動観測結果に基づき、強震時の地表面最大速
度の増幅特性を示すVi値の算出を行って、Vi値を求
める。
得る地震を想定する。地震の想定は、震源の位置、地震
の規模などを設定し、基盤における最大速度の距離減衰
式などを用いて、各地点の基盤における最大速度をステ
ップs6で求める。ステップs7では、常時微動観測か
ら得られるVi値を補正し、SI値の増幅特性を表す指
標として補正Vi値を求め、地表面のSI値を求める。
各地点でSI値が求められると、対象となる地域につい
てのSI値分布を評価することができる。たとえば、都
市ガスの供給事業では、供給地域を複数のブロックに分
割し、各ブロック内で地震発生時にSI値が60kin
e(カイン)以上となると都市ガスの供給を停止する。
ステップs8でSI値による分布評価の手順を終了す
る。
て観測される振動波形を示す。図2(a)は加速度Aの
波形を示し、図2(b)は速度Vの波形を示す。地震動
は、一般に地下の震源地から発生し、基盤を伝播する。
地表面では、地震波が地盤中を通過する間に増幅され
る。増幅率は、地盤の深さや構造に伴って変化する。地
盤の構造を、正確に把握するためには、ボーリングを行
って、地盤の構造を分析する必要があるけれども多大な
手間と労力とを要する。本実施形態では、地盤の増幅特
性をボーリング等を行って把握するのは、参照点の1箇
所に留める。その複数の観測点では、常時微動の観測を
行う。常時微動は、図2(a),(b)では、地震動の
前後の平坦な部分として表示される程度の微小な振動で
あり、言わばバックグラウンドノイズのように常時観測
可能な振動である。常時微動は、通常数10μm程度の
微動であり、風や波などの自然の力や、交通機関や工場
などの人工的な力などによって発生している。加速度お
よび速度のピーク値が、地表面最大加速度Amaxおよ
び地表面最大速度Vmaxである。
Vi値を求めるための観測装置の概略的な構成を示す。
観測点の地表面には、水平方向の微動センサ1,2と上
下方向の微動センサ3を設置する。水平方向の微動セン
サ1,2は、北南(NS)方向と、東西(EW)方向と
の、直交する二方向に向けて設置する。上下方向の微動
センサ3は、上下(UD)の鉛直方向に向けて設置す
る。各微動センサ1,2,3からの出力信号は、増幅器
4で増幅され、シグナルコンディショナ5でノイズなど
の除去を行う。その出力は記録機6にリアルタイムで記
録され、高速フーリエ変換(FFT)処理を行うFFT
アナライザ7で時間領域のデータから周波数領域のデー
タに変換される。FFT処理の結果はメモリ8に記憶さ
れる。動作用電力は、バッテリなどの電源9から供給さ
れ、複数の場所に移動して常時微動の観測を行うことが
できる。メモリ8に記憶されるデータは、パーソナルコ
ンピュータ10などによって、さらに解析や演算処理を
行い、後述するようなVi値などを求める。
常時微動の解析手順を示す。ステップa0から解析を開
始し、ステップa1では、水平方向2成分と鉛直方向1
成分の各成分10組のデータを収集する。実際にはより
多くのデータを収集してその中からノイズの少ないデー
タを10組選定することが好ましい。1つのデータの観
測に要する時間は、たとえば0.01秒おきにデータを
サンプリングして、2048点のサンプリングが終了す
る時間である20.48秒である。次にステップa2で
は、各成分をFFTアナライザ7を用いてフーリエスペ
クトルに変換する。ステップa3では、水平方向の2成
分を合成する。ステップa4では、0.3HzのPar
zemウインドウを用いて平滑化を行う。ステップa5
では、水平成分および上下成分のそれぞれの相乗平均を
求め、ステップa6で水平の2次元スペクトルおよび上
下スペクトルを求める。ステップa7では、水平成分と
上下成分のスペクトル比であるH/V−Rの計算を行
い、ステップa8で解析を終了する。
るデータの波形の例を示す。図5(a)および図5
(b)は、図4のステップa1で得られる水平成分およ
び上下成分の微動の例を示す。図5(a)の水平成分と
しては、実際にはもう1つの方向についても同様な波形
が得られる。図5(c)および図5(d)は、図4のス
テップa2で得られるフーリエスペクトルを示す。図5
(e)は、図5(c)と図5(d)との比から求められ
る、H/V−Rを示す。
のVi値は、次の第2式に従って算出する。
2までであり、求められるVi値が過去の地震動の強震
記録から得られる増幅率と対応するように設定する。本
件発明者らの検討結果では、0.1秒以上で5秒以下の
範囲が適切であると判明している。図6は、そのような
Vi値を求める積分範囲を斜線を施して示す。図6に示
すような積分範囲で求めるVi値は、過去の地震動につ
いての強震記録に基づいて得られている地盤の増幅率
と、図7に示すように対応関係がある。
期成分の波の重ね合わせで決まる。したがって、H/V
−Rから地盤の増幅特性を評価する際に、単一の周期成
分だけから地盤増幅率を求めると、信頼性に乏しくな
る。Vi値は実際の地震時の観測強震記録の結果を考慮
して、地盤の速度成分の増幅率を表すことになるH/V
−Rの積分範囲を、経験に基づいて最適となるように設
定している。また基盤から地盤中を地表面まで伝播する
地震動のうちの速度成分は、強震時においても非線形性
が小さく、線形性を有すると考えられる。これに対し
て、加速度成分は、強震時に飽和する特性を有し、非線
形と考えることができる。したがって微動観測結果とい
う線形性の記録から得られるVi値も、速度成分に関し
ているので、強震時にも適用することが可能となる。
特性の指標であり、2地点間のVi値の比が2地点間の
地表面最大速度の増幅率の比を表す。したがって、或る
地点を参照点として、増幅率を考える地盤に対し、基盤
からの地表面最大速度の増幅率が、地盤の応答解析等に
よって得られれば、参照点を基準とするVi値を用い
て、他の地点の基盤からの地表面最大速度の増幅率を算
出することができる。
れる2地点でVi値で求められている状態を示す。A点
ではVi値として15が得られ、B点ではVi値として
5が得られている。地震動は、基盤12の表面に沿って
伝播し、地表面11には地盤13中を伝播して、その間
に増幅される。図8で、A点はB点の3倍(=15/
5)の増幅率を有している。或る地点の地表面最大速度
の絶対的な増幅率が既知であれば、他の地点の増幅率
は、Vi値の比で評価することができる。図8で、B点
の増幅率が1.5であれば、A点はその3倍の4.5と
なる。
は、SI値の分布を知る必要があり、Vi値の分布から
SI値に換算する必要がある。図9に示すように、地表
面最大速度VmaxとSI値との間では、点線で示すよ
うな硬質地盤の一般地区で次の第3式、実線で示すよう
な軟弱な地盤の湾岸埋立地区で次の第4式に従う関係が
あることが、経験的に知られている。
から得られるVi値に対して、SI値の増幅特性を表す
ように補正することができる。なお、図9に示す地盤種
別は、I種地盤およびII種地盤が一般的な硬質地盤で
あり、III種地盤は軟弱地盤である。
速度やSI値を算出するためには、各地点の基盤での微
振動の速度成分を算出する必要がある。速度成分の算出
は、たとえば次の第5式に示すような、Joynerお
よびBooreが1981年に発表した距離減衰式で、
伝播速度Vsb=500m/sの工学的開放基盤におけ
る最大速度Vを算出する。
を表し、rは次の第6式によって計算される。第6式で
dは、観測地点から震源となる横づれ断層線までの最短
距離を示す。
行い、各地点でVi値を算出し、五条を参照点20とし
て、基盤からの地表面最大速度の増幅率を用いてSI値
の増幅特性を評価した例を示す。地震動は、黄檗断層を
震源21とし、マグニチュードM=7.0で発生してい
ると想定している。各地点で常時微動観測によるVi値
が得られていれば、異なる震源に対しても、同様にSI
値の分布を求めることができる。
複数地点で常時微動を観測し、観測結果に基づいて各地
点で強震時の地表面最大速度の増幅特性の指標であるV
i値を求め、予め地盤の特性から地表面最大速度の増幅
率が判明している参照点でのVi値との比から、各地点
での増幅率を求めることができる。各地点での増幅率が
求められるので、基盤での地震動の伝播状態が与えられ
れば、地表面での地震動分布を増幅率に基づいて推定
し、地表面最大速度およびSI値の分布を推定すること
ができる。各地点で常時微動の観測を行えばよいので、
ボーリングなどを行うよりも簡易に、広範囲にわたる地
震動の分布の推定を行うことができる。
値を補正してSI値を求めることができるので、地震動
の大きさの指標であるSI値の分布を容易に推定するこ
とができる。
評価する手法を示すフローチャートである。
波形図である。
構成を示すブロック図である。
成分との比H/V−Rを算出する手順を示すフローチャ
ートである。
状の例を示すグラフである。
るVi値を示すグラフである。
示すグラフである。
である。
とSI値との対応関係を示すグラフである。
のSI値分布の例を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 地震動分布を評価すべき地域内に、基盤
からの地表面最大速度の増幅率が予め求められる参照点
を設定し、 該地域内に複数の観測点を設定し、 該参照点および該観測点の各地点で、常時微動を時間領
域データとして観測し、 各地点で、常時微動の時間領域データを周波数領域デー
タに変換し、水平成分と鉛直成分との比を振動の固有周
期について積分して、強震時の地表面最大速度の増幅特
性の指標であるVi値を求め、 各観測点のVi値について、該参照点でのVi値に対す
る比を求め、 求められた比に従い、該参照点での地表面最大速度の増
幅率から各観測点での地表面最大速度の増幅率を求め、 基盤での地震動の伝播状態が与えられるとき、各地点で
の地表面最大速度の増幅率に従って、地表面最大速度
と、地震動の強度を表す指標であるSI値との分布を推
定することを特徴とする地震動分布の評価方法。 - 【請求項2】 前記各地点で求められる前記Vi値を、
経験的に知られている関係式に従って、前記SI値に対
応する地表面最大速度についての増幅率を表すように補
正し、 補正されたVi値をSI値に換算することを特徴とする
請求項1記載の地震動分布の評価方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29215898A JP2000121743A (ja) | 1998-10-14 | 1998-10-14 | 地震動分布の評価方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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Family
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JP29215898A Pending JP2000121743A (ja) | 1998-10-14 | 1998-10-14 | 地震動分布の評価方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2000121743A (ja) |
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