JP2000121520A - 透過型電子顕微鏡用試料の作成方法 - Google Patents

透過型電子顕微鏡用試料の作成方法

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JP2000121520A
JP2000121520A JP10296308A JP29630898A JP2000121520A JP 2000121520 A JP2000121520 A JP 2000121520A JP 10296308 A JP10296308 A JP 10296308A JP 29630898 A JP29630898 A JP 29630898A JP 2000121520 A JP2000121520 A JP 2000121520A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の方法と比較して十分な大きさの観察
範囲を得ることができる透過型電子顕微鏡用試料の作成
方法を提供する。 【解決手段】 支持基板8上の一部分に、試料10を研
磨する際に用いる研磨液に対して不活性な不活性層2を
設け、支持基板8上の不活性層2が存在しない部分に穴
3〜7を設け、試料10の非研磨面に第1の接着剤12
を用いて補強ジグ11を接着し、補強ジグ11が前記穴
3の内部に存在するように支持基板8と試料10とを直
接重ね合わせた状態で穴3に第2の接着剤を注入し固化
させ、化学的機械的研磨により前記試料10を薄層化
し、試料10に対して補強ジグ11と対称である試料1
0の研磨面上の領域にマスクを施し、試料10のうちマ
スクを施した領域以外の部分を溶解させたのち第2の接
着剤及びマスクを溶解する。以上により上記目的を達成
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透過型電子顕微鏡
用試料の作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Si基板やGaAs基板上に形成された
薄膜の結晶構造や粒界構造を評価する方法の一つとし
て、透過型電子顕微鏡(TEM)が広く用いられてい
る。この場合、TEMを用いて薄膜の結晶構造や粒界構
造の評価を可能にするためには、試料を裏面から垂直方
向に研磨して、電子線が試料中を通過できる厚さ(数1
0〜数100nm)まで薄く加工する必要がある。
【0003】従来、表面薄膜を対象とした透過型電子顕
微鏡用試料の作成においては、試料を微細片に切り出し
たのちに、裏面側から機械研磨+イオンミリング或いは
化学エッチングによって試料を薄膜化することにより透
過型電子顕微鏡で観察可能な試料を得る方法が一般に用
いられている。 例えば、超音波加工機で図5(A)に
示すような試料41に対し、約3mmΦの試料片を切り
出したのち(図5(B)参照)、平面研磨機等で試料4
1の観察したい面と反対側の面を厚さ約100μmに薄
膜化し(図5(C)参照:試料41のD−D’面に対
応)、更に、ボウル研磨機で試料41のD−D’面の中
央部を約10〜20μmの厚さまで薄くすることにより
試料41の観察したい面と反対側の面をお椀型の形状に
掘削してから(図5(D)参照)、イオンミリング装置
で前工程により厚さ約10〜20μmとなった試料41
のD−D’面の中央部にイオンビームを照射することに
より、試料41の中心部近傍に厚さ数百μmの観察領域
42を設ければ(図5(E)参照)、透過型電子顕微鏡
で観察可能な試料が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図5に
示すような従来の透過型電子顕微鏡用試料の作成方法に
おいては次のような問題点があった。例えば、基板内の
結晶格子密度を評価する場合等においては、測定精度を
向上させるために数多くの試料を作成する必要がある。
このため、一つの試料でできるだけ広い範囲を観察でき
ることが望ましい。しかしながら、従来の透過型電子顕
微鏡用試料の作成方法においては、ボウル研磨機及びイ
オンビームを用いて試料に透過型電子顕微鏡用の観察領
域を作成する。この場合、ボウル研磨機で形成した試料
41の中央部をお椀型の形状に施してから、イオンビー
ムを用いて前記中央部を更に薄膜化するという工程を経
るため、1つの試料において限られた範囲の観察領域し
か形成することができない。具体的には、従来の透過型
電子顕微鏡用試料の作成方法により作成された試料が有
する透過型電子顕微鏡での観察可能範囲は概ね100μ
2以下である。したがって、基板内の結晶格子密度を
評価する場合等において、試料の測定精度の向上を図る
ためには非常に数多くの試料を作成しなければならない
ため、多大な手間及び時間を費やさなければならないと
いう問題が生じていた。
【0005】本発明は、以上の従来技術における問題に
鑑みてなされたものである。本発明の目的は、従来の方
法により得られる試料と比較して、十分な大きさの観察
範囲を得ることが可能である透過型電子顕微鏡用試料の
作成方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本出
願第1の発明は、基板上に薄膜が形成されてなる試料を
裏面から研磨して、前記試料を薄膜化し、前記薄膜評価
用の透過型電子顕微鏡用試料を作成する方法において、
支持基板上の少なくとも一部分に、試料を研磨する際に
用いる研磨液に対して不活性な不活性層を設け、支持基
板上の不活性層が存在しない部分に少なくとも一つ以上
の穴を設け、試料の非研磨面に第1の接着剤を用いて補
強ジグを接着し、補強ジグが前記穴の内部に存在するよ
うに支持基板と試料とを直接重ね合わせた状態で、前記
穴に第2の接着剤を注入し固化させ、化学的機械的研磨
により前記試料を薄層化し、試料に対して補強ジグと対
称である試料の研磨面上の領域にマスクを施し、試料の
うちマスクを施した領域以外の部分を溶解させたのち、
第2の接着剤及びマスクを溶解することを特徴とする透
過型電子顕微鏡用試料の作成方法である。
【0007】上記構成を有する本出願第1の発明の透過
型電子顕微鏡用試料の作成方法によると、支持基板上の
少なくとも一部分に、試料を研磨する際に用いる研磨液
に対して不活性な不活性層を設け、支持基板上の不活性
層が存在しない部分に少なくとも一つ以上の穴を設け、
試料の非研磨面に第1の接着剤を用いて補強ジグを接着
し、補強ジグが前記穴の内部に存在するように支持基板
と試料とを直接重ね合わせた状態で、前記穴に第2の接
着剤を注入し固化させ、化学的機械的研磨により前記試
料を薄層化し、試料に対して補強ジグと対称である試料
の研磨面上の領域にマスクを施し、試料のうちマスクを
施した領域以外の部分を溶解させたのち、第2の接着剤
及びマスクを溶解することにより、従来の方法により得
られる試料と比較して、TEM観察においてより広い観
察範囲を有する試料を得ることができる。
【0008】また、本出願第2の発明の透過型電子顕微
鏡用試料の作成方法は、本出願第1の発明の透過型電子
顕微鏡用試料の作成方法であって、支持基板上面に不活
性層を設け、支持基板上の前記不活性層が設けられた側
の面と試料とが接する状態で前記穴に第2の接着剤を注
入することを特徴とする。
【0009】上記構成を有する本出願第2の発明の透過
型電子顕微鏡用試料の作成方法によると、支持基板上面
に不活性層を設け、支持基板上の前記不活性層が設けら
れた側の面と試料とが接する状態で前記穴に第2の接着
剤を注入することにより、支持基板と試料とが接する状
態で接着されるので、支持基板と試料との間には接着剤
が存在しない。これにより、試料の厚さの制御が可能で
あるので、TEM観察に適した厚さの試料を得ることが
できるうえに、均一且つ平坦な形状を有する試料を加工
することができることから、TEM観察に適した形状を
有する試料を容易に得ることができる。
【0010】また、本出願第3の発明の透過型電子顕微
鏡用試料の作成方法は、本出願第2の発明の透過型電子
顕微鏡用試料の作成方法であって、支持基板上面の周辺
部に不活性層を設け、前記不活性層の内側に試料を設置
し、支持基板と試料とが接する状態で前記穴に第2の接
着剤を注入することを特徴とする。
【0011】上記構成を有する本出願第3の発明の透過
型電子顕微鏡用試料の作成方法によると、支持基板上面
の周辺部に不活性層を設け、前記不活性層の内側に試料
を設置し、支持基板と試料とが接する状態で前記穴に第
2の接着剤を注入することにより、支持基板と試料とが
接する状態で接着されるので、支持基板と試料との間に
は接着剤が存在しない。これにより、化学的機械的研磨
の際に試料の厚さの制御が可能であるので、TEM観察
に適した厚さの試料を得ることができるうえに、均一且
つ平坦な形状を有する試料を加工することができること
から、TEM観察に適した形状を有する試料を容易に得
ることができる。
【0012】また、本出願第4の発明の透過型電子顕微
鏡用試料の作成方法は、本出願第1〜本出願第3の発明
の何れか一の透過型電子顕微鏡用試料の作成方法であっ
て、不活性層を所定の厚さに形成し、化学的機械的研磨
により試料を薄片化する際に、不活性層が研磨板に接す
るまで試料を研磨することを特徴とする。
【0013】上記構成を有する本出願第4の発明の透過
型電子顕微鏡用試料の作成方法によると、不活性層を所
定の厚さに形成し、化学的機械的研磨により試料を薄片
化する際に、不活性層が研磨板に接するまで試料を研磨
することにより、試料を所定の厚さに施すことが容易に
可能となる。これにより、化学的機械的研磨の際に試料
の厚さを制御することができるため、TEM観察に適し
た厚さの試料を得ることができるうえに、均一且つ平坦
な形状を有する試料を加工することができることから、
TEM観察に適した形状を有する試料を容易に得ること
ができる。
【0014】また、本出願第5の発明の透過型電子顕微
鏡用試料の作成方法は、本出願第1〜本出願第4の発明
の何れか一の透過型電子顕微鏡用試料の作成方法であっ
て、支持基板上面の周辺部に不活性層を設ける際に熱酸
化法、CVD法、スパッタ法のうちいずれか1つ以上を
用いて不活性層を支持基板上面に成膜する工程と、前記
支持基板上面の周辺部をマスクを施す工程と、ウェット
エッチングもしくはドライエッチングによって前記周辺
部以外の不活性層を除去する工程とを含むことを特徴と
する。
【0015】上記構成を有する本出願第5の発明の透過
型電子顕微鏡用試料の作成方法によると、支持基板上面
の周辺部に不活性層を設ける際に熱酸化法、CVD法、
スパッタ法のうちいずれか1つ以上を用いて不活性層を
支持基板上面に成膜する工程と、前記支持基板上面の周
辺部をマスクを施す工程と、ウェットエッチングもしく
はドライエッチングによって前記周辺部以外の不活性層
を除去する工程とを含むことにより、不活性層が支持基
板上面の周辺部に設けられるので、化学的機械的研磨の
際に試料の厚さを制御することができるため、TEM観
察に適した厚さの試料を得ることができるうえに、均一
且つ平坦な形状を有する試料を加工することができるこ
とから、TEM観察に適した形状を有する試料を容易に
得ることができる。
【0016】また、本出願第6の発明の透過型電子顕微
鏡用試料の作成方法は、本出願第1〜本出願第5の発明
の何れか一の透過型電子顕微鏡用試料の作成方法であっ
て、補強ジグが、マスクを施した領域以外の試料を溶解
させる際に用いる第1の溶剤、並びに試料に施したマス
ク及び第2の接着剤を溶解させる際に用いる第2の溶剤
に対する耐侵食性を有することを特徴とする。
【0017】上記構成を有する本出願第6の発明の透過
型電子顕微鏡用試料の作成方法によると、補強ジグが、
マスクを施した領域以外の試料を溶解させる際に用いる
第1の溶剤、並びに試料に施したマスク及び第2の接着
剤を溶解させる際に用いる第2の溶剤に対する耐侵食性
を有することにより、試料が第1の溶剤及び第2の溶剤
による侵食等の影響を殆ど受けないので、所定の厚さを
有し、均一且つ平坦な形状を有する試料を得ることがで
きるため、従来の方法により得られる試料と比較して、
TEM観察においてより広い観察範囲を有する試料を得
ることができる。
【0018】また、本出願第7の発明の透過型電子顕微
鏡用試料の作成方法は、本出願第1〜本出願第6の発明
の何れか一の透過型電子顕微鏡用試料の作成方法であっ
て、第1の接着剤が、マスクを施した領域以外の試料を
溶解させる際に用いる第1の溶剤に対する耐溶性、並び
に試料に施したマスク及び第2の接着剤を溶解させる際
に用いる第2の溶剤に対する耐溶性を有することを特徴
とする。
【0019】上記構成を有する本出願第7の発明の透過
型電子顕微鏡用試料の作成方法によると、第1の接着剤
が、マスクを施した領域以外の試料を溶解させる際に用
いる第1の溶剤に対する耐溶性、並びに試料に施したマ
スク及び第2の接着剤を溶解させる際に用いる第2の溶
剤に対する耐溶性を有することにより、研磨された試料
を上記の溶剤から保護することができるため、研磨した
試料の形状を変化させることなく試料を得ることができ
る。
【0020】また、本出願第8の発明の透過型電子顕微
鏡用試料の作成方法は、本出願第1〜本出願第7の発明
の何れか一の透過型電子顕微鏡用試料の作成方法であっ
て、第2の接着剤が、試料のうちマスクを施した領域以
外の部分を溶解させる際に用いる第1の溶剤に対する耐
溶性を有することを特徴とする。
【0021】上記構成を有する本出願第8の発明の透過
型電子顕微鏡用試料の作成方法によると、第2の接着剤
が、試料のうちマスクを施した領域以外の部分を溶解さ
せる際に用いる第1の溶剤に対する耐溶性を有すること
により、第1の溶剤を用いて試料のうちマスクを施した
領域以外の部分を溶解させる場合においても支持基板と
試料とが接着している状態を強固に保つことができるた
め、TEM観察に適した形状を有する試料を容易に得る
ことができる。
【0022】また、本出願第9の発明の透過型電子顕微
鏡用試料の作成方法は、本出願第1〜本出願第8の発明
の何れか一の透過型電子顕微鏡用試料の作成方法であっ
て、試料がSi基板もしくはSi上に形成した薄膜を表
面に設けてなる半導体であり、化学的機械的研磨に用い
る研磨液がピペラジンであり、不活性層がSiO2から
なることを特徴とする。
【0023】上記構成を有する本出願第9の発明の透過
型電子顕微鏡用試料の作成方法によると、試料がSi基
板もしくはSi上に形成した薄膜を表面に設けてなる半
導体であり、化学的機械的研磨に用いる研磨液がピペラ
ジンであり、不活性層がSiO2からなることにより、
ピペラジンを研磨液に用いた場合、SiとSiO2との
エッチング速度の比が1対無限大であることから、試料
が化学的機械的研磨を受ける際不活性層であるSiO2
はほとんど研磨されない。これにより、化学的機械的研
磨の際に試料の厚さを厳密に制御することができるた
め、TEM観察に適した厚さの試料を得ることができる
うえに、均一且つ平坦な形状を有する試料を加工するこ
とができることから、TEM観察に適した形状を有する
試料を容易に得ることができる。
【0024】また、本出願第10の発明の透過型電子顕
微鏡用試料の作成方法は、本出願第1〜本出願第8の発
明の何れか一の透過型電子顕微鏡用試料の作成方法であ
って、試料がガラス基板もしくはガラス基板上に形成し
た薄膜を表面に設けてなる半導体であり、化学的機械的
研磨に用いる研磨液がコロイダルシリカであり、不活性
層がSi34からなることを特徴とする。
【0025】上記構成を有する本出願第10の発明の透
過型電子顕微鏡用試料の作成方法によると、試料がガラ
ス基板もしくはガラス基板上に形成した薄膜を表面に設
けてなる半導体であり、化学的機械的研磨に用いる研磨
液がコロイダルシリカであり、不活性層がSi34から
なることにより、コロイダルシリカを研磨液に用いた場
合、SiとSi34とのエッチング速度の比が1対無限
大であることから、試料が化学的機械的研磨を受ける際
不活性層であるSi34はほとんど研磨されない。これ
により、化学的機械的研磨の際に試料の厚さを厳密に制
御することができるため、TEM観察に適した厚さの試
料を得ることができるうえに、均一且つ平坦な形状を有
する試料を加工することができることから、TEM観察
に適した形状を有する試料を容易に得ることができる。
【0026】また、本出願第11の発明の透過型電子顕
微鏡用試料の作成方法は、本出願第9又は本出願第10
の発明の透過型電子顕微鏡用試料の作成方法であって、
補強ジグが、硝酸、フッ化水素酸、又は硝酸とフッ化水
素酸との混合液に対して耐侵食性を有するとともに、ア
ルコールに対して耐侵食性を有する材料からなることを
特徴とする。
【0027】上記構成を有する本出願第11の発明の透
過型電子顕微鏡用試料の作成方法によると、補強ジグ
が、硝酸、フッ化水素酸、又は硝酸とフッ化水素酸との
混合液に対して耐侵食性を有するとともに、アルコール
に対して耐侵食性を有する材料からなることにより、試
料が、これらの溶液による侵食等の影響を殆ど受けない
ので、所定の厚さを有し、均一且つ平坦な形状を有する
試料を得ることができるため、従来の方法により得られ
る試料と比較して、TEM観察においてより広い観察範
囲を有する試料を得ることができる。
【0028】また、本出願第12の発明の透過型電子顕
微鏡用試料の作成方法は、本出願第11の発明の透過型
電子顕微鏡用試料の作成方法であって、補強ジグが白金
又は金からなることを特徴とする。
【0029】上記構成を有する本出願第12の発明の透
過型電子顕微鏡用試料の作成方法によると、補強ジグが
白金又は金からなることにより、白金・金は硝酸、フッ
化水素酸、又は硝酸とフッ化水素酸との混合液に対して
耐侵食性を有するとともに、有機溶剤又はアルコールに
対して耐侵食性を有することから、これらの溶液により
試料が腐食したり溶解したりすることから保護すること
ができる。これにより、所定の厚さを有し、均一且つ平
坦な形状を有する試料を得ることができるため、従来の
方法により得られる試料と比較して、TEM観察におい
てより広い観察範囲を有する試料を得ることができる。
【0030】また、本出願第13の発明の透過型電子顕
微鏡用試料の作成方法は、本出願第9〜本出願第12の
発明の何れか一の透過型電子顕微鏡用試料の作成方法で
あって、第1の接着剤が、硝酸、フッ化水素酸、又は硝
酸とフッ化水素酸との混合液に対する耐溶性、並びにア
ルコールに対する耐溶性を有することを特徴とする。
【0031】上記構成を有する本出願第13の発明の透
過型電子顕微鏡用試料の作成方法によると、第1の接着
剤が、第1の接着剤が、硝酸、フッ化水素酸、又は硝酸
とフッ化水素酸との混合液に対する耐溶性、並びにアル
コールに対する耐溶性を有することにより、試料と補強
ジグとが接着している状態を保つことができるので、所
定の厚さを有し、均一且つ平坦な形状を有する試料を得
ることができるため、従来の方法により得られる試料と
比較して、TEM観察においてより広い観察範囲を有す
る試料を得ることができる。
【0032】また、本出願第14の発明の透過型電子顕
微鏡用試料の作成方法は、本出願第9〜本出願第13の
発明の何れか一の透過型電子顕微鏡用試料の作成方法で
あって、第2の接着剤が、硝酸、フッ化水素酸、又は硝
酸とフッ化水素酸との混合液に対して耐溶性を有するこ
とを特徴とする。
【0033】上記構成を有する本出願第14の発明の透
過型電子顕微鏡用試料の作成方法によると、第2の接着
剤が、硝酸、フッ化水素酸、又は硝酸とフッ化水素酸と
の混合液に対して耐溶性を有することにより、第1の溶
剤を用いて試料のうちマスクを施した領域以外の部分を
溶解させる場合においても支持基板と試料とが接着して
いる状態を強固に保つことができるので、所定の厚さを
有し、均一且つ平坦な形状を有する試料を得ることがで
きるため、従来の方法により得られる試料と比較して、
TEM観察においてより広い観察範囲を有する試料を得
ることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面を参照して詳細に説明するが、以下の実施の形態は本
発明に係る一例にすぎない。図1及び図2は、本発明の
一実施の形態に係る透過型電子顕微鏡用試料の作成方法
を工程順に示す図である。
【0035】基板1の上に、熱酸化法、CVD法、もし
くはスパッタ法等を用いて不活性層2を形成する(図1
(A)参照)。ただし、不活性層2は基板1と異なる材
料からなり、後述する試料10を研磨する際に用いる研
磨液に対して不活性である材料を用いる。また、不活性
層2を所定の厚さに施す。所定の厚さとは、後述する試
料10を後の工程において研磨する際に、希望する研磨
後の試料10の厚さである。不活性層2を所定の厚さに
施すことにより、希望する厚さの試料10を得ることが
できる。このような基板と不活性層との組み合わせとし
ては、シリコン(Si)とシリコン酸化膜(Si
2)、コロイダルシリカとシリコン窒化膜(Si
34)等が挙げられる。次に、基板1上の不活性層2の
一部を、ウエットエッチングもしくはドライエッチング
等を用いて除去する(図1(B)参照)。次に、基板1
上の不活性層2を除去した領域内に穴3〜7を設ける
(図1(C)参照)。このようにして支持基板8を形成
する。支持基板8に設けられる穴の数はこれに限定され
るものでなく、支持基板8と試料10とを接着するのに
十分な数だけ設けられていればよく、少なくとも1つ以
上であればよい。次に、支持基板8とは別の基板から試
料10を作成する。試料10は、イオン注入等を行うこ
とにより形成される薄膜を有してなる。次に、平面TE
M観察を行うための試料を作成するために、まず、試料
10の表面側(研磨面と反対側の面)に補強ジグ11
を、観察領域13が補強ジグ11の内周内の穴に存在す
るように第1の接着剤12を用いて貼り付ける(図1
(D)参照)。この場合、補強ジグ11は、後述する第
1の溶剤及び第2の溶剤に対する耐侵食性を有する材料
からなるものであり、図1(D)にはドーナツ状のもの
を示したが、内部にTEM観察領域に相当する穴を有す
る形状、すなわち枠状の形状を有するものであれば補強
ジグ11の形状は図1(D)に示したようにドーナツ状
に限定されない。また、第1の接着剤12は、後述する
第1の溶剤及び第2の溶剤に対する耐溶性を有するもの
を用いる。
【0036】次に、水平板9上において、補強ジグ11
が保持基板8の穴3の内部に存在するように、補強ジグ
11を貼りつけた試料10上に支持基板8を載せる。す
なわち、試料10において研磨したい面と水平板9とが
接するように試料10を水平板9の上に載せ、その上に
支持基板8を重ね合わせる。その際、支持基板8の不活
性層2が形成されている面と試料10とが接するように
するとともに、不活性層2が試料10に接しないように
支持基板8を重ね合わせる(図2(A)及び図2(B)
参照)。支持基板8上の不活性層2が形成されていない
側の面から穴3〜7に第2の接着剤14を注入し固化さ
せる。この場合、第2の接着剤14は、後述する第1の
溶剤に対する耐溶性を有する一方、後述する第2の溶剤
に良溶であるものを用いる。この工程における図2
(A)のA−A’での断面図を図2(B)に示す。支持
基板8と試料10とは穴3に注入した第2の接着剤14
により、穴3の側壁と試料10の非研磨面の穴を覆って
いる領域において接着され、支持基板8と試料10との
間には第2の接着剤14が存在しない。次に、研磨液を
用いた化学的機械的研磨により、試料10の裏面側を所
定の厚さまで機械的に研磨し且つその表面を鏡面に仕上
げる。この場合、研磨液は、試料10のエッチング速度
と不活性層2のエッチング速度との比が1対無限大であ
るものを用いることにより、不活性層2は前記研磨の影
響を殆ど受けずに試料10のみが研磨される。加えて、
前記研磨は不活性層2と研磨板である水平板9とが接す
るまで行われるので、試料10は不活性層2とほぼ同じ
厚さに加工される(図2(C)参照)。
【0037】次に、試料10に対して補強ジグ11と対
称である試料10の研磨面上の領域にマスク15を施
す。よって、この場合に施されるマスク15の面積は補
強ジグ11の外周の面積とほぼ等しい。すなわち、試料
10の研磨面側の補強ジグ11を貼りつけた領域のみを
覆う形でフォトレジストを用いてマスク15を施す(図
2(C)参照)。マスク15は、第1の溶剤に対する耐
溶性を有する一方で、第2の溶剤に良溶である。次に、
第1の溶剤により、試料10のうちマスク15を施した
領域以外の部分を溶解させる(図2(D)参照)。さら
に、第2の溶剤により、第2の接着剤14及びマスク1
5を溶解除去することによって、試料10を支持基板8
から外す(図2(E)参照)。第2の溶剤は、第2の接
着剤14及びマスク15を良く溶解させるものを用い
る。このようにして得られる試料10はそのまま測定に
用いることができ、且つ補強ジグ11の内径内に存在す
る試料部分はすべて観察可能である。以上により、観察
領域13全面の平面TEM観察が可能である試料を得る
ことができる。
【0038】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をより具体的に
説明する。
【0039】(実施例1)本発明の一実施例を以下に示
す。図3は、本発明の実施例1に係る透過型電子顕微鏡
用試料の作成方法を工程順に示す図である。
【0040】本実施例においては、基板としてシリコン
(Si)基板21を、不活性層としてシリコン酸化膜
(SiO2)22をそれぞれ用い、図1に示した工程に
従って試料を作成した。厚さ約700μmのシリコン基
板21を約900〜1100℃で酸化雰囲気中にさら
し、シリコン基板21上に膜厚約1μmのシリコン酸化
膜22を成長させた。次に、シリコン酸化膜22が露出
している面の周辺部(端部から幅約3mm)をマスクし
てフッ化水素酸を用いたウェットエッチングを行い、シ
リコン酸化膜22のマスクしていない部分を除去した。
これによりシリコン酸化膜22はシリコン基板21上に
周辺部から幅約3mmだけ設けられている状態となっ
た。次に、シリコン基板21内のシリコン酸化膜22を
除去した領域内に、5箇所直径約4mmΦに打ち抜くこ
とによって、穴23〜27を形成し、支持基板28を作
成した。
【0041】次に、シリコン基板21とは別のシリコン
基板を用いて、このシリコン基板の表面側(イオン注入
を行った側)から、P(燐)をエネルギー1.5Me
V、ドース1×1014cm-2の条件でイオン注入を行
ったのち熱処理を行い薄膜を形成した。続いて、このシ
リコン基板から、薄膜を形成してなる半導体である試料
210を切り出して得た。この試料210を、図1に示
した工程に従ってさらに加工した。
【0042】次に、平面TEM観察を行うための試料を
作成するために、まず、試料210の表面側(研磨面と
反対側の面)に補強ジグ211を、観察領域が補強ジグ
211の内径内に存在するように第1の接着剤212を
用いて貼り付けた。この場合、補強ジグ211は、後述
する第1の溶剤として用いるフッ化水素と硝酸との混合
液に対する耐侵食性、及び第2の溶剤に対する耐侵食性
を有する材料からなるものであり、例えば白金又は金か
らなる。また、第1の接着剤212は、フッ化水素と硝
酸との混合液に対する耐溶性及びエタノールに対する耐
溶性を有するものを用いる。水平板29上において、補
強ジグ211が保持基板28の穴の内部に存在するよう
に、補強ジグ211を貼りつけた試料210上に支持基
板28を載せる。すなわち、試料210において研磨し
たい面と水平板29とが接するように試料210を水平
板29の上に載せ、その上に支持基板28を重ね合わせ
る。その際、支持基板28のシリコン酸化膜22が形成
されている面と試料210が接するようにするととも
に、シリコン酸化膜22が試料210に接しないように
支持基板28を重ね合わせる。支持基板28上のシリコ
ン酸化膜22が形成されていない側の面から穴23〜2
7に第2の接着剤214を注入し固化させる。この場
合、第2の接着剤214は、後述する第1の溶剤に対し
て耐溶性を有する。支持基板28の穴を覆い、かつ支持
基板の周囲に施されたシリコン酸化膜22にかからない
ように試料210を乗せた状態で水平板29上に試料2
10の表面側(イオン注入を行った側)が接する状態で
のせ、支持基板28のシリコン酸化膜22を成膜してい
ない側から穴23〜27に第2の接着剤214を注入し
たのち固化させた(図3(A)参照)。この工程におけ
る図3(A)のB−B’での断面図を図3(B)に示
す。この結果、支持基28表面と試料210の表面との
間に接着剤が存在しなくても、穴23〜27に流し込ん
だ第2の接着剤214により支持基板28と試料210
とが接着された(図3(A)・(B)参照)。次に、研
磨剤にピペラジンを用いて、試料210の裏面側に化学
的機械的研磨を施した。試料210は支持基板28のシ
リコン基板21周囲のシリコン酸化膜22と水平板29
が接触するまで研磨される。ピペラジンを研磨液に用い
た場合、シリコンのエッチング速度とシリコン酸化膜の
エッチング速度との比が1対無限大であるため、試料2
10のみが研磨され、シリコン酸化膜22はほとんど研
磨されない。これにより、前記研磨はシリコン酸化膜2
2と水平板29が接した時点、すなわち試料210の厚
さが約1μmとなった時点で終了する。
【0043】次に、図2に示した工程に従って、図3に
示される試料210の研磨面側の補強ジグ211を貼り
つけた箇所のみを覆う形でフォトレジストを用いてマス
クを施した。次に、第1の溶剤としてフッ化水素酸及び
硝酸の混合液を用いて、試料210のうちマスクを施し
た領域以外の部分を溶解させた。なお、第1の溶剤とし
て、フッ化水素酸及び硝酸の混合液の代わりに、フッ化
水素酸もしくは硝酸を用いることもできる。さらに、第
2の溶剤としてエタノールを用いて、第2の接着剤21
4及びマスクを溶解除去することによって、試料210
を支持基板28から外した。なお、本実施例では、第2
の溶剤としてエタノールを用いたが、第2の接着剤21
4及びマスクを溶解除去することができ且つ、補強ジグ
211及び試料210を腐食させず、第1の接着剤21
2を溶解させない有機溶剤であればよく、例えばメタノ
ール、1−プロパノール、2−プロパノール、t−ブタ
ノール等のアルコールを用いてもよい。従来の方法によ
り得られる試料の観察可能範囲は概ね100μm2以下
なのに対し、本実施例により得られる試料は補強ジグ2
11の内径(1.5mmΦ)内はすべて観察可能となる
ことから最大約1.7mm2の観察範囲が得られるた
め、従来の方法と比較して極めて広い範囲の観察範囲を
有する試料を得ることができる。以上により、所定の厚
さを有し、均一且つ平坦な形状を有する試料を得ること
ができた。
【0044】(実施例2)本発明の一実施例を以下に示
す。図4は、本発明の実施例2に係る透過型電子顕微鏡
用試料の作成方法を工程順に示す図である。
【0045】本実施例においては、基板としてシリコン
(Si)基板31を、不活性層としてシリコン窒化膜
(Si34)32をそれぞれ用い、図1に示した工程に
従って試料を作成した。厚さ約700μmのシリコン基
板31を約900〜1100℃で酸化雰囲気中にさら
し、シリコン基板31上に膜厚約1μmのシリコン窒化
膜32を成長させた。次に、シリコン窒化膜32が露出
している面の周辺部(端部から幅約3mm)をマスクし
てフッ化水素酸を用いたウェットエッチングを行い、シ
リコン窒化膜32のマスクしていない部分を除去した。
これによりシリコン窒化膜32はシリコン基板31上に
周辺部から幅約3mmだけ設けられている状態となっ
た。次に、シリコン基板31内のシリコン窒化膜32を
除去した領域内に、5箇所直径約4mmΦに打ち抜くこ
とによって、穴33〜37を形成し、支持基板38を作
成した。
【0046】次に、ガラス基板を用いて、このガラス基
板の表面側(研磨面と反対側の面)に多結晶シリコンを
50nm成膜後、熱処理を行い薄膜を形成して試料31
0を得た。この試料310を、図1に示した工程に従っ
てさらに加工した。
【0047】次に、平面TEM観察を行うための試料を
作成するために、図1に示した工程に従って、まず、試
料310の表面側(研磨面と反対側の面)に補強ジグ3
11を、観察領域が補強ジグ311の内径内に存在する
ように第1の接着剤312を用いて貼り付けた。この場
合、補強ジグ311は、後述する第1の溶剤に対する耐
侵食性、及び第2の溶剤に対する耐侵食性を有する材料
からなるものであり、例えば白金又は金からなる。ま
た、第1の接着剤312は、第1の溶剤に対する耐溶性
及び第2の溶剤に対する耐溶性を有するものを用いる。
水平板39上において、補強ジグ311が保持基板38
の穴の内部に存在するように、補強ジグ311を貼りつ
けた試料310上に支持基板38を載せる。すなわち、
試料310において研磨したい面と水平板39とが接す
るように試料310を水平板39の上に載せ、その上に
支持基板38を重ね合わせる。その際、支持基板38の
シリコン窒化膜32が形成されている面と試料310が
接するようにするとともに、シリコン酸化膜32が試料
310に接しないように支持基板38を重ね合わせる。
支持基板38上のシリコン窒化膜32が形成されていな
い側の面から穴33〜37に第2の接着剤314を注入
し固化させる。この場合、第2の接着剤314は、後述
する第1の溶剤312に対する耐溶性を有する。支持基
板38の穴を覆い、かつ支持基板の周囲に施されたシリ
コン窒化膜32にかからないように試料310を乗せた
状態で水平板39上に試料310の表面側(多結晶シリ
コンを成膜した側)が接する状態でのせ、支持基板38
のシリコン窒化膜32を成膜していない側から穴33〜
37に第2の接着剤314を注入したのち固化させた
(図4(A)参照)。この工程における図4(A)のC
−C’での断面図を図4(B)に示す。この結果、支持
基38表面と試料310の表面との間に接着剤が存在し
なくても、穴33〜37に流し込んだ第2の接着剤31
4により支持基板38と試料310とが接着された(図
4(A)・(B)参照)。次に、研磨剤にコロイダルシ
リカを用いて、試料310の裏面側に化学的機械的研磨
を施した。試料310は支持基板38のシリコン基板3
1周囲のシリコン窒化膜32と水平板39が接触するま
で研磨される。コロイダルシリカを研磨液に用いた場
合、試料310のエッチング速度とシリコン窒化膜のエ
ッチング速度との比が1対無限大であるため、試料31
0のみが研磨され、シリコン窒化膜32はほとんど研磨
されない。これにより、前記研磨はシリコン窒化膜32
と水平板39が接した時点、すなわち試料310の厚さ
が約1μmとなった時点で終了する。
【0048】次に、試料310の研磨面側の補強ジグ3
11を貼りつけた箇所のみを覆う形でフォトレジストを
用いて、図2に示した工程に従ってマスクを施した。次
に、第1の溶剤312としてフッ化水素酸及び硝酸の混
合液を用いて、試料310のうちマスクを施した領域以
外の部分を溶解させた。なお、第1の溶剤として、フッ
化水素酸及び硝酸の混合液の代わりに、フッ化水素酸も
しくは硝酸を用いることもできる。さらに、第2の溶剤
としてエタノールを用いて、第2の接着剤314及びマ
スクを溶解除去することによって、試料310を支持基
板38から外した。以上により、所定の厚さを有し、均
一且つ平坦な形状を有する試料を得ることができた。
【0049】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明に係る透過型
電子顕微鏡用試料の作成方法によれば、支持基板上の少
なくとも一部分に、試料を研磨する際に用いる研磨液に
対して不活性な不活性層を設け、支持基板上の不活性層
が存在しない部分に少なくとも一つ以上の穴を設け、試
料の非研磨面に第1の接着剤を用いて補強ジグを接着
し、補強ジグが前記穴の内部に存在するように支持基板
と試料とを直接重ね合わせた状態で、前記穴に第2の接
着剤を注入し固化させ、化学的機械的研磨により前記試
料を薄層化し、試料に対して補強ジグと対称である試料
の研磨面上の領域にマスクを施し、試料のうちマスクを
施した領域以外の部分を溶解させたのち、第2の接着剤
及びマスクを溶解することにより、従来の方法と比較し
て、TEM観察においてより広い観察範囲を有する試料
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係る透過型電子顕微
鏡用試料の作成方法を工程順に示す図である。
【図2】 本発明の一実施の形態に係る透過型電子顕微
鏡用試料の作成方法を工程順に示す図である。
【図3】 本発明の実施例1に係る透過型電子顕微鏡用
試料の作成方法を工程順に示す図である。
【図4】 本発明の実施例2に係る透過型電子顕微鏡用
試料の作成方法を工程順に示す図である。
【図5】 従来の透過型電子顕微鏡用試料の作成方法を
工程順に示す図である。
【符号の説明】
1 基板 2 不活性層 3〜7・23〜27 33〜37 穴 8・28・38 支持基板 9・29・39 水平板 10・210・310 試料 11・211・311 補強ジグ 12・212・312 第1の接着剤 13 観察領域 14・214・314 第2の接着剤 15 マスク 21・31 シリコン基板 22 シリコン酸化膜(SiO2) 32 シリコン窒化膜(Si34

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に薄膜が形成されてなる試料を裏
    面から研磨して、前記試料を薄膜化し、前記薄膜評価用
    の透過型電子顕微鏡用試料を作成する方法において、支
    持基板上の少なくとも一部分に、試料を研磨する際に用
    いる研磨液に対して不活性な不活性層を設け、支持基板
    上の不活性層が存在しない部分に少なくとも一つ以上の
    穴を設け、試料の非研磨面に第1の接着剤を用いて補強
    ジグを接着し、補強ジグが前記穴の内部に存在するよう
    に支持基板と試料とを直接重ね合わせた状態で前記穴に
    第2の接着剤を注入し固化させ、化学的機械的研磨によ
    り前記試料を薄層化し、試料に対して補強ジグと対称で
    ある試料の研磨面上の領域にマスクを施し、試料のうち
    マスクを施した領域以外の部分を溶解させたのち、第2
    の接着剤及びマスクを溶解することを特徴とする透過型
    電子顕微鏡用試料の作成方法。
  2. 【請求項2】 支持基板上面に不活性層を設け、支持基
    板上の前記不活性層が設けられた側の面と試料とが接す
    る状態で前記穴に第2の接着剤を注入することを特徴と
    する請求項1に記載の透過型電子顕微鏡用試料の作成方
    法。
  3. 【請求項3】 支持基板上面の周辺部に不活性層を設
    け、前記不活性層の内側に試料を設置し、支持基板と試
    料とが接する状態で前記穴に第2の接着剤を注入するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の透過型電子顕微鏡用試
    料の作成方法。
  4. 【請求項4】 不活性層を所定の厚さに形成し、化学的
    機械的研磨により試料を薄片化する際に、不活性層が研
    磨板に接するまで試料を研磨することを特徴とする請求
    項1〜請求項3の何れか一に記載の透過型電子顕微鏡用
    試料の作成方法。
  5. 【請求項5】支持基板上面の周辺部に不活性層を設ける
    際に熱酸化法、CVD法、スパッタ法のうちいずれか1
    つ以上を用いて不活性層を支持基板上面に成膜する工程
    と、前記支持基板上面の周辺部をマスクを施す工程と、
    ウェットエッチングもしくはドライエッチングによって
    前記周辺部以外の不活性層を除去する工程とを含むこと
    を特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一に記載の透
    過型電子顕微鏡用試料の作成方法。
  6. 【請求項6】補強ジグが、試料のうちマスクを施した領
    域以外の部分を溶解させる際に用いる第1の溶剤、並び
    に試料に施したマスク及び第2の接着剤を溶解させる際
    に用いる第2の溶剤に対して耐侵食性を有することを特
    徴とする請求項1〜請求項5の何れか一に記載の透過型
    電子顕微鏡用試料の作成方法。
  7. 【請求項7】第1の接着剤が、試料のうちマスクを施し
    た領域以外の部分を溶解させる際に用いる第1の溶剤、
    並びに試料に施したマスク及び第2の接着剤を溶解させ
    る際に用いる第2の溶剤に対して耐溶性を有することを
    特徴とする請求項1〜請求項6の何れか一に記載の透過
    型電子顕微鏡用試料の作成方法。
  8. 【請求項8】第2の接着剤が、試料のうちマスクを施し
    た領域以外の部分を溶解させる際に用いる第1の溶剤に
    対して耐溶性を有することを特徴とする請求項1〜請求
    項7の何れか一に記載の透過型電子顕微鏡用試料の作成
    方法。
  9. 【請求項9】試料がSi基板もしくはSi基板上に形成
    した薄膜を表面に設けてなる半導体であり、化学的機械
    的研磨に用いる研磨液がピペラジンであり、不活性層が
    SiO2からなることを特徴とする請求項1〜請求項8
    の何れか一に記載の透過型電子顕微鏡用試料の作成方
    法。
  10. 【請求項10】試料がガラス基板もしくはガラス基板上
    に形成した薄膜を表面に設けてなる半導体であり、化学
    的機械的研磨に用いる研磨液がコロイダルシリカであ
    り、不活性層がSi34からなることを特徴とする請求
    項1〜請求項8の何れか一に記載の透過型電子顕微鏡用
    試料の作成方法。
  11. 【請求項11】補強ジグが、硝酸、フッ化水素酸、又は
    硝酸とフッ化水素酸との混合液に対して耐侵食性を有す
    るとともに、アルコールに対して耐侵食性を有する材料
    からなることを特徴とする請求項9又は請求項10に記
    載の透過型電子顕微鏡用試料の作成方法。
  12. 【請求項12】補強ジグが白金又は金からなることを特
    徴とする請求項11に記載の透過型電子顕微鏡用試料の
    作成方法。
  13. 【請求項13】第1の接着剤が、硝酸、フッ化水素酸、
    又は硝酸とフッ化水素酸との混合液に対する耐溶性、並
    びにアルコールに対する耐溶性を有することを特徴とす
    る請求項9〜請求項12の何れか一に記載の透過型電子
    顕微鏡用試料の作成方法。
  14. 【請求項14】第2の接着剤が、硝酸、フッ化水素酸、
    又は硝酸とフッ化水素酸との混合液に対する耐溶性を有
    することを特徴とする請求項9〜請求項13の何れか一
    に記載の透過型電子顕微鏡用試料の作成方法。
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