JP2000119747A - 板厚方向材質差の小さい高張力鋼板の製造方法 - Google Patents

板厚方向材質差の小さい高張力鋼板の製造方法

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JP2000119747A
JP2000119747A JP10292465A JP29246598A JP2000119747A JP 2000119747 A JP2000119747 A JP 2000119747A JP 10292465 A JP10292465 A JP 10292465A JP 29246598 A JP29246598 A JP 29246598A JP 2000119747 A JP2000119747 A JP 2000119747A
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Minoru Suwa
稔 諏訪
Shinichi Suzuki
伸一 鈴木
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Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高冷却速度の制御冷却による製造を行うにあ
たり、板厚方向の材質が均一になるような高張力鋼板の
製造方法。 【解決手段】 重量%で、C:0.08〜0.18、S
i:0.05〜0.5、Mn:0.8〜1.8、Al:
0.01〜0.1を含有し、炭素当量:Ceq=C+M
n/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/
5として、0.30≦Ceq≦0.36であり、残部が
Feおよび不可避的不純物からなる鋼を調製し、105
0〜1200℃に加熱し、次いでAr3〜900℃での
圧下率が40%以上となるように鋼板の熱間圧延を行
い、(Ar3−50)℃以上の鋼板表面温度域から(A
r3−300)〜(Ar3−150)℃の鋼板表面温度
域まで5〜10℃/秒の鋼板平均冷却速度で冷却し、引
き続いて、500〜650℃の鋼板平均温度域まで12
℃/秒以上の鋼板平均冷却速度で冷却する、板厚方向材
質差の小さい高張力鋼板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、船舶、海洋構造
物、貯蔵タンク等の構造物の分野で使用される厚鋼板、
特に板厚方向材質差の小さい高張力鋼板の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、厚鋼板の強度、靭性等の特性
を高め、添加する合金元素量の削減、または熱処理工程
を省略するために、制御圧延と制御冷却を組み合わせた
TMCP技術が使用されている。 しかし、制御冷却時
に、その効果を最大限活用しようとして、冷却速度を高
くすると、圧延まま材および焼きならし材に比べて、板
厚方向において材質の不均一を生じてしまうという問題
がある。すなわち、冷却速度が高くなるにしたがい、板
厚中心部の冷却速度に比較して、表面近傍の冷却速度が
著しく高くなり、板厚中心部に比べて鋼板の表面の強度
が著しく上昇したり、延性が低下したりする。その結
果、板厚方向において材質に差を生じる。
【0003】この現象は板厚が厚くなるほど顕著に現れ
るため、厚肉材に対して、制御圧延および高冷却速度の
制御冷却を併用するのが難しいという問題を生じる。例
えば、特開平4−224623号公報では、厚物材に制
御冷却を適用するにあたり、3〜12℃/sという比較
的低冷却速度域に冷却速度を制御することにより、板厚
中心部の硬度上昇に比して表面の硬度上昇が著しく高く
ならないように抑制する技術が開示されている(以下、
「先行技術1」という)。しかし、先行技術1は、比較
的合金添加量が多い場合に適用されるものであり、Ce
qが0.36%以下の低合金成分系に対しては適用し難
いという問題点がある。
【0004】また、特開昭57−152430号公報に
は、冷却温度域を2段階に分割し、前段冷却を後段冷却
より低く(弱冷)し、後段冷却は前段冷却より高く(強
冷)することにより、一定冷速で冷却した場合に比べ
て、板厚方向における硬度分布が少なくなることが開示
されている(以下、「先行技術2」という)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ここで、特開昭57−
152430号公報に開示された先行技術2は、鋼板中
心温度が500〜450℃以下になるまで冷却すること
を想定しており、C含有量が0.08%未満またはCe
qが0.30%未満の鋼板の製造方法としては十分な技
術である。すなわち、C含有量またはCeqが低けれ
ば、冷却停止温度を低目にすれば、圧延条件、冷却条件
の他の制御因子を考慮しなくても、所定の強度は比較的
確保し易い。
【0006】ところが、溶接熱影響部の強度を考慮する
と、Ceqが0.30%未満では大型構造物用のTS5
0キロ級以上の素材として要求される強度を確保するこ
とが難しい。また、C含有量が低くても、Mn等の他の
元素の含有量を高めることによりCeqを0.30%以
上にすることができるけれども、このことは原料コスト
の著しい上昇を招くため好ましくない。
【0007】さらに、先行技術2においては、鋼板中心
温度が500〜450℃以下になるまで冷却すると、板
厚方向の材質差は小さくなるけれども、面方向(長さ方
向および幅方向)の材質差が大きくなる傾向があり、面
方向に歪や残留応力を生じ、冷却後の矯正負荷が大きく
なったり、切断後に反りを生じたりして、生産性を著し
く阻害するという問題点がある。
【0008】従って、本発明の目的は、溶接構造部材用
として溶接部の強度も満足し(Ceq≧0.30%)、
かつ合金元素の使用を抑えて(C≧0.08%かつCe
q≦0.36%)安価で、高生産性(歪、残留応力な
し)を有する鋼板に対する高冷却速度の制御冷却適用時
の板厚方向材質均一化技術、すなわち、船舶、海洋構造
物、貯蔵タンク等に用いられるTS50キロ級以上の低
合金成分系の鋼板において、特性向上のため高冷却速度
の制御冷却による製造を行うにあたり、板厚方向の材質
が均一になるような高張力鋼板の製造方法を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手投】前記課題を解決し目的を
達成するために、本発明は以下に示す手段を用いてい
る。本発明の方法は、下記工程からなる、板厚方向材質
差の小さい高張力鋼板の製造方法である。 (1)重量%で、C:0.08〜0.18%、Si:
0.05〜0.5%、Mn:0.8〜1.8%、Al:
0.01〜0.1%を含有し、かつ炭素当量:0.30
%≦Ceq≦0.36%であり、残部がFeおよび不可
避的不純物からなる鋼を調製する工程と、(2)調製さ
れた前記鋼を1050〜1200℃に加熱し、次いでA
r3〜900℃での圧下率が40%以上となるように鋼
板の熱間圧延を行う工程と、(3)熱間圧延された前記
鋼板を、(Ar3−50)℃以上の鋼板表面温度域から
(Ar3−300)〜(Ar3−150)℃の鋼板表面
温度域まで、5℃/秒以上10℃/秒以下の鋼板平均冷
却速度で冷却する工程と、(4)上記冷却工程に引き続
いて、500〜650℃の鋼板平均温度域まで12℃/
秒以上の鋼板平均冷却速度で冷却する工程。但し、炭素
当量:Ceq=C%+Mn%/6+(Cu%+Ni%)
/15+(Cr%+Mo%+V%)/5
【0010】さらに本発明の方法は、調製された前記鋼
の成分として、重量%でさらに、Ti:0.005〜
0.02%、Nb:0.005〜0.02%からなる群
のうちの1種または2種を含有することを特徴とする、
請求項1に記載の板厚方向材質差の小さい高張力鋼板の
製造方法である。なお、本発明においては特にことわり
のない限り、温度は鋼板板厚方向の平均温度をさす。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明者は、上記の課題を解決す
べく、鋼板の表層部において、冷却中に生成するベイナ
イト相の分率が高くならず、かつ生成したベイナイト相
の硬度を低く抑える冷却条件を調査した。その結果、冷
却の初期における鋼板表層部の冷却速度を冷却の後段に
おける冷却速度に比べて低くすることにより、ベイナイ
トの生成を抑制することができると共に、鋼板平均の冷
却停止温度を、冷却中に生成したベイナイトを軟化させ
ることができる温度に制御することにより、比較的高C
(≧0.08)含有で高Ceqの鋼材においても鋼板表
層部と中心部の間の硬度差を小さくすることができるこ
とを知見した。
【0012】さらに、低コスト化や溶接施工性を向上す
る観点から、高Ceq(>0.36%)の成分系となる
ことは避けなければならない。さらに、強度をTS50
キロ級とするためには、冷却後段はさることながら冷却
初期においても冷却速度をあまり低くすることはでき
ず、また鋼板平均の冷却停止温度もあまり高くすること
ができないことを知見した。
【0013】以上の知見に基づき、本発明者らは、C含
有量が0.08%以上、炭素当量Ceqが0.30%以
上0.36%以下の低合金成分系の鋼板に対して、上記
の特性上の相反する要求を双方ともに最大限満足するよ
うに、熱間圧延条件、および冷却条件を一定範囲内に制
御することによって、板厚方向材質差の小さい高張力鋼
板を製造することができることを見出し、本発明の方法
を完成させた。すなわち、本発明の方法に従って、鋼組
成および製造条件を下記範囲に限定することによって、
船舶、海洋構造物、貯蔵タンク等に大量に用いられる合
金成分量の少ない安価な低合金成分系の鋼板に対して、
特性を向上するための高冷却速度の制御冷却を適用し
て、板厚方向の材質が均一になるような高張力鋼板を製
造することができる。
【0014】以下に本発明の方法における成分添加理
由、成分限定理由、および製造条件の限定理由について
説明する。 (1)鋼の成分組成 C:0.08〜0.18% Cは、鋼の強度を確保する元素である。Cが0.08%
未満の場合は、鋼の強度の確保が困難となる。Cが多量
の場合は、一般に鋼の靭性や溶接性を低下させるが、
0.18%を越えると溶接部の硬度が著しく上昇して溶
接低温割れ感受性を高くなり、さらに、高冷却速度の制
御冷却時に表面硬度の著しい上昇を招く。従って、C量
は0.08〜0.18%の範囲内に限定する。
【0015】Si:0.05〜0.5% Siは、母材の強度維持・予備脱酸のために添加する。
Siが0.05%未満では所望の効果を発揮することが
できない。一方、Siが0.5%を超えると溶接性の観
点から望ましくない。従って、Si量は0.05〜0.
5%の範囲内に限定する。
【0016】Mn:0.8〜1.8% Mnは、FeSの生成抑制ならびに鋼板の強度・靭性向
上の機能を有している。Mnが0.8%未満では所望の
効果を得ることができない。しかし、1.8%を超えた
多量の添加は、鋼の焼き入れ性の増加をもたらし、溶接
硬化層の出現により割れ感受性が高くなり、さらに、高
冷却速度の制御冷却時に表面硬度の著しい上昇を招く。
従って、Mn量は0.8〜1.8%の範囲内に限定す
る。
【0017】Al:0.01〜0.1% Alは、脱酸のために添加する。Alが0.01%未満
では、所望の効果が発揮されない。一方、0.1%を超
えて多量に添加するとアルミナクラスタが形成され易く
なる。従って、Al量は0.01〜0.1%の範囲内に
限定する。
【0018】本発明では、上記化学成分以外に、必要に
応じてTi、Nbからなる群から選択した1種または2
種を鋼に添加することができる。 Ti:0.005〜0.02% Tiは、溶接加熱時のTiN析出によるオーステナイト
粒の粗大化防止に効果があり、大入熱溶接時のHAZ
(溶接熱影響部)靭性の向上をもたらす。Tiが0.0
05%未満では所望の効果が発揮されない。一方、0.
02%を超える多量の添加はTiCの過剰な生成による
靭性の劣化や、さらに大入熱溶接時のHAZ靭性の劣化
を招く。従って、Ti量は0.005〜0.02%の範
囲内に限定する。
【0019】Nb:0.005〜0.02% Nbは、オーステナイト域での再結晶を抑制し未再結晶
温度域を拡大するために添加する。Nbが0.005%
未満では、所望の効果は発揮されない。一方、0.02
%を超える多量の添加は島状マルテンサイトの生成を促
し、溶接性を著しく劣化させる。従って、Nb量は0.
005〜0.02%の範囲内に限定する。
【0020】さらに、本発明においては、上述した鋼の
化学成分の範囲限定に加えて、HAZの強度、溶接性向
上、経済性、および制御冷却時の表面硬化抑制の観点か
ら、Ceqを0.30%以上0.36%以下に限定す
る。但し、炭素当量:Ceq=C%+Mn%/6+(C
u%+Ni%)/15+(Cr%+Mo%+V%)/5
【0021】上記Ceq式に規定されている元素のう
ち、本発明で上下限が規定されていないもの(すなわ
ち、Cu、Ni、Cr、Mo、V)を含有する場合、C
eq値が0.30%以上0.36%以下になるように、
それぞれの含有量を調整する。鋼の成分組成を上述した
範囲内に調整し、さらに以下に述べる、本発明の方法
の、特性向上のための高冷却速度の制御冷却を用いて、
船舶、海洋構造物、貯蔵タンク等に大量に用いられる合
金成分量の少ない安価な低合金成分系の鋼板用の、板厚
方向材質差の小さい高張力鋼板を得ることができる。
【0022】以下に、この発明の製造方法を説明する。 (2)鋼板製造方法 (製造方法)上記の成分組成範囲に調整した鋼を溶製
し、連続鋳造で得られた鋼スラブを1050〜1200
℃に加熱し、次いでAr3〜900℃での圧下率が40
%以上となるように鋼板の熱間圧延を行う。引き続き、
(Ar3−50)℃以上の鋼板表面温度域から(Ar3
−300)〜(Ar3−150)℃の鋼板表面温度域ま
で5〜10℃/秒の鋼板平均冷却速度で冷却した後、引
き続いて、500〜650℃の鋼板平均温度域まで12
℃/秒以上の鋼板平均冷却速度で冷却する。
【0023】a.スラブ加熱温度:1050〜1200
℃ スラブ加熱温度に関して、オーステナイト結晶粒の粗大
化を抑制するためには、加熱温度を1200℃以下にす
る必要がある。一方、能率向上の観点からは高い方が好
ましく、またNbを添加した場合には効果を発揮させる
ためには、Nbを固溶させる必要があるために、加熱温
度の下限は1050℃である。よって、スラブ加熱温度
は1050〜1200℃の範囲内に限定する。
【0024】b.Ar3〜900℃の温度での圧下率:
40% 所望の強度・靭性を確保するために、Ar3〜900℃
の範囲内の温度における累積圧下率は40%以上に限定
する。 c.冷却開始温度:(Ar3−50)℃以上の鋼板表面
温度 冷却開始温度がAr3を大きく下回ると、冷却の効果が
低下するので、冷却開始温度の下限は、鋼板表面温度で
(Ar3−50)℃以上に限定する。
【0025】d.冷却初期の冷却速度:鋼板平均冷却速
度で5〜10℃/秒、 冷却初期の冷却速度の上限は、表層の硬化を抑制する観
点から限定され、鋼板平均冷却速度で10℃/秒であ
る。一方、冷却初期の冷却速度の下限は、強度・靭製を
確保する観点から限定され、5℃/秒以上である。よっ
て、冷却初期の冷却速度は、5〜10℃/秒の範囲内に
限定する。
【0026】e.冷却速度変更温度:鋼板表面温度で
(Ar3−300)〜(Ar3−150)℃ 冷却速度を変更する温度の上限は、表層の硬化を抑制す
る観点から限定される。すなわち、(Ar3−150)
℃以上の温度で冷却速度を変更して冷却速度を高くする
とベイナイトの分率が増えて硬化してしまうため、上限
温度は(Ar3−150)℃である。一方、冷却速度を
変更する温度の下限は、強度の観点から限定される。す
なわち、(Ar3−300)℃以下の温度から冷却速度
を高くしても鋼板の強度増加が十分に得られないため、
下限温度は(Ar3−300)℃である。よって、冷却
速度変更温度は、鋼板表面温度で(Ar3−300)〜
(Ar3−150)℃の範囲内に限定する。
【0027】f.冷却後段の冷却速度:鋼板平均冷却速
度で12℃/秒以上 冷却後段の冷却速度は、速い方が好ましく、厚肉鋼板に
おいて板厚方向全体にその効果を行き渡らせるために
は、12℃/秒以上の鋼板平均冷却速度が必要である。
よって、冷却後段の冷却速度は鋼板平均冷却速度で12
℃/秒以上に限定する。
【0028】g.冷却停止温度:鋼板平均温度で500
〜650℃ 冷却停止温度は、冷却効果を発揮させるためには、65
0℃以下とする必要がある。一方、冷却停止温度が低く
なると、強度確保は容易になるけれども、表面の硬度も
上昇し、500℃未満の温度になると表面硬度が著しく
上昇する。図1に、(最終)冷却停止温度(℃)と、そ
して、表面と板厚中心部の硬度差(HV)との間の関係
を示す。●は初期冷却速度が鋼板表面の冷却速度で5〜
10℃/秒の場合、○は初期冷却速度が鋼板表面の冷却
速度で20℃/秒以上の場合をそれぞれ示す。
【0029】図1に示すように、(最終)冷却停止温度
に関しては、冷却初期の冷却速度が、鋼板表面の冷却速
度で5〜10℃/秒以外の場合には、(最終)冷却停止
温度を強度が確保できる範囲内で高くしても、表面を軟
化させる効果は小さい。さらに、冷却停止温度が500
℃未満になると、鋼板の面方向に歪や残留応力を生じる
ため好ましくない。よって、冷却停止温度は、鋼板平均
温度で500〜650℃の範囲内に限定する。以下に、
実施例によって、本発明の方法を詳細に説明し、その効
果を立証する。
【0030】
【実施例】供試鋼の化学成分を表1に示す(A〜E:本
発明鋼、F:比較鋼)。表1にはCeqおよびAr3温
度を併せて示している。比較鋼FはCeqが本発明範囲
外である。製造条件(圧延、冷却条件)を表2に示す。
表2に示した製造条件により得られた鋼板の特性(表面
と板厚中心部のビッカース硬度差、引張試験およびシャ
ルピー衝撃試験結果、鋼板内の面方向歪または残留応
力)を表3に示す(No.1〜13:本発明例、No.
14〜27:比較例)。
【0031】化学成分、製造条件のすべてが本発明の範
囲内である本発明例No.1〜13は、いずれも、表面と
板厚中心部の間の硬度差が25HV以下と小さく、かつ
500MPa級の強度(TS)を満足し、靭性(vTr
s)も良好で、また面方向の歪や残留応力もほとんど無
かった。
【0032】一方、比較例No.14および21は、冷
却初期の冷却速度が本発明の範囲を外れて高過ぎたこと
に起因して、表面と板厚中心部の間で著しい硬度差が生
じた。また、比較例No.16は冷却速度変更温度が本
発明の範囲を外れて高過ぎたことに起因して、表面と板
厚中心部の間で著しい硬度差が生じた。比較例No.2
6および27はCeqが本発明の範囲を外れて高い化学
成分の比較鋼Fを用いているため、表面と板厚中心部の
間で著しい硬度差が生じた。比較例No.18および2
5は、冷却停止温度が本発明の範囲を外れて低過ぎたこ
とに起因して、表面と板厚中心部の間で著しい硬度差が
生じるとともに、面方向の歪や残留応力が大きかった。
【0033】比較例No.15、17、19、20、2
2、23、24においては、表面と板厚中心部の間の硬
度差は、本発明例と同程度に小さいが、比較例No.1
9は、オーステナイト未再結晶温度域での圧下率が本発
明の範囲を外れて足りないことに起因して、強度と靭性
が劣っていた。比較例No.15は冷却停止温度が本発
明の範囲を外れて高過ぎたことに起因して、強度不足が
生じた。比較例No.17は冷却速度変更前の冷却速度
が本発明の範囲を外れて低かったため、強度不足が生じ
た。比較例No.20は冷却開始温度が本発明の範囲を
外れて低過ぎたことに起因して、強度不足が生じた。比
較例No.22と24は冷却速度を変更する温度が本発
明の範囲を外れて低過ぎたことに起因して、強度不足が
生じた。比較例No.23は冷却後段の冷却速度が本発
明の範囲を外れて低かったことに起因して、強度不足が
生じた。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の方法によ
ると、溶接部強度、溶接施工性、経済性を考慮した、C
eqが低く(0.30%以上0.36%以下)、かつ合
金の添加量が少ない鋼板においても、制御圧延と冷却方
法を制御した高冷却速度の冷却を行うことにより、板厚
方向材質差の小さい鋼板の製造を可能にすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、(最終)冷却停止温度(℃)と、そし
て、表面と板厚中心部の硬度差(HV)との間の関係を
示す図である。
【図2】図2は、化学成分を示す表1である。
【図3】図3は、製造条件を示す表2である。
【図4】図4は、鋼板の特性を示す表3である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K032 AA01 AA04 AA05 AA16 AA21 AA22 AA27 AA29 AA31 AA35 BA01 CA02 CB01 CB02 CC03 CD02 CD03 4K043 AA01 AB01 AB03 AB04 AB15 AB27 BA01 BA02 BA04 FA03

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記工程からなる、板厚方向材質差の小
    さい高張力鋼板の製造方法。 (1)重量%で、C:0.08〜0.18%、Si:
    0.05〜0.5%、Mn:0.8〜1.8%、Al:
    0.01〜0.1%を含有し、かつ炭素当量:0.30
    %≦Ceq≦0.36%であり、残部がFeおよび不可
    避的不純物からなる鋼を調製する工程と、(2)調製さ
    れた前記鋼を1050〜1200℃に加熱し、次いでA
    r3〜900℃での圧下率が40%以上となるように鋼
    板の熱間圧延を行う工程と、(3)熱間圧延された前記
    鋼板を、(Ar3−50)℃以上の鋼板表面温度域から
    (Ar3−300)〜(Ar3−150)℃の鋼板表面
    温度域まで、5℃/秒以上10℃/秒以下の鋼板平均冷
    却速度で冷却する工程と、(4)上記冷却工程に引き続
    いて、500〜650℃の鋼板平均温度域まで12℃/
    秒以上の鋼板平均冷却速度で冷却する工程。但し、炭素
    当量:Ceq=C%+Mn%/6+(Cu%+Ni%)
    /15+(Cr%+Mo%+V%)/5
  2. 【請求項2】 調製された前記鋼の成分として、重量%
    でさらに、Ti:0.005〜0.02%、Nb:0.
    005〜0.02%からなる群のうちの1種または2種
    を含有することを特徴とする、請求項1に記載の板厚方
    向材質差の小さい高張力鋼板の製造方法。
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KR100544721B1 (ko) * 2001-12-24 2006-01-24 주식회사 포스코 두께 변화에 따른 강도 차이가 작은 강재 및 그 제조방법
JP2007009293A (ja) * 2005-07-01 2007-01-18 Nippon Steel Corp 加工性に優れる薄鋼板およびその製造方法
JP2016074943A (ja) * 2014-10-06 2016-05-12 新日鐵住金株式会社 厚鋼板

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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