JP2000119746A - 板厚方向材質差の小さい高張力鋼板の製造方法 - Google Patents

板厚方向材質差の小さい高張力鋼板の製造方法

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JP2000119746A
JP2000119746A JP10292451A JP29245198A JP2000119746A JP 2000119746 A JP2000119746 A JP 2000119746A JP 10292451 A JP10292451 A JP 10292451A JP 29245198 A JP29245198 A JP 29245198A JP 2000119746 A JP2000119746 A JP 2000119746A
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Minoru Suwa
稔 諏訪
Shinichi Suzuki
伸一 鈴木
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 溶接構造用のTS50キロ級以上の低合金成
分系の鋼板において、特性向上のため高冷却速度の制御
冷却による製造を行うにあたり、板厚方向の材質が均一
になるような高張力鋼板の製造方法を提供する。 【解決手段】 C、Si、Mn、Al、Ni、Cr、M
o、Vの量を特定した鋼を調整する工程と、調製された
前記鋼を900〜1250℃の範囲内の温度で加熱し、
次いで、(Ar3−50)℃以上の鋼板表面温度で鋼板
の熱間圧延を終了する工程と、熱間圧延された前記鋼板
を、(Ar3−50)℃以上の鋼板表面温度域から(A
r3−300)〜(Ar3−150)℃の間の鋼板表面
温度域まで、20℃/秒以上50℃/秒以下の、鋼板表面
の冷却速度で冷却する工程と、上記冷却工程に引き続い
て、500〜650℃の鋼板平均温度域まで、12℃/秒
以上の、鋼板平均の冷却速度で前記鋼板を冷却する工程
を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶接構造用厚鋼
板、特に板厚方向材質差の小さい高張力鋼板の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、厚鋼板の強度、靭性等の特性
を高め、添加する合金元素量を削減し、または、熱処理
工程を省略するために、制御圧延と制御冷却を組み合わ
せたTMCP技術が使用されている。しかし、制御冷却
時に、その効果を最大限に活用しようとして、冷却速度
を高くすると、圧延まま材および焼きならし材に比べ
て、板厚方向において材質の不均一を生じてしまうとい
う問題がある。すなわち、冷却速度が高くなるにしたが
い、板厚中心部の冷却速度に比較して、表面近傍の冷却
速度が著しく高くなり、板厚中心部に比べて鋼板の表面
の強度が著しく上昇したり、延性が低下したりする。そ
の結果、板厚方向において材質に差を生じる。
【0003】この現象は板厚が厚くなるほど顕著に現わ
れるため、圧延を施すだけでは強度を上昇させることが
難しい厚肉材に対して、高冷却速度の制御冷却を適用し
て強度を上昇させることは難しいという問題を生じる。
例えば、特開平4−224623号公報では、厚物材に
制御冷却を適用するにあたり、3〜12℃/sという比
較的低冷却速度域に冷却速度を制御することにより、板
厚中心部の硬度上昇に比して表面の硬度上昇が著しく高
くならないように抑制する技術が開示されている(以
下、「先行技術1」という)。しかし、この技術は、冷
却速度を制限するので、制御冷却の効果を十分に活用す
ることができない。すなわち高冷却速度による合金元素
量の削減、制御圧延の簡略化等の恩恵を十分享受するこ
とができない。
【0004】また、特開昭57−152430号公報に
は、冷却温度域を2段階に分割し、前段冷却を後段冷却
より低く(弱冷)し、後投冷却は前段冷却より高く(強
冷)することにより、一定冷速で冷却した場合に比べ
て、板厚方向における硬度分布が少なくなることが開示
されている(以下、「先行技術2」という)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ここで、特開昭57−
152430号公報に開示された先行技術2は、鋼板中
心温度が500〜450℃以下になるまで冷却すること
を想定しており、C含有量が0.08%未満またはCe
qが0.30%未満の鋼板の製造方法としては十分な技
術である。すなわち、C含有量またはCeqが低けれ
ば、冷却停止温度を低目にすれば、圧延条件、冷却条件
の他の制御因子を考慮しなくても、所定の強度は比較的
確保し易い。
【0006】ところが、溶接熱影響部の強度を考慮する
と、Ceqが0.30%未満では大型構造物用のTS5
0キロ級以上の素材として要求される強度を確保するこ
とが難しい。また、C含有量が低くても、Mn等の他の
元素の含有量を高めることによりCeqを0.30%以
上にすることができるけれども、このことは原料コスト
の著しい上昇を招くため好ましくない。さらに、先行技
術2おいては、鋼板中心温度が500〜450℃以下に
なるまで冷却すると、板厚方向の材質差は小さくなるけ
れども、面方向(長さ方向および幅方向)の材質差が大
きくなる傾向があり、面方向に歪や残留応力を生じ、冷
却後の矯正負荷が大きくなったり、切断後に反りを生じ
たりして、生産性を著しく阻害するという問題点があ
る。
【0007】従って、本発明の目的は、溶接構造部材用
として溶接部の強度も満足し(Ceq≧0.30%)、
かつ合金元素の使用を抑えて(C≧0.08%かつCe
q≦0.44%)安価で、高生産性(歪、残留応力な
し)を有する鋼板に対する高冷却速度の制御冷却適用時
の板厚方向材質均一化技術、すなわち、溶接構造用のT
S50キロ級以上の低合金成分系の鋼板において、特性
向上のため高冷却速度の制御冷却による製造を行うにあ
たり、板厚方向の材質が均一になるような高張力鋼板の
製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手投】前記課題を解決し目的を
達成するために、本発明は以下に示す手段を用いてい
る。本発明の方法は、下記工程からなる、板厚方向材質
差の小さい高張力鋼板の製造方法である。 (1)重量%で、C:0.08〜0.2%と、Si:
0.05〜0.6%と、Mn:0.8〜1.8%と、A
l:0.002〜0.1%とを含有し、かつ炭素当量:
0.30%≦Ceq≦0.44%およびPcm≦0.2
8%であり、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼
を調製する工程と、(2)このように調製した鋼を90
0〜1250℃に加熱し、次いで鋼板表面温度が(Ar
3−50)℃以上で熱間圧延を終了する工程と、(3)
熱間圧延された前記鋼板を(Ar3−50)℃以上の鋼
板表面温度域から(Ar3−300)〜(Ar3−15
0)℃の鋼板表面温度域まで、鋼板表面の冷却速度が20
℃/秒以上50℃/秒以下で冷却する工程と、(4)上
記冷却工程に引き続いて、500〜650℃の鋼板平均
温度域まで、鋼板平均の冷却速度が12℃/秒以上となる
冷却速度で冷却する工程。但し、炭素当量:Ceq=C
%+Mn%/6+Si%/24+Ni%/40+Cr%
/5+Mo%/4+V%/14、Pcm=C%+Si%
/30+Mn%/20+Cu%/20+Ni%/60+
Cr%/20+Mo%/15+V%/10
【0009】更に、本発明の方法は、調製された前記鋼
の成分として、重量%でさらに、Cu:0.4%以下、
Ni:0.4%以下、Cr:0.2%以下、Mo:0.
2%以下、Nb:0.05%以下、V:0.1%以下、
Ti:0.02%以下からなる群から選択された1種ま
たは2種以上を含有することを特徴とする、板厚方向材
質差の小さい高張力鋼板の製造方法である。なお、本発
明においては特にことわりのない限り、温度は鋼板板厚
方向の平均
【0010】
【発明の実施の形態】本発明者は、上記の課題を解決す
べく、鋼板の表層部において、冷却中に生成するベイナ
イト相の分率が高くならず、かつ生成したベイナイト相
の硬度を低く抑える冷却条件を調査した。その結果、冷
却の初期における鋼板表層の冷却速度を、冷却後段にお
ける冷却速度に比べて低く(遅く)することにより、ベ
イナイトの生成を抑制することができると共に、鋼板平
均の冷却停止温度を、冷却中に生成したベイナイトを軟
化させることができる温度に制御することにより、比較
的高C(≧0.08)含有で高Ceqの鋼材においても
鋼板表層部と中心部の硬度差を小さくすることができる
ことを知見した。
【0011】更に、強度・靭性等の特性を向上する観点
からは、冷却後段および冷却初期のいずれにおいても冷
却速度をあまり低くすることはできず、また鋼板平均の
冷却停止温度もあまり高くすることができないことを知
見した。以上の知見に基づき、本発明者らは、溶接構造
用として一般的に用いられる厚鋼板の成分範囲におい
て、熱間圧延条件、および冷却条件を一定範囲内に制御
することによって、板厚方向材質差の小さい高張力鋼板
を製造することができることを見出し、本発明の方法を
完成させた。すなわち、本発明の方法に従って、鋼組成
および製造条件を下記範囲に限定することにより、特性
を向上するための高冷却速度の制御冷却を用いて、溶接
構造用厚鋼板用の、板厚方向の材質が均一になるような
高張力鋼板を製造することができる。
【0012】以下に本発明の方法における成分添加理
由、成分限定理由、および製造条件の限定理由について
説明する。 (1)鋼の成分組成
【0013】C:0.08〜0.2% Cは、鋼の強度を確保する元素である。Cが0.08%
未満の場合は、鋼の強度の確保が困難となる。Cが多量
の場合は、一般に鋼の靭性や溶接性を低下させるが、
0.2%を越えると溶接部の硬度が著しく上昇し溶接低
温割れ感受性を高くし、また高冷却速度の制御冷却時に
表面硬度の著しい上昇を招く。従って、C量は0.08
〜0.2%の範囲内に限定する。
【0014】Si:0.05〜0.6% Siは、母材の強度維持・予備脱酸のために添加する。
Siが0.05%未満では所望の効果を発揮することが
できない。一方、Siが0.6%を超えると溶接性の観
点から望ましくない。従って、Si量は0.05〜0.
6%の範囲内に限定する。
【0015】Mn:0.8〜1.8% Mnは、FeSの生成抑制ならびに鋼板の強度・靭性向
上の機能を有している。Mnが0.8%未満では所望の
効果を得ることができない。しかし、1.8%を超えた
多量の添加は、鋼の焼き入れ性の増加をもたらし、溶接
硬化層の出現により割れ感受性が高くなり、さらに、高
冷却速度の制御冷却時に表面硬度の著しい上昇を招く。
従って、Mn量は0.8〜1.8%の範囲内に限定す
る。
【0016】Al:0.002〜0.1% Alは、脱酸のために添加する。Alが0.002%未
満では、所望の効果が発揮されない。一方、0.1%を
超えて多量に添加するとアルミナクラスタが形成され易
くなる。従って、Al量は0.002〜0.1%の範囲
内に限定する。
【0017】炭素当量:0.30%≦Ceq≦0.44
%、Pcm≦0.28%、但し、炭素当量:Ceq=C
%+Mn%/6+Si%/24+Ni%/40+Cr%
/5+Mo%/4+V%/14、Pcm=C%+Si%
/30+Mn%/20+Cu%/20+Ni%/60+
Cr%/20+Mo%/15+V%/10 すなわち、上述した鋼の化学成分の範囲限定に加えて、
HAZの強度、溶接性向上、経済性、および高冷却速度
の制御冷却時の表面硬化抑制の観点から、Ceqを0.
30%以上0.44%以下、および、Pcmを0.28
%以下にそれぞれ限定する。
【0018】本発明では、上記化学成分以外に、Cu、
Ni、Cr、Mo、Nb、V、Tiからなる群から選択
した1種または2種を添加することができる。 Cu:0.4%以下 Cuは、強度上昇に有効な元素である。しかし、多量の
添加は鋼板の表面割れを引き起こすので、Cuの上限を
0.4%に限定する。
【0019】Ni:0.4%以下 Niは、強度と靭性向上、およびCu添加に起因する鋼
板表面の割れ防止に有効である。しかし、高価であるた
め、特性向上効果と経済性のバランスの観点から、Ni
の上限を0.4%に限定する。
【0020】Cr:0.2%以下 Crは、強度確保のために添加する場合がある。しか
し、多量の添加は靭性を劣化させるので、Crの上限を
0.2%に限定する。
【0021】Mo:0.2%以下 Moは、強度確保のために添加する場合がある。しか
し、多量の添加は靭性を劣化させるので、Moの上限を
0.2%に限定する。
【0022】Nb:0.05%以下 Nbは、オーステナイト域での再結晶を抑制し未再結晶
温度域を拡大することにより、制御圧延による強度と靭
性向上に有効であるため添加する場合がある。しかし、
多量の添加は島状マルテンサイトの生成を促し、溶接性
を著しく劣化させるので、Nbの上限を0.05%に限
定する。
【0023】V:0.1%以下 Vは、強度確保のために添加する場合がある。しかし、
多量の添加は靭性を劣化させるので、Vの上限を0.1
%に限定する。 Ti:0.02%以下 Tiは、溶接加熱時のTiN析出によるオーステナイト
粒の粗大化防止に効果があり、大入熱溶接時のHAZ
(溶接熱影響部)靭性の向上をもたらす。しかし、多量
の添加はTiCの過剰な生成による靭性の劣化や、さら
に大入熱溶接時のHAZ靭性の劣化を招くので、Tiの
上限を0.02%に限定する。
【0024】鋼を上記の成分組成範囲に調整し、さらに
以下に述べる、本発明の方法の特性向上のための高冷却
速度の制御冷却を用いて、溶接構造用厚鋼板用の、板厚
方向材質差の小さい高張力鋼板を得ることができる。以
下に、この発明の製造方法を説明する。
【0025】(2)鋼板製造方法 (製造方法)上記の成分組成範囲内に調整した鋼を溶製
し、連続鋳造で得られた鋼スラブを900〜1250℃
の温度に加熱し、次いで(Ar3−50)℃以上の鋼板
表面温度で熱間圧延を終了する。引き続き、(Ar3−
50)℃以上の鋼板表面温度域から(Ar3−300)
〜(Ar3−150)℃の鋼板表面温度域まで、20〜
50℃/秒の、鋼板表面の冷却速度で鋼板を冷却した
後、引き続いて、500〜650℃の鋼板平均温度域ま
で、12℃/秒以上の、鋼板平均の冷却速度で鋼板を冷
却する。
【0026】a.スラブ加熱温度:900〜1250℃ まず、スラブ加熱温度に関して、オーステナイト結晶粒
の粗大化を抑制するためには、加熱温度を1250℃以
下にする必要がある。一方、能率向上の観点からは、加
熱温度は高い方が好ましく、またNbを添加した場合
に、所望の効果を発揮させるためには、Nbを固溶させ
る必要があるために、加熱温度の下限は900℃であ
る。よって、スラブ加熱温度は900〜1250℃の範
囲内に限定する。
【0027】b.圧延終了温度および冷却開始温度:鋼
板表面温度で(Ar3−50)℃以上 冷却開始温度がAr3を大きく下回ると冷却の効果が低
下するので、冷却開始温度の下限は、鋼板表面温度で
(Ar3−50)℃である。したがって、圧延終了温度
の下限も鋼板表面温度で(Ar3−50)℃である。
【0028】c.冷却初期の冷却速度:鋼板表面冷却速
度で20〜50℃/秒 冷却初期の冷却速度の上限は、表層部の硬化を抑制する
観点から限定され、鋼板表面冷却速度で50℃/秒であ
る。一方、冷却速度の下限は、強度・靭性を確保する観
点から限定され、20℃/秒以上である。よって、冷却
初期の冷却速度は、20〜50℃/秒の範囲内に限定す
る。
【0029】d.冷却速度変更温度:鋼板表面温度で
(Ar3−300)〜(Ar3−150)℃ 冷却速度を変更する温度の上限は、表層部の硬化を抑制
する観点から限定される。(Ar3−150)℃以上の
温度で冷却速度を変更して冷却速度を高くするとベイナ
イトの分率が増えて硬化してしまうため、冷却速度変更
温度の上限は(Ar3−150)℃である。一方、その
下限は、強度の観点から限定される。(Ar3−30
0)℃以下の温度から冷却速度を高くしても鋼板の強度
増加が十分に得られないため、冷却速度変更温度の下限
は(Ar3−300)℃である。よって、冷却速度変更
温度は、鋼板表面温度で(Ar3−300)〜(Ar3
−150)℃の範囲内に限定する。
【0030】e.冷却後段の冷却速度:鋼板平均冷却速
度で12℃/秒以上 冷却後段の冷却速度は、速い方が好ましく、厚肉鋼板に
おいて板厚方向全体にその効果を行き渡らせるために
は、12℃/秒以上の鋼板平均冷却速度が必要である。
よって、冷却後段の冷却速度は鋼板平均冷却速度で12
℃/秒以上に限定する。
【0031】f.冷却停止温度:鋼板平均温度で500
〜650℃ 冷却停止温度は、冷却効果を発揮させるためには、65
0℃以下にする必要がある。一方、冷却停止温度が低く
なると、強度確保は容易になるけれども、表面の硬度も
上昇し、特に、500℃未満になると表面硬度が著しく
上昇する。図1に、(最終)冷却停止温度(℃)と、そ
して、表面と板厚中心部の硬度差(HV)との間の関係
を示す。●は初期冷却速度が鋼板表面の冷却速度で20
〜50℃/秒の場合、○は初期冷却速度が鋼板表面の冷
却速度で60℃/秒以上の場合をそれぞれ示す。
【0032】すなわち、冷却初期の冷却速度を鋼板表面
の冷却速度で20〜50℃/秒と比較的緩冷却とした場
合と最終冷却停止温度の、表面と板厚中心部の硬度差に
及ぼす影響を示す。ここで、図1に示すように、(最
終)冷却停止温度に関しては、冷却初期の冷却速度が、
鋼板表面の冷却速度で20〜50℃/秒以外の場合には
(最終)冷却停止温度を強度が確保できる範囲内で高く
しても、表面を軟化させる効果は小さい。さらに、冷却
停止温度が500℃未満になると、鋼板の面方向に歪や
残留応力を生じるため好ましくないことがわかる。よっ
て、(最終)冷却停止温度は、鋼板平均温度で500〜
650℃内に限定する。以下に、実施例によって、本発
明の方法を詳細に説明し、その効果を立証する。
【0033】
【実施例】供試鋼の化学成分を表1に示す(A〜E:本
発明鋼、F:比較鋼)。表1にはCeq、Pcmおよび
Ar3温度を併せて示している。比較鋼FはCeqが本
発明範囲外である。
【0034】製造条件(圧延、冷却条件)を表2に示
す。表2に示した製造条件により得られた鋼板の特性
(表面と板厚中心部のビッカース硬度差、引張試験およ
びシャルピー衝撃試験結果、鋼板内の面方向歪または残
留応力)を表3に示す(No.1〜12:本発明例、N
o.13〜26:比較例)。
【0035】化学成分、製造条件のすべてが本発明の範
囲内である本発明例No.1〜12は、いずれも、表面
と板厚中心部の間の硬度差が20HV以下と小さく、か
つ500MPa級以上の強度(TS)を満足し、靭性
(vTrs)も良好で、また面方向の歪や残留応力もほ
とんど無かった。
【0036】一方、比較例No.13、20と24は、
冷却初期の冷却速度が本発明の範囲を外れて高過ぎたこ
とに起因して、表面と板厚中心部の間で著しい硬度差が
生じた。また、比較例No.15と23は冷却速度変更
温度が本発明の範囲を外れて高過ぎたことに起因して、
表面と板厚中心部の間で著しい硬度差が生じた。比較例
No.25と26はCeqが本発明の範囲を外れて高い
化学成分の比較鋼Fを用いていることに起因して、表面
と板厚中心部の間で著しい硬度差が生じた。比較例N
o.19と21は、冷却停止温度が本発明の範囲を外れ
て低過ぎたことに起因して、表面と板厚中心部の間で著
しい硬度差が生じるとともに、面方向の歪や残留応力が
大きいかった。
【0037】比較例No.14、16、17、18、2
2においては、表面と板厚中心部の間の硬度差は、上述
した本発明例と同程度に小さいが、比較例No.14
は、冷却開始温度が本発明の範囲を外れて低いことに起
因して、強度が劣っていた。比較例No.16は冷却速
度変更温度が本発明の範囲を外れて低過ぎたことに起因
して、強度不足が生じた。比較例No.17は冷却後段
の冷却速度が本発明の範囲を外れて低かったことに起因
して、強度不足が生じた。比較例No.18は冷却停止
温度が本発明の範囲を外れて高過ぎたことに起因して、
強度不足が生じた。比較例No.22は冷却速度変更前
の冷却速度が本発明の範囲を外れて低かったことに起因
して、強度不足が生じた。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の方法によ
ると、溶接部強度、溶接施工性、経済性を考慮した、C
eqおよびPcmが低く(0.30%≦Ceq≦0.4
4%、Pcm≦0.28%)、かつ合金の添加量が少な
い鋼板においても、制御圧延と冷却方法を制御した高冷
却速度の冷却を行うことにより、板厚方向材質差の小さ
い鋼板の製造を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、(最終)冷却停止温度(℃)と、そし
て、表面と板厚中心部の硬度差(HV)との間の関係を
示す図である。
【図2】図2は、化学成分を示す表1である。
【図3】図3は、製造条件を示す表2である。
【図4】図4は、鋼板の特性を示す表3である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K032 AA01 AA04 AA05 AA11 AA14 AA16 AA19 AA21 AA22 AA23 AA27 AA29 AA31 AA35 AA36 BA01 CA01 CA02 CA03 CC03 CD03

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記工程からなる、板厚方向材質差の小
    さい高張力鋼板の製造方法。 (1)重量%で、C:0.08〜0.2%、Si:0.
    05〜0.6%、Mn:0.8〜1.8%、Al:0.
    002〜0.1%を含有し、かつ炭素当量:0.30%
    ≦Ceq≦0.44%およびPcm≦0.28%であ
    り、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を調製
    する工程と、(2)調製された前記鋼を900〜125
    0℃の範囲内の温度で加熱し、次いで、(Ar3−5
    0)℃以上の鋼板表面温度で鋼板の熱間圧延を終了する
    工程と、(3)熱間圧延された前記鋼板を、(Ar3−
    50)℃以上の鋼板表面温度域から(Ar3−300)
    〜(Ar3−150)℃の間の鋼板表面温度域まで、2
    0℃/秒以上50℃/秒以下の、鋼板表面の冷却速度で
    冷却する工程と(4)上記冷却工程に引き続いて、50
    0〜650℃の鋼板平均温度域まで、12℃/秒以上
    の、鋼板平均の冷却速度で前記鋼板を冷却する工程。但
    し、炭素当量:Ceq=C%+Mn%/6+Si%/2
    4+Ni%/40+Cr%/5+Mo%/4+V%/1
    4、 Pcm=C%+Si%/30+Mn%/20+Cu%/
    20+Ni%/60+Cr%/20+Mo%/15+V
    %/10
  2. 【請求項2】 調製された前記鋼の成分として、重量%
    でさらに、Cu:0.4%以下、Ni:0.4%以下、
    Cr:0.2%以下、Mo:0.2%以下、Nb:0.
    05%以下、V:0.1%以下、Ti:0.02%以下
    からなる群から選択された1種または2種以上を含有す
    ることを特徴とする、請求項1に記載の板厚方向材質差
    の小さい高張力鋼板の製造方法。
JP10292451A 1998-10-14 1998-10-14 板厚方向材質差の小さい高張力鋼板の製造方法 Pending JP2000119746A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002220622A (ja) * 2001-01-25 2002-08-09 Nkk Corp 高い降伏点を有する高張力鋼材の製造方法
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CN104988408A (zh) * 2015-04-23 2015-10-21 本钢板材股份有限公司 一种380l汽车大梁用黑皮钢及其生产方法

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