JP2000119433A - 有機多孔体 - Google Patents

有機多孔体

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリカ系材料からなる多孔体と同程度の断熱
性を有し、かつ脆さが改善された有機多孔体を提供する
こと。 【解決手段】 10〜300nmの粒径を有する有機ゲ
ル微粒子が集合してなる有機多孔体であって、互いに隣
接する前記微粒子の間に微粒子間架橋を形成している有
機多孔体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、断熱材等に用いら
れる有機多孔体とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば冷蔵庫の断熱材に用いる多
孔体として、有機ポリマーであるウレタン等の発泡体が
用いられてきた。この有機ポリマーは柔軟性に優れるも
のの、充分な断熱性を有しないという問題があり、さら
に断熱性に優れるシリカ系材料を主流とした無機系の多
孔体が生産されている。このシリカ系材料からなる多孔
体は、エアロゲルからドライゲルを得ることにより製造
でき、50nm程度の孔径をもつ空孔を有している。そ
して、前記空孔により形成される空隙の距離が酸素およ
び窒素の平均自由行程よりも短いため、気体の熱伝導が
抑えられ、常圧下でもウレタンフォームに比べて優れた
断熱性能を示す。しかし、エアロゲルを形成するシリカ
は、堅くて脆く、扱いが容易でないという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、シリカ系材料からなる多孔体と同程度の断熱性を有
し、かつ脆さが改善された有機多孔体を提供することで
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、10〜300
nmの粒径を有する有機ゲル微粒子が集合してなる有機
多孔体であって、互いに隣接する前記微粒子の間に微粒
子間架橋を形成している有機多孔体に関する。前記有機
多孔体の空孔の孔径は5〜100nmであるのが好まし
い。また、前記有機ゲル微粒子の密度が0.05〜0.3
g/cm3であるのが好ましい。さらに、前記有機ゲル微
粒子内の微粒子内架橋が、前記微粒子間架橋と異なる分
子結合構造を有するのが好ましい。さらにまた、前記有
機ゲル微粒子がアクリル系重合体またはビニル系重合体
からなり、前記微粒子間架橋の分子構造が、ウレタン結
合、アミド結合、オキサゾリドン結合、シロキサン結
合、エステル結合またはアセタール結合のいずれかであ
るのが好ましい。
【0005】本発明は、また、有機多孔体の製造方法に
おいて、(a)架橋性官能基を表面に有する有機ゲル微
粒子を溶媒によって膨潤させ、(b)前記溶媒中におい
て前記微粒子表面の架橋性官能基を反応させ、前記微粒
子と隣接する微粒子との間に微粒子間架橋を形成するこ
とによって、有機ゲル微粒子の集合体をえ、ついで
(c)前記集合体を乾燥させて前記溶媒を除去すること
を含む有機多孔体の製造方法にも関する。この場合、工
程(a)の後、工程(b)において架橋性官能基を反応
させる前に、架橋剤を混合するのが好ましい。また、工
程(a)の後、工程(b)において架橋性官能基を反応
させる前に、架橋触媒を混合するのが好ましい。さら
に、工程(c)における乾燥を、超臨界乾燥法によって
行うのが好ましい。
【0006】本発明は、さらに、有機多孔体の製造方法
において、(i)架橋性官能基を表面に有する有機ゲル
微粒子を溶媒によって膨潤させ、(ii)膨潤した前記有
機ゲル微粒子を超臨界乾燥により乾燥させ、ついで(ii
i)前記有機ゲル微粒子中の架橋官能基を反応させ、前
記微粒子と隣接する微粒子との間に微粒子間架橋を形成
することによって、有機ゲル微粒子の集合体を得ること
を含む有機多孔体の製造方法にも関する。この場合にお
いても、工程(ii)の後、工程(iii)において架橋性
官能基を反応させる前に、架橋剤を混合するのが好まし
い。また、工程(ii)の後、工程(iii)において架橋
性官能基を反応させる前に、架橋触媒を混合するのが好
ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の有機多孔体の理解を容易
にするため、図1から図3を参照して説明する。図1
は、本発明の有機多孔体の構造を概念的に表した模式図
である。図1中、1は有機多孔体、2は有機ゲル微粒
子、3は架橋性官能基、4は微粒子間架橋を示す。ま
た、図2は、図1における有機ゲル微粒子2の構造を概
念的に表した模式図である。図2中、5は微粒子内架
橋、6は高分子鎖を示す。図1に示すように、本発明の
有機多孔体1は、有機ゲル微粒子2の密な集合体であっ
て、その有機ゲル微粒子2が互いに接する部分におい
て、架橋性官能基3が架橋し、微粒子間架橋4を形成し
ている。また、有機ゲル微粒子2は乾燥ゲルであり、そ
の内部においては高分子鎖6が微粒子内架橋5をしてい
る。また、有機ゲル微粒子2が集合してなる本発明の有
機多孔体1は、空孔を有している。さらに前記有機ゲル
微粒子2が密に集合しているので、有機多孔体1中に形
成される最も大きな空隙の距離は、有機ゲル微粒子2同
士が形成する隙間に相当する100nmよりも短くなる
と考えられる。
【0008】このように、本発明の有機多孔体において
は空隙の距離が短いために、気体成分の熱伝導に対する
寄与が小さくなり、優れた断熱性を示す。また、有機ゲ
ル微粒子2は、互いに接する部分において微粒子間架橋
4により結合しているため、有機ゲル微粒子間の固体熱
伝導は小さくなり、得られる有機多孔体は断熱性が高い
ものとなる。
【0009】まず、本発明の有機多孔体を構成する有機
ゲル微粒子について説明する。本発明における有機ゲル
微粒子は、材料入手の容易さから、例えばアクリル酸エ
ステル、メタクリル酸エステル等のアクリル系モノマ
ー、塩化ビニル、ビニルアルコール、酢酸ビニル、スチ
レン等のビニル系モノマーの重合体などからなるのが好
ましい。そして、前記有機ゲル微粒子は、従来からの乳
化重合法よって製造することができる。ここで、本発明
の有機多孔体においては、微粒子間架橋を形成させるた
めに、前記重合体に架橋性官能基をもたせる必要があ
る。そこで、有機ゲル微粒子を製造する際に、原料モノ
マーの少なくとも一部に架橋性官能基を有するモノマー
を用いる。
【0010】このような架橋性官能基としては、例えば
水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アルコキシシリ
ル基などがあげられる。したがって、微粒子間架橋の結
合の種類としては、ウレタン結合、アミド結合、オキサ
ゾリドン結合、シロキサン結合、エステル結合またはア
セタール結合などがあげられる。なかでも、低温でも反
応が比較的速く進行するという点から、ウレタン結合、
オキサゾリドン結合、シロキサン結合、または2つのメ
チロール基から形成されるエーテル結合であるのが好ま
しい。また、これらの結合の種類は、架橋性官能基含有
モノマー、架橋剤の種類を適宜選択することにより、選
択することができる。
【0011】架橋性官能基含有モノマーとしては、例え
ばメタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒ
ドロキシプロピル、メタクリル酸2−メトキシエチル、
メタクリル酸2−エトキシエチル、こはく酸2−メタク
リロイルオキシエチル、マレイン酸2−メタクリロイル
オキシエチル、フタル酸2−メタクリロイルオキシエチ
ル、ヘキサヒドロフタル酸2−メタクリロイルオキシエ
チル、メタクリル酸グリシジル、ビニルトリメトキシシ
ラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメ
トキシエトキシ)シラン、アリルアミンなどがあげられ
る。これらのなかでも、架橋反応の進行の容易性という
点から、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキ
シシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラ
ン、メタクリル酸グリシジルを用いるのが好ましい。な
お、乳化重合法によって前記有機ゲル微粒子を得る場
合、前記架橋性官能基含有モノマーが乳化剤として働く
場合もある。
【0012】微粒子内架橋を形成するためには、原料モ
ノマーの一部に架橋性モノマーを用いればよい。
【0013】このような架橋性モノマーとしては、例え
ばエチレンジメタクリレート、ジビニルベンゼン、アル
キレングリコールジメタクリレート、N,N’-メチレ
ンビスアクリルアミド、アジピン酸ジビニルなどがあげ
られる。なかでも、架橋する材料と反応性が同じ程度で
あることが好ましいため、例えばアクリル酸エステルの
架橋にはエチレンジメタクリレートを用いるのが好まし
く、ビニル化合物の架橋にはジビニルベンゼンなどを用
いるのが好ましい。
【0014】また、前記有機ゲル微粒子中の高分子鎖間
の微粒子内架橋と、前記有機ゲル微粒子間に形成される
微粒子間架橋は、異なる分子結合構造をとることが好ま
しい。その理由は以下のとおりである。すなわち、有機
ゲル微粒子は、主として水中で、原料モノマーを乳化剤
と共に用いて分散させた状態で重合して得られ、その際
ゲル化に必要な微粒子内架橋を形成させる。しかし、こ
の時微粒子間架橋がゲル微粒子間架橋と同じ反応により
形成されるものであれば、微粒子内架橋の進行ととも
に、微粒子間架橋を形成すべき架橋性官能基も微粒子内
架橋形成に消費され、結果的に得られる有機ゲル微粒子
間に架橋を形成することができなくなるからである。
【0015】前記微粒子内架橋の種類としては、例えば
不飽和結合を有する不飽和結合化合物の付加重合により
形成される炭素−炭素結合、エポキシの重合によるエー
テル結合、メチロール基の縮合によるエーテル結合など
があげられる。微粒子間架橋と微粒子内架橋との組合せ
としては、以下のものがあげられる。 (1)微粒子間架橋:架橋性官能基の水酸基と架橋剤の
ジイソシアネートとによるウレタン結合 微粒子内架橋:不飽和結合の付加重合 利点又は効果:有機ゲル微粒子への架橋性官能基の導入
が容易で、有機ゲル微粒子間の架橋反応も速い。 (2)微粒子間架橋:エポキシの縮合 微粒子内架橋:不飽和結合の付加重合 利点又は効果:有機ゲル微粒子間の反応が速い。
【0016】このような構成をとる本発明の有機ゲル微
粒子の密度は、0.05〜0.3g/cm3であることが好
ましい。この程度の低い密度の有機ゲル微粒子を用いる
ことにより、得られる有機多孔体の密度も低くなり、固
体の熱伝導の寄与が小さくなるため、高い断熱性が得ら
れるからである。また、有機ゲル微粒子の密度が、0.
3g/cm3より大きければ、固体熱伝導の寄与が大きく
なって断熱性が低下し、0.05g/cm3より小さけれ
ば充分な強度が得られないために収縮が起こり、有機ゲ
ル微粒子自体を乾燥させて本発明の有機多孔体を得るこ
とが難しいからである。さらには、熱伝導率とゲル微粒
子の強度のバランスから、最も熱伝導率の低い有機多孔
体が安定して得られるという点から、0.1〜0.2g
/cm3であるのが特に好ましい。
【0017】また、得られた本発明の有機多孔体におけ
る前記有機ゲル微粒子の粒径は、小さいものを作製する
のが困難であり、大きいとゲル微粒子間の空隙が大きく
なり熱伝導率が低下するという点から、10〜300n
mであればよく、さらに、充分に空隙を小さくして熱伝
導率を下げるという点から、10〜50nmであるのが
好ましい。また、本発明の有機多孔体の有する空孔の孔
径としては、実際に、常圧または僅かな減圧下で熱伝導
率が低くなるという点から、5〜100nmであればよ
く、さらに、常圧でも5割程度の充分な熱伝導率の低下
が期待できるという点から、5〜30nmであるのが好
ましい。
【0018】次に本発明の有機多孔体の製造方法につい
て説明する。本発明の有機多孔体の第一の製造方法は、
(a)架橋性官能基を表面に有する有機ゲル微粒子を溶
媒によって膨潤させ、(b)前記溶媒中において前記微
粒子表面の架橋性官能基を反応させ、前記微粒子と隣接
する微粒子との間に微粒子間架橋を形成することによっ
て、有機ゲル微粒子の集合体をえ、ついで(c)前記集
合体を乾燥させて前記溶媒を除去することを含む製造方
法である。
【0019】まず、工程(a)において、前述した架橋
性官能基を表面に有する有機ゲル微粒子を溶媒によって
膨潤させる。このときに用いる溶媒としては、有機ゲル
微粒子表面上の架橋性官能基が失われないように、前記
の架橋性官能基と反応しないものを用いる必要がある。
また、前記微粒子を架橋させるために用いる後述の架橋
剤の損失を避けるために、架橋剤と反応しない溶媒であ
ることも必要である。架橋剤に含まれる官能基として
は、例えば水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アル
コキシシリル基、アミノ基、イソシアネート基等があげ
られる。例えば架橋剤にカルボキシル基が含まれる場
合、溶媒としてエポキシ化合物、アルコール、アミン等
を用いるべきではない。また、イソシアネート基が含ま
れる場合は、水、アルコール、カルボン酸、エポキシ化
合物、アミンを溶媒として用いるべきではない。
【0020】また、有機ゲル微粒子を膨潤させる際に用
いる溶媒の使用量としては、有機ゲル微粒子を完全に浸
すことが可能な量であればよい。
【0021】ついで、工程(b)において、前記溶媒中
において前記微粒子表面の架橋性官能基を反応させ、前
記微粒子と隣接する微粒子との間に微粒子間架橋を形成
する。これによって、有機ゲル微粒子の集合体を得るの
である。本発明の工程(b)において、前記微粒子表面
の架橋性官能基を反応させる方法としては、以下に示す
工程(b−1)および工程(b−2)の2種類の方法が
考えられる。工程(b−1)は、架橋剤を添加して微粒
子間に架橋を形成させる方法である。図3に、架橋剤に
より有機ゲル微粒子を架橋させる様子を概念的に示す模
式図を表す。図3に示すように、架橋剤7を用いて微粒
子間架橋4を形成する。工程(b−2)は、図3におい
て、架橋剤7を用いずに、有機ゲル微粒子2の有する架
橋性官能基3を直接反応させて微粒子間架橋を形成す
る。架橋剤7を用いる工程(b−1)のほうが、有機ゲ
ル微粒子合成時の条件に関係なく、架橋剤としてイソシ
アネート基などのより活性の高い官能基を用いることが
可能であり、微粒子間架橋の形成が容易になるため好ま
しい。
【0022】まず、工程(b−1)について説明する。
図3に示すように、有機ゲル微粒子2の表面にある架橋
性官能基3と架橋剤7とを反応させて微粒子間架橋4を
形成させてゆく。このときに用いる架橋剤7としては、
2つの架橋性官能基3と反応して結合を形成する必要が
あるために、架橋性官能基3と反応して結合可能な少な
くとも2つの官能基を有するものである必要がある。こ
こで、一例として、有機ゲル微粒子のもつ架橋性官能基
3が水酸基で、架橋剤7がジカルボン酸である場合を考
える。この場合、架橋剤7は、両端で架橋性官能基3と
エステル結合を形成して微粒子間架橋4を形成する。
【0023】有機ゲル微粒子のもつ架橋性官能基が水酸
基の場合に考えられる架橋剤としては、例えばジカルボ
ン酸などの多価カルボン酸化合物、多価エポキシ化合
物、多価イソシアネート化合物、多価アルデヒド化合物
などがあげられる。これらの架橋剤は、有機ゲル微粒子
中の水酸基との間に、それぞれエステル結合、ヒドロキ
シエステル結合、ウレタン結合、アセタール結合による
架橋を形成する。同様に、架橋性官能基がカルボキシル
基の場合に用いる架橋剤としては、例えば多価エポキシ
化合物、多価イソシアネート化合物、多価アミン化合物
などがあげられる。これらの架橋剤は、有機ゲル微粒子
中のカルボキシル基との間に、それぞれエステル結合、
ウレタン結合、アミド結合を形成する。このとき多価ア
ミンが3級アミンである場合は、4級アンモニウムを形
成して結合する。また、架橋性官能基がエポキシ基であ
る場合の架橋剤としては、例えば多価カルボン酸化合
物、多価エポキシ化合物、多価イソシアネート化合物、
多価アミン化合物、レゾルシノール、ヒドロキノンなど
の多価フェノール化合物などが用いられる。これらの架
橋剤は、エポキシ基との間に、それぞれヒドロキシエス
テル結合、エーテル結合、オキサゾリドン結合、アミノ
アルコール結合、アミド結合による架橋を形成する。さ
らに、架橋性官能基がアルコキシシリル基である場合に
用いる架橋剤としては、例えば多価イソシアネート化合
物などがあげられる。このときは、ウレタン結合が架橋
剤7とアルコキシシリル基との間に形成される。
【0024】以上の架橋性官能基と微粒子架橋剤の組み
合わせの中で特に反応の容易性から好ましいのは、架橋
剤が多価イソシアネート化合物で、架橋性官能基がカル
ボキシル基、水酸基、エポキシ基、アルコキシシリル基
のいずれかである場合、および架橋剤が多価アミン化合
物で、架橋性官能基がエポキシ基の場合である。
【0025】架橋剤としての多価イソシアネート化合物
の具体例としては、通常のポリウレタン樹脂の原料とし
て用いられている2官能以上のイソシアネートが好適に
用いられる。さらに具体的には、ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレン
ジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、
ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネ
ート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサ
メチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネー
ト系などがあげられ、これらのオリゴマーやポリオール
と反応させて得られるイソシアネート基残留ポリマーも
使用可能である。なかでも、値段が安く、入手しやすい
という点から、ジフェニルメタンジイソシアネート、ト
リレンジイソシアネートなどを用いるのが好ましい。
【0026】また、架橋剤としての多価アミン化合物と
しては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテ
トラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノ
プロピルアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミ
ン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−
3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4ーアミノ
シクロヘキシル)メタン、ジアミノジフェニルメタン、
ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン
などがあげられる。
【0027】工程(b−1)においては、反応をより容
易に行わせるために、微粒子を架橋させる際に触媒を用
いるのが好ましい。このような触媒としては、例えばモ
ノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、環状アミン
類、アルコールアミン類、エーテルアミン類などの第3
級アミン系触媒、有機すず化合物などの有機金属化合物
などがあげられる。ただし、架橋剤が多価アミンであ
り、架橋性官能基がエポキシ基である場合は、前記アミ
ンとエポキシだけで充分に反応性が高いため、触媒を用
いなくてもよい。
【0028】工程(b−1)における架橋剤の使用量と
しては、すべての架橋性官能基が有機ゲル微粒子の表面
に出ている訳ではなく、使用量が多すぎると全体の濃度
が高くなって反応が進みにくくなるという点から、有機
ゲル微粒子のもつ架橋性官能基1当量に対して、0.0
1〜10当量であればよいが、さらには、コストの低減
という点から、0.01〜1当量であるのが好ましい。
また、触媒の使用量としては、例えば架橋性官能基がエ
ピキシ基の場合は、エポキシ基に対して0.1〜5当
量、多すぎても効果が小さいため、0.1〜1当量であ
るのが好ましい。イソシアネート基の場合は、用いる溶
媒に対して0.1〜10%であればよいが、副反応を抑
えるという観点から、0.1〜2%であるのが好まし
い。
【0029】前記溶媒中において前記微粒子表面の架橋
性官能基を反応させるには、少なくとも有機ゲル微粒子
全体が溶媒に浸かるという条件で、膨潤させた有機ゲル
微粒子、触媒および要すれば触媒を混合すればよい。こ
れによって、有機ゲル微粒子の集合体を得る。
【0030】次に、工程(b−2)について説明する。
第二の工程(b−2)においては架橋剤を用いず、有機
ゲル微粒子間において2つの架橋性官能基3を直接結合
させる。この場合、架橋剤を用いなくても有機ゲル微粒
子間で容易に反応するという観点および市販品の入手が
容易であるという観点から、エポキシ基、アルコキシシ
リル基などの架橋性官能基を表面に有する有機ゲル微粒
子が好適に用いられる。ただし、この場合でも、充分な
架橋速度を得るという点から、触媒を用いるのが好まし
い。
【0031】架橋性官能基がエポキシ基である場合に用
いる触媒としては、例えばベンジルジメチルアミン、2
-(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリ
ス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの3級アミ
ン、BF3などのルイス酸があげられ、エポキシ基との
重合によりエーテル結合を形成する。架橋性官能基がア
ルコキシシリル基の場合には、アルコキシル基を加水分
解するのに必要な水とともに、触媒を溶媒中に混合す
る。アルコキシシリル基が加水分解して形成されたシラ
ノール基が反応し、異なる有機ゲル微粒子間にシロキサ
ン結合を生じて架橋を形成するのである。この場合の触
媒としては、例えばアンモニア、水酸化アンモニウムな
どの塩基性触媒、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、酢酸など
の有機酸などの酸触媒があげられる。
【0032】触媒の使用量としては、反応の進行を速や
かに進めるという点から、濃度として0.01〜5%と
いう範囲であればよい。
【0033】また、前記溶媒中において前記微粒子表面
の架橋性官能基を反応させるには、少なくとも有機ゲル
微粒子全体が溶媒に浸かるという条件で、膨潤させた有
機ゲル微粒子および要すれば触媒を混合すればよい。こ
れによって、有機ゲル微粒子の集合体を得る。
【0034】次に、本発明の工程(c)において、以上
の2種類のいずれかの工程(b)を経て得られた有機ゲ
ル微粒子の集合体を乾燥させ、溶媒を除去する。これに
より、本発明の乾燥した有機多孔体を得る。
【0035】一般に、細かな空孔中の溶媒を蒸発させて
除去すると、溶媒が蒸発して減少することにより気液界
面が後退し、その際に空孔の壁面が収縮する力を受け
る。この力は、気液界面が存在すると必ず働き、しかも
空孔が小さいほど大きくなる。そのため、微細な空孔を
持つ多孔体においては、気液界面を存在させたまま溶媒
を除去すると空孔が潰れてしまうという問題がある。そ
こで、液層が存在しないように、凍結乾燥させるか、液
相と気相の区別がなくなる超臨界状態で乾燥させること
が好ましい。溶媒が水の場合、0℃で凍結するため減圧
にしてやれば比較的簡単に乾燥が可能であるので、凍結
乾燥を用いることができる。超臨界乾燥の場合、溶媒が
水や通常の有機溶媒では超臨界状態を実現するための臨
界温度が200℃を越えるため、乾燥すべき有機多孔体
に熱的な損傷が生じる可能性が高い。このため、臨界温
度の低い二酸化炭素を用いて、これと有機ゲル微粒子の
膨潤に用いた溶媒とを置換した後に、置換により残った
液体二酸化炭素を超臨界乾燥して除くことが好ましい。
このとき、二酸化炭素の臨界温度は室温付近であるため
に有機多孔体への熱的な損傷は生じない。また、水を膨
潤に使用した場合、極性の低い液体二酸化炭素との置換
がスムーズに進まない場合があるが、その場合はアセト
ンなどの中間的な極性の溶媒で置換してから、さらに二
酸化炭素と置換すればよい。
【0036】次に、本発明の第二の製造方法について説
明する。本発明の第二の方法は、有機多孔体の製造方法
において、(i)架橋性官能基を表面に有する有機ゲル
微粒子を溶媒によって膨潤させ、(ii)膨潤した前記有
機ゲル微粒子を超臨界乾燥により乾燥させ、ついで(ii
i)前記有機ゲル微粒子中の架橋官能基を反応させ、前
記微粒子と隣接する微粒子との間に微粒子間架橋を形成
することによって、有機ゲル微粒子の集合体を得ること
を含む製造方法である。すなわち、本製造方法では、第
一の製造方法のように溶媒中で有機ゲル微粒子を架橋す
るのではなく、乾燥した後に架橋処理を施す。
【0037】工程(i)では、有機ゲル微粒子を溶媒に
膨潤させ、これを第一の製造方法で説明した超臨界乾燥
によって乾燥する。引き続き、工程(ii)で、触媒の添
加あるいは温度上昇等によって、隣り合う有機ゲル微粒
子表面上の架橋性官能基同士を反応させて、微粒子間に
架橋を形成させる。また、第一の製造方法と同じく微粒
子架橋剤を混合して、二つの架橋官能基と反応させて微
粒子間架橋を形成させることもできる。
【0038】第一の製造方法と異なる点は、溶媒のない
状態で架橋させるために、架橋処理時に外部から導入す
る触媒および架橋剤は、気体であることが好ましいとい
う点である。架橋剤も高温雰囲気で用いることで蒸気圧
を高くすれば気体として用いることが可能である。例え
ばエチレンジアミン、テトラエチレンジアミンなどの低
級ジアミンを架橋剤として、高温下でその蒸気を導入し
て架橋性官能基のエポキシ基やカルボキシル基と架橋さ
せることができる。また、塩化水素、トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチル
ジメチルアミンなどの低級3級アミンなどを触媒として
用いれば、架橋性官能基であるエポキシ基同士を直接反
応させて架橋させることができる。また、塩化水素を用
いればシラノール基を直接反応させて架橋を形成するこ
とができる。このようにして、前述した本発明の有機多
孔体を得ることができる。
【0039】上記の説明は、有機多孔体を断熱材等に適
用することを念頭に置いて、空孔の大きさや密度および
それを実現する製造方法について述べた。これに加え
て、本発明の有機多孔体では、有機ゲル微粒子が有する
官能基を配位子として利用して、有機溶媒あるいは水中
で各種の貴金属、遷移金属などを高分散状態で導入し、
断熱以外の種々の機能を付加することも可能である。配
位子として用いることのできる官能基としては、既に述
べた架橋性官能基を用いることも可能であるが、別の官
能基を有機ゲル微粒子製造時に導入することもできる。
具体的には、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ビ
ピリジル基、フェナントロリル基、アミド基、各種エー
テル基などがあげられる。以下に、実施例を用いて本発
明をより具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限
定されるものではない。
【0040】
【実施例】《実施例1》本実施例では、本発明の第一の
製造方法により、有機ゲル微粒子を架橋してなる有機多
孔体を製造した。有機ゲル微粒子としては、「塗装工学
1987年第22巻 第9号 385〜395頁」記
載の方法に従う乳化重合によりエチルアクリレート、メ
チルメタクリレート、2ーヒドロキシエチルメタクリレ
ート(以上、関東化学(株)製)、オリゴエステルアク
リレート系反応性乳化剤ニューフロンティアA−229
E(第一工業製薬(株)製)を60/40/3/3(重
量比)で重合して得られた有機ゲル微粒子を用いた。従
って、架橋官能基は水酸基である。また、架橋剤として
はジフェニルメタンジイソシアネート(関東化学(株)
製)を用いた。上記の有機ゲル微粒子をメチルエチルケ
トン(関東化学(株)製)に浸して膨潤させた。引き続
き、有機ゲル微粒子100重量部に対して、前記の膨潤
体を含むメチルエチルケトンにジブチルチンジラウレー
ト(アルドリッチ社製)3重量部とジフェニルメタンジ
イソシアネート10重量部を、順に混合して攪拌後放置
した。次に前記の混合物を耐圧容器中に移し、室温50
気圧で前記のメチルエチルケトンの体積の10倍の体積
の液体二酸化炭素を導入し、メチルエチルケトンと混合
した後、導入した液体二酸化炭素の半分の体積に相当す
る二酸化炭素とメチルエチルケトンの混合物を気体とし
て放出した。この液体二酸化炭素の導入と、二酸化炭素
とメチルエチルケトンとの混合物の排出とを繰り返し
て、有機ゲル微粒子の集合体内を液体二酸化炭素で置換
した。さらに温度を40℃、圧力を80気圧に調整して
内部を超臨界状態としてから徐々に圧力を開放して二酸
化炭素を有機ゲル微粒子集合体内部から除き乾燥させ
た。
【0041】得られた有機多孔体は、電子顕微鏡による
観察から、有機ゲル微粒子の粒径は約90nmで高分子
鎖間に形成される空孔の直径は20nm以下であった。
またゲル微粒子の体積、微粒子間の体積と有機多孔体の
重量から求めた有機ゲル微粒子の密度は、0.09g/
cm3であった。
【0042】《実施例2および3》膨潤させるために用
いる溶媒をノルマルヘキサン(関東化学(株)製)(実
施例2)またはノルマルブタン(関東化学(株)製)
(実施例3)とし、膨潤の度合いを抑えることで、有機
多孔体を構成する有機ゲル微粒子の密度を高くした。あ
との条件は実施例1と同様にして、2種の有機多孔体を
製造した。上記と同様にして求めた有機ゲル微粒子の粒
径はそれぞれ55nm、46nm、密度はそれぞれ0.
34g/cm3、0.47g/cm3であった。ここで、
実施例1〜3における微粒子内架橋は、不飽和結合を有
する化合物の付加重合から形成される炭素−炭素結合で
あり、微粒子間架橋は、水酸基とイソシアネート基との
反応によるウレタン結合であった。
【0043】《比較例1および2》有機ゲル微粒子を製
造する際に、乳化重合時の乳化促進剤(硫酸銅)の量を
増加させて有機ゲル微粒子の直径を大きくしたものを2
種類用いた。それ以外は、膨潤溶媒がメチルエチルケト
ンである実施例1の場合と同様にして有機多孔体を2種
製造した。上記と同様にして求めたゲル微粒子の直径
は、それぞれ530nm、380nmであった。密度は
それぞれ0.08g/cm3、0.1g/cm3であった。
【0044】実施例1〜3で得られた有機多孔体を手で
押しつぶしたが、シリカエアロゲルのように砕けて粉末
になることはなく、一体性を保ったまま潰れていった。
これは、シリカエアロゲルに比較して、多孔体全体に有
機の柔軟な結合のネットワークが形成されているためと
考えられる。このように、本発明において、シリカエア
ロゲルの堅い結合に起因して、粉々になりやすいという
脆さが改善された。また、実施例1〜3と比較例1およ
び2で得られた有機多孔体の熱伝導率を測定した。実施
例1〜3の有機多孔体の熱伝導率は、それぞれ0.01
5kcal/mh℃(膨潤溶媒メチルエチルケトン)、
0.021kcal/mh℃(膨潤溶媒ノルマルヘキサ
ン)、0.023kcal/mh℃(膨潤溶媒ノルマル
ブタン)であった。これに対し比較例1および2におい
て、有機ゲル微粒子の直径が530nm、380nmの
ものは、熱伝導率がそれぞれ0.030kcal/mh
℃、0.027kcal/mh℃であった。このように
本実施例で優れた熱伝導率が得られるのは、有機ゲル微
粒子の直径が小さくそれらが密に結合され、ゲル微粒子
の空隙の距離が小さくなったことで気体の熱伝導率が抑
制されるためであり、また密度が小さいために固体の熱
伝導率が抑えられたためと考えられる。比較例で熱伝導
率が高くなったのは、ゲル微粒子の直径が大きくなり対
応する空隙間距離が長くなったためと考えられる。
【0045】《実施例4》本実施例では、本発明の第一
の製造方法により、有機ゲル微粒子を架橋してなる有機
多孔体を製造した。有機ゲル微粒子としては、乳化重合
によりエチルアクリレート、メチルメタクリレート、メ
タクリル酸グリシジル(関東化学(株)製)、オリゴエ
ステルアクリレート系反応性乳化剤であるニューフロン
ティアA−229E(第一工業製薬(株)製)を80/
20/2/5(重量比)で重合して得られた有機ゲル微
粒子を用いた。従って、架橋性官能基はエポキシ基であ
る。また、架橋剤には、トリレン2、4−ジイソシアネ
ート(関東化学(株)製)を用いた。膨潤溶媒にはアセ
トンを用いた。あとの条件は実施例1と同様にして有機
多孔体を製造した。実施例4における微粒子内架橋は、
不飽和結合を有する化合物の付加重合から形成される炭
素−炭素結合であり、微粒子間架橋は、エポキシ基とイ
ソシアネート基との反応によるオキサゾリドン結合であ
った。
【0046】得られた有機多孔体の熱伝導率は0.01
7kcal/mh℃と優れた断熱性を示した。また、有
機ゲル微粒子の直径は60nm、密度は0.21g/c
3であった。また、実施例1同様、指で押しても粉々
になることはなく、シリカエアロゲルに比較して脆さが
改善された。
【0047】《実施例5》本実施例では、本発明の第一
の製造方法により、有機ゲル微粒子を架橋してなる有機
多孔体を製造した。有機ゲル微粒子としては、実施例4
で用いたものを用い、架橋剤は用いず、直接有機ゲル微
粒子上の架橋性官能基を反応させて結合を形成した。触
媒としてベンジルジメチルアミン(関東化学(株)製)
を用いた。上記の有機ゲル微粒子をテトラヒドロフラン
(関東化学(株)製)に浸して膨潤させた。引き続き、
前記の膨潤体を含むテトラヒドロフランを、有機ゲル微
粒子100重量部に対して3重量部を混合して攪拌後放
置した。あとは実施例1と同様にして、テトラヒドロフ
ランと二酸化炭素を置換した後、超臨界乾燥をすること
で有機多孔体を得た。実施例5における微粒子内架橋
は、不飽和結合を有する化合物の付加重合から形成され
る炭素−炭素結合であり、微粒子間架橋は、エポキシ基
の重合によるエーテル結合であった。
【0048】得られた有機ゲル微粒子の直径は70n
m、密度は0.13g/cm3であった。また、熱伝導率
は実施例1とほぼ同じ優れた断熱性を示した。また、実
施例1と同様に、指で押しても粉々になることなく、シ
リカエアロゲルに比較して脆さが抑制されていた。
【0049】《実施例6》本実施例では、本発明の第二
の製造方法により、有機ゲル微粒子を架橋してなる有機
多孔体を製造した。有機ゲル微粒子としては、乳化重合
によりエチルアクリレート、メチルメタクリレート、メ
タクリル酸グリシジル、オリゴエステルアクリレート系
反応性乳化剤であるニューフロンティアA−229E
(第一工業製薬(株)製)を80/20/5/5(重量
比)の割合で重合して得られた有機ゲル微粒子を用い
た。架橋剤は用いず、直接有機ゲル微粒子上の架橋性官
能基を反応させて結合を形成させた。その際に、触媒と
してトリメチルアミン(関東化学(株)製)を用いた。
まず、上記の有機ゲル微粒子をアセトンに浸して膨潤さ
せた。実施例3と同様な方法でアセトンと二酸炭素を置
換した後、超臨界乾燥を行った。引き続き、乾燥有機ゲ
ル微粒子の入った容器中をトリメチルアミン蒸気で満た
して放置し、その後トリエチルアミンを除去することで
有機多孔体を得た。実施例6における微粒子内架橋は、
不飽和結合を有する化合物の付加重合から形成される炭
素−炭素結合からなり、微粒子間架橋は、エポキシ基の
重合によるエーテル結合であった。
【0050】得られた有機ゲル微粒子の直径は70n
m、密度は0.17g/cm3であった。また、熱伝導率
は0.0155kcal/mh℃で優れた断熱性を示し
た。
【0051】
【発明の効果】本発明の有機多孔体は、300nm以下
の有機ゲル微粒子同士が架橋されて構成される。このよ
うな微小な粒子が密に集合しているために粒子間に形成
される空隙も小さくなり、気体の熱伝導を抑制でき、優
れた断熱性を実現できる効果がある。また、有機物で構
成され、それらが架橋されているために、シリカエアロ
ゲルに比較して、脆さが改善される(脆性が抑制され
る)という効果がある。本発明の有機多孔体の製造方法
は、有機ゲル微粒子を膨潤させて、溶媒中でこれらの微
粒子を各微粒子上の官能基の反応を利用して架橋し、さ
らに膨潤に用いた溶媒を除去することで乾燥した多孔体
を得るものである。膨潤させることにより、低密度体を
つくることができ、さらにそれを架橋し、乾燥すること
で、より大きな成形体が容易に得られる効果がある。ま
た、超臨界乾燥により膨潤に用いた溶媒を除く、本発明
の有機多孔体の製造方法によって、多孔体の収縮を抑え
低密度の多孔体が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機多孔体の構造を概念的に表した模
式図である。
【図2】図1における有機ゲル微粒子2の構造を概念的
に表した模式図である。
【図3】架橋剤により有機ゲル微粒子を架橋させる様子
を概念的に示す模式図である。
【符号の説明】
1 有機多孔体 2 有機ゲル微粒子 3 架橋性官能基 4 微粒子間架橋 5 微粒子内架橋 6 高分子鎖 7 架橋剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 105:24 (72)発明者 小野 之良 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4F070 AA20 AA26 AA28 AA29 AA74 AC45 AE08 GA08 GC01 4F074 AA15 AA48 BB21 BB22 CB31 DA03 4F212 AA21 AB03 AC04 AE02 AG20 AH33 UA05 UB01 UC05 UN04 UN05

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 10〜300nmの粒径を有する有機ゲ
    ル微粒子が集合してなる有機多孔体であって、隣接する
    前記微粒子の間において微粒子間架橋を形成している有
    機多孔体。
  2. 【請求項2】 空孔の孔径が5〜100nmである請求
    項1記載の有機多孔体。
  3. 【請求項3】 有機ゲル微粒子の密度が0.05〜0.3
    g/cm3である請求項1または2記載の有機多孔体。
  4. 【請求項4】 有機ゲル微粒子内の微粒子内架橋が、前
    記微粒子間架橋と異なる分子結合構造を有する請求項1
    〜3のいずれかに記載の有機多孔体。
  5. 【請求項5】 有機ゲル微粒子がアクリル系重合体また
    はビニル系重合体からなり、前記微粒子間架橋の分子構
    造が、ウレタン結合、アミド結合、オキサゾリドン結
    合、シロキサン結合、エステル結合またはアセタール結
    合である請求項4記載の有機多孔体。
  6. 【請求項6】 (a)架橋性官能基を表面に有する有機
    ゲル微粒子を溶媒によって膨潤させ、(b)前記溶媒中
    において前記微粒子表面の架橋性官能基を反応させ、前
    記微粒子と隣接する微粒子との間に微粒子間架橋を形成
    することによって、有機ゲル微粒子の集合体を得、つい
    で(c)前記集合体を乾燥させて前記溶媒を除去する有
    機多孔体の製造方法。
  7. 【請求項7】 工程(a)の後、工程(b)において架
    橋性官能基を反応させる前に、架橋剤を混合する請求項
    6記載の有機多孔体の製造方法。
  8. 【請求項8】 工程(a)の後、工程(b)において架
    橋性官能基を反応させる前に、架橋触媒を混合する請求
    項6または7記載の有機多孔体の製造方法。
  9. 【請求項9】 工程(c)における乾燥を、超臨界乾燥
    法によって行う請求項6〜8のいずれかに記載の有機多
    孔体の製造方法。
  10. 【請求項10】 (i)架橋性官能基を表面に有する有
    機ゲル微粒子を溶媒によって膨潤させ、(ii)膨潤した
    前記有機ゲル微粒子を超臨界乾燥により乾燥させ、つい
    で(iii)前記有機ゲル微粒子中の架橋官能基を反応さ
    せ、前記微粒子と隣接する微粒子との間に微粒子間架橋
    を形成することによって、有機ゲル微粒子の集合体を得
    る有機多孔体の製造方法。
  11. 【請求項11】 工程(ii)の後、工程(iii)におい
    て架橋性官能基を反応させる前に、架橋剤を混合する請
    求項10記載の有機多孔体の製造方法。
  12. 【請求項12】 工程(ii)の後、工程(iii)におい
    て架橋性官能基を反応させる前に、架橋触媒を混合する
    請求項10または11記載の有機多孔体の製造方法。
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