JP2000117850A - シームレスベルトの製造方法 - Google Patents

シームレスベルトの製造方法

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JP2000117850A
JP2000117850A JP10297089A JP29708998A JP2000117850A JP 2000117850 A JP2000117850 A JP 2000117850A JP 10297089 A JP10297089 A JP 10297089A JP 29708998 A JP29708998 A JP 29708998A JP 2000117850 A JP2000117850 A JP 2000117850A
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cylinder
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seamless belt
resin
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Satoshi Odajima
智 小田嶋
Takashi Nogami
隆 野上
Toyoji Hibi
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Shin Etsu Polymer Co Ltd
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Shin Etsu Polymer Co Ltd
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シームレスベルトを高い厚さ寸法精度で製造
できるシームレスベルトの製造方法を提供する。 【解決手段】 回転可能なシリンダ2と、シリンダ2の
内径よりも小さい外径に形成され、中心軸を中心に自由
回転可能な円柱押し付け体4とを備える。そして、シリ
ンダ2に樹脂材料を注入し、シリンダ2を回転させてそ
の内周面に樹脂材料を押し付けて円筒形の樹脂材料層5
を形成し、樹脂材料層5の流動性喪失前にその内周面に
円柱押し付け体4を摺接回転させるとともに、この状態
で樹脂材料層5を流動しない状態に固化させ、シリンダ
2から樹脂材料層5を脱型する。樹脂材料層5に遠心力
とは別の荷重を加えるので、厚さが偏って樹脂材料層5
が形成されても、厚さのばらつきを著しく抑制防止する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真式の複写
機やレーザプリンタ等に使用されるシームレスベルトの
製造方法に関し、より詳しくは、感光体基体用、中間転
写用、紙搬送用、現像用、又は定着等に利用されるシー
ムレスベルトの製造方法の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より電子写真式の複写機等の中間転
写装置、転写紙分離装置、又は帯電装置等にシームレス
ベルトを感光用チューブ等として使用することが提案さ
れているが、このシームレスベルトの使用に際しては、
厚み等に関して高い寸法精度が要求される。
【0003】ところで、シームレスベルトは、所定の成
形材料、すなわち、樹脂材料を押出成形法(extruder mo
(u)lding)や遠心成形法(centrifugal mo(u)lding)によ
り成形して製造するのが一般的である。押出成形法は、
押出機中で樹脂材料を加熱加圧して流動状態とし、ダイ
から連続的に押し出してパーティングラインを有しない
円筒形のシームレスベルトを成形する方法である。この
方法で得られるシームレスベルトは、特開昭64−26
439号、特開平2−233765号、3−89357
号、4−313757号、又は7−178795号公報
に開示されている。
【0004】また、遠心成形法は、金型である円筒形の
シリンダに流動性の樹脂材料を注入し、シリンダを回転
させてその内周面に樹脂材料を遠心力により押し付けて
流動性の樹脂材料層を被覆形成し、溶媒を除去あるいは
所定の方法で硬化させて円筒形の樹脂材料層を形成し、
その後、シリンダから樹脂材料層を脱型してシームレス
ベルトを得る方法である。この方法により得られるシー
ムレスベルトは、特開昭60−214933号、61−
110519号、特開平3−34816号、3−348
17号、3−106616号、4−93210号、又は
5−77252号公報に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のシームレスベル
トは、以上のように樹脂材料を押出成形法や遠心成形法
により成形して製造されるので、以下のような問題があ
った。先ず、押出成形法で製造する場合には、大口径で
薄肉のシームレスベルトを成形することは技術的に困難
であった。
【0006】一方、遠心成形法で製造する場合、比較的
厚さ精度の良い薄肉のシームレスベルトを成形すること
ができるものの、厚さのばらつきが依然大きく、とりわ
け高精度が要求される分野(例えば、カラーレーザプリ
ンタ等)においては、満足できる寸法精度のシームレス
ベルトを得ることはできなかった。特に、樹脂材料とし
て比較的粘度の高い材料、具体的には1,000cp以
上の樹脂材料を用い、500μm以下程度の薄肉のシー
ムレスベルトを製造する場合、遠心力のみでは厚さの均
一な層を形成するのは非常に困難であった。この欠点を
解消すべく、シリンダを回転させながら定量吐出機から
シリンダ内に緻密な螺旋を描くよう樹脂材料を注入する
方法が提案されているが、たとえこの方法を採用して
も、偏肉を避けることはきわめて困難であった。
【0007】本発明は、上記問題に鑑みなされたもの
で、シームレスベルトを高い厚さ寸法精度で製造するこ
とのできるシームレスベルトの製造方法を提供すること
を目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、高い厚さ
寸法精度を有するシームレスベルトを製造するために
は、遠心成形法で均一な樹脂層を形成する際、遠心力以
外の外力を加えれば良いことに着眼し、その方法につい
て種々検討した。その結果、以下の方法によれば、非常
に高い厚さ寸法精度を有するシームレスベルトを得られ
ることを確認して本発明を完成させるに至った。すなわ
ち、請求項1記載の発明においては、上記課題を達成す
るため、ほぼ管形の金型と、この金型の内径よりも小さ
い外径に形成され、中心軸を中心に自由回転可能な円柱
押し付け体とを含み、これら金型と円柱押し付け体とを
用いてシームレスベルトを遠心成形法により製造する方
法であって、該金型に樹脂材料を注入し、該金型を回転
させてその内周面に該樹脂材料を押し付けて樹脂材料層
を形成し、この樹脂材料層の実質的な流動性喪失前にそ
の内周面に上記円柱押し付け体を接触回転させるととも
に、この状態で該樹脂材料層を実質的に流動しない状態
に固化させ、上記金型から該樹脂材料層を脱型すること
を特徴としている。
【0009】なお、上記金型を回転させながら加熱する
ことができる。また、上記金型に粘度値が50,000
cp以下の樹脂材料を注入し、上記樹脂材料層の粘度値
が20,000cp〜2,000,000cpのときに
該樹脂材料層の内周面に上記円柱押し付け体を接触回転
させることが好ましい。
【0010】ここで、特許請求の範囲における金型とし
ては、特に限定されるものではないが、円筒形を呈した
各種金属製のシリンダが好ましい。このシリンダの内周
面には、シームレスベルトの剥離が容易となるよう、鏡
面加工やフッ素樹脂、シリコーン樹脂等を適宜加工する
と良い。
【0011】円柱押し付け体は、シームレスベルトの精
度を大きく左右するので、自由回転中に変形が少なく、
円柱加工しやすい材料で構成される。このような材料と
しては、金、銀、銅、白、金、パラジウム、鉛、錫、
鉄、亜鉛、若しくはアルミニウムクロムチタン等の各種
金属、鉄−ニッケル合金、ステンレス、半田、ベリリウ
ム銅、青銅、りん青銅、若しくは黄銅等の合金、セラミ
ックス等の焼結体、ポリテトラフロロエチレン、ポリフ
ェニレンサルファイド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、
若しくはポリアミド樹脂等の合成樹脂、又はこれらの複
合体があげられる。これらの材料中、合成樹脂を選択す
る場合、有機溶媒の除去や樹脂硬化のための加熱に耐え
得る合成樹脂を選択する必要がある。また、ガラス繊維
やカーボン繊維等で補強することが好ましい。
【0012】円柱押し付け体の表面は、流動状態の樹脂
材料と接触するので、界面活性の低いことが好ましく、
フッ素樹脂やシリコーン樹脂等で被覆したり、フッ素系
のメッキ処理を施したり、あるいは各種離型処理剤等に
より処理したものとするのが良い。また、円柱押し付け
体は、樹脂材料と接触する部分が円柱状であれば良い。
したがって、円柱押し付け体を小径の軸を備えた構造や
中空構造等に構成することが可能である。
【0013】樹脂材料としては、加工時に流動状態をと
り得る材料であれば、特に限定されるものではなく、各
種の高分子有機材料を使用することが可能である。具体
的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレ
ート、若しくはポリエステルエラストマー等のポリエス
テル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹
脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネ
イト樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、エポキシ樹
脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はこれ
らのブレンド品があげられる。
【0014】上記材料中、液状で、熱、紫外線、電子
線、又はその他の反応により硬化性を有する材料につい
ては、流動性があるので、そのまま使用することが可能
である。これ以外の材料や液状の材料であっても、有機
溶媒を使用することにより、流動可能な状態としたり、
所望の流動性を有するよう調整することができる。有機
溶媒としては、特に限定されるものではないが、比重が
1以上、大気圧の沸点が20〜200℃、望ましくは、
30〜150℃の溶媒が良い。このような数値としたの
は、比重が1以上の有機溶媒を使用すれば、フィラーを
配合した際の分散性を著しく向上させることができるか
らである。また、大気圧の沸点が20℃未満の有機溶媒
を使用すると、遠心成形法で形成されるシームレスベル
ト中に気泡が入るおそれがあるからである。反対に、大
気圧の沸点が150℃以上の有機溶媒を使用すると、脱
溶媒に時間がかかるからである。
【0015】上記条件を満たす有機溶媒としては、塩化
メチレン、クロロベンゼン、クロロホルム、1,1-ジクロ
ロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエチレ
ン、1,2-ジクロロプロパン、1,2-ジプロモエタン、臭化
アリル、臭化プロピル、1,1,1,2-テトラクロロエタン、
1,1,1-トリクロロエタン、1,1-ジクロロ-1-フルオロメ
タン、ドデカフルオロシクロヘキサン、ヘキサフルオロ
イソプロパノール、トルエン、キシレン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、n-ヘキサン、又はn-
メチル2ピロリドン等があげられる。これらの有機溶媒
は、2種以上を混合使用しても構わない。また、これら
の特性を損なわない範囲でこれら以外の有機溶媒を混合
しても良い。
【0016】上記樹脂材料には、耐熱向上性、劣化防止
剤、加工助剤、強化材、摩擦係数調整用フィラー、導電
性フィラー、又は熱膨張率調整用フィラー等を適宜添加
することができる。特に、本発明に係るシームレスベル
トには半導電性の要求される場合があり、この場合には
導電性フィラーの添加により半導電性を得ることができ
る。導電性フィラーとしては、ケッチェンブラック(コ
ンダクティブファーネス系カーボンブラック)、アセチ
レンブラック、若しくはチャンネルブラック等のカーボ
ンブラックの他、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化銀、チタ
ン酸カリウム、インジウム錫オキサイド、二酸化錫、炭
素繊維、又は表面に導電性皮膜の施された各種フィラー
等があげられる。この中でも、ケッチェンブラックやア
セチレンブラック等のカーボンブラックは、粒子径が小
さい、比重が1.5〜2.5倍程度で樹脂材料との比重
差が小さい、遠心成形中に分離などの不具合が起きにく
い、及び導電性の劣化が少ないことから好ましいといえ
る。
【0017】導電性フィラーの配合量としては、所定の
導電性及び選択した導電性フィラーにより適宜調整すれ
ば良いが、樹脂100容量部に対して1〜30容量部、
望ましくは、5〜15容量部とすることが重要である。
これは、導電性フィラーの配合量が1容量部未満である
と、シームレスベルトの導電性が不十分となるからであ
る。また、導電性フィラーの配合量が30容量部を越え
ると、シームレスベルトの機械的強度が低下するからで
ある。また、金型に注入する際の樹脂材料の粘度値は、
50,000cp以下であることが好ましい。これは、
樹脂材料の粘度値が50,000cpを越えると、金型
の内周面に樹脂材料層を遠心力で適切に押し付けるのが
困難化するからである。さらに、樹脂材料層には、1種
類の樹脂材料による単層、複数種の樹脂材料による複数
層のいずれもが含まれる。
【0018】請求項1記載の発明によれば、金型に樹脂
材料を注入したら、金型を回転させてその内周面に樹脂
材料を遠心力で押し付けて樹脂材料層を形成する。そし
て、樹脂材料層が流動性を失う前に、金型内に円柱押し
付け体をセットして樹脂材料層の内周面に接触させ、円
柱押し付け体をその中心軸を中心に回転させて樹脂材料
層に荷重を加える。この荷重の作用により、樹脂材料層
の厚さのばらつきが抑制され、樹脂材料層が寸法精度の
良い薄肉となる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好
ましい実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態
になんら限定されるものではない。本実施形態における
シームレスベルトの製造方法は、図1や図2に示すよう
な遠心成形装置1を備え、この遠心成形装置1を用いて
シームレスベルトを遠心成形法により製造するようにし
ている。
【0020】遠心成形装置1は、金型であるシリンダ2
と、このシリンダ2の内部長手方向(図2の左右方向)に
挿入される自由回転可能な円柱押し付け体4とから構成
されている。シリンダ2は、所定の金属を用いて円筒形
に形成され、その両端下部が一対の駆動ロール3上にそ
れぞれ支持搭載されており、これら複数の駆動ロール3
の回転で回転する。シリンダ2の両端には図示しない金
属製又は樹脂製の蓋が着脱自在に覆着され、この蓋の中
心部には材料注入孔が穿孔されている。また、シリンダ
2の内周面には鏡面処理が施され、成形品であるシーム
レスベルトの脱型の容易化が確保されている。
【0021】さらに、円柱押し付け体4は、耐食性等に
優れるステンレス製の長い丸棒体からなり、表面にはシ
リコーン樹脂がコーティングされて良好な耐熱性、耐湿
性、耐薬品性、及び耐老化性等が確保されている。
【0022】上記構成において、シームレスベルトを製
造するには、先ず、成形材料である樹脂成分、有機溶
媒、及び必要な導電性フィラー等の添加剤を秤量混合
し、樹脂成分を調整する。混合の順序としては、有機溶
媒に樹脂成分を溶解してから導電性フィラー等を加えて
分散させても良いが、樹脂成分、有機溶媒、及び導電性
フィラー等を同時に配合して溶解分散させることもでき
る。樹脂成分と有機溶媒からなる溶液中に導電性フィラ
ー等を分散させるには、通常知られている各種の湿式分
散法を採用する。具体的には、高速回転翼を有する各種
のホモジナイザ、タンク内で直径数ミリ程度のボールと
共に回転させるボールミル、サンドミル、衝撃力、又は
超音波印加等の方法である。
【0023】ここで得られる樹脂材料の粘度値は、10
cp以上〜50,000cp以下に調整することが好ま
しい。これは、樹脂材料の粘度値が10cp未満である
と、樹脂材料の取り扱いに支障が生じるからである。反
対に、樹脂材料の粘度値が50,000cpを越える
と、シリンダ2の内周面に樹脂材料層5を遠心力で適切
に押し付けるのが困難となるからである。
【0024】樹脂材料を調整したら、シリンダ2の材料
注入孔からその内部に必要量の樹脂材料を注入し、複数
の駆動ロール3を駆動してシリンダ2を図示しないヒー
タ等で外部から加熱しながら当初ゆっくりと回転させ、
シリンダ2の内周面に樹脂材料を均一に塗布する。この
均一な塗布を確認したら、シリンダ2の回転数を徐々に
上げて高速回転させ、シリンダ2の内周面に樹脂材料を
遠心力で押し付けて円筒形の樹脂材料層5を被覆成形す
る。シリンダ2を回転させながら加熱するので、樹脂材
料の粘度低減、有機溶媒の蒸発、及び樹脂材料の硬化反
応が促進される。なお、紫外線硬化タイプやEB硬化タ
イプ等の樹脂材料を使用する場合、それぞれの方法で硬
化を開始することができる。
【0025】ヒータの加熱や紫外線の照射等により、樹
脂材料が増粘し、円柱押し付け体4の表面との密着強度
よりも樹脂材料自体の母材強度の方が大きくなった状
態、かつ樹脂材料層5が流動性を損なう前の状態となっ
たら、シリンダ2の内部長手方向下部に円柱押し付け体
4を挿入して樹脂材料層5の内周面に摺接させる。この
摺接の際、樹脂材料層5がその自重で流動しない程度に
シリンダ2の回転速度を落とすか、シリンダ2の内周速
度と円柱押し付け体4の外周速度とをほぼ同等の速度と
し、接触時の衝撃による樹脂材料層5の破壊を防止す
る。円柱押し付け体4を摺接させたら、これを位置決め
し、円柱押し付け体4をその中心軸を中心にして自由回
転させて樹脂材料層5に円柱押し付け体4の自重、換言
すれば、荷重を加える。
【0026】ここで、樹脂材料層5が流動性を損なう前
の状態、換言すれば、樹脂材料層5の流動性喪失前と
は、樹脂材料層5の内周面に円柱押し付け体4を押し当
てた際、シリンダ2や円柱押し付け体4の長手方向に樹
脂材料が塑性流動しなくなる前の状態をいう。具体的に
は、樹脂材料層5の粘度値が20,000cp〜2,0
00,000cpの範囲である。これは、樹脂材料層5
の粘度値を20,000cp未満とすると、樹脂材料の
母材強度が密着強度に負ける傾向にあるからである。ま
た、樹脂材料層5の粘度値が2,000,000cpを
越えると、樹脂材料層5に円柱押し付け体4を押し当て
ても、流動性に欠けるので、厚さの均一化に長時間を要
し、適当とはいえないからである。
【0027】なお、シリンダ2に対する樹脂材料の注入
時に、円柱押し付け体4の表面との密着強度よりも樹脂
材料自体の母材強度の方が既に大きい場合には、増粘す
る前に円柱押し付け体4を摺接させ、自由回転させても
良い。また、シリンダ2の内部長手方向に円柱押し付け
体4を予め挿入しておくことも可能である。
【0028】円柱押し付け体4による荷重の程度は、樹
脂材料層5の粘度により適宜調整する。具体的には、樹
脂材料層5の粘度をn(cp)、長手方向1cm当たりの荷
重をw(g/cm)とした場合、n/wが1,000〜50,
000の範囲となるよう調整すれば良い。例えば、樹脂
材料層5の粘度が100,000cpのとき、荷重は1
0〜500g/cmに調整する。これは、荷重が小さすぎる
と、樹脂材料層5の厚さを均一化するために長時間を要
するからである。また、荷重が大きすぎると、シリンダ
2と円柱押し付け体4との間に樹脂材料層5のバンクが
形成され、樹脂材料層5の厚さを均一にすることができ
ないからである。
【0029】樹脂材料層5に円柱押し付け体4を摺接回
転させて荷重を加える作業は、樹脂材料層5が流動しな
い状態に固化するまで継続する。ここで、樹脂材料層5
が流動しない状態に固化するとは、シリンダ2の遠心力
で樹脂材料層5が流動しない状態に固化するという意味
である。具体的には、樹脂材料層5の粘度値が1,00
0,000cpを越えた状態である。この状態になった
時点で円柱押し付け体4を利用した加重を停止しても良
いが、樹脂材料層5の固化が完了するまで加重を継続す
ることもできる。
【0030】樹脂材料層5の固化が完了したら、シリン
ダ2の回転を止めて蓋を取り外し、シリンダ2から円筒
形の樹脂材料層5を脱型し、樹脂材料層5の両端部をそ
れぞれカットして所定の寸法とすれば、シームレスベル
トを製造することができる。以下、必要に応じて上記作
業を繰り返せば良い。
【0031】上記方法によれば、樹脂材料層5の流動性
喪失前にシリンダ2内に円柱押し付け体4を挿入して樹
脂材料層5の内周面に圧接回転させ、樹脂材料層5に遠
心力とは別の荷重を新たに加えるので、厚さが偏って樹
脂材料層5が形成されても、厚さのばらつきを著しく抑
制防止することができる。特に、樹脂材料層5の粘度が
高い場合にも、厚さが均一な高精度のシームレスベルト
をきわめて容易に製造することが可能になる。このシー
ムレスベルトは、複写機等の中間転写装置、転写紙分離
装置、又は帯電装置等に実に好適に使用することができ
る。
【0032】なお、上記実施形態では、樹脂成分、有機
溶媒、及び必要な導電性フィラー等の添加剤を秤量混合
し、樹脂成分を調整したが、市販されている液状の樹脂
材料をそのまま使用することもできる。また、円柱押し
付け体4の両端部にそれぞれ軸を取り付け、各軸をベア
リング等の自由回転を損なわない部材で保持し、樹脂材
料層5に対する摺接荷重を調整するようにしても良い。
さらに、シームレスベルトは、複写機等のみならず、電
気、電子、又は情報通信の分野で広く利用することが可
能である。
【0033】
【実施例】実施例1 樹脂材料として、ポリイミド系樹脂溶液「ユピコート
FS−100L」(宇部興産株式会社製、商品名)を使用
した。この樹脂材料は、粘度22,000cp、固形分
濃度48%、固形分の比重1.11、溶剤としてトリエ
チレングリコールジメチルエーテルを使用した材料であ
る。この樹脂材料をトルエンでさらに希釈し、固形分2
0%の樹脂材料とした。このときの粘度は3,000c
pであった。
【0034】次いで、図の遠心成形装置1のシリンダ
(内径140mm、長さ350mm)2の材料注入孔からその
内部に85gの樹脂材料を注入し、約30秒間でシリン
ダ2の回転数を400rpmまで加速上昇させ、図示しな
い外部ヒータと熱風送風機とにより樹脂材料付近を80
℃の温度にして30分間保持した。なお、この条件で本
実施例の樹脂材料の粘度が100,000cpまで上昇
することは予め確認しておいた。
【0035】次いで、回転数を20rpmまで落とし、表
面がフッ素樹脂でコートされたステンレス(SUS304)製の
円柱押し付け体4(長さ345mm、直径30mm、長さ1c
m当たりの重さ55g)をシリンダ2の内部長手方向に挿
入してゆっくりと載置し、シリンダ2の内部下方で自由
回転していることを確認し、徐々に回転数を200rpm
まで上昇させた。このとき、温度を80℃に維持した。
この状態で20分間保持し、温度を170℃まで上昇さ
せて60分間保持し、室温まで冷却した。そしてその
後、シリンダ2から樹脂材料層5を脱型し、樹脂材料層
5の両端部をそれぞれ25mmカットし、シームレスベル
トを製造した。
【0036】こうして得られたシームレスベルトの厚さ
を、長さ方向2mm毎に149点測定したところ、平均値
101.2μm、最小値98.5μm、最大値103.1
μm、標準偏差0.87μmであった。
【0037】比較例1 円柱押し付け体4を使用しないほかは、実施例1と同様
の材料、製造方法でシームレスベルトを製造した。得ら
れたシームレスベルトの厚さを、長さ方向2mm毎に14
9点測定したところ、平均値100.5μm、最小値8
3.5μm、最大値116.8μm、標準偏差5.43μ
mであった。
【0038】実施例2 樹脂材料として、ポリイミド系樹脂溶液「ユピコート
FS−100L」(宇部興産株式会社製、商品名)を原液
のままで使用した。
【0039】次いで、図の遠心成形装置1のシリンダ
(内径140mm、長さ350mm)2に定量吐出機を使用し
てシリンダ2を400rpmで回転させながらシリンダ2
の一端部から5mm内側の箇所を起点とし、1.05g/
秒の速度で吐出させながらシリンダ2の他端部に向かっ
て10mm/秒の速度で吐出ノズルを移動させ、35.6
gの樹脂材料を注入し、図示しない外部ヒータと熱風送
風機とにより樹脂材料付近を80℃の温度にして20分
間保持した。なお、この条件で本実施例の樹脂材料の粘
度が100,000cpまで上昇することは予め確認し
ておいた。
【0040】次いで、回転数を20rpmまで落とし、実
施例1の円柱押し付け体4をシリンダ2の内部長手方向
に挿入してゆっくりと載置し、シリンダ2の内部下方で
自由回転していることを確認し、徐々に回転数を200
rpmまで上昇させた。このとき、温度を80℃に維持し
た。この状態で20分間保持し、温度を170℃まで上
昇させて60分間保持し、室温まで冷却した。そしてそ
の後、シリンダ2から樹脂材料層5を脱型し、樹脂材料
層5の両端部をそれぞれ25mmカットし、シームレスベ
ルトを製造した。
【0041】こうして得られたシームレスベルトの厚さ
を、長さ方向2mm毎に149点測定したところ、平均値
100.5μm、最小値99.1μm、最大値101.9
μm、標準偏差0.48μmであった。
【0042】比較例2 円柱押し付け体4を使用しないほかは、実施例2と同様
の材料、製造方法でシームレスベルトを製造した。得ら
れたシームレスベルトの厚さを、長さ方向2mm毎に14
9点測定したところ、平均値100.3μm、最小値9
2.5μm、最大値109.2μm、標準偏差3.07μ
mであった。
【0043】
【発明の効果】以上のように請求項1記載の発明によれ
ば、シームレスベルトを高い厚さ寸法精度で製造するこ
とができるという効果がある。また、請求項2記載の発
明によれば、金型を回転させながら加熱するので、樹脂
材料の粘度低減、有機溶媒の蒸発、及び又は樹脂材料の
硬化反応等を促進させることが可能になる。さらに、請
求項3記載の発明によれば、注入時の樹脂材料の取り扱
いの容易化が期待でき、金型の内周面に樹脂材料層を遠
心力で適切に押し付けることができる。また、樹脂材料
の母材強度が密着強度に負けることがなく、しかも、樹
脂材料層の厚さを比較的短時間で均一化することが可能
になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシームレスベルトの製造方法の実
施形態を示す正面説明図である。
【図2】図1の側面説明図である。
【符号の説明】
1 遠心成形装置 2 シリンダ(金型) 3 駆動ロール 4 円柱押し付け体 5 樹脂材料層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 15/02 101 G03G 15/02 101 4F213 15/16 15/16 21/00 21/00 // B29L 29:00 (72)発明者 日比 登代次 東京都中央区日本橋本町4丁目3番5号 信越ポリマー株式会社内 Fターム(参考) 2H003 AA00 CC04 2H032 BA09 BA18 DA13 2H034 FA00 2H068 AA52 AA55 BB50 EA04 EA07 4F205 AA40 AG16 AH81 GA01 GB01 GF27 GN01 GN04 4F213 AA40 AG16 AH81 WA03 WA56 WA83 WB01 WC01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ほぼ管形の金型と、この金型の内径より
    も小さい外径に形成され、中心軸を中心に自由回転可能
    な円柱押し付け体とを含み、これら金型と円柱押し付け
    体とを用いてシームレスベルトを遠心成形法により製造
    するシームレスベルトの製造方法であって、 該金型に樹脂材料を注入し、該金型を回転させてその内
    周面に該樹脂材料を押し付けて樹脂材料層を形成し、こ
    の樹脂材料層の流動性喪失前にその内周面に上記円柱押
    し付け体を接触回転させるとともに、この状態で該樹脂
    材料層を流動しない状態に固化させ、上記金型から該樹
    脂材料層を脱型することを特徴とするシームレスベルト
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記金型を回転させながら加熱する請求
    項1記載のシームレスベルトの製造方法。
  3. 【請求項3】 上記金型に粘度値が50,000cp以
    下の樹脂材料を注入し、上記樹脂材料層の粘度値が2
    0,000cp〜2,000,000cpのときに該樹
    脂材料層の内周面に上記円柱押し付け体を接触回転させ
    る請求項1又は2記載のシームレスベルトの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004035287A1 (ja) * 2002-10-16 2004-04-29 Showa Highpolymer Co., Ltd. 管部材の製造方法及び管部材用製造装置
JP2007225943A (ja) * 2006-02-24 2007-09-06 Ricoh Co Ltd シームレスベルト及びそれを用いた画像形成装置
JP2017087455A (ja) * 2015-11-04 2017-05-25 石川樹脂工業株式会社 一次成形品の二次成形方法及び二次成形装置

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