JP2000114840A - 車両用ガラスアンテナ - Google Patents

車両用ガラスアンテナ

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JP2000114840A
JP2000114840A JP10283741A JP28374198A JP2000114840A JP 2000114840 A JP2000114840 A JP 2000114840A JP 10283741 A JP10283741 A JP 10283741A JP 28374198 A JP28374198 A JP 28374198A JP 2000114840 A JP2000114840 A JP 2000114840A
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宏征 藤井
Buichi Kitai
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Abstract

(57)【要約】 【目的】実用に供しうる自動車電話、携帯電話、パーソ
ナル無線、業務用無線、PHSなどの極超短波帯の電波
を送受信したり、UHF帯のTV放送波などの電波を受
信するに好適なガラスアンテナを提供する。 【構成】自動車等移動体の窓ガラスに配設するガラスア
ンテナであって、第1の水平線条と第1の垂直線条をL
字状に接続形成した第1の主エレメントと、該第1の水
平線条より移動体の金属ボディ側に第1の水平線条と平
行な第2の水平線条と第2の垂直線条をL字状に接続形
成した第2の主エレメントとからなり、前記各水平線条
の先端を同軸ケーブルの内部導線と外部導線とにそれぞ
れ接続するようにし、該第2の主エレメントの水平線条
と垂直線条の交点近傍、及び前記第1の垂直線条の延長
線と第2の水平線条との交点近傍の少なくとも1カ所よ
り分岐して移動体の金属ボディに接近する方向に向けて
補助エレメントを配設し高周波的に容量結合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車等車両の窓ガ
ラスに設けたガラスアンテナに関し、特に自動車電話、
携帯電話、パーソナル無線、業務用無線、PHSなどの
極超短波帯の電波を送受信したり、UHF帯のTV放送
波などの電波を受信するに好適なガラスアンテナに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術とその問題点】従来、自動車用電話、携帯
電話を送受信するための車両用アンテナとして、ポール
アンテナが実用化されているが、車体から突出した構造
となっているので、安全上、外観上好ましくないばかり
でなく、洗車時に支障になり、さらに折損の恐れがある
などの欠点があった。
【0003】そのため近年、ポールアンテナ等の突起物
のないガラスアンテナが要望されるようになり特開平6
−314921号、特開平7−122918号などが提
案され、送受信利得もポールアンテナに比較して同等の
ものが実用化されるようになった。
【0004】しかしながら、これらの自動車電話用また
は携帯電話用ガラスアンテナはエレメントの全長を調節
することによって、800MHz帯、または1500M
Hz帯のいずれの周波数帯域をもカバーできるものであ
るが、1つのアンテナパターンで同時に前記2種類の周
波数帯域を使用することはできず、実際に使用する場合
には、いずれか一方の帯域のみを予め選択せざるを得な
かった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような点
に鑑みてなされたものであり、1つのアンテナパターン
で、800MHz帯域と1500MHz帯域の両帯域で
実用に供しうる自動車電話、携帯電話のアンテナとして
好適であり、さらにパーソナル無線用、業務用無線、P
HS、UHF帯のTV放送波などを送受信することも可
能な車両用ガラスアンテナを提供することを目的とす
る。
【0006】本発明は、自動車等移動体の窓ガラスに配
設するガラスアンテナであって、第1の水平線条と第1
の垂直線条をL字状に接続形成した第1の主エレメント
と、該第1の水平線条より移動体の金属ボディ側に第1
の水平線条と平行な第2の水平線条と第2の垂直線条を
L字状に接続形成した第2の主エレメントとからなり、
前記各水平線条の先端を同軸ケーブルの内部導線と外部
導線とにそれぞれ接続するようにし、該第2の主エレメ
ントの水平線条と垂直線条の交点近傍、及び前記第1の
垂直線条の延長線と第2の水平線条との交点近傍の少な
くとも1カ所より分岐して移動体の金属ボディに接近す
る方向に向けて補助エレメントを配設し高周波的に容量
結合することを特徴とするものであり、さらに、前記補
助エレメントがT字状、L字状、工の字状、王の字状の
線条、あるいは多角形状、異形状の帯状であり、さらに
また、前記垂直線条、又は水平線条が1本又は複数本の
線条、あるいは幅広の帯状からなるものであり、好まし
くは、第1の主エレメントの全長がλα(1+2n)*
(1±0.15)/4(λ:送受信電波の波長、α:ガ
ラスの波長短縮率、n:0〜3の整数)となるように
し、さらには、第2の主エレメントの全長がλα(1+
2m)*(1±0.15)/4(λ:送受信電波の波
長、α:ガラスの波長短縮率、m:0〜3の整数)とな
るようにした車両用ガラスアンテナを提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
を詳細に説明する。図1〜図5はそれぞれ本発明の実施
例1〜実施例5のアンテナ部分を示す要部詳細図、図6
は本発明の実施例3と実施例5のガラスアンテナを自動
車用後部窓ガラスに設けた正面図、図7〜図9はそれぞ
れ実施例1〜実施例3におけるガラスアンテナのVSW
Rの周波数特性図を示す。
【0008】本発明は、第1の垂直線条の先端に第1の
水平線条を接続し、L字状とした第1の主エレメント3
と、これとは別に設けた第2の垂直線条の先端に、第2
の水平線条を接続し、該第2の水平線条を前記第1の水
平線条に平行とし、かつ第1の水平線条より移動体の金
属ボディ20に接近させて設けたL字状の第2の主エレ
メント4と、該第2の主エレメント4の水平線条と垂直
線条の交点近傍、及び前記第1の垂直線条の延長線と第
2の水平線条との交点近傍の少なくとも1カ所より移動
体の金属ボディ20に接近する方向に向けて補助エレメ
ントを接続し、高周波的に容量結合したものである。
【0009】該補助エレメントがT字状、L字状、工の
字状、王の字状の線条、あるいは多角形状、異形状の帯
状で構成され、800MHz帯域と1500MHz帯域
の両帯域で送受信利得を向上させたガラスアンテナであ
る。
【0010】これについては、第1の主エレメント3が
その垂直線条により垂直偏波である自動車電話用の電波
などを好適に送受信し、この垂直線条に水平線条を加
え、特にその合計長さをλα(1+2n)*(1±0.
15)/4(λ:送受信電波の波長、α:ガラスの波長
短縮率、n:0〜3の整数)の範囲とすると効率よく電
波を送受信することができ、さらに第2の主エレメント
4の垂直線条も同様に垂直偏波の電波を好適に送受信
し、この垂直線条に接続される水平線条を加えた合計長
さを特にλα(1+2m)*(1±0.15)/4
(λ:送受信電波の波長、α:ガラスの波長短縮率、
m:0〜3の整数)の範囲とすると効率よく電波を送受
信することができ、これら第1の主エレメント3と第2
の主エレメント4により800MHz帯域の周波数につ
いて高利得の性能を得ることができ、さらに、第2の主
エレメント4の水平線条に1つ又は複数の補助エレメン
トを接続することにより、アンテナとフィーダのインピ
ーダンス整合を行い、1500MHz帯の高帯域の周波
数についても効率よく送受信することができるようにし
たものである。
【0011】[実施例1]自動車等の後部窓に装着する
ガラス面に設けたアンテナであり、図1に示すように、
長さ66mmの第1の水平線条と長さ77mmの第1の
垂直線条をL字状に接続形成して第1の主エレメント3
を設け、この第1の水平線条より移動体の金属ボディ2
0側に第1の水平線条と平行な長さが150mmの第2
の水平線条と長さが86mmの第2の垂直線条をL字状
に接続形成して第2の主エレメント4を設ける。
【0012】さらに、該第1の垂直線条の延長線と第2
の水平線条との交点近傍に移動体の金属ボディ20に接
近する方向に垂直線条を接続し、その先端に水平線条を
接続したT字状の第1の補助エレメント11を配設し、
前記第2の主エレメント4の水平線条と垂直線条の交点
近傍に移動体の金属ボディ20に接近する方向に垂直線
条を接続し、その先端に水平線条を接続したT字状の第
2の補助エレメント12を配設し、それぞれを車輌の金
属ボディ20と高周波的に容量結合するようにした。
【0013】前記補助エレメント11は、第2の水平線
条との分岐点より接続した垂直線条の長さを20mmと
し、その垂直線条の先端より給電点側方向、および給電
点側とは反対方向の両方向に水平線条を接続し、その長
さをそれぞれ20mm、20mmとした。
【0014】前記補助エレメント12は、第2の垂直線
条と第2の水平線条との交点近傍より接続した垂直線条
の長さを20mmとし、その垂直線条の先端より給電点
側方向、および給電点側とは反対方向の両方向水平線条
を接続して設け、その長さをそれぞれ20mm、20m
mとした。
【0015】本発明のアンテナを、ガラス板の表面に導
電ペーストによりスクリーン印刷し、焼成してアンテナ
付き窓ガラスを形成した。
【0016】このような窓ガラスを車輌等の後部開口部
に装着した後、第1の主エレメント3の端部を第1の給
電点8、第2の主エレメント4の端部を第2の給電点9
として、それぞれ同軸ケーブル10の内部導線と外部導
線に接続する。
【0017】第1の主エレメント3の水平線条とこの線
条に近接して配設した第2の主エレメント4の水平線条
との間隔を2mmとしたことによって800MHz〜9
60MHzの自動車電話帯の垂直偏波における送受信利
得が最も高く、1420〜1510の自動車電話帯にお
いても送受信利得が高くなるようにチューニングした。
【0018】続いて、第2の主エレメント4より自動車
の金属ボディ20に近づく方向に設けた前記T字形の補
助エレメントを設けたことによって、1420〜151
0MHz帯域の自動車電話帯の垂直偏波における送受信
利得をさらに向上でき、インピーダンスも低下した。
【0019】従来の自動車電話用ガラスアンテナの送受
信利得を0dBとしたときの利得差(以下、従来のアン
テナ比と略称する)で示すと、800MHz帯の平均で
+0.3dB、1500MHz帯の平均で+0.5dB
となり、従来の実用に供されているガラスアンテナの送
受信利得を上回る良好な結果が得られた。
【0020】また、このアンテナのVSWRの周波数特
性図を測定したところ、図7に示す通りであり、800
MHz帯と1500MHz帯の両帯域で実用に供し得る
ものであることがわかる。
【0021】尚、本実施例において、送受信周波数が8
00〜960MHzの帯域における中心周波数が880
MHzであるので、λは約340mmとなり、αを0.
6、nを1としてλα(1+2n)/4が約153mm
であり、3λα(1±0.15)/4は130mm〜1
76mmであるので、第1の主エレメント3の垂直線条
から水平線条の第1の給電点までの合計した長さa+b
は143mmで3λα(1±0.15)/4の範囲内に
あり、αを0.6としてmを2としてλα(1+2m)
/4が約255mmであり、5λα(1±0.15)/
4は216mm〜293mmであるので、第2の主エレ
メント4の垂直線条から水平線条の第2の給電点までの
合計した長さc+dは236mmであるので、5λα
(1±0.15)/4の範囲内にある。
【0022】[実施例2]図2に示すように、第1の主
エレメント3と第2の主エレメント4については実施例
1と同じ構成としたものであり、該第1の主エレメント
3の垂直線条の延長線と該第2の主エレメント4の水平
線条の交点近傍より、移動体の金属ボディ20に接近す
る方向に垂直線条を接続し、その先端より車両の金属ボ
ディ20と補助エレメント13とを高周波的に容量結合
するようにした。
【0023】該補助エレメント13は、第2の水平線条
との分岐点よりの垂直線条の長さを30mmとし、該分
岐点より20mm、30mmの各位置より給電点側に設
けた水平線状の長さをそれぞれ15mm、15mmと
し、同位置より給電点と反対側に接続して設けた水平線
条の長さをそれぞれ25mm、15mmとした。
【0024】本発明のアンテナを、ガラス板の表面に導
電ペーストによりスクリーン印刷し、焼成してアンテナ
付き窓ガラスを形成した。
【0025】第1の主エレメント3の水平線条とこの線
条に近接して配設した第2の主エレメント4の水平線条
との間隔を2mmとし、800MHz〜960MHzの
自動車電話帯の垂直偏波における送受信利得が最も高く
なるようにチューニングした。
【0026】続いて、第2の主エレメント4より自動車
の金属ボディ20に近づく方向に設けた前記エ字形の補
助エレメント13を、1420〜1510MHzの自動
車電話帯の垂直偏波における送受信利得が最も高くなる
ようにチューニングした。
【0027】このような車両用のガラスアンテナを測定
し、従来のアンテナ比で示すと800〜960MHz帯
域の平均で−0.2dBとなり、1420〜1510M
Hz帯域の平均では+1.3dBとなり、従来の実用に
供されているガラスアンテナの送受信利得に近い良好な
結果が得られた。
【0028】また、このアンテナのVSWRの周波数特
性図を測定したところ、図8に示す通りであり、800
MHz帯と1500MHz帯の両帯域で実用に供し得る
ものであることがわかる。
【0029】[実施例3]図3に示すように、第1の主
エレメント3の水平線条の長さを77mmとし、垂直線
条として線幅を3mm、その長さを63mmのL字状と
した。また、第2の主エレメント4の水平線条の長さを
297mmとし、垂直線条として80mmの長さのもの
を2本平行に接続して設け、その間隔を10mmとした
L字状とした。
【0030】さらに、第1の主エレメント3の水平線条
とこの線条に近接して配設した第2の主エレメント4の
水平線条との間隔を3mmとした。さらにまた、第1の
垂直線条の延長線と第2の水平線条との交点近傍より、
車両の金属ボディ20に接近する方向に垂直線条を接続
し、その先端に王の字状の第1の補助エレメント14を
接続して配設し、車輌の金属ボディ20と第1の補助エ
レメント14を高周波的に容量結合するようにした。
【0031】さらにまた、第2の主エレメント4の水平
線条と垂直線条の交点近傍より、車両の金属ボディ20
に接近する方向に長さ20mmの垂直線条を接続し、そ
の先端より給電点側の方向に長さ20mmの水平線条を
接続して設けてL字状の第2の補助エレメント15と
し、車輌の金属ボディ20と第2の補助エレメント15
とを高周波的に容量結合するようにした。
【0032】前記王の字状の第1の補助エレメント14
は、第2の水平線条との分岐点よりの垂直線条の長さを
30mmとし、該分岐点より14mm、22mm、30
mmの各位置より給電点方向と給電点とは反対方向にそ
れぞれ水平線条を接続し、給電点側に設けた水平線状の
長さをそれぞれ20mm、20mm、15mmとし、同
様に同位置より給電点と反対側に設けた水平線条の長さ
をそれぞれ40mm、35mm、20mmとした。
【0033】以上の本発明のアンテナを、ガラス板の表
面に導電ペーストによりスクリーン印刷し、焼成してア
ンテナ付き窓ガラスを形成した。
【0034】このような車両用のガラスアンテナの第1
の主エレメント3と第2の主エレメント4によって、8
00MHz〜960MHz帯域の自動車電話帯の垂直偏
波における送受信利得が最も高くなるようにチューニン
グした。
【0035】続いて、第2の主エレメント4より自動車
の金属ボディ20に近づく方向に設けた前記L字形と王
字形の2つの補助エレメント14、15を、1420〜
1510MHz帯域の自動車電話帯の垂直偏波における
送受信利得が最も高くなるようにチューニングした。
【0036】このような車両用のガラスアンテナを測定
し、従来のアンテナ比で示すと800〜960MHz帯
域の平均で+0.6dBとなり、1420〜1510M
Hz帯域の平均では+1.5dBとなり、従来の実用に
供されているガラスアンテナの送受信利得を上回る良好
な結果が得られた。
【0037】また、このアンテナのVSWRの周波数特
性図を測定したところ、図9に示す通りであり、800
MHz帯と1500MHz帯の両帯域で実用に供し得る
ものであることがわかる。 [実施例4]図4に示すように、第1の主エレメント3
の水平線条として線幅を3mmとした幅広の線条の長さ
を15mmとし、垂直線条の長さを38mmとしてL字
状に接続したものと、第2の主エレメント4の水平線条
として線幅を3mmとした幅広の線条の長さを80mm
とし、垂直線条として67mmの長さとしてL字状に接
続し、さらに、第1の主エレメント3の水平線条とこの
線条に近接して配設した第2の主エレメント4の水平線
条との間隔を1mmとした。
【0038】さらにまた、第2の主エレメント4の水平
線条と垂直線条の交点近傍より、車両の金属ボディ20
に接近する方向に長さ20mmの垂直線条を接続し、該
垂直線条の先端より給電点側の方向に線幅5mmの幅広
の線条でその長さを20mmとした線条と、給電点側と
は反対方向に線幅5mmの幅広の線条でその長さを12
mmとした水平線条をT字状に接続して、補助エレメン
ト16とし、車輌の金属ボディ20と補助エレメント1
6とを高周波的に容量結合するようにした。
【0039】以上の本発明のアンテナを、ガラス板の表
面に導電ペーストによりスクリーン印刷し、焼成してア
ンテナ付き窓ガラスを形成した。このような車両用のガ
ラスアンテナの第1の主エレメント3と第2の主エレメ
ント4によって、800MHz〜960MHz帯域の自
動車電話帯の垂直偏波における送受信利得が最も高くな
るようにチューニングした。
【0040】続いて、第2の主エレメント4より自動車
の金属ボディ20に近づく方向に設けた前記T字形の補
助エレメント16を、1420〜1510MHz帯域の
自動車電話帯の垂直偏波における送受信利得が最も高く
なるようにチューニングした。
【0041】このような車両用のガラスアンテナを測定
して、従来のアンテナ比で示すと800〜960MHz
帯域の平均で+1.1dBとなり、1420〜1510
MHz帯域の平均では−0.2dBとなり、従来の実用
に供されているガラスアンテナの送受信利得に近い良好
な結果が得られ、800MHz帯と1500MHz帯の
両帯域で実用に供し得るものとなった。
【0042】[実施例5]図5に示すように、第1の主
エレメント3の水平線条の長さを90mmとし、垂直線
条の長さを63mmとしたL字状としたものである。ま
た、第2の主エレメント4の水平線条の長さを175m
mとし、垂直線条として72mmの長さのL字状とし
た。
【0043】さらに、第1の主エレメント3の水平線条
とこの線条に近接して配設した第2の主エレメント4の
水平線条との間隔を2mmとした。さらにまた、前記第
1の垂直線条の延長線と第2の水平線条との交点近傍よ
り、車両の金属ボディ20に接近する方向に25mmの
垂直線条を第2の水平線条より分岐するように接続し、
その先端に配設した略台形状の第1の補助エレメント1
7を接続した。
【0044】さらにまた、第2の主エレメント4の水平
線条と垂直線条の交点近傍より、車両の金属ボディ20
に接近する方向に長さ25mmの垂直線条を分岐するよ
うに接続し、その先端部に配設した三角形状の第2の補
助エレメント18を接続し、前記2つの補助エレメント
17、18は内部をべた状態とした。
【0045】以上の本発明のアンテナを、ガラス板1の
表面に導電ペーストによりスクリーン印刷し、焼成して
アンテナ付き窓ガラスを形成した。
【0046】このような車両用のガラスアンテナの第1
の主エレメント3と第2の主エレメント4によって、8
00MHz〜960MHz帯域の自動車電話帯の垂直偏
波における送受信利得が最も高くなるようにチューニン
グした。
【0047】続いて、第2の主エレメント4より自動車
の金属ボディ20に近づく方向に設けた前記べた状の三
角形とべた状の略台形の2つの補助エレメント18、1
7を、1420〜1510MHz帯域の自動車電話帯の
垂直偏波における送受信利得が最も高くなるようにチュ
ーニングした。
【0048】このような車両用のガラスアンテナによっ
て、自動車電話用としての従来のガラスアンテナの送受
信利得を0dBとしたときの利得差で示すと800〜9
60MHz帯域の平均で+0.5dBとなり、1420
〜1510MHz帯域の平均では+0.9dBとなり、
従来の実用に供されているガラスアンテナの送受信利得
を上回る良好な結果が得られた。
【0049】図6は、単板ガラスを車両の後部窓ガラス
として装着した例であり、板ガラス1の車内側には防曇
用の加熱線条2とともに、TV受信用のアンテナ6、ラ
ジオ受信用のアンテナ7が複数箇所設けられており、図
6の右側下部余白部に本発明の実施例3で示す自動車電
話用のガラスアンテナ5を設け、右側上部余白部には実
施例5で示す自動車電話用のガラスアンテナ5’を設け
たものであり、いずれか1カ所だけでも良いが、複数箇
所設けることによって、ダイバーシティ受信を可能とす
るものであり、2カ所に設けたガラスアンテナは同じパ
ターンであっても良く、また異なるパターンであっても
良い。
【0050】以上、好適な実施例により説明したが、本
発明はこれらに限定されるものではなく、種々の応用が
可能である。第1の主エレメントについては、垂直線条
から水平線条の第1の給電点までの合計した長さをλα
(1+2n)*(1±0.15)/4(λ:送受信電波
の波長、α:ガラスの波長短縮率、n:0〜3の整数)
の範囲内にすると好ましい。
【0051】第2の主エレメントについては、垂直線条
から水平線条の第2の給電点までの合計した長さをλα
(1+2m)*(1±0.15)/4(λ:送受信電波
の波長、α:ガラスの波長短縮率、m:0〜3の整数)
の範囲にすると好ましい。
【0052】また、第1の主エレメントと第2の主エレ
メントにおいて、水平線条の幅は0.3〜15mm、好
ましくは1〜10mmの範囲で幅広に適宜選択すること
により、広い範囲の周波数の電波に対して利得を向上さ
せる作用をしており、高帯域性のアンテナとすることが
できる。
【0053】なお、αはガラスの波長短縮率であり、8
00MHz〜960MHzの周波数帯域において約0.
6とすればよい。
【0054】給電について、実施例のように同軸ケーブ
ルの内部導線を第1の主エレメントに、外部導線を第2
の主エレメントに接続するようにした方が好ましいが、
逆に内部導線を第2の主エレメントに、外部導線を第1
の主エレメントに接続するようにしてもよい。
【0055】また、本発明のアンテナは後部窓ガラスの
加熱線条下部余白部、上部余白部以外にも、前部窓ガラ
ス、側部窓ガラスなどに設けてもよい。
【0056】また、904MHzを中心周波数とするパ
ーソナル無線、業務用無線、PHSなどの極超短波帯の
電波を送受信したり、470MHz〜770MHzのT
V放送波UHF帯などの受信アンテナとしても好適に使
用することができるものである。
【0057】補助エレメントについては、第2の主エレ
メント4より1カ所分岐するように設ければ良く、必ず
しも複数箇所に設ける必要はないが、車種によって送受
信利得特性、指向特性が不十分なときなどこれらの特性
を改善するために、必要に応じて設ければよい。
【0058】また、本発明のガラスアンテナは単独でも
使用可能であるが、後部窓ガラスの加熱線条の上部余白
部、下部余白部に設けたガラスアンテナ、前部窓ガラス
に設けたガラスアンテナ、側部窓ガラスに設けたガラス
アンテナあるいはポールアンテナなどと組み合わせてダ
イバーシティ受信を行うと、さらに好ましい結果を得る
ことができる。
【0059】また、後部窓ガラスとして、合わせガラス
を使用する場合には、銅線などの金属細線を中間膜に埋
め込んだものでもよい。
【0060】
【発明の効果】本発明のガラスアンテナは、第1の主エ
レメントと第2の主エレメントの双方で、800〜96
0MHz帯域の周波数を好適に送受信し、しかも双方の
水平線条を巧みに組み合わせることにより、アンテナの
インピ−ダンスを同軸ケ−ブルの特性値に広帯域にわた
り近似させることができ、また、第2の主エレメントか
ら車両の金属ボディ20に近づくような方向に1つ又は
複数の補助エレメントを分岐させて設け、前記金属ボデ
ィ20と容量結合させるようにしたことにより、142
0〜1510MHz帯域における周波数を好適に受信
し、その結果、800MHz帯と1500MHz帯の両
帯域で高利得なアンテナ性能を有する自動車電話、携帯
電話、パーソナル無線、業務用無線、PHSなどの極超
短波の送受信アンテナとして特に好適なもので、実用レ
ベルまで利得を向上させるものである。
【0061】さらにUHF帯のTV放送波も好適に受信
することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1のアンテナ部分を示す要部詳
細図。
【図2】本発明の実施例2のアンテナ部分を示す要部詳
細図。
【図3】本発明の実施例3のアンテナ部分を示す要部詳
細図。
【図4】本発明の実施例4のアンテナ部分を示す要部詳
細図。
【図5】本発明の実施例5のアンテナ部分を示す要部詳
細図。
【図6】本発明の実施例3と実施例5のガラスアンテナ
を自動車用後部窓ガラスに設けた正面図。
【図7】本発明の実施例1におけるガラスアンテナのV
SWRの周波数特性図。
【図8】本発明の実施例2におけるガラスアンテナのV
SWRの周波数特性図。
【図9】本発明の実施例3におけるガラスアンテナのV
SWRの周波数特性図。
【符号の説明】
1 板ガラス 2 防曇用の加熱線条 3 第1のエレメント 4 第2のエレメント 5、5’ 本発明のアンテナ 6 TV受信用アンテナ 7 ラジオ受信用アンテナ 8 第1の給電点 9 第2の給電点 10 同軸ケーブル 11〜18 補助エレメント 20 金属ボディ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】自動車等移動体の窓ガラスに配設するガラ
    スアンテナであって、第1の水平線条と第1の垂直線条
    をL字状に接続形成した第1の主エレメントと、該第1
    の水平線条より移動体の金属ボディ側に第1の水平線条
    と平行な第2の水平線条と第2の垂直線条をL字状に接
    続形成した第2の主エレメントとからなり、前記各水平
    線条の先端を同軸ケーブルの内部導線と外部導線とにそ
    れぞれ接続するようにし、該第2の主エレメントの水平
    線条と垂直線条の交点近傍、及び前記第1の垂直線条の
    延長線と第2の水平線条との交点近傍の少なくとも1カ
    所より分岐して移動体の金属ボディに接近する方向に向
    けて補助エレメントを配設し高周波的に容量結合するこ
    とを特徴とする車両用ガラスアンテナ。
  2. 【請求項2】前記補助エレメントがT字状、L字状、工
    の字状、王の字状の線条、あるいは多角形状、異形状の
    帯状であることを特徴とする請求項1記載の車両用ガラ
    スアンテナ。
  3. 【請求項3】前記垂直線条、又は水平線条が1本又は複
    数本の線条、あるいは幅広の帯状からなることを特徴と
    する請求項1乃至2記載の車両用ガラスアンテナ。
  4. 【請求項4】第1の主エレメントの全長がλα(1+2
    n)*(1±0.15)/4(λ:送受信電波の波長、
    α:ガラスの波長短縮率、n:0〜3の整数)となるよ
    うにしたことを特徴とする請求項1乃至3記載の車両用
    ガラスアンテナ。
  5. 【請求項5】第2の主エレメントの全長がλα(1+2
    m)*(1±0.15)/4(λ:送受信電波の波長、
    α:ガラスの波長短縮率、m:0〜3の整数)となるよ
    うにしたことを特徴とする請求項1乃至4記載の車両用
    ガラスアンテナ。
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