JP2000110520A - 摺動部品 - Google Patents

摺動部品

Info

Publication number
JP2000110520A
JP2000110520A JP10294472A JP29447298A JP2000110520A JP 2000110520 A JP2000110520 A JP 2000110520A JP 10294472 A JP10294472 A JP 10294472A JP 29447298 A JP29447298 A JP 29447298A JP 2000110520 A JP2000110520 A JP 2000110520A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sliding
cam
wear
crowning
main
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10294472A
Other languages
English (en)
Inventor
Manabu Okinaka
学 沖中
Masahito Taniguchi
雅人 谷口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Spark Plug Co Ltd filed Critical NGK Spark Plug Co Ltd
Priority to JP10294472A priority Critical patent/JP2000110520A/ja
Publication of JP2000110520A publication Critical patent/JP2000110520A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Valve-Gear Or Valve Arrangements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 カム摺動面の面圧が高くなっても、摩耗が少
なく耐久性の高い摺動部品を得る。 【解決手段】 摺動部品本体2に凹部5を形成する。セ
ラミック部材21は一主面をカム摺動面24として平面
に、反対主面をクラウニング面22に形成する。このセ
ラミック部材21のクラウニング面22を本体2の凹部
に着座させ、傾斜した状態で回転可能で、同本体2から
分離不能に収容する。カム31とカム摺動面24が摺動
する際、カム摺動面24は平面であるから、面圧が小さ
く摩耗も少ない。また反対のクラウニング面22が本体
2との摺動を成すがカム摺動面24のような過酷な摺動
でないから摩耗は少い。これより反対面のクラウニング
の減少は僅かであり、セラミック部材21の回転性の低
下も少ない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジン(内燃機
関)の吸・排気弁などの動弁機構を駆動させるバルブリ
フタ、タペットなどの摺動部品、さらには燃料噴射ポン
プ部品などにおけるカムとの摺動面を構成する摺動部品
に関する。
【0002】
【従来の技術】動弁機構を構成するバルブリフタなどの
摺動部品のうち、カム当り面をなす摺動面(以下、カム
摺動面という)には、円盤状の平坦な板或いは円柱状を
成すセラミックチップなどの耐摩耗部材(以下、セラミ
ックチップ又はチップともいう)がロー付けや圧入など
で固着され、そのセラミックチップの面(露出面)をカ
ム摺動面とすることで耐摩耗性の向上が図られている。
ところで、このような摺動部品のカム摺動面は、中央部
を外縁(外周部)より、1〜数十μm高くし、緩勾配の
山形とするクラウニング形状(曲率半径の大きい凸球面
状)とされる。これは、相手部材であるカムの摺動面に
緩やかなテーパーを施して両者をカム摺動面の中心から
偏心した位置で接触させて、カムの回転による運動にと
もなって適当なトルクを発生させ、摺動部品をカム摺動
面中央に垂直な軸線回りに回転させることにより、摩擦
抵抗の低減、油膜切れの回避、片当りによる偏摩耗の防
止を図るためである。
【0003】このようなクラウニング形状とされるカム
摺動面は、相手部材(カム)との過酷な摺動を円滑にす
るために鏡面状態(Ra(中心線平均粗さ):0.05
μm以下)とすることが必要とされる。このような鏡面
は寸法精度を高めるため、焼結後の耐摩耗部材を研磨す
ることで得ることになる。この方法は、クラウニングが
なければ平面研磨となるため比較的低コストですむが、
クラウニングがある場合には三次元曲面であることか
ら、その加工コストが著しく高くなる。
【0004】一方、環境規制水準の高まりにより、燃焼
性の向上を目的として、マルチバルブ化やリフト量の増
大、燃料噴射圧力の増大が要求されている。これによ
り、こうした摺動部品のカム摺動面にかかる面圧(単位
面積当りの圧力)も益々増大している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
摺動部品では、そのカム摺動面に片当りの防止用にクラ
ウニングが付与されているが、反面、それが平面(平
坦)でないためにカムの接触面積が少なく、その分、平
面からなるカム摺動面に比べると面圧が高くなる。加え
て前記のように燃焼性の向上を達成すべく、カムの面圧
は益々高まっていることに基づき、カム摺動面の早期摩
耗の増大、ないしこれによる摺動部品の耐久性の低下が
問題となっている。
【0006】このように、片当たりによる偏摩耗を防
ぎ、回転性を保持するために付与されるクラウニング
も、燃焼性の向上の要請に伴う面圧の上昇により、その
摩耗が早く、期待される寿命が維持されないことがある
といった問題が浮上してきた。本発明は、こうした問題
点に鑑みて成されたもので、カム摺動面の面圧が高くな
っても、摩耗が少なく耐久性の高い摺動部品を提供する
ことをその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、カム摺動面を構成する耐摩
耗部材が摺動部品本体に取付けられてなる摺動部品にお
いて、前記摺動部品本体に凹部を形成する一方、前記耐
摩耗部材をその上下両主面のうちの一方を平面に、他方
をクラウニング形状に形成し、該耐摩耗部材を前記摺動
部品本体の凹部内に、クラウニング形状に形成した主面
を該凹部の底面側にして収容し、前記平面をカム摺動面
として傾斜させた状態の下で前記底面側の主面において
摺動回転可能にすると共に該摺動部品本体から分離不能
にしたことを特徴とする。
【0008】前記手段では耐摩耗部材は従来のようにロ
ー付けなどで固着されず、換言すれば遊嵌状態で本体の
凹部に収容されており、しかも、その着座面側がクラウ
ニング形状となっている。このため、耐摩耗部材は、偏
心位置にて摺動するカムとの摺動時にはそのクラウニン
グ形状などに対応し、カム摺動面をなす平面が片勾配状
に微小角度傾斜し、その下で、カム摺動面をなす平面
(以下、カム摺動面ともいう)の中央(の垂直軸)を中
心して凹部内にて摺動回転する。
【0009】このように、耐摩耗部材はカム摺動面を傾
斜させて摺動回転(以下、単に回転ともいう)する。一
方、カム摺動面は平面であるためにカムとの接触面積が
大きくとれ、したがって面圧も従来のカム摺動面がクラ
ウニング形状のものより小さくなるから、カム摺動面の
摩耗を小さくできる。すなわち、燃焼性の向上の要請に
より、カムから受ける面圧が増大しても、カム摺動面の
摩耗を低減できる。
【0010】つまり、従来の摺動部品におけるカム摺動
面のクラウニング量(外周縁から頂点までの高さ)は、
相手部材たるカム(テーパ)に対応して適宜に設計され
るが、そのクラウニング形状をなす主面の直径(摺動
径)が例えば12mmのチップでは1〜8μmである。
そして、カム摺動面の摩耗はロー付けや圧入等で本体側
に固着された従来のものでは、カム摺動面がクラウニン
グ形状であるため、面圧も高く摩耗が大きい(摩耗が早
い)。したがって早期に片当たりとなりやすく、摺動部
品の回転性能が早期に低下する。
【0011】これに対して本発明ではカム摺動面が平面
で面圧が小さく摩耗も少ない。そして、カム摺動面と反
対の本体への着座面(以下、反対面ともいう)側をクラ
ウニング形状とし、このクラウニング形状をなす主面
(以下、クラウニング面ともいう)で、本体(凹部底
面)と摺動させて耐摩耗部材自体を本体に対して回転さ
せるようにし、カムの片当たりを防止したものである。
そして、この回転において、クラウニング面は本体との
摺動を成すところであり、カム摺動面のような過酷な摺
動にはならないから摩耗は僅かである。つまり、反対面
のクラウニングの減少は僅かであり、これにより摺動部
品の回転性の低下も少なく、耐久性の高い耐摩耗部材と
なすことができる。
【0012】しかも、本発明によれば、カム摺動面は平
面であるから、その面を焼結後、鏡面状態に研磨すると
しても低コストですむ。一方で、凹部の底面側のクラウ
ニング形状をなす主面の表面粗さは、カムとの摺動をし
ないから鏡面とする必要はなく、Ra(中心線平均粗
さ):1.0μm以下とすればよい。そして、このよう
な水準の表面仕上げ精度はバレル研磨で得られるからコ
ストアップを招くこともない。
【0013】前記手段では、耐摩耗部材のカム摺動面を
平面としたが、このカム摺動面もクラウニング形状とし
てもよい。すなわち、請求項2記載の本発明は、カム摺
動面を構成する耐摩耗部材が摺動部品本体に取付けられ
てなる摺動部品において、前記摺動部品本体に凹部を形
成する一方、前記耐摩耗部材をその上下両主面をクラウ
ニング形状に形成し、該耐摩耗部材を前記摺動部品本体
の凹部内に、一方の主面を該凹部の底面側にして収容
し、他方の主面をカム摺動面として傾斜させた状態の下
で前記底面側の主面において摺動回転可能にすると共に
該摺動部品本体から分離不能にしたことを特徴とする。
【0014】このようにした場合には、カム摺動面はカ
ムとの面圧が高くなるものの、耐摩耗部材が本体の凹部
内にて摺動するために、カム摺動面の摩耗はロー付けさ
れたもののように発生することはない。つまり、耐摩耗
部材の回転摺動により、カム摺動面におけるカムとの摺
動抵抗が低減されるため、カム摺動面の摩耗は従来のク
ラウニング形状のカム摺動面よりも小さく、したがっ
て、耐摩耗部材の回転性の低下も小さい。そして、この
ものでも、カム摺動面と反対面のクラウニング面は鏡面
仕上げする必要はなく、Ra(中心線平均粗さ):1.
0μm以下とすればよい。したがって、従来のカム摺動
面側のみが鏡面仕上げでクラウニング形状とされたもの
と同じ研磨工程で実現できるから、それと同様のコスト
で製造できる。
【0015】なお、従来の摺動部品のカム摺動面のクラ
ウニング量は、相手部材であるカムのテーパに対応して
適宜に設定されるが、本発明のように凹部側の主面にク
ラウニングをつける場合には、前記耐摩耗部材の凹部の
底面側のクラウニング形状をなす主面の直径をDとし、
該主面のクラウニング量(クラウニング面の外縁から中
央の頂点までの高さ)をCとしたとき、C/Dを、6×
10-4〜7×10-3の範囲とするとよい。C/Dが、6
×10-4以下だと、カム摺動面の傾斜が少なく、片当た
り防止に不十分なためである。また、C/Dが、7×1
-3を超えるようだと、今度はカム摺動面の傾斜が大き
くなり、カムとの摺動による回転が不安定となるためで
ある。これよりカム摺動面と反対面のクラウニング量
(高さ)は、例えばクラウニング形状をなす主面の直径
をDがφ11mmで、7〜80μmの範囲が適切であ
る。なお、前記耐摩耗部材の凹部の底面側のクラウニン
グ形状をなす主面の曲率半径(球R)が、200mm〜
1600mmの範囲が好ましい。なお、両主面にクラウ
ニングを付ける場合には、反対面のクラウニング量を大
きくするのが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1の摺動部品の実
施の形態について、図1〜3を参照して詳細に説明す
る。図中、1は、本発明に係る摺動部品(本例では、燃
料噴射ポンプ用のシュー)であり、摺動部品本体(以
下、本体という)2は例えばS50C或いはSCM41
5などの焼き入れ鋼からなり逆カップ形状に形成され、
上部(カップ底板)の中央には図示しない被駆動側部品
への取付け用ボス3が突出状に形成されている。そし
て、その下面4の中央には所定の直径をもつ平面視円形
の凹部(空孔)5が所定の深さで本体2に同心状に設け
られている。
【0017】一方、この凹部5に対しては、耐摩耗部材
としてセラミック部材21が収容されている。セラミッ
ク部材21は、その外径(直径)D1が凹部5の内径よ
りやや小さい略円盤状を成し、その上面(図示上の主
面)22がクラウニング形状(凸球面状)に形成され、
本例では、その外周縁に45度で面取23が付けられて
いる。そしてカム摺動面24をなす下面(図示下の主
面)は平面に形成され、その外周縁25にはαが30度
の面取25が付けられている。なお本例でのセラミック
部材21は直径D1が12mmで、最大厚さ4mm、凹
部5の底面6側のクラウニング面の周縁の面取23がC
0.5mmとされ、上面22のうち、凹部5の底面側の
クラウニング形状をなす主面の直径をDを11mmとし
ている。そしてクラウニング量Cは30μmに設定され
ている。なお、カム摺動面24側の面取25は、厚み方
向に1.5mmにわたり形成される。
【0018】そして本例では、セラミック部材21は、
本体2の凹部5にクラウニング形状をなす上面(以下、
クラウニング面ともいう)22を上にして収容され、凹
部5の底面6に着座するように構成されている。ただ
し、本例では、セラミック部材21の自重によりカムが
圧接されていないときは、凹部5の底面6に接触するこ
となく、若干の隙間が保持されるような遊嵌状態になる
ように構成されている。なお、凹部5の開口端の内周縁
には、セラミック部材21を収容した後セラミック部材
21のカム摺動面側の外周縁の面取25に掛かるよう
に、その開口端に沿ってリング状をなすように凸部7が
設けられ、セラミック部材21が本体2から分離しない
ように構成されている。なお、この凸部7はセラミック
部材21の収容前は、下向きに凸設された状態にあり、
収容後内側へかしめられたものである。そして、セラミ
ック部材21はカム摺動面24を成す平面が本体2の下
面4より下側に露出するように構成されるとともに、同
平面は微小角度θ(例えば0度2分〜0度5分)傾斜
し、凹部5内にて摺動回転するように収容されている。
【0019】しかして、このような摺動部品1をなすセ
ラミック部材21にカムが摺動するときは次のようであ
る。すなわち図3に示したように、セラミック部材21
はそのカム摺動面24の図示右側がカム31に押さえら
れ、カム摺動面24の垂直軸J1は本体2の軸J2に対
し微小角度θ傾斜した状態となり、その状態の下でカム
31がその回転軸J3回りに回転してカム摺動面24と
摺動して摺動部品1を上下に駆動する。このとき、セラ
ミック部材21はその摺動によって凹部5内で片勾配状
になり、そのクラウニング面22と凹部5の底面6とで
摺動回転する。
【0020】すなわち、本例では凹部5内でセラミック
部材21を回転させることで、従来の摺動部品自体の回
転の代わりをなさしめたものである。したがって、エン
ジン(燃料噴射ポンプ)に組込まれて使用される際に
は、セラミック部材21のみが回転する。つまり、セラ
ミック部材21はロー付けなどで固着されず、遊嵌状態
で本体2の凹部5に収容されており、しかも、反対面が
クラウニング形状となっているため、偏心位置にて摺動
するカム31との摺動時にはそのクラウニング形状に対
応し、カム摺動面24をなす平面が片勾配状に傾斜し、
その下で、同平面の中心軸J1を中心としてセラミック
部材21は凹部5内にて回転する。この際、カム摺動面
24は平面であるためにカム31との接触面積が大き
く、したがって面圧も従来のカム摺動面がクラウニング
形状のものより小さくなるから、同カム摺動面24の摩
耗を小さくできる。すなわち、燃焼性の向上の要請によ
り、カム31から受ける面圧が増大しても、カム摺動面
24の摩耗を低減できる。
【0021】なお、このようなセラミック部材21は、
セラミックを主成分とする原料粉体をその形状を成すよ
うにプレス成形し、これを焼成し、その後、バレル研磨
にかけ、そしてカム摺動面24のみをダイヤモンド砥石
にて鏡面状態に研磨仕上げすることで製造される。この
際において鏡面仕上げをなす面は平面であるから、低コ
ストで仕上げられる。なお、耐摩耗部材の材質は、高硬
度、高耐摩耗性、機械的強度に優れる、窒化けい素、炭
化けい素、或いはジルコニアを主成分とするセラミック
とするのが適切である。また、カム摺動面の反対面の仕
上げ手法は焼成・バレル研磨後、ダイヤモンド砥石にて
鏡面研磨、球面形状とする工法によって仕上げてもバレ
ル仕上品と同等以上の性能を得ることができ、何等変わ
りがない。
【0022】なお、前記においてはセラミック部材21
の本体2からの分離防止手段として、開口端の周縁に沿
ってリング状に凸部7を設け、これを凹部5の内側にセ
ラミック部材21を収容した後、かしめた場合を例示し
たが、この凸部7に代えて多数の爪を間隔をおいてリン
グ状に配置しておき、これを内側にかしめてもよい。ま
た、図4に示したように、前記形態において、別部品と
してバネ性のある穴用同心止め輪などの有端リング17
を、凹部5の内周面5aの開口端寄り部位に周設した溝
18に嵌着しても良いなど適宜の手段とし得る。
【0023】図5は、請求項2記載の摺動部品41の実
施形態例を示したものであるが、前記の摺動部品におけ
るセラミック部材21のカム摺動面24にもクラウニン
グをつけた点のみが相違するだけで、前記形態と本質的
相違はないので、同一の部位には同一の符号を付すに止
め、同相違点のみ説明する。すなわち、本例のようにカ
ム摺動面34もクラウニング形状とした場合には、カム
摺動面34はカム31との面圧が高くなる。しかし、セ
ラミック部材21がカム31との摺動によって本体2の
凹部5内にて摺動回転するために、カム摺動面34の摩
耗は摺動部品本体2にロー付けされた従来のものと異な
って少ない。したがって、耐摩耗部材としての回転性の
低下も小さい。なお、カム摺動面34のクラウニング量
は反対面のクラウニング量より小さくするのが好まし
い。
【0024】次に図1の摺動部品サンプル(請求項1記
載の実施例品)を各3個づつ製造し、ガソリンエンジン
の燃料噴射ポンプに組込み、カムクリアランス:0.5
mm、エンジン回転数:2500rpmの条件で、50
00時間の耐久試験(エンジン試験)を行い、セラミッ
ク部材21のカム摺動面24の摩耗を形状測定器で測定
し、比較例と比較した。表1はその最大摩耗の平均値
(試料数3)である。
【0025】なお、セラミック部材21は窒化けい素焼
結体(90wt%Si3 N 4,残部焼結助材)であり、
その外径(直径)D1は12mmであり、厚さは4mm
である。ただし、セラミック部材の凹部の底面側のクラ
ウニング形状をなす主面の直径Dは、周縁の面取23の
分(両側で1mm)外径D1よりも小さく、11mmと
され、その主面すなわちカム摺動面の反対面(クラウニ
ング面)の表面粗さはRa:0.8μmとされ、クラウ
ニング量(クラウニング面の外周(直径D)縁)から中
央の頂点までの高さ)Cを3〜110μmとした。な
お、比較例は、ロー付けによるセラミックとメタルの熱
収縮差によって摺動面に3μmのクラウニングを形成し
たものである。また、カム摺動面の表面粗さは、いずれ
も鏡面(Ra:0.1μm下)とした。ただし、使用オ
イル(潤滑油)は各サンプルの試験終了ごとに新品に交
換した。
【0026】
【表1】
【0027】表1より、比較例(カム摺動面をクラウニ
ング形状としたセラミック部材のロー付け品)では、そ
のカム摺動面に5000時間で55μmの摩耗が発生し
た。これに対して本発明品(カム摺動面を平面とし反対
面にクラウニングをつけて摺動回転可能としたもの)で
は、5000時間経過時でも、41μm以下の摩耗であ
った。そのうち、クラウニング量を7〜80μm付与し
たもの(C/Dが、6×10-4〜7×10-3の範囲のも
の)では、5000時間経過時でも、8〜19μmと摩
耗を激減できた。
【0028】前記試料における反対面のクラウニング量
が18μmのものにおいて、反対面の表面粗さをRa:
0.05〜1.0μmと変えた試料で前記と同様の試験
をし、3000時間経過後のカム摺動面の摩耗量を測定
した。なお、カムクリアランスは0としてカム表面の油
膜の形成を不利とした。表2はそのカム摺動面の最大摩
耗の平均値(試料数3)である。
【0029】
【表2】
【0030】表2より、本発明品では、反対面の表面粗
さに関係なく、好結果が得られることが分かる。つま
り、反対面の表面粗さは鏡面(Ra:0.05)とする
までもなく、Ra:0.5〜1.0μmでもよいことが
分かる。そしてこの程度の表面粗さはバレル研磨でも達
成できるので、研磨コストの上昇を招くこともない。
【0031】次に図1の摺動部品サンプル(片面クラウ
ニング品)と、図5の両主面ともにクラウニングを付与
した摺動部品サンプル(両主面クラウニング品)につい
て、カムクリアランス:0mm、エンジン回転数:30
00rpmとして、5000時間の耐久試験(エンジン
試験)をし、カム摺動面の摩耗を形状測定器で測定し
た。ただし、使用オイル(潤滑油)は、表1の結果を示
す試験1において5000時間の耐久試験に用いたもの
(劣化オイル)を再度使用した。なお、カムクリアラン
スを0としたのは、前記したようにカム表面の油膜の形
成を積極的に不利とするためであり、劣化オイルを使用
したのはカムとセラミック両者の摩耗促進を図るためで
ある。表3はそのカム摺動面の最大摩耗の平均値(試料
数3)である。ただし、いずれの試料も反対面のクラウ
ニング量は30μmであり、両主面ともにクラウニング
を付与したもののカム摺動面のクラウニング量は3μm
である。
【0032】
【表3】
【0033】この結果から、両面クラウニング品では、
本試験のような過酷な試験条件下でも、摩耗量を顕著に
低減できることが分かる。これより明らかなように、両
主面ともにクラウニングを付与するのが耐摩耗性の向上
のために好しいといえる。なお、片面クラウニングのも
ので、摩耗が28μm以上となったものでは偏摩耗の発
生がみられた。カムクリアランス0によるカム表面の油
膜の形成不良に基づく、セラミック部材の回転性の低下
によってカムが片当たりしたものと考えられる。
【0034】前記においては、カム摺動面の反対面(ク
ラウニング面)のクラウニング量(クラウニング面の外
周(直径D)縁から中央の頂点までの高さ)Cを3〜1
10μmとしたものにおいて試験したがそのクラウニン
グ面の形状は正確な球面としたものではない。そこで、
表1の試験において、この反対面(クラウニング面)を
球面とした点のみ条件を変えて同様の試験をした。ただ
し、その球R(曲率半径)は形状測定器(テーラーホブ
ソン製のTalysurf−120L)による解析値で球R30
00〜150mmである。表4はその場合のカム摺動面
の最大摩耗の平均値(試料数3)である。
【0035】
【表4】
【0036】表4より、本発明品(カム摺動面を平面と
し反対面にクラウニングとして球面を(曲率半径:30
00〜150mm)としたもの)では、5000時間経
過時でも、カム摺動面の最大摩耗(平均値)は45μm
以下の摩耗であり、比較例より同摩耗を小さくできた。
そのうち、曲率半径が1600〜200mmものでは、
5000時間経過時でも20〜22μmと摩耗を激減で
きた。
【0037】なお、前記形態では、燃料噴射ポンプ用の
摺動部品において具体化した場合を例示したが、本発明
では、図6に示したように摺動部品がバルブリフタ51
である場合においても同様に適用できる。図6は、摺動
部品本体が内部中央にバルブステム55を内挿可能の筒
状のバルブリフタ本体52となっている点を除けば、前
記形態における摺動部品と本質的に相違する点はないの
で、同一部位には同一の符号を付し、詳細な説明は省略
する。
【0038】さらに図7に示したように摺動部品がエン
ジン用タペット61である場合においても同様に適用で
きる。図7は、摺動部品本体がキノコ形をなすエンジン
用タペット本体62となっている点を除けば、これまた
前記形態における摺動部品と本質的に相違する点はない
ので、同一部位には同一の符号を付し、詳細な説明は省
略する。なお、図6,7の摺動部品における耐摩耗部材
21は、いずれも両主面ともクラウニング形状としたの
ものを図示しているが、カム摺動面を平面としたものと
してももちろん良い。これより理解されるように、本発
明は、カムとの摺動面を構成する摺動部品に広く適用で
きる。
【0039】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明に
係る摺動部品によれば、カム摺動面の面圧が高くなって
も、摩耗が少なく耐久性の高い摺動部品となすことがで
きる。とくに、請求項2記載の摺動部品によればその効
果は著しい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る請求項1記載の摺動部品の実施形
態例(燃料噴射ポンプ用の摺動部品)の断面正面図。
【図2】図1の摺動部品をカム摺動面側から見た図。
【図3】図1の摺動部品がカムと摺動する状態の断面正
面図。
【図4】耐摩耗部材の分離防止手段の別例を説明する断
面正面図。
【図5】本発明に係る請求項2記載の摺動部品の実施形
態例(燃料噴射ポンプ用の摺動部品)の断面正面図。
【図6】本発明に係る請求項2記載の摺動部品の別の実
施形態例(バルブリフタ)の断面正面図。
【図7】本発明に係る請求項2記載の摺動部品の別の実
施形態例(タペット)の断面正面図。
【符号の説明】
1,51,61 摺動部品 2,52,62 摺動部品本体 5 凹部 6 凹部の底面 21 セラミック部材(耐摩耗部材) 22 耐摩耗部材の主面(反対面) 24,34 耐摩耗部材の主面(カム摺動面)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カム摺動面を構成する耐摩耗部材が摺動
    部品本体に取付けられてなる摺動部品において、前記摺
    動部品本体に凹部を形成する一方、前記耐摩耗部材をそ
    の上下両主面のうちの一方を平面に、他方をクラウニン
    グ形状に形成し、該耐摩耗部材を前記摺動部品本体の凹
    部内に、クラウニング形状に形成した主面を該凹部の底
    面側にして収容し、前記平面をカム摺動面として傾斜さ
    せた状態の下で前記底面側の主面において摺動回転可能
    にすると共に該摺動部品本体から分離不能にしたことを
    特徴とする摺動部品。
  2. 【請求項2】 カム摺動面を構成する耐摩耗部材が摺動
    部品本体に取付けられてなる摺動部品において、前記摺
    動部品本体に凹部を形成する一方、前記耐摩耗部材をそ
    の上下両主面をクラウニング形状に形成し、該耐摩耗部
    材を前記摺動部品本体の凹部内に、一方の主面を該凹部
    の底面側にして収容し、他方の主面をカム摺動面として
    傾斜させた状態の下で前記底面側の主面において摺動回
    転可能にすると共に該摺動部品本体から分離不能にした
    ことを特徴とする摺動部品。
  3. 【請求項3】 前記耐摩耗部材の凹部の底面側のクラウ
    ニング形状をなす主面の表面粗さをRa:1.0μm以
    下とした請求項1又は2記載の摺動部品。
  4. 【請求項4】 前記耐摩耗部材の凹部の底面側のクラウ
    ニング形状をなす主面の直径をDとし、該主面のクラウ
    ニング量をCとしたとき、C/Dを、6×10-4〜7×
    10-3の範囲とした請求項1、2又は3記載の摺動部
    品。
  5. 【請求項5】 前記耐摩耗部材の凹部の底面側のクラウ
    ニング形状をなす主面の曲率半径が、200mm〜16
    00mmの範囲とした請求項1、2又は3記載の摺動部
    品。
JP10294472A 1998-09-30 1998-09-30 摺動部品 Pending JP2000110520A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10294472A JP2000110520A (ja) 1998-09-30 1998-09-30 摺動部品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10294472A JP2000110520A (ja) 1998-09-30 1998-09-30 摺動部品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000110520A true JP2000110520A (ja) 2000-04-18

Family

ID=17808226

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10294472A Pending JP2000110520A (ja) 1998-09-30 1998-09-30 摺動部品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000110520A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005003522A1 (ja) * 2003-07-01 2005-01-13 Sumitomo Electric Industries, Ltd. 耐摩摺動部品およびそれを用いた摺動装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005003522A1 (ja) * 2003-07-01 2005-01-13 Sumitomo Electric Industries, Ltd. 耐摩摺動部品およびそれを用いた摺動装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO1999047810A1 (fr) Combinaison de cale et de came
US20060027200A1 (en) Valve lifter and forming and processing method therefor
US5052352A (en) Mechanical part made of ceramics
JP2012072671A (ja) 内燃機関のバルブリフタ
US5181691A (en) Mechanical part made of ceramics
EP1450008B1 (en) Automobile engine valve mechanism system shim and lifter, and combination of these and cam shaft
JP3587379B2 (ja) 自動車エンジン動弁系シム及びリフター、並びにこれらとカムシャフトとの組合せ
JP2547429B2 (ja) セラミック製バルブ
JP2000110520A (ja) 摺動部品
JPH11280419A (ja) シムとカムの組合せ体
US8899200B2 (en) Valve spring retainer for an internal combustion engine and a method of manufacturing the same
US6460498B2 (en) Rocker arm
CN1370929A (zh) 具有带圆形内孔的滑动块的螺旋压缩机
US20060216157A1 (en) Radial piston pump for providing high pressure in fuel injection systems of internal combustion engines
US5372099A (en) Ceramic adjusting shim
US20070221155A1 (en) CAM follower
US20130291813A1 (en) Drive Cam and Valve Operating System in Engine
JP4203365B2 (ja) ピストンリング
KR100246706B1 (ko) 세라믹 슬라이딩 부품
JP3191599B2 (ja) ディーゼルエンジン燃料供給機構に用いられる摺動部材
JPH11107715A (ja) アジャストスクリュー
JPH06294307A (ja) アジャスティングシム
JPH07243311A (ja) 内燃機関用タペット
JPH05163909A (ja) 内燃機関の動弁機構のカム接触部構造
JPH06137404A (ja) カムフォロワおよびその製造方法