JP2000110070A - セルロース系物品の製造方法 - Google Patents

セルロース系物品の製造方法

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JP2000110070A
JP2000110070A JP10279577A JP27957798A JP2000110070A JP 2000110070 A JP2000110070 A JP 2000110070A JP 10279577 A JP10279577 A JP 10279577A JP 27957798 A JP27957798 A JP 27957798A JP 2000110070 A JP2000110070 A JP 2000110070A
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JP
Japan
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film
coating
cellulosic
sheet
hard coat
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JP10279577A
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English (en)
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Shoichi Kurasaki
庄市 倉崎
Koichiro Oka
紘一郎 岡
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】セルロース系シートまたはフィルムに、被膜を
コーティングする際、密着性が向上されたセルロース系
物品の製造方法を提供する。 【解決手段】セルロース系シートまたはフィルムに、非
プロトン性極性溶媒を含有する塗料をコーティングする
ことにより被膜を形成することを特徴とするセルロース
系物品の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種表示装置の表
示面またはその前面板や偏光フィルター、反射防止フィ
ルター、展示用のケースやショーウインド、絵画の額、
窓ガラスの構成部材または貼付用部材などとして好適に
使用される、セルロース系シートまたはフィルムを基板
とする光透過性のある物品の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】セルロース系シートまたはフィルムは、
上記のような用途で使用される場合は、構成部材または
貼付用部材として最外層に使用されるケースが多く、表
面硬度や制電性や防眩性ならびに反射防止性などが一般
に要求される。このため、少なくとも、片面には表面硬
度、制電性、防眩性などの機能を持つハードコート層が
コーティングされているのが普通である。
【0003】ハードコート層で重要なことは、基板との
密着性である。一般に、セルロース系シートまたはフィ
ルムは、リン酸エステル系などの可塑剤を10wt%く
らいまで含有しており、そのためハードコート層との十
分な密着性を出しにくいが、その対策として、電離放射
線硬化型樹脂の使用方法(特開平8−188661号公
報)や紫外線硬化型樹脂の使用方法(特開平5−162
261号公報)などが知られている。
【0004】また、偏光板の構成部材として偏光子との
接着性を高める目的で、セルロース系シートまたはフィ
ルムがアルカリ溶液でケン化処理されている場合は、特
にハードコート層との密着性が低くなる傾向がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の欠点を解消しようとするものであり、セルロース
系シートまたはフィルムに、被膜をコーティングする
際、密着性が向上されたセルロース系物品の製造方法を
提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決することを目的とし、セルロース系シートまたはフィ
ルムに、非プロトン性極性溶媒を含有する塗料をコーテ
ィングすることにより被膜を形成することを特徴とする
セルロース系物品の製造方法に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明では、さらに次の好ましい
実施態様を有している。
【0008】(a)前記セルロース系シートまたはフィ
ルムが、ケン化されていること。 (b)前記セルロース系シートまたはフィルムが、トリ
アセテートを主成分にすること。
【0009】(c)前記セルロース系シートまたはフィ
ルムが、コロナ放電処理またはプラズマ処理されている
こと。 (d)前記非プロトン性極性溶媒の含有量が、全溶媒中
の1〜30wt%含まれること。 (e)前記 非プロトン性極性溶媒が1,3−ジメチル
−2−イミダゾリジノンであること。
【0010】(f)前記セルロース系シートまたはフィ
ルムに形成された被膜が、ハードコート膜であること。 (g)前記セルロース系シートまたはフィルムに形成さ
れた被膜が、導電性ハードコート膜であること。
【0011】(h)前記セルロース系シートまたはフィ
ルムに形成された導電性ハードコート膜が、導電性の金
属酸化物超微粒子を40〜80wt%含有しているこ
と。
【0012】(i)前記セルロース系シートまたはフィ
ルムに形成された被膜が、少なくともホスフィンオキサ
イド系の光重合開始剤を用い、紫外線硬化されているこ
と。
【0013】本発明のセルロース系シートまたはフィル
ムとしては、特に限定されるものではなく、硝酸セルロ
ースエステル系と酢酸セルロースエステル系など一般に
用いられているものが本発明においても用いられる。こ
の中でも、液晶表示板の偏光板としては、酢酸セルロー
ス系のセルローストリアセテートが多く用いられてお
り、本発明の方法が特に効果的に用いられる。酢酸セル
ロース系の場合、ケン化処理後のシートまたはフィルム
に本発明の方法により被膜を設けた場合、基板に対する
被膜の密着性を有効に向上でき、特に好ましい。
【0014】市販のセルロースアセテート系シートまた
はフィルムには、密着性に関して、一般に成膜方法に由
来する表裏差がある。ケン化処理前のシートまたはフィ
ルムでは、キャスト製膜時の金属製ベルト面に接した側
(バンド面)の密着性が高くなる傾向がある。
【0015】本発明では、被膜をコートする側を事前に
コロナ放電処理するかプラズマ処理すると、高い密着性
が得られ易い。
【0016】本発明では、ハードコート層として被膜を
設ける場合が特に好ましい適用態様である。以下に、ハ
ードコート層について説明する。
【0017】ハードコート層は、表面硬度と密着性に関
与するバインダー成分を主成分としてなり、導電性、防
眩性などの向上を目的とする場合には、超微粒子成分や
微粒子成分等がそれに付加されることも好ましい態様で
ある。
【0018】また、ハードコート層は一般に塗料の状態
で本発明のセルロース系シートまたはフィルムにコート
される。これらの塗料は、上記バインダー成分と超微粒
子成分や微粒子成分の他、重合開始剤や硬化剤、熱や光
及び酸化に対する安定剤、レベリング剤などを含み、そ
れらを溶媒の中に溶解及び分散させて用いる。
【0019】バインダーとしては、ハードコート層の硬
度を高くするために、原理的に、塗工後に三次元架橋を
形成できるバインダーを使うのが好ましい。このような
目的のために使用される代表的化合物としては、(メ
タ)アクリレート化合物、エポキシ化合物、ビニルエー
テル化合物、シラン系化合物がある。以下にその例を挙
げる。
【0020】(メタ)アクリレート化合物としては、脂
肪族、脂環族、芳香族系モノ(メタ)アクリレート類、
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペン
チルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキ
サンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロール
プロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト
ールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール
テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール
ヘキサ(メタ)アクリレート、2,2ービス(3、5ー
ジブロモー4ー(メタ)アクリロイルオキシフェニル)
プロパン、2,2ービス{3、5ージブロモー4ー(2
ー(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル}プ
ロパンなどの多官能(メタ)アクリレート類がある。こ
れらの化合物は、単独または混合されて用いられる。
【0021】重合方法としては熱重合、光重合、電子線
重合等の方法により、それぞれの重合開始剤、硬化剤を
用いることにより硬化することが出来る。熱重合の場合
の硬化開始剤としては有機、無機過酸化物系、アゾ系、
レゾックス系等の重合開始剤を単独あるいは組み合わせ
て用いる。
【0022】重合開始剤の主なものとしてはベンゾイル
パーオキサイド,ジーtーブチルパーオキサイド、tー
ブチルパーオキシアセテート、tーブチルパーオキシベ
ンゾエート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニト
リル等のアゾ化合物があげられる。その使用量は重合性
単量体組成物100重量部に対して0.1〜10.0重
量部の間で好適に用いることができる。
【0023】光(UV)重合の場合の重合開始剤として
はアセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン
系、アントラキノン系、チオキサントン系、ケタール
系、フォスフィンオキサイド系等のラジカル系光開始剤
が挙げられる。
【0024】本発明においては、酸素の影響が受けにく
く、厚膜の硬化(内部硬化性)に優れたフォスフィンオ
キサイド系の硬化剤が特に好適に用いられる。
【0025】これらの光開始剤としては2,4,6ート
リメチルベンゾイルジフェニルフォフインオキサイド、
ビス(2,6ージメトキシベンゾイル)−2,4,4−
トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス
(2,4,6ートリメチルベンゾイル)−フェニルフォ
スフィンオキサイド等を挙げることが出来る。
【0026】光重合開始剤は単独で用いても良いし、2
種以上組み合わせても良いし、共融混合物であっても良
い。光重合開始剤の使用量は重合性単量体組成物100
重量部に対し0.2wt%から15wt%の範囲で好適
に用いることが出来る。前記光重合に必要な光源として
は、低圧、高圧、超高圧の各種水銀ランプやケミカルラ
ンプ、メタルハライドランプ等が使用可能である。中で
も照射効率が良好なことから高圧水銀ランプが好適に用
いられる。
【0027】また、エポキシ化合物としては、脂肪族、
脂環族、芳香族系単官能エポキシ化合物、プロピレング
リコールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロビスフェ
ノールA系ジグリシジルエーテル、ビスフェノールA系
ジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステ
ル、ダイマー酸ジグリシジルエステルなどの2官能エポ
キシ化合物、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラ
グリシジルジアミノジフェニルメタンおよびクレゾール
ノボラックポリグリシジルエーテルなどの3官能あるい
はそれ以上のエポキシ化合物、エポキシ基含有シラン系
化合物などが挙げられる。
【0028】エポキシ化合物の硬化剤としては、アミン
系、酸無水物系、フェノール系、メルカプタン系、ヒド
ラジド系、イミダゾール系およびカチオン付与系などの
化合物が挙げられる。ポットライフの長さ、硬化速度の
早さから、これらの硬化剤のうち、カチオン付与系の化
合物が特に好ましく使用される。なかでも、熱または光
(UV)分解カチオン付与系の化合物が適しており、具
体的には、スルホニウム塩、スルホキソニウム塩、キノ
リニウム塩、ピラジニウム塩、オニウム塩およびフェロ
セン類等が挙げられる。
【0029】また、ビニルエーテル化合物としては、脂
肪族、脂環族、芳香族系単官能ビニルエーテル化合物、
1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、2−メチ
ルー1、3−プロパンジオールジビニルエーテル、ジエ
チレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジ
ビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル等
の2官能あるいはそれ以上のビニルエーテル化合物およ
びビニルエーテル含有シラン系化合物などが挙げられ
る。
【0030】ビニルエーテル系化合物の硬化剤として
は、カチオン付与系の硬化剤が好ましく使用される。な
かでも、熱または光(UV)分解カチオン付与系の硬化
剤が適しており、具体的には、スルホニウム塩、スルホ
キソニウム塩、キノリニウム塩、ピラジニウム塩、オニ
ウム塩、フェロセン類等が挙げられる。
【0031】シラン系化合物としては、テトラメチルシ
リケート、テトラエチルシリケート、メチルトリメトキ
シシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメト
キシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエ
トキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−クロ
ロプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロ
イルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシ
ラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、ジ
メチルジメトキシシランおよびγ−グリシドキシプロピ
ルメチルジメトキシシランなどのシラン類またはその加
水分解物が挙げられる。
【0032】シラン系化合物の硬化には、通常は熱硬化
法が用いられる。その際、硬化速度を早める目的で、カ
ルボン酸のアルカリ金属塩やアルミニウム、チタンおよ
びジルコニウムなどの各種金属アルコキシドあるいはキ
レート化合物が使用される。シラン系化合物は、塗膜か
らの超微粒子や微粒子の脱落防止作用をするとともに、
膜硬度を高める働きをする。また、(メタ)アクリレー
ト化合物、エポキシ化合物およびビニルエーテル化合物
は、膜の硬度、対クラック性、耐久性、密着性などの諸
特性を向上させる目的ために使用される。
【0033】シラン系化合物とエポキシ化合物が併用さ
れる場合は、硬化剤として、アルミニウム、チタン、ジ
ルコニウム、鉄および銅などの各種金属キレート化合物
を用いると、両者を同時に硬化できるので好ましい。本
発明においては、塗料の安定性、コーティング後の塗膜
の着色防止などの点から、特に下記に示すアルミニウム
キレート化合物が好適である。
【0034】ここでいうアルミニウムキレート化合物と
は、例えば一般式AlXn3ーnで示されるアルミニウム
化合物である。[ただし、式中XはOL(Lは低級アル
キル基)、Yは一般式M1COCH2COM2(M1,M2
はいずれも低級アルキル基)で示される化合物に由来す
る配位子、および一般式M3COCH2COOM4(M3
4はいずれも低級アルキル基)で示される化合物に由
来する配位子から選ばれる少なくとも1つであり、nは
0、1または2である]。
【0035】これらの硬化剤を例示すると、特に有用な
上記一般式AlXn3ーnで示されるアルミニウム化合物
のうちでは、塗料への溶解性、安定性、硬化剤としての
効果などの観点から、アルミニウムアセチルアセトネー
ト、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセ
チルアセトネート、アルミニウム−ジ−n−ブトキシド
−モノエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−i
so−プロポキシド−モノメチルアセトアセテートなど
が好ましく用いられる。これらの化合物は,エポキシ化
合物とシラン系化合物の合計に対し、好適には0.1w
t%〜10wt%程度が用いられる。
【0036】本発明では、これらのバインダー成分は、
好ましくはハードコート層全体の20wt〜100wt
%使用される。
【0037】本発明で用いられるハードコート層に導電
性を付与する方法としては、上記バインダーに、酸化ア
ンチモン、酸化セレン、酸化チタン、酸化タングステ
ン、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、リンドープ
酸化スズ、酸化亜鉛、アンチモン酸亜鉛、スズドープ酸
化インジウムなどの屈折率の高い金属酸化物超微粒子や
金、銀、アルミニウム、クロムなど金属超微粒子を含む
方法が挙げられる。
【0038】金属酸化物超微粒子として、特に好ましく
用いられるのは、導電性の高いアンチモンドープ酸化ス
ズ、リンドープ酸化スズ、アンチモン酸亜鉛、スズドー
プ酸化インジウムなどスズ、アンチモン、インジウムの
中から選ばれる成分を主成分とするゾル粒子であり、な
かでも塗料の安定性とゾルの再現性の良好なアンチモン
酸亜鉛ゾル粒子が好ましい。ここでゾル粒子とは、平均
粒子径が好ましくは100nm以下、より好ましくは8
0nm以下の超微粒子のことである。ゾル粒子の平均粒
子径が100nmを超えると、一般にはヘイズ(もや)
が大きくなり、透明性が劣る傾向がある。分散性の高い
ゾルを得るために、通常は水、アルコール、エステル、
炭化水素などの分散媒に分散させたものを用いる。
【0039】これらの金属酸化物超微粒子は、導電性ハ
ードコート膜に好ましくは40〜80wt%、より好ま
しくは50〜75wt%加えられる。金属酸化物超微粒
子の量が40wt%未満では、導電性が不足し、また8
0wt%を超えると、ハードコート膜としての硬度が足
りなくなる傾向がある。
【0040】さらに本発明の好ましい態様としては、本
発明における被膜中に有機あるいは無機の微粒子を添加
して被膜表面に凹凸をつけることにより、防眩性付与す
ることも可能である。このために用いられる微粒子は、
平均粒子径に関しては、1次、2次粒子径いずれであっ
ても分散状態としての平均分子径が0.5μm〜10μ
m、好ましくは1μm〜5μmであるものが良い。平均
粒子径が0.5μm未満では表面光沢が高くなり、防眩
効果を得にくく、10μmより大きいと透視性が不十分
となる傾向がある。微粒子の素材としては、シリカ、無
定形シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、有機物系では
(メタ)アクリレート系、スチレン系、ジビニルベンゼ
ン系などの球状粒子がある。
【0041】本発明における好適な溶媒としては、均一
な塗液と透明性を有する塗膜が得られれば適宜選定出来
るが、例えばメタノール、プロパノールなどのアルコー
ル系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、エチ
レングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2
−プロパノールなどのエーテルアルコール系、n−ヘキ
サン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、アセチルアセト
ンなどケトン系、非プロトン性極性溶媒が挙げられる。
【0042】また本発明においては、溶媒として非プロ
トン性極性溶媒を必須成分として用いる。非極性溶媒の
具体例としては、N,N−ジメチルホルムマミド(DM
F)、ジメチルスルオキシド、ジメチルアセトアミド、
ジメチルイミダゾリジノン、ジエチルエーテル、ピリジ
ン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の親プロトン性溶
媒、アセトニトリル、スルホラン、ニトロメタン、ニト
ロベンゼン等の疎プロトン性溶媒その他四塩化炭素、ク
ロロホルム、N−メチル−2−ピロリドン等を挙げるこ
とが出来る。特に好ましい溶媒としては親プロトン性溶
媒、中でも1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが
ケン化処理セルローストリアセテートフイルムに対して
は特に好適に用いることが出来る。
【0043】非プロトン性極性溶媒は他の溶媒、例えば
アルコール類、エーテルアルコール類と適宜任意に配合
して用いることが出来るが、全溶媒中の1wt%〜30
wt%、好ましくは5〜20wt%の範囲で好ましく使
用出来る。使用量が1wt%未満では密着性向上の効果
が少なく、30wt%を越えると、透視性が低下する傾
向がある。
【0044】塗料は固形分として1wt%〜40wt%
程度の濃度で上記溶媒に溶解分散される。上記溶媒は、
バインダー成分等の溶解性や超微粒子等の分散性、セル
ロース系シートまたはフィルムの耐溶媒性及び均一コー
ティング性の観点から選ばれ、単独または混合系組成で
使用される。
【0045】以上のようにして調製された塗料は、ディ
ッピング法、スピンコート法、グラビアコート法、スリ
ットダイコート法およびリバースコート法などの方法
で、セルロース系シートまたはフィルムに塗布され、そ
の後、溶媒が乾燥と硬化反応処理がなされる。
【0046】ハードコート層は、通常0.4μm〜10
μm程度の膜厚であることが好ましい。0.4μm未満
では硬度、導電性が不足する傾向があり、また10μm
を超えるとクラックが入りやすくなる傾向がある。
【0047】また、導電性ハードコート膜としては、好
ましくは1011Ω/□以下、より好ましくは1010Ω/
□以下の導電性のものが用いられる。導電性が1011Ω
/□より大きくなると、帯電性が高くなり、使用中の帯
電による人体への不快感や埃類の吸着による画面汚れの
問題が発生しやすくなる傾向がある。ここで、導電性と
は、JIS K6911に準じて測定されるシート抵抗
を指す。また、本発明の被膜の上に、さらに反射防止膜
や防汚膜をコーティングすることも可能である。
【0048】
【実施例】本発明について、実施例を用いて具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0049】(実施例1) (1)被膜物品の作成 厚さ80μmのケン化処理トリアセテートフィルム(冨
士写真フィルム社製”フジタックTD−800”)にコ
ロナ放電処理した後に下記組成の塗料をスリットダイコ
ート法でコートした後加熱乾燥し、次に高圧水銀灯を用
い400mj/cm2の照射を行い、ハードコート膜を
得た。
【0050】 ぺンタエリスリト−ルトリアクリレ−ト 24重量部 (”ライトアクリレ−ト”PE−3A:共栄社化学社製) ウレタンアクリレ−ト 6 (”UA−306H”:共栄社化学社製) 光重合開始剤 (ホスフィンオキサイド系”イルガキュア1700 2 ”: チバ・スペシャルテイ・ ケミカルズ(株)社製) メタノ−ル 50 1−メトキシ−2−プロパノ−ル 13 1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン 12 得られたハ−ドコ−トフイルムについて諸物性を次の方
法で測定した。表面硬度、密着性に優れたハ−ドコ−ト
膜が得られた。屈折率は1.52であった。結果を表1
に示した。
【0051】(2)被膜物品の評価 (イ)ヘイズ(光線透過率の内、散乱光の割合を表す)
HGM−2DP(スガ試験機製)にて測定した。
【0052】(ロ)表面硬度:スチ−ルウ−ル(#00
00)を使用し、250gr荷重下で30往復摩擦後の
傷の状態で評価 (ハ)密着性:被膜表面に1mm×1mmのクロスハッ
チを100ヶ入れ、セロテ−プを貼りつけセロテープで
3回剥がした時の被膜の剥離状態で判定した。
【0053】(実施例2)実施例1と同様な方法にて下
記組成塗料をコ−トし、同様に紫外線硬化を行い ハ−
ドコ−ト膜を得た。
【0054】 ぺンタエリスリト−ルトリアクリレ−ト 24重量 部 ウレタンアクリレ−ト 6 光重合開始剤 (ホスフインオキサイド系”ルシリンTPO: 2 BASFジャパン製) アンチモン酸亜鉛ゾル(”セルナックス”CXZ−300M 230 −1F:固形分30wt%メタノール分散ゾル日産化学工業社製) 1−メトキシ−2−プロパノール 39 1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン 35 得られたハードコート膜について諸物性を測定した。表
面硬度、密着性に優れたハ−ドコ−ト膜が得られた。屈
折率は1.66、表面抵抗は1×108Ω/□はであっ
た。結果を表1に示した。
【0055】(実施例3)実施例1と同様な方法にて下
記組成塗料をコ−トし、130℃2.0分間急速乾燥
し、後110℃の熱風オ−ブン中で2.0Hrアフタキ
ュアしてハ−ドコ−ト膜を得た。結果を表1に示した。
【0056】 ビスフェノールAエポキシ樹脂(”エピコ−ト”827: 油化シェルエポキシ社製) 25重量部 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン加水分解物 10 アルミニウムアセチルアセトナート 2 (”ナーセムAl”:日本化薬社製) 燐ド−プ酸化スズ(固形分30wt%1−メトキシ−2− プロパノールゾル) 225 ジメチルホルムアミド 35 メチルアルコール 35 (比較例1)実施例2において、コロナ放電しないトリ
アセテ−トフィルムを使用する以外は全て実施例2と同
様に行った。結果を表1に示した。
【0057】(比較例2)実施例2において、1,3−
ジメチル−2−イミダゾリジノンに変えてベンジルアル
コールを用いる以外は、全て実施例2と同様に行った。
結果を表1に示した。
【0058】(比較例3)実施例1において、メタノー
ルを除く溶媒を1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノ
ンに置き換えた以外は全て実施例1と同様にして行っ
た。結果を表1に示した。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】本発明においては、の被膜はケン化され
たトリアセテートフイルムのハードコート膜として特に
有用である。安定した密着性、耐擦傷性、透明性が得ら
れかつ上層に低屈折率膜を設けることにより、良好な反
射防止機能を有することが可能となる。この反射防止膜
は液晶表示装置の前面フイルター、各種ディスプレィー
の表示面、反射防止フイルター等に特に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 5/30 G02B 1/10 Z Fターム(参考) 2H049 BA02 BB49 BC24 2K009 AA15 BB28 DD05 EE03 4F213 AA01J AG01 AG03 AH33 AH73 WA14 WA54 WA58 WA86 WB02 4L031 AA02 BA05 CB06 DA00 4L033 AA02 AC15 BA56 CA18 CA49 CA50 CA59 CA70

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セルロース系シートまたはフィルムに、非
    プロトン性極性溶媒を含有する塗料をコーティングする
    ことにより被膜を形成することを特徴とするセルロース
    系物品の製造方法。
  2. 【請求項2】セルロース系シートまたはフィルムが、ケ
    ン化されていることを特徴とする請求項1記載のセルロ
    ース系物品の製造方法。
  3. 【請求項3】セルロース系シートまたはフィルムが、ト
    リアセテートを主成分にすることを特徴とする請求項1
    または2記載のセルロース系物品の製造方法。
  4. 【請求項4】セルロース系シートまたはフィルムが、コ
    ロナ放電処理またはプラズマ処理されていることを特徴
    とする請求項1から3のいずれかに記載のセルロース系
    物品の製造方法。
  5. 【請求項5】非プロトン性極性溶媒の含有量が、全溶媒
    の1〜30wt%であることを特徴とする請求項1から
    4のいずれかに記載のセルロース系物品の製造方法。
  6. 【請求項6】非プロトン性極性溶媒が1,3−ジメチル
    −2−イミダゾリジノンであることを特徴とする請求項
    1から5のいずれかに記載のセルロース系物品の製造方
    法。
  7. 【請求項7】該被膜が、ハードコート膜であることを特
    徴とする請求項1から6のいずれかに記載のセルロース
    系物品の製造方法。
  8. 【請求項8】該被膜が、導電性ハードコート膜であるこ
    とを特徴とする請求項7記載のセルロース系物品の製造
    方法。
  9. 【請求項9】該導電性ハードコート膜が、導電性の金属
    酸化物超微粒子を40〜80wt%含有していることを
    特徴とする請求項8記載のセルロース系物品の製造方
    法。
  10. 【請求項10】該被膜が、少なくともホスフィンオキサ
    イド系の光重合開始剤を使用し、紫外線硬化されている
    ことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のセ
    ルロース系物品の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006001218A (ja) * 2004-06-21 2006-01-05 Nippon Kayaku Co Ltd ハードコートフィルム
JP2014052513A (ja) * 2012-09-07 2014-03-20 Sumitomo Chemical Co Ltd 基材および光学フィルム

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