JP2000109495A - ポリエーテル系化合物、その製造法およびそれを含有する医薬組成物 - Google Patents

ポリエーテル系化合物、その製造法およびそれを含有する医薬組成物

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JP2000109495A
JP2000109495A JP10281397A JP28139798A JP2000109495A JP 2000109495 A JP2000109495 A JP 2000109495A JP 10281397 A JP10281397 A JP 10281397A JP 28139798 A JP28139798 A JP 28139798A JP 2000109495 A JP2000109495 A JP 2000109495A
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Atsushi Yamamura
敦 山村
Hisashi Hayashida
久 林田
Toshihiko Hara
俊彦 原
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Fujisawa Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Fujisawa Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】新規なポリエーテル系化合物およびその塩、そ
の製造法ならびにそれらを有効成分として含有する医薬
組成物、とりわけ抗コクシジウム剤、抗線虫剤および抗
菌剤を提供する。 【解決手段】一般式 【化1】 (式中、Rは水素原子、置換されていてもよいアルキル
基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されてい
てもよいアルキニル基、置換されていてもよいアラルキ
ル基または置換されていてもよいアリール基、Xは酸素
原子、硫黄原子、−NR1 −または−CR2 3 −[こ
こで、R1 、R2 およびR3 は同一または異なって水素
原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されてい
てもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニ
ル基、置換されていてもよいアラルキル基または置換さ
れていてもよいアリール基を表わす]をそれぞれ意味す
る)で表わされる化合物およびその塩により、上記の課
題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】この発明は、新規なポリエー
テル系化合物およびその塩、その製造法ならびにそれら
を有効成分として含有する医薬組成物、とりわけ人また
は動物に用いられる抗コクシジウム剤、抗線虫剤および
抗菌剤に関するものである。
【0001】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
【0002】式:
【化4】 で表わされるポリエーテル系化合物は、ストレプトマイ
セス・エスピーにより産生される抗生物質であり、この
化合物を便宜的に「K41」と略称する。なお、この明
細書において、Meはメチル基を意味する。 また、こ
の明細書中では、K41を表わす式中のテトラヒドロピ
ラン環とテトラヒドロフラン環を便宜的に上記の通りそ
れぞれA環、B環、C環、D環、E環、F環およびG環
と称し、1位、2位、3位、15位、27位および29
位とは、それぞれの番号が付されたK41の式中の炭素
原子を意味する。
【0003】K41の製造法および性状は、特公昭52
−21077号およびザ・ジャーナル・オブ・アンチバ
イオティックス(The J.Antibiotic
s)第29巻、10〜14頁(1976年)に記載され
ており、X線によるその構造解析は、ジャーナル・オブ
・ケミカル・ソサエティー,ケミカル・コミュニケーシ
ョンズ(J.C.S.,Chem.Comm.)682
〜683頁(1978年)に報告されている。
【0004】K41の作用としては、抗コクシジウム、
抗菌、抗ウイルス、抗かび、抗マイコプラズマ、殺虫、
抗豚赤痢菌などが知られており、K41の誘導体にもこ
れらの作用が期待される。
【0005】既にK41の誘導体としては、C−2位の
エステル誘導体が特開昭57−7492号公報に、C−
29位のエーテル誘導体が特開昭57ー14597号公
報および特開平1−193285号公報に、C−15位
のデメトキシ誘導体がザ・ジャーナル・オブ・アンチバ
イオティックス第45巻、1182頁(1992年)
に、そしてF環およびG環自体が他の基へ変換されたも
のがザ・ジャーナル・オブ・アンチバイオティックス第
50巻、631頁(1997年)にそれぞれ報告されて
いる。これら誘導体は、期待どおり前記の作用の幾つか
を有していた。
【0006】なお、従来から畜産分野においてはコクシ
ジウム、線虫および細菌等による疾患が問題となってお
り、これらの疾患に対して安全にかつ的確に効く医薬組
成物の開発が望まれている。
【0007】ポリエーテル系物質は一般に抗菌性物質の
中では醗酵での生産性が高い。本発明者らの保有してい
た菌株の中にポリエーテル系物質を高力価で産生するも
のがあり、そこで本発明者らはその産生物質であるK4
1を原料として、抗線虫活性付与と毒性軽減を目的に誘
導体の開発を鋭意検討し、本発明に至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明によれば、一般
式[I]:
【0009】
【化5】 (式中、Rは水素原子、置換されていてもよいアルキル
基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されてい
てもよいアルキニル基、置換されていてもよいアラルキ
ル基または置換されていてもよいアリール基、Xは酸素
原子、硫黄原子、−NR1 −または−CR2 3 −[こ
こで、R1 、R2 およびR3 は同一または異なって水素
原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されてい
てもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニ
ル基、置換されていてもよいアラルキル基または置換さ
れていてもよいアリール基を表わす]をそれぞれ意味す
る)で表わされる化合物およびその塩が提供される。
【0010】上記の一般式[I]ならびに後述の式[I
I]と[III]において、便宜上これらの化学式を平
面構造で示したが、この発明においては分子内に存在す
る1以上の不斉炭素による光学異性体およびそれらの混
合物もこの発明に含まれる。とりわけ、天然由来のK4
1の光学異性体およびその光学異性体を用いて反応させ
た場合に生じうる異性体も、この発明の化合物に含まれ
ると理解されるべきである。
【0011】また、この発明によれば、上記の一般式
[I]で表わされる化合物およびその塩の製造法、なら
びに該化合物またはその医薬的に許容される塩を有効成
分として含有する医薬組成物が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】この発明において、「アルキル
基」としては、炭素数1〜15の直鎖または分岐状アル
キル基および炭素数3〜8の環状アルキル基が挙げられ
る。
【0013】具体的には、直鎖状アルキル基としては、
例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、
ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウン
デシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタ
デシル等が挙げられる。分岐状アルキル基としては、例
えばイソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、te
rt−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert
−ペンチル、イソヘキシル等が挙げられる。また、環状
アルキル基としては、例えばシクロプロピル、シクロブ
チル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチ
ル、シクロオクチル等が挙げられる。
【0014】これらのアルキル基のうち、好ましいのは
炭素数1〜6の直鎖状低級アルキル基、炭素数1〜6の
分岐状低級アルキル基、および炭素数3〜6の環状低級
アルキル基である。
【0015】「アルケニル基」としては、1個の二重結
合を含有する炭素数2〜6の直鎖もしくは分岐状脂肪炭
化水素基が挙げられ、例えばビニル、プロペニル、ブテ
ニル、メチルプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル等が
挙げられる。
【0016】「アルキニル基」としては、1個の三重結
合を含有する炭素数2〜6の直鎖もしくは分岐状脂肪炭
化水素基が挙げられ、例えばエチニル、プロピニル、ブ
チニル、ペンチニル等が挙げられる。
【0017】「アリール基」としては、炭素数6〜12
のアリール基が挙げられ、例えばフェニル、α−または
β−ナフチル等が挙げられる。
【0018】「アラルキル基」としては、前記のような
アルキル基と上記のようなアリール基とが結合した炭素
数7〜18のアラルキル基が挙げられ、具体的には、ベ
ンジル、フェネチル、フェニルプロピル、ナフチルメチ
ル、ナフチルエチル等が挙げられる。
【0019】これらのアルキル基、アルケニル基、アル
キニル基、アラルキル基およびアリール基は、任意に置
換されていてもよい。そのような置換基としては、ハロ
ゲン(フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード等)、ヒドロ
キシ基、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、アミノ
基、モノもしくはジ低級アルキルアミノ基(メチルアミ
ノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ
等)、低級アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポ
キシ、ブトキシ等)、ハロ低級アルキル基(トリフルオ
ロメチル、ジクロロメチル、トリフルオロエチル等)、
低級アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ、プロピ
ルチオ、ブチルチオ等)、低級アルカンスルホニル基
(メタンスルホニル、エタンスルホニル、プロパンスル
ホニル、ブタンスルホニル等)、架橋環式炭化水素基
(アダマンチル等)、低級シクロアルキル基(シクロプ
ロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシ
ル等)、酸素含有複素環式基(フラン、テトラヒドロフ
ラン、テトラヒドロピラン等の残基)、窒素含有複素環
式基(ピロール、ピラゾール、インドール、イミダゾー
ル、ピリジン、キノリン、ピリミジン等の残基)、硫黄
含有複素環式基(チオフェン、ベンゾチオフェン等の残
基)、2以上の異なったヘテロ原子(酸素、窒素、硫黄
等)を含有する複素環式基(イソキサゾール、オキサゾ
ール、チアゾール等の残基)などが挙げられる。またア
ラルキル基およびアリール基は、炭素数1〜6の低級ア
ルキル基(メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチ
ル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、te
rt−ブチル等)でも置換されていてもよい。
【0020】アルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、アラルキル基もしくはアリール基上のこれらの置換
基の数は1〜3個が好ましい。これらの置換基が1つの
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル
基もしくはアリール基中に2個以上存在する場合には、
それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0021】置換されたアルキル基の好ましい例として
は、例えば、低級アルコキシ基で置換されたアルキル基
(メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピ
ル、メトキシブチル、エトキシメチル、エトキシエチ
ル、エトキシプロピル等)、低級シクロアルキル基で置
換されたアルキル基(シクロプロピルメチル、シクロプ
ロピルエチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシル
エチル、シクロヘキシルプロピル、シクロヘキシルブチ
ル等)、酸素含有複素環式基で置換されたアルキル基
(テトラヒドロピラニルメチル、テトラヒドロピラニル
エチル、テトラヒドロピラニルプロピル、テトラヒドロ
ピラニルブチル、テトラヒドロフリルメチル、テトラヒ
ドロフリルエチル等)などが挙げられる。
【0022】置換されたアリール基の好ましい例として
は、例えば、ハロゲンで置換されたアリール基(フルオ
ロフェニル、フルオロナフチル、クロロフェニル、クロ
ロナフチル、ブロモフェニル、ブロモナフチル、ヨード
フェニル、ヨードナフチル等)、低級アルコキシ基で置
換されたアリール基(メトキシフェニル、エトキシフェ
ニル、プロポキシフェニル、メトキシナフチル等)、低
級アルキル基で置換されたアリール基((o−、m−ま
たはp−)トリル、(2,3−、2,4−、2,5−、
2,6−、3,4−または3,5−)キシリル、(o
−、m−またはp−)クメニル、メシチル、メチルナフ
チル等)などが挙げられる。
【0023】置換されたアラルキル基の好ましい例とし
ては、例えば、ハロゲンで置換されたアラルキル基(フ
ルオロベンジル、クロロベンジル、ブロモベンジル、ヨ
ードベンジル、フルオロフェネチル、クロロフェネチ
ル、ブロモフェネチル、フルオロフェニルプロピル
等)、低級アルコキシ基で置換されたアラルキル基(メ
トキシベンジル、エトキシベンジル、プロポキシベンジ
ル、ブトキシベンジル、メトキシフェネチル等)、低級
アルキル基で置換されたアラルキル基((2−、3−ま
たは4−)メチルベンジル、(2,3−、2,4−、
2,5−、2,6−、3,4−または3,5−)ジメチ
ルベンジル、(2−、3−または4−)イソプロピルベ
ンジル、2,4,6−トリメチルベンジル等)などが挙
げられる。
【0024】本発明において、化合物[I]、[II]
または[III]の塩としては、例えばナトリウム塩、
カリウム塩等のアルカリ金属塩、例えばカルシウム塩、
マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム
塩、例えばトリエチルアミン塩等のアミン塩のような無
機または有機塩基との塩が挙げられる。
【0025】本発明において、化合物[I]の医薬とし
て許容される塩としては、無毒かつ医薬として許容され
る慣用の塩であり、化合物[I]の塩に含有される。化
合物[I]の医薬として許容される塩としては、例えば
ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、例えば
カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属
塩、アンモニウム塩、例えばトリエチルアミン塩等のア
ミン塩のような無機または有機塩基との塩が挙げられ
る。
【0026】これら化合物[I]、[II]または[I
II]の塩は、化合物[I]、[II]または[II
I]と適当な塩基とをそれぞれ通常の条件で処理するこ
とにより製造することができる。また、化合物[I]の
塩は以下に述べる製造方法に従い、化合物[II]また
は化合物[III]の塩から製造することもできる。
【0027】本発明の化合物[I]の医薬として許容さ
れる塩には、化合物[I]の溶媒和化合物も含まれる。
化合物[I]の溶媒和化合物は、化合物[I]と適当な
溶媒とを通常の条件下で処理することにより製造するこ
とができる。また、化合物[I]の溶媒和化合物は、以
下に述べる製造方法において使用する溶媒と化合物
[I]が処理されることにより製造することもできる。
【0028】この発明におけるポリエーテル系化合物
[I]の具体例を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】ポリエーテル系化合物[I]およびその塩
の製造法を式で示すと次の通りである。
【0031】
【化6】
【0032】化合物[III]は前記のK−41を含有
するものである。この化合物[III]またはその塩を
ジャーナル・オブ・アンチバイオティックス第50巻、
631頁(1997年)に記載の方法に従い、化合物
[II]またはその塩へと変換する。化合物[II]ま
たはその塩の反応性官能基、すなわち、1位のカルボキ
シ基、2位のヒドロキシ基および/または3位のヒドロ
キシ基は、必要に応じて通常の方法で保護することがで
きる。
【0033】1位のカルボキシ基ならびに2位および/
または3位のヒドロキシ基への保護基の導入は、いずれ
を先に行なってもよい。ヒドロキシ保護基は当該技術分
野で通常用いられれているものでよく、好ましいものと
しては、アシル基、シリル基、t−ブチル基、トリチル
基、ベンジル基、ピラニル基等が挙げられる。また、カ
ルボキシ保護基も常用のものでよく、好ましいものとし
ては、メチル、t−ブチル等の低級アルキル基、フェニ
ル基、ベンジル、フェネチル等のアラルキル基、シリル
基等が挙げられる。
【0034】目的化合物[I]またはその塩は、化合物
[II]またはその塩と化合物[IV]とを反応させる
ことにより製造することができる。この反応は、化合物
[II]またはその塩に対し、化合物[IV]を化学当
量ないし過剰量用い、0〜100℃で1時間〜10日間
反応させることにより行なわれる。この際必要に応じて
塩基等を加えてもよい。溶媒としては、クロロホルム、
塩化メチレンなどのハロゲン系炭化水素類、エーテル、
テトラヒドロフラン類のエーテル類、ベンゼン、トルエ
ン等の芳香族炭化水素、DMF等アミド類、その他DM
SO等一般的な溶媒が挙げられる。化合物[IV]がア
ルコールのように液体の場合には、その化合物[IV]
を溶媒を兼ねて用いてもよい。塩基としては、アルカリ
金属(ナトリウム、カリウム、セシウム等)の水酸化
物、炭酸塩、炭酸水素塩またはトリアルキルアミン(ト
リエチルアミン、トリメチルアミン等)類が挙げられ
る。
【0035】この反応において、化合物[IV]の好ま
しい例としては、Xが酸素原子の場合、メタノール、エ
タノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノー
ル、メトキシメタノール、2−メトキシエタノール、シ
クロヘキサンメタノール、テトラヒドロピラン−2−メ
タノール、ベンジルアルコール、4−フルオロベンジル
アルコール、4−クロロベンジルアルコール、4−ヨー
ドベンジルアルコール、4−メトキシベンジルアルコー
ル、フェノール、4−フルオロフェノール、4−メトキ
シフェノール、3−ピリジンメタノール、2−ピリミジ
ンメタノール、2−チオフェンメタノール、2−フルフ
リルアルコールなどが挙げられる。Xが硫黄原子の場
合、メタンチオール、エタンチオール、2−プロパンチ
オール、シクロヘキサンチオール、ベンジルメルカプタ
ン、チオフェノール、4−フルオロチオフェノール、4
−メトキシチオフェノールなどが挙げられる。−NR1
−の場合、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピル
アミン、シクロヘキシルアミン、2−メトキシエチルア
ミン、4−フルオロベンジルアミン、4−クロロベンジ
ルアミン、4−ヨードベンジルアミン、4−メトキシベ
ンジルアミン、アニリン、p−アニシジン、4−フルオ
ロアニリンなどが挙げられる。
【0036】カルボキシ基および/またはヒドロキシ基
が保護されている場合には、反応終了の後に全ての保護
基を脱離することにより、化合物[I]またはその塩へ
導くことができる。保護基の脱離は、1位のカルボキシ
基ならびに2位および3位のヒドロキシ基における保護
基のうち、いずれを先に行なってもよい。これらの保護
基の脱離反応もそれぞれ公知の方法によって行なうこと
ができる。
【0037】また、化合物[I]またはその塩は、化合
物[III]またはその塩と化合物[IV]とを反応さ
せることによっても製造することができる。この反応
は、前記の化合物[II]またはその塩と化合物[I
V]との反応と同様にして行なうことができる。
【0038】この発明のポリエーテル系化合物[I]お
よびその塩は抗コクシジウム活性、抗線虫活性等の駆虫
活性および各種細菌に対する抗菌活性を有し、医薬とし
て有用である。医薬としては、人および動物用が含まれ
る。
【0039】ポリエーテル系化合物[I]およびその塩
を医薬として投与する際には、化合物[I]または化合
物[I]の塩のうちその医薬的に許容される塩を有効成
分として含有する医薬組成物の形で人または動物に投与
される。
【0040】この発明の医薬組成物は、一般には経口投
与または静脈内投与、皮下・皮内投与、筋肉内投与、関
節内投与、直腸投与、経粘膜投与等の非経口投与により
使用され得る。また、この発明の医薬組成物を動物用医
薬(動物薬)として使用する場合には、飼料添加または
飲水添加による投与が好ましい。
【0041】この発明の医薬組成物は、その投与形態に
応じて各種の剤型、例えば錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、
細粒剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤等の経口剤、
注射剤、点滴剤、坐剤、軟膏剤、硬膏剤、貼付剤、エア
ゾール等の非経口剤として使用され得る。これら製剤
は、この分野で通常知られた慣用的な方法により製造す
ることができる。
【0042】化合物[I]またはその医薬として許容さ
れる塩の投与量は、疾病の種類、症状、体重、投与形態
などに応じて適宜増減されるが、通常1回1〜100m
g/kgの割合で投与される。また、化合物[I]また
はその医薬として許容される塩を飼料や飲水に添加して
投与するときの飼料または飲水中の化合物[I]または
その医薬として許容される塩の添加割合は、通常1〜1
000ppmである。
【0043】
【実施例】以下に、この発明の化合物の製造法を実施例
により、また薬理的な作用を試験例により説明する。実
施例において、1 H−NMRスペクトルは、内部基準と
してテトラメチルシランを用いてブルーカーAC200
P(200MHz)またはブルーカーDPX200(2
00MHz)型スペクトルメーターで測定し、全δ値を
ppmで示した。
【0044】参考例1 (ストレプトミセス・エスピーNo.70860の菌学
的性質) No.70860株は土壌サンプルから分離された。本
菌株の形態、培養性状、生理的性質を調べるための培
地、方法は、主にシャーリングとゴットリーブ、ワック
スマンに従った。それぞれの培養を30℃で21日間行
なった後、形態等を観察した。形態観察に関しては、酵
母エキス・麦芽エキス寒天、オートミール寒天、無機塩
・でんぷん寒天でそれぞれ培養後、光学及び走査型電子
顕微鏡で形態的特徴を観察した。生育温度の判定には、
酵母エキス・麦芽エキス寒天を用いた。炭素源の利用性
の判定にはプリドハム・ゴットリーブの培地を用いた。
色名はメシューエン・ハンドブック・オブ・カラーから
引用した。細胞壁のアミノ酸の分析はベッカー等、山口
の方法に従った。
【0045】本菌株の凍結乾燥サンプルは、ブタペスト
条約に基づく国際寄託機関である工業技術院生命工学工
業技術研究所、特許微生物寄託センターへ寄託番号FE
RMBP−6412として寄託されている(寄託日:平
成10年7月9日)。
【0046】(1)形態的特徴 基生菌糸はよく発達し、不規則に分枝するが断裂しな
い。基生菌糸から伸長した気菌糸は単純分枝し、長い胞
子鎖を形成する。気菌糸の形はらせん状でプリドハム等
の分類のSタイプに属する。1つの胞子連鎖は10個以
上の胞子からなる。胞子は表面が平滑(smooth)
で、0.6−0.7×1.0−1.5μmの大きさの紡
錘型であった。菌核、胞子嚢、遊走子は観察されなかっ
た。
【0047】(2)培養性状 それぞれの培地の培養性状の結果を表2に示す。気菌糸
は酵母エキス・麦芽エキス寒天、無機塩・でんぷん寒天
上で豊富に、グリセリン・アスパラギン寒天上で中程度
に、オートミール寒天、ペプトン・酵母エキス・鉄寒天
上ではうっすらと着生した。気菌糸の色は淡黄色から黄
白色であった。生育裏面の色は濃褐色、褐色、灰色味橙
色、黄褐色などを呈する。菌体内色素はpH感受性では
ない。トリプトン・酵母エキス培地及びペプトン・酵母
エキス・鉄寒天上では、メラノイド色素の産生はみられ
なかった。
【0048】
【表2】
【0049】(3)細胞壁タイプ 全菌体分解物の分析の結果、LL−ジアミノピメリン酸
の存在を確認できた。したがってこの菌株の細胞壁タイ
プはI型と考えられる。
【0050】(4)生理的性質 表3に示すようにD−グルコース、シュークロース、D
−キシロース、D−フルクトース、L−ラムノース、ラ
フィノース、L−アラビノース、イノシトール、D−マ
ンニトールの利用性が陽性であった。でんぷんの加水分
解活性は偽陽性であった。
【0051】
【表3】
【0052】(5)同定 形態観察及び化学分析の結果からNo.70860株は
ストレプトミセス属に属すると考えられる。そこで本菌
株をストレプトミセス・エスピーNo.70860株と
命名した。
【0053】参考例2 (化合物[IIIa]の製造)
【化7】
【0054】コーンスターチ1.0%、グルコース1.
0%、ピーナッツパウダー0.5%、きな粉0.5%、
乾燥酵母0.5%、CaCO30.2%を含む培地14
0mlを500ml三角フラスコに入れて、121℃で
30分間オートクレーブ滅菌した。この培地を40本作
製した。冷却後、斜面寒天培地に成育しているストレプ
トミセス・エスピーNo.70860株を約5mm3
寒天片ごと、全培地に植菌して、30℃で4日間振とう
培養した。この培養液を前培養液として、本培養に用い
た。
【0055】本培養では、可溶性デンプン(MS30
0)2.5%、グリセリン0.5%、小麦胚芽1.0
%、チキンミートボール0.5%、カツオ肉エキス0.
5%、CaCO30.2%を含む培地240Lを300
L容ジャーファーメンターに入れ、121℃で30分間
滅菌した。冷却後、三角フラスコ33本分の前培養液を
植菌し、30℃で6日間培養した。
【0056】こうして得られた培養液約240Lに珪藻
土を加えて濾過し、菌体と濾液に分離した。濾液は20
0Lの酢酸エチルで2回抽出後、抽出液を減圧濃縮し、
ヘキサンを加えて残存する酢酸エチルを共沸させて除去
した。油状の残渣にメタノール2Lと水6Lを加えて溶
解し、これをヘキサン8Lで3回抽出し、ヘキサンを減
圧留去し粗生成物53gを得た。菌体はアセトンを加え
150Lとし、20分攪拌後再度濾過し、濾液を減圧濃
縮しアセトン水溶液50Lを得た。これにヘキサン36
Lで3回抽出し、抽出液からヘキサンを減圧留去して粗
生成物150gを得た。
【0057】こうしてろ液および菌体から得られた粗生
成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン
/酢酸エチル=3/1〜1/1)を用いて精製し、さら
にエーテル/ヘキサンから再結晶してそれぞれ23g、
30gの化合物(K41)を得た。この結晶の一部を酢
酸エチルに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗
浄後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して化合
物[IIIa](K41のナトリウム塩)を得た。
【0058】参考例3 化合物[IIa]の製造
【0059】
【化8】
【0060】化合物[IIIa](1.05g)にメタ
ノール(11ml)を加えて溶解し、室温で攪拌しなが
ら20%無水炭酸セシウム−メタノール溶液(5ml)
を加えた。室温で6時間攪拌した後、反応液を減圧下に
濃縮した。残渣を酢酸エチルで希釈し、クエン酸水溶
液、炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄
した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下
に濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー( 溶媒:酢酸エチル) で精製し、次いで
酢酸エチル/ ヘキサンから晶析して化合物[IIa]
(564mg)を白色結晶として得た。1 H−NMR(CDCl3 )δ:1.17 (s,3H), 1.61
(s,3H), 1.75 (s,3H), 2.32 (s,3H), 0.8-2.4 (m,27H),
2.5-2.8 (m,1H), 3.38 (s,3H), 3.41 (s,3H), 3.46
(s,3H), 3.56 (s,3H), 3.2-4.2 (m,11H), 4.5-4.7 (m,1
H), 4.73 (d,1H), 6.76 (d,1H), 6.92 (br s,1H )
【0061】以下の実施例1〜実施例10で得られた化
合物[I−1]〜[I−9]を表4に示す。
【表4】
【0062】実施例1
【0063】化合物[IIa](50mg)にベンジル
アルコール(0.5ml)を加え、室温で攪拌しながら
無水炭酸セシウム(50mg)を加えた。室温で一晩攪
拌した後、50℃に昇温して4時間攪拌した。反応液を
酢酸エチルで希釈し、クエン酸水溶液、炭酸水素ナトリ
ウム水溶液で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥後、減圧下に濃縮し、粗生成物をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー( 溶媒:酢酸エチル/ ヘキサン
= 4/6→1/1) で精製して化合物[I−1](9m
g)を得た。
【0064】1 H−NMR(CDCl3 )δ:0.8-2.3
(m,41H), 3.38 (s,3H), 3.42 (s,3H),3.48 (s,3H), 3.5
6 (s,3H), 3.1-4.7 (m,14H), 7.2-7.4 (m,5H) ESI−MS:m/z 931 [M+H]+ 、953 [M+Na] +
【0065】実施例2
【0066】ベンジルアルコールの代わりに4-フルオロ
ベンジルアルコールを用い、実施例1と同様に処理し
て、化合物[I−2](5mg)を得た。
【0067】1 H−NMR(CDCl3 )δ:0.8-2.4
(m,41H), 3.38 (s,3H), 3.42 (s,3H),3.47 (s,3H), 3.5
6 (s,3H), 3.1-4.7 (m,14H), 6.9-7.1 (m,2H), 7.2-7.4
(m,2H) ESI−MS:m/z 949 [M+H]+ 、971 [M+Na]+
【0068】実施例3
【0069】化合物[IIa](50mg)に4−メト
キシベンジルアルコール(0.5ml)を加え、室温で
攪拌しながら無水炭酸セシウム(50mg)を加えた。
室温で3日間攪拌した後、反応液を実施例1と同様に処
理し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
( 溶媒:酢酸エチル/ ヘキサン=1/2→1/1→2/
1)で精製して化合物[I−3](9mg)を得た。
【0070】1 H−NMR(CDCl3 )δ:0.8-2.3
(m,41H), 3.38 (s,3H), 3.42 (s,3H),3.48 (s,3H), 3.5
6 (s,3H), 3.80 (s,3H) 3.1-4.7 (m,14H), 6.8-6.9 (m,
2H),7.2-7.3 (m,2H). ESI−MS:m/z 961 [M+H]+ 、983 [M+Na]+
【0071】実施例4 化合物[IIa](44mg)にエタノール(1ml)
を加え、室温で攪拌しながら無水炭酸セシウム(50m
g)を加えた。室温で一晩攪拌した後、反応液を減圧下
に濃縮した。残留物を酢酸エチルで希釈し、クエン酸水
溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液で順次洗浄した。有機
層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮し、
粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー( 溶
媒:酢酸エチル) で精製して化合物[I−4](12m
g)を得た。
【0072】1 H−NMR(CDCl3 )δ:0.8-2.3
(m,44H), 3.37 (s,3H), 3.42 (s,3H),3.46 (s,3H), 3.5
6 (s,3H), 2.9-4.1 (m,12H), 4.3-4.4 (m,1H), 4.5-4.6
(m,1H) ESI−MS:m/z 869 [M+H]+ 、891 [M+Na]+
【0073】実施例5 化合物[IIa](100mg)にテトラヒドロピラン
−2−メタノール(1ml)を加え、室温で攪拌しなが
ら無水炭酸セシウム(100mg)を加えた。室温で3
日間攪拌した後、反応液を酢酸エチルで希釈し、クエン
酸水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液で順次洗浄した。
有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮
し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(
溶媒:酢酸エチル) で精製して化合物[I−5](33
mg)を得た。
【0074】1 H−NMR(CDCl3 )δ:0.8-2.4
(m,47H), 3.37 (s,3H), 3.42 (s,3H),3.45 (s,3H), 3.5
6 (s,3H), 2.9-4.1 (m,15H), 4.2-4.4 (m,1H), 4.4-4.6
(m,1H) ESI−MS:m/z 939 [M+H]+ 、961 [M+Na]+
【0075】実施例6 化合物[IIa](50mg)にシクロヘキサンメタノ
ール(0.5ml)を加え、室温で攪拌しながら無水炭
酸セシウム(50mg)を加えた。室温で5日間攪拌し
た後、反応液を実施例4と同様に処理し、粗成物をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィー( 溶媒:酢酸エチル/
ヘキサン=1/1)で精製して化合物[I−6](4m
g)を得た。
【0076】1 H−NMR(CDCl3 )δ:0.8-2.4
(m,52H), 3.37 (s,3H), 3.42 (s,3H),3.45 (s,3H), 3.5
6 (s,3H), 2.9-4.1 (m,12H), 4.2-4.4 (m,1H), 4.4-4.6
(m,1H). ESI−MS:m/z 937 [M+H]+ 、959 [M+Na]+
【0077】実施例7 化合物[IIa](100mg)に2−メトキシエタノ
ール(1ml)を加え、室温で攪拌しながら無水炭酸セ
シウム(100mg)を加えた。室温で3日間攪拌した
後、反応液を実施例4と同様に処理し、粗成物をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー( 溶媒:酢酸エチル/ ヘ
キサン=1/1→酢酸エチル) で精製して化合物[I−
7](11mg)を得た。
【0078】1 H−NMR(CDCl3 )δ:0.8-2.3
(m,41H), 3.37 (s,3H), 3.38 (s,3H),3.42 (s,3H), 3.4
5 (s,3H), 3.56 (s,3H), 3.0-4.1 (m,14H), 4.2-4.4
(m,1H),4.4-4.6 (m,1H). ESI−MS:m/z 899 [M+H]+ 、921 [M+Na]+
【0079】実施例8 化合物[IIa](100mg)にイソプロピルアルコ
ール(1ml)を加え、室温で攪拌しながら無水炭酸セ
シウム(100mg)を加えた。50〜60℃で19時
間攪拌した後、反応液を実施例4と同様に処理し、粗成
物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー( 溶媒:酢酸
エチル/ヘキサン=1/1→酢酸エチル) で精製して化
合物[I−8](3mg)を得た。
【0080】1 H−NMR(CDCl3 )δ:0.7-2.4
(m,47H), 3.37 (s,3H), 3.42 (s,3H),3.46 (s,3H), 3.5
5 (s,3H), 3.0-4.1 (m,11H), 4.3-4.4 (m,1H), 4.4-4.6
(m,1H). ESI−MS:m/z 883 [M+H]+ , 905 [M+Na]+
【0081】実施例9 化合物[IIa](100mg)にシクロヘキサノール
(1ml)を加え、室温で攪拌しながら無水炭酸セシウ
ム(100mg)を加えた。50〜60℃で40時間攪
拌した後、反応液を実施例4と同様に処理し、粗成物を
シリカゲルカラムクロマトグラフィー( 溶媒:酢酸エチ
ル/ ヘキサン=1/1)で精製して化合物[I−9]
(3mg)を得た。
【0082】1 H−NMR(CDCl3 )δ:0.8-2.4
(m,51H), 3.37 (s,3H), 3.42 (s,3H),3.46 (s,3H), 3.5
5 (s,3H), 3.0-4.1 (m,11H), 4.3-4.4 (m,1H), 4.5-4.6
(m,1H). ESI−MS:m/z 923 [M+H]+ 、945 [M+Na]+
【0083】実施例10 化合物[IIIa](1.0g)に飽和炭酸セシウム- エタノ
ール溶液(10ml)を加え、室温で一晩攪拌した後反応液を
減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチルで希釈し、クエ
ン酸水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で
順次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥
後、減圧下に濃縮し、粗生成物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー( 溶媒:酢酸エチル/ ヘキサン=1/1) で
精製して化合物[I−4](348mg) を得た。この実施例
10で得られた化合物は、実施例4で得られた化合物
[I−4]と同一であることを1 H−NMRスペクトラ
ムで確認した。
【0084】試験例1 抗線虫活性試験 ラット寄生線虫ニポストロンギルス・ブラジリエンシス
(Nippostrongylus brasilie
nsis)の成虫を用いて、in vitroの抗線虫
活性を評価した。供試ラットとしてWistar系のラ
ット(体重120〜130g、6週齢、雄)を用い、ラ
ット1匹あたり約3000隻の感染子虫を皮下接種して
感染させた。この感染ラットを接種後11日目に解剖し
小腸内の成虫を取り出した。この成虫は抗生物質(ペニ
シリンG、ストレプトマイシン、アンフォテリシンBお
よびフルオロシトシン)入りのタイロード液で洗浄した
後、活性評価用の培養液に移した。試験化合物は10m
gをメタノール10mlに溶解し、1000μg/ml
の溶液とした。この溶液をメタノールで希釈して、10
0・10・1μg/mlの溶液を調整した。
【0085】抗線虫活性は、上記の培養液にこれらの試
験化合物の溶液を加えて、試験液に線虫を暴露させたと
きに、虫体から分泌されるアセチルコリンエステラーゼ
の量が減少することを指標として評価した。すなわち、
12ウェルのマルチプレートで最終濃度5、0.5、
0.05、0.005μg/ml(n=3)になるよう
に各試験液を培養液に加えた後、約40〜60隻/ウェ
ルで準備した成虫を移し入れ、37℃で4日間静置し
た。静置後、分泌されたアセチルコリンエステラーゼは
アセチルチオコリンを基質とした比色定量法で測定し、
この測定値から無処理の虫体分泌量を50%抑制する濃
度を計算によって求めた。表5にその結果を示した。
【0086】
【表5】
【0087】試験例2 抗コクシジウム活性試験 鶏コクシジウム症の感染原虫アイメリア・テネラ(Ei
meria tenella)のスポロゾイトを用い
て、抗コクシジウム活性をin vitroで調べた。
アイメリア・テネラ標準株のオーシストから、トリプシ
ン及びデオキシコール酸を用いた常法によって、スポロ
ゾイトを取り出した。このスポロゾイトを1%の牛胎児
血清を添加したイーグルMEM液中に浮遊させた。
【0088】試験化合物10mgをメタノール10ml
に溶解し、1000μg/mlの溶液とした。この溶液
をメタノールで10倍に希釈して、100μg/mlの
溶液とした。この100μg/ml溶液をリン酸緩衝液
で2倍に希釈し、100・50・25、……2.0・
1.0・0.5μg/mlの試験液を調製した。抗コク
シジウム活性は、96ウェルのマイクロプレートに準備
した希釈調製液中にスポロゾイト浮遊液を加えて、40
℃で18時間静置して調べた。試験化合物の作用によ
り、スポロゾイトが崩壊したときに活性ありとした。な
お、活性を評価した最終濃度は5、2.5、1.25…
…0.005、0.0025μg/mlとなる。表6に
各試験化合物の最小有効濃度(MEC)を示した。
【0089】
【表6】
【0090】試験例3 抗菌活性試験 黄色ブドウ球菌スタフィロコッカス・アウレウス209
P(Staphylococcus aureus 2
09p)を用いて、試験化合物の抗菌活性を調べた。試
験化合物10mgをメタノール10mlに溶解し、10
00μg/mlの溶液を調製した。この溶液をメタノー
ルで2倍に希釈して、500、250、125、……
0.5、0.25μg/ml試験液を調製した。この試
験液を96ウェルのマイクロプレートに10μlずつ分
注した。
【0091】検定用培養液は供試菌を一白金耳植菌して
培養した。プレートの各ウェルへ検定用培養液を190
μl/ウェルずつ分注した。この液を37℃で一晩培養
し、菌の増殖を指標に活性を調べた。菌の増殖が認めら
れない最小濃度をMICとして表7に示した。なお、菌
の増殖は培養液の濁度をマイクロプレートリーダーで測
定し、この測定値をもとに増殖の有無を判定した。
【0092】
【表7】
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07H 15/18 C07H 15/18 15/207 15/207 15/26 15/26 Fターム(参考) 4C057 BB02 DD03 JJ03 JJ55 4C086 AA01 AA02 AA03 AA04 EA11 MA04 NA14 ZB32 ZB35 ZC64

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式[I]: 【化1】 [式中、Rは水素原子、置換されていてもよいアルキル
    基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されてい
    てもよいアルキニル基、置換されていてもよいアラルキ
    ル基または置換されていてもよいアリール基、Xは酸素
    原子、硫黄原子、−NR1 −または−CR2 3 −(こ
    こで、R1 、R2 およびR3 は同一または異なって水素
    原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されてい
    てもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニ
    ル基、置換されていてもよいアラルキル基または置換さ
    れていてもよいアリール基を表わす)をそれぞれ意味す
    る]で表わされるポリエーテル系化合物およびその塩。
  2. 【請求項2】 Rが置換されていてもよいアルキル基ま
    たは置換されていてもよいアラルキル基であり、Xが酸
    素原子である請求項1に記載のポリエーテル系化合物お
    よびその塩。
  3. 【請求項3】 式[II]: 【化2】 で表わされる化合物またはその塩と、一般式[IV]: HX−R [IV] [式中、Rは水素原子、置換されていてもよいアルキル
    基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されてい
    てもよいアルキニル基、置換されていてもよいアラルキ
    ル基または置換されていてもよいアリール基、Xは酸素
    原子、硫黄原子、−NR1 −または−CR2 3 −(こ
    こで、R1 、R2 およびR3 は同一または異なって水素
    原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されてい
    てもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニ
    ル基、置換されていてもよいアラルキル基または置換さ
    れていてもよいアリール基を表わす)をそれぞれ意味す
    る]で表わされる化合物[IV]とを反応させて、一般
    式[I]で表わされる請求項1に記載の化合物およびそ
    の塩を得ることを特徴とするポリエーテル系化合物およ
    びその塩の製造法。
  4. 【請求項4】 式[III]: 【化3】 で表わされる化合物またはその塩と、一般式[IV]: HX−R [IV] (式中、XとRは前に定義したと同一意味)で表わされ
    る化合物[IV]とを反応させて、一般式[I]で表わ
    される請求項1に記載の化合物およびその塩を得ること
    を特徴とする、ポリエーテル系化合物およびその塩の製
    造法。
  5. 【請求項5】 一般式[I]で表わされる請求項1に記
    載のポリエーテル系化合物またはその医薬的に許容され
    る塩を有効成分として含有する医薬組成物。
  6. 【請求項6】抗コクシジウム剤、抗線虫剤または抗菌剤
    として使用される請求項5に記載の医薬組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015053285A1 (ja) * 2013-10-08 2015-04-16 日本農薬株式会社 微生物を植菌してなる種菌及びそれを使用する抗生物質の生産方法
CN106366091A (zh) * 2016-08-24 2017-02-01 河北艾林国际贸易有限公司 海南霉素及其衍生物的用途及其海南霉素衍生物和制备方法

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