JP2000105949A - フォトルミネッセンスの消去方法 - Google Patents

フォトルミネッセンスの消去方法

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JP2000105949A
JP2000105949A JP10275161A JP27516198A JP2000105949A JP 2000105949 A JP2000105949 A JP 2000105949A JP 10275161 A JP10275161 A JP 10275161A JP 27516198 A JP27516198 A JP 27516198A JP 2000105949 A JP2000105949 A JP 2000105949A
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nanoparticles
erasing
intensity
emission intensity
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Soichiro Saida
壮一郎 齊田
Shinya Maenozono
信也 前之園
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フォトルミネッセンス強度(以下「発光強
度」と称する)を励起光の照射時間もしくは照射量の関
数として増加あるいは増加及び記憶させることができる
機能を有する発光性微粒子(以下「ナノ粒子」と称す
る)の集合体を有する光メモリ素子の発光強度を容易に
減少又は消去する方法を提供する。 【解決手段】 発光強度を励起光の照射時間もしくは照
射量の関数として増加あるいは増加及び記憶させること
ができる機能を有するナノ粒子の集合体を有する光メモ
リ素子に、発光強度を増加あるいは増加及び記憶させた
後、熱処理することにより発光強度を減少させることを
特徴とするフォトルミネッセンスの消去方法

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フォトルミネッセ
ンス強度(以下「発光強度」と称する)を励起光の照射
時間もしくは照射量の関数として増加あるいは増加及び
記憶させることができる機能(以下「TDLM機能」と
称する)を有する発光性微粒子(以下「ナノ粒子」と称
する)の集合体を有する光メモリ素子の発光強度を減少
させる方法に関する。詳しくは、TDLM機能に基づい
た光メモリ素子、例えば情報記録媒体、ディスプレイ、
撮像素子、画像処理素子、積分型センサなどの素子にお
いて、一旦記録されたイメージもしくはデータなどの情
報の消去に利用できるものである。
【0002】
【従来の技術】従来の発光素子においては、時間に関し
て変化しない発光特性が利用されてきた。この不変性の
物理的理由はエネルギー準位間の非常に早い遷移過程に
ある。この遷移過程は量子力学によって規定され、キャ
リア(電子および正孔)または励起子とフォトン(光
子)との相互作用を反映する。これらの相互作用(光−
電気変換または電気−光変換)が極狭い空間(原子また
は分子のスケール)で非常に早く行われるならば、発光
強度の変動も極めて早いものとなる。従ってこのような
場合における発光強度は通常の時間スケールから見れば
変化しない。
【0003】従来の発光素子として、典型的には実用上
ほとんどの応用例においてナノ粒子以外の材料物質、例
えばポリマー(Herron et al., Buetje et al.)、ガラ
ス(Naoe et al. )、液体などのマトリクス(連続相)
中にナノ粒子が埋め込まれた系が強調されてきている。
中でも液体は通常ナノ粒子のフォトルミネッセンス・ス
ペクトルの測定や発光色の可視化などの場合に用いられ
る(例えば、Dabbousi, B. O., et al.,J. Phys. Che
m., 101, 9463 (1997))。
【0004】また、ナノ粒子を用いた発光素子/媒体お
よび光プロセシング素子/媒体も開示されているがいず
れも時間に関して変化しない発光特性を基礎としたもの
であった。これらの全ての場合において、ナノ粒子(ま
たはそれらのクラスター)は各々遠く離れて存在してお
り、励起光照射時には孤立した単一の発光体として振る
舞うものである。このような構造は発光媒体、レントゲ
ン写真に用いられる光導電性材料(Herron et al. )な
どの媒体に多く利用されている。
【0005】ナノ粒子の素子への応用のためには、固体
基板上へのナノ粒子膜もしくは層の堆積によって得られ
る高密度集積が重要である。これら半導体ナノ粒子の薄
膜は発光素子(LED )(Alivisatos et al. )、光電変
換素子(Greenham, N. C., et al., Phys. Rev. B, 54,
17628 (1996) )、超高速ディテクター(Bhargava)、
エレクトロルミネッセンス・ディスプレイおよびパネル
(Bhargava, Alivisatos et al. )、ナノ構造メモリ素
子(Chen et al. )、ナノ粒子配列からなる多色デバイ
ス(Dushkin et al.)に応用されている。これら応用例
のほとんどの場合においてナノ粒子は薄膜中で相互に近
接しており、ある条件下では粒子間相互作用による新し
い(単一粒子には見られない)光物性を示す。そのよう
な光物性とは、例えば粒子配列(ナノ粒子結晶(Murray
et al. )またはパターニングされたナノ粒子膜(Dush
kin et al.))の発光波長遷移(発光ピークのレッドシ
フト)などである。この発光波長遷移は高密度に集積し
たナノ粒子間における励起状態の長距離共鳴輸送に起因
している(Kagan et al.)。
【0006】しかしながら従来の発明では上記のような
粒子間相互作用による効果を素子や媒体の機能として積
極的に活用しているわけではない。その理由の一つとし
ては、ナノ粒子の膜が(微視的に)明確な構造を持って
いない、及び/または、一様でないということが考えら
れる。もう一つの理由として、本来的な粒子間相互作用
は電場による著しい相互作用(エレクトロルミネッセン
ス)によって打ち消されてしまっている(Alivisatos e
t al. )、ということが挙げられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来の知見に
対して、我々は今回高密度に集積・配列したナノ粒子の
薄膜における集団的機能を初めて積極的に利用した。そ
の集団的機能とはナノ粒子膜における上述したTDLM
機能であり、このことによって照射領域と非照射領域の
フォトルミネッセンス強度比(コントラスト)を利用し
たナノ粒子膜上へのイメージ(像)形成が可能となる。
我々は空間的に配列したナノ粒子群の特異な光物性を対
象にしているが、これは原子・分子の物性ともバルクの
物性とも単一ナノ粒子の物性とも異なり、発光強度の時
間変化は数オーダー大きくなる(典型的には数十分)。
ナノ粒子配列構造における非常に長い時間スケールの遷
移過程の明確な物理的根拠は現時点ではまだ定かでない
が、この現象に基づいた明白な応用として撮像および画
像処理が一例として挙げられる。
【0008】ここで、従来技術と本願発明において応用
されたTDLM現象との相違点について説明する。これ
まで全ての応用例はフォトン(光子)と外部電場の相互
作用によってキャリア(電子および正孔)を生成するこ
と、またはその逆である、キャリアの再結合によるフォ
トン生成を目的としてきた。我々の場合にはTDLM現
象を利用しており、レーザー発振における光ポンピング
(Sze, S. M., "Physics of Semiconductor Devices",
Wiley, New York, 1981 )と似ている。これは励起子ま
たは電子・正孔対の生成および輸送を介した光−光変換
である。電子・正孔対の生成および輸送は電気光学結晶
(Valley et al. )やポリマー(Sutter et al. )など
のフォトリフラクティブ素子/媒体において観察されて
いる。空間的に周期的な光照射と外部場を与えることに
よりキャリア(電子および正孔)の空間的分離が起こ
り、その空間分布に伴う屈折率の変化がこれらのフォト
リフラクティブ素子/媒体におけるイメージ記録原理と
なっており、一般にダイナミックホログラフィーと呼ば
れる(Peyghambarian et al., Nature, vol. 383, 199
6, 10 October, p 481 )。TDLM現象における励起
子またはキャリアの輸送は、イメージからの異なる波長
(色)の発光に繋がり、フォトリフラクティブ現象とは
異なる現象である。
【0009】半導体ナノ結晶に見られるホールバーニン
グ効果(Naoe et al. )とTDLM現象との相違につい
ては以下の通りである。通常、ホールバーニング効果は
例えばガラスのようなマトリクス(連続相)中にある程
度粒径分布を持ったナノ粒子が孤立して分散された系に
観察される。単色(単一波長)のレーザー光照射によっ
て、その波長に対応した特定の粒径のナノ粒子群のみが
励起され、不均一に広がった吸収スペクトル中のレーザ
ー光の波長にスペクトルホールを掘ることができる。こ
の効果を利用したメモリ素子が提案されているが、我々
の場合との相違点は以下の3点である。1)ホールバー
ニングは吸収を利用しているのに対し、TDLMは発光
を利用している。2)ホールバーニングの場合、一定の
光束の励起光によるポンピングの際、系内の励起子また
はキャリアの総量は変化しないが、TDLMではそれら
の再結合の総量が増加している。3)ホールバーニング
現象におけるスペクトルホールの緩和時間は室温では一
般に非常に早く、数msec以下であるが、TDLMで
は室温で数時間のオーダーである。
【0010】その他として、単一の量子ドットに観察さ
れた現象で、断続的発光(蛍光)が挙げられる(Nirmal
et al., Nature, 383, 802 (1996))。孤立した単一C
dSeナノ粒子に連続的にレーザー光を照射して励起す
るとナノ粒子からの発光が明滅する(特性時間0.5 秒程
度)という現象であるが、一旦消光した後に再開された
発光の強度は常に一定であり変化しない。
【0011】本発明の目的は、上記TDLM機能を応用
した発光強度を増加及び記憶することのできる光メモリ
素子に、その増加及び記憶した発光強度を容易に減少又
は消去することを可能とする方法を提供することにあ
る。この方法により該光メモリ素子への複数回の書き込
み及び消去が可能となり、例えば情報記録媒体、ディス
プレイ、撮像素子、画像処理素子、積分型センサなどの
素子への幅広い応用が可能となる。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の目
的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、上記TDLM機
能を有するナノ粒子の集合体に特定の処理を施すことに
より、一旦増加及び記憶した発光強度を容易に減少又は
消去することができることを見出し本発明に到達した。
【0013】即ち本発明の要旨は、発光強度を励起光の
照射時間もしくは照射量の関数として増加あるいは増加
及び記憶させることができる機能を有するナノ粒子の集
合体を有する光メモリ素子に、発光強度を増加あるいは
増加及び記憶させた後、熱処理することにより発光強度
を減少させることを特徴とするフォトルミネッセンスの
消去方法、に存する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明のフォトルミネッセンスの
消去方法が対象とする光メモリ素子は発光強度を励起光
の照射時間もしくは照射量の関数として増加あるいは増
加及び記憶させることができる(TDLM)機能を有す
るナノ粒子の集合体を有するものである。
【0015】上記TDLM機能は、例えば、ナノ粒子の
集合体を含有する薄膜を用いた場合、該薄膜が室温かつ
空気に触れた状態で、ナノ粒子の薄膜上の励起光が照射
された領域からのフォトルミネッセンス(蛍光)強度が
照射時間(照射量)の関数として初期の強度に対して数
倍まで増加するというものである。このことによりナノ
粒子薄膜上の励起光照射領域と非照射領域のフォトルミ
ネッセンス強度の相違(コントラスト)から任意のイメ
ージ(像)を該ナノ粒子薄膜上に形成できる。このよう
な光メモリ効果は、様々な塗布方法によって固体基板上
に作製されたナノ粒子薄膜中で相互にナノ粒子が近接し
た多粒子系の本質的物性である。ナノ粒子薄膜の厚さ、
固体基板の材料物質、励起光強度や照射方式(連続的ま
たは断続的)などを変えることによってナノ粒子薄膜か
らのフォトルミネッセンス(蛍光)強度を制御すること
が可能である。
【0016】本発明において発光強度を増加させる時間
は、通常3時間以下、好ましくは、1×10-12 秒〜1
時間程度であり、発光強度の増加率は初期の発光強度に
対し、通常、1.1倍以上、好ましくは2〜100倍程
度である。また、発光強度の記憶時間は77K以上の温
度において1秒以上、好ましくは1時間以上である。
【0017】本発明において対象となるTDLM機能を
有するナノ粒子の大きさは、通常、粒径が0.5〜10
0nm、好ましくは0.5〜50nm、さらに好ましく
は1〜10nmである。この粒径が大き過ぎるとバルク
の性質となってしまい、小さ過ぎると原子または分子そ
のものとなってしまう。ナノ粒子の種類としては、特に
限定されず所定サイズの微粒子であればよいが、例え
ば、CuCl等のI−VII 族、CdS、CdSe等のII
-VI 族またはIn−As等のIII-V 族化合物半導体、IV
族半導体等の半導体結晶、TiO2 、SiO、SiO2
等の金属酸化物、蛍光体、フラーレン、デンドリマー等
の無機化合物、フタロシアニン、アゾ化合物等の有機化
合物からなるもの、またはそれらの複合材料等が挙げら
れる。
【0018】なお、本発明の目的を損なわない範囲で、
これらナノ粒子の表面を化学的あるいは物理的に修飾し
ても良く、また界面活性剤や分散安定剤や酸化防止剤な
どの添加剤を加えても良い。このようなナノ粒子はコロ
イド化学的な手法、例えば逆ミセル法(Lianos, P.et a
l., Chem. Phys. Lett., 125, 299 (1986))やホットソ
ープ法(Peng, X. et al., J. Am. Chem. Soc., 119, 7
019 (1997))によって合成することができる。
【0019】本発明方法おいての対象とする光メモリ素
子の態様の一例としては、任意の固体基板状に上記ナノ
粒子の集合体を含有する膜が形成された構造を挙げるこ
とができる。上記ナノ粒子を含有する膜の厚さは特に限
定されるものではないが、通常、ナノ粒子の直径〜1m
m、好ましくはナノ粒子の直径〜100μmの薄膜であ
る。
【0020】また、該膜内において、ナノ粒子はある程
度以上の密度で存在するのが好ましい。その意味からナ
ノ粒子の集合体における個々のナノ粒子間の平均粒子間
距離は、通常粒子直径の10倍以内の範囲であり、さら
には粒子直径の2倍以内の範囲であることが好ましい。
この平均粒子間距離が大き過ぎるとナノ粒子は集団的機
能を示さなくなる。
【0021】上記固体基板としては、通常、ポリマー、
紙などの有機、またはガラス、金属、金属酸化物、シリ
コン、化合物半導体などの無機の固体物質である。TD
LM機能としての本来の発光を保持する目的のために
は、発光材料の発光波長帯域にまたはその付近に顕著な
発光を示さない材料物質であることが好ましい。なお本
発明の目的を損なわない範囲で、該固体基板表面を疎水
性や親水性に表面改質することもできる。
【0022】上記ナノ粒子の集合体を含有する膜は、例
えばナノ粒子を溶媒に分散させたサスペンションを固体
基板上に塗布・乾燥することによって得ることができ
る。この際の塗布方式としてはスピンコーティング法、
ディップコーティング(浸積塗布)法、ウェッテイング
・フィルム(液膜)法、スプレーコーティング法、イン
クジェット法、ラングミュア・ブロジェット法などを用
いることができる。
【0023】該サスペンション中のナノ粒子の濃度は特
に限定されるものでは無く、塗布方式および望まれる膜
(層)構造もしくは粒子配列構造および膜(層)厚によ
って異なる。例えばスピンコーティング法の場合であれ
ばナノ粒子の濃度や回転速度を変化させることによって
ナノ粒子薄膜の膜厚を変えることができる。またここで
用いられる対象となる溶媒は、通常、水、メタノール、
エタノール等の脂肪族アルコール、トルエン等の芳香族
炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素等及びこれらの
混合物、更にピリジン、クロロホルムなどの液体であ
り、ナノ粒子を分散させることのできる性質のものが好
ましい。また乾燥した固体のTDLM機能を発揮する目
的のためには揮発性であることが望ましい。
【0024】本願発明においては固体基板上にあらかじ
めパターニング(例えば親水性・疎水性表面によるパタ
ーン)を施しておくことによって上述したようなナノ粒
子薄膜の幾何学形状を任意に制御することも可能であ
る。なお本発明の目的を損なわない範囲で、該サスペン
ションに界面活性剤や分散安定剤や酸化防止剤などの添
加剤、またはポリマー、塗布・乾燥過程でゲル化する材
料などのバインダーを加えても良い。
【0025】このようなパターニングされた、もしくは
されていない(一様な)ナノ粒子薄膜は前述のような著
しいTDLM効果を示す。適当な波長の光によってナノ
粒子薄膜を(連続的または断続的に)励起することによ
って、膜からのフォトルミネッセンス強度は励起光照射
時間の関数として増加していく。特別な処理を施すこと
なく膜上の励起光照射領域の増加したフォトルミネッセ
ンス強度は室温で少なくとも数時間保持される。また、
膜厚、固体基板の材料物質、励起光強度や照射方式(連
続的または断続的)などを変えることによってナノ粒子
膜からのフォトルミネッセンス強度を制御することが可
能である。
【0026】本発明方法においては、上述したようなT
DLM機能を有する光メモリ素子に対し、増加あるいは
増加及び記憶した発光強度を熱処理することにより減少
又は消去させることを特徴とする。熱処理温度は、通
常、0℃〜500℃、好ましくは20〜400℃、更に
好ましくは50〜200℃であり、熱処理時間は1×1
-9秒〜10時間、好ましくは 1×10-9秒〜1時
間、更に好ましくは10分〜30分程度である。この条
件を適宜選択することにより、発光強度の減少率を制御
することが可能である。
【0027】この熱処理の方法としては、具体的な例と
しては、発光強度が増加あるいは増加あるいは記憶され
たナノ粒子の集合体を有する素子を高温に保ったオーブ
ン中に入れる方法、高温に保った物体を該素子の一部ま
たは全部に押し当てる方法、また赤外線などの光を該素
子の一部または全部に照射する方法等が挙げられ、特に
限定されるものではない。
【0028】励起光照射によって発光強度が増加あるい
は増加及び記憶されたイメージは通常、室温下で長時間
保存されるものであるが、熱処理を施すことにより、最
終的には励起光照射によって発光強度が増加あるいは増
加及び記憶される前のフォトルミネッセンス強度、また
は増加した発光強度の0.9倍以下まで減少、即ち記録
を消去することができる。
【0029】この原理を応用すれば、例えば図5(a)
(b)に示すように、ある特定波長λ1でイメージを書
き込み、その後炭酸ガスレーザーのような赤外線λ2 を
照射することによりイメージを消去することが可能とな
る。上述したような方法により、TDLM機能を有する
光メモリ素子は複数回の書き込み及び消去が可能となる
ので、情報記録媒体、ディスプレイ、撮像素子、画像処
理素子、メモリ性複写、積分型光センサ、マルチチャネ
ルプロセッサなどに応用することができる。
【0030】
【実施例】以下に実施例により本発明の具体的態様を更
に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、これらの実施例によって限定されるものではない。 実施例1 平均粒径3.7nmのCdSeナノ粒子をトルエンに分
散させ、濃度5wt%のサスペンジョンを調製し次にそ
のサスペンジョンの1mlを、ガラス基板の上にスピン
コートした。スピンコートは回転数約3000rpmで
行った。スピンコート時間(基板が回転している時間)
は10min。乾燥はデシケータ中で風乾24時間(室
温)行った。このようにして得られたCdSeナノ粒子
薄膜のフォトルミネッッセンス(以下「PL」と略す)
スペクトルを図1(a)Aに示す。この薄膜に20分間
365nmのUV光を当てた後PLを測定したところ、
PL強度は増加し、TDLM効果を示した(図1(a)
B)。次にこの薄膜を室温、暗所にて1時間保存してP
L強度を測ったところ、PL強度は減少することはなか
った(図1(a)C)。次に同様の方法で作製したナノ
粒子薄膜のTDLM効果を確認(図1(b)D,E)
し、室温、暗所にて20分間保存した後、ヤマト科学社
製DP−23型低温乾燥器中100℃で20分間熱処理
を行った。以下、熱処理は特に断らない限りこの低温乾
燥器中で行った。熱処理が終了して20分後にPL測定
したところ、PL強度は初期強度以下まで減少した(図
1(b)F)。サンプル乾燥時、室内光照射のためAの
測定時、既にある程度励起されており、初期強度以下ま
で減少したと考えられる。次にこの薄膜にUV光を20
分間照射し、PL強度を測ったところ、PL強度は再び
増加し、TDLM効果を示し、再書き込み可能であるこ
とを示した(図1(b)G)。各PLスペクトルの、約
600nmのピークの高さを時間に対してプロットした
ものを図2に示した。図中実線H、Iは各測定点を直線
で結んだものである。PL測定時の励起光照射のため、
各測定点はUV照射あるいは熱処理後の状態よりも若干
高めの測定値となった。
【0031】実施例2 平均粒径3.7nmのCdSeナノ粒子をトルエンに分
散させ、濃度5wt%のサスペンジョンを調製し次にそ
のサスペンジョンの1mlを、ガラス基板の上にスピン
コートした。スピンコートは回転数約3000rpmで
行った。スピンコート時間(基板が回転している時間)
は10min。乾燥はデシケーター中、風乾24時間
(室温)、その後50℃、10mmHg以下の減圧下で
24時間、それぞれ暗所で行った。このようにして得ら
れたCdSeナノ粒子薄膜はTDLM効果を示した(図
3J、K)。次にこの薄膜を暗所で20分保存した後4
5℃で20分間熱処理し、さらに20分間暗所に保存し
た後PL強度を測ったところ、PL強度は著しく減少す
ることはなかった。更に20分後この薄膜を100℃で
20分間熱処理して20分間暗所に保存した後PL強度
を測定したところ、PL強度は初期強度まで減少した。
次にこの薄膜にUV光(波長365nm)を20分間照
射し、PL強度を測ったところ、PL強度は再び増加
し、TDLM効果を示し、再書き込み可能であることを
示した。各PLスペクトルの、約600nmのピークの
高さを時間に対してプロットしたものを図4に示した。
図中実線Oは各測定点を直線で結んだものである。PL
測定時の励起光照射のため、各測定点はUV照射あるい
は熱処理後の状態よりも若干高め測定値となった。80
分の測定点が20分の測定点に比べ増加しているのは、
PL測定時の励起光により発光強度が増加したためであ
る。つまり乾燥の程度が強いので、室温処理におけるわ
ずかなPL減少がなく、高い測定値となったと予想され
る。
【0032】実施例3 平均粒径3.7nmのCdSeナノ粒子をトルエンに分
散させ、濃度5wt%のサスペンジョンを調製し次にそ
のサスペンジョンの1mlを、ガラス基板の上にスピン
コートした。スピンコートは回転数約3000rpmで
行った。スピンコート時間(基板が回転している時間)
は10min。乾燥はデシケーター中、風乾24時間
(室温)、その後50℃10mmHg以下の減圧下で2
4時間、それぞれ暗所で行った。このようにして得られ
たCdSeナノ粒子薄膜を図6に示した方法によってイ
メージを記録させ、読みとり、消去した。記録されたイ
メージの様子と消去されたイメージの様子を図7に示
す。図6(a)に示すように、まず励起光11(波長4
30nmの半導体レーザービーム)はビームエキスパン
ダー8によって、そのスポット直径が約1cmまで拡大
され、その後“○”型のマスク9によってパターニング
された。このマスク9によってパターニングされた励起
光を上記の方法で作製されたCdSeナノ粒子薄膜10
に15分間照射した後数分間暗所に放置し、その後図6
(b)に示すようにナノ粒子膜10全体の一様な紫外光
(波長365nm)14で照射することによって膜上に
記録されたイメージ(“○”の形)を読みとり、カメラ
13によって撮影した。カメラ13の露光時間は1分で
ある。このイメージを図7(a)に示す。次に図6
(b)で撮影を終了したナノ粒子薄膜10を取り外し、
図6(c)に示すように100℃に熱したステンレス製
の棒15をナノ粒子がスピンコートされていない面に1
0秒間押し当て加熱し、記録されていたイメージの一部
を消去した。その後数分間暗所に放置し、上述の図6
(b)の方法で再度イメージを読みとり、カメラ13に
よって撮影した。このイメージを図7(b)に示す。図
7(b)から判るように、イメージが書き込まれた部分
17の中で、熱が加えられた部分19のみ発光強度が弱
く、記録されていたイメージが消去された様子がわか
る。なお、イメージ書き込みの際レーザー光が照射され
なかった“○”型以外の部分18も、読みとりのための
紫外光(図6(b)の14)が照射されているため発光
強度が増加しているが、加熱されたことによって発光強
度が弱くなった(20)。
【0033】応用例1 TDLM効果によって記録または記憶されたイメージを
熱で消去可能な光メモリ素子の情報記録媒体などへの応
用として、図5にその原理を示す。図5において固体基
板1上にナノ粒子薄膜2を塗布した構造を用いる。ナノ
粒子薄膜を励起する光(3)の波長をλ1、消去のため
の赤外光(5)の波長をλ2とすると、波長λ1の光で
イメージを書き込み(4)、波長λ2の光で4の温度を
上昇させ書き込まれたイメージの部分的もしくは全体的
な消去が可能となる(6)。
【0034】
【発明の効果】本発明方法によれば、発光強度を励起光
の照射時間もしくは照射量の関数として増加あるいは増
加及び記憶させることができる機能を有するナノ粒子の
集合体を有する光メモリ素子に、発光強度を増加あるい
は増加及び記憶させた後、熱処理することにより容易に
発光強度を減少又は消去することができるので、複数回
の書き込み及び消去が可能となり、情報記録媒体、ディ
スプレイ、撮像素子、画像処理素子、メモリ性複写、積
分型光センサ、マルチチャネルプロセッサなどに応用す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)ガラス基板上にスピンコーティングによ
って作製し、室温、明所にて1日間デシケータ中で乾燥
させたCdSeナノ粒子薄膜の、室温で保存した場合の
発光スペクトルの変化。 (b)(a)と同様の方法で作製したCdSeナノ粒子
薄膜の、100℃で熱処理した場合の発光スペクトルの
変化。
【図2】図1の実験結果をもとに、PL強度の時間変化
を示したグラフ。図中、実線は実測点を結んだもの。波
線は実測点より予想されるPL強度の推移。
【図3】ガラス基板上にスピンコーティングによって作
製し、室温、暗所にて1日間デシケータ中で乾燥させた
後、50℃暗所にて10mmHg以下の真空下で乾燥さ
せて作製したCdSeナノ粒子薄膜の発光スペクトル。
各スペクトルは見やすいようにベースをずらして表示し
ている。
【図4】図1の実験結果をもとに、PL強度の時間変化
を示したグラフ。UV照射前のPL強度で規格化してプ
ロットしてある。図中実線は実測点を結んだもの。波線
は実測点より予想されるPL強度の推移。
【図5】(a)ナノ粒子薄膜に励起光を照射することに
より、PL強度が増加した部分を形成する過程の模式
図。 (b)(a)でPL強度が増加した部分に、赤外光を照
射することによりPL強度を減少させる過程の模式図。
【図6】(a)ナノ粒子薄膜に励起光を照射することに
より、イメージを形成する過程の模式図。 (b)(a)で形成したイメージを再生する過程の模式
図。(c)(a)で形成したイメージの一部に熱を加
え、消去する過程の模式図。
【図7】(a)図6(a)によって形成されたイメージ
を図6(b)の方法で再生し、カメラにより撮影した写
真の模式図。 (b)図6(c)によって一部消去されたイメージを図
6(b)の方法で再生し、カメラにより撮影した写真の
模式図。
【符号の説明】
1 固体基板 2 ナノ粒子薄膜 3 励起光源 4 励起光照射部分 5 赤外光源 6 赤外光照射部分 7 励起光源 8 ビームエキスパンダー 9 マスク 10、18 ナノ粒子薄膜 11 励起光 12 読み取り用紫外光源 13 カメラ 14 紫外光 15 ステンレス製棒 16 熱処理部分 17、21 イメージ書き込み部分 19 イメージ書き込み後、加熱処理を施した部分 20 加熱処理部分

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フォトルミネッセンス強度(以下「発光
    強度」と称する)を励起光の照射時間もしくは照射量の
    関数として増加あるいは増加及び記憶させることができ
    る機能を有する発光性微粒子(以下「ナノ粒子」と称す
    る)の集合体を有する光メモリ素子に、発光強度を増加
    あるいは増加及び記憶させた後、熱処理することにより
    発光強度を減少させることを特徴とするフォトルミネッ
    センスの消去方法。
  2. 【請求項2】 熱処理温度が50〜200℃である請求
    項1に記載のフォトルミネッセンスの消去方法。
  3. 【請求項3】 熱処理時間が10-9秒〜1時間である請
    求項1または2に記載のフォトルミネッセンスの消去方
    法。
  4. 【請求項4】 発光強度を増加させる時間が1×10-12
    ×秒以上である請求項1〜3に記載のフォトルミネッセ
    ンスの消去方法。
  5. 【請求項5】 発光強度の増加率が初期の発光強度に対
    して1.1倍以上である請求項1〜4に記載のフォトル
    ミネッセンスの消去方法。
  6. 【請求項6】 77K以上の温度における発光強度の記
    憶時間が1秒以上である請求項1〜5のいずれかに記載
    のフォトルミネッセンスの消去方法。
  7. 【請求項7】 発光強度の減少率が発光強度の増加した
    発光強度の0.9倍以下である請求項1〜6のいずれか
    に記載のフォトルミネッセンスの消去方法。
  8. 【請求項8】 ナノ粒子の集合体におけるナノ粒子の平
    均粒子間距離が該微粒子直径の10倍以内である請求項
    1〜7のいずれかに記載のフォトルミネッセンスの消去
    方法。
  9. 【請求項9】 ナノ粒子が0.5〜100nmの粒径を
    有するものである請求項1〜8のいずれかに記載のフォ
    トルミネッセンスの消去方法。
  10. 【請求項10】 ナノ粒子が無機化合物である請求項1
    〜9のいずれかに記載のフォトルミネッセンスの消去方
    法。
  11. 【請求項11】 ナノ粒子が有機化合物である請求項1
    〜9のいずれかに記載のフォトルミネッセンスの消去方
    法。
  12. 【請求項12】 ナノ粒子が金属酸化物である請求項1
    〜9のいずれかに記載のフォトルミネッセンスの消去方
    法。
  13. 【請求項13】 ナノ粒子が半導体である請求項1〜9
    のいずれかに記載のフォトルミネッセンスの消去方法。
  14. 【請求項14】 光メモリ素子がナノ粒子の集合体を含
    有する膜を有するものである請求項1〜13のいずれか
    に記載のフォトルミネッセンスの消去方法。
  15. 【請求項15】 ナノ粒子の集合体を含有する膜の膜厚
    が該ナノ粒子の直径以上1mm以下である請求項14に
    記載のフォトルミネッセンスの消去方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003307607A (ja) * 2002-04-17 2003-10-31 Nitto Denko Corp 異方性相分離構造体、当該異方性相分離構造体を用いたフィルム及び異方性相分離構造物、並びに前記フィルムを貼着した表示装置
WO2005019933A1 (ja) * 2003-08-26 2005-03-03 Japan Science And Technology Agency 機能性を有するポリイミド微粒子の製造方法および光照射または熱処理による蛍光特性の変化を利用する書き換え可能なメモリー材料

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JP2003307607A (ja) * 2002-04-17 2003-10-31 Nitto Denko Corp 異方性相分離構造体、当該異方性相分離構造体を用いたフィルム及び異方性相分離構造物、並びに前記フィルムを貼着した表示装置
WO2005019933A1 (ja) * 2003-08-26 2005-03-03 Japan Science And Technology Agency 機能性を有するポリイミド微粒子の製造方法および光照射または熱処理による蛍光特性の変化を利用する書き換え可能なメモリー材料

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