JP2000105364A - 液晶装置 - Google Patents

液晶装置

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JP2000105364A
JP2000105364A JP11117717A JP11771799A JP2000105364A JP 2000105364 A JP2000105364 A JP 2000105364A JP 11117717 A JP11117717 A JP 11117717A JP 11771799 A JP11771799 A JP 11771799A JP 2000105364 A JP2000105364 A JP 2000105364A
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voltage
pixel
spontaneous polarization
transmittance
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Takashi Enomoto
隆 榎本
Akio Yoshida
明雄 吉田
Katsumi Komiyama
克美 小宮山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自発分極を有する液晶をアクティブマトリク
ス駆動して表示を行う際に、高速応答性を維持し、且つ
コントラスト等の画質の向上を実現する。 【解決手段】 アクティブマトリクス方式で駆動する液
晶素子と、各走査信号線の走査選択期間が液晶の応答時
間より短く、且つ、液晶の自発分極の反転による電圧の
降下量を加えて補正した情報信号電圧を情報信号線に印
加する駆動手段を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自発分極を有する液
晶を用いたアクティブマトリクス駆動を行う液晶装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】現在、液晶テレビ、ワープロ、パソコン
モニター等に用いられている液晶表示方式はネマチック
液晶を用いたTN方式とSTN方式が主流である。TN
方式、STN方式をマルチプレックス駆動させる場合に
は走査信号線数の増加に伴いコントラストが低下すると
いう問題があり、駆動波形を最適化したとしても実用的
な表示品位を得るための走査信号線数は400〜500
本程度が限界であった。
【0003】液晶表示方式における走査信号線数の増加
に伴う表示品位の低下という問題に対しては、基板上に
MIM(Metal−Insulator−Meta
l)素子やTFT(Thin Film Transi
stor,薄膜トランジスタ)素子等のスイッチング素
子をマトリクス状に形成してなるアクティブマトリクス
方式により解決されている。しかし、液晶材料にネマチ
ック液晶を使用しているので液晶分子の応答速度が特に
階調表示用の信号に対しては数100msecと遅いた
め動きの速い動画表示に追従できずに十分な表示品位が
得られない。また、TN方式やSTN方式は液晶分子が
基板に対して平行でねじれを持った状態と基板に対して
垂直な状態との間でスイッチングするため原理的に視野
角依存性が大きいという問題もある。
【0004】一方、自発分極を有する強誘電性を示す液
晶等のカイラルスメクチック液晶を用いた表示素子が、
ネマチック液晶を用いるTN方式やSTN方式に対して
高速応答性、広視野角特性等で優れている点を考慮して
開発されている。強誘電性を示す液晶を用いた表示素子
としては表面安定化強誘電性液晶表示素子(特開昭56
−107216号公報)のような液晶分子の双安定性を
利用し単純マトリクス方式でマルチプレックス駆動する
方法が実用化されている。しかし、この方法は、液晶の
双安定状態を利用して2値駆動を行うものであり、透過
率を連続的に変化させることができず階調表示が容易に
はできない。このため、画素を分割、時間による表示の
分割、画像処理等の方法での階調表示が提案されてい
る。
【0005】また、強誘電性液晶あるいは反強誘電性液
晶の高速応答性、広視野角特性を利用してアクティブマ
トリクス駆動する方式について研究が行われている。特
開平5−100208号公報には三安定状態を持つ反強
誘電性液晶をアクティブマトリクス駆動し、階調表示を
行う方法が、また特開平9−68728号公報には、無
閾値特性を有する反強誘電性液晶(TL−AFLC)を
アクティブマトリクス駆動し、階調表示を行う方法が夫
々開示されている。
【0006】しかしながら、強誘電性液晶あるいは反強
誘電性液晶といったカイラルスメクチック液晶をアクテ
ィブマトリクス駆動する場合では、例えば(1)A f
ull−color thresholdless A
ntiferroelectric LCD exhi
biting wide viewing angle
with fast response time,
T.Yoshidaet al,SID 97(Soc
iety for InformationDispl
ay 97)DIGEST p841−844や、
(2)Voltage−holding proper
ties of thresholdless Ant
iferroelectric liquid cry
stals driven by active ma
trices,T.Saishuet al,SID
96(Society for Informatio
n Display 96)DIGEST p703−
706によれば、アクティブ素子(TFT)によって自
発分極を有する強誘電性液晶や反強誘電性液晶を駆動
(スイッチング)させる場合、液晶の自発分極の反転に
伴う保持電圧の低下によって、液晶に印加される電圧が
実質的に低下し、コントラスト悪化等の画質劣化を引き
起こす、といった問題が指摘されている。
【0007】この現象を図を参照しながら簡単に説明す
る。
【0008】図4にTFTによって自発分極を有する液
晶を駆動するときの1画素の構成模式図と、それを駆動
するための駆動信号と液晶の応答を示した。ここでは、
上記文献(1)などに用いられている「無しきい値反強
誘電性液晶(TL−AFLC)」を例に挙げて説明す
る。その低周波三角波に対する光学応答(スタティック
特性)を図3に示す。
【0009】図4中、14はTFT、31は液晶容量
(Clc)、32は保持容量(Cs)、50は液晶の自発
分極(Ps)、30は保持容量電極、42は共通電極で
ある。TFT14はゲート・ソース・ドレイン電極から
なり、ドレイン電極を通じて液晶層に電圧が印加され
る。また、液晶容量(Clc)と並列にTFTオフ時に液
晶層の電圧を保持するための保持容量(Cs)を設けて
いる。
【0010】図5に上記構成の画素に印加する駆動波形
と液晶の光学応答を示した。図中、(a)はTFTのゲ
ート電極に接続された走査信号線(ゲート線)に印加さ
れる走査選択信号の電圧波形、(b)はTFTのソース
電極に接続された情報信号線(ソース線)に印加される
情報信号電圧波形、(c)は当該画素の液晶層に印加さ
れる電圧波形、(d)は当該画素の透過率である。Vg
はTonの期間TFTのゲートをオンさせるための信号で
周期的に印加される。Vgに同期して情報信号Vsをソー
ス電極に印加しTFT14のドレイン電極を通して液晶
層にVsを印加する。ソース電圧は、液晶層に印加され
る電圧が非対称になるために生じる液晶の劣化を防止す
る意味で周期的に極性を反転させる。液晶層に印加され
る電圧Vpixは、Ton期間に元の極性とは逆極性の電圧
が印加される。液晶はTon期間中に印加されるVpix
従い逆極性に対応した配向状態へ転移を開始する。液晶
の応答時間が、Ton期間に比べて十分短い場合、液晶の
転移は保持容量による電圧によって、Toff期間まで引
き続いて行われる。液晶は自発分極を有するため、その
反転に伴い自発分極による電圧降下(ΔV)が引き起こ
される。最終的にはこの電圧降下を含めたVpixに対応
する配向状態になる。従って、液晶の光学応答は、図5
(d)の様にToff期間まで続く。
【0011】以上の様に、所望の光学状態を得るために
は、自発分極の電圧降下分を見込んだ駆動をする必要が
ある。この電圧降下は、液晶の自発分極、駆動電圧、保
持容量、液晶容量の値に影響され、階調情報を正確に表
現できないという問題があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、自
発分極を有する液晶をアクティブマトリクス駆動して表
示を行う際に、高速応答性を維持し、且つコントラスト
等の画質の向上を実現することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、走査信号線
と、該走査信号線に接続されたスイッチング素子と、該
スイッチング素子に接続し画素を構成して液晶に電圧を
印加する画素電極と、を備えたアクティブマトリクス基
板と、対向基板との間に自発分極を有する液晶を挟持し
てなる液晶素子と、上記走査信号線を順次走査選択し、
各走査信号線の走査選択期間に同期して各画素に情報信
号電圧を印加する駆動手段であって、各走査信号線の走
査選択期間が液晶の応答時間より短く、且つ各画素に書
き込む情報に応じた液晶の自発分極の反転による電圧の
降下量を加えて補正した情報信号電圧を各画素に印加す
る駆動手段を有することを特徴とする液晶装置を提供す
るものである。
【0014】また本発明は、走査信号線と、該走査信号
線に接続されたスイッチング素子と、該スイッチング素
子に接続し画素を構成して液晶に電圧を印加する画素電
極と、各画素に液晶に並列に設けられた保持容量を備え
たアクティブマトリクス基板と、対向基板との間に自発
分極を有する液晶を挟持してなる液晶素子と、上記走査
信号線を順次走査選択し、各走査信号線の走査選択期間
に同期して各画素に情報信号電圧を印加する駆動手段を
有し、各走査信号線の走査選択期間が液晶の応答時間よ
り短く、且つ上記液晶素子及び駆動手段が下記式の条件
を満たすように設定されたことを特徴とする液晶装置を
提供するものである。
【0015】 Vs2≧{ΔQ・M/(Clc+Cs)}+Vs1 〔Vs2(V):1画素に加える情報信号電圧、V
s1(V):当該液晶素子における液晶の電圧−透過率特
性に基づいた、当該画素に書き込む情報を得るための電
圧、ΔQ:当該画素に書き込む情報に応じた液晶の自発
分極の反転量(C)、Clc(F):1画素における液晶
容量、Cs(F):1画素における保持容量、M:当該
画素に書き込む情報に応じた1走査信号線の走査選択期
間内に反転不能な分極電荷の割合〕
【0016】さらに本発明は、走査信号線と、該走査信
号線に接続されたスイッチング素子と、該スイッチング
素子に接続し画素を構成して液晶に電圧を印加する画素
電極と、各画素に液晶に並列に設けられた保持容量を備
えたアクティブマトリクス基板と、対向基板との間に自
発分極を有する液晶を挟持してなる液晶素子と、上記走
査信号線を順次走査選択し、各走査信号線の走査選択期
間に同期して各画素に情報信号電圧を印加する駆動手段
を有し、各走査信号線の走査選択期間が液晶の応答時間
より短く、且つ上記液晶素子及び駆動手段が下記式の条
件を満たすように設定されたことを特徴とする液晶装置
である。
【0017】 1/n>A(2Ps・S)/V0(Cs+Clcave 〔Ps(C/cm2):液晶の自発分極、Clc(F):
1画素での液晶容量、Cs(F):1画素での保持容
量、V0(V):液晶の飽和電圧(スタティック駆動
(DC駆動)で最大透過率をとる電圧)、S:画素電極
の面積(cm2)、n:1画素当たりの階調数、A:
(Cs+Clc)のセル内分布係数; A={(Cs+Clcmax−(Cs+Clcmin}/(Cs
+Clcave (Cs+Clcmax:(Cs+Clc)のセル内の最大値 (Cs+Clcmin:(Cs+Clc)のセル内の最小値 (Cs+Clcave:(Cs+Clc)のセル内の平均値〕
【0018】
【発明の実施の形態】〔第1の実施形態〕以下、図面を
参照して本発明の第1の実施形態を詳細に説明する。
【0019】本発明の液晶装置は、スイッチング素子及
び画素電極を有するアクティブマトリクス基板と、共通
電極を有する対向基板との間に液晶を挟持した素子(パ
ネル部分)と、該素子を駆動する駆動手段から構成され
ている。
【0020】図1は、本発明の液晶装置における素子と
駆動手段の基本構成(平面構造)例を、一方の基板(ア
クティブマトリクス基板)の構成を中心に模式的に示し
たものである。
【0021】図1に示す構成では、液晶素子に相当する
パネル部10において、駆動手段である走査信号線ドラ
イバ11に連結した走査信号線に相当する図面上水平方
向のゲート線G1、G2…と、駆動手段である情報信号線
ドライバ12に連結した情報信号線に相当する図面上縦
方向のソース線S1、S2…が互いに絶縁された状態で直
交するように設けられており、その各交点の画素に対応
してスイッチング素子に相当するTFT(薄膜トランジ
スタ)14及び画素電極15が設けられている(同図で
は簡略化のため5×5画素の領域のみを示す)。尚、ス
イッチング素子としては、TFTの他、MIM素子を用
いることもできる。ゲート線G1、G2…はTFT14の
ゲート電極(図示せず)に接続され、ソース線S1、S2
…はTFT14のソース電極(図示せず)に接続され、
画素電極15はTFT14のドレイン電極(図示せず)
に接続されている。かかる構成において、走査信号線ド
ライバ11によりゲート線G1、G2…が例えば線順次に
走査選択されてゲート電圧が供給され、このゲート線の
走査選択に同期して情報信号線ドライバ12から、各画
素に書き込む情報に応じた情報信号電圧がソース線
1、S2…に供給され、TFT14を介して各画素電極
15に印加される。
【0022】図2は、図1に示すようなパネル構成であ
って、TFTを用いるものにおける各画素部分(1ビッ
ト分)の断面構造の一例を示す。同図に示す構造では、
TFT14及び画素電極15を備えるアクティブマトリ
クス基板20と共通電極42を備えた対向基板40間
に、自発分極を有する液晶層49が挟持され、液晶容量
(Clc)31が構成されている。尚、本例において液晶
容量(Clc)は配向膜43a、43bを含んで構成され
るが、これらは膜厚が非常に薄いため、実質的に画素電
極15、共通電極42、液晶層49で構成されるものと
みなすことができる。
【0023】アクティブマトリクス基板20について
は、TFT14としてアモルファス(a−)SiTFT
を用いた例が示されている。TFT14はガラス等から
なる基板21上に形成され、図1に示すゲート線G1
2…に接続したゲート電極22上に窒化シリコン(S
iNx)等の材料からなる絶縁膜(ゲート絶縁膜)23
を介してa−Si層24が設けられており、該a−Si
層24上に、夫々n+a−Si層25、26を介してソ
ース電極27、ドレイン電極28が互いに離間して設け
られている。ソース電極27は図1に示すソース線
1、S2…に接続し、ドレイン電極28はITO膜等の
透明導電膜からなる画素電極15に接続している。ま
た、TFT14におけるa−Si層24上をチャネル保
護膜29が被覆している。このTFT14は、該当する
ゲート線が走査選択された期間においてゲート電極22
にゲートパルスが印加されオン状態となる。
【0024】更に、アクティブマトリクス基板20にお
いては、画素電極15と、該電極の基板21側に設けら
れた保持容量電極30により絶縁膜23(ゲート電極2
2上の絶縁膜と連続的に設けられた膜)を挟持した構造
により保持容量(補助容量)(Cs)32が液晶容量
(Clc)31と並列の形で設けられている。保持容量電
極30はその面積が大きい場合、開口率が低下するた
め、ITO膜等の透明導電膜により形成される。
【0025】アクティブマトリクス基板20のTFT1
4及び画素電極15上には液晶の配向状態を制御する為
の、例えばラビング処理等の一軸配向処理が施された配
向膜43aが設けられている。
【0026】一方、対向基板40では、ガラス等からな
る基板41上に、全面同様の厚みで共通電極42、及び
液晶の配向状態を制御する為の配向膜43bが積層され
ている。
【0027】尚、上記セル構造は、互いに偏光軸が直交
した関係にある一対の偏光板(図示せず)間に挟持され
る。
【0028】上記構造のパネルの画素部分において、液
晶層49としては、自発分極を有する液晶、例えばカイ
ラルスメクチック相を呈する強誘電性を示す液晶、ある
いは反強誘電性を示す液晶が用いられる。特に好ましく
は、液晶層49は、液晶材料の組成あるいはパネルの構
成を適宜選択することで、スタティック駆動でのDC矩
形波電圧を加えた場合、電圧(印加電圧)−透過率特性
が図3に示すような無閾値特性を示すように設定する。
即ち、液晶が電圧無印加での配向状態(第一の配向状態
とする)にあるときは第一の透過率を示し、液晶層49
に第一の極性(例えば正極性側)の電圧を加えたときに
は、液晶分子が第一の配向状態から一方の方向にチルト
し、所定の電圧値V0で第二の配向状態となり第二の透
過率を示し、また第一の極性とは逆の第二の極性(例え
ば負極性)の電圧を加えたときには、液晶分子が第一の
配向状態から他方の方向へチルトし、所定の電圧−V0
で第三の配向状態となり第二の透過率を示し、さらに、
上記第一の透過率が実質的に0となり、第二の透過率が
最大透過率となるように偏光板を設置することにより、
図3に示すような印加電圧値に応じた連続的な透過率の
変化を示すように、液晶層を設定する。このような液晶
層の設定とすることで、印加電圧に応じた階調表示が可
能になる。
【0029】図3に示すパネルの画素部分の等価回路を
図4に示す。図中の50は液晶の自発分極である。
【0030】また、図1及び図2に示すようなパネル構
成において、アクティブマトリクス基板として、多結晶
(p−)SiTFTを備えた基板を用いることができ
る。図10は、当該アクティブマトリクス基板を用いた
パネルにおける1画素(1ビット分)の断面構造の一例
を示す。
【0031】同図に示す構造は、アクティブマトリクス
基板20と共通電極42を備えた対向基板40間に、自
発分極を有する液晶層49が挟持され(対向基板と液晶
層は図2に示す構成と同様)、液晶容量(Clc)31が
構成されている。
【0032】アクティブマトリクス基板20について
は、TFT14としてp−SiTFTを用いている。T
FT14は、ガラス等からなる基板21上にp−Si層
101が形成され、該p−Si層101上に窒化シリコ
ン(SiNx)等の材料からなるゲート絶縁膜23を介
して図1に示すゲート線G1、G2…に接続したゲート電
極22が設けられている。一方、p−Si層101上に
はパッシベーション膜102が形成され、該パッシベー
ション膜102に形成されたスルーホールを介して、p
−Si層101にソース電極27及びドレイン電極28
が接続されている。ソース電極27は図1に示すソース
線S1、S2…に接続し、ドレイン電極28はITO膜等
の透明導電膜からなる画素電極15に接続されている。
このTFT14は、該当するゲート線が走査選択された
期間においてゲート電極22にゲートパルスが印加され
オン状態となる。画素電極15と、該電極のガラス基板
側に設けられた保持容量電極30により絶縁膜23(ゲ
ート電極22上の絶縁膜と同様の膜)を挟持した構造に
より保持容量(Cs)32が液晶容量(Clc)31と並
列の形で設けられている。また、これらTFT14及び
画素電極15上には、液晶を配向させる配向膜43aが
設けられている。
【0033】次に、図1、図4及び図5を参照して上記
構造の液晶装置の一般的なアクティブマトリクス駆動に
ついて述べる。
【0034】図5(a)は、1画素に着目した際に、当
該画素に接続する走査信号線となる1ゲート線に印加さ
れる電圧を示す。上記構造の液晶装置では、ゲート線G
1、G2…が例えば線順次で選択され、1ゲート線には選
択期間Tonにおいて所定のゲート電圧Vgが印加され、
ゲート電極22に電圧Vgが加わりTFT14がオン状
態となる。他のゲート線が選択されている期間に相当す
る非選択期間Toffにはゲート電極22に電圧が加わら
ずTFT14は高抵抗状態(オフ状態)となり、Toff
毎に所定の同一のゲート線が選択されてゲート電極22
にゲート電圧Vgが印加される。
【0035】図5(b)は、当該画素の情報信号線(ソ
ース線)に印加される電圧Vsを示す。図5(a)で示
すように選択期間Tonでゲート電極22にゲート電圧が
印加された際、これに同期して当該画素に接続する情報
信号線となるソース線S1、S2…からソース電極27
に、当該画素に書込まれる情報、例えば用いる液晶の図
3に示すような電圧−透過率特性を基に当該画素で得よ
うとする光学状態又は表示情報(透過率)に応じたレベ
ルのソース電圧(情報信号電圧)Vs(基準電位を共通
電極42の電位Vcとする)が印加される。
【0036】この時、TFT14がオン状態であるた
め、上記ソース電極27に印加される電圧Vsがドレイ
ン電極28を介して画素電極15に印加され、液晶容量
(Clc)31及び保持容量(Cs)32に充電がなさ
れ、画素電極15の電位が情報信号電圧Vsになる。続
いて、当該画素の属するゲート線の非選択期間Toff
おいてTFT14は高抵抗(オフ状態)となるため、こ
の期間理想的には、液晶容量(Clc)31及び保持容量
(Cs)32では選択期間Tonで充電された電荷が蓄積
された状態を維持し、電圧Vsが保持される。そして、
当該画素における液晶層49に1フレーム期間を通して
電圧Vsが印加され、当該画素ではこの電圧値に応じた
光学状態が得られる、あるいは情報が表示される。特
に、情報信号電圧Vsを画像情報に応じて制御すること
で、図3の電圧−透過率特性に沿って連続的に変化する
透過率による階調表示がなされる。
【0037】尚、ソース電圧(信号電圧)Vsは、図5
(b)に示すように、例えばフレーム毎等の所定の周期
で極性を反転して印加し、液晶層49にはフレーム毎に
反転した電圧が印加されるようにすることが好ましい。
こうして、液晶層49に実際に印加される電圧が非対称
とならないようにして液晶の劣化を防止する。
【0038】図5(c)は、自発分極を有する液晶を駆
動する場合に、当該画素の液晶容量及び保持容量に実際
に保持され液晶層49に印加される電圧値Vpixを、図
5(d)は当該画素での液晶の実際の光学応答を模式的
に示す。
【0039】液晶層49は、上述したような自発分極を
有するスメクチック液晶等の液晶材料から構成されてい
るので、選択期間Tonにおいて所定の電圧Vsが印加さ
れた際に自発分極を反転させてスイッチングを行うた
め、液晶容量(Clc)31及び保持容量(Cs)32に
充電される電荷は自発分極の反転量に応じて消費され
る。この時、自発分極を有する液晶の応答速度が選択期
間Ton内にスイッチングが完了するような充分に速いも
のであれば、この消費分を含めて当該画素の液晶容量
(Clc)31及び保持容量(Cs)32に、電圧Vsを保
持させるに必要なだけの電荷が充電される。そして、続
く非選択期間Toffでは更なる液晶のスイッチングは生
じないので、先の選択期間Tonで充電された電荷が消耗
されることはなく、非選択期間Toffに亘って当該画素
の容量に電圧Vsが保持され、電圧Vsに応じた所望の光
学状態が得られる、あるいは所望の情報が表示される。
【0040】ところで、上述したような構成の液晶装置
におけるアクティブマトリクス駆動での1走査信号線
(ゲート線)の走査選択期間(Ton)は、装置のフレー
ム周波数と走査信号線数により一義的に決定されるが、
近年液晶装置の大型化や表示の高精細化、動画表示の要
望に伴って、ゲート線G1、G2…の本数が増加し、フレ
ーム周波数が大きくなり選択期間Tonが短くなってい
る。特に、一般のCRTディスプレイ対応の画像信号を
利用する場合周波数が一定であるため、1水平走査選択
期間はパネルの構成(走査信号線数)より一義的に決定
され、選択期間Tonが著しく短くなる。
【0041】例えば、走査信号線数1000本の表示装
置を周波数60Hzで駆動すると、1水平走査期間は1
6μsecとなる。しかし、現状の図3に示すような電
圧−透過率特性を示す液晶材料、特に反強誘電性を示す
液晶材料では、印加電圧や使用温度によっても異なる
が、一方の極性の電圧印加による最大透過率の状態(A
地点)から逆極性の電圧印加による最大透過率の状態
(B地点)にスイッチングさせる際の速度が数10μs
ec〜数100μsec、5℃程度の低温では1mse
cを超える場合がある。従って、現状の自発分極を有す
る液晶材料では選択期間Ton中にスイッチングを完了さ
せるだけの応答速度が確保できないことがある。
【0042】この場合、選択期間Tonから非選択期間T
offに入っても引続き液晶層49でのスイッチングが生
じているが、上述した自発分極の反転により、液晶容量
(Clc)及び保持容量(Cs)に充電された電荷が消費
される。そして、非選択期間Toffでは液晶容量
(Clc)及び保持容量(Cs)に更なる充電はなされな
いので、液晶層49に実際に印加される電圧Vpixは、
図5(c)に示すように本来印加され続ける電圧Vs
ら上記の電荷の消費分に応じた電圧ΔVだけ降下する。
よって、当該画素では、液晶層49には得ようとする光
学状態あるいは表示すべき情報に応じた電圧Vsが印加
されず、実際には電圧降下ΔVを含む電圧値に応じた所
望のレベルとは異なる光学状態が得られ、あるいは情報
が表示されることになり、所望の情報の書き込みを行う
ことができない。
【0043】前述したようなアクティブマトリクス駆動
で自発分極を有する液晶をアクティブマトリクス駆動す
る場合、液晶層49(1画素)におけるスイッチングに
要する正味の電圧降下量ΔV1は、液晶の自発分極の反
転によるものであり、1画素での液晶の自発分極の反転
量をΔQ(C)、1画素での液晶層の容量をC
lc(F)、1画素での保持容量をCs(F)とすると、 ΔV1=ΔQ/Clc(1+α) (α=Cs/Clc)…(1) となる。
【0044】特に、図3に示すような電圧−透過率特性
を持つ液晶素子の場合において、一方の極性の電圧印加
による最大透過率の状態(A地点)から逆極性の電圧印
加による最大透過率の状態(B地点)にスイッチングさ
せる場合、即ち白状態を複数フレームに亙って表示し続
ける場合を考えると、上記ΔQは用いる液晶材料の固有
の物性である自発分極をPs(C/cm2)、画素電極
の面積をS(cm2)とすると、2Ps・Sとなる。従
って、液晶の自発分極の反転による電圧降下量の最大値
ΔVmax1(V)は、 ΔVmax1=2Ps・S/Clc(1+α)…(2) となる。
【0045】この電圧降下量の最大値ΔVmax1につい
て、液晶の自発分極Ps及び液晶パネルの構成により一
義的に決定されるαの大きさを種々に設定して計算する
と以下のようになる。尚、Clcは1.77nF/c
2、Sは300μm×100μm×0.7(開口率7
0%)として計算した。
【0046】
【表1】
【0047】実際の液晶パネルでは、1画素の走査選択
期間Tonが短く、この期間内に液晶のスイッチング(即
ち自発分極の反転)が完了することは難しく、そのスイ
ッチングの殆どは走査選択期間後の非選択期間Toff
生じ得る。従って、実際の駆動においては、非選択期間
において、液晶層49に加えられる電圧は、所望のVs
から最大のレベルで上記の表のΔVmax1の値に近い値だ
け降下すると考えられる。
【0048】特に、上記表によれば、自発分極Psが大
きい場合あるいはαが小さい場合、ΔVmax1は相当の大
きさとなる。
【0049】また、図3に示す特性を有する自発分極を
有する液晶では、例えば、フレーム反転を行い、C地点
の階調状態からD地点の階調状態に書き込む場合でも、
自発分極の反転量ΔQに応じたΔV1=ΔQ/Clc(1
+α)だけ電圧降下(C地点での透過率をTC(%)、
D地点での透過率をTD(%)とし、Psの変化量を一
次近似して考えると、ΔV1={(TC+TD)/(2×
100)}×2Ps×S/Clc(1+α)={(TC
D)/(2×100)}×ΔVmax1…(3)、とな
る。)が生じるが、このΔQは基本的に液晶材料固有の
自発分極Psの値と相応に大きくなる。
【0050】式(3)のようにフレーム反転駆動による
ΔV1はΔVmax1に比例して換算される。
【0051】同じく、図3の液晶では、例えば、フレー
ム反転を行わない、C地点の階調状態からE地点の階調
状態に書き込む場合でも、自発分極の反転に応じたΔV
1=ΔQ/Clc(1+α)だけ電圧降下(C地点での透
過率をTc(%)、E地点での透過率をTE(%)とし、
Psの変化量を一次近似して考えると、ΔV1={(TC
−TE)/100}×Ps×S/Clc(1+α)=
{(TC−TE)/100}×ΔVmax'1…(3)’、と
なる)が生じるが、このΔQは基本的に液晶材料固有の
自発分極Psの値と相応に大きくなる。一方の極性の電
圧印加による最大透過率の状態(A地点)からゼロ電圧
印加による透過率ゼロの状態(F地点)にスイッチング
させる場合、フレーム反転駆動しない場合、ΔQ=Ps
×Sとなる。従って、液晶の自発分極の反転による電圧
降下量の最大値ΔVmax'1(V)は、 ΔVmax'1=Ps×S/Clc(1+α)…(3)”、となる。
【0052】式(3)’のようにフレーム反転しないΔ
1はΔVmax'1に比例して換算される。
【0053】この点に鑑みれば、自発分極を有し、前述
した図3に示すような電圧−透過率特性を有する液晶で
あって、特に反強誘電性を示す液晶は、その材料物性で
ある自発分極Psの値が、100(nC/cm2)以上
と非常に大きいため、必然的にアクティブマトリクス駆
動において、階調表示の際の所望の電圧Vsから大きな
電圧降下が生じ、所望の階調表示状態を得ることができ
ない。
【0054】本発明の液晶装置では、上述したような自
発分極を有する液晶のアクティブマトリクス駆動におい
て、ゲート選択期間Tonが液晶のスイッチング速度(応
答速度)より短い場合でも、非選択期間Toff中での液
晶のスイッチングによる自発分極の反転に伴う液晶容量
及び保持容量の保持電圧の降下を補償するような駆動条
件とし、フレーム期間内での迅速な所望の情報の書き込
みを行うものである。
【0055】本発明者らは、前述した式に示すように、
自発分極を有する液晶のスイッチングにおける自発分極
の反転に伴う画素電極の電位降下量ΔV1は、自発分極
の反転量ΔQに比例し、この反転量は例えば図3に示す
ような特性での階調状態の透過率にほぼ比例すること、
換言すると、書き込み前後の階調状態が決まれば、その
時の電位降下量ΔV1も求まることを見出した。本発明
では、現在表示している情報及び次に表示する情報に応
じてこの電位降下量ΔV1を予め画像信号電圧Vs、即ち
ソース電圧に重畳することにより、所望の階調表示電位
を得る。
【0056】具体的には、図6(b)に示すように、情
報信号線(ソース線)に画像情報(透過率)に応じて固
有の電圧降下量ΔV1を決定し、本来図3に示すような
電圧−透過率特性から決定されるVsに更に当該電圧降
下量ΔV1を上乗せして印加する。こうして、当該画素
では走査選択期間Ton直後は(Vs+ΔV1)が保持され
るが、図6(c)に示すように、液晶のスイッチング
(自発分極の反転)に伴って液晶層49にはΔV1分降
下したVsが印加されるようになる。こうして、1フレ
ーム期間に亘って当該画素で表示すべき情報通りの電圧
sが液晶に印加され、所望の階調情報が表示されるよ
うになる。
【0057】図7に、本発明の液晶装置の制御系を含め
た全体構成の一例を示す。図中、70はコントローラ
部、71は液晶素子部、72はデータ発生部、73はア
クティブマトリクスパネル、74は走査信号線ドライ
バ、75は情報信号線ドライバ、76は走査信号制御回
路、77は情報信号制御回路、78は駆動電圧生成回
路、79は信号電圧補正回路、80はVRAM、81は
画像情報、82は情報転送クロック、83は信号電圧、
84は表示データ、85は走査信号線アドレスデータで
ある。
【0058】図7の構成においては、VRAM80から
伝送される画像情報81に応じて情報信号制御回路77
から送出された情報信号が、その情報及びコントローラ
部70に蓄積された直前の情報に応じて信号電圧補正回
路79により上述したような液晶の電圧−透過率特性を
参照してΔVの値を決定して補正され、情報信号線ドラ
イバ75から情報信号線(ソース線)に情報信号電圧と
して印加される。
【0059】図8は、本発明の液晶装置の制御系を含め
た全体構成の他の例を示す。自発分極を有する液晶で
は、自発分極の値は温度が高い時は小さく、低温になる
に従って大きくなる性質がある。従って、前述したアク
ティブマトリクス駆動のスイッチングの際の自発分極の
反転量、ひいては電圧降下量も温度により変動する。図
8に示す例では、図7に示す場合の電位降下補正を第1
の補正とし、これに加えて、上記自発分極の温度特性に
基づく補正係数を第2の補正係数としたものである。具
体的には、液晶パネルに付設された温度センサ86から
の情報(温度信号87)に応じて情報信号の信号電圧補
正回路79に追加することで、パネルの駆動の温度特性
を一挙に補正する。
【0060】図9に、図8の制御系における信号電圧補
正回路79の構成を示す。同図に示す回路は、減算器9
1、積算器92、93、加算器94により構成されてい
る。液晶パネルに付設された温度センサからの温度情報
(Z℃)が減算器91に入力されて当該温度での自発分
極が推算され、また一画素の現在の表示情報(透過率T
1%)と、次の表示情報(透過率T2%)が積算器92に
入力され自発分極の反転量(基準温度での反転量)が算
出される。これらの情報が更に積算器93に送られ、当
該温度における当該画像情報の書き込みでの電圧降下量
ΔV1が決定される。このΔV1と、更に書き込もうとす
る情報について図3に示す特性に応じて一義的に決定さ
れる入力電圧(Vs)が加算器94に入力され、補正さ
れた画像情報信号(Vs+ΔV1)が形成される。
【0061】図7及び図8に示すような補正回路は、従
来のTN型駆動回路系に後付け付加する事が出来るた
め、従来のTN型液晶素子の駆動回路が流用可能であ
り、コスト的にも安く作成でき有利である。
【0062】尚、電圧が自発分極の反転量に比例する関
係になっているため、通常のTN型液晶セルにおいてな
されている輝度調整ボリュームで駆動電圧を一律に与え
てしまう方法では、各透過率毎の電圧補正といった制御
は不可能である。
【0063】〔第2の実施形態〕本実施形態では、第1
の実施形態で説明した図1〜図4を用いる。そして、同
じく第1の実施形態で説明した図5に基づく問題を解決
する発明である。
【0064】以下に順を追って、本発明の説明を行う。
【0065】前述したようなアクティブマトリクス駆動
で自発分極を有する液晶をアクティブマトリクス駆動す
る場合、液晶層49(1画素)におけるスイッチングに
要する正味の電圧降下量ΔV1は、液晶の自発分極の反
転によるものであり、1画素の液晶の自発分極の反転量
をΔQ(C)、1画素での液晶層の容量をClc(F)、
1画素での保持容量をCs(F)とすると、 ΔV1=ΔQ/Clc(1+α) (α=Cs/Clc)…(1) で近似される。
【0066】更に具体的には、液晶の自発分極の反転
は、液晶材料によっては選択期間Ton期間内もある程度
はなされているため、選択期間Tonに続く非選択期間T
off期間内で生じる電圧降下量ΔV2は、 ΔV2={ΔQ・M/Clc(1+α)}…(7) (M:当該画素に書込む情報に応じた1走査線の走査選
択期間内に反転不能な分極電荷の割合)と近似される。
【0067】特に、図3に示すような電圧−透過率特性
を持つ液晶の場合において、一方の極性の電圧印加によ
る最大透過率の状態(A地点)から逆極性の電圧印加に
よる最大透過率の状態(B地点)にスイッチングさせる
場合、即ち白状態を複数フレームに亙って表示し続ける
場合を考えると、上記ΔQは用いる液晶材料の固有の物
性である自発分極をPs(C/cm2)、画素電極の面
積をS(cm2)とすると、2Ps・Sとなる。従っ
て、液晶の自発分極の反転による電圧降下量の最大値Δ
max1(1画素単位)は、 ΔVmax1=2Ps・S/Clc(1+α)…(2) (S:画素電極の面積) と近似される。
【0068】更に、前述のように、選択期間Tonに続く
非選択期間Toff期間内で生じる電圧降下量の最大値Δ
max2は、 ΔVmax2=2Ps・S・M/Clc(1+α)…(8) (S:画素電極の面積) と近似される。
【0069】上記式によれば、用いる液晶の自発分極P
sが大きい場合、あるいはαが小さい場合、ΔVmax1
びΔVmax2はかなりの大きさとなる。
【0070】また、図3の液晶では、例えば、フレーム
反転を行い、C地点の階調状態からD地点の階調状態に
書き込む場合では、自発分極の反転に応じた式(7)の
ΔV2=ΔQ・M/Clc(1+α)だけ電圧降下(C地
点での透過率をTC(%)、D地点での透過率をT
D(%)とした場合、Psの変化量を一時近似して考え
ると、ΔV2={(TC+TD)/100}×Ps×S×
M/Clc(1+α)={(TC+TD)/100}×ΔV
max2…(10)、となる)が生じるが、このΔQは基本
的に液晶材料固有の自発分極Psの値と相応に大きくな
る。
【0071】式(10)のようにフレーム反転するΔV
2はΔVmax2に比例して換算される。
【0072】同じく、図3の液晶では、例えば、フレー
ム反転を行わない、C地点の階調状態からE地点の階調
状態に書き込む場合でも、自発分極の反転に応じた式
(7)のΔV2=ΔQ・M/Clc(1+α)だけ電圧降
下(C地点での透過率をTC(%)、E地点での透過率
をTE(%)とした場合、Psの変化量を一時近似して
考えると、ΔV2={(TC−TE)/100}×Ps×
S×M/Clc(1+α)={(TC−TE)/100}×
ΔVmax'2…(11)、となる)が生じるが、このΔQ
は基本的に液晶材料固有の自発分極Psの値と相応に大
きくなる。一方の極性の電圧印加による最大透過率の状
態(A地点)からゼロ電圧印加による透過率ゼロの状態
(F地点)にスイッチングさせる場合、フレーム反転駆
動しない場合、ΔQ=Ps×Sとなる。従って、液晶の
自発分極の反転による電圧降下量の最大値ΔV
max'2(V)は、ΔVmax'2=Ps×S×M/Clc(1+
α)…(12)、となる。
【0073】また、図3に示す特性を有する自発分極を
有する液晶では、例えばC地点の階調状態からD地点の
階調状態に書き込む場合でも、自発分極の反転量ΔQに
応じたΔV1、ΔV2だけ電圧降下が生じるが、このΔQ
は基本的に液晶材料固有の自発分極Psの値と相応して
大きくなる。
【0074】この点に鑑みれば、自発分極を有し、前述
した図3に示すような電圧−透過率特性を有する液晶で
あって、特に反強誘電性を示す液晶は、その材料物性で
ある自発分極Psの値が、100(nC/cm2)と非
常に大きいため、必然的にアクティブマトリクス駆動に
おいて、階調表示の際の所望の電圧Vsから大きな電圧
降下が生じ、所望の階調表示状態を得ることができな
い。
【0075】本発明の液晶装置は、上述したような自発
分極を有する液晶のアクティブマトリクス駆動におい
て、ゲート選択期間Tonが液晶のスイッチング速度(応
答速度)より短い場合でも、非選択期間Toff期間中で
の液晶のスイッチングによる自発分極の反転に伴う液晶
容量及び保持容量の保持電圧の降下を補償するような下
記条件式(9)を満たす駆動条件及びパネル構成とし、
フレーム期間内での迅速な所望の情報の書き込みを行う
ものである。
【0076】 Vs2≧{ΔQ・M/(Clc+Cs)}+Vs1…(9) 〔Vs2(V):1画素に加える情報信号電圧、V
s1(V):当該液晶素子における液晶の電圧−透過率特
性に基づいた、当該画素に書き込む情報を得るための電
圧、ΔQ:当該画素に書き込む情報に応じた液晶の自発
分極の反転量(C)、Clc(F):1画素における液晶
容量、Cs(F):1画素における保持容量、M:当該
画素に書き込む情報に応じた1走査信号線の走査選択期
間内に反転不能な分極電荷の割合〕
【0077】実際の液晶パネルでは、1画素において走
査選択期間Tonを極めて短く設定すると、この期間内に
液晶のスイッチング(即ち自発分極の反転)が完了する
ことは難しく、そのスイッチングの殆どは走査選択期間
後の非選択期間Toffに生じ得る。従って、実際の駆動
においては、非選択期間において、液晶層に加えられる
電圧は、所望のVs1のレベルから、ΔV1、最大レベル
でΔVmax1に近い値だけ降下すると考えられる。
【0078】このΔV1及びΔVmax1を調整することに
より、良好な階調表示を行うことができる。但し、前述
したように、より詳細には、選択期間Ton期間内に反転
しえなかった反転電荷量により、電圧降下が生じるた
め、正確な電圧降下量は、ΔV2及びΔVmax2である。
従って、より微細な階調数の表示を行うためには、この
ΔV2及びΔVmax2を調整することが必要であり、前述
の式(9)の条件を満たすような液晶パネル及び駆動条
件の設定を行う。
【0079】本発明者らは、前述した式に示すように、
自発分極を有する液晶のスイッチングにおける自発分極
の反転に伴う画素電極の電位降下量ΔV2は、自発分極
の反転量ΔQに比例し、この反転量は例えば図3に示す
ような特性での階調状態の透過率にほぼ比例すること、
換言すると、書き込み前後の階調状態が決まれば、その
時の電位降下量ΔV1も求まること、更に選択期間Ton
の長さとの関係で当該選択期間内に反転し得ない分極電
荷の割合Mが決まること、を見出した。本発明では、現
在表示する情報及び次に表示する情報に応じてこの電位
降下量ΔV2を予め画像信号電圧Vs1、即ちソース電圧
に加えた値以上の電圧Vs2が画素に印加されるように設
定することにより、所望の階調表示電位を得る。
【0080】ここでMの値(画素に書き込む情報に応じ
た1走査信号線の走査選択期間内に反転不能な分極電荷
の割合)について補足しておく。Mの値は当該画素に書
き込む情報と前フレームに書き込んだ情報(前フレーム
の平均的な液晶分子位置)によって一義的に決まる。
【0081】ただし、Mの値は、1走査信号線の走査選
択期間、応答速度など液晶材料物性、環境温度等によっ
て影響を受け変化するので考慮する必要がある。
【0082】フレーム反転駆動する際、Mが最小の場合
は、前フレーム情報電圧0(V)(透過率最小:黒表
示)で現フレームに書き込む情報0(V)の場合であ
り、M=0となる。Mが最大の場合は、前フレームに書
き込む情報電圧−V0(V)(透過率最大:白表示)、
現フレームに書き込む情報電圧V0(V)(透過率最
大:白表示)の場合である。
【0083】フレーム反転駆動しない場合、Mが最小の
場合は、前フレーム情報電圧0(V)(透過率最小:黒
表示)で現フレームに書き込む情報0(V)の場合、等
でありM=0となる。Mが最大の場合は、前フレームに
書き込む情報電圧V0(V)(透過率最大:白表示)、
現フレームに書き込む情報電圧0(V)(透過率最小:
黒表示)の場合である。
【0084】特に、液晶の応答速度が遅く、走査選択期
間が短い場合には、Mの値が大きくなり、M=1に近づ
く。
【0085】黒表示から白表示、白表示から黒表示、中
間調から中間調表示など全ての場合において、前フレー
ム情報と現フレーム情報から決まるMの値(0≦M<
1)を有する。後述の実施例4はM=0.5の場合であ
る。
【0086】例えば、図11(b)に示すように、情報
信号線(ソース線)に画像情報(透過率)に応じて固有
の電圧降下量ΔV2を決定し、本来図3に示すような電
圧−透過率特性から決定されるVs1に更に当該電圧降下
量ΔV2を上乗せして印加する。こうして、当該画素で
は走査選択期間Ton直後は(Vs1+ΔV2)が保持され
るが、図11(c)に示すように、液晶のスイッチング
(自発分極の反転)に伴って液晶層49にはΔV2分降
下したVs1が印加されるようになる。こうして、1フレ
ーム期間に亘って当該画素で表示すべき情報通りの電圧
s1が液晶に印加され、所望の階調情報が表示されるよ
うになる。
【0087】本実施形態においても、第1の実施形態で
説明した図7〜図9の制御系が用いられる。また、第1
の実施形態に基づく実施例1の式(5)を式(8)に適
用してもよい。つまり、式(8)の自発分極Psの温度
変化をも考慮に入れた発明としてもよい。
【0088】〔第3の実施形態〕本実施形態では、第1
の実施形態で説明した図1〜図4を用いる。そして、同
じく第1の実施形態で説明した図5に基づく問題を解決
する発明である。
【0089】以下に順を追って、本発明の説明を行う。
【0090】本実施形態では、情報信号電圧の極性がフ
レーム毎に等しい形態の駆動方法をとってもよい。
【0091】前述したようなアクティブマトリクス駆動
で自発分極を有する液晶をアクティブマトリクス駆動す
る場合、液晶層49の1画素におけるスイッチングに要
する正味の電圧降下量ΔVは、液晶の自発分極の反転に
よるものであり、1画素の液晶の自発分極の反転量をΔ
Q(C)、1画素の液晶層の容量をClc(F)、1画素
の保持容量をCs(F)とすると、 ΔV=ΔQ/(Clc+Cs)…(1) となる。
【0092】特に、図3に示すような電圧−透過率特性
を持つ液晶の場合において、一方の極性の電圧印加によ
る最大透過率の状態(A地点)から逆極性の電圧印加に
よる最大透過率の状態(B地点)にスイッチングさせる
場合、即ち白状態を複数フレームに亙って表示し続ける
場合を考えると、上記ΔQは用いる液晶材料の固有の物
性である自発分極をPs(C/cm2)、画素電極の面
積をS(cm2)とすると、2Ps・Sとなる。従っ
て、フレーム反転駆動の場合、液晶の自発分極の反転に
よる電圧降下量の最大値ΔVmax(V)は、 ΔVmax=2Ps・S/(Clc+Cs)…(2) となる。
【0093】実際の液晶パネルでは、1画素の走査選択
期間Tonが短く、この期間内に液晶のスイッチング(即
ち自発分極の反転)が完了することは難しく、そのスイ
ッチングの殆どは走査選択期間後の非選択期間Toff
生じ得る。従って、実際の駆動においては、非選択期間
において、液晶層49に加えられる電圧は、所望のVs
から最大のレベルで上記のΔVmaxの値に近い値だけ降
下すると考えられる。例えば、前述したような図3に示
すA地点からB地点にスイッチングさせる場合、液晶の
飽和電圧V0(スタティック駆動(DC駆動)で最大透
過率をとる電圧、図3におけるV0に相当)に上記ΔV
maxを上乗せ印加する。
【0094】一方、実際の液晶パネルでは、液晶容量
(Clc)及び保持容量(Cs)が製造工程上、画素毎に
その設計値からばらつき(分布)を生じることは避けら
れず、(Cs+Clcmax〔(Cs+Clc)のセル内の最
大値〕と(Cs+Clcmin〔(Cs+Clc)のセル内の
最小値〕の間で分布する。
【0095】上記したΔVも、(Clc+Cs)に依存し
ていることから、セル内の画素単位で見た場合、(Cs
+Clcmaxと(Cs+Clcminによりばらつきを生じ
ることになるが、当該ばらつきが、表示しようとする階
調の範囲内であれば表示に与える影響は小さい。
【0096】電圧が0〜V0の範囲でn階調表示を行う
場合、 (V0−0)/n>2Ps・S×{1/(Cs+Clcmin−1/(Cs+Clcmax} 即ち、1/n>{(2Ps・S)/V0}×{1/(Cs+Clcmin−1/( Cs+Clcmax}…(14) とすることが重要である。
【0097】そして上記の {1/(Cs+Clcmin−1/(Cs+Clcmax} は、通常のスイッチング素子を備えた液晶素子での画素
毎のCsやClcのばらつきを考慮すれば、 {(Cs+Clcmax−(Cs+Clcmin}/{(Cs
lcave2 (Cs+Clcave:(Cs+Clc)のセル内の平均値と
近似できる。ここで、液晶素子のセル内分布係数A=
{(Cs+Clcmax−(Cs+Clcmin}/(Cs+C
lcaveとすると、上記式(14)は、 1/n>A(2Ps・S)/V0(Cs+Clcave…(13) となり、用いる液晶材料、液晶素子の構成を適宜選択し
て、上記式を満足する設定を行なうことによって、良好
な階調表示を行なうことができる。
【0098】本実施形態においても、第1の実施形態で
説明した図7〜図9の制御系が用いられる。
【0099】また、第1の実施形態に基づく実施形態1
の式(5)を式(13)に適用してもよい。つまり、式
(13)の自発分極Psの温度特性を考慮に入れた発明
とすると尚好ましい効果が得られる。
【0100】本発明では、図3の特性を示す液晶に限定
されない。以下に示す図14、図15の特性を示す液晶
も適用できる。当該液晶は前述した第1〜第3の実施形
態の全てに適用できる。また、図14に示す電圧V−透
過率T特性を示す液晶素子を用いて、本発明の図3に示
す電圧V−透過率T特性を示す液晶素子と同様な効果を
得ることができる。
【0101】図14に示す液晶素子の特性を以下に詳し
く説明する。
【0102】図14の液晶素子では、自発分極を有する
カイラルスメクチック相を示す液晶が用いられ、その材
料の組成を調整し、好ましくはエステル骨格を有してい
る化合物の含有比率が50%であれば、さらに液晶材料
の処理や素子構成、例えば配向制御膜の材料、処理条件
等を適宜設定することにより、前述の図14に示すよう
に、電圧無印加時では、該液晶の平均分子軸(液晶分
子)が平均一軸配向処理軸と実質的に一致し単安定化さ
れている配向状態を示し、駆動時では一方の極性(第一
の極性)の電圧印加時に印加電圧の大きさに応じて平均
分子軸の単安定化される位置を基準としたチルト角度が
連続的に変化し、他方の極性(第二の極性)の電圧印加
時には液晶の平均分子軸は、電圧無印加時と同様に平均
一軸配向処理軸と実質的に一致し、印加電圧の大きさに
よってもチルトしないような特性を示すようにする。好
ましくは、カイラルスメクチック相を示す液晶材料とし
て降温下でI相−Ch相−SmC*相の相転移系列また
はI相−SmC*相の相転移系列を示すものを用い、S
mC*相でメモリ性を消失された状態を形成する。
【0103】また、図15に示す電圧V−透過率T特性
を示す液晶を用いて、本発明の図3に示す電圧V−透過
率T特性を示す液晶素子と同様な効果を得ることができ
る。
【0104】図15に示す液晶素子の特性を以下に詳し
く説明する。
【0105】図15の液晶素子では、液晶として自発分
極を有するカイラルスメクチック相を示す液晶を用いる
場合については、その材料の組成を調整し、さらに液晶
材料の処理や素子構成、例えば配向制御膜の材料、処理
条件等を適宜設定することにより、前述の図15に示す
ように、電圧無印加時では、該液晶の平均分子軸(液晶
分子)が単安定化されている配向状態を示し、駆動時で
は一方の極性(第一の極性)の電圧印加時に印加電圧の
大きさに応じて平均分子軸の単安定化される位置を基準
としたチルト角度が連続的に変化し、他方の極性(第二
の極性)の電圧印加時には液晶の平均分子軸は、印加電
圧の大きさに応じた角度でチルトし、且つ第一の極性の
電圧印加による最大チルト角度が、第二の極性の電圧印
加による最大チルト角度より大きいような特性を示すよ
うにする。好ましくは、カイラルスメクチック相を示す
液晶材料として降温下でI相−Ch相−SmC*相の相
転移系列またはI相−SmC*相の相転移系列を示すも
のを用い、SmC*相でメモリ性を消失された状態を形
成する。
【0106】
【実施例】次に本発明の実施例を示す。
【0107】(実施例1)まず定法に従って、図1に示
すパネル及び図2に示す画素構造の保持容量を備えたT
FTを有する液晶パネルを作製した。
【0108】具体的には、トランジスタにゲート絶縁膜
23として窒化シリコン膜を備えたa−SiTFT14
を、画素電極15としてITO膜を、保持容量32とし
ては画素電極15の下側全面にITO膜からなる保持容
量電極30を配置し、ゲート絶縁膜23として窒化シリ
コン膜を利用して、画素容量Clcの20倍の容量を有す
る保持容量32を作製した。これに配向膜49aとし
て、脂肪族系ポリイミド樹脂を20nm厚に塗布し、ラ
ビング処理を行った。
【0109】また対向基板40として、全面ITO膜か
らなる共通電極42を有するノンアルカリガラス基板を
用意し、配向膜43bとして先のポリイミド樹脂を塗布
した後、ラビング処理によって一軸配向処理を施した。
【0110】この後対向基板に粒径が2μmのスペーサ
ビーズを散布し、両基板を対向配置し貼りあわせ液晶セ
ル(空セル)を作製した。
【0111】上記空セルに矩形波電圧を加えた際の電圧
−透過率特性(V−T特性)が図3に示す状態となるよ
うな自発分極を有するカイラルスメクチック液晶を定法
により加熱真空注入し、アクティブマトリクス用液晶パ
ネル(画素数100×100)を作製した。
【0112】この液晶の自発分極Psは三角波法で測っ
た値で30℃において約40nC/cm2である。また
画素電極15及び共通電極42間の単位面積当りの液晶
容量(Clc)31は約1.77nF/cm2とした。
【0113】以上のような液晶パネルの矩形波60Hz
印加によるV−T特性は、約0Vから立ち上り、透過率
の飽和する飽和電圧V0は約4Vであった。またこの特
性は、温度によらずほぼ10〜45℃の範囲で一定の値
を示した。更に高温になると液晶材料のチルト角が低下
することによって、透過率が小さくなるが、V−T曲線
の傾きはほぼ同じであった。
【0114】前述の表1に示すように、このパネルにお
ける電位降下の最大値ΔVmax(即ち最大透過率を示す
状態であるA状態からB状態(またはB状態からA状
態)へのスイッチングによる電圧降下量)は2.15V
(Ps=40、α=20)と計算できる。また各階調状
態を表示する時の電位降下量ΔVは、透過率曲線がほぼ
直線に沿って変化しているため、近似的に(3)式を用
いて下式で表わせる。
【0115】 ΔV1R(V)=2.15(V)×透過率(%)/100…(4)
【0116】そこで、図1に示すアクティブマトリクス
液晶パネルを用い、図7に示すようなシステム構成、即
ち予め表示する画像情報(透過率)に応じて信号電圧に
上記式による電圧ΔV1を印加するように設定する補正
回路を組み込んだ液晶装置を作製した。
【0117】この液晶装置について、基本的には図6に
示すような駆動方式でアクティブマトリクス駆動を行っ
たところ(1水平走査選択期間Ton:16μsec、フ
レーム周波60Hz相当の駆動)、矩形波電圧を印加し
た場合と同じような100%透過率が得られ、また所望
の階調表示を得ることができた。
【0118】(実施例2)実施例1で作製した液晶パネ
ルを用い、図8に示すブロック回路を準備し、更に細か
な補正が可能となる制御回路(図9に示す構成)を作成
した。
【0119】実施例1で用いる液晶材料の自発分極Ps
の温度特性は、一般の強誘電性液晶と同じく、温度が高
い時小さく、低温になるに従って大きくなる性質があ
る。よってセルの電位降下量も温度によって変化する訳
であるが、実使用温度範囲においては、比較的線形に変
化するものであった。
【0120】実施例1で使用した液晶材料のPsの温度
依存性は、 50℃ 31(nC/cm2) 30℃ 40(nC/cm2) 10℃ 52(nC/cm2)であり、 この温度係数は温度降下に伴って1℃当たり約0.5
(nC/cm2)増加する、つまり30℃起点で表わす
と Ps=40+(1/2)×(30−Z) 〔ここでZは使用温度(℃)〕…(5) の関係がある。
【0121】一方、各温度の電位降下量ΔV1について
も、常に自発分極の反転量ΔQに比例することは式
(3)に説明しているとおりである。
【0122】そこで実施例1で説明した透過率による電
位降下補正を第1の補正とし、これに加えて、上記自発
分極の温度特性に基づく補正係数を第2の補正係数とし
て、図8に示すようにパネルに付設された温度センサ8
6からの情報に応じて情報信号の信号電圧補正回路79
に追加することで、パネルの駆動の温度特性を一挙に補
正した。
【0123】このように、信号電圧補正回路79では上
記第1の補正信号に加えて、温度センサーからの温度信
号を受けて、上記第2の補正した電圧信号を生成する
が、この信号電圧補正回路は一次関数によるものであっ
て回路が簡単であり、従来のTN型駆動回路系に後付け
付加する事が出来るため、従来のTN型液晶素子の駆動
回路が流用可能であり、コスト的にも安く作製でき有利
である。
【0124】(実施例3)保持容量を液晶容量Clcの3
倍とすること、配向膜として芳香族系ポリイミドを用い
ること、粒径1.4μmのスペーサービーズを用いるこ
と、液晶材料としてピリミジン骨格を有する化合物を主
成分とするPs=2.5nC/cm2の自発分極を有す
るカイラルスメクチック液晶組成物を用いることを除い
て、実施例1と同様に液晶パネルを作製した。
【0125】この液晶パネルについて、電圧無印加の状
態で最暗状態となるように偏光板を設定し、ゲートライ
ンにDC電圧を印加したままソース電圧を変化させて各
画素における電圧−透過率特性を評価したところ、図3
に示すような特性であって、約3V(−3V)で最大透
過率に達するような透過率が連続的に変化する特性を示
し、自発分極の反転に伴う画素電極部分での電圧降下量
(最大値)は0.5Vと計算された。そして自発分極の
反転に伴う画素電極部分での電圧降下量は ΔV1R=0.5(V)×透過率(%)…(6)となる。
【0126】この液晶パネルを用いて図7に示すような
補正回路を備えた液晶装置を構成して、実施例1と同様
の条件で駆動したところ、良好な階調表示の駆動がなさ
れた。
【0127】(実施例4)図1に示すパネル及び画素構
造の保持容量を備えたTFTを有する液晶素子を作製し
た。
【0128】まず、トランジスタにゲート絶縁膜23と
して窒化シリコン膜を備えたa−SiTFT14を、画
素電極15としてITO膜(300μm×100μm)
を、保持容量32としては画素電極15の下側全面にI
TOからなる保持容量電極30を配置し、ゲート絶縁膜
23としての窒化シリコン膜(厚み0.3μm)を利用
して、保持容量32を夫々作成した。1画素(1ビッ
ト)における開口率を70%、各ビットのピッチを30
0μmに設定した。
【0129】これに配向膜43aとして、ポリアミック
酸(東レ社製「LP−64」)とNMP(N−メチルピ
ロリドン)の混合溶液を塗布し焼成したポリイミド膜を
形成し(厚さ20nm)ラビング処理を施した。本実施
例では、上記の方法で保持容量電極30と、画素電極1
5の面積比を1:20〜18:20の間で変化させ、複
数種の保持容量の異なるアクティブマトリクス基板を得
た。
【0130】一方、対向基板40として全面ITOから
なる共通電極42を有するガラス基板を用意し、配向膜
43bとしてアクティブマトリクス基板側と同様にポリ
イミド樹脂を形成した後、ラビング処理によって一軸配
向処理を施した。
【0131】この後、対向基板に粒径が2.2μmのス
ペーサビーズを散布し(300個/mm2)、両基板を
対向配置させて貼りあわせ、セルギャップ2μmの複数
種の液晶セル(空セル)を作製した。
【0132】この空セルに矩形波電圧を加えた際の電圧
−透過率特性(V−T特性)が図3に示す状態であるカ
イラルスメクチック相を示す液晶を定法により加熱真空
注入し、アクティブマトリクス用液晶パネル(画素数
(液晶容量31の個数)320×240)を作製した。
【0133】液晶としては、下記物性を有する自発分極
を有するカイラルスメクチック液晶を用いた。
【0134】
【化1】
【0135】また、図3に示す特性において、最大透過
率を得る最大電圧値V0は5Vであった。
【0136】以上より、当該液晶パネルでの特性は以下
のようになる。
【0137】Ps=91.2nC/cm2 S=300μm×100μm×0.7(開口率70%) VS2=5(V) Clc=0.465pF(面積S、液晶層の厚さ2.0μ
m、液晶の比誘電率5より) Cs=0.217pF〜3.91pF(面積S/20〜
0.9S、誘電体層の厚さ0.3μm、誘電体層の比誘
電率7、即ち、Cs+Clc=0.68pF〜4.38p
Fの間で変化)。
【0138】上記の複数の液晶パネルについて下記の条
件に相当する(図11参照)アクティブマトリクス駆動
を行った。
【0139】60Hzノンインターレース Vs100(100%の透過率を得ようとする情報信号電
圧、即ち駆動電圧)=±10(V) Vs0(透過率0%の場合の情報信号電圧)=0(V) Vg=+15(V) Ton(ゲート選択期間)=20μsec(当該条件で使
用した液晶の透過率100%に至る応答速度は200μ
secであり、この条件では、上記自発分極を有する液
晶材料はゲート選択期間内に約1/2の分極電荷が反転
する)。
【0140】これらの液晶パネルの駆動の際の各パネル
で得られる全白状態を表示しようとした場合の透過率と
保持容量Cs+Clcの関係を図12に示す(図12の縦
軸は、用いる液晶のチルト角30°に相当する理想的な
全白の場合の透過率を1.0とした際の透過率(輝度)
を示す)。
【0141】これによると、Cs+Clc>3.83(p
F)を満足するようにCsを設定した時(Clcは液晶材
料・画素面積・セル厚で決まる一定値)、液晶本来の透
過率(チルト角30°に相当する最大透過率)が得られ
る。本実施例において、Cs+Clc>3.83(pF)
を満足する範囲とは即ち前述の式(9)を満足する範囲
である。
【0142】上記実施例4においては保持容量Csを変
化させた。通常のTFT液晶ディスプレイパネルの場
合、保持容量Csは画素電極とゲート絶縁膜と同一工程
で成膜された絶縁膜をはさんで対向する電極の間で形成
される。絶縁膜材料はゲート絶縁膜と同一工程で形成さ
れるためSiNx(比誘電率7)が使われ、膜厚は最小
で約300nmである。また、Csを構成する電極面積
は保持容量電極面積と画素電極面積の比が0.9:1の
時最大とするとCsの上限値は4.37(pF)程度が
限界となる。Mはゲート選択期間が液晶の応答速度より
十分短い場合M≒1となる。
【0143】また、ドライバICの小型化、低消費電力
化の流れの中で最大駆動電圧が±10(V)以下のCM
OSドライバICが主流となっているため、VS2の最大
値は±10(V)以下とするのが妥当である。
【0144】強誘電性液晶や反強誘電性液晶の飽和電圧
(最大チルトを生じる電圧)V0は最小でも2(V)程
度であることを考え合わせて式(9)に当てはめてみる
と、いかなる場合にもPs<83.4nC/cm2の自
発分極を有する液晶材料が必要であることになる。液晶
の比誘電率や飽和電圧、TFTやCsを構成する部材の
膜厚、駆動電圧などに多少の変動要因があることを考慮
してもPs<100nC/cm2の自発分極を有する液
晶材料を用いることが良好な輝度、コントラストが確保
するための条件である。
【0145】(実施例5)本実施例の液晶パネルでは、
保持容量Csを一定の値とし、駆動電圧を変化させた。
即ち、本実施例では、保持容量Csを4.0(pF)と
し、これ以外は、液晶材料として自発分極が91.2n
C/cm2、チルト角30°、比誘電率5であり、スタ
ティック駆動によるDC矩形波電圧を加えた際の電圧−
透過率特性(V−T特性)が図3に示す特性を有するよ
うなカイラルスメクチック液晶(実施例4と同様の材
料)を用いる以外は、実施例4と同様にして液晶パネル
を作成し、駆動電圧Vs2を変化させて、全白状態の表示
を行った。
【0146】これらの液晶パネルの駆動の際の各パネル
で得られる全白状態の透過率と駆動電圧Vs2の関係を図
13に示す(図13の縦軸は、用いる液晶のチルト角3
0°に相当する理想的な全白の場合の透過率を1.0と
した際の透過率(輝度)を示す)。同図によるとVs2
9.8(V)を満足するとき、用いた液晶本来の透過率
(チルト角30°に相当する最大透過率)が得られる。
液晶本来の透過率(チルト角30°に相当する)が得ら
れることが示されている。本実施例において、Vs2
9.8(V)を満足する範囲とは、前述の式(9)を満
足する範囲にほかならない。尚、Psの温度依存性が大
きい液晶材料の場合は、各温度のPsに対して前述の式
(9)を満足するように電圧VS2を変化させることによ
って良好な輝度、コントラストが確保できる。
【0147】(実施例6)図1、図2の構成を有する液
晶パネルを作製した。本実施例の液晶パネルの構成は以
下の通りである。 ・(1024×3)×768画素 ・1絵素をR(赤)・G(緑)・B(青)の3つの色画
素から構成 ・1画素:300μmピッチ(1ビット:300μm×
100μm) ・開口率70%
【0148】本実施例では、良好な階調表示を得るため
保持容量32を大きくする必要から、画素電極15と保
持容量電極30間にはゲート絶縁膜(SiNx膜)を形
成せず、誘電体層材料としてスパッタ法で成膜した膜厚
3000ÅのSbTiO3を形成した。このSbTiO3
の比誘電率εrは150であった。また、保持容量電極
30の面積と画素電極15の面積の比は1:5とした。
【0149】液晶49を挟持するセルの作成手順を以下
に説明する。a−SiTFT14及び画素電極15が形
成された基板上にポリイミドの前駆体であるポリアミッ
ク酸(東レ社製「LP−64」)のNMP(N−メチル
ピロリドン):n−BC(n−ブチルセロソルブ)混合
溶液をスピンコートした。塗布溶液はNMP:n−BC
=2:1の混合溶媒に上記ポリアミック酸を1重量%と
なるように調製し、スピン条件は45回転/秒で、20
秒間で行った。この基板を80℃のオーブン中で5分間
の溶媒乾燥を行った後、200℃のオーブン中で1時間
の加熱焼成を行いイミド化した。得られたポリイミド膜
は約10nmの厚さで、この膜をラビング処理して配向
膜43aとした。その後、この基板表面に平均粒径2.
2μmのシリカビーズを0.008重量%で分散させた
IPA(イソプロピルアルコール)溶液を、25回転/
秒で10秒間の条件でスピン塗布し、分散密度300個
/mm2程度にビーズスペーサを散布した。もう一方の
基板も同様の方法で配向膜43bを塗布した後、ラビン
グ処理を行った。このとき、ラビング方向はそれぞれの
基板でほぼ同方向に行った。こうして得られた2枚の基
板を対向して貼り合わせ、150℃のオーブン中で90
分間熱硬化させてセルとした。このようにして作成され
た液晶層のギャップは約2.0μmであった。
【0150】このようにして作成したセルに液晶49を
注入した。本実施例で用いた液晶49は、三角波法で測
定した30℃での自発分極Psが200nC/cm2
比誘電率が5の特性を有する反強誘電性液晶(以下、A
FLC)であり、本液晶素子において、印加電圧の変化
に対し連続的に透過率が変化し、明確な閾値を有してい
ない図3の電圧−透過率特性を示す。このように、液晶
への印加電圧を制御することにより、透過率を連続的に
変化させることが可能である。図3に示す飽和電圧V0
は5Vであった。
【0151】以上の構成でなる液晶表示パネルの式(1
3)に関係する数値を整理すると Ps=200nC/cm2 S=300μm×100μm V0=5V Clc=0.664pF(面積:S、液晶層の厚さ:2.
0μm、液晶の比誘電率:5) Cs=26.55pF(面積:S/5、誘電体層の厚
さ:0.3μm、誘電体層の比誘電率:150) A=0.07(表示全面内の均等間隔5×5のポイント
でのセル厚分布係数・誘電体層膜厚分布の実測による) であった。
【0152】Clcは画素面積、液晶層の厚さ、液晶の比
誘電率で決まる。画素面積と液晶層の比誘電率のバラツ
キは無視できるレベルで小さいので、Clcの表示面内分
布は液晶層の厚さ分布に起因する。表示面内の均等5×
5ポイントでの液晶層厚さを液晶の複屈折を利用して測
定した結果、最大2.10μm、最小1.90μm、平
均2.00μmであった。この結果から、Clcmax
0.632pF、Clcmin=0.699pF、Clcave
0.664pFを得た。
【0153】一方、CsはCs電極面積、Csを形成する
誘電体層の膜厚、誘電体層の比誘電率で決まる。Cs
極面積と誘電体層の比誘電率のバラツキは無視できるレ
ベルで小さいので、Csの表示面内分布は誘電体層の膜
厚分布に起因する。表示面内の同様の均等5×5ポイン
トでの誘電体層膜厚を測定したところ、最大0.32μ
m、最小0.28μm、平均0.30μmであった。こ
の結果から、Csmax=27.45pF、Csmin=25.
65pF、Csave=26.55pFを得た。
【0154】これらをもとに、Clc+Csを求めた結果
が表2である。表2より、A={(Cs+Clcmax
(Cs+Clcmin}/(Cs+Clcave=0.07を得
た。
【0155】
【表2】
【0156】本実施例において用いた液晶パネルおよび
液晶材料の物性値を式(13)に当てはめると、式(1
3)の右辺は0.0617となって16階調を表現する
ための条件を満足する範囲となる(1/16>0.06
17)。
【0157】そこで、上記液晶パネルを以下の条件で駆
動したところ、16ビットの情報信号電圧に対応した良
好な光学状態(1画素当たり16階調の階調表示)を得
ることができる。また、本実施例では自発分極が200
nC/cm2の液晶材料を用いたが、自発分極が200
nC/cm2以下の液晶材料であれば同様に良好な表示
を得ることができる。
【0158】60Hzノーインターレース Vs(100%)=±5V Vs(0%)=0V Vg=+15V Ton(ゲート選択期間)=20μsec(使用した液晶
の応答時間は200μsecであり、ゲート選択期間よ
り十分長い)
【0159】(実施例7)本実施例では、液晶材料とし
て自発分極Psが50nC/cm2、比誘電率が5、飽
和電圧V0=5Vの特性を有する反強誘電性液晶を用い
た。また、保持容量を構成する誘電体層材料をスパッタ
法で形成した酸化タンタル膜(TiOx、膜厚:200
0Å、εr:25)にした以外は実施例6と同様の構成
とした。以上の構成でなる液晶表示パネルの式(13)
に関係する数値を整理すると Ps=50nC/cm2 S=300μm×100μm V0=5V Clc=0.664pF(面積:S、液晶層の厚さ:2.
0μm、液晶の比誘電率:5) Cs=6.64pF(面積:S/5、誘電体層の厚さ:
0.2μm、誘電体層の比誘電率:25) A=0.07(表示全面内の均等間隔5×5のポイント
でのセル厚分布係数・誘電体層膜厚分布の実測による)
のようになる。
【0160】本実施例において用いた液晶パネルおよび
液晶材料の物性値を式(13)に当てはめると、式(1
3)の右辺は0.0575となって16階調を表現する
ための条件を満足する範囲となる(1/16>0.05
75)。
【0161】この液晶パネルを実施例6と同じ条件で駆
動したところ、実施例6と同様に16ビットの情報信号
電圧に対応した良好な光学状態(1画素当たり16階調
の階調表示)を得ることができる。また、本実施例では
自発分極は50nC/cm2の液晶材料を用いたが、自
発分極が50nC/cm2以下の液晶材料であれば同様
に良好な表示を得ることができる。
【0162】(実施例8)本実施例では、液晶材料とし
て自発分極Psが20nC/cm2、比誘電率εrが5、
飽和電圧V0=5Vの特性を有する反強誘電性液晶を用
いた。また、保持容量を構成する誘電体層材料をゲート
絶縁膜を兼ねた窒化シリコン(SiNx、膜厚:300
0Å、εr:7)にし、保持容量電極面積と画素電極面
積の比を2:5とした以外は(実施例6)と同様のパネ
ル構成とした。
【0163】以上の構成でなる液晶表示パネルの式(1
3)に関係する数値を整理すると Ps=20nC/cm2 S=300μm×100μm V0=5V Clc=0.664pF(面積:S、液晶層の厚さ:2.
0μm、液晶の比誘電率:5) Cs=2.48pF(面積:(2/5)×S、誘電体層
の厚さ:0.3μm、誘電体層の比誘電率:7) A=0.07(表示全面内の均等間隔5×5のポイント
でのセル厚分布係数・誘電体層膜厚分布の実測による) のようになる。
【0164】本実施例において用いた液晶パネルおよび
液晶材料の物性値を式(13)に当てはめると、式(1
3)の右辺は0.0534となって16階調を表現する
ための条件を満足する範囲となる(1/16>0.05
34)。
【0165】この液晶パネルを実施例6と同じ条件で駆
動したところ、実施例6と同様に16ビットの情報信号
電圧に対応した良好な光学状態(1画素当たり16階調
の階調表示)を得ることができる。また、本実施例では
自発分極は20nC/cm2の液晶材料を用いたが、自
発分極が20nC/cm2以下の液晶材料であれば同様
に良好な表示を得ることができる。
【0166】以上、実施例6〜8までは16ビット階調
表示の場合について述べた。もちろん16ビット階調以
外であっても式(13)を満足する液晶材料・パネル構
成を選ぶことで、所望の階調表示を得ることができる。
【0167】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の第1の液
晶装置では、自発分極の反転による画素電極の電位降下
によって、パネルにもたらされる透過率の落ち込みを簡
単な補正手段または補正回路を設ける事で正確に補正で
き、素子本来の明るい透過率を得る事が可能になった。
【0168】またこの補正方法も簡単な一次関数の組み
合せで近似されるため、高価なメモリーによるテーブル
参照方法を用いる補正でないために、簡単な補正回路に
て処置可能であり、素子作製上安価に作製する事が可能
である。
【0169】本発明では、自発分極の大きい反強誘電性
液晶に限らず自発分極の小さな強誘電性液晶によるアク
ティブ−FLC素子に於いても、全く同様に機能し、本
願の効果の同様に達成されることは明らかである。
【0170】また、本発明の第2の液晶装置によれば自
発分極を有する液晶をTFTなどアクティブマトリクス
駆動する場合、駆動条件、液晶材料の物性とパネル構成
を特定の式を満足するような範囲に設定することで、良
好な輝度、コントラストが確保できる。
【0171】さらに、本発明の第3の液晶装置によれ
ば、自発分極を有する液晶をTFTなどを用いて高速で
アクティブマトリクス駆動する場合に、液晶材料の物性
とパネル構成を式(13)を満足するような範囲に設定
することで、良好な階調表示を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶装置に用いる液晶パネルの構成を
模式的に示す図である。
【図2】本発明の液晶装置に用いる液晶パネルの1画素
の構成の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の液晶装置における液晶層に矩形波電圧
を印加した場合の電圧−透過率特性の一例を示す図であ
る。
【図4】本発明の液晶装置における液晶パネルの等価回
路を示す回路図である。
【図5】一般的なアクティブマトリクス駆動における走
査電圧、情報信号電圧、画素に印加される電圧、当該画
素での光学応答を示す図である。
【図6】本発明の液晶装置におけるアクティブマトリク
ス駆動における走査電圧、情報信号電圧、画素に印加さ
れる電圧、当該画素での光学応答を示す図である。
【図7】本発明の液晶装置の全体構成の一例を示すブロ
ック図である。
【図8】本発明の液晶装置の全体構成の他の例を示すブ
ロック図である。
【図9】本発明の液晶装置の信号電圧補正回路の構成の
一例を示すブロック図である。
【図10】本発明の液晶装置に用いる液晶パネルの1画
素の構成の他の例を示す断面図である。
【図11】本発明の液晶装置におけるアクティブマトリ
クス駆動における走査電圧、情報信号電圧、画素に印加
される電圧、当該画素での光学応答を示す図である。
【図12】本発明の実施例の液晶装置における、駆動電
圧と、全白状態の場合の透過率の関係を示す図である。
【図13】本発明の実施例の液晶装置における、液晶の
自発分極と、全白状態の場合の透過率の関係を示す図で
ある。
【図14】本発明に用いられる液晶の電圧−透過率特性
を示す図である。
【図15】本発明に用いられる液晶の電圧−透過率特性
を示す図である。
【符号の説明】
10 パネル部 11 走査信号線ドライバ 12 情報信号線ドライバ 14 TFT 15 画素電極 20 アクティブマトリクス基板 21 基板 22 ゲート電極 23 絶縁膜 24 a−Si層 25,26 n+a−Si層 27 ソース電極 28 ドレイン電極 29 チャネル保護膜 30 保持容量電極 31 液晶容量 32 保持容量 40 対向基板 41 基板 42 共通電極 43a,43b 配向膜 49 液晶層 50 液晶の自発分極 70 コントローラ部 71 液晶素子部 72 データ発生部 73 アクティブマトリクスパネル 74 走査信号線ドライバ 75 情報信号線ドライバ 76 走査信号制御回路 77 情報信号制御回路 78 駆動電圧生成回路 79 信号電圧補正回路 80 VRAM 81 画像情報 82 情報転送クロック 83 信号電圧 84 表示データ 85 走査信号線アドレスデータ 86 温度センサ 87 温度信号 91 減算器 92,93 積算器 94 加算器 101 p−Si層 102 パッシベーション膜

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 走査信号線と、該走査信号線に接続され
    たスイッチング素子と、該スイッチング素子に接続し画
    素を構成して液晶に電圧を印加する画素電極と、を備え
    たアクティブマトリクス基板と、対向基板との間に自発
    分極を有する液晶を挟持してなる液晶素子と、上記走査
    信号線を順次走査選択し、各走査信号線の走査選択期間
    に同期して各画素に情報信号電圧を印加する駆動手段で
    あって、各走査信号線の走査選択期間が液晶の応答時間
    より短く、且つ各画素に書き込む情報に応じた液晶の自
    発分極の反転による電圧の降下量を加えて補正した情報
    信号電圧を各画素に印加する駆動手段を有することを特
    徴とする液晶装置。
  2. 【請求項2】 前記情報信号電圧の極性をフレーム毎に
    反転するフレーム反転駆動において、前記駆動手段にお
    ける、液晶の自発分極の反転による電圧降下量の最大補
    正値ΔVmax1(V)が、 ΔVmax1=2Ps・S/Clc(1+α) 〔α=Cs/Clc、Ps(C/cm2):液晶の自発分
    極、S:画素電極の面積(cm2)、Clc(F):1画
    素での液晶容量、Cs(F):1画素での該液晶容量に
    並列に設けられた保持容量〕である請求項1記載の液晶
    装置。
  3. 【請求項3】 前記駆動手段における液晶の自発分極の
    反転による電圧降下量の補正値ΔV1(V)がΔVmax1
    に比例して換算される請求項2記載の液晶装置。
  4. 【請求項4】 前記情報信号電圧の極性がフレーム毎に
    等しい駆動において、前記駆動手段における、液晶の自
    発分極の反転による電圧降下量の最大補正値ΔVmax'1
    (V)が、 ΔVmax'1=Ps・S/Clc(1+α) 〔α=Cs/Clc、Ps(C/cm2):液晶の自発分
    極、S:画素電極の面積(cm2)、Clc(F):1画
    素での液晶容量、Cs(F):1画素での該液晶容量に
    並列に設けられた保持容量〕である請求項1記載の液晶
    装置。
  5. 【請求項5】 前記駆動手段における液晶の自発分極の
    反転による電圧降下量の補正値ΔV1(V)がΔVmax'1
    に比例して換算される請求項4記載の液晶装置。
  6. 【請求項6】 前記スイッチング素子が薄膜トランジス
    タである請求項1記載の液晶装置。
  7. 【請求項7】 前記保持容量が、前記薄膜トランジスタ
    のゲート絶縁膜と同様の膜を前記画素電極と保持容量電
    極の間に挟持して構成されている請求項6記載の液晶装
    置。
  8. 【請求項8】 前記液晶素子において、前記自発分極を
    有する液晶が電圧無印加で第一の配向状態にあり、該配
    向状態では第一の透過率を示し、該液晶に第一の極性の
    電圧を加えたときには、液晶分子が第一の配向状態から
    一方の方向にチルトし、所定の電圧値V0で第二の配向
    状態となり第二の透過率を示し、且つ第一の極性とは逆
    の第二の極性の電圧を加えたときには、液晶分子が第一
    の配向状態から他方の方向にチルトし、所定の電圧値−
    0で第三の配向状態となり第二の透過率を示し、印加
    電圧に応じて第一の透過率と第二の透過率との間で連続
    的に透過率を変化させる階調表示を行う請求項1記載の
    液晶装置。
  9. 【請求項9】 前記液晶がカイラルスメチック相を示す
    液晶である請求項1記載の液晶装置。
  10. 【請求項10】 前記液晶が、強誘電性を示す液晶であ
    る請求項1記載の液晶装置。
  11. 【請求項11】 前記液晶が、反強誘電性を示す液晶で
    ある請求項1記載の液晶装置。
  12. 【請求項12】 走査信号線と、該走査信号線に接続さ
    れたスイッチング素子と、該スイッチング素子に接続し
    画素を構成して液晶に電圧を印加する画素電極と、各画
    素に液晶に並列に設けられた保持容量を備えたアクティ
    ブマトリクス基板と、対向基板との間に自発分極を有す
    る液晶を挟持してなる液晶素子と、上記走査信号線を順
    次走査選択し、各走査信号線の走査選択期間に同期して
    各画素に情報信号電圧を印加する駆動手段を有し、各走
    査信号線の走査選択期間が液晶の応答時間より短く、且
    つ上記液晶素子及び駆動手段が下記式の条件を満たすよ
    うに設定されたことを特徴とする液晶装置。 Vs2≧{ΔQ・M/(Clc+Cs)}+Vs1 〔Vs2(V):1画素に加える情報信号電圧、V
    s1(V):当該液晶素子における液晶の電圧−透過率特
    性に基づいた、当該画素に書き込む情報を得るための電
    圧、ΔQ:当該画素に書き込む情報に応じた液晶の自発
    分極の反転量(C)、Clc(F):1画素における液晶
    容量、Cs(F):1画素における保持容量、M:当該
    画素に書き込む情報に応じた1走査信号線の走査選択期
    間内に反転不能な分極電荷の割合〕
  13. 【請求項13】 前記スイッチング素子が薄膜トランジ
    スタである請求項12記載の液晶装置。
  14. 【請求項14】 前記保持容量が、前記薄膜トランジス
    タのゲート絶縁膜と同様の膜を前記画素電極と保持容量
    電極の間に挟持して構成されている請求項13記載の液
    晶装置。
  15. 【請求項15】 前記液晶素子において、前記自発分極
    を有する液晶が電圧無印加で第一の配向状態にあり、該
    配向状態では第一の透過率を示し、該液晶に第一の極性
    の電圧を加えたときには、液晶分子が第一の配向状態か
    ら一方の方向にチルトし、所定の電圧値V0で第二の配
    向状態となり第二の透過率を示し、且つ第一の極性とは
    逆の第二の極性の電圧を加えたときには、液晶分子が第
    一の配向状態から他方の方向にチルトし、所定の電圧値
    −V0で第三の配向状態となり第二の透過率を示し、印
    加電圧に応じて第一の透過率と第二の透過率との間で連
    続的に透過率を変化させて階調表示を行う請求項12記
    載の液晶装置。
  16. 【請求項16】 前記液晶がカイラルスメチック相を示
    す液晶である請求項12記載の液晶装置。
  17. 【請求項17】 前記液晶が、強誘電性を示す液晶であ
    る請求項12記載の液晶装置。
  18. 【請求項18】 前記液晶が、反強誘電性を示す液晶で
    ある請求項12記載の液晶装置。
  19. 【請求項19】 走査信号線と、該走査信号線に接続さ
    れたスイッチング素子と、該スイッチング素子に接続し
    画素を構成して液晶に電圧を印加する画素電極と、各画
    素に液晶に並列に設けられた保持容量を備えたアクティ
    ブマトリクス基板と、対向基板との間に自発分極を有す
    る液晶を挟持してなる液晶素子と、上記走査信号線を順
    次走査選択し、各走査信号線の走査選択期間に同期して
    各画素に情報信号電圧を印加する駆動手段を有し、各走
    査信号線の走査選択期間が液晶の応答時間より短く、且
    つ上記液晶素子及び駆動手段が下記式の条件を満たすよ
    うに設定されたことを特徴とする液晶装置。 1/n>A(2Ps・S)/V0(Cs+Clcave 〔Ps(C/cm2):液晶の自発分極、Clc(F):
    1画素での液晶容量、Cs(F):1画素での保持容
    量、V0(V):液晶の飽和電圧(スタティック駆動
    (DC駆動)で最大透過率をとる電圧)、S:画素電極
    の面積(cm2)、n:1画素当たりの階調数、A:
    (Cs+Clc)のセル内分布係数; A={(Cs+Clcmax−(Cs+Clcmin}/(Cs
    +Clcave (Cs+Clcmax:(Cs+Clc)のセル内の最大値 (Cs+Clcmin:(Cs+Clc)のセル内の最小値 (Cs+Clcave:(Cs+Clc)のセル内の平均値〕
  20. 【請求項20】 前記スイッチング素子が薄膜トランジ
    スタである請求項19記載の液晶装置。
  21. 【請求項21】 前記保持容量が、前記薄膜トランジス
    タのゲート絶縁膜と同様の膜を前記画素電極と保持容量
    電極の間に挟持して構成されている請求項20記載の液
    晶装置。
  22. 【請求項22】 前記液晶素子において、前記自発分極
    を有する液晶が電圧無印加で第一の配向状態にあり、該
    配向状態では第一の透過率を示し、該液晶に第一の極性
    の電圧を加えたときには、液晶が第一の配向状態から一
    方の方向にチルトし、所定の電圧値V0で第二の配向状
    態となり第二の透過率を示し、且つ第一の極性とは逆の
    第二の極性の電圧を加えたときには、第一の配向状態か
    ら他方の方向にチルトし、所定の電圧値−V0で第三の
    配向状態となり第二の透過率を示し、印加電圧に応じて
    第一の透過率と第二の透過率の間で連続的に透過率を変
    化させる階調表示を行う請求項19記載の液晶装置。
  23. 【請求項23】 前記液晶がカイラルスメチック相を示
    す液晶である請求項19記載の液晶装置。
  24. 【請求項24】 前記液晶が、強誘電性を示す液晶であ
    る請求項19記載の液晶装置。
  25. 【請求項25】 前記液晶が、反強誘電性を示す液晶で
    ある請求項19記載の液晶装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102411912A (zh) * 2011-04-27 2012-04-11 深圳市华星光电技术有限公司 液晶显示器的驱动方法
JP5732528B2 (ja) * 2011-04-12 2015-06-10 シャープ株式会社 液晶表示装置およびマルチディスプレイシステム

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