JP2000105234A - 小粒子化HBs抗原の調製法並びにこれを用いた免疫測定試薬の製造方法、免疫測定試薬及び免疫測定方法 - Google Patents

小粒子化HBs抗原の調製法並びにこれを用いた免疫測定試薬の製造方法、免疫測定試薬及び免疫測定方法

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JP2000105234A
JP2000105234A JP10275008A JP27500898A JP2000105234A JP 2000105234 A JP2000105234 A JP 2000105234A JP 10275008 A JP10275008 A JP 10275008A JP 27500898 A JP27500898 A JP 27500898A JP 2000105234 A JP2000105234 A JP 2000105234A
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antigen
hbs
small
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JP10275008A
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Atsushi Doi
淳 土居
Masahiro Furuya
昌弘 古谷
Hideyuki Takahashi
英之 高橋
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Marine Biotechnology Institute Co Ltd
Sekisui Chemical Co Ltd
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Marine Biotechnology Institute Co Ltd
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗原活性を保持した小粒子化HBs抗原を得
ることができる小粒子化HBs抗原の調製法を提供す
る。 【解決手段】 界面活性剤、還元剤及びタンパク質変性
剤からなる群より選択される少なくとも1種によって、
HBs抗原を小粒子化処理する工程、並びに、上記小粒
子化処理されたHBs抗原に、ペプチジルプロリルシス
−トランスイソメラーゼを反応させる工程からなる小粒
子化HBs抗原の調製法であって、上記小粒子化処理す
る工程と上記反応させる工程とは、同時に行う小粒子化
HBs抗原の調製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、HBs抗原を小粒
子化させる際に伴う構造変化を抑えることによって、抗
原活性を保持した小粒子化HBs抗原を得ることができ
る小粒子化HBs抗原の調製法、並びに、上記小粒子化
HBs抗原を用いた免疫測定試薬の製造方法、免疫測定
試薬及び免疫測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】B型肝炎ウイルス(HBV)感染時の患
者血清中には、直径42nmのDane粒子と呼ばれる
二本鎖DNAウイルスの他に、直径22nmの小型球状
粒子や同じ外径で長さ50〜700nmの管状粒子が存
在することが知られている。これらHBVには、HBV
の外被(surface)、芯(core)に対応する
表面抗原(HBs抗原)、核抗原(HBc抗原)等が存
在する。
【0003】このような各抗原に対する抗体の検出は、
臨床診断上重要である。特に、HBs抗体は、HBVに
対する感染防御抗体であるので、過去にHBVの感染が
あり既に排除されている場合やHBVワクチン接種後で
ある場合に血中に検出される。従って、HBs抗体が陽
性であることは、HBVに対して抵抗性があり、再感染
のおそれがないことを示すものである。
【0004】血中のHBs抗体の定量的測定法として
は、通常、抗原抗体反応を利用した免疫測定法が用いら
れ、例えば、酵素標識したHBs抗原を使用する酵素免
疫測定法(EIA)、HBs抗原を血球やラテックス等
の不溶性担体に担持させた血球凝集法やラテックス凝集
法等が挙げられる。
【0005】EIAをワンステップサンドイッチ法で行
う場合、例えば、精製したHBs抗原をビーズやマイク
ロタイタープレートのウェル内壁等の不溶性担体に予め
固定化しておき、これにHBs抗体を含有する検体及び
酵素標識したHBs抗原を含有する溶液を加えて免疫反
応させて固定化HBs抗原−HBs抗体−酵素標識HB
s抗原の免疫複合体を生成させる。洗浄操作後、酵素発
色基質を加え、酵素反応により生じる生産物を検出する
ことにより、検体中のHBs抗体を定量することができ
る。
【0006】EIAに使用する酵素標識抗原を調製する
際には、通常、二価性架橋剤を用いるが、抗原と酵素が
ともに分子量の大きい場合には、それらを反応させるに
際して、両者の濃度を上げる必要がある。しかし、HB
s抗原は、分子量300万〜400万という巨大分子で
あり、酵素との結合が可能な濃度に抗原を溶解させるた
めには界面活性剤を多量に使用する必要がある。しか
し、このような条件下では多くの酵素が失活してしまう
ため、酵素標識が困難であった。
【0007】また、血球凝集法やラテックス凝集法は、
精製したHBs抗原をラテックスや血球等に担持させ、
これをHBs抗体含有検体と混合して抗原抗体反応させ
て、ラテックスや血球が抗体により架橋・凝集され、こ
の凝集を検出することにより検体中のHBs抗体を定量
することができる。
【0008】ラテックスや血球に担持させる抗原量は、
多ければ多いほど反応性が増加し、試薬の感度が向上す
る。しかしながら、HBs抗原は、上述のように巨大分
子であるために、担体(ラテックスや血球)の表面積当
たりの担持量が少なくなり、充分な試薬感度を得ること
が困難であった。
【0009】特開平6−138123号公報には、HB
s抗原を還元剤を用いてHBs抗原のジスルフィド結合
を開裂し、分子量が50万〜100万の小粒子化したH
Bs抗原を調製し、これを用いて酵素標識体を調製する
方法が開示されている。しかしながら、このような方法
で得られたHBs抗原は、抗原活性の低下が認められて
おり、酵素標識抗原の調製やラテックスや血球等への担
持に用いるのには適したものではなかった。従って、抗
原活性を保持した小粒子化HBs抗原の調製方法が望ま
れていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑み、抗原活性を保持した小粒子化HBs抗原を得るこ
とができる小粒子化HBs抗原の調製法、並びに、上記
小粒子化HBs抗原の調製法により得られた小粒子化H
Bs抗原を用いた免疫測定試薬の製造方法、免疫測定試
薬及び免疫測定方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、界面活性剤、
還元剤及びタンパク質変性剤からなる群より選択される
少なくとも1種によって、HBs抗原を小粒子化処理す
る工程、並びに、上記小粒子化処理されたHBs抗原
に、ペプチジルプロリルシス−トランスイソメラーゼを
反応させる工程からなる小粒子化HBs抗原の調製法で
あって、上記小粒子化処理する工程と上記反応させる工
程とは、同時に行う小粒子化HBs抗原の調製法であ
る。
【0012】上記HBs抗原は、タンパク質、糖質及び
脂質から構成され、構成するタンパク質が多くのジスル
フィド結合(−SS−結合)を有していることが知られ
ている。上記HBs抗原を小粒子化処理するためには、
(1)還元剤を用いてジスルフィド結合を開裂させる、
(2)界面活性剤を用いて脂質を除去する、及び/又
は、(3)タンパク質変性剤を用いて高次構造をほぐす
ことが有効であるが、いずれの小粒子化処理方法におい
ても、タンパク質の構造変化が生じ、HBs抗原の抗原
活性が損なわれるが、本発明は、上記小粒子化処理した
HBs抗原にペプチジルプロリルシス−トランスイソメ
ラーゼ(以下、「PPIアーゼ」ともいう。)を反応さ
せることにより、小粒子化処理したHBs抗原の抗体結
合部位の構造変化を抑制させて、抗原活性を保持した小
粒子化HBs抗原を調製するものである。
【0013】本発明の小粒子化HBs抗原の調製法は、
界面活性剤、還元剤及びタンパク質変性剤からなる群よ
り選択される少なくとも1種によって、HBs抗原を小
粒子化処理する工程を含む。本明細書中において、小粒
子化HBs抗原とは、HBs抗原を、界面活性剤、還元
剤及びタンパク質変性剤からなる群より選択される少な
くとも1種で処理することによって得られる、低分子量
化したHBs抗原を意味する。
【0014】上記界面活性剤は、脂質を除去可能なもの
であれば特に限定されず、例えば、ドデシル硫酸ナトリ
ウム(SDS)、ドデシルスルホン硫酸ナトリウム、コ
ール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、3−
[(コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1
−プロパンスルホン酸(CHAPS)、オクチルグルコ
シド(OG)、オクチルチオグルコシド、ノナノイル−
N−メチルグルカミド(MEGA−9)、ポリオキシエ
チレンドデシルエーテル(Briji)、ポリオキシエ
チレンi−オクチルフェニルエーテル(Triton
X)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(N
onidet P−40)、ポリオキシエチレン脂肪酸
エステル(Span)、ポリオキシエチレンソルビトー
ルエステル(Tween)等が挙げられる。上記界面活
性剤の使用濃度は、処理するHBs抗原濃度によって異
なるが、0.01〜1000mMの範囲であることが好
ましい。
【0015】上記還元剤は、タンパク質のジスルフィド
結合を解離させるものであれば特に限定されず、例え
ば、β−メルカプトエタノール、2−メルカプトエチル
アミン、ジチオスレイトール、ジチオエリスルトール、
水素化ホウ素ナトリウム、モノチオリン酸等が挙げられ
る。上記還元剤の使用濃度としては、処理するHBs抗
原の濃度によって異なるが、通常は溶液中の濃度が0.
01〜20%となるように用いることができる。
【0016】上記タンパク質変性剤は、タンパク質の高
次構造をほぐしポリペプチド側鎖間の水素結合、疎水性
相互作用を解離するものであれば特に限定されず、例え
ば、グアニジン塩酸塩、尿素等が挙げられる。上記タン
パク質変成剤の使用濃度は、処理するHBs抗原濃度に
よって異なるが、0.1〜8Mの範囲が好ましい。上記
還元剤、界面活性剤及びタンパク質変性剤は、それぞれ
単独で用いてもよく、又は、混合して用いてもよい。
【0017】本発明の小粒子化HBs抗原の調製法は、
上記小粒子化処理されたHBs抗原に、PPIアーゼを
反応させる工程を含む。本発明は、上記小粒子化処理さ
れたHBs抗原にPPIアーゼを反応させる工程を含む
ことによって、PPIアーゼのタンパク質折り畳み作用
により、小粒子化処理したHBs抗原の抗体結合部位の
構造変化を抑制させて、抗原活性を保持した小粒子化H
Bs抗原を調製するものである。
【0018】本発明で用いるPPIアーゼとは、プロリ
ン残基のN末端側ペプチド結合の回転を促進する作用を
有する酵素である。タンパク質中の構成アミノ酸である
プロリン残基のN末端側ペプチド結合は、自由に回転で
きず、自発的なシス−トランス異性化が起こりにくい。
その結果、構造変化が生じた際にタンパク質鎖の正常構
造への変換は、そのようなプロリンのシス−トランス異
性化反応等が律速となり、自発的な再生が阻害される。
この異性化反応を促進させるPPIアーゼは、タンパク
質の高次構造の再生を促進し、変性タンパク質を再生さ
せることができる酵素である。
【0019】上記PPIアーゼを、HBs小粒子化用の
各種処理剤を含んだ溶液に存在させることにより、小粒
子化処理によりダメージを受けたHBs抗原の立体構造
を安定化させたり、構造変化をすばやく修復することに
より、抗原活性の低下を防ぐことができる。
【0020】本発明で用いられるPPIアーゼとして
は、シクロフィリン(Cyclophilin:免疫抑
制剤であるサイクロスポリンAへの結合タンパク質)タ
イプ及びFKBP(免疫抑制剤であるFK506への結
合タンパク質)タイプのうち、少なくとも1種以上のP
PIアーゼを用いることができる。
【0021】上記PPIアーゼは、真核生物、真正細菌
若しくは古細菌から調製したもの、又は、真核生物、真
正細菌若しくは古細菌から調製したDNAから発現され
たものを用いることができる。
【0022】上記真核生物由来のPPIアーゼとしては
特に限定されず、例えば、ブタ由来の19KPPIアー
ゼ、ショウジョウバエ由来のninaA産物、トマトや
トウモロコシ等の高等植物由来のシクロフィリン(Cy
clophilin)、アカパンカビ由来のシクロフィ
リン(Cyclophilin)、Nc−FKBP、酵
母由来のシクロフィリン(Cyclophilin)、
CRGタンパク質、Sc−FKBP等が挙げられる。ま
た、例えば、シグマ社から市販されているシクロフィリ
ン(Cyclophilin)タイプのPPIアーゼ
(子牛胸腺由来)やFKBPタイプのPPIアーゼ(ヒ
ト由来)等が手軽に入手できる。
【0023】上記真正細菌由来のPPIアーゼとしては
特に限定されず、例えば、大腸菌由来のPPIアーゼ−
α、PPIアーゼ−β等が挙げられる(タンパク質核酸
酵素Vol.36、No.11(1991))。
【0024】上記古細菌としては、例えば、スルホロバ
ス(Sulfolobus)属、デスルホロコッカス
(Desulfurococcus)属、ピロディクテ
ィム(Pyrodictium)属、サーモフィラス
(Thermofilum)属、サーモプロテウス(T
hermoproteus)属、ピロバキュラム(Py
robaculm)属、ピロコッカス(Pyrococ
cus)属、メサノバクテリウム(Methanoba
cterium)属、メタノコッカス(Methano
coccus)属、メサノピラス(Methanopy
rus)属、メサノサーマス(Methanother
mus)属、アーキアブロブス(Archaeoglo
bus)属、ハロバクテリウム(Halobacter
ium)属、メサノプラナス(Methanoplan
us)属、メサノスピリラム(Methanospir
illum)属、メサノサルシア(Methanosa
rcina)属由来のものが使用できる。上記古細菌の
中でも、特に、メタノコッカス属古細菌から調製したも
の、又は、メタノコッカス属古細菌から調製したDNA
から発現されたものが好ましい。
【0025】上記メタノコッカス属菌とは、海洋性古細
菌のメタン生成菌に属し、水素、二酸化炭素及びギ酸か
らメタンを生成することを特徴とする球状菌群である。
上記メタノコッカス属菌は、その至適生育温度から中温
菌と高温菌に分類され、高温菌にはメタノコッカス・ヤ
ンナシイ(Methanococcus jannas
chii:最適温度85℃)、メタノコッカス・サーモ
リソトロフィカス(Methanococuus th
ermolithotrophicus:ATCC35
097、最適温度65℃)の2種がある。最適温度が2
0〜40℃である中温菌には、メタノコッカス・ボルタ
エ(Methanococuusvoltae:ATC
C33273)、メタノコッカス・デルタエ(Meth
anococuus deltae:ATCC3529
4)、メタノコッカス・フリシュス(Methanoc
ocuus frisius:ATCC43340)、
メタノコッカス・マリパルディス(Methanoco
cuus maripaludis:ATCC4300
0)、メタノコッカス・バンニエリ(Methanoc
ocuus vannielii:ATCC3508
9)等が挙げられる。
【0026】上記メタノコッカス属菌は、大腸菌のよう
に7〜8種類のPPIアーゼを有しそれぞれが複雑に作
用しあうといったものでなく、PPIアーゼを1又は2
種類しか有さないため、タンパク質に対する汎用性は高
い。本発明で用いられるPPIアーゼは、上記メタノコ
ッカス属細菌から直接精製して得ることもできるが、こ
れらの生物のPPIアーゼをコードするDNA塩基配列
をクローニングし、大腸菌や酵母等の生育の速い生物に
組み込んで調製することが、大量に生産できるので好ま
しい。
【0027】上記PPIアーゼを直接精製して得る方法
としては特に限定されず、例えば、以下の方法によって
得ることができる。上記細菌を、例えば、海水ベース培
地(酵母エキス2g、バクトトリプトン2g、酢酸ナト
リウム1g、PIPES1.7g、DABビタミン溶液
10mL/L海水pH6.8)中で培養し、嫌気条件及
び水素/炭酸ガス(4:1)の混合ガスの通気下で37
℃で一昼夜培養し菌体を回収する。回収した菌体を25
mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁することにより
細胞を浸透圧ショックにより破砕し、上清を遠心分離に
より回収した後、疎水クロマトグラフィー(Butyl
sepharoseカラム:ファルマシア社製等)、ゲ
ル濾過カラムクロマトグラフィー(Superrose
12HRカラム:ファルマシア社製等)、陰イオン交換
カラムクロマトグラフィー(MonoQ:ファルマシア
社製)によりPPIアーゼ活性画分を回収することがで
きる。
【0028】上記得られた画分は、SDSポリアクリル
アミドゲル電気泳動によって、単一画分であることを確
認することができる。上記精製において、PPIアーゼ
活性は、α−キモトリプシン反応とのカップリングアッ
セイ法により確認することができる。例えば、HEPE
S緩衝液(pH7.8)中、配列表の配列番号1のペプ
チド(最終濃度17μM)を基質として、サンプルをセ
ルに注入した後、25℃でインキュベートし、キモトリ
プシン溶液を添加することにより反応を開始する。終始
攪拌下、pNAの遊離による390nmの吸収増加をモ
ニターすることにより酵素活性を測定することができ
る。上記配列表の配列番号1のペプチドは、商品名「N
−suc−Ala−Ala−Pro−Phe−p−ni
troanilide」(シグマ社製)の市販品を入手
可能である。
【0029】上記メタノコッカス属細菌から調製したD
NAから発現させる手法としては、「新生物化学実験の
手引き」(化学同人社)等に記載された遺伝子実験プロ
トコール等の常法を応用することができる。
【0030】上記メタノコッカス属細菌のPPIアーゼ
のDNA配列、酵素確認法等は、例えば、特開平10−
91号公報、特願平9−235999号に記載されてお
り、それを利用することができる。例えば、適当な制限
酵素サイトを含むようにその一部の塩基配列を合成して
PCR用プライマーを作製する。次いで、メタノコッカ
ス属細菌のゲノムDNAを鋳型として、PCRによって
増幅させる。PCR産物から得られるPPIアーゼ遺伝
子を適当な耐性マーカーを含むプラスミドベクターに挿
入し、得られたプラスミドで大腸菌や酵母等の生育の速
い生物を形質転換する。形質転換体を培養し、培養菌体
より疎水クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラ
フィー等の常法に従って精製し、PPIアーゼを得るこ
とができる。
【0031】上記ゲノムDNAとしては、特願平9−3
50623号記載の方法に従って調製することができ
る。例えば、メタノコッカス・サーモリソトロフィカス
DSM2095株を使用する場合、65℃、嫌気条
件、H2 /CO2 (4:1)混合ガスの通気(200m
L/分)条件下で上記菌株を培養し、菌体1.0gを1
0mLのTNE緩衝液(20mMトリス−塩酸(pH
8.0)、100mMNaCl、20mMEDTA)に
懸濁し、温度を50℃とした後、これに0.05mLの
プロテイナーゼK溶液 (20mg/mL) を添加し、4
時間振盪培養を行った。この培養液にフェノール処理、
クロロホルム処理を行った後、0.05mLのRNas
e A溶液 (0.5mg/mL)を添加し、37℃で1
時間放置した。放置後の溶液に再び1mLの10%SD
S溶液、0.05mLのプロテイナーゼK溶液 (20m
g/mL)を添加し、再度50℃で70分放置した。更
に、これにフェノール処理、クロロホルム処理を行った
後(このときの溶液量は10mL)、1mLの3M酢酸
ナトリウム溶液 (pH5.2)、25mLのエタノール
を添加し、−20℃で2時間放置した。放置後の溶液を
高速遠心機で遠心し、DNAを沈殿させた。沈殿を3m
Lの70%エタノール溶液で洗浄し、遠心エバポレータ
ーで乾固させた後、TNE緩衝液0.5mLに溶解し
た。この操作により約2mgのゲノムDNAを得ること
ができる。
【0032】上記メタノコッカス属の中で、メタノコッ
カス・サーモリソトロフィカス(Methanococ
cus themolithotrophicus)か
ら得られたPPIアーゼは、熱安定性に優れており、9
0℃及び100℃といった高温条件下で放置しても失活
しにくい。これまで市販されているPPIアーゼは、6
5℃でほとんど失活してしまうため高温条件下で用いる
ことはできなかった。しかしながら、上記メタノコッカ
ス・サーモリソトロフィカス(Methanococc
us themolithotrophicus)から
得られたPPIアーゼは、37〜65℃といった中温だ
けでなく、80〜90℃といった高温条件下でも使用可
能である。更に、これらの耐熱性PPIアーゼの特徴
は、その活性が長期にわたって保存されるという点であ
る。
【0033】上記メタノコッカス・サーモリソトロフィ
カス(Methanococcusthemolith
otrophicus)由来のPPIアーゼは、他のP
PIアーゼが有するペプチジルプロリンシスートランス
異性化作用及びポリペプチド鎖の折り畳み作用だけでな
く、シャペロニン様のタンパク質の不可逆的凝集抑制作
用も併せ持つため、HBs抗原を安定化する効果が大き
い。
【0034】上記メタノコッカス属の中温菌の中で、特
に、メタノコッカス・ボルタエ(Methanococ
cus voltae)から得られるPPIアーゼは、
メタノコッカス・サーモリソトロフィカス(Metha
nococcus themolithotrophi
cus)のPPIアーゼと同様に、ペプチジルプロリル
シス−トランス異性化作用及びポソペプチド鎖の折り畳
み作用だけでなく、シャペロニン様のタンパク質の不可
逆的凝集抑制作用も併せ持つため、HBs抗原を安定化
する効果が大きい。
【0035】上記メタノコッカス・ボルタエ(Meth
anococcus voltae)は、中温菌である
ため、同菌由来のPPIアーゼは4〜40℃の広い範囲
でHBs抗原を安定化する効果がある。
【0036】本発明の小粒子化HBs抗原の調製法にお
いて、HBs抗原を小粒子化処理する工程と、上記小粒
子化処理されたHBs抗原にPPIアーゼを反応させる
工程とは、同時に行う。上記小粒子化処理する工程と上
記反応させる工程とを同時に行う方法としては特に限定
されず、例えば、(1)HBs抗原を希釈した溶液(以
下、「HBs抗原希釈液」ともいう)、PPIアーゼ溶
液、並びに、還元剤、界面活性剤及びタンパク質変性剤
からなる群より選択される少なくとも1種の処理剤を溶
解した溶液(以下、「小粒子化用液」ともいう)を同時
に混合する方法、(2)HBs抗原希釈液とPPIアー
ゼ溶液の混合液に、小粒子化用液を添加する方法等が挙
げられる。上記いずれの方法によっても、抗原活性を有
した小粒子化HBs抗原を得ることができる。
【0037】上記PPIアーゼの使用濃度としては特に
限定されず、例えば、0.001〜10mg/mLの範
囲が挙げられる。上記HBs抗原の処理濃度としては特
に限定されず、0.001〜10mg/mLが通常用い
られる。上記反応温度及び時間としては特に限定され
ず、例えば、4〜80℃、1〜48時間の範囲等が挙げ
られる。
【0038】上記HBs抗原を予め希釈しておく希釈液
としては特に限定されず、例えば、リン酸緩衝液、トリ
ス緩衝液、グッド緩衝液、グリシン緩衝液、トリス塩酸
緩衝液等が挙げられる。上記希釈液のイオン強度として
は、HBs抗原を希釈するのに好適なものであれば特に
限定されないが、NaClを0.05〜1Mとなるよう
にしたものが好ましい。上記希釈液のpHは特に限定さ
れないが、4.5〜9.0の範囲が好ましい。
【0039】上記還元剤、界面活性剤及びタンパク質変
性剤からなる群より選択される少なくとも1種の処理剤
を溶解させておく緩衝液、並びに、上記PPIアーゼを
溶解させる液としては特に限定されず、上記HBs抗原
の希釈液で例示したもの等が挙げられる。
【0040】本発明2は、界面活性剤、還元剤及びタン
パク質変性剤からなる群より選択される少なくとも1種
によって、HBs抗原を小粒子化処理する工程、並び
に、上記小粒子化処理されたHBs抗原に、PPIアー
ゼを反応させる工程からなる小粒子化HBs抗原の調製
法であって、上記反応させる工程は、上記小粒子化処理
する工程を行った後に行う小粒子化HBs抗原の調製法
である。
【0041】本発明2は、小粒子化処理する工程を行っ
た後に、小粒子化処理されたHBs抗原にPPIアーゼ
を反応させる工程を行うことによって、PPIアーゼの
タンパク質折り畳み作用により、HBs抗原中の変化し
た抗体結合部位の構造の再構成を行わせしめ、抗原活性
を保持した小粒子化HBs抗原を調製するものである。
【0042】本発明2の小粒子化HBs抗原の調製法に
おいて、小粒子化処理する工程を行った後、反応させる
工程を行う方法としては特に限定されず、例えば、HB
s抗原希釈液と小粒子化用液を混合、反応させた後、P
PIアーゼ溶液を添加する方法等が挙げられる。上記方
法によって、抗原活性を有した小粒子化HBs抗原を得
ることができる。
【0043】本発明1及び本発明2において、上記PP
Iアーゼは、溶液状態だけではなく、不溶性担体に固定
化してバイオリアクターとして用いることができる。上
記不溶性担体としては、通常の酵素固定化用担体であれ
ば特に限定されず、例えば、セルロース、アガロース、
デキストラン、キチン、コラーゲン、アミノ酸ポリマ
ー、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、イオン交換樹
脂、ビニルポリマー、ガラスビーズ、セラミック、光架
橋性樹脂、ポリウレタン等が挙げられる。上記不溶性担
体としては、また、セルロースやアガロースを臭化シア
ンで活性化した担体や、ビニルポリマーに官能基を導入
した担体が、タンパク質の結合用担体として市販されて
おり、それらを用いることもできる。
【0044】上記PPIアーゼと不溶性担体との結合法
は、タンパク質の固定等に用いられているものであれば
特に限定されず、例えば、共有結合法、物理的吸着法、
イオン結合法、架橋法、包括格子型法、マイクロカプセ
ル格子型法等が挙げられる。上記PPIアーゼの不溶性
担体への吸着量は特に限定されないが、担体1cm3
たりタンパク量として0.1〜1000mgが望まし
い。
【0045】上記PPIアーゼ結合担体を用いたHBs
小粒子化抗原への作用方法としては特に限定されず、例
えば、(1)PPIアーゼ結合担体、HBs抗原希釈液
及び小粒子化処理用液を混合、反応させた後に、遠心分
離操作等によりPPIアーゼ結合担体を沈殿させて、上
清に含まれる小粒子化HBs抗原を回収する方法、又
は、PPIアーゼ結合担体と小粒子化操作終了後のHB
s抗原希釈液−小粒子化処理用液混合液を混合、反応さ
せた後に、上記と同様にして小粒子化HBs抗原を回収
する方法、(2)PPIアーゼ結合担体をカラムに充填
し、これにHBs抗原希釈液及び小粒子化処理用液を展
開、反応させた後に溶出される小粒子化HBs抗原を回
収する方法、又は、PPIアーゼ結合担体をカラムに充
填し、これに小粒子化操作終了後のHBs抗原希釈液−
小粒子化処理用液混合液を展開・反応させた後に溶出さ
れる小粒子化HBs抗原を回収する方法、(3)PPI
アーゼ結合膜とHBs抗原希釈液及び小粒子化処理用液
を混合、反応させて小粒子化HBs抗原を回収する方
法、又は、PPIアーゼ結合膜と小粒子化処理操作終了
後のHBs抗原希釈液−小粒子化処理用液混合液を混
合、反応させて小粒子化HBs抗原を回収する方法等が
挙げられる。上記PPIアーゼ固定化担体は繰り返し使
用が可能である。
【0046】本発明1及び本発明2の小粒子化HBs抗
原の調製法により得られた小粒子化HBs抗原は、酵素
標識することによって、免疫測定試薬を製造することが
できる。上記酵素標識の方法としては、二架性架橋剤を
用いた直接架橋法、及び、ビオチン−アビジン架橋法を
用いた標識アビジン−ビオチン法が挙げられる。
【0047】上記直接架橋法としては、二架性架橋剤を
精製水又はジメチルスルホキサイド(DMSO)に溶解
し、小粒子化HBs抗原を緩衝液を用いて適当量希釈し
た液に、モル比で5〜100倍程度になるように添加
し、一定温度で1〜24時間程度インキュベーションす
る。この反応液を、ゲル濾過カラムクロマトグラフィー
を行い、未反応の二架性架橋剤を除去して、官能基を導
入した標識HBs抗原を得ることができる。次いで、上
記官能基を導入した標識HBs抗原に、酵素を適当量溶
解した液を添加して反応を行い、酵素標識HBs抗原液
を調製することができる。反応終了後に、ゲル濾過カラ
ムクロマトグラフィーを行い、未反応酵素や未反応HB
s抗原を除去して、酵素標識HBs抗原を回収すること
ができる。
【0048】上記二架性架橋剤としては、ホモ架橋剤及
びヘテロ架橋剤が挙げられる。上記ホモ架橋剤として
は、例えば、エチレングリコール−o,o−ビススクシ
ニミジルサクシナト)、4,4′−ジチオビス1−アザ
イドベンゼン等が挙げられる。上記ヘテロ架橋剤として
は、例えば、スクシニニミジル トランス4−N−マレ
イミジルメチルシクロヘキサン−1−カルボキシレイト
(SMCC)、N−4−マレイミドブチリロキシイスク
シニミド(GMBS)、N−6−マレイミドカプロイロ
キッシスクシニミド(EMCS)、及び、それらのスル
ホン化試薬等が挙げられる。
【0049】上記酵素標識に用いる酵素としては特に限
定されず、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(以下
POD)、アルカリフォスファターゼ、β−ガラクトシ
ダーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ等の
通常EIAに用いられる酵素が好適である。
【0050】上記二架性架橋剤を用いる場合、上記酵素
標識に用いる酵素がアミノ基とチオール基の両方を有す
る場合とアミノ基だけを有する場合があるので、架橋剤
との組み合わせに留意する。例えば、上記酵素標識に用
いる酵素がPODの場合アミノ基のみを有するのでヘテ
ロ架橋剤を用い、上記酵素標識に用いる酵素がβ−ガラ
クトシダーゼの場合はアミノ基とチオール基の両方を有
しているので、ヘテロ、ホモ架橋剤のいずれも用いるこ
とができる。
【0051】上記標識アビジン−ビオチン法では、小粒
子化HBs抗原を好適な緩衝液を用いて適当量希釈した
HBs抗原液に、ビオチン試薬を精製水又はDMSOに
溶解した液を、モル比でHBs抗原の10〜100倍程
度になるように添加し、25℃付近で4〜18時間程度
インキュベーションする。この液を、ゲル濾過カラムク
ロマトグラフィーを用いて、遊離のビオチン試薬を除去
し、ビオチン標識HBs抗原を得ることができる。
【0052】次いで、上記調製したビオチン標識HBs
抗原とアビジン/ストレプトアビジン標識酵素とを、3
7℃で30分〜2時間程度反応させた後、ゲル濾過カラ
ムクロマトグラフィーにより、未標識のビオチン標識H
Bs抗原とアビジン/ストレプトアビジンを除去して、
酵素標識HBs抗原を回収することができる。
【0053】上記小粒子化HBs抗原をビオチン化する
ビオチン化試薬には、N−スクシニミジル D−ビオチ
ン、スルホスクシニミジル D−ビオチン、スルホスク
シニミジルN−N−D−ビオチニル−6−アミノヘキサ
ノイル−6−アミノヘキサネイト等のリジン残基のε−
アミノ基等の遊離のアミノ基と結合する活性エステルタ
イプ;N′−[2−N−マレイミドエチル−N−ピペラ
ジリル D−ビオチナミド ハイドロクロライド、6−
N−2−Nマレイミドエチル−N−ピペラジニルアミド
ヘキシ D−ビオチナミド ハイドロクロライド等の
システイン残基等のチオール基と結合するマレイミドタ
イプが挙げられる。
【0054】上記標識に用いる酵素としては、上記直接
架橋法で例示したもの等が挙げられる。上記アビジン/
ストレプトアビジン標識酵素は、上記酵素をアビジン/
ストレプトアビジンで標識したものを調製することもで
きるが、アビジン/ストレプトアビジン標識酵素は市販
されており入手が容易であるのでこれらを用いてもよ
い。
【0055】本発明1及び本発明2の小粒子化HBs抗
原の調製法により得られた小粒子化HBs抗原は、ま
た、不溶性担体に担持させることによって、免疫測定試
薬を製造することができる。
【0056】上記不溶性担体としては、疎水性の表面を
有する不活性担体、及び、部分的に疎水性表面を有する
不活性担体が挙げられ、例えば、ラテックス、プラスチ
ックビーズ、プラスチックプレート等の合成高分子化合
物からなるもの;シリカ等の無機材料からなるもの;タ
ンニン酸処理した赤血球;ニトロセルロース等の高分子
膜等が挙げられる。
【0057】上記不溶性担体の表面には、化学結合を目
的とする種々の官能基が存在してもよく、また、アビジ
ン−ビオチン等の親和性を利用して物質を固定化するた
めのスペーサー等を有していてもよい。
【0058】上記不溶性担体として、工業的に安定した
品質で大量生産しうるラテックス;プラスチックビー
ズ、プラスチックプレート等のプラスチック成型品が好
ましい。特に、検査の全自動化処理による検査時間の短
縮及び省力化が可能なこと等から、ラテックスがより好
ましい。上記ラテックスとしては、ポリスチレン系、合
成ゴム系等特に限定されないが、好ましくはポリスチレ
ン系のものである。上記ラテックスの平均粒径は0.0
5μm〜2.0μmのものが好ましく、より好ましく
は、0.1μm〜0.5μmのものである。
【0059】上記不溶性担体への担持方法としては、例
えば、本発明1又は本発明2によって得られた小粒子化
HBs抗原を好適な緩衝液で希釈し、これをHBs抗原
液とする。上記HBs抗原液と上記不溶性担体とを、p
H4.5〜9.0の水性媒体中で接触させ、所定時間イ
ンキュベートすることによりHBs抗原を担体に固定化
することができる。上記小粒子化HBs抗原を担持させ
た不溶性担体を保存する液、及び、抗原抗体反応の反応
液として使用する水性媒体としては特に限定されず、例
えば、上記小粒子化HBs抗原の調製法においてHBs
抗原の希釈緩衝液としては例示したもの等の一般に用い
られている緩衝液が好ましい。
【0060】上記酵素標識した小粒子化HBs抗原、及
び、上記不溶性担体に担持させた小粒子化HBs抗原
は、免疫測定試薬として使用した場合、高感度な免疫測
定法を行うことができる。例えば、ワンステップサンド
イッチ法によるEIAに使用する場合には、上記小粒子
化HBs抗原を担持した不溶性担体に、検体及び上記酵
素標識した小粒子化HBs抗原を加え、一定時間免疫反
応させる。洗浄後、酵素発色基質を加え、酵素反応によ
り生じる生成物を検出し、同時に処理したHBs抗体濃
度既知の標準溶液から得られる標準曲線と比較すること
によって、検体中のHBs抗体の量を測定することがで
きる。また、上記不溶性担体に担持させた小粒子化HB
s抗原は、ラテックス凝集法や血球凝集法等による免疫
測定方法にも好適に使用することができ、その操作方法
としては、例えば、上記不溶性担体に担持させた小粒子
化HBs抗原と検体とを混合して、免疫凝集反応後、こ
の凝集を検出することにより、検体中のHBs抗体の量
を測定することができる。
【0061】
【実施例】以下に本発明の実施例を掲げて更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。
【0062】参考例では、遺伝子組み換え技術によるP
PIアーゼの調製を記載した(参考例1ではメタノコッ
カス・サーモリソトロフィカス由来PPIアーゼ、参考
例2ではメタノコッカス・ボルタエ由来のPPIアー
ゼ)。実施例1〜4では、参考例で得られたPPIアー
ゼを用いた小粒子化HBs抗原の調製方法を記載した
(実施例1〜3では、メタノコッカス・サーモリソトロ
フィカス由来のPPIアーゼ、実施例4ではメタノコッ
カス・ボルタエ由来のPPIアーゼを使用した)。実施
例5及び6では、実施例1及び2で調製した小粒子化H
Bs抗原を用いた酵素標識抗原の調製、及び、それを用
いた免疫測定方法を記載した。比較例1では、小粒子化
処理していない精製HBs抗原を、比較例2では、PP
Iアーゼを用いないで調製した小粒子化HBs抗原を、
それぞれ用いて実施例5と同様の酵素標識抗原の調製、
及び、それを用いた免疫測定方法を記載した。実施例7
及び8では、実施例3及び4で調製した小粒子化HBs
抗原を用いたラテックス試薬の調製、及び、それを用い
た免疫測定方法を記載した。比較例3では、小粒子化処
理していない精製HBs抗原を、比較例4ではPPIア
ーゼを用いないで調製した小粒子化HBs抗原を、それ
ぞれ用いて実施例7と同様のラテックス試薬の調製、及
び、それを用いた免疫測定方法を記載した。
【0063】参考例1 PPIアーゼ(メタノコッカス
・サーモリソトロフィカス由来)の調製 (1)発現プラスミドの構築及び大腸菌への形質転換 メタノコッカス・サーモリソトロフィカスのPPIアー
ゼをコードする遺伝子の断片を、工業技術院生命工学工
業技術研究所にFERM P−15622として寄託さ
れているプラスミドpUFKC1を鋳型とし、配列番号
2のフォワードプライマー及び配列番号3のリバースプ
ライマーを用いるPCR法によって増幅させた。上記配
列番号2に示した配列の5′末端から3〜8番目の塩基
配列は、NcoIの認識部位である。また、上記配列番
号3に示した配列の5′末端から3〜8番目の塩基配列
は、BamHIの認識部位である。上記プライマーを用
いるPCR法によって増幅、回収された断片を、Bam
HI及びNcoIで消化後、同様の制限酵素処理が施さ
れた発現ベクターpET−11d(ストラティジェン社
製)にライゲーションした。その後、これをBL21
(DE3)株(ストラティジェン社製)にトランスフォ
ーメーションし、アンピシリン100μg/mLを含む
LB培地プレート(トリプトン10g、酵母エキス5
g、NaCl10g/1L(pH7.0))にて培養
後、コロニーをピックアップし、グリセロールストック
とした。
【0064】(2)組み換え大腸菌からのPPIアーゼ
調製 アンピシリン100μg/mLを含むLB培地200m
Lに、上記発現プラスミドを保持するBL21(DE
3)株(組み換え大腸菌)一白金耳を接種し、37℃で
16時間予備培養した。この培養液をLB培地6リット
ルに植菌し、ジャーファメンターにより本培養を行っ
た。本培養開始3時間後に、IPTG(和光純薬工業社
製)を1mM濃度となるように添加し、更に、培養を4
時間継続した。培養終了後、遠心分離にて菌を回収し、
−30℃にて凍結保存した。次に、回収した組み換え大
腸菌を、50mMリン酸緩衝液(pH7.5)に懸濁さ
せ、超音波処理にて菌体破砕した。遠心分離にて上清を
採取し、30分間、80℃の水浴中にて加熱処理を行
い、夾雑タンパク質を変性凝集させ、遠心分離にて除去
した。更に、上清に硫酸アンモニウム(和光純薬工業社
製)を80%飽和となるように添加し塩析を行った。3
0分後に遠心分離にて採取した沈殿部を、1.8Mの硫
酸アンモニウムを含有する50mMリン酸緩衝液(pH
7.8)に溶解した。
【0065】この溶液を、A液:1.8M硫酸アンモニ
ウムを含有する50mMリン酸緩衝液(pH7.8)で
平衡化したTSK−Gel Ether−5PWカラム
(7.5mm×7.5cm)(東ソー社製)に供し、5
分後からB液:50mMリン酸緩衝液(pH7.8)の
60分間直線グラジエントにてPPIアーゼを溶出し
た。PPIアーゼは硫酸アンモニウム0.5M濃度付近
で溶出される画分に現れた。本画分を透析により脱塩
し、以下の実施例及び比較例に使用した。
【0066】参考例2 PPIアーゼ(メタノコッカス
・ボルタエ由来)の調製 (1)発現プラスミドの構築及び大腸菌への形質転換 特願平9−350623号記載の方法に従って調製した
メタノコッカス・ボルタエのゲノムDNAを鋳型とし
て、配列表の配列番号4及び配列番号5のプライマーを
用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行った。PC
R産物をpT7 blue vector(Novag
en社)にライゲーションした後、それを大腸菌JM1
09にトランスフォーメーションし、100μg/mL
のアンピシリンが含有されたLB培地プレートにて一昼
夜37℃で培養し、PCR産物のライブラリーを作製し
た。これをHybondo−N+ メンブラン(アマシャ
ム社)に転写した。特開平10−91号公報に記載され
たPPIアーゼ遺伝子スクリーニングに用いられたジゴ
キシゲニン標識遺伝子をプローブとしてDIG−DNA
detection kit(ベーリンガーマンハイム
社)を用いてM.voltae由来PPIアーゼ遺伝子
をスクリーニングした。得られた陽性クローンからプラ
スミドを回収し、NcoI及びBamHIによって挿入
配列を切り出し、電気泳動によって回収した。
【0067】これを、同様の制限酵素処理が施された発
現ベクターpET−11d(ストラティジェン社製)に
ライゲーションした。その後、これをBL21(DE
3)株(ストラティジェン社製)にトランスフォーメー
ションし、アンピシリン100μg/mLを含むLB培
地プレートにて培養後、コロニーをピックアップし、グ
リセロールストックとした。
【0068】(2)組み換え大腸菌からのPPIアーゼ
調製 アンピシリン100μg/mLを含むLB培地200m
Lに、上記発現プラスミドを保持するBL21(DE
3)株(組み換え大腸菌)一白金耳を接種し、37℃で
16時間予備培養した。この培養液をLB培地6リット
ルに植菌し、ジャーファメンターにより本培養を行っ
た。本培養開始3時間後に、IPTG(和光純薬工業社
製)を1mM濃度となるように添加し、更に、培養を4
時間継続した。培養終了後、遠心分離にて菌を回収し、
−30℃にて凍結保存した。次に、回収した組み換え大
腸菌を、50mMリン酸緩衝液(pH7.5)に懸濁さ
せ、超音波処理にて菌体破砕した。遠心分離にて上清を
採取し、硫酸アンモニウム(和光純薬工業社製)を80
%飽和となるように添加し塩析を行った。30分後に遠
心分離にて採取した沈殿部を1.8Mの硫酸アンモニウ
ムを含有する50mMリン酸緩衝液(pH7.8)に溶
解した。
【0069】この液を高速液体クロマトグラフィーを用
いてPPIアーゼの分離、精製を行い、酵素を含む溶出
液を透析により脱塩して、以下の実施例に使用した。
【0070】実施例1 小粒子化HBs抗原の調製
(1) (1)試薬及び材料 HBs抗原:ヒト陽性血清より精製した。精製方法は、
塩化セシウム溶液及びショ糖溶液による密度勾配法によ
り小型球状粒子抗原を回収し、更にゲル濾過法により精
製した。得られたHBs抗原を、50mMリン酸ナトリ
ウム緩衝液(pH7.5)+0.2M NaClを用い
て2mg/mLとなるように調製し、これをHBs抗原
液とした。 小粒子化用液:50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH
7.5)+0.2M NaClに、2%オクチルグルコ
シド(同仁化学社製)及び10mMジチオスレイトール
(和光純薬社製)となるようにそれぞれ添加して、これ
を小粒子化用液とした。 PPIアーゼ溶液:参考例1で調製したメタノコッカス
・サーモリソトロフィカス由来のPPIアーゼを1.5
mg/mLとなるように、50mMリン酸ナトリウム緩
衝液(pH7.5)で希釈してこれをPPIアーゼ溶液
とした。 管理血清:日水製薬社、L−コンセーラN「ニッスイ」
を融解して用いた。 HBs抗原量測定用キット:ヘキストジャパン社製、エ
ンザイグノストHBsAg モノクローナルを用いた。
【0071】(2)小粒子化方法 HBs抗原溶液2.5mL、小粒子化用液7.5mL、
PPIアーゼ溶液5mLを同時に混合し、25℃にて2
時間インキュベーションした。インキュベーション終了
後に透析処理を行い、小粒子化剤等を除去した。抗原含
有液の小量を用いて、抗原性をHBs抗原測定キットを
用いて測定した結果、小粒子化操作前の抗原液とほぼ同
等の抗原活性を保持していることを確認した。
【0072】(3)分子量の測定 この操作で得られた小粒子化HBs抗原の分子量分布を
調べるために高速液体クロマトグラフィーによる解析を
行った。高速液体クロマトグラフィーは島津社製HPL
C−10Aシステムを、カラムは東ソー社製のゲル濾過
クロマト用カラムTSKgelG4000SWXLを用
い、溶離液として50mMリン酸ナトリウム緩衝液(p
H7.5)+0.1M NaClにオクチルグルコシド
0.2%添加した液を用いた。検出は280nmの吸光
度を測定することにより行い、また分子量標準物質とし
て東ソー社製のTSK標準ポリエチレンオキシドを用い
て較正曲線を作製し、これをもとに分子量分布を求め
た。その結果、分子量分布40〜60万付近にピークが
認められた。
【0073】実施例2 小粒子化HBs抗原の調製
(2) (1)試薬及び材料 小粒子化用液及びPPIアーゼ溶液として下記のものを
使用したこと以外は、実施例1と同様のものを使用し
た。 小粒子化用液:50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH
7.5)+0.2M NaClに、1%オクチルグルコ
シド(同仁化学社製)、10mMジチオスレイトール
(和光純薬社製)、8Mグアニジン塩酸塩(和光純薬社
製)となるようにそれぞれ添加して、これを小粒子化用
液とした。 PPIアーゼ溶液:参考例1で調製したメタノコッカス
・サーモリソトロフィカス由来のPPIアーゼを50m
Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)に0.05m
g/mLとなるように希釈し、これをPPIアーゼ溶液
とした。
【0074】(2)小粒子化方法 HBs抗原溶液2.5mL及び小粒子化用液7.5mL
を混合し、30℃にて1時間インキュベーションした。
この液全量をPPIアーゼ溶液90mLに添加、混合
し、25℃で2時間インキュベーションを行った。イン
キュベート終了後に、セントリプレップ10を用いて遠
心濃縮を行い、全量を10mLまで濃縮し、更に、透析
処理により小粒子化剤等を除去した。抗原含有液の少量
をとり、その抗原性をHBs抗原測定キットを用いて測
定した結果、小粒子化操作前の抗原液とほぼ同等の抗原
活性を保持していることを確認した。
【0075】(3)分子量の測定 実施例1と同様に行った。その結果、分子量分布20〜
40万付近にピークが認められた。
【0076】実施例3 小粒子化HBs抗原の調製
(3) (1)試薬及び材料 小粒子化用液として下記のものを使用し、PPIアーゼ
溶液の代わりに下記方法によって調製したPPIアーゼ
固定化担体を使用したこと以外は、実施例1と同様のも
のを使用した。 小粒子化用液:50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH
7.5)+0.2M NaClに8M尿素(和光純薬社
製)、10mMジチオエリスリトール(和光純薬社
製)、1.6%MEGA9(同仁化学社製)となるよう
に、それぞれ添加して、これを小粒子化用液とした。
【0077】PPIアーゼ固定化担体の調製:参考例1
で調製したメタノコッカス・サーモリソトロフィカス由
来のPPIアーゼを用いて行った。不溶性担体としてC
NBr−活性型Sepharose4Bゲル(ファルマ
シア社製)を用いた。このゲル1gを秤量し、1mMH
Clで洗浄、膨潤させた。0.5MNaClを含む0.
1M、pH8.3のNaHCO3 溶液10mLにPPI
アーゼ35mgを溶解させたタンパク溶液と膨潤させた
ゲルを混合し、室温にて2時間振盪した。上清液を除い
た後、0.2Mグリシン(pH8.0)を10mL加
え、室温にて2時間振盪した。この反応で過剰の活性基
をブロッキングした。次に、0.5MNaClを含む
0.1M、pH8.3のNaHCO3 溶液20mLで洗
浄した後、0.5MNaClを含む0.1M、pH4の
酢酸緩衝液20mLで洗浄した。再び、0.5MNaC
lを含む0.1M、pH8.3のNaHCO3 溶液20
mLで洗浄し、このゲルをPPIアーゼ結合担体として
以下の実験に用いた,。
【0078】(2)小粒子化方法 HBs抗原溶液2.5mLと小粒子化用液7.5mLを
混合し、30℃にて1時間インキュベーションした。こ
の液を、PPIアーゼ結合担体ゲル5mLを45mLの
100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)に懸
濁させたスラリーに添加、混合し25℃にて4時間イン
キュベーションを行った。反応終了後、同液を1000
0rpm、20分間遠心分離操作を行い、上清液を回収
し、透析を行って小粒子化剤等を除去した。抗原含有液
の抗原性をHBs抗原測定キットを用いて測定した結
果、小粒子化操作前の抗原液とほぼ同等の抗原活性を保
持していることを確認した。
【0079】(3)分子量の測定 実施例1と同様にして行った結果、約40〜60万のと
ころにメインピークが出現した。
【0080】実施例4 小粒子化HBs抗原の調製
(4) (1)試薬及び材料 実施例2において、PPIアーゼとして参考例1で調製
したメタノコッカス・サーモリソトロフィカス由来のP
PIアーゼを使用する代わりに、参考例2で調製したメ
タノコッカス・ボルタエ由来のPPIアーゼを使用した
こと以外は、実施例2と同様のものを使用した。
【0081】(2)小粒子化方法 実施例2と同様にして小粒子化を行った。小粒子化処理
後、抗原含有液の少量をとり、その抗原性をHBs抗原
測定キットを用いて測定した結果、小粒子化操作前の抗
原液とほぼ同等の抗原活性を保持していることを確認し
た。
【0082】(3)分子量の測定 実施例1と同様に行った。その結果、分子量分布30〜
50万付近にピークが認められた。
【0083】実施例5 HBs抗原標識酵素を用いたH
Bs抗体試薬測定 (1)HBs抗原標識酵素の調製 実施例1で得た小粒子化HBs抗原を用いた。100m
Mリン酸ナトリウム緩衝液+0.1MNaCl液を用い
て、小粒子化HBs抗原が500μg/mLとなるよう
に希釈し、精製水で溶解したN−4−マレイミドブチリ
ロキシスルホサクシニミド ナトリウム塩3.8mg/
mLを5μL加え、20℃で60分間インキュベーショ
ンした。反応後にセファデックスG−25(ファルマシ
ア社製)を担体(カラムサイズ:16×300mm)と
したゲル濾過カラムクロマトグラフィーを行い、マレイ
ミド化した小粒子化HBs抗原を得た。。
【0084】このマレイミドした化小粒子化HBs抗原
液(200μg)に、100mMリン酸緩衝液(pH
7.0、10mMMgCl2 、5mMEDTA)に溶解
したβ−ガラクトシダーゼ(ベーリンガーマンハイム社
製:EIAグレード)500μgを混合し、30℃で3
0分間インキュベーションした。反応後に、60mMリ
ン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4、10mMEDT
A、1mMMgCl2 、0.1%BSA、0.1%ナト
リウムアジド)0.1mLを加えた。反応後に、20m
Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5、0.1MNaC
l)で平衡に達したDEAE−Toyopearlカラ
ム(カラムサイズ:12×150mm)にアプライし、
20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)を用い、N
aClを0.1〜0.5Mとしたグラジエントをかけ、
溶出するβ−ガラクトシダーゼ標識HBs抗原複合体を
調製した。
【0085】(2)HBs抗原の固定化 実施例1で得た精製HBs抗原を、0.1M炭酸緩衝液
(pH9.6)で10μg/mLの濃度に調製し、ヌン
ク−イムノモジュールマキシソープF16ブラック(ヌ
ンク社製)に100μL/ウエルにて分注し、室温で2
時間静置した。このプレートを生理食塩水で洗浄し、
0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.15MN
aCl、100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.
0)を300μL/ウエルにて分注し、室温で1時間ブ
ロックした。再び生理食塩水で洗浄し、1%β−シクロ
デキストリン、0.5%BSA、0.15MNaCl、
100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)を3
00μL/ウエルにて分注し、室温で30分間コーティ
ングした。次いで、コーティング液を除去し、室温で真
空乾燥させた。
【0086】(3)HBs抗体の測定 上記(2)項で調製したHBs抗原プレートのウェル
に、(1)で得たβ−ガラクトシダーゼ標識HBs抗原
液を5U/mLに調製したコンジュゲート液500μL
を加え、37℃で5分間プレ加温した。検体50μLを
加え、37℃で8分間振盪しながらインキュベーション
した。次いで、生理食塩水で5回洗浄し、よく水分を除
去した後、蛍光基質を用いた酵素活性測定を行った。即
ち、予め37℃に加温しておいた基質溶液(450μM
4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガククトシド、
75mMNaCl、0.04%MgC12 、0.05%
BSA、3%エチレングリコール)100μLを各ウエ
ルに添加し、30℃で90分間インキュベートした。
0.1Mグリシン−NaOH緩衝液(pH10.3)1
50μLを加えて酵素反応を停止し、励起波長360n
m、測定波長450nmで蛍光強度を測定した。
【0087】(4)標準HBs抗体液 HBs抗体を0、12.5、25、50、100mIU
/mL濃度で含むヒト血清を標準品として使用した。上
記(3)項の測定法に従って、測定値を求め、検量線を
作成した。得られた結果を表1及び図1に示す。
【0088】実施例6 HBs抗原標識酵素を用いたH
Bs抗体試薬測定 (1)HBs抗原標識酵素の調製 実施例2で得た小粒子化HBs抗原を用いた。100m
Mリン酸ナトリウム緩衝液+0.1MNaCl液を用い
て、抗原500μg/mLに希釈し、DMSOで溶解し
たN−スクシニミジルD−ビオチン3.4mg/mLを
5μL加え、30℃で20分間インキュベーションし
た。反応後に、セファクリルS−300HR(ファルマ
シア社製)を担体(カラムサイズ:16×300mm)
としたゲル濾過カラムクロマトグラフィーを行い、ビオ
チン化した小粒子化HBs抗原を得た。このビオチン化
小粒子化HBs抗原液(250μg)にβ−ガラクトシ
ダーゼ標識ストレプトアビジン(ベーリンガマンハイム
社製:500U)を混合し、37℃で1時間インキュベ
ーションした。反応後に凝集体形成を防ぐことを目的と
して、未反応のビオチン結合部位をブロックするためd
−ビオチン2mgを加えて、更に30分間インキュベー
ションした。反応後に、セントリプレップ−10(アミ
コン社製)で濃縮し1.5mLとして、セファクリルS
−400HR(ファルマシア社製)を担体(カラムサイ
ズ:16×300mm)としたゲル濾過カラムクロマト
グラフィーを行い、β−ガラクトシダーゼ標識HBs抗
原複合体を調製した。
【0089】HBs抗原の固定化、HBs抗体の測定、
及び、標準HBs抗体液の調製と測定は、実施例5と同
様に行った。得られた結果を表1及び図1に示す。
【0090】比較例1 β−ガラクトシダーゼ標識する抗原として、実施例1で
調製した小粒子化HBs抗原の代わりに小粒子化処理し
ていない精製HBs抗原を用いたこと以外は、実施例5
と同様に行った。得られた結果を表1及び図1に示す。
【0091】比較例2 β−ガラクトシダーゼ標識する抗原を、実施例1におい
てPPIアーゼ溶液の代わりに50mMリン酸緩衝液を
添加して調製した小粒子化HBs抗原を用いたこと以外
は、実施例5と同様に行った。得られた結果を表1及び
図1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】実施例7 HBs抗体測定用ラテックス試
薬の調製(1) (1)HBs抗原感作ラテックス試薬の調製 実施例3で得られた小粒子化HBs抗原を50mMリン
酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を用いて2.0mg
/mLに希釈し、7.5mLに平均粒径0.3μmのポ
リスチレンラテックス(固形分10%(W/V)、積水
化学工業社製)1mLと36mMリン酸ナトリウム緩衝
液+0.1MNaCl)を添加し、30℃にて60分間
攪拌した。次いで、この液にウシ血清アルブミン(BS
A)を1重量%含有するリン酸−食塩緩衝液(0.05
Mリン酸緩衝液(pH7.0)、0.1MNaCl、以
下PBSともいう)を添加し、30℃にて60分間攪拌
した後、4℃にて20分間、18000rpmで遠心分
離することにより洗浄した。洗浄操作は3回行った。得
られた沈殿物にBSAを1重量%含有するPBSを10
mL添加し、ラテックスを懸濁した後、超音波破砕機に
て分散処理を行い、固形分0.1%(W/V)のHBs
抗原感作ラテックス液を調製した。
【0094】(2)検体希釈液の調製 平均分子量500,000のポリエチレングリコール
(以下、PEGともいう:和光純薬社製)を、BSAを
1重量%含有するPBSに、0.9重量%の濃度となる
ように溶解した。
【0095】(3)HBs抗体測定試薬 本実施例のHBs抗体測定試薬は、上記(1)項のHB
s抗原感作ラテックスからなる第1試薬と、上記(2)
項のPEG溶液からなる第2試薬とから構成される2液
系の試薬である。
【0096】(4)標準HBs抗体液 HBs抗体を0、300、600、1200、1800
mIU/mL濃度で含むヒト血清を標準品として使用し
た。
【0097】(5)測定方法 検体20μLと上記(2)項の検体希釈液120μLを
混合し、37℃で適時保持した後、上記(1)項のHB
s抗原感作ラテックス液120μLを添加攪拌した。こ
の後、1分後及び5分後の波長750nmでの吸光度を
測定し、この差を吸光度変化量(△Abs)とした。測
定は日立自動分析7150形を使用した。標準HBs抗
体液を測定して、検量線を作成した。得られた結果を表
2及び図2に示す。
【0098】実施例8 HBs抗体測定用ラテックス試
薬の調製(2) 実施例4で得られた小粒子化HBs抗原を用いた以外
は、実施例7と同様にしてHBs抗体測定用のラテック
ス試薬を調製し、検量線を作成した。得られた結果を表
2及び図2に示す。
【0099】比較例3 ラテックスに感作する抗原を、実施例1で調製した小粒
子化HBs抗原の代わりに小粒子化処理していない精製
HBs抗原を用いた以外は実施例7と同様に行った。得
られた結果を表2及び図2に示す。
【0100】比較例4 ラテックスに感作する抗原を、実施例1においてPPI
アーゼ溶液のかわりに50mMリン酸緩衝液を添加して
調製した小粒子化HBs抗原を用いた以外は実施例7と
同様に行った。得られた結果を表2及び図2に示す。
【0101】
【表2】
【0102】
【発明の効果】本発明の小粒子化HBs抗原の調製法
は、上述の構成よりなるので、活性を保持した小粒子化
HBs抗原を得ることが可能となった。また、それを用
いることにより、高感度な免疫測定法を行うことができ
る酵素標識抗原試薬やラテックス凝集試薬を得ることが
可能となった。
【0103】
【配列表】配列番号:1 配列の長さ:4 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列の特徴 存在位置:1 他の情報:Xaa=N末端がN−スクシニル基(N−su
c)で修飾されたアラニン 存在位置:3 他の情報:Xaa=Ala 又はLeu 存在位置:4 他の情報:Xaa=C末端がpNA(p−ニトロアニリド)
で修飾されたフェニルアラニン 配列 Xaa Ala Xaa Xaa 1
【0104】 配列番号:2 配列の長さ:29 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列 GGCCATGGTA GATAAAGGAG TTAAAATAA 29
【0105】 配列番号:3 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列 CCGGATCCTT ATTCGACAAC TTCAATAATT 30
【0106】 配列番号:4 配列の長さ:29 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列 GSCCNWTGGB GATAANGCHA TCCGNCCGC 29
【0107】 配列番号:5 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列 ATGNCSTCCA TCCGYATGCG ATGCNGGTCW 30
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例5及び6並びに比較例1及び2における
抗HBs抗体の抗体量と蛍光強度との関係を示すグラフ
である。縦軸は蛍光強度、横軸は抗HBs抗体の抗体量
を示す単位(mIU/mL)である。
【図2】実施例7及び8並びに比較例3及び4における
抗HBs抗体の抗体量と吸光度変化量との関係を示すグ
ラフである。縦軸は吸光度変化量、横軸は抗HBs抗体
の抗体量を示す単位(mIU/mL)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古谷 昌弘 大阪府三島郡島本町百山2−1 積水化学 工業株式会社内 (72)発明者 高橋 英之 大阪府三島郡島本町百山2−1 積水化学 工業株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 界面活性剤、還元剤及びタンパク質変性
    剤からなる群より選択される少なくとも1種によって、
    HBs抗原を小粒子化処理する工程、並びに、前記小粒
    子化処理されたHBs抗原に、ペプチジルプロリルシス
    −トランスイソメラーゼを反応させる工程からなる小粒
    子化HBs抗原の調製法であって、前記小粒子化処理す
    る工程と前記反応させる工程とは、同時に行うことを特
    徴とする小粒子化HBs抗原の調製法。
  2. 【請求項2】 界面活性剤、還元剤及びタンパク質変性
    剤からなる群より選択される少なくとも1種によって、
    HBs抗原を小粒子化処理する工程、並びに、前記小粒
    子化処理されたHBs抗原に、ペプチジルプロリルシス
    −トランスイソメラーゼを反応させる工程からなる小粒
    子化HBs抗原の調製法であって、前記反応させる工程
    は、前記小粒子化処理する工程を行った後に行うことを
    特徴とする小粒子化HBs抗原の調製法。
  3. 【請求項3】 ペプチジルプロリルシス−トランスイソ
    メラーゼは、不溶性担体に結合されたものである請求項
    1又は2記載の小粒子化HBs抗原の調製法。
  4. 【請求項4】 ペプチジルプロリルシス−トランスイソ
    メラーゼは、古細菌から調製したもの、又は、古細菌か
    ら調製したDNAから発現されたものである請求項1、
    2又は3記載の小粒子化HBs抗原の調製法。
  5. 【請求項5】 古細菌は、メタノコッカス属に属する菌
    である請求項4記載の小粒子化HBs抗原の調製法。
  6. 【請求項6】 メタノコッカス属に属する菌は、メタノ
    コッカス・サーモリソトロフィカス(Methanoc
    occus thermolithotrophicu
    s)又はメタノコッカス・ボルタエ(Methanoc
    occus voltae)である請求項5記載の小粒
    子化HBs抗原の調製法。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、3、4、5又は6記載の
    小粒子化HBs抗原の調製法により得られた小粒子化H
    Bs抗原を、酵素標識してなることを特徴とする免疫測
    定試薬の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1、2、3、4、5又は6記載の
    小粒子化HBs抗原の調製法により得られた小粒子化H
    Bs抗原を、不溶性担体に担持させてなることを特徴と
    する免疫測定試薬の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項7又は8記載の免疫測定試薬の製
    造方法により製造されてなることを特徴とする免疫測定
    試薬。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の免疫測定試薬を用いる
    ことを特徴とする免疫測定方法。
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