JP2000103876A - ポリエステルフィルムおよびその積層体 - Google Patents

ポリエステルフィルムおよびその積層体

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JP2000103876A
JP2000103876A JP27792598A JP27792598A JP2000103876A JP 2000103876 A JP2000103876 A JP 2000103876A JP 27792598 A JP27792598 A JP 27792598A JP 27792598 A JP27792598 A JP 27792598A JP 2000103876 A JP2000103876 A JP 2000103876A
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polyester
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less
acid
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Koji Furuya
幸治 古谷
Shinichi Kawai
伸一 河合
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、成形加工性、耐汚染性に優れ、壁
紙として有用なフィルムおよび積層体を提供することを
目的とする。 【解決手段】 本発明は、トリメチレンテレフタレート
単位が全繰り返し単位の50モル%以上であるポリエス
テルからなる二軸配向フィルムであり、フィルムの破断
伸度が縦方向(MD)、横方向(TD)ともに60%以
上であり、表面粗さ(Ra)が5nm以上500nm以
下であることを特徴とする壁紙用ポリエステルフィルム
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形加工性に優れ
たポリエステルフィルムおよび該フィルムをポリ塩化ビ
ニル基材に積層してなる積層体に関し、特に壁紙に用い
た際に耐汚染性が極めて優れた積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】家屋の壁の表面仕上げ材として従来から
無機材科、有機材料が用いられてきたが、近年は室内壁
の表面としていわゆる壁紙が用いられることが多くなっ
てきている。壁紙の材料も多様化しているが、一般的に
壁紙の欠点は汚れやすく、また一度汚れるとなかなか元
のように奇麗にできないことである。
【0003】特に、ポリ塩化ビニルは諸物性が優れてい
ること、成形加工性がよいこと、安価であること等の理
由でシートあるいはフィルムとして壁紙等の分野で広く
使用されている。しかしながら、殆どのポリ塩化ビニル
は可塑剤を配合した組成物として用いられているため、
ポリ塩化ビニルのフィルムを壁紙として使用した場合、
表面が汚れ易く、また汚れを取り除き難いこと、或いは
可塑剤が表面に移行して壁紙の表面を汚染すること等の
欠点がありその改良が望まれている。
【0004】かかる問題点を解決する方法として、可塑
剤の移行を防ぐ合成樹脂組成物によりポリ塩化ビニルフ
ィルム表面を処理する方法や、汚染を防ぐ成分をポリ塩
化ビニルフィルムに配合する方法等が種々提案されてい
るが、ポリ塩化ビニル基材の柔軟性が損なわれること、
汚染防止効果が十分でないこと、経済的でないこと等の
欠点を有する。
【0005】例えば、ポリアクリル酸エステル溶液によ
り表面処理する方法は、グラビアコーティングやドクタ
ーコーティング等手軽な方法で行うことができるという
長所はあるが、可塑剤の移行を完全に止めることはでき
ない。また、アクリロニトリル系共重含体フィルム(特
開昭59−20663号公報)やエチレン・ビニルアル
コール共重合体フィルム(特公平4−71709号公
報)等をポリ塩化ビニル基材に積層する方法は、可塑剤
の移行に起因する汚染は防止できるが、耐汚染性(マジ
ックインキや靴墨等油性の汚れの付着し難さ、および付
着した汚れの取り除き易さ)が十分ではない。
【0006】更に、活性エネルギー線硬化型塗膜を塗設
したアクリル樹脂系フィルムを積層する方法(特公平5
−3381号公報)は、可塑剤の表面への移行を防止で
き、油性の汚れに対する耐汚染性も良好であるが、硬化
型塗膜を付設しているため積層体にエンボス加工等によ
る凹凸加工を施した際の絞り度(賦形の程度、以下『成
形加工性』ということがある)が不十分であったり、硬
化型塗膜が部分的に剥離する等の欠点を有する。また、
可塑剤の移行を十分に防止するには塗膜を厚めに塗設す
ることが必要であり、このため風合いを硬くするのみな
らず経済的でない。
【0007】一方、ポリエチレンテレフタレート(以下
『PET』ということがある)等のポリエステルは、耐
熱性、耐侯性や耐薬品性等に優れた特性を有し、可塑剤
の移行防止ばかりでなく、油性の汚れに対しても良好な
耐汚染性を有しているが、従来のポリエステルフィルム
をポリ塩化ビニル基材の表面に積層する方法ではエンボ
ス加工時の成形加工性が悪いという欠点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は従来技
術の欠点を解消し、ポリ塩化ビニル基材に含まれる可塑
剤の表面への滲みだしを防止でき、耐汚染性および成形
加工性の良好なフィルムおよびその積層体を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、壁紙とし
て使用した場合前記の問題等のないフィルムとその積層
体を開発すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0010】すなわち本発明は、トリメチレンテレフタ
レート単位が全繰り返し単位の50モル%以上であるポ
リエステルからなる二軸配向フィルムであり、フィルム
の破断伸度が縦方向(MD)、横方向(TD)ともに6
0%以上であり、表面粗さ(Ra)が5nm以上500
nm以下であることを特徴とする壁紙用ポリエステルフ
ィルムである。
【0011】(ポリトリメチレンテレフタレート)本発
明に用いられるトリメチレンテレフタレートはテレフタ
ル酸を主たる酸成分とし、1,3−プロパンジオールを
主たるグリコール成分とするポリエステルである。この
ポリトリメチレンテレフタレートにはトリメチレンテレ
フタレートを全繰返し単位とするホモポリマー或いは全
繰り返し単位の少なくとも50mol%、好ましくは6
0mol%がトリメチレンテレフタレートであるコポリ
マーが好ましく用いられる。トリメチレンテレフタレー
トの繰り返し単位が50モル%未満では、機械的強度や
成形性などポリトリメチレンテレフタレートが本来有す
る特性が悪化し、また製膜性も悪化する。
【0012】コポリマーである場合は、主たる成分のト
リメチレンテレフタレート以外のコポリマーを構成する
共重合成分としては、分子内に2つのエステル形成性官
能基を有する化合物を用いることができ、かかる化合物
として例えば、蓚酸、アジピン酸、フタル酸、セバシン
酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ドデカンジカル
ボン酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカル
ボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−
ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ジフェノ
キシエタンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレ
ンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、テ
トラリンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ジフェ
ニルエーテルジカルボン酸等の如きジカルボン酸、p−
オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸等の如き
オキシカルボン酸、或いはエチレングリコール、テトラ
メチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキ
サメチレングリコール、シクロヘキサンメチレングリコ
ール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールスルホ
ンのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエ
チレンオキサイド付加物、ジエチレングリコール、ポリ
エチレンオキシドグリコール、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコール等の如き2価アルコール類等を好ましく用いる
ことができる。
【0013】これらの化合物は1種のみでなく2種以上
を同時に用いることができる。またこれらの中で好まし
くは酸成分としてはイソフタル酸、4,4’−ジフェニ
ルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、 p
−オキシ安息香酸、グリコール成分としてはエチレング
リコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレン
グリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチル
グリコール、ビスフェノールスルホンのエチレンオキサ
イド付加物である。
【0014】また、ポリトリメチレンテレフタレートは
例えば安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールな
どの一官能性化合物によって末端の水酸基および/また
はカルボキシル基の一部または全部を封鎖したものであ
ってもよく、或いは例えば極く少量のグリセリン、ペン
タエリスリトール等の如き三官能以上のエステル形成性
化合物で実質的に線状のポリマーが得られる範囲内で共
重合したものであってもよい。
【0015】更に本発明のポリトリメチレンテレフタレ
ートフィルムは主たる成分のポリトリメチレンテレフタ
レートのほかに、有機高分子を混合した混合体からなっ
ていても良い。かかる有機高分子としてポリエチレンテ
レフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレ(イソ)
テレフタレート、ポリエチレン−4,4’−テトラメチ
レンジフェニルジカルボキシレート、ポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリエチレン
−2,7−ナフタレンジカルボキシレート、ポリトリメ
チレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリ
ブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポ
リシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリネオ
ペンチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、
ポリ(ビス(4−エチレンオキシフェニル)スルホン)
−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等を挙げるこ
とができ、これらの中でポリエチレンイソフタレート、
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリヘキサメチレンテレ(イソ)フタレート、ポ
リエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、
ポリトリメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ
ート、ポリブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシ
レート、ポリ(ビス(4−エチレンオキシフェニル)ス
ルホン)−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが好
ましい。
【0016】これらの有機高分子は1種のみならず2種
以上を、本発明のポリトリメチレンテレフタレートフィ
ルムにおいて、高分子の繰返し単位で50mol%相
当、好ましくは40mol%相当まで、ポリトリメチレ
ンテレフタレートと共に混合した混合体となるように使
用できる。混合体の混合量が上記範囲を超えると、機械
強度や成形性等トリメチレンテレフタレートが本来有す
る特性が悪化するため好ましくない。なお、かかる混合
体の製造は一般に知られたポリエステル組成物の製造方
法によって実施できる。
【0017】本発明におけるポリエステルは従来公知の
方法で、例えばジカルボン酸とグリコールの反応で直接
低重合度ポリエステルを得る方法や、ジカルボン酸の低
級アルキルエステルとグリコールとを従来公知のエステ
ル交換触媒である、例えばナトリウム、カリウム、マグ
ネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム、チタ
ン、ジルコニウム、マンガン、コバルトを含む化合物の
一種または二種以上を用いて反応させた後、重合触媒の
存在下で重合が行なわれる。重合触媒としては三酸化ア
ンチモン、五酸化アンチモンのようなアンチモン化合
物、二酸化ゲルマニウムで代表されるようなゲルマニウ
ム化合物、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチ
タネート、テトラフェニルチタネートまたはこれらの部
分加水分解物、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニ
ルカリウム、チタントリスアセチルアセトネートのよう
なチタン化合物が挙げられる。
【0018】なお、ポリエステルは溶融重合後これをチ
ップ化し、加熱減圧下または窒素などの不活性気流中に
おいて固相重合することもできる。
【0019】(添加剤)本発明のポリエステルフィルム
には添加剤、例えば滑剤、安定剤、難燃剤等を含有させ
ることができる。フィルムの製造時、加工時、使用時の
走行性やハンドリング性を向上させる目的でフィルムに
滑り性を付与するために無機粒子、有機粒子、架橋高分
子粒子などの不活性微粒子を少割合含有させることは好
ましいことである。
【0020】無機粒子としては特に限定されないが炭酸
カルシウム、多孔質シリカ、真球状シリカ、カオリン、
タルク、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシ
ウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸カルシウ
ム、リン酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ
素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、フッ化リチウム等
が挙げることができ、これらの中では球状シリカ、多孔
質シリカが特に好ましい。
【0021】有機塩粒子としては、蓚酸カルシウムやカ
ルシウム、バリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム等
のテレフタル酸塩などが挙げられる。
【0022】架橋高分子粒子としては、ジビニルベンゼ
ン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸
もしくはメタクリル酸のビニル系モノマの単独または共
重合体等が挙げられ、この他、ポリテトラフルオロエチ
レン、シリコーン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化
エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性尿素
樹脂、熱硬化性フェノール樹脂などの有機微粒子も用い
られる。これらの中ではシリコーン樹脂粒子が好まし
い。
【0023】ポリエステル中の不活性微粒子の粒径や添
加量は、フィルム製造工程における巻き取り性やフィル
ムを取り扱う時のハンドリング性等によって決めるとよ
い。
【0024】これら不活性微粒子の粒子径は平均粒径が
0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、さ
らに好ましくは0.05μm以上4μm以下であり、
0.1μm以上3μm以下が特に好ましい。また、添加
量は0.01重量%以上4重量%以下であることが好ま
しく、より好ましくは0.02重量%以上3.0重量%
以下であり、0.04重量%以上2.5重量%以下が特
に好ましい。一般に粒径の大なるものは少量、小なるも
のは多量添加するのが好ましい。また、意図的に滑剤の
含有量を調整することにより、フィルムを不透明化する
こともできる。例えば二酸化チタンを10〜15重量%
添加することにより、白色フィルムとすることができ
る。
【0025】フィルムに添加する不活性微粒子は上記に
例示した中から選ばれた単一成分でもよく、二成分ある
いは三成分以上を含む多成分でもよい。
【0026】上記不活性粒子は、ポリエステルの重縮合
反応の際に添加する方法、或いはフィルムの製膜の際に
ポリエステルに添加する方法により、ポリエステルに配
合することができる。
【0027】本発明のポリエステルフィルムは、顔料、
紫外線吸収剤、離型剤、易滑剤、難燃剤、帯電防止剤、
ポリシロキサン等を配合することができる。
【0028】(ポリエステルフィルム)本発明において
ベースフィルムであるポリエステルフィルムは、一般に
壁紙用フィルムとして使用される厚さを有していれば良
く、5〜150μm、好ましくは5〜125μm、特に
好ましくは10〜100μmの厚さである。また厚み斑
は12%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、
8%以下が特に好ましい。
【0029】本発明におけるポリエステルフィルムは、
従来から知られている方法で製造することができる。例
えば、乾燥したポリエステルを周知の押出装置を用いて
溶融し、溶融したポリエステルをシート状に押出し、回
転冷却ドラム上で急冷固化して得られた未延伸シートを
二軸方向に延伸して二軸延伸フィルムとする方法が挙げ
られる。
【0030】この延伸方法としては逐次二軸延伸法や同
時二軸延伸法を用いることができるが、後述の塗工工程
の作業性から逐次二軸延伸法が好ましい。逐次二軸延伸
法での延伸条件としては、前記未延伸シートを40〜9
0℃で縦方向に赤外線加熱式縦延伸機で1.5〜6倍延
伸する。ロール加熱式縦延伸機を用いてもよいが、フィ
ルム表面にすり傷等の欠点が発生し易いので赤外線加熱
式の方が好ましい。縦延伸後さらにステンター内で40
〜90℃で横方向に1.5〜6倍延伸し、60〜210
℃で1〜100秒間熱処理を行うことで所望のポリエス
テルフィルムを得ることができる。また、該熱処理工程
においてクリップレールの間隔を下流側が狭まるように
調整してフィルムの幅方向に弛緩処理したり、クリップ
レールの間隔を下流側が広がるように調整してフィルム
の幅方向に緊張処理しても良い。
【0031】また、上述した縦方向および/または横方
向の延伸を複数段階に分割する多段延伸を用いてもよ
い。
【0032】もちろん、本発明のポリエステルフィルム
の製膜工程中で他のフィルムと共押出し法や押出ラミネ
ート法によってラミネートしてもよいし、製膜後、接着
剤などでラミネートしてもよい。
【0033】(固有粘度(IV))このフィルムの固有
粘度IVは、0.40dl/g以上0.95dl/g以
下であり、更に好ましくは0.43〜0.90dl/
g、特に好ましくは0.45〜0.085dl/gであ
る。IVが0.40未満ではフィルムが脆くなり、成形
加工時のひび割れの原因となる。一方、IVが0.95
を超える場合は、原料ポリマーの固有粘度を高くするこ
とが必要であり、重合段階での生産性が低下し、場合に
よっては既存の重合設備では対応できないこともあり、
コストが上昇する。
【0034】(破断伸度)本発明における二軸延伸ポリ
エステルフィルムは、引張試験における破断伸度が縦方
向(MD)、横方向(TD)ともに60%以上であるこ
とを要し、好ましくは75%以上、特に好ましくは90
%以上である。破断伸度が60%未満の場合成形性が悪
化する。
【0035】(表面粗さ(Ra))本発明のフィルムの
表面粗さRaは、5nm以上500nm以下であること
を要する。より好ましくは5〜400nm、特に好まし
くは10〜350nmである。
【0036】Raが5nm未満ではフィルムのハンドリ
ング性が悪く、ブロッキングを起こし易く、表面欠点が
発生する。一方500nmを超えると、添加滑剤粒子の
粒径を大きくし、添加量を多くせねばならず、フィルム
生産時の切断が多発し、生産性が低下する。
【0037】(ヤング率)本発明のフィルムのヤング率
は縦方向(MD)、横方向(TD)ともに110kg/
mm2以上550kg/mm2以下であることが好まし
く、150kg/mm2以上500kg/mm2以下が更
に好ましく、180kg/ mm2以上450kg/mm
2以下であることが特に好ましい。ヤング率が110k
g/mm2未満ではフィルムの剛性が低く、ピンホール
が発生し易くなる。また、550kg/mm2を超える
と剛性が高すぎ、加工性や成形性が悪くなる。
【0038】(密度)本発明のフィルムの密度は1.3
15g/cm3以上1.365g/cm3以下であること
が好ましい。密度が1.365g/cm3を超えると、
フィルムの靭性が低下し、加工性や成形性が悪くなる。
また、1.315g/cm3未満では機械的強度が不足
する。
【0039】また、本発明のポリエステルフィルムの成
形性を良好なものとするために、面配向係数(=(nMD
+nTD/2)−nz nMD:縦方向の屈折率、nTD
横方向の屈折率、nz:厚み方向の屈折率)を0.03
0以上0.110以下とすることが好ましい。
【0040】(酸素透過係数)本発明のフィルムの酸素
透過係数は50cc・cm/cm2・sec・cmHg
以下であることが好ましい。50cc・cm/cm2
sec・cmHgを超えると被覆材としてのガスバリア
性が不足する。
【0041】(壁紙用積層体)本発明のポリエステルフ
ィルムを貼り合わせるポリ塩化ビニルとはポリ塩化ビニ
ル、或いは塩化ビニルと共重合し得る他のモノマー(例
えば、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等)と塩化ビニ
ルとの共重合体を主成分とする組成物であり、またポリ
塩化ビニル基材としてはポリ塩化ビニル壁紙、ポリ塩化
ビニルレザー、ポリ塩化ビニルデスクマット、ポリ塩化
ビニルクリアーケースなどで、肉厚が50〜800μm
のもの、特に100〜500μmのものを好ましく例示
することができる。
【0042】本発明のポリエステルフィルム(以下『表
面層』ということがある)とポリ塩化ビニル基材(以下
『基材層』ということがある)とを積層させるには従来
公知の方法を用いることができ、例えば本発明のポリエ
ステルフィルム上に加熱溶融したポリ塩化ビニル基材を
押出しコートして接着する方法、ポリエステルフィルム
及び/又はポリ塩化ビニル基材を加熱し、かつ加圧して
接着する方法、ポリエステルフィルム及び/又はポリ塩
化ビニル基材の接着面に予め接着剤層を塗設した後、加
熱し、かつ加圧して接着する方法、ポリエステルフィル
ムとポリ塩化ビニル基材との間に熱溶融した接着剤層を
押出し、かつ加圧して接着する方法、ポリエステルフィ
ルム及び/又はポリ塩化ビニル基材の接着面に溶剤に溶
解した接着剤溶液を塗布し、溶剤を除去しながら圧着す
る方法等を用いることができる。
【0043】また、ポリエステルフィルムと発泡剤を含
むポリ塩化ビニル基材とを積層させた後、積層体を加熱
してポリ塩化ビニル基材を発泡させたものを壁紙として
用いることもできる。
【0044】ポリエステルフィルムとポリ塩化ビニル基
材とを接着剤層を使用して積層する場合、接着剤として
は、例えばポリウレタン系、フェノール系、フラン系、
尿素系、メラミン系、ポリエステル系、エポキシ系、シ
リコーン系等の熱硬化性樹脂、酢酸ビニル、エチレン−
酢酸ビニル共重合体及びその部分加水分解物、エチレン
−アクリル酸共重合体、アクリル系樹脂、ポリアミド等
の熱可塑性樹脂、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、
ネオプレンその他のゴム誘導体、その他ニカワ、カゼイ
ン、天然樹脂、アラビアゴム等の1種又は2種以上を主
成分とする接着剤を挙げることができる。
【0045】かかる接着剤のうちポリエステル系接着剤
が好ましく、共重合ポリエステル系接着剤とイソシアネ
ート系或いはエポキシ系の硬化剤とを併用することが好
ましい。
【0046】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、本発明における種々の物性値及び特性は下記の方法
により測定した。
【0047】(1)トリメチレンテレフタレートの成分
量(主成分モル比、共重合成分モル比)の算出 フィルムサンプルを測定溶媒(CDCl3:CF3COO
D=1:1)に溶解後、1H−NMR測定を行い、得ら
れた各シグナルの積分比をもって算出する。
【0048】(2)破断伸度 試料幅10mm、長さ150mmに切り、チヤック間1
00mmにして引張速度100mm/分、チャート速度
100mm/分でインストロンタイプの万能引張試験装
置で引張る。MD、TD両方向の測定を行い、得られた
荷重−伸び曲線から破断時の伸長量を読み取り、原長に
対する伸度を%で表す。
【0049】(3)表面粗さ(中心線表面粗さRa) フィルムの表裏両画を表面粗さ計(東京精密(株)サー
フコム111A)で測定し平均値を算出して表面粗さと
する。
【0050】(4)ヤング率 試料幅10mm、長さ150mmに切り、チヤック間1
00mmにして引張速度10mm/分、チャート速度5
00mm/分でインストロンタイプの万能引張試験装置
で引張る。MD、TD両方向の測定を行い、得られた荷
重−伸び曲線の立上部の接線よりヤング率を算出する。
【0051】(5)密度 硝酸カルシウム水溶液を用いた密度勾配管で、25℃で
の浮沈法により測定する。
【0052】(6)固有粘度(IV) フィルムをオルトクロロフェノールに溶解し、オストワ
ルド粘度計を用いて求める。
【0053】(7)酸素透過係数 ASTM D−1435−75に基づき、市販のガス透
過率測定装置(東洋精機製作所製GTRテスターM−C
1)を用いて25℃でのフィルムの酸素透過係数算出
し、更に単位厚み当たりの酸素透過係数単位:{(c
c.cm/cm2・sec・cmHg)}に換算した。
【0054】(8)実用特性 実施例1〜6及び比較例1〜5で得られたフィルムに、
ポリエステル系接着剤をコートして、ジ−2−エチルヘ
キシルフタレートを30%含有する発泡塩ビ基材(発泡
率5倍、平均肉厚200μm)に貼り合わせエンボス加
工して壁紙を作成した。尚、フィルムヘの前記ポリエス
テル系接着剤のコートは、下記の如く調合した塗布液を
ポリエステルフィルムの基材への接着面に塗布し、加熱
乾燥せしめることにより実施した。トルエン14部、メ
チルエチルケトン14部及びシクロヘキサノン6部より
なる混合溶剤にサイビノールUF−30(サイデン化学
製・ポリエステル系接着剤:固形分濃度70%)40部
とバイロン20SS(東洋紡績製・ポリエステル系接着
剤:固形分濃度70%)26部とを加え攪拌溶解し、次
いでコロネート2030(日本ポリウレタン工業製・イ
ソシアネート系硬化剤:固形分濃度50%)を塗工前に
添加し調合した。得られた積層体について以下の観察を
行い、各々下記の基準で評価した。
【0055】(a)成形加工性 平坦なゴム板とエンボスの付いたシリコン板との間に、
表面層がシリコン板側となるよう積層体を挟み込み、1
50℃、押圧20kgf/cm2、プレス時間90秒で
エンボス加工をしたときに、シリコン板のエンボスが、
積層体の表面層側にどの程度賦形されているかを観察
し、その結果を下記の基準で評価した。 ○:エンボスが積層体の表面層側にほとんど賦形されて
いる。 △:エンボスが積層体の表面層側にやや賦形されてい
る。 ×:エンボスが積層体の表面層側にほとんど賦形されて
いない。
【0056】(b)耐汚染性 積層体の表面層側をマジックインキおよび靴墨で汚染し
た後、室温にて168時間放置後、中性洗剤及びエタノ
ールで除去し、結果を下記の基準で評価した。 ○:汚染物を完全に除去できる。 △:汚染物を完全には除去できない。 ×:汚染物を全く除去できない。
【0057】(9)製膜性 フィルム製膜中の切断状態と巻姿を観察し、下記の基準
で評価した。 ○:製品フィルム20000m超無切断で且つ巻姿良
好。 △:平均無切断長さが8000〜20000mで巻姿は
良好。 ×:平均無切断長さが8000m未満であるか又は巻姿
不良で後の加工に支障がある。
【0058】[実施例1]テレフタル酸ジメチル100
重量部と1,3−プロパンジオール60重量部およびテ
トラブチルチタネート0.08重量部を使用し、エステ
ル交換反応を行った。次いで滑剤として平均粒径1.2
μmの球状シリカ粒子をポリマー当り0.3重量%にな
るように添加して、高真空下で重縮合反応を行い、固有
粘度が0.65dl/gのポリトリメチレンテレフタレ
ートを得た。
【0059】このポリトリメチレンテレフタレートを回
転冷却ドラム上にシート状に溶融押出して厚み178μ
mの未延伸シートを得、この未延伸シートを機械軸方向
(縦方向)に3.1倍延伸して一軸延伸フィルムとし
た。次いで横方向に3.4倍延伸し、更に150℃で熱
固定しながら幅方向に2%弛緩処理して厚み15μmの
二軸延伸フィルムを得た。このフィルムの特性及び積層
体の評価結果を表1に示す。表1より明らかなように実
施例1のフィルムは全ての要求特性を満足するものであ
った。
【0060】[実施例2〜6]表1に示す条件で、実施
例1に準じて厚み15μmの二軸延伸フィルムを得た。
これらのフィルムの特性及び積層体の評価結果を表1に
示す。表1より明らかなように実施例2〜6のフィルム
は全ての要求特性を満足するものであった。
【0061】[比較例1]テレフタル酸ジメチル100
重量部、エチレングリコール60重量部、酢酸マンガン
0.038重量部及び三酸化アンチモン0.041重量
部を使用してエステル交換反応を行った。ついで、トリ
メチルホスフェート0.097部および平均粒径1.2
μmの球状シリカを含有量がポリマー当り0.3重量%
になるように添加して、高真空下で重縮合反応を行い固
有粘度が0.64dl/gであるポリエチレンテレフタ
レートを得た。その後、実施例1と同様に表2の条件で
製膜し、厚みが15μmの二軸配向フィルムを得た。得
られた二軸配向フィルムの特性及び積層体の評価結果を
表2に示す。柔軟性が不足であり、加工性が不良であっ
た。
【0062】[比較例2〜5]表2に示す条件により製
膜し、厚みが15μmの二軸配向フィルムを得た。得ら
れた二軸配向フィルムの特性及び積層体の評価結果を表
2に示す。各例は本発明の要件を満たしていないので、
何らかの欠点が認められる。比較例2は製膜時の切断が
多発した上に、耐熱性不足で平面性の良好な積層体が得
られなかった。比較例3は製膜時の切断がやや多かっ
た。比較例4は巻姿が非常に悪かった。比較例5は製膜
時の切断がやや多かった上に、汚れがやや取れ難かっ
た。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【発明の効果】本発明のポリエステルフィルムをポリ塩
化ビニル基材に積層してなる積層体は、成形加工性、耐
汚染性に優れたものであり、壁紙として極めて有用であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 9:00 C08L 67:02 Fターム(参考) 4F071 AA45 AA81 AF08Y AF20Y AF21Y AH03 BB08 BC01 BC11 BC16 4F100 AA20A AK03B AK15B AK41A BA02 CA19A DD07A EJ37 GB08 JA07A JA13A JD03A JK01A JK08A JK14A JL06 YY00A 4F210 AA24 AB07 AB17 AC03 AD05 AD08 AG01 AG03 AH48 QC06 QG01 QW07 QW50

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トリメチレンテレフタレート単位が全繰
    り返し単位の50モル%以上であるポリエステルからな
    る二軸配向フィルムであり、フィルムの破断伸度が縦方
    向(MD)、横方向(TD)ともに60%以上であり、
    表面粗さ(Ra)が5nm以上500nm以下であるこ
    とを特徴とする壁紙用ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 フィルムのヤング率が縦方向(MD)、
    横方向(TD)ともに110kg/mm2以上550k
    g/mm2以下であることを特徴とする請求項1に記載
    のポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 フィルムの密度が1.315g/cm3
    以上1.365g/cm3以下であり、固有粘度が0.
    40dl/g以上0.90dl/g以下であることを特
    徴とする請求項1または2に記載のポリエステルフィル
    ム。
  4. 【請求項4】 フィルムの酸素透過係数が50cc・c
    m/cm2・sec・cmHg以下であることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィ
    ルム。
  5. 【請求項5】 ポリオレフィンフィルムあるいはポリ塩
    化ビニル基材に、請求項1〜4のいずれかに記載のフィ
    ルムを積層した壁紙用積層体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載のフィル
    ム単体あるいは請求項5に記載の積層体からなる壁紙。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006025636A1 (en) * 2004-09-02 2006-03-09 Skc Co., Ltd. Biaxially oriented polyester film and preparation thereof

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WO2006025636A1 (en) * 2004-09-02 2006-03-09 Skc Co., Ltd. Biaxially oriented polyester film and preparation thereof

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