JP2000103641A - 高周波用磁器組成物および高周波用磁器並びにその製造方法 - Google Patents
高周波用磁器組成物および高周波用磁器並びにその製造方法Info
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Abstract
域において低誘電率、低誘電損失、高強度かつGaAs
等のチップ部品やプリント基板と近似の熱膨張係数を有
し、これらに対する高信頼性の実装が可能な高周波用配
線基板の絶縁層用の磁器組成物とその製造方法を提供す
る。 【解決手段】SiO2 、Al2 O3 、MgOおよびCa
Oを含むディオプサイド型酸化物結晶相を析出可能なガ
ラス粉末50〜95重量%と、クォーツ粉末および/ま
たはアモルファスシリカ粉末を総量で5〜50重量%と
の混合物を成形後、800〜1000℃で焼成し、ディ
オプサイド型酸化物結晶相(DI)と、SiO2 結晶相
(Si)または、アモルファスシリカ相(AM)とを含
み、室温から400℃における熱膨張係数が5.5pp
m/℃以上の磁器を得る。
Description
パッケージや多層配線基板等に適用される配線基板に関
するものであり、特に、銅や銀と同時焼成が可能であ
り、また、GaAs等のチップ部品やプリント基板など
の有機樹脂からなる外部回路基板に対し、高い信頼性を
もって実装可能であり、配線基板における絶縁基板とし
て用いられる高周波用磁器組成物および高周波用磁器の
製造方法に関するものである。
は、アルミナ質焼結体からなる絶縁基板の表面または内
部にタングステンやモリブデンなどの高融点金属からな
る配線層が形成されたものが最も普及している。
え、使用される周波数帯域はますます高周波化に移行し
つつある。このような、高周波の信号の伝送を必要とす
る高周波配線基板においては、高周波信号を損失なく伝
送する上で、配線層を形成する導体の抵抗が小さいこ
と、また絶縁基板の高周波領域での誘電損失が小さいこ
とが要求される。
モリブデン(Mo)などの高融点金属は導体抵抗が大き
く、信号の伝搬速度が遅く、また、1GHz以上の高周
波領域の信号伝搬も困難であることから、W、Moなど
の金属に代えて銅、銀、金などの低抵抗金属を使用する
ことが必要となっている。このような低抵抗金属からな
る配線層は、融点が低く、アルミナと同時焼成すること
が不可能であるため、最近では、ガラス、またはガラス
とセラミックスとの複合材料からなる、いわゆるガラス
セラミックスを絶縁基板として用いた配線基板が開発さ
れつつある。例えば、特開昭60−240135号のよ
うに、ホウケイ酸亜鉛系ガラスに、Al2 O3 、ジルコ
ニア、ムライトなどのフィラーを添加したものを低抵抗
金属と同時焼成した多層配線基板や、特開平5−298
919号のように、ムライトやコージェライトを結晶相
として析出させたガラスセラミック材料が提案されてい
る。
ッケージなどの配線基板にGaAsなどのチップ部品を
実装したり、また配線基板をマサーボードなどの有機樹
脂を含むプリント基板に実装する上で、絶縁基板とチッ
プ部品あるいはプリント基板との熱膨張差に起因して発
生する応力により実装部分が剥離したり、クラックなど
が発生するのを防止する観点から、絶縁基板の熱膨張係
数がチップ部品やプリント基板のそれと近似しているこ
とが望まれる。
904号に開示されるように、結晶化が可能なリチウム
珪酸ガラスを用いることにより、絶縁基板の熱膨張係数
を高めることができることを提案した。
来のガラスセラミックスは、銅、銀、金などの低抵抗金
属との同時焼成が可能であっても、熱膨張係数が3〜5
ppm/℃程度と低く、GaAs等のチップ部品(熱膨
張係数6〜7.5ppm/℃)を実装したり、プリント
基板(熱膨張係数12〜15ppm/℃)に実装する場
合に、実装の信頼性が低く実用上満足できるものではな
かった。
るようにアルカリ金属を含有するガラスを用いる方法で
は、長時間高温多湿雰囲気に曝されると、アルカリ金属
が大気中の水分と反応し表面にシリケート結晶相が析出
して表面が変質してしまう場合があった。
波などの高周波信号を用いる配線基板の絶縁基板として
具体的に検討されておらず、そのほとんどは誘電損失が
高く、十分満足できる高周波特性を有するものではなか
った。
として多層化が可能な800〜1000℃での焼成が可
能であるとともに、GaAs等のチップ部品やプリント
基板の熱膨張係数と近似した熱膨張係数を有し、高周波
領域においても低誘電率でかつ誘電損失が低い磁器およ
びその製造方法並びにそれを作製可能な高周波用磁器組
成物を提供することを目的とする。
鋭意検討した結果、SiO2 、Al2 O3 、MgOおよ
びCaOを含み、ディオプサイド型酸化物結晶相を析出
可能なガラス粉末に対して、クォーツ粉末および/また
はアモルファスシリカ粉末を特定の比率で配合した組成
物を用い、これを成形後、800〜1000℃の温度で
焼成することによって、低誘電率で、かつGaAs等の
チップ部品やプリント基板の熱膨張係数と近似した熱膨
張係数を有し、1GHz以上の高周波領域においても低
誘電損失を有する磁器が得られることを知見し、本発明
に至った。
iO2 、Al2 O3 、MgOおよびCaOを含み、ディ
オプサイド型酸化物結晶相を析出可能なガラス粉末50
〜95重量%と、クォーツ粉末および/またはアモルフ
ァスシリカ粉末の総量5〜50重量%との割合で含有す
ることを特徴とするものである。
55重量%と、Al2 O3 3〜10重量%と、MgO1
3〜24重量%と、CaO20〜30重量%とからなる
ことが望ましい。
もMg、Ca、Siを含むディオプサイド型酸化物結晶
相と、SiO2 結晶相とを含有し、且つ室温から400
℃における熱膨張係数が8.5ppm/℃以上、誘電率
が7以下、60〜77GHzでの誘電損失が30×10
-4以下であるか、または、少なくともMg、Ca、Si
を含むディオプサイド型酸化物結晶相とSiO2 非晶質
相とを含有し、且つ室温から400℃における熱膨張係
数が5.5ppm/℃以上、誘電率が5.9以下、60
〜77GHzでの誘電損失が30×10-4以下であるこ
とを特徴とするものである。
は、SiO2 、Al2 O3 、MgOおよびCaOを含
み、ディオプサイド型酸化物結晶相を析出可能なガラス
粉末50〜99重量%と、クォーツおよび/またはアモ
ルファスシリカの総量で5〜50重量%との割合で含有
する混合物を成形後、800〜1000℃の温度で焼成
してなるものである。
SiO2 、Al2 O3 、MgOおよびCaOを含み、デ
ィオプサイド型酸化物結晶相を析出可能なガラス粉末5
0〜95重量%と、クォーツ粉末および/またはアモル
ファスシリカ粉末の総量で5〜50重量%との割合で含
有するものである。
上記ガラス粉末が50重量%よりも少ないと、1000
℃以下の温度での焼成により磁器を緻密化させることが
困難であり、95重量%よりも多いと、ガラスの結晶化
が不十分となり、誘電損失の大きなガラス相が残留し、
磁器の高周波での誘電損失が増大するためである。ガラ
ス粉末の特に望ましい範囲は、60〜85重量%であ
る。
点が500〜800℃であることが望ましく、その組成
はSiO2 45〜55重量%、Al2 O3 3〜10重量
%、MgO13〜24重量%、CaO20〜30重量%
の割合であることが望ましい。
ス相の熱膨張係数は4〜5ppm/℃と低い。これに対
し、MgCaSi2 O6 のディオプサイド型酸化物結晶
相は約8〜9ppm/℃の高熱膨張特性を有することか
ら、上記組成のガラス粉末よりディオプサイド型酸化物
結晶相を析出させるとともに、さらに13〜20ppm
/℃の高熱膨張係数を有するクォーツを特定量添加する
ことにより、熱膨張係数を8.5ppm/℃以上に高め
ることが可能である。
は、ガラスとクォーツの含有割合を変えるか、またはク
ォーツの一部または全てを熱膨張係数2〜5ppm/℃
のアモルファスシリカに代えればよく、目的の特性に応
じて適宜調整すればよい。
ミリ波帯での誘電損失が小さいものであることから、磁
器の低誘電損失化をも図ることができる。
ド型酸化物結晶相は、誘電率6〜8を有するものである
が、これに誘電率4〜4.5のクォーツ粉末および/ま
たは誘電率3.8〜4.2のアモルファスシリカ粉末を
特定量添加することにより、誘電率を5.9以下に低誘
電率化することも可能である。
物結晶相の析出割合を高める上では、ガラス中における
CaOとMgOの合計量が35〜50重量%であること
が望ましい。
シリカ粉末の総量が5重量%よりも少ないと、ガラスの
残存率が高くなり、誘電損失が大きくなる。逆に、50
重量%を越えると、難焼結性となり、1000℃以下の
焼成温度で緻密化することができない。クォーツおよび
/またはアモルファスシリカの総量の望ましい範囲は、
15〜40重量%である。
オーツの他にクリストバライト、トリジマイトなどに相
変態してもよいが、クリストバライトは、200℃付近
に熱膨張係数の屈曲点を有することから熱膨張挙動、誘
電特性の点でクォーツとして残存することが望ましい。
00℃の温度範囲での焼成によって相対密度97%以上
まで緻密化することができ、これによって形成される磁
器の全体組成としては、Si、Al、MgおよびCaの
各金属元素の酸化物換算による合量を100重量%とし
た時、SiO2 を55〜75重量%、Al2 O3 を3〜
5重量%、MgOを10〜14重量%、CaO15〜2
1重量%の割合から構成されることが望ましい。
図に示すように、結晶相として、ガラスから析出する少
なくともMgOとCaOとSiO2 とを含むディオプサ
イド型酸化物結晶相MgCaSi2 O6 (DI)以外
に、SiO2 系結晶相(Si)を含有するものであり、
それ以外にも、Ca2 MgSi2 O7 (akerman
ite)、CaMgSiO4 (monticellit
e)、Ca3 MgSi2O8 (merwinite)等
高熱膨張を有する類似の相が析出してもよい。
Siを含むディオプサイド型酸化物結晶相と、SiO2
結晶相とを含有し、且つ室温から400℃における熱膨
張係数が8.5ppm/℃以上、特に9ppm/℃以
上、誘電率が7以下、特に6.5以下、60〜77GH
zでの誘電損失が30×10-4以下、特に15×10-4
以下であることが望ましい。
g、Ca、Siを含むディオプサイド型酸化物結晶相と
SiO2 非晶質相とを含有し、且つ室温から400℃に
おける熱膨張係数が5.5ppm/℃以上、誘電率が
5.9以下、60〜77GHzでの誘電損失が30×1
0-4以下であることが望ましい。
Hz以上、特に20GHz以上、さらには50GHz以
上、またさらには70GHz以上の高周波用配線基板の
絶縁層を形成するのに好適な磁器である。本発明の磁器
を配線基板の絶縁基板として用いる場合、高周波信号の
伝送特性への影響を低減するため、誘電率が7以下、特
に6以下と低いことが望ましい。
膨張係数は、実装するチップ部品等やプリント基板等の
熱膨張係数に近似するように適宜調整することが望まし
い。これは、上記の磁器の熱膨張係数が実装されるチッ
プ部品等やプリント基板のそれと差がある場合、半田実
装時や半導体素子の作動停止による繰り返し温度サイク
ルによって、チップ部品等やプリント基板とパッケージ
との実装部に熱膨張差に起因する応力が発生し、実装部
にクラック等が発生し、実装構造の信頼性を損ねてしま
うためである。
整合を図る上ではGaAs系のチップ部品との熱膨張係
数の差が2ppm/℃以下であり、一方、プリント基板
との整合を図る上ではプリント基板との熱膨張係数の差
が2ppm/℃以下であることが望ましい。
を用い磁器を製造する方法について説明する。まず、出
発原料として、SiO2 、Al2 O3 、MgO、CaO
を含みディオプサイド型結晶相を析出可能な結晶化ガラ
ス粉末50〜95重量%と、クォーツおよび/またはア
モルファスシリカの総量5〜50重量%との割合で秤量
混合する。
レード法やカレンダーロール法、あるいは圧延法、プレ
ス成形法の周知の成型法により所定形状の成形体を作製
した後、該成形体を800〜1000℃の酸化性雰囲気
または不活性雰囲気中で焼成することにより作製するこ
とができる。
るには、前記混合粉末に、適当な有機溶剤、溶媒を用い
混合してスラリーを調製し、これを従来周知のドクター
ブレード法やカレンダーロール法、あるいは圧延法、プ
レス成形法により、シート状に成形する。そして、この
シート状成形体に所望によりスルーホールを形成した
後、スルーホール内に、銅、金、銀のうちの少なくとも
1種を含む金属ペーストを充填する。そして、シート状
成形体表面には、高周波信号が伝送可能な高周波線路パ
ターン等に前記金属ペーストを用いてスクリーン印刷
法、グラビア印刷法などによって配線層の厚みが5〜3
0μmとなるように、印刷塗布する。
せして積層圧着し、800〜1000℃の窒素ガスや窒
素−酸素混合ガス等の非酸化性雰囲気で焼成することに
より、配線基板を作製することができる。そして、この
配線基板の表面には、適宜半導体素子等のチップ部品が
搭載され配線層と信号の伝達が可能なように接続され
る。接続方法としては、配線層上に直接搭載させて接続
させたり、あるいは50μm程度の樹脂、Ag−エポキ
シ、Ag−ガラス、Au−Si等の樹脂、金属、セラミ
ックス等の接着剤によりチップ部品を絶縁基板表面に固
着し、ワイヤーボンディングや、TABテープなどによ
り配線層と半導体素子とを接続する。
GaAs系等のチップ部品が使用できるが、特に熱膨張
係数の近似性の点では、最もGaAs系のチップ部品の
実装に有効である。
表面に、絶縁基板と同種の絶縁材料や、その他の絶縁材
料、あるいは放熱性が良好な金属等からなり、電磁波遮
蔽性を有するキャップをガラス、樹脂、ロウ材等の接着
剤により接合してもよく、これにより半導体素子を気密
に封止することができる。本発明の磁器組成物を好適に
使用しうる高周波用配線基板の一例である半導体素子収
納用パッケージの具体的な構造とその実装構造について
図2をもとに説明する。図2は、半導体収納用パッケー
ジ、特に、接続端子がボール状端子からなるボールグリ
ッドアレイ(BGA)型パッケージの概略断面図であ
る。
からなる絶縁基板1と蓋体2によりキャビティ3が形成
されており、そのキャビティ3内には、GaAs等のチ
ップ部品4が前述の接着剤により実装されている。
チップ部品4と電気的に接続された配線層5が形成され
ている。この配線層5は、高周波信号の伝送時に導体損
失を極力低減するために、銅、銀あるいは金などの低抵
抗金属からなることが望ましい。また、この配線層5に
1GHz以上の高周波信号を伝送する場合には、高周波
信号が損失なく伝送されることが必要となるため、配線
層5は周知のストリップ線路、マイクロストリップ線
路、コプレーナ線路、誘電体導波管線路のうちの少なく
とも1種から構成される。
基板1の底面には、接続用電極層6が被着形成されてお
り、パッケージA内の配線層5と接続されている。そし
て、接続用電極層6には、半田などのロウ材7によりボ
ール状端子8が被着形成されている。
実装するには、図2に示すように、ポリイミド樹脂、エ
ポキシ樹脂、フェノール樹脂などの有機樹脂を含む絶縁
材料からなる絶縁基板9の表面に配線導体10が形成さ
れた外部回路基板Bに対して、ロウ材を介して実装され
る。具体的には、パッケージAにおける絶縁基板1の底
面に取付けられているボール状端子8と、外部回路基板
Bの配線導体10とを当接させてPb−Snなどの半田
等のロウ材11によりロウ付けして実装される。また、
ボール状端子8自体を溶融させて配線導体10と接続さ
せてもよい。
4をロウ付けや接着剤により実装したり、このようなボ
ール状端子8を介在したロウ付けによりプリント基板等
の外部回路基板に実装されるような表面実装型のパッケ
ージにおいて、GaAs等のチップ部品や外部回路基板
の絶縁基板との熱膨張差を従来のセラミック材料よりも
小さくできることから、かかる実装構造に対して、熱サ
イクルが印加された場合においても、実装部での応力の
発生を抑制することができる結果、実装構造の長期信頼
性を高めることができる。
酸化物結晶相を析出可能な結晶化ガラスを準備した。
%−MgO18.5重量%−CaO26重量% ガラスB:SiO2 52重量%−Al2 O3 5重量%−
MgO18重量%−CaO25重量% そして、この結晶化ガラス粉末に対して、平均粒径が5
μmのクオーツおよび平均粒径が2μmのアモルファス
シリカ粉末を用いて、焼成後の磁器が表1、表2の組成
となるように混合した。そして、この混合物に有機バイ
ンダ、可塑剤、トルエンを添加し、スラリーを調製した
後、このスラリーを用いてドクターブレード法により厚
さ300μmのグリーンシートを作製した。そして、こ
のグリーンシートを10〜15枚積層し、50℃の温度
で100kg/cm2 の圧力を加えて熱圧着した。得ら
れた積層体を水蒸気含有/窒素雰囲気中、700℃で脱
バインダ処理を行った後、乾燥窒素中で表1、表2の条
件で焼成し絶縁基板用磁器を得た。
以下の方法で評価した。測定は形状、直径2〜7mm、
厚み1.5〜2.5mmの形状に切り出し、60GHz
にてネットワークアナライザー、シンセサイズドスイー
パーを用いて誘電体円柱共振器法により行った。測定で
は、NRDガイド(非放射性誘電体線路)で、誘電体共
振器の励起を行い、TE021、TE031モードの共
振特性より、誘電率、誘電損失を算出した。
線をとり、熱膨張係数を算出した。さらに、焼結体中に
おける結晶相をX線回折チャートから同定した。結果は
表1、表2に示した。
分として、クォーツおよびアモルファスシリカに代わ
り、ZrO2 粉末、CaZrO3 粉末を用いて同様に磁
器を作製し評価した(試料No.9、10、11、28、
29、30)。また、上記結晶化ガラスA、Bに代わ
り、以下の組成からなるガラスCを用いて同様に評価を
行った(試料No.31、32)。
2 O3 2.5重量%−B2 O3 45.3重量%−CaO
35.2重量%−Na2 O6.6重量%
O2 、Al2 O3 、MgO、CaOを含むガラス量が、
95重量%を越える試料No.1、2では、誘電損失が
30×10-4を越えてしまい、ガラス量が50重量%よ
りも少ない試料No.14〜16および27では、低温
で焼結することが困難であり、緻密化しなかった。試料
No.9〜11は、ガラスへの添加成分として、ZrO
2 やCaZrO3 を配合したものであるが、焼結体中に
ZrO2 やCaZrO3 などが析出し誘電損失が増大し
た。また、ガラスとして、B2 O3 を多く含むガラスC
を用いた試料No.31、32では、Bを含むガラスが
多く残留し、誘電損失が大きくなる傾向にあった。
ォーツ粉末を添加した試料No.3〜8、12、19、
21〜26では、磁器中にクォーツ相の析出が見られ、
また、いずれも熱膨張係数が8.5ppm/℃以上、6
0GHzの測定周波数にて、誘電率7以下、誘電損失が
30×10-4以下の優れた特性を有するものであった。
スシリカ粉末を添加した試料No.13、17、18で
は、磁器中にアモルファスシリカ相が存在し、また、い
ずれも熱膨張係数が5.5ppm/℃以上、60GHz
の測定周波数にて、誘電率5.9以下、誘電損失が10
×10-4以下の優れた特性を有するものであった。
器組成物によれば、1000℃以下の低温にて焼成でき
ることから、銅などの低抵抗金属による配線層を形成で
き、しかも1GHz以上の高周波領域において、低誘電
率、低誘電損失を有することから、高周波信号を極めて
良好に損失なく伝送することができる。しかも、この組
成物を用いて得られる磁器は、GaAsチップあるいは
プリント基板と近似した熱膨張特性に制御できることか
ら、GaAsチップを実装した場合、あるいは有機樹脂
を含む絶縁基板を具備するプリント基板などのマザーボ
ードに対してロウ材等により実装した場合において優れ
た耐熱サイクル性を有し、高信頼性の実装構造を提供で
きる。
を説明するための概略図である。本発明の組成物を焼成
した磁器を用いた高周波用配線基板の一例である半導体
素子収納用パッケージの実装構造の一例を説明するため
の概略断面図である。
1)
を説明するための概略図である。
用配線基板の一例である半導体素子収納用パッケージの
実装構造の一例を説明するための概略断面図である。 ─────────────────────────────────────────────────────
7)
として多層化が可能な800〜975℃での焼成が可能
であるとともに、GaAs等のチップ部品やプリント基
板の熱膨張係数と近似した熱膨張係数を有し、高周波領
域においても低誘電率でかつ誘電損失が低い磁器および
その製造方法並びにそれを作製可能な高周波用磁器組成
物を提供することを目的とする。
を鋭意検討した結果、SiO2、Al2O3、MgOおよ
びCaOを含み、ディオプサイド型酸化物結晶相を析出
可能なガラス粉末に対して、クォーツ粉末および/また
はアモルファスシリカ粉末を特定の比率で配合した組成
物を用い、これを成形後、800〜975℃の温度で焼
成することによって、低誘電率で、かつGaAs等のチ
ップ部品やプリント基板の熱膨張係数と近似した熱膨張
係数を有し、1GHz以上の高周波領域においても低誘
電損失を有する磁器が得られることを知見し、本発明に
至った。
iO2、Al2O3、MgOおよびCaOを含み、ディオ
プサイド型酸化物結晶相を析出可能なガラス粉末60〜
85重量%と、クォーツ粉末および/またはアモルファ
スシリカ粉末の総量15〜40重量%との割合で含有す
ることを特徴とするものである。
55重量%と、Al2O33〜10重量%と、MgO13
〜24重量%と、CaO20〜30重量%とからなるこ
とが望ましい。
もMg、Ca、Siを含むディオプサイド型酸化物結晶
相を主結晶相とするとともに、SiO2結晶相を含有
し、且つ室温から400℃における熱膨張係数が8.5
ppm/℃以上、誘電率が7以下、60〜77GHzで
の誘電損失が15×10-4以下であるか、または、少な
くともMg、Ca、Siを含むディオプサイド型酸化物
結晶相とSiO2非晶質相とを含有し、且つ室温から4
00℃における熱膨張係数が5.5ppm/℃以上、誘
電率が5.9以下、60〜77GHzでの誘電損失が1
5×10-4以下であることを特徴とするものである。
は、SiO2、Al2O3、MgOおよびCaOを含み、
ディオプサイド型酸化物結晶相を析出可能なガラス粉末
60〜85重量%と、クォーツ粉末および/またはアモ
ルファスシリカ粉末の総量で15〜40重量%との割合
で含有する混合物を成形後、800〜975℃の温度で
焼成してなるものである。
SiO2、Al2O3、MgOおよびCaOを含み、ディ
オプサイド型酸化物結晶相を析出可能なガラス粉末60
〜85重量%と、クォーツ粉末および/またはアモルフ
ァスシリカ粉末の総量で15〜40重量%との割合で含
有するものである。
上記ガラス粉末が60重量%よりも少ないと、975℃
以下の温度での焼成により磁器を緻密化させることが困
難であり、85重量%よりも多いと、ガラスの結晶化が
不十分となり、誘電損失の大きなガラス相が残留し、磁
器の高周波での誘電損失が増大するためである。
シリカ粉末の総量が15重量%よりも少ないと、ガラス
の残存率が高くなり、誘電損失が大きくなる。逆に、4
0重量%を越えると、難焼結性となり、975℃以下の
焼成温度で緻密化することができない。
5℃の温度範囲での焼成によって相対密度97%以上ま
で緻密化することができ、これによって形成される磁器
の全体組成としては、Si、Al、MgおよびCaの各
金属元素の酸化物換算による合量を100重量%とした
時、SiO2を55〜75重量%、Al2O3を3〜5重
量%、MgOを10〜14重量%、CaO15〜21重
量%の割合から構成されることが望ましい。
Siを含むディオプサイド型酸化物結晶相を主結晶相と
するとともに、SiO2結晶相を含有し、且つ室温から
400℃における熱膨張係数が8.5ppm/℃以上、
特に9ppm/℃以上、誘電率が7以下、特に6.5以
下、60〜77GHzでの誘電損失が15×10-4以下
であることが重要である。
g、Ca、Siを含むディオプサイド型酸化物結晶相と
SiO2非晶質相とを含有し、且つ室温から400℃に
おける熱膨張係数が5.5ppm/℃以上、誘電率が
5.9以下、60〜77GHzでの誘電損失が15×1
0-4以下であることが重要である。
用い磁器を製造する方法について説明する。まず、出発
原料として、SiO2、Al2O3、MgO、CaOを含
みディオプサイド型結晶相を析出可能な結晶化ガラス粉
末60〜85重量%と、クォーツおよび/またはアモル
ファスシリカの総量15〜40重量%との割合で秤量混
合する。
レード法やカレンダーロール法、あるいは圧延法、プレ
ス成形法の周知の成型法により所定形状の成形体を作製
した後、該成形体を800〜975℃の酸化性雰囲気ま
たは不活性雰囲気中で焼成することにより作製すること
ができる。
せして積層圧着し、800〜975℃の窒素ガスや窒素
−酸素混合ガス等の非酸化性雰囲気で焼成することによ
り、配線基板を作製することができる。そして、この配
線基板の表面には、適宜半導体素子等のチップ部品が搭
載され配線層と信号の伝達が可能なように接続される。
接続方法としては、配線層上に直接搭載させて接続させ
たり、あるいは50μm程度の樹脂、Ag−エポキシ、
Ag−ガラス、Au−Si等の樹脂、金属、セラミック
ス等の接着剤によりチップ部品を絶縁基板表面に固着
し、ワイヤーボンディングや、TABテープなどにより
配線層と半導体素子とを接続する。
O2、Al2O3、MgO、CaOを含むガラス量が、8
5重量%を越える試料No.1、2では、誘電損失が1
5×10-4を越えてしまい、ガラス量が60重量%より
も少ない試料No.7、11〜15、25、26では、
低温で焼結することが困難であり、緻密化しなかった。
試料No.8〜10は、ガラスへの添加成分として、Z
rO2やCaZrO3を配合したものであるが、焼結体中
にZrO2やCaZrO3などが析出し誘電損失が増大し
た。また、ガラスとして、B2O3を多く含むガラスCを
用いた試料No.30、31では、Bを含むガラスが多
く残留し、誘電損失が大きくなる傾向にあった。
ォーツ粉末を添加した試料No.3〜6、18、21〜
24では、磁器中にクォーツ相の析出が見られ、また、
いずれも熱膨張係数が8.5ppm/℃以上、60GH
zの測定周波数にて、誘電率7以下、誘電損失が15×
10-4以下の優れた特性を有するものであった。
スシリカ粉末を添加した試料No.16〜18では、磁
器中にアモルファスシリカ相が存在し、また、いずれも
熱膨張係数が5.5ppm/℃以上、60GHzの測定
周波数にて、誘電率5.9以下、誘電損失が10×10
-4以下の優れた特性を有するものであった。
器組成物によれば、975℃以下の低温にて焼成できる
ことから、銅などの低抵抗金属による配線層を形成で
き、しかも1GHz以上の高周波領域において、低誘電
率、低誘電損失を有することから、高周波信号を極めて
良好に損失なく伝送することができる。しかも、この組
成物を用いて得られる磁器は、GaAsチップあるいは
プリント基板と近似した熱膨張特性に制御できることか
ら、GaAsチップを実装した場合、あるいは有機樹脂
を含む絶縁基板を具備するプリント基板などのマザーボ
ードに対してロウ材等により実装した場合において優れ
た耐熱サイクル性を有し、高信頼性の実装構造を提供で
きる。
Claims (5)
- 【請求項1】SiO2 、Al2 O3 、MgOおよびCa
Oを含み、ディオプサイド型酸化物結晶相を析出可能な
ガラス粉末50〜95重量%と、クォーツ粉末および/
またはアモルファスシリカ粉末の総量5〜50重量%と
の割合で含有することを特徴とする高周波用磁器組成
物。 - 【請求項2】前記ガラス粉末が、SiO2 45〜55重
量%と、Al2 O3 3〜10重量%と、MgO13〜2
4重量%と、CaO20〜30重量%とからなることを
特徴とする請求項1記載の高周波用磁器組成物。 - 【請求項3】少なくともMg、Ca、Siを含むディオ
プサイド型酸化物結晶相と、SiO2 結晶相とを含有
し、且つ室温から400℃における熱膨張係数が8.5
ppm/℃以上、誘電率が7以下、60〜77GHzで
の誘電損失が30×10-4以下であることを特徴とする
高周波用磁器。 - 【請求項4】少なくともMg、Ca、Siを含むディオ
プサイド型酸化物結晶相とSiO2非晶質相とを含有
し、且つ室温から400℃における熱膨張係数が5.5
ppm/℃以上、誘電率が5.9以下、60〜77GH
zでの誘電損失が30×10-4以下であることを特徴と
する高周波用磁器。 - 【請求項5】SiO2 、Al2 O3 、MgOおよびCa
Oを含むディオプサイド型酸化物結晶相を析出可能なガ
ラス粉末50〜95重量%と、クォーツ粉末および/ま
たはアモルファスシリカ粉末5〜50重量%とからなる
混合物を成形後、800〜1000℃の温度で焼成して
なることを特徴とする高周波用磁器の製造方法。
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KR100390880B1 (ko) * | 2000-12-30 | 2003-07-10 | 엘지마이크론 주식회사 | 열처리장치의 캐비티 |
US7208434B2 (en) | 2003-12-12 | 2007-04-24 | Electronics And Telecommunications Research Institute | Dielectric ceramic composition of forsterite system for microwave and millimeter-wave application and method for forming the same |
JP2009170848A (ja) * | 2008-01-21 | 2009-07-30 | Taiyo Yuden Co Ltd | セラミック電子部品及びその製造方法 |
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1998
- 1998-09-29 JP JP10276260A patent/JP3085667B2/ja not_active Expired - Fee Related
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