JP3085669B1 - 高周波用磁器組成物および高周波用磁器並びにその製造方法 - Google Patents
高周波用磁器組成物および高周波用磁器並びにその製造方法Info
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Abstract
域において低誘電率、低誘電損失、高強度かつGaAs
等のチップ部品やプリント基板と近似の熱膨張係数を有
し、これらに対する高信頼性の実装が可能な高周波用配
線基板の絶縁基板用の磁器組成物と磁器、並びにその製
造方法を提供する。 【解決手段】SiO2 、Al2 O3 、MgOおよびCa
Oを含み、ディオプサイド型酸化物結晶相を析出可能な
ガラス50〜95重量%と、クォーツおよび/またはア
モルファスシリカの合量で5〜49.9重量%と、Mg
O、MgCO3 、Mg(OH)2 およびMgとSiとの
複合酸化物から選ばれる少なくとも1種のMgO換算量
0.1〜20重量%との混合物を成形後、800〜10
00℃で焼成し、室温から400℃における熱膨張係数
が5.5ppm/℃以上、誘電率が7以下、60〜77
GHzでの誘電損失が30×10-4以下の磁器を得る。
Description
用パッケージや多層配線基板等に適用される配線基板に
関するものであり、特に、銅や銀と同時焼成が可能であ
り、また、GaAs等のチップ部品やプリント基板など
の有機樹脂からなる外部回路基板に対し、高い信頼性を
もって実装可能であり、配線基板における絶縁基板とし
て用いられる高周波用磁器組成物および高周波用磁器、
並びにその製造方法に関するものである。
は、アルミナ質焼結体からなる絶縁基板の表面または内
部にタングステンやモリブデンなどの高融点金属からな
る配線層が形成されたものが最も普及している。
え、使用される周波数帯域はますます高周波化に移行し
つつある。このような、高周波の信号の伝送を必要とす
る高周波配線基板においては、高周波信号を損失なく伝
送する上で、配線層を形成する導体の抵抗が小さいこ
と、また絶縁基板の高周波領域での誘電損失が小さいこ
とが要求される。
モリブデン(Mo)などの高融点金属は導体抵抗が大き
く、信号の伝搬速度が遅く、また、1GHz以上の高周
波領域の信号伝搬も困難であることから、W、Moなど
の金属に代えて銅、銀、金などの低抵抗金属を使用する
ことが必要となっている。
融点が低く、アルミナと同時焼成することが不可能であ
るため、最近では、ガラス、またはガラスとセラミック
スとの複合材料からなる、いわゆるガラスセラミックス
を絶縁基板として用いた配線基板が開発されつつある。
うに、ホウケイ酸亜鉛系ガラスに、Al2O3、ジルコニ
ア、ムライトなどのフィラーを添加したものを低抵抗金
属と同時焼成した多層配線基板や、特開平5−2989
19号のように、ムライトやコージェライトを結晶相と
して析出させたガラスセラミック材料が提案されてい
る。
ッケージなどの配線基板にGaAsなどのチップ部品を
実装したり、また配線基板をマザーボードなどの有機樹
脂を含むプリント基板に実装する上で、絶縁基板とチッ
プ部品あるいはプリント基板との熱膨張差に起因して発
生する応力により実装部分が剥離したり、クラックなど
が発生するのを防止する観点から、絶縁基板の熱膨張係
数がチップ部品やプリント基板のそれと近似しているこ
とが望まれる。
904号に開示されるように、結晶化が可能なリチウム
珪酸ガラスを用いることにより、絶縁基板の熱膨張係数
を高めることができることを提案した。
よれば、ディオプサイド結晶相と、アルミナ、ムライ
ト、ガーナイト、ウイレマイト粉末を添加することによ
り、2GHzでの誘電率が7.3〜8.3、誘電損失が
3〜7×10-4の高周波特性に優れた磁器が得られると
している。
9−17904号に開示されるようにアルカリ金属を含
有するガラスを用いる方法では、長時間高温多湿雰囲気
に曝されると、アルカリ金属が大気中の水分と反応し表
面にシリケート結晶相が析出して表面が変質してしまう
場合があった。
ガラスセラミック材料によれば、2GHz以下の高周波
帯での誘電損失を低減できるものの、誘電率や熱膨張係
数等の特性を制御できるには至っていないものであっ
た。
として多層化が可能な800〜1000℃での焼成が可
能であるとともに、GaAs等のチップ部品やプリント
基板の熱膨張係数と近似した熱膨張係数に制御可能であ
り、高周波領域においても低誘電率でかつ誘電損失が低
い磁器およびその製造方法並びにそれを作製可能な高周
波用磁器組成物を提供することを目的とする。
を鋭意検討した結果、SiO2、Al2O3、MgOおよ
びCaOを含むか、または、SiO2、Al2O3、Mg
O、SrOおよびCaOを含み、ディオプサイド型酸化
物結晶相を析出可能なガラスに対して、クォーツおよび
/またはアモルファスシリカおよびMgを含有する特定
の成分をを特定の比率で配合した組成物を用い、これを
成形後、800〜1000℃の温度で焼成することによ
って、低誘電率で、かつGaAs等のチップ部品やプリ
ント基板の熱膨張係数と近似した熱膨張係数に制御で
き、1GHz以上の高周波領域においても低誘電損失を
有する磁器が得られることを知見し、本発明に至った。
iO2、Al2O3、MgOおよびCaOを含み、ディオ
プサイド型酸化物結晶相を析出可能なガラスを50〜9
5重量%と、クォーツおよび/またはアモルファスシリ
カを合量で5〜49.9重量%と、MgO、MgC
O3、Mg(OH)2およびMgとSiとの複合酸化物か
ら選ばれる少なくとも1種をMgO換算量で0.1〜2
0重量%との割合で含有することを特徴とするものであ
る。
重量%と、Al2O33〜10重量%と、MgO13〜2
4重量%と、CaO20〜30重量%と、からなること
が望ましい。
は、SiO2、Al2O3、MgO、SrOおよびCaO
を含み、ディオプサイド型酸化物結晶相を析出可能なガ
ラスを50〜95重量%と、クォーツおよび/またはア
モルファスシリカを合量で5〜49.9重量%と、Mg
O、MgCO3、Mg(OH)2およびMgとSiとの複
合酸化物から選ばれる少なくとも1種をMgO換算量で
0.1〜20重量%との割合で含有することを特徴とす
るものである。
重量%と、Al2O33〜10重量%と、MgO13〜2
4重量%と、SrO10〜24重量%と、CaO8〜2
0重量%と、からなることが望ましい。
もSi、Al、Mg、Caを含むディオプサイド型酸化
物結晶相を主結晶相とし、SiO2相と、MgSiO3結
晶相および/またはMg2SiO4結晶相とを含有し、且
つ室温から400℃における熱膨張係数が5.5ppm
/℃以上、誘電率が7以下、60〜77GHzでの誘電
損失が20×10-4以下であることを特徴とするもので
ある。
記SiO2相として、クォーツ結晶相を含有し、かつ室
温から400℃における熱膨張係数が8.5ppm/℃
以上であること、または、前記SiO2相として、アモ
ルファスシリカ相を含有し、誘電率が5.9以下である
ことが望ましい。
は、SiO2、Al2O3、MgOおよびCaOを含み、
ディオプサイド型酸化物結晶相を析出可能なガラス50
〜95重量%と、クォーツおよび/またはアモルファス
シリカの合量で5〜49.9重量%と、MgO、MgC
O3、Mg(OH)2およびMgとSiとの複合酸化物か
ら選ばれる少なくとも1種のMgO換算量0.1〜20
重量%との割合で含有する混合物を成形後、800〜1
000℃の温度で焼成してディオプサイド型酸化物結晶
相を主結晶相として析出させるものである。
方法は、SiO2、Al2O3、MgO、SrOおよびC
aOを含み、ディオプサイド型酸化物結晶相を析出可能
なガラス50〜95重量%と、クォーツおよび/または
アモルファスシリカの合量で5〜49.9重量%と、M
gO、MgCO3、Mg(OH)2およびMgとSiとの
複合酸化物から選ばれる少なくとも1種のMgO換算量
0.1〜20重量%との割合で含有する混合物を成形
後、800〜1000℃の温度で焼成してディオプサイ
ド型酸化物結晶相を主結晶相として析出させるものであ
る。
少なくともSi、Al、Mg、Caを含むディオプサイ
ド型酸化物結晶相を主結晶とし、かつSiO2相と、M
gSiO3結晶相および/またはMg2SiO4結晶相と
を含有し、且つ室温から400℃における熱膨張係数が
5.5ppm/℃以上、誘電率が7以下、60〜77G
Hzでの誘電損失が20×10-4以下である高周波用磁
器からなる絶縁基板の表面および内部に配線層を形成す
るとともに、前記絶縁基板の表面にGaAs系のチップ
部品を実装したことを特徴とするものである。
イクロストリップ線路、コプレーナ線路、誘電体導波管
のうちの少なくとも1種からなることが望ましい。
SiO2、Al2O3、MgOおよびCaOを含むか、ま
たは、SiO2、Al2O3、MgO、SrOおよびCa
Oを含み、ディオプサイド型酸化物結晶相を析出可能な
ガラス50〜95重量%と、クォーツおよび/またはア
モルファスシリカの総量で5〜49.9重量%と、Mg
O、MgCO3、Mg(OH)2およびMgとSiとの複
合酸化物から選ばれる少なくとも1種のMgO換算量
0.1〜20重量%との割合で含有するものである。
上記ガラスが50重量%よりも少ないと、1000℃以
下の温度での焼成により磁器を緻密化させることが困難
であり、95重量%よりも多いと、ガラスの結晶化が不
十分となり、誘電損失の大きなガラス相が残留し、磁器
の高周波での誘電損失が増大するためである。ガラスの
特に望ましい範囲は、60〜85重量%である。
カの総量が5重量%よりも少ないと、ガラスの残存率が
高くなり、誘電損失が大きくなる。逆に、49.9重量
%を越えると、難焼結性となり、1000℃以下の焼成
温度で緻密化することができない。クォーツおよび/ま
たはアモルファスシリカの総量の望ましい範囲は、15
〜40重量%である。
H)2 およびMgとSiとの複合酸化物から選ばれる少
なくとも1種のMgO換算量が0.1重量%より少ない
と、誘電損失を下げる効果が小さく、20重量%より多
いと、1000℃にて磁器を緻密化させることが困難と
なり上述した低抵抗金属との同時焼成ができないためで
ある。
相を析出可能なガラスは、ガラスの軟化点が500〜8
00℃であることが望ましく、その組成はSiO245
〜55重量%、Al2O33〜10重量%、MgO13〜
24重量%、CaO20〜30重量%の割合であるこ
と、またはSiO245〜55重量%、Al2O33〜1
0重量%、MgO13〜24重量%、SrO10〜24
重量%、CaO8〜20重量%の割合であることが望ま
しい。
ラスについては、焼成温度を低める効果がある。
型酸化物結晶相の析出割合を高める上では、ガラス中に
おけるCaOとMgOの合計量が35〜44重量%であ
ることが望ましい。
を製造するには、上述したSiO2、Al2O3、MgO
およびCaOを含むか、またはSiO2、Al2O3、M
gO、SrOおよびCaOを含み、ディオプサイド型酸
化物結晶相を析出可能な結晶化ガラスと、クォーツおよ
び/またはアモルファスシリカと、MgO、MgC
O3、Mg(OH)2およびMgとSiとの複合酸化物か
ら選ばれる少なくとも1種とからなる上記組成物の混合
粉末を用いて、ドクターブレード法やカレンダーロール
法、あるいは圧延法、プレス成形法の周知の成型法によ
り所定形状の成形体を作製した後、該成形体を800〜
1000℃の酸化性雰囲気または非酸化性雰囲気中で焼
成してディオプサイド型酸化物結晶相を主結晶相として
析出させることにより作製することができる。
いることによって、フィラーとしてSiO2のような高
融点化物質を含有するにもかかわらず、1000℃以
下、特に950℃以下、さらには930℃以下での焼成
が可能であることから、後述するように高周波用配線基
板の配線層として多用されている銅および/または銀と
の同時焼成が可能である。
成によりクォーツの他にクリストバライト、トリジマイ
トなどに相変態してもよいが、クリストバライトは、2
00℃付近に熱膨張係数の屈曲点を有することから熱膨
張挙動、誘電特性の点でクォーツとして残存することが
望ましい。
00℃の温度範囲での焼成によって相対密度97%以上
まで緻密化することができ、これによって形成される磁
器の全体組成としては、Si、Al、MgおよびCaの
各金属元素の酸化物換算による合量を100重量%とし
た時、SiO2を55〜75重量%、Al2O3を3〜5
重量%、MgOを10〜14重量%、CaO15〜21
重量%、またはSiO2を55〜75重量%、Al2O3
を3〜5重量%、MgOを10〜14重量%、SrOを
15〜23重量%、CaO14〜19重量%の割合から
構成されることが望ましい。
相の熱膨張係数は4〜5ppm/℃と低い。これに対
し、Ca(Mg,Al)(Si,Al)2 O6 のディオ
プサイド型酸化物結晶相は、約8〜9ppm/℃の高熱
膨張特性を有することから、上記組成のガラスよりディ
オプサイド型酸化物結晶相を析出させることにより、高
熱膨張化することができる。また、ディオプサイド型酸
化物結晶相は、6〜8の誘電率を有し、かつ高周波帯で
の誘電損失が小さい材料である。
ォーツおよびアモルファスシリカ(熱膨張係数2〜5p
pm/℃)量を制御することによって、熱膨張係数や誘
電率等を任意に調整することができる。
て、フィラーとしてクォーツを添加することにより、磁
器中にディオプサイド型酸化物結晶相を主結晶相として
析出させるとともに、13〜20ppm/℃の高熱膨張
係数を有するクォーツ結晶相を含有させることにより、
磁器の熱膨張係数を8.5ppm/℃以上に高めること
ができる。その結果、磁器とGaAs等のチップ部品お
よびプリント基板等の有機樹脂からなる外部回路基板と
の熱膨張係数差を小さくできることから、本発明の磁器
を配線基板の絶縁基板として用いる場合、実装の信頼性
を高めることができる。
ることから、磁器の誘電率を7以下とすることができ、
基板の高周波信号への影響を小さくできるとともに、ク
ォーツはミリ波帯での誘電損失が小さい材料であること
から、磁器の高周波帯での誘電損失を小さくすることが
できることから、高周波帯、特にミリ波帯での信号の伝
送特性が向上する。
スに対して、フィラーとしてアモルファスシリカを主と
して添加することにより、磁器中ディオプサイド型酸化
物結晶相を析出させるとともに、その粒界をアモルファ
スシリカ相により主として形成することにより、アモル
ファスシリカの誘電率が3.8〜4.2と低いことか
ら、磁器の誘電率を5.9以下とすることができ、高周
波用配線基板等に用いる場合、高周波信号の伝送特性へ
の基板の影響が小さくすることが可能となる。さらに、
アモルファスシリカはミリ波帯での誘電損失が小さい材
料であることから、磁器の高周波帯での誘電損失を小さ
くすることができる。
iO4結晶相は、それぞれ、誘電率5〜6、5〜6、熱
膨張係数7〜8ppm/℃、8〜9ppm/℃であり、
特に高周波領域での誘電損失が小さい材料であることか
ら、磁器の誘電損失を低減する働きをなす。
ォーツ結晶相および/またはアモルファスシリカ相およ
びMgSiO3 結晶相および/またはMg2 SiO4 結
晶相を存在させることによって、室温から400℃にお
ける熱膨張係数が5.5ppm/℃以上、誘電率が7以
下、60〜77GHzでの誘電損失が20×10-4以下
の特性に制御可能である。
は、図1の磁器組織の概略図に示すように、結晶相とし
て、ガラスから析出する少なくともMgとCaとSiと
Alとを含むディオプサイド型酸化物結晶相Ca(M
g,Al)(Si,Al)2O6(DI)を主結晶相と
し、それ以外に、SiO2系相としてクォーツ(Si)
および/またはアモルファスシリカ(AM)、およびM
gSiO3 で表されるエンスタタイト型結晶相(MS)
および/またはMg2SiO4で表されるフォルステライ
ト型結晶相(M2S)を含有するものであり、それ以外
にも、Ca2MgSi2O7(akermanite)、
CaMgSiO4(monticellite)、Ca3
MgSi2O8(merwinite)等高熱膨張を有す
る類似の相が析出してもよい。さらに、磁器中にはMg
Oが残存してもよい。
損失が低いことから1GHz以上、特に20GHz以
上、さらには50GHz以上、またさらには70GHz
以上の高周波用配線基板の絶縁層を形成するのに好適で
ある。本発明の磁器を配線基板の絶縁基板として用いる
場合、高周波信号の伝送特性への影響を低減するため、
誘電率が7以下、特に5.9以下と低いことが望まし
い。
おける熱膨張係数は、実装するチップ部品等やプリント
基板等の熱膨張係数に近似するように前述したように、
基板を構成する磁器の組成、組織を制御して、適宜調整
することが望ましい。
装されるチップ部品等やプリント基板のそれと差がある
場合、半田実装時や半導体素子の作動停止による繰り返
し温度サイクルによって、チップ部品等やプリント基板
とパッケージとの実装部に熱膨張差に起因する応力が発
生し、実装部にクラック等が発生し、実装構造の信頼性
を損ねてしまうためである。
整合を図る上ではGaAs系のチップ部品との熱膨張係
数の差が2ppm/℃以下であり、一方、プリント基板
との整合を図る上ではプリント基板との熱膨張係数の差
が2ppm/℃以下であることが望ましい。
成物を用いて、配線層を具備する配線基板を製造する方
法について説明する。上述した組成物からなる混合粉末
に、適当な有機溶剤、溶媒を用い混合してスラリーを調
製し、これを従来周知のドクターブレード法やカレンダ
ーロール法、あるいは圧延法、プレス成形法により、シ
ート状に成形する。そして、このシート状成形体に所望
によりスルーホールを形成した後、スルーホール内に、
銅、金、銀のうちの少なくとも1種を含む金属ペースト
を充填する。そして、シート状成形体表面には、高周波
信号が伝送可能な高周波線路パターン等に前記金属ペー
ストを用いてスクリーン印刷法、グラビア印刷法などに
よって配線層の厚みが5〜30μmとなるように、印刷
塗布する。
せして積層圧着し、800〜1000℃の窒素ガスや窒
素−酸素混合ガス等の非酸化性雰囲気で焼成することに
より、配線基板を作製することができる。そして、この
配線基板の表面に、適宜、半導体素子等のチップ部品を
搭載し、配線層と信号の伝達が可能なように接続する。
せて接続させたり、あるいは50μm程度の樹脂、Ag
−エポキシ、Ag−ガラス、Au−Si等の樹脂、金
属、セラミックス等の接着剤によりチップ部品を絶縁基
板表面に固着し、ワイヤーボンディングや、TABテー
プなどにより配線層と半導体素子とを接続する。
GaAs系等のチップ部品が使用できるが、特に熱膨張
係数の近似性の点では、最もGaAs系のチップ部品の
実装に有効である。
表面に、絶縁基板と同種の絶縁材料や、その他の絶縁材
料、あるいは放熱性が良好な金属等からなり、電磁波遮
蔽性を有するキャップをガラス、樹脂、ロウ材等の接着
剤により接合してもよく、これにより半導体素子を気密
に封止することができる。
周波用配線基板の一例である半導体素子収納用パッケー
ジの具体的な構造とその実装構造について図2をもとに
説明する。図2は、半導体収納用パッケージ、特に、接
続端子がボール状端子からなるボールグリッドアレイ
(BGA)型パッケージの概略断面図である。
からなる絶縁基板1と蓋体2によりキャビティ3が形成
されており、そのキャビティ3内には、GaAs等のチ
ップ部品4が前述の接着剤により実装されている。
チップ部品4と電気的に接続された配線層5が形成され
ている。この配線層5は、高周波信号の伝送時に導体損
失を極力低減するために、銅、銀あるいは金などの低抵
抗金属からなることが望ましい。また、この配線層5に
1GHz以上の高周波信号を伝送する場合には、高周波
信号が損失なく伝送されることが必要となるため、配線
層5は周知のストリップ線路、マイクロストリップ線
路、コプレーナ線路、誘電体導波管線路のうちの少なく
とも1種から構成される。
基板1の底面には、接続用電極層6が被着形成されてお
り、パッケージA内の配線層5と接続されている。そし
て、接続用電極層6には、半田などのロウ材7によりボ
ール状端子8が被着形成されている。
実装するには、図2に示すように、ポリイミド樹脂、エ
ポキシ樹脂、フェノール樹脂などの有機樹脂を含む絶縁
材料からなる絶縁基板9の表面に配線導体10が形成さ
れた外部回路基板Bに対して、ロウ材を介して実装され
る。具体的には、パッケージAにおける絶縁基板1の底
面に取付けられているボール状端子8と、外部回路基板
Bの配線導体10とを当接させてPb−Snなどの半田
等のロウ材11によりロウ付けして実装される。また、
ボール状端子8自体を溶融させて配線導体10と接続さ
せてもよい。
4をロウ付けや接着剤により実装したり、このようなボ
ール状端子8を介在したロウ付けによりプリント基板等
の外部回路基板に実装されるような表面実装型のパッケ
ージにおいて、GaAs等のチップ部品や外部回路基板
の絶縁基板との熱膨張差を従来のセラミック材料よりも
小さくできることから、かかる実装構造に対して、熱サ
イクルが印加された場合においても、実装部での応力の
発生を抑制することができる結果、実装構造の長期信頼
性を高めることができる。
相を析出可能な結晶化ガラスを準備した。 ガラスA:SiO250重量%−Al2O35.5重量% −MgO18.5重量%−CaO26重量% ガラスB:SiO252重量%−Al2O35重量% −MgO18重量%−CaO25重量%
平均粒径が5μmのクオーツあるいは平均粒径が2μm
のアモルファスシリカ粉末を用いて、表1、表2の組成
となるように混合した。そして、この混合物に有機バイ
ンダ、可塑剤、トルエンを添加し、スラリーを調製した
後、このスラリーを用いてドクターブレード法により厚
さ300μmのグリーンシートを作製した。そして、こ
のグリーンシートを10〜15枚積層し、50℃の温度
で100kg/cm2の圧力を加えて熱圧着した。得ら
れた積層体を水蒸気含有/窒素雰囲気中、700℃で脱
バインダ処理を行った後、乾燥窒素中で表1、表2の条
件で焼成し絶縁基板用磁器を得た。
以下の方法で評価した。測定は形状、直径2〜7mm、
厚み1.5〜2.5mmの形状に切り出し、60GHz
にてネットワークアナライザー、シンセサイズドスイー
パーを用いて誘電体円柱共振器法により行った。測定で
は、NRDガイド(非放射性誘電体線路)で、誘電体共
振器の励起を行い、TE021、TE031モードの共振特性
より、誘電率、誘電損失を算出した。
線をとり、熱膨張係数を算出した。さらに、焼結体中に
おける主たる結晶相をX線回折チャートから同定した。
結果は表1、表2に示した。
分として、クォーツおよび/またはアモルファスシリカ
に代わり、ZrO2粉末、CaZrO3粉末を用いて同様
に磁器を作製し評価した(試料No.11〜13、31〜
33)。また、上記結晶化ガラスA、Bに代わり、以下
の組成からなるガラスCを用いて同様に評価を行った
(試料No.34、35)。
2 O3 2.5重量% −B2 O3 45.3重量%−CaO35.2重量% −Na2 O6.6重量%
O2、Al2O3、MgOおよびCaOを含むガラス量
が、95重量%を越える試料No.1、21では、誘電
損失が20×10-4を越えてしまい、フィラーであるク
ォーツ、アモルファスシリカ、MgとSiとの複合酸化
物のいずれかの量が所定量を超える試料No.14〜1
6、27では、低温で焼結することが困難であり、緻密
化しなかった。
ラスへの添加成分として、ZrO2やCaZrO3を配合
したものであるが、焼結体中にZrO2やCaZrO3な
どが析出し、誘電損失が増大した。また、ガラスとし
て、B2O3を多く含むガラスCを用いた試料No.34
では溶融してしまい、また、試料No.35では、Bを
含むガラスが多く残留し、誘電損失が大きくなる傾向に
あった。
ォーツ粉末を主として添加した試料No.2〜10、2
0、22〜26、28〜30では、磁器中にクォーツ相
の析出が見られ、また、いずれも熱膨張係数が8.5p
pm/℃以上、60GHzの測定周波数にて、誘電率7
以下、誘電損失が20×10-4以下の優れた特性を有す
るものであった。
スシリカ粉末を主として添加した試料No.17〜19
では、磁器中にアモルファスシリカ相が存在し、また、
いずれも熱膨張係数が5.5ppm/℃以上、60GH
zの測定周波数にて、誘電率5.9以下、誘電損失が2
0×10-4以下、特に10×10-4以下の優れた特性を
有するものであった。
相を析出可能な結晶化ガラスDおよびEに対して、平均
粒径が2μmの表3、4に示す添加物粉末を用いて、焼
成後の磁器が表3、4の組成となるように混合し、実施
例1と同様に磁器を作製し、同様に評価した。結果は、
表3、4に示した。
O35.0重量% −MgO16.1重量%−SrO13.6重量% −CaO15.1重量% ガラスE:SiO247.5重量%−Al2O34.9重
量% −MgO16.1重量%−SrO20重量% −CaO11.5重量%
O2、Al2O3、MgO、SrO、CaOを含むガラス
量が、95重量%を越える試料No.36、56では、
誘電損失が20×10-4を越えてしまい、フィラーであ
るクォーツ、アモルファスシリカ、MgとSiとの複合
酸化物のいずれかの量が所定量を超える試料No.49
〜51、63では、低温で焼結することが困難であり、
緻密化しなかった。
ラスへの添加成分として、ZrO2やCaZrO3を配合
したものであるが、焼結体中にZrO2やCaZrO3な
どが析出し、誘電損失が増大した。
ォーツ粉末を主として添加した試料No.37〜45、
55、57〜62、64〜66では、磁器中にクォーツ
相の析出が見られ、また、いずれも熱膨張係数が8.5
ppm/℃以上、60GHzの測定周波数にて、誘電率
7以下、誘電損失が20×10-4以下の優れた特性を有
するものであった。
スシリカ粉末を主として添加した試料No.52〜54
では、磁器中にアモルファスシリカ相が存在し、また、
いずれも熱膨張係数が5.5ppm/℃以上、60GH
zの測定周波数にて、誘電率5.9以下、誘電損失が2
0×10-4以下、特に10×10-4以下の優れた特性を
有するものであった。
磁器組成物によれば、1000℃以下の低温にて焼成で
きることから、銅などの低抵抗金属による配線層を形成
でき、しかも1GHz以上の高周波領域において、低誘
電率、低誘電損失を有することから、高周波信号を極め
て良好に損失なく伝送することができる。
は、GaAsチップあるいはプリント基板と近似した熱
膨張特性に制御できることから、GaAsチップを実装
した場合、あるいは有機樹脂を含む絶縁基板を具備する
プリント基板などのマザーボードに対してロウ材等によ
り実装した場合において優れた耐熱サイクル性を有し、
高信頼性の実装構造を提供できる。
を説明するための概略図である。
用配線基板の一例である半導体素子収納用パッケージの
実装構造の一例を説明するための概略断面図である。
Claims (13)
- 【請求項1】SiO2、Al2O3、MgOおよびCaO
を含み、ディオプサイド型酸化物結晶相を析出可能なガ
ラスを50〜95重量%と、クォーツおよび/またはア
モルファスシリカを合量で5〜49.9重量%と、Mg
O、MgCO3、Mg(OH)2およびMgとSiとの複
合酸化物の群から選ばれる少なくとも1種をMgO換算
量で0.1〜20重量%との割合で含有することを特徴
とする高周波用磁器組成物。 - 【請求項2】前記ガラスが、SiO245〜55重量%
と、Al2O33〜10重量%と、MgO13〜24重量
%と、CaO20〜30重量%と、からなることを特徴
とする請求項1記載の高周波用磁器組成物。 - 【請求項3】SiO2、Al2O3、MgO、SrOおよ
びCaOを含み、ディオプサイド型酸化物結晶相を析出
可能なガラスを50〜95重量%と、クォーツおよび/
またはアモルファスシリカを合量で5〜49.9重量%
と、MgO、MgCO3、Mg(OH)2およびMgとS
iとの複合酸化物から選ばれる少なくとも1種をMgO
換算量で0.1〜20重量%との割合で含有することを
特徴とする高周波用磁器組成物。 - 【請求項4】前記ガラスが、SiO245〜55重量%
と、Al2O33〜10重量%と、MgO13〜24重量
%と、SrO10〜24重量%と、CaO8〜20重量
%と、からなることを特徴とする請求項3記載の高周波
用磁器組成物。 - 【請求項5】少なくともSi、Al、Mg、Caを含む
ディオプサイド型酸化物結晶相を主結晶相として、Si
O2相と、MgSiO3結晶相および/またはMg2Si
O4結晶相とを含有し、且つ室温から400℃における
熱膨張係数が5.5ppm/℃以上、誘電率が7以下、
60〜77GHzでの誘電損失が20×10-4以下であ
ることを特徴とする高周波用磁器。 - 【請求項6】前記SiO2相として、クォーツ結晶相を
含有し、室温から400℃における熱膨張係数が8.5
ppm/℃以上であることを特徴とする請求項5記載の
高周波用磁器。 - 【請求項7】前記SiO2相として、アモルファスシリ
カ相を含有し、誘電率が5.9以下であることを特徴と
する請求項5記載の高周波用磁器。 - 【請求項8】SiO2、Al2O3、MgOおよびCaO
を含み、ディオプサイド型酸化物結晶相を析出可能なガ
ラスを50〜95重量%と、クォーツおよび/またはア
モルファスシリカを合量で5〜49.9重量%と、Mg
O、MgCO3、Mg(OH)2およびMgとSiとの複
合酸化物から選ばれる少なくとも1種をMgO換算量で
0.1〜20重量%とからなる混合物を成形後、800
〜1000℃の温度で焼成してディオプサイド型酸化物
結晶相を主結晶相として析出させることを特徴とする高
周波用磁器の製造方法。 - 【請求項9】前記ガラスが、SiO245〜55重量%
と、Al2O33〜10重量%と、MgO13〜24重量
%と、CaO20〜30重量%と、からなることを特徴
とする請求項8記載の高周波用磁器の製造方法。 - 【請求項10】SiO2、Al2O3、MgO、SrOお
よびCaOを含むディオプサイド型酸化物結晶相を析出
可能なガラス50〜95重量%と、クォーツおよび/ま
たはアモルファスシリカを合量で5〜49.9重量%
と、MgO、MgCO3、Mg(OH)2およびMgとS
iとの複合酸化物から選ばれる少なくとも1種のMgO
換算量0.1〜20重量%とからなる混合物を成形後、
800〜1000℃の温度で焼成してディオプサイド型
酸化物結晶相を主結晶相として析出させることを特徴と
する高周波用磁器の製造方法。 - 【請求項11】前記ガラスが、SiO245〜55重量
%と、Al2O33〜10重量%と、MgO13〜24重
量%と、SrO10〜24重量%と、CaO8〜20重
量%と、からなることを特徴とする請求項10記載の高
周波用磁器の製造方法。 - 【請求項12】少なくともSi、Al、Mg、Caを含
むディオプサイド型酸化物結晶相を主結晶とし、かつS
iO2相と、MgSiO3結晶相および/またはMg2S
iO4結晶相とを含有し、且つ室温から400℃におけ
る熱膨張係数が5.5ppm/℃以上、誘電率が7以
下、60〜77GHzでの誘電損失が20×10-4以下
である高周波用磁器からなる絶縁基板の表面および内部
に配線層を形成するとともに、前記絶縁基板の表面にG
aAs系のチップ部品を実装したことを特徴とするチッ
プ部品実装用パッケージ。 - 【請求項13】前記配線層がストリップ線路、マイクロ
ストリップ線路、コプレーナ線路、誘電体導波管のうち
の少なくとも1種からなることを特徴とする請求項12
記載のチップ部品実装用パッケージ。
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