JP2000103631A - 強化ガラスの製造方法およびその装置 - Google Patents

強化ガラスの製造方法およびその装置

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JP2000103631A
JP2000103631A JP10278376A JP27837698A JP2000103631A JP 2000103631 A JP2000103631 A JP 2000103631A JP 10278376 A JP10278376 A JP 10278376A JP 27837698 A JP27837698 A JP 27837698A JP 2000103631 A JP2000103631 A JP 2000103631A
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glass plate
glass
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cooling
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JP10278376A
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Ken Nomura
謙 野村
Atsushi Nagata
淳 永田
Kazuhiko Ono
和彦 小野
Hagumu Shibata
育 柴田
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Asahi Glass Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B27/00Tempering or quenching glass products
    • C03B27/04Tempering or quenching glass products using gas
    • C03B27/0404Nozzles, blow heads, blowing units or their arrangements, specially adapted for flat or bent glass sheets
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B27/00Tempering or quenching glass products
    • C03B27/04Tempering or quenching glass products using gas
    • C03B27/0413Stresses, e.g. patterns, values or formulae for flat or bent glass sheets

Abstract

(57)【要約】 【課題】 破砕時に破砕数が所定の範囲内に収まりかつ
シャープエッジを含まないようにした強化ガラスの製造
方法および装置を提供する。 【解決手段】 成形温度まで加熱されたガラス板2の表
面を予備冷却装置4で予備冷却した後、ノズル数のライ
ン密度が予備冷却装置4のノズル数のライン密度より大
きい本冷却装置3でガラス板2の表面全体を急冷する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強化ガラスの製造
方法およびその装置に関する。特に、自動車窓用であっ
て、板厚の薄い強化ガラスの製造方法及びその装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】自動車用の窓ガラス(フロントガラスを
除く)には、強化ガラスが用いられている。この場合、
運転者または同乗者の負傷を防ぐために、安全性の面か
ら強化ガラスの割れに対する法規が定められている。こ
うした法規に定められた性能を満足するものでなけれ
ば、自動車の窓ガラスとして使用できないようになって
いる。
【0003】例えば、自動車窓用の強化ガラスの法規に
は、強化ガラスに局部的な衝撃を与えた際の破砕片の状
態についての規制がある。具体的には、衝撃により割れ
たガラス板の破砕片の粒子数が最少である区域と、破砕
片の粒子数が最多である区域とを選定し、これらの区域
での破砕片の最少粒子数および最多粒子数がある許容範
囲に入ることが規定されている。
【0004】この破砕片の最少許容粒子数により、ガラ
ス板が割れて生じる粒子の最大粒度が決まる。最大粒度
が小さければ、ガラス板が割れたとき、大きな破砕片に
より裂傷を受ける危険性が減少する。また、破砕片の最
多許容粒子数により、ガラス板が割れて生ずる破砕片の
最小粒度が決まる。最小粒度が大きければ、ガラスの微
粒子が人体内に入る危険性が減少する。こうした、ガラ
ス板の破損時における破砕片の大きさなどについての規
定は、ECEの標準規格やJIS規格などにある。
【0005】例えばECE標準規格(E6)では、割れ
たガラス板の5cm×5cm正方形内の破砕片の粒子数
が最少で40個、最多で400個であることが要求され
ている(ガラス板の端縁から幅20mmの帯状区域およ
び割れ開始点を中心とする半径75mmの円形区域を除
く)。また、ガラス板が割れた際、端部が尖っていたり
長さが75mmを越える細長い細片を全く含有してはな
らないという必要条件がある。他に、破砕片の面積が3
cm2を超えてはならないという必要条件がある。
【0006】強化ガラスは、ガラス板の軟化点付近の温
度(通常500〜700℃程度)までガラス板を加熱し
た後に、冷却風により急冷して得られる。冷却風は、ガ
ラス板の両面に配された複数の冷却用ノズルから、ガラ
ス板に向けて吹き付けられる。こうして、冷却時にガラ
ス板面とガラス板内部とに温度差をつけ、最終的に固化
されたガラス板面に圧縮応力層を残存させることによっ
て、ガラス板が強化処理される。
【0007】ところで、最近の自動車は、燃費の低減な
どのために軽量化が求められている。それにともない、
ガラス板の厚みを薄くし、軽量化する要求が高まってい
る。板厚が4〜6mm程度の範囲のガラス板では、上記
のガラス板強化方法により比較的容易に上記各規格を満
足できる強化ガラスが得られる。ところが、軽量化の要
求にともない板厚を薄くした場合、上記の強化方法では
各規格を満足できる強化ガラスが得にくかった。その理
由は、板厚が薄いためにガラス板面とガラス板内部とに
十分な温度差を付与できないからである。
【0008】概念的には、ガラス板面とガラス板内部と
の間に十分な温度差を与えるためには、冷却風の圧力を
上げる、ノズルをガラス板に近づける、各ノズル間の距
離(ピッチ)を短くする、などの手段が考えられる。し
かし、冷却風の圧力を上げようとすると、ブロア装置や
コンプレッサに機械的な限界があることから、実現が困
難である。
【0009】一方、ガラス板に衝突する冷却風には、ガ
ラス板に衝突した後の逃げ道が確保される必要がある。
これは、衝突後の冷却風がその場に残留すると、後から
噴射されてくる冷却風のガラス板への衝突を防げること
になり、ガラス板面への均一な吹き付けが困難になるか
らである。上述のノズルピッチを短くしたり、ノズルを
ガラス板に近づけると、ガラス板に衝突した後の逃げ道
を確保できなくなる。
【0010】また、強化処理時には、冷却風の吹き付け
の際にガラス板を揺動させて、ガラス板面の冷却を均一
化させている。そのため、ノズルをガラス板に近づける
と、この揺動動作がノズルによって妨げられる恐れがあ
る。ガラス板が複曲面を有するように曲げ成形されたも
のであると、特にノズルとガラス板との干渉が著しい。
【0011】そこで、ガラス板面に縞状の応力分布を形
成し、かつこの縞に交差する縞状の応力分布を形成する
ことによって、破砕が直進しすぎないように破砕の進行
方向をコントロールすることが提案されている。例え
ば、特開平3−228841号公報にこうした強化ガラ
スについての記載がある。この公報に記載された強化ガ
ラスは、ガラス板の進行方向に縞状の応力分布を設け、
この縞に交差する縞状の応力分布を設けている。そし
て、進行方向に進みやすいクラックを交差する応力分布
の縞により、細片の発生を抑制しようとするものであ
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記公報に
開示された強化ガラスでは、実質的に格子状の応力分布
が形成されることになる。一方で、ガラス板が応力分布
を有するということは、ガラス板に応力歪が残留してい
ることを示す。そのため、単純な縞状の応力分布に比べ
て歪が視認されやすい。
【0013】また、進行方向に交差する縞状の応力分布
を与えるために、上記公報に開示されたガラス板の強化
方法では、加熱炉と本冷却部との間に予備冷却部を配し
ている。予備冷却には固体接触法や風冷法が例示されて
いる。この場合、ガラス板を進行させながら予備冷却す
ることになる。そのため、固体接触法ではガラス板表面
に傷を発生させやすい。
【0014】一方、風冷法ではエアに脈動を与える方法
や摺動させる方法が例示されている。しかし、こうした
方法について具体的に開示がなく、進行方向に交差する
縞状の応力分布を複数本設けるためには、これらの脈動
や摺動の動作をガラス板の進行速度に比べて格段に早く
しなければ実現できないと想定される。
【0015】また、特開昭58−91042号公報に
は、ガラス板に表面圧縮応力の高い領域と低い領域とを
交互に帯状に形成した強化ガラスについての記載があ
る。この強化ガラスは、表面圧縮応力の低い部分の最大
主応力差が80kg/cm2であるとされている。こう
した強化ガラスは、破砕時に細片が発生しにくいとされ
ている。
【0016】しかし、この強化ガラスは、加熱されたガ
ラス板に対し、搬送方向に配列したノズルを有する冷却
装置から、ガラス板の搬送にともない冷却風を吹き付け
て製造するものである。そのため、ガラス板面に冷却風
が吹き付けられる領域が、搬送方向に伸びた帯状の領域
になる。その結果、ガラス板面に帯状の強い歪が観察さ
れてしまう。したがって、この公報に開示された強化ガ
ラスは、強化ガラスの各種規格を満足し得るとしても、
外観品質や透視性が劣化したものであった。
【0017】本発明は上述の実情に鑑みてなしたもの
で、強化ガラスの板厚が薄い場合であっても破砕時にガ
ラス片の破砕数が所定の範囲内に収まりしかも細片を含
まない強化ガラスの製造方法およびその装置を提供する
ことを目的としてなしたものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、ガラス板を加
熱炉内に搬送し成形温度まで加熱し、加熱されたガラス
板を本冷却装置が配された本冷却ゾーンに搬送して、冷
却装置に均一に配された複数のノズル群から噴出される
本冷却風を搬送されてきたガラス板面に吹き付けて急冷
する強化ガラスの製造方法において、予備冷却風を噴出
させるノズルを備えた予備冷却装置を、水平面方向であ
ってガラス板の搬送方向に直交する方向D2に配された
予備冷却装置のノズル数のライン密度が前記本冷却装置
のノズル群のうちのD2方向に配列されたノズル数のラ
イン密度よりも小さくなるように、加熱炉と冷却装置と
の間に配置し、予備冷却装置のノズルから予備冷却風を
噴出させながら、ガラス板を予備冷却装置が配された予
備冷却ゾーンに連続的に搬送して、ガラス板面のD2方
向に延存する縞状領域に予備冷却風を吹き付けることを
特徴とする強化ガラスの製造方法を提供する。
【0019】また、本発明は、ガラス板を成形温度まで
加熱する加熱炉と、該加熱炉の下流側に配されていて加
熱されたガラス板を急冷する冷却装置とを備えた強化ガ
ラスの製造装置において、加熱炉と冷却装置との間には
予備冷却風を噴出するノズルを有する予備冷却装置が配
置されており、該予備冷却装置は、水平面方向であって
ガラス板の搬送方向に直交する方向D2に配された予備
冷却装置のノズル数のライン密度は、前記本冷却装置の
ノズル群のうちのD2方向に配列されたノズル数のライ
ン密度よりも小さいものであり、予備冷却装置が配され
た予備冷却ゾーンに連続的に搬送されるガラス板に予備
冷却装置のノズルから予備冷却風を噴出して、ガラス板
面のD2方向に延存する縞状領域に予備冷却風を吹き付
けるものであることを特徴とする強化ガラスの製造装置
を提供する。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照しつつ説明する。
【0021】図1は本発明の強化ガラスの製造方法およ
びその装置の一例を示す平面図、図2は図1の予備冷却
装置に用いるノズルの正面図である。
【0022】ガラス板2は、加熱装置1内に搬送されて
成形温度、たとえば600〜700℃に加熱される。ガ
ラス板2は、加熱装置1から予備冷却装置を経て、本冷
却装置3まで連続的に搬送される。本冷却装置3が配さ
れている本冷却ゾーンに配送されてきたガラス板2の表
面には、本冷却装置3に配された複数のノズル群6か
ら、本冷却風が吹き付けられる。加熱装置1と本冷却装
置3との間には、予備冷却装置4が設けられている。
【0023】本例における加熱装置1は、D1方向に直
交する方向に湾曲した上に凸のかまぼこ形状の搬送面を
有している。こうして、加熱装置1内に搬送されたガラ
ス板2は、自重により加熱装置1の搬送面に追従するよ
うに曲げ成形される。他に、加熱装置1と予備冷却装置
4との間に別の曲げ成形装置を配置することもできる。
【0024】予備冷却装置4は、水平面方向でガラス板
2の搬送方向D1に対して直交する方向D2に所要の間
隔で配設された複数(図示例では3本)のノズル5を備
えている。ノズル5からは、ガラス板2を予備冷却する
ための空気(予備冷却風)を、ガラス板2のノズル5直
下部に位置する部分に向けて吹き付ける。ガラス板2は
ノズル5の配設方向(D2)に直交する方向(D1)に
連続的に搬送されるので、ガラス板2面上にD1方向へ
向け延在する複数列の縞状領域に予備冷却風が吹き付け
られる。
【0025】一方、本冷却装置3には、複数のノズル群
6が備えられていて、これらのノズル群6から、搬送さ
れてきたガラス板2に本冷却風が吹き付けられる。本例
では、このノズル群6は、D2方向に7本又は8本並ん
でいる。すなわち、本例では、D2方向に配された予備
冷却装置4のノズル数のライン密度が、本冷却装置3の
ノズル群のうちのD2方向に配列されたノズル数のライ
ン密度よりも小さい。
【0026】本発明におけるノズル数のライン密度と
は、D2方向に並んだノズル数である。予備冷却装置4
のノズル5は、加熱装置1(または別途設けられる成形
装置)と本冷却装置3との間の、ごく狭い領域に配され
るものである。一方で、予備冷却装置4のノズル5は必
ずしもD2方向に一直線上に並ぶものではない(例えば
D2方向にやや傾斜した方向に並ぶこともある)。そこ
で、ノズル5の本数自身を予備冷却装置4のノズル数の
ライン密度と考えることができる。なお、仮に予備冷却
装置4のノズル5がD2方向に一直線上にまたはD2方
向にやや傾斜した方向に、2列以上並んでいる場合に
は、ノズル数をさらに列数で割ってやるとよい。
【0027】これに対し、本冷却装置3のノズル群は、
なにがしかの規則性をもって本冷却装置3にまんべんな
く配列されていることが多い。そこで、その規則性を一
単位として、一単位中のノズル5の本数を一単位のD1
方向の幅で割った値を、ノズル数のライン密度とするこ
とができる。他にもいくつかの厳密なライン密度の抽出
法があるが、どれも予備冷却装置4のノズル数のライン
密度に比較して充分区別できるほど大きい。そのため、
本冷却装置3のノズル数のライン密度は、D2方向にだ
いたい何本くらいノズル5が配置されているかを指す指
標という位置付けで充分である。
【0028】所望の平面応力を得るために、ノズル5の
内径dは20mm以下が好ましく、またノズル5下端か
らガラス板2表面までの高さHはdの4〜8倍が好まし
い。ノズル5は、加熱装置1の出口端から本冷却装置3
の上流側所定範囲、すなわち加熱装置1の出口端からガ
ラス板2の温度が530℃以上に保持されている冷却初
期部分の範囲Lの間ならどこへ設けても良い。
【0029】次に、本発明の実施の形態の作用について
図3、4をも参照しつつ説明する。図3は図1に示す方
法および装置により製造された強化ガラス板の一例を示
す概念平面図、図4は図3の例と別の例を示す概念平面
図である。
【0030】ガラス板2は加熱装置1内に搬送されてか
ら600〜700℃に加熱され、予備冷却装置4へ至
る。その後、ガラス板2は、予備冷却装置4が配されて
いる予備冷却ゾーンに連続的に搬送される。一方、予備
冷却装置4のノズル5からは、予備冷却風が噴出されて
いる。ガラス板2が連続的に搬送されていることから、
ガラス板2には、D1方向に複数列の直線状の縞状領域
に予備冷却風が吹き付けられる。
【0031】こうして得られた強化ガラスには、近接周
辺に比べて大きい圧縮の平面応力値を有する領域Aがガ
ラス板面に縞状に形成されている。この場合、この縞状
領域Aが形成されていても、残留する歪により強化ガラ
スの外観や視認性が劣化することはない。これは、予備
冷却装置4のノズル数のライン密度を本冷却装置3のノ
ズル数のライン密度よりも小さくすることによって、次
の2点を両立できるからである。 ・本冷却装置3ではガラス板に均一にノズル群を配置し
て均一な(ノズル直下は除く)急冷をする。 ・予備冷却装置4を加熱装置1(または別途設けられる
成形装置)と本冷却装置3との間の狭い部分に配置し
て、ガラス板の前面における限られた縞状部分の温度を
予め下げる。
【0032】なお、本発明における平面応力は、次のも
のを指す。すでに説明したように、強化ガラスは表面に
圧縮応力層が形成されており、内部に引張応力層が形成
されている。一方で、加熱されたガラス板に冷却風を吹
き付ける場合、ガラス板面において冷却風が強く吹き付
けられる箇所と冷却風が弱く吹き付けられる箇所とが発
生する。その結果、ガラス板の面方向に圧縮応力の大き
い領域と小さい領域とが形成される。その結果、ガラス
板の厚さ方向に並ぶ各点の応力値を積算し板厚で平均化
する(板厚方向の積分平均をとる)と、引張を示す領域
と圧縮を示す領域とが存在する。なお、仮にガラス板が
面方向について均一に冷却されれば、理論的にはガラス
板面のどの箇所でも積分平均値は0になる。
【0033】本発明において、ガラス板は均一に冷却さ
れないので、上記の積分平均値が圧縮を示す領域と引張
を示す領域とが存在する。一方で、各点における応力は
ガラス板面方向についてあらゆる方向に発生している。
そのため、あらゆる方向のうち応力値が最大になる方向
とこの方向に直交する応力値が最小になる方向とが存在
する。そこで、本発明では、ガラス板面内についての圧
縮を示す箇所においての、ガラス板の板厚方向に並ぶ各
点の応力値の最大値から最小値を引いた値の積分平均値
を、平面応力値と呼ぶ。
【0034】予備冷却装置4で、ガラス板に縞状に予備
冷却される領域が設けられると、本冷却時には、縞状領
域の温度が他の領域の温度に比べてすでに下がってい
る。そのため、本冷却時の縞状領域の温度降下勾配が他
の領域の温度降下勾配に比べて小さい。その結果、本冷
却後にガラス板面に縞状の平面応力を有する領域が形成
される。
【0035】こうして、残留する歪による外観や視認性
を犠牲にすることなく、ガラス板2が薄板の場合であっ
ても、破砕数が所定の範囲内に収まり、しかもシャープ
エッジの発生のない強化ガラスの製造が可能となる。
【0036】ガラス板2に形成される縞状領域Aは、図
3に示すように長手方向に連続的であっても、あるいは
図4に示すように長手方向へ断続的であっても良い。縞
状領域Aを図4に示すように断続的に形成する場合に
は、ノズル5からガラス板2に吹き付ける予備冷却風を
オン、オフにより断続的に噴出させる。図3、4のいず
れの場合においても、平面応力値σとしては0よりも大
きく100kgf/cm2よりも小さい値(0<σ≦1
00)とする。
【0037】図5は、本発明の強化ガラスの製造方法お
よびその装置の他の例を示す平面図である。図5に示す
方法および装置は、図1に示したものと装置の配置位置
や搬送方向が異なるだけで原理的には同じである。図5
に示す方法および装置で製造された強化ガラスには、近
接周辺に比べて圧縮の平面応力値の大きい部分で形成さ
れる複数列の縞状領域Aが、連続的(図6)または断続
的(図7)に、ガラス板面に形成されている。
【0038】前記実施例では、加熱装置1、予備冷却装
置4、本冷却装置3は直線的に配置されていてガラス板
2も直線的に搬送される場合について説明した。しかし
本実施例においては、加熱時に加熱装置1で搬送される
ガラス板2の搬送方向D1と予備冷却時および冷却時に
予備冷却装置4および本冷却装置3で搬送されるガラス
板2の搬送方向D1’とは、平面的に見て90度角度が
異なっている。この場合、D2はD1’に直交する方向
である。
【0039】このようにしても、予備冷却装置4で予備
冷却することによって、強化ガラスに縞状領域Aを形成
することができる。このため、残留する歪による外観や
視認性を犠牲にすることなく、ガラス板2が薄板の場合
であっても、破砕数が所定の範囲内に収まり、しかもシ
ャープエッジの発生のない強化ガラスを製造することが
できる。
【0040】なお、本発明は上述の実施例に限定される
ものではなく、次のような変形が可能である。すなわ
ち、本冷却装置3ではガラス板2の表面全体を急冷する
ようにしているが、領域Aに該当しない部分のみ急冷す
るようにしても良い。
【0041】また、1枚のガラス板2に形成する領域A
の列数は図3、6、7の場合は3列、図4の場合は4列
としている。すなわち、予備冷却装置4のノズルを相当
する本数にしているが、予備冷却装置4のノズル数のラ
イン密度が本冷却装置3のノズル数のライン密度よりも
小さければ、その数は限定されない(場合によっては、
1本のこともある)。
【0042】予備冷却風は、ガラス板の上方からだけで
なく下方から吹き付けるようにしても、あるいは上、下
両方向から吹き付けるようにしても良い。
【0043】平面応力値は次のように測定される。基本
的には、強化ガラスに円偏光光線を入射させ、強化ガラ
スの歪の影響で楕円偏光となった透過光の偏光状態を測
定することによって、平面応力値を求める。光源から発
せられた光線は、偏光子を通過させて直線偏光になる。
その後、1/4波長板を透過させて円偏光とする。強化
ガラスの背後には検光子を配置する。
【0044】強化ガラスは、入射する光線に対し垂直に
配しておく。強化ガラスに入射した円偏光光線は、強化
ガラスを透過し、強化ガラスの応力歪に応じて楕円偏光
となる。こうして得られた楕円偏光光線を、回転する検
光子を通した後に光検出器の出力を測定することによ
り、楕円偏光の状態を知ることができる。
【0045】得られた楕円偏光の状態から平面応力値σ
は次のように求められる。光検出器の出力I(φ)は式
(1)で与えられる(ただし、kは比例定数、φは検光
子の回転角度、δは主応力差に対応する位相差であ
る)。
【0046】光検出器の出力の最小値Iminと最大値Im
axとの比は楕円率Rである。Rとδとは式(2)すなわ
ち式(3)の関係にある(δ>0とする)。
【0047】すなわち、楕円偏光の楕円率Rと検光子の
回転角度φ(最大、最小の出力値が得られるときの楕円
の長軸角度)を求めることにより、平面応力値σを求め
ることができる。
【0048】なお、平面応力値σとこれに対応するδと
の関係は式(5)で表される。ここで、cは光弾性定数
(=2.63nm/cm/kg/cm2)、tは強化ガ
ラスの板厚、λは光源から発せられる光の波長である。
【0049】
【数1】 I(φ)=k{1−sinδ・sin2(θ−φ)} ・・・(1) R=Imin/Imax=(1−sinδ)/(1+sinδ)・・・(2) δ=sin-1{(1−R)/(1+R)} ・・・(3) Δσ=λδ/(360ct) ・・・(4)
【0050】本発明の方法および装置は、板厚が2.3
〜5.0mmのガラス板の強化処理に、有益である。特
に、板厚が2.3〜3.5mmのガラス板のように、従
来破砕に関する規格を満足させることが煩雑であったガ
ラス板に対し、本発明を用いることは有効である。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、D2方向に配された予
備冷却装置のノズルの本数を本冷却装置のノズル群のう
ちのD2方向に配列された本数よりも少ない数として、
予備冷却装置のノズルから予備冷却風を噴出させなが
ら、ガラス板面のD2方向に延存する縞状領域に予備冷
却風を吹き付けるので、残留する歪が目立つことなく、
かつ薄い板厚のガラス板であっても破砕に関する規格を
満足する強化ガラスを得ることができる。
【0052】また、ガラス板面の縞状の領域に予備冷却
風を吹き付ける予備冷却装置のノズルを配置するだけな
ので、運転動作や設備構成を簡便にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の強化ガラスの製造方法およびその装置
の一例を示す平面図である。
【図2】図1の予備冷却装置に用いるノズルの正面図で
ある。
【図3】図1に示す方法および装置により製造された強
化ガラスの一例を示す概念平面図である。
【図4】図1に示す方法および装置により製造された強
化ガラスの別の例を示す概念平面図である。
【図5】本発明の強化ガラスの製造方法およびその装置
の他の例を示す平面図である。
【図6】図5に示す方法および装置により製造された強
化ガラスの一例を示す概念平面図である。
【図7】図5に示す方法および装置により製造された強
化ガラスの別の例を示す概念平面図である。
【符号の説明】
1 加熱装置 2 ガラス板 3 本冷却装置 4 予備冷却装置 A 縞状領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小野 和彦 愛知県知多郡武豊町字旭1番地 旭硝子株 式会社内 (72)発明者 柴田 育 愛知県知多郡武豊町字旭1番地 旭硝子株 式会社内 Fターム(参考) 4G015 CA05 CB01 CC01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス板を加熱炉内に搬送し成形温度ま
    で加熱し、加熱されたガラス板を本冷却装置が配された
    本冷却ゾーンに搬送して、冷却装置に均一に配された複
    数のノズル群から噴出される本冷却風を搬送されてきた
    ガラス板面に吹き付けて急冷する強化ガラスの製造方法
    において、予備冷却風を噴出させるノズルを備えた予備
    冷却装置を、水平面方向であってガラス板の搬送方向に
    直交する方向D2に配された予備冷却装置のノズル数の
    ライン密度が前記本冷却装置のノズル群のうちのD2方
    向に配列されたノズル数のライン密度よりも小さくなる
    ように、加熱炉と冷却装置との間に配置し、予備冷却装
    置のノズルから予備冷却風を噴出させながら、ガラス板
    を予備冷却装置が配された予備冷却ゾーンに連続的に搬
    送して、ガラス板面のD2方向に延存する縞状領域に予
    備冷却風を吹き付けることを特徴とする強化ガラスの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 ガラス板を成形温度まで加熱する加熱炉
    と、該加熱炉の下流側に配されていて加熱されたガラス
    板を急冷する冷却装置とを備えた強化ガラスの製造装置
    において、加熱炉と冷却装置との間には予備冷却風を噴
    出するノズルを有する予備冷却装置が配置されており、
    該予備冷却装置は、水平面方向であってガラス板の搬送
    方向に直交する方向D2に配された予備冷却装置のノズ
    ル数のライン密度は、前記本冷却装置のノズル群のうち
    のD2方向に配列されたノズル数のライン密度よりも小
    さいものであり、予備冷却装置が配された予備冷却ゾー
    ンに連続的に搬送されるガラス板に予備冷却装置のノズ
    ルから予備冷却風を噴出して、ガラス板面のD2方向に
    延存する縞状領域に予備冷却風を吹き付けるものである
    ことを特徴とする強化ガラスの製造装置。
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