JP2000101345A - 電圧制御発振器 - Google Patents

電圧制御発振器

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JP2000101345A
JP2000101345A JP10285945A JP28594598A JP2000101345A JP 2000101345 A JP2000101345 A JP 2000101345A JP 10285945 A JP10285945 A JP 10285945A JP 28594598 A JP28594598 A JP 28594598A JP 2000101345 A JP2000101345 A JP 2000101345A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧電バルク振動素子または弾性表面波共振器
を発振素子として有するVCO(電圧制御発振器)にお
いて、中心周波数2GHz帯での実用的な動作を可能と
し、かつ、十分な周波数可変幅を実現する。また、この
ようなVCOの小型化を実現する。 【解決手段】 圧電バルク振動素子または弾性表面波共
振器を備える発振素子と、一対の電極に挟まれた強誘電
性薄膜または反強誘電性薄膜を備える可変容量素子とを
有し、前記発振素子と前記可変容量素子とが直列接続さ
れており、前記可変容量素子の両端に印加される制御電
圧によりインピーダンス特性が制御される電圧制御発振
器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動体通信機器等
に利用される電圧制御発振器に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、800MHz帯から1.9GHz帯を利
用した携帯電話、PHS等の移動体通信が急速に普及
し、加入者増に対応するため、また、世界共通の電話を
実現するため、IMT2000システム等の新しい規格
の導入が検討されている。このIMT2000システム
では、フェーズ1として、最大ビットレートが2Mbpsま
でのシステムの導入が検討されている。このシステムで
は、帯域幅を5MHz/10MHz/20MHzに広げた広帯域
CDMA方式と、周波数ホッピングを盛り込んだTDM
A方式とが検討された。前者は、直接拡散符号を用いて
いるため、電波の多重伝搬路の干渉により現状では使用
帯域幅の限界が5MHzから10MHzといわれており、新た
な干渉キャンセル技術の開発が不可欠である。後者は、
周波数ホッピングのための高速な周波数シンセサイザが
必要であり、この周波数シンセサイザには、中心周波数
2GHz帯で動作し、周波数可変幅が5MHzから20MHz
(規格化周波数可変幅0.25%から1%)であるVC
O(電圧制御発振器)回路が必要である。
【0003】これらのシステムの端末には、利便性を向
上させるために従来よりも小型であることが強く要求さ
れている。端末の小型化には、使用する部品の小型化が
不可欠である。周波数シンセサイザに用いられるVCO
回路の小型化については、従来のディスクリート部品か
ら、ベアチップ実装、さらにはモノリシック化が有効で
あると考えられているが、さまざまな課題を克服する必
要があり、実用化はなかなか進んでいない。
【0004】ところで、単結晶圧電材料を用いた圧電バ
ルク振動素子や弾性表面波共振器は、小型、無調整、高
Qで共振損失が小さいなどの特徴があり、バラクタダイ
オードと組み合わせてVCO回路に利用されている。
【0005】しかし、LiTaO3等の単結晶を用いた
圧電バルク振動素子を利用したVCO回路は、その使用
可能な周波数範囲が数百メガヘルツ以下なので、2GHz
帯を利用する通信システムへの適用は不可能である。一
方、弾性表面波共振器を用いたVCO回路は、900MH
z帯まで研究されている。しかしながら、周波数可変素
子のキーパーツであるバラクタダイオードは、2GHz帯
の周波数では、抵抗成分が増大し、Qが大幅に低くな
り、C/Nが低下し、実用的な特性は得られない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、圧電
バルク振動素子または弾性表面波共振器を発振素子とし
て有するVCO(電圧制御発振器)において、中心周波
数2GHz帯での実用的な動作を可能とし、かつ、十分な
周波数可変幅を実現することである。また、本発明の他
の目的は、このようなVCOの小型化を実現することで
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記(1)
〜(7)の本発明により達成される。 (1) 圧電バルク振動素子または弾性表面波共振器を
備える発振素子と、一対の電極に挟まれた強誘電性薄膜
または反強誘電性薄膜を備える可変容量素子とを有し、
前記発振素子と前記可変容量素子とが直列接続されてお
り、前記可変容量素子の両端に印加される制御電圧によ
りインピーダンス特性が制御される電圧制御発振器。 (2) 一対の電極に挟まれた圧電性薄膜を有する圧電
バルク振動素子と、一対の電極に挟まれた強誘電性薄膜
または反強誘電性薄膜を有する可変容量素子とが、基板
上に隣接して配置されている上記(1)の電圧制御発振
器。 (3) 圧電性薄膜および櫛型電極を備える弾性表面波
共振器と、一対の電極に挟まれた強誘電性薄膜または反
強誘電性薄膜を備える可変容量素子とが、基板上に隣接
して配置されている上記(1)の電圧制御発振器。 (4) 前記可変容量素子に、強誘電性薄膜または反強
誘電性薄膜の蓄積電荷量の履歴曲線における飽和電圧以
上の電圧を印加した後、制御電圧を印加するか、また
は、前記飽和電圧を印加した状態で、その飽和電圧とは
逆極性の制御電圧を印加することによりインピーダンス
特性が制御される上記(1)〜(3)のいずれかの電圧
制御発振器。 (5) 前記強誘電性薄膜および前記反強誘電性薄膜が
エピタキシャル膜である上記(1)〜(4)のいずれか
の電圧制御発振器。 (6) 前記強誘電性薄膜がPb含有ペロブスカイト結
晶またはBaTiO3結晶を含み、前記反強誘電性薄膜
がPbZrO3結晶を含む上記(1)〜(5)のいずれ
かの電圧制御発振器。 (7) 位相同期ループにおける電圧制御発振器として
用いられる際に、位相同期ループを動作させるときの入
力設定周波数が、前記可変容量素子に飽和電圧を印加し
たときの発振周波数と一致するか、または、前記可変容
量素子に、前記飽和電圧以上の電圧が印加された後に位
相同期ループで使用される上記(1)〜(6)のいずれ
かの電圧制御発振器。
【0008】
【発明の実施の形態】第1実施例 図1に、発振素子として圧電バルク振動素子を利用した
VCOの実施例を示す。
【0009】このVCOは、ダイヤフラム1が形成され
たSi(100)単結晶基板(以下、単にSi基板とい
う)2を有し、Si基板2上に、酸化シリコン層/酸化
ジルコニウム層/チタン酸バリウム層からなるバッファ
層3、白金からなる下地電極4、PZTからなる強誘電
性・圧電性薄膜5およびAuからなる上部電極61、6
2をこの順で有する。
【0010】ダイヤフラム1は、Si基板2を図中下面
側からエッチングすることにより形成したものであり、
厚さは20μmである。
【0011】強誘電性・圧電性薄膜5は、フォトリソグ
ラフィー技術により部分的にエッチングしてある。エッ
チングした領域は、ダイヤフラム1上を除く領域の一部
である。強誘電性・圧電性薄膜5の厚さは0.7μmで
あり、エッチング領域では0.6μmである。上部電極
61は、エッチング領域上に存在し、上部電極62は、
ダイヤフラム1上に存在する。強誘電性・圧電性薄膜5
は、多元蒸着法により形成したが、MBE法やRFマグ
ネトロンスパッタ法などによって形成することもでき
る。この強誘電性・圧電性薄膜5が、後述するエピタキ
シャル膜であることは、RHEEDにより確認した。X
線回折による分析では、この薄膜は90°ドメインが形
成された(001)配向膜であり、ピーク強度比は、
(100)/(001)=0.98であった。また、蛍
光X線による組成分析の結果、膜中の原子比はZr:T
i=23.8:76.2であった。
【0012】このVCOにおいて、強誘電性・圧電性薄
膜5のエッチングされた領域と、これを挟む下地電極4
および上部電極61とが、可変容量素子を構成する。ま
た、ダイヤフラム1上の強誘電性・圧電性薄膜5と、こ
れを挟む下地電極4および上部電極62とが、圧電バル
ク振動素子を構成する。両素子において強誘電性・圧電
性薄膜5の厚さが異なるのは、それぞれの素子に最適化
したためである。なお、上部電極61の寸法は14μm
角であり、上部電極62の寸法は15μm角である。ま
た、上部電極61は、圧電バルク振動素子のインピーダ
ンス特性への影響がないように、上部電極62の端から
約200μm離れた位置に設けてある。
【0013】可変容量素子の誘電率をウエハープローバ
で測定したところ、約240ε0であった。ここで、ε0
は真空の誘電率である。
【0014】なお、図1に示すSi基板2ならびにその
上の薄膜および電極は、Siウエハをエッチングしてダ
イヤフラムを形成し、Siウエハ上に電極および薄膜を
形成した後、ダイシング装置を用いてチップに分割する
ことにより作製した。
【0015】Si基板2の下面は、ダイボンド剤10に
よりパッケージ11の底面に接着され、パッケージ11
の上部は蓋13により封止されている。パッケージ11
内には、外部と連絡する外部接続端子A、B、Cが存在
し、これらは、ワイヤ12を介して上部電極61、下地
電極4、上部電極62とそれぞれ電気的に接続して、可
変容量素子と圧電バルク振動素子とを直列に接続してい
る。図4に、このVCOの動作を説明するための電気的
等価回路を示す。図4において、可変容量素子202と
発振素子(圧電バルク振動素子)201とは直列に接続
されている。図4に示すA、B、Cは、図1に示す外部
接続端子A、B、Cに対応する。
【0016】このVCOにおいて、パッケージ11の外
部端子を利用し、Sawyer-Tower法に基づいて、可変容量
素子の上部電極61と下地電極4との間に最大振幅5V
程度の低周波電圧を印加したところ、図2に示す蓄積電
荷量の履歴曲線14が得られた。図2から、この場合の
飽和電圧が約4Vであることがわかる。また、この履歴
曲線14の傾きから、図3に示す容量の印加電圧依存性
曲線15を得た。図3の縦軸は、印加電圧が零のときの
容量で規格化してある。この可変容量素子は、低周波電
圧や直流電圧を印加した後でも、履歴曲線や容量の経時
変化が小さく、可変容量素子として十分に実用に耐える
ことが判明した。
【0017】図4を用いて、このVCOの動作を説明す
る。能動回路200は、負性抵抗−Rcと容量リアクタ
ンスXcとをもち、発振素子201はインピーダンスR
e(w)+jXe(w)をもち、可変容量素子202は
インピーダンスR(V)+jX(V)をもつとしてあ
る。ここでVは、可変容量素子202に印加する電圧を
表す。このVCO回路の発振条件は、R(V)+Re
(w)<|Rc|およびXe(w)+X(V)=Xcで
あることが知られており、また、高周波帯で使用可能な
能動回路のXcは、一般的に30〜100Ω程度の値を
もつことも知られている。
【0018】第1実施例における可変容量素子の飽和電
圧である4Vを図4のAB間に印加したときのAC間に
おけるインピーダンスの共振特性を、図5に示す。図
中、インピーダンスの実数部、虚数部、絶対値をそれぞ
れ、曲線23、24、25で示す。本実施例では、強誘
電性・圧電性薄膜5がエピタキシャル膜なので、可変容
量素子の損失が極めて小さくなり、その結果、共振周波
数近傍におけるインピーダンスの実数部が数オーム以下
となり、発振条件の一部であるR(V)+Re(w)<
|Rc|を十分に満たしている。
【0019】図6に、図4のAB間の印加電圧(制御電
圧)を変化させたときの、AC間におけるインピーダン
スの絶対値および虚数部の変化を示す。同図において、
曲線26、27、28は、制御電圧がそれぞれ3.5
V、1.3V、−0.5Vのときのインピーダンスの絶対
値を表し、曲線29、30、31は、制御電圧がそれぞ
れ3.5V、1.3V、−0.5Vのときのインピーダン
スの虚数部を表す。なお、この測定は、飽和電圧である
4VをAB間に印加した後に行った。能動回路のリアク
タンスXcを一般的な値である50Ωに設定し、AB間
の制御電圧を3.5Vから−0.5Vまで変化させたと
き、発振条件を満たす周波数を図6から見積もると、
2.042GHzから2.020GHzまで変化することがわ
かる。これを規格化周波数可変幅に直すと、約1%とな
る。
【0020】また、図4のAB間に、可変容量素子のも
う一方の飽和電圧である−4Vを印加した後、能動回路
のリアクタンスXcを50Ωと設定し、制御電圧を−
3.5V、−1.3V、+0.5Vと変化させると、発振
条件を満たす周波数は2.042GHzから2.020GHz
まで変化した。この場合も、規格化周波数可変幅が約1
%となる。
【0021】図13に、位相同期ループの概念図を示
す。この位相同期ループは、位相差検出器(位相位相比
較器)100、ループフィルタ101、増幅器102お
よびVCO103からなる。この位相同期ループを動作
させると、まず、VCO103の入力電圧が零に設定さ
れた自走周波数で発振し、その後、入力信号の設定周波
数に引き込まれる。この実施例のVCOを図13に示す
VCO103として用い、図4のAB間に直流電圧5V
を印加してから位相同期ループを動作させると、増幅器
102からフィードバックされたVCOへの入力電圧が
零で発振し始め、VCOの出力周波数は2.042GHz
となり、この周波数より低い周波数に設定した入力周波
数に自動的に引きこまれた。
【0022】ここでは図4のAB間に直流電圧を印加し
たが、強誘電性薄膜の自発分極が追随しない低周波電圧
を印加してもよい。また、制御電圧を印加する前にAB
間に印加する電圧は、蓄積電荷量の履歴曲線における飽
和電圧以上の電圧であればよい。飽和電圧以上の電圧を
印加すれば、図2に示すような定まった履歴曲線を利用
できるので、制御電圧に対応する安定した発振周波数が
得られる。また、絶対値が飽和電圧以上であれば、AB
間に印加する電圧はマイナス側であってもよく、例え
ば、印加電圧を−5Vとしてもよい。なお、制御電圧
は、飽和電圧以下とする。
【0023】また、AB間に前記飽和電圧を印加しなが
ら制御電圧を印加する構成としてもよい。この場合、A
B間に飽和電圧を印加しながら、別の回路を用いてAB
間に制御電圧を印加する。この場合、制御電圧は飽和電
圧に対し逆極性とし、AB間の電圧が飽和電圧を超えな
いようにする。この構成においても、制御電圧に対応す
る安定した発振周波数が得られる。
【0024】位相同期ループでは、まず、VCOへの入
力電圧が零の自走周波数で発振するため、従来のVCO
を本発明のVCOに単に置き換えた場合、可変容量素子
に電圧が印加されず、制御電圧に対応する安定した発振
周波数が得られない場合がある。しかし、上記したよう
にAB間にいったん電圧を印加した後、制御電圧を印加
するか、電圧を印加しながら制御電圧を印加することに
より、正確な動作が可能となる。
【0025】また、本発明のVCOを位相同期ループに
適用する場合、位相同期ループを動作させるときの入力
設定周波数を、可変容量素子に上記飽和電圧を印加した
ときの発振周波数と一致させる構成としてもよい。この
場合には、上記飽和電圧に相当する電圧が可変容量素子
に自動的に印加されるため、正確な動作が可能となる。
そして、その後に、入力設定周波数を所望の値に設定す
ればよい。
【0026】上記したように、本発明では発振素子に可
変容量素子を接続し、図4のAB間に制御電圧を印加す
ることによりAC間のインピーダンスを変化させて、発
振周波数を変更可能とする。本発明のVCOには、携帯
電話等で利用されている5V以下程度の低電圧を制御電
圧として用い、2GHz前後の高周波域において規格化周
波数可変幅1%程度以上を実現できることが要求され
る。そこで、このような要求を満足するために可変容量
素子に必要とされる特性について考察する。
【0027】前述したように図6には、図4のAB間の
制御電圧を変化させたときのAC間のインピーダンス変
化を示してある。図6において、曲線29、30、31
は、制御電圧がそれぞれ3.5V、1.3V、−0.5V
のときのインピーダンス虚数部の周波数応答を表す。図
6に示されるように、同一周波数で比較したとき、イン
ピーダンス虚数部は制御電圧が増大するにしたがって低
下する。可変容量素子を接続しない状態での周波数応答
曲線を基準にすると、制御電圧の増大に伴って周波数応
答曲線は図中垂直方向にほぼ平行に移動する。そして、
この平行移動によるインピーダンス虚数部の低下の度合
いは、可変容量素子の強誘電性薄膜または反強誘電性薄
膜の特性に依存する。具体的には、図3に示される電圧
−規格化容量曲線に固有のものとなる。この電圧−規格
化容量曲線は、薄膜の組成、結晶性、厚さなどに依存す
る。
【0028】図14に、インピーダンス虚数部の周波数
応答曲線を模式的に示す。曲線301は、可変容量素子
を接続しない場合であり、本明細書ではこれを基準曲線
という。曲線302は制御電圧−0.5Vの場合であ
り、基準曲線からの平行移動量(低下量)はd-0.5Ωで
ある。曲線303は制御電圧3.5Vの場合であり、基
準曲線からの平行移動量(低下量)はd3.5Ωである。
可変容量素子における制御電圧を−0.5〜3.5Vの
間で変化させることによる規格化周波数可変幅は、(λ
max−λmin)/λmaxで表される。発振周波数は、能動
回路のリアクタンスXcと等しいインピーダンス値に対
応する周波数なので、ここでは、インピーダンス虚数部
が50Ω(能動回路のXcの一般的な値)となる周波数
を採用する。したがって、λminは曲線302において
50Ωに対応する周波数であり、λmaxは曲線303に
おいて50Ωに対応する周波数である。2GHz程度の高
周波域ではλmax−λminに対しλmaxが著しく大きいた
め、規格化周波数可変幅は実質的にλmax−λminの大き
さで決定されることになる。
【0029】図14において、d3.5−d-0.5をd-0.5
で規格化した値、すなわち(d3.5−d-0.5)/d-0.5
を、本明細書ではインピーダンス虚数部の規格化変化幅
と呼ぶ。(d3.5−d-0.5)/d-0.5は、λmax−λmin
と密接に相関する値である。特定の強誘電性薄膜または
反強誘電性薄膜を備える可変容量素子を接続した場合、
3.5およびd-0.5は可変容量素子の電極面積に依存し
て変化するが、(d3.5−d-0.5)/d-0.5は電極面積
によらず一定となる。(d3.5−d-0.5)/d-0.5が一
定である場合、可変容量素子の電極面積が小さいほどd
3.5およびd-0.5は大きくなる。インピーダンス応答曲
線が直線であれば、(d3.5−d-0.5)/d- 0. 5が一定
の条件下でd3.5およびd-0.5が増大すると、λmaxおよ
びλminが高周波側に移動すると共にλmax−λminが大
きくなって規格化周波数可変幅が大きくなるが、実際に
はインピーダンス応答曲線は高周波側ほど傾きが増大す
る。このため、可変容量素子の電極面積がある程度小さ
くなると、λmax−λminは減少に向かうことになる。一
方、電極面積が大きくなるほどd3.5およびd-0.5は小
さくなる。(d3.5−d-0.5)/d-0.5が一定の条件下
でd3.5およびd-0.5が減少すると、λmaxおよびλmin
が低周波側に移動すると共にλmax−λminが小さくなっ
て規格化周波数可変幅が小さくなる。
【0030】したがって、可変容量素子の電極面積を適
宜選択することにより、最大の規格化周波数可変幅が得
られることになる。例えば、14μm角の電極を設けた
場合、 d3.5=199Ω、 d-0.5=109Ω、 (d3.5−d-0.5)/d-0.5=0.82、 λmax=2.042GHz、 λmin=2.020GHz、 規格化周波数可変幅=1.09% となる。これに対し、10μm角の電極を設けた場合、 d3.5=392Ω、 d-0.5=215Ω、 (d3.5−d-0.5)/d-0.5=0.82、 λmax=2.063GHz、 λmin=2.045GHz、 規格化周波数可変幅=0.88% となる。また、30μm角の電極を設けた場合、 d3.5=43.7Ω、 d-0.5=23.9Ω、 (d3.5−d-0.5)/d-0.5=0.82、 λmax=1.989GHz、 λmin=1.978GHz、 規格化周波数可変幅=0.56% となる。すなわち、上記3例の中では、14μm角の電
極を設けた場合以外は、1%以上の規格化周波数可変幅
を得ることはできない。
【0031】なお、(d3.5−d-0.5)/d-0.5は、可
変容量素子の強誘電性薄膜または反強誘電性薄膜の特性
によって決定され、また、最大の規格化周波数可変幅が
得られる電極面積は(d3.5−d-0.5)/d-0.5の値に
対応して変化するため、制御電圧−0.5〜3.5Vの
ときに最大の規格化周波数可変幅を与える電極面積は、
可変容量素子の強誘電性薄膜または反強誘電性薄膜の特
性に応じて求めればよい。ただし、(d3.5−d-0.5
/d-0.5が小さすぎると、適切な電極面積を選んでもλ
max−λminを大きくすることが難しくなる。具体的に
は、圧電材料としてPZTエピタキシャル膜またはKN
bO3単結晶を用いた発振素子(弾性表面波共振器また
は圧電バルク振動素子)と同等のインピーダンス特性を
有する発振素子において、制御電圧を−0.5〜3.5
Vとしたときに規格化周波数可変幅を1%以上とするた
めには、(d3.5−d-0.5)/d-0.5が0.76以上で
あることが好ましい。一方、(d3.5−d-0.5)/d
-0.5が大きすぎると、周波数応答曲線の傾きが大きくな
る周波数領域を使うことになり、この周波数領域ではイ
ンピーダンスの実数部が増大して発振条件R(V)+R
e(w)<|Rc|を満たせなくなる。したがって、
(d3.5−d-0.5)/d-0.5の値は、上記発振条件を満
足する周波数領域において所望の規格化周波数可変幅が
得られるものであればよい。例えば、ここで例示する発
振素子を用いた場合に規格化周波数可変幅を1%以上と
するためには、(d3.5−d-0.5)/d-0.5が1.35
以下であることが好ましい。
【0032】さらに、上記した動作原理から、インピー
ダンス虚数部の周波数応答曲線の傾きが小さいほど、規
格化周波数可変幅を大きくできることがわかる。周波数
応答曲線の傾きは、発振素子の圧電性材料の電気機械結
合係数k2に反比例する。圧電性材料のk2は、薄膜では
PZTエピタキシャル膜が最大であり、単結晶ではKN
bO3が最大である。したがって、これらの圧電性材料
を用いることにより、規格化周波数可変幅を大きくする
ことができる。
【0033】第2実施例 図7に、発振素子として弾性表面波共振器を利用したV
COの実施例を示す。
【0034】このVCOは、Si基板2を有し、Si基
板2上に、酸化シリコン層/酸化ジルコニウム層/チタ
ン酸バリウム層からなるバッファ層3、白金からなる下
地電極4およびPZTからなる強誘電性・圧電性薄膜5
1、52を有する。強誘電性・圧電性薄膜51、52
は、厚さが異なる。強誘電性・圧電性薄膜51上には、
Auからなる上部電極61が設けられ、強誘電性・圧電
性薄膜52上には、それぞれAlからなる櫛形電極63
およびストリップ反射器(図示せず)が設けられてい
る。
【0035】強誘電性・圧電性薄膜51、52は、第1
実施例と同様にして形成した強誘電性・圧電性薄膜を、
フォトリソグラフィー技術によりエッチングすることに
より形成した。強誘電性・圧電性薄膜51の厚さは0.
6μmであり、強誘電性・圧電性薄膜52の厚さは0.
7μmである。
【0036】このVCOにおいて、強誘電性・圧電性薄
膜51と、これを挟む下地電極4および上部電極61と
が、可変容量素子を構成する。また、強誘電性・圧電性
薄膜52と、これを挟む下地電極4および櫛形電極6
3、ストリップ反射器とが、弾性表面波共振器を構成す
る。両素子において強誘電性・圧電性薄膜の厚さが異な
るのは、それぞれの素子に最適化したためである。ま
た、両素子において強誘電性・圧電性薄膜を独立させた
のは、互いへの影響を抑えるためである。上部電極61
の寸法は、35μm角であり、開口長15μmをもつ櫛形
電極63とストリップ反射器とにおいて、線幅は0.4
μmである。櫛形電極63の対数は30、ストリップ反
射器の本数は100とした。櫛形電極63とストリップ
反射器との距離は、中心間距離で0.8μmとした。櫛
形電極63およびストリップ反射器は、弾性表面波の伝
搬方向が図7を垂直に貫くように、かつ、上部電極61
との中心間距離が200μmとなるように配置し、上部
電極61による弾性表面波共振器のインピーダンス特性
への影響がないように配慮した。
【0037】なお、図7に示すSi基板2ならびにその
上の薄膜および電極は、Siウエハ上に電極および薄膜
を形成した後、ダイシング装置を用いてチップに分割す
ることにより作製した。
【0038】Si基板2の下面は、ダイボンド剤10に
よりパッケージ11の底面に接着され、パッケージ11
の上部は蓋13により封止されている。パッケージ11
内には、外部と連絡する外部接続端子A、B、Cが存在
し、これらは、ワイヤ12を介して上部電極61、下地
電極4、櫛形電極63の出力電極パッドとそれぞれ電気
的に接続している。また、櫛形電極63の入力電極パッ
ドは、ワイヤ12を介して下地電極4に接続している。
このVCOにおいても、可変容量素子と発振素子である
弾性表面波共振器とは、直列に接続されている。
【0039】このVCOの可変容量素子について、第1
実施例と同様にして蓄積電荷量の履歴曲線を得、これか
ら飽和電圧を求めたところ、4Vであった。この可変容
量素子においても、図3に示すような容量の印加電圧依
存性が存在する。
【0040】したがって、可変容量素子と弾性表面波共
振器とを直列接続したVCOの動作は、図4を用いて説
明した第1実施例の動作と同じとなる。そこで、可変容
量素子にその飽和電圧である4Vを印加した後、印加電
圧(制御電圧)を3.5Vまたは−0.5Vに設定して、
VCOのAC間におけるインピーダンスの絶対値および
虚数部を測定した。結果を図8に示す。図8において、
曲線44、45は、印加電圧がそれぞれ3.5V、−
0.5Vのときのインピーダンスの絶対値を表し、曲線
46、47は、印加電圧がそれぞれ3.5V、−0.5V
のときのインピーダンスの虚数部を表す。
【0041】ここで、図4における能動回路のリアクタ
ンスXcを一般的な値である50Ωに設定し、印加電圧
を3.5Vから−0.5Vまで変化させたとき、発振条件
を満たす周波数を図8から見積もると、規格化周波数可
変幅が約1%となることがわかる。
【0042】第3実施例 図9(E)に、発振素子として圧電バルク振動素子を用
いたVCOの実施例を示す。
【0043】このVCOは、ダイヤフラム1が形成され
たSi基板2を有し、Si基板2上に、酸化シリコン層
/酸化ジルコニウム層/チタン酸バリウム層からなるバ
ッファ層3、白金からなる下地電極4をこの順で有し、
下地電極4上に、PbZrO3からなる反強誘電性薄膜
53およびその上の上部電極61と、PZTからなる強
誘電性・圧電性薄膜5およびその上の上部電極62と
を、それぞれ有する。ダイヤフラム1および強誘電性・
圧電性薄膜5は、第1実施例と同様にして形成したもの
である。
【0044】強誘電性・圧電性薄膜5および上部電極6
2は、ダイヤフラム1上に存在し、下地電極4とあわせ
て圧電バルク振動素子を構成する。一方、反強誘電性薄
膜53および上部電極61は、ダイヤフラム1上を除く
領域の一部に形成され、下地電極4とあわせて可変容量
素子を構成する。上部電極61は30μm角であり、上
部電極62は15μm角である。上部電極61は、圧電
バルク振動素子のインピーダンス特性への影響がないよ
うに、上部電極62の端から200μm離れた位置に設
けてある。
【0045】ここで、両素子の製造プロセスを、図9
(A)〜図9(D)により説明する。まず、ダイヤフラ
ム1を形成したSi基板2上に、バッファ層3、下地電
極4および強誘電性・圧電性薄膜5を第1実施例と同様
にして形成する。次いで、強誘電性・圧電性薄膜5上
に、エッチング可能な誘電体薄膜54を形成する[図9
(A)]。続いて、誘電体薄膜54および強誘電性・圧
電性薄膜5を、圧電バルク振動素子となる領域を除い
て、フォトリソグラフィー技術により除去する[図9
(B)]。次いで、除去により現れた下地電極4上に、
厚さ約0.6μmの反強誘電性薄膜53を形成する[図
9(C)]。次に、強誘電性・圧電性薄膜5上に残って
いる誘電体薄膜54をエッチングにより除去した後、反
強誘電性薄膜53上に上部電極61を、強誘電性・圧電
性薄膜5上に上部電極62をそれぞれ形成する[図9
(D)]。
【0046】図9(E)において、Si基板2の下面
は、ダイボンド剤10によりパッケージ11の底面に接
着され、パッケージ11の上部は蓋13により封止され
ている。パッケージ11内には、外部と連絡する外部接
続端子A、B、Cが存在し、これらは、ワイヤ12を介
して上部電極61、下地電極4、上部電極62とそれぞ
れ電気的に接続している。このVCOにおいても、可変
容量素子と発振素子である圧電バルク振動素子とは、直
列に接続されている。
【0047】このVCOにおいて、パッケージ11の外
部端子を利用し、Sawyer-Tower法に基づいて、可変容量
素子の上部電極61と下地電極4との間に最大振幅5V
程度の低周波電圧を印加したところ、図10に示す蓄積
電荷量の履歴曲線14が得られた。この履歴曲線は、二
重ヒステリシス曲線となっている。また、この履歴曲線
14の傾きから、容量の印加電圧依存性曲線を得た。こ
の可変容量素子は、低周波電圧や直流電圧を印加した後
でも、履歴曲線や容量の経時変化が小さく、十分に実用
に耐えることが判明した。
【0048】このVCOの動作は、図4を用いて説明し
た第1実施例の動作と同じとなる。このVCOの圧電バ
ルク振動素子は、第1実施例と同一である。このVCO
において、可変容量素子にその飽和電圧である5Vを印
加した後、印加電圧(制御電圧)を5Vから2.5Vまで
変化させてVCOのAC間におけるインピーダンスの絶
対値と虚数部を測定すると、図8と同様な結果が得られ
た。図4に示す能動回路のリアクタンスXcを一般的な
値である50Ωに設定して、発振条件を満たす周波数を
図8から見積もると、規格化周波数可変幅が約1%とな
ることがわかる。
【0049】なお、強誘電性・圧電性薄膜5として、2
重ヒステリシス曲線をもつ強誘電体であるBaTiO3
薄膜を用いた場合でも、可変容量素子として同様な機能
が得られる。
【0050】上記第1、第2および第3実施例では、小
型化および製造工程の簡略化を考慮して、1枚のSi基
板を可変容量素子と発振素子との両方で利用している
が、各素子を別々のSi基板上に形成してもよい。ま
た、下地電極も両素子で共通であるが、下地電極を素子
ごとに独立して設け、両素子をワイヤなどにより直列接
続する構成としてもよい。また、上記各実施例では、強
誘電性・圧電性薄膜をPZTから構成したが、このほ
か、例えば特開平9−321362号公報に記載されて
いる、c軸配向したPb含有ペロブスカイト強誘電性薄
膜を用いることもできる。
【0051】第1実施例および第3実施例では、ダイヤ
フラムの厚さを20μmとしたが、機械的強度を保持で
きる範囲であれば、さらに薄くしてもよい。また、ダイ
ヤフラム上に圧電性薄膜を形成した後、ダイヤフラムを
裏面側からエッチングしてSiを完全に除去してもよ
い。
【0052】第4実施例 図11に、発振素子として弾性表面波共振器を利用した
VCOの実施例を示す。
【0053】このVCOは、可変容量素子と、弾性表面
波共振器とを有し、これらがパッケージ11内に並んで
配置されている。
【0054】可変容量素子は、Si基板2を有し、この
上に、酸化シリコン層/酸化ジルコニウム層/チタン酸
バリウム層からなるバッファ層3、白金からなる下地電
極4、PZTからなる強誘電性・圧電性薄膜5およびA
uからなる上部電極61をこの順で有する。上部電極6
1の寸法は、35μm角である。ダイヤフラム1および
強誘電性・圧電性薄膜5は、第1実施例と同様にして形
成した。
【0055】弾性表面波共振器は、KNbO3単結晶基
板21を有し、この上に、櫛形電極63およびストリッ
プ反射器(図示せず)を有する。櫛形電極63の対数、
ストリップ反射器の本数および両者の中心間距離は、第
2実施例と同じである。
【0056】Si基板2とKNbO3単結晶基板21と
は、ダイボンド剤10によりパッケージ11底面に接着
され、パッケージ11の上部は蓋13により封止されて
いる。パッケージ11内には、外部と連絡する外部接続
端子A、B、Cが存在し、これらは、ワイヤ12を介し
て上部電極61、下地電極4、櫛形電極63の出力電極
パッドとそれぞれ電気的に接続している。また、櫛形電
極63の入力電極パッドは、ワイヤ12を介して下地電
極4に接続している。このVCOにおいても、可変容量
素子と発振素子である弾性表面波共振器とは、直列に接
続されている。
【0057】このVCOにおいて、可変容量素子は第2
実施例における可変容量素子と同一である。したがっ
て、蓄積電荷量の履歴曲線および容量の印加電圧依存性
も同一である。また、可変容量素子と弾性表面波共振器
とを直列に接続したVCOの動作は、図4を用いて説明
した第1実施例の動作と同じとなる。
【0058】そこで、可変容量素子にその飽和電圧であ
る4Vを印加した後、印加電圧(制御電圧)を3.5V、
1.3V、−0.5Vに設定して、VCOのAC間におけ
るインピーダンスの絶対値および虚数部を測定した。結
果を図12に示す。図12において、曲線87、88、
89は、印加電圧がそれぞれ3.5V、1.3V、−0.
5Vのときのインピーダンスの絶対値を表し、曲線9
0、91、92は、印加電圧がそれぞれ3.5V、1.
3V、−0.5Vのときのインピーダンスの虚数部を表
す。
【0059】ここで、図4における能動回路のリアクタ
ンスXcを一般的な値である50Ωに設定し、印加電圧
を3.5Vから−0.5Vまで変化させたとき、発振条件
を満たす周波数を図12から見積もると、規格化周波数
可変幅が約1.2%となることがわかる。
【0060】可変容量素子の各部の構成 次に、本発明のVCOにおける可変容量素子の各部の構
成を、より詳細に説明する。
【0061】基板 本発明で用いる基板の材料は特に限定されないが、好ま
しくは単結晶を用いる。具体的には、例えば、マグネシ
ア、チタン酸ストロンチウム、サファイア、ジルコニ
ア、安定化ジルコニア、ニオブ酸リチウム、タンタル酸
リチウム等の絶縁体や、ガリウム砒素、シリコン等の半
導体などのいずれを用いてもよいが、好ましくはSi単
結晶を用いる。特に、Si単結晶の(100)面が基板
表面となるように用いた場合、特性の優れた機能性エピ
タキシャル膜を形成できる。また、Siは半導体素子に
汎用されているため、本発明のVCOを他の半導体素子
と複合化する場合にも好適である。また、他の半導体素
子と組み合わせて使用する場合でも、基板の熱膨張係数
が一致するので好ましい。例えばMgO基板の熱膨張係
数はSiと一桁異なるので、このような用途に不適当で
ある。また、Siは、比較的安価である。
【0062】強誘電性薄膜、反強誘電性薄膜 本発明のVCOでは、IMT2000システム等の携帯
電話等で使用される数ボルト程度の電圧において、自発
分極変化による誘電率変化を利用して可変容量素子を動
作させるために、強誘電体および反強誘電体として薄膜
を用いる。例えば、バルク単結晶を用いる場合、加工技
術の限度から厚さが200μm以上となるため、数ボル
ト程度の電圧では自発分極変化による誘電率変化は利用
できない。本発明において可変容量素子に用いる強誘電
性薄膜および反強誘電性薄膜の厚さは、数ボルト程度の
電圧を印加したときに自発分極変化による誘電率変化が
利用できるように、すなわち、例えば前記飽和電圧が1
〜9V程度となるように適宜設定すればよいが、通常、
0.1〜20μmとすることが好ましい。
【0063】本発明において、少なくとも可変容量素子
に用いる強誘電性薄膜および反強誘電性薄膜は、以下に
説明するエピタキシャル膜であることが好ましい。Jpn.
J.Appl. Phys. Vol. 36 (1997) pp.6069-6072に記載さ
れているように、従来の強誘電性薄膜、例えば、ゾルゲ
ル法で作製したPZT薄膜は、直流電圧あるいは低周波
電圧印加後の誘電率や圧電特性が、印加電圧の大きさに
よって異なり、再現性に問題があるが、以下に説明する
エピタキシャル膜では、前記実施例に示されるように、
誘電率や圧電特性が直流電圧あるいは低周波電圧印加に
よって影響を受けず、良好な再現性が得られる。
【0064】以下、エピタキシャル膜である強誘電性薄
膜および反強誘電性薄膜を、機能性エピタキシャル膜と
総称する。
【0065】機能性エピタキシャル膜に用いる材料は特
に限定されず、強誘電性または反強誘電性を有するもの
から適宜選択すればよいが、例えば以下の材料が好適で
ある。
【0066】(A)ペロブスカイト型材料:BaTiO
3;PbTiO3、希土類元素含有チタン酸鉛、PZT
(ジルコンチタン酸鉛)、PLZT(ジルコンチタン酸
ランタン鉛)等のPb系ペロブスカイト化合物;Bi系
ペロブスカイト化合物など。以上のような単純、複合、
層状の各種ペロブスカイト化合物。
【0067】(B)タングステンブロンズ型材料:SB
N(ニオブ酸ストロンチウムバリウム)、PBN(ニオ
ブ酸鉛バリウム)等のタングステンブロンズ型酸化物な
ど。
【0068】(C)YMnO3系材料:希土類元素(S
cおよびYを含む)とMnとOとを含み、六方晶系YM
nO3構造をもつ酸化物など。例えば、YMnO3、Ho
MnO3等。
【0069】以下、これらの材料について、より詳細に
説明する。
【0070】ペロブスカイト型材料のうち、BaTiO
3やPb含有ペロブスカイト化合物などは、一般に式A
BO3で表される。ここで、AおよびBは各々陽イオン
を表す。AはCa、Ba、Sr、Pb、K、Na、L
i、LaおよびCdから選ばれた1種以上であることが
好ましく、BはTi、Zr、TaおよびNbから選ばれ
た1種以上であることが好ましい。
【0071】こうしたペロブスカイト型化合物における
原子比A/Bは、好ましくは0.8〜1.3であり、よ
り好ましくは0.9〜1.2である。
【0072】A/Bをこのような範囲にすることによっ
て、誘電体の絶縁性を確保することができ、また結晶性
を改善することが可能になるため、誘電体特性または強
誘電特性を改善することができる。これに対し、A/B
が0.8未満では結晶性の改善効果が望めなくなり、ま
たA/Bが1.3をこえると均質な薄膜の形成が困難に
なってしまう。
【0073】このようなA/Bは、成膜条件を制御する
ことによって実現する。また、ABO3におけるOの比
率は、3に限定されるものではない。ペロブスカイト材
料によっては、酸素欠陥または酸素過剰で安定したペロ
ブスカイト構造を組むものがあるので、ABOxにおい
て、xの値は、通常、2.7〜3.3程度である。な
お、A/Bは、蛍光X線分析法から求めることができ
る。
【0074】本発明で用いるABO3型のペロブスカイ
ト化合物としては、A1+5+3、A2+4+3、A3+
3+3、AXBO3、A(B′0.67B″0.33)O3、A
(B′0.3 3B″0.67)O3、A(B0.5 +30.5 +5)O3
A(B0.5 2+0.5 6+)O3、A(B0.5 1+0.5 7+)O3
3+(B0.5 2+0.5 4+)O3、A(B0.25 1+0.75 5+
3、A(B0.5 3+0.5 4+)O2.75、A(B0.5 2+0.5
5+)O2.75等のいずれであってもよい。
【0075】具体的には、PZT、PLZT等のPb系
ペロブスカイト化合物、CaTiO3、BaTiO3、P
bTiO3、KTaO3、BiFeO3、NaTaO3、S
rTiO3、CdTiO3、KNbO3、LiNbO3、L
iTaO3、およびこれらの固溶体等である。
【0076】なお、上記PZTは、PbZrO3−Pb
TiO3系の固溶体である。また、上記PLZTは、P
ZTにLaがドープされた化合物であり、ABO3の表
記に従えば、(Pb0.890.91La0.110.09)(Zr
0.65Ti0.35)O3で示される。
【0077】また、層状ペロブスカイト化合物のうちB
i系層状化合物は、一般に 式 Bi2m-1m3m+3 で表わされる。上記式において、mは1〜5の整数、A
は、Bi、Ca、Sr、Ba、Pb、Na、Kおよび希
土類元素(ScおよびYを含む)のいずれかであり、B
は、Ti、TaおよびNbのいずれかである。具体的に
は、Bi4Ti312、SrBi2Ta29、SrBi2
29などが挙げられる。本発明では、これらの化合物
のいずれを用いてもよく、これらの固溶体を用いてもよ
い。
【0078】本発明に用いることが好ましいペロブスカ
イト型化合物は、チタン酸塩ないしチタン酸塩含有ペロ
ブスカイト型化合物、例えばBaTiO3、SrTi
3、PLZT、PZT、CaTiO3、PbTiO
3(チタン酸鉛)、希土類元素含有チタン酸鉛等であ
り、より好ましいものはBaTiO3、SrTiO3、P
ZT、PbTiO3、希土類元素含有チタン酸鉛であ
り、特に好ましいものは、R(Rは、Pr、Nd、E
u、Tb、Dy、Ho、Yb、Y、Sm、Gd、Erお
よびLaから選択された少なくとも1種の希土類元
素)、Pb、TiならびにOを含有する希土類元素含有
チタン酸鉛である。
【0079】このような希土類元素含有チタン酸鉛とし
ては、元素の構成比が (Pb+R)/Ti=0.8〜1.3、 Pb/(Pb+R)=0.5〜0.99 の範囲にあるものが好ましい。この組成の希土類元素含
有チタン酸鉛は、特開平10−17394号公報に開示
されている。
【0080】タングステンブロンズ型材料としては、強
誘電体材料集のLandolt-BoernsteinVol.16記載のタング
ステンブロンズ型材料が好ましい。具体的には、(B
a,Sr)Nb26、(Ba,Pb)Nb26、PbN
26、PbTa26、BaTa26、PbNb
411、SrNb26、BaNb26等やこれらの固溶
体が好ましく、特に、SBN{(Ba,Sr)Nb
26}やPBN{(Ba,Pb)Nb26}が好まし
い。
【0081】YMnO3系材料は、化学式RMnO3で表
せる。Rは希土類元素(ScおよびYを含む)から選ば
れた1種以上であることが好ましい。YMnO3系材料
における原子比R/Mnは、好ましくは0.8〜1.2
であり、より好ましくは0.9〜1.1である。このよ
うな範囲にすることにより、絶縁性を確保することがで
き、また結晶性を改善することが可能になるため、強誘
電特性を改善することができる。これに対し、原子比R
/Mnが0.8未満または1.2を超える範囲では、結
晶性が低下する傾向がある。また特に、原子比R/Mn
が1.2を超える範囲では、強誘電性が得られず、常誘
電的特性になる傾向があり、分極を利用した素子への応
用が不可能になってくることがある。このような範囲の
R/Mnは、成膜条件を制御することによって実現でき
る。なお、R/Mnは、蛍光X線分析により求めること
ができる。YMnO3系材料の比誘電率は、バルクで1
0〜50程度、薄膜で10〜100程度である。
【0082】本発明に用いることが好ましいYMnO3
系材料は、結晶構造が六方晶系のものである。
【0083】YMnO3系材料は、六方晶系の結晶構造
を持つものと斜方晶系の結晶構造を持つものとが存在す
る。強誘電性を得るためには、六方晶系の結晶材料とす
る必要がある。具体的には、組成が実質的にYMn
3、HoMnO3、ErMnO3、YbMnO3、TmM
nO3、LuMnO3であるものか、これらの固溶体など
である。
【0084】機能性エピタキシャル膜は、ペロブスカイ
ト結晶構造を有し、少なくとも(001)配向を有する
ことが好ましい。(001)配向では、<001>軸が
機能性エピタキシャル膜の面内方向に垂直であり、ペロ
ブスカイト系の結晶構造を持つPbTiO3系材料の多
くは強誘電性が<001>軸で得られるので、(00
1)面が膜面内に平行である(001)単一配向膜であ
ることがより好ましい。
【0085】なお、本明細書における単一配向膜とは、
基板表面と平行に目的とする結晶面がそろっている結晶
化膜のことを意味する。具体的には、例えば、(00
1)単一配向膜、すなわちc面単一配向膜は、膜の2θ
−θX線回折において、(00L)面以外の反射強度が
(00L)面反射の最大ピーク強度の10%以下、好ま
しくは5%以下のものである。なお、本明細書において
(00L)は、(001)や(002)などの等価な面
を総称する表示である。
【0086】本明細書におけるエピタキシャル膜とは、
基板表面と平行に目的とする結晶面がそろっている結晶
化膜であって、膜面内をX−Y面とし、膜厚方向をZ軸
としたとき、結晶がX軸、Y軸およびZ軸方向にともに
そろって配向しているものである。具体的には、第一
に、上記した単一配向膜である必要がある。第二に、R
HEED評価でスポットまたはストリークパターンを示
す必要がある。これらの条件を満足すれば、エピタキシ
ャル膜といえる。なお、RHEEDとは、反射高速電子
線回折(Reflction High Energy Electron Diffractio
n)であり、RHEED評価は、膜面内における結晶軸
の配向の指標である。
【0087】ただし、本発明では、(100)面が膜面
内に平行となっている(100)配向の結晶が(00
1)配向結晶に混在していてもよい。(100)配向結
晶は90°ドメインを形成することがあり、この場合、
自発分極をわずかに減少させるが、大きな障害にはなら
ない。また、90°ドメインが形成されると、薄膜内の
応力が減少するので、強誘電体特性の向上に効果的であ
ることもある。X線回折におけるピーク強度比は、通
常、(100)/(001)が3以下であることが好ま
しい。
【0088】なお、(001)単一配向でなくても、混
在する結晶が(100)配向である場合には、本明細書
において定義するエピタキシャル膜に包含されるものと
する。この場合のエピタキシャル膜とは、第一に、X線
回折による測定を行ったとき、目的とするふたつの面以
外のものの反射のピーク強度が目的とする面の最大ピー
ク強度の10%以下、好ましくは5%以下である必要が
ある。具体的には、膜の2θ−θX線回折において、
(00L)面および(H00)面以外のピーク強度が、
(00L)面または(H00)面の最大ピーク強度の1
0%以下、好ましくは5%以下である。第二に、RHE
ED評価でスポットまたはストリークパターンを示す必
要がある。これらの条件を満足すれば、本明細書におい
て定義するエピタキシャル膜であることとする。なお、
本明細書において(H00)は、(100)や(20
0)などの等価な面を総称する表示である。
【0089】Si(100)基板を用いる場合の機能性
エピタキシャル膜とSi(100)基板との好ましい結
晶軸方位関係は、以下の通りである。なお、Siは立方
晶である。ペロブスカイト構造の機能性エピタキシャル
膜が(001)単一配向である場合、ペロブスカイト
[100]//Si[010]である。また、機能性エピ
タキシャル膜が(001)配向と(100)配向とが混
在したものである場合、ペロブスカイト(001)配向
結晶についてはペロブスカイト[100]//Si[01
0]であり、ペロブスカイト(100)配向結晶につい
てはペロブスカイト[001]//Si[010]であ
る。すなわち、機能性エピタキシャル膜とSi基板と
は、面内に存在する軸同士も平行であることが好まし
い。
【0090】バッファ層 基板と機能性エピタキシャル膜との間には、前記実施例
に示すように、バッファ層を設けることが好ましい。ま
た、下地電極を設ける場合には、バッファ層は下地電極
と基板との間に設けることが好ましい。バッファ層は、
以下に説明する第1バッファ層および/または第2バッ
ファ層を含むことが好ましい。
【0091】(第1バッファ層)第1バッファ層は、前
記した式ABO3で表されるペロブスカイト結晶構造を
有する。Aとしては、Ca、Ba、Sr、Pb、K、N
a、Li、LaおよびCdの1種以上、特にBaまたは
Srが好ましく、Bとしては、Ti、Zr、Taおよび
Nbの1種以上、特にTiが好ましい。すなわち、第1
バッファ層は、チタン酸バリウムまたはチタン酸ストロ
ンチウムを主成分とすることが好ましい。
【0092】第1バッファ層における原子比A/Bは、
好ましくは0.8〜1.3、より好ましくは0.9〜
1.2である。A/Bが0.8未満では結晶性の改善効
果が望めなくなり、またA/Bが1.3を超えると均質
な薄膜の形成が困難になってしまう。A/Bの組成比
は、蛍光X線分析により求めることができる。ABO3
におけるOの比率は、前記したように3に限らず、2.
7〜3.3の範囲にあればよい。
【0093】第1バッファ層は、正方晶であるときは
(001)単一配向、すなわち基板表面と平行にc面が
単一に配向したものであることが好ましく、立方晶であ
るときは(100)単一配向、すなわち基板表面と平行
にa面が単一に配向したものであることが好ましく、い
ずれの場合でもエピタキシャル膜であることがより好ま
しい。また、第1バッファ層とSi(100)基板との
結晶方位関係は、正方晶[100]//Si[010]ま
たは立方晶[010]//Si[010]であることが好
ましい。すなわち、バッファ層と基板とは、面内におい
て軸同士が平行であることが好ましい。このような積層
構造は、さらにこの構造上に形成される下地電極や機能
性エピタキシャル膜の結晶性を向上させて、これらを単
一配向膜やエピタキシャル膜として形成するのに効果的
である。第1バッファ層は機能性エピタキシャル膜との
格子整合性が良好であるため、結晶性の高い機能性エピ
タキシャル膜が得られる。
【0094】(第2バッファ層)第1バッファ層と第2
バッファ層とを設ける場合、第2バッファ層は、基板と
第1バッファ層との間に設ける。第2バッファ層は、以
下に説明する酸化ジルコニウム系薄膜から構成するか、
これと、以下に説明する希土類酸化物系薄膜とから構成
する。なお、両薄膜を設ける場合、希土類酸化物系薄膜
は、機能性エピタキシャル膜側に設けられる。
【0095】酸化ジルコニウム系薄膜は、酸化ジルコニ
ウムを主成分とするか、希土類元素(ScおよびYを含
む)により安定化された酸化ジルコニウム(安定化ジル
コニア)を主成分とする。この薄膜を設けることによ
り、その上に設けられる第1バッファ層や機能性エピタ
キシャル膜の剥離を防止できる。また、この薄膜は、チ
タン酸バリウム等からなる第1バッファ層との格子整合
性がよいため、結果として結晶性の高い機能性エピタキ
シャル膜を形成できる。
【0096】酸化ジルコニウムおよび安定化ジルコニア
は、Zr1-xx2-δ(RはScおよびYを含む希土類
元素であり、x=0〜0.75、δ=0〜0.5であ
る)で表わされる組成のものが好ましい。xおよびδの
限定理由については、後述する。Rとしては、Pr、C
e、Nd、Gd、Tb、Dy、HoおよびErから選択
される少なくとも1種であることが好ましい。
【0097】酸化ジルコニウム系薄膜は、単一の結晶配
向を有していることが望ましい。これは、複数の結晶面
を有する薄膜においては粒界が存在するため、その上の
第1バッファ層や機能性エピタキシャル膜のエピタキシ
ャル成長が不可能になるためである。具体的には、正方
晶または単斜晶であるときは(001)単一配向、立方
晶であるときは(100)単一配向であることが好まし
く、いずれの場合でもエピタキシャル膜であることがよ
り好ましい。このような良好な結晶性の酸化ジルコニウ
ム系薄膜が形成できれば、粒界による物理量の攪乱等が
なくなり、酸化ジルコニウム系薄膜上に良質の第1バッ
ファ層、下地電極および機能性エピタキシャル膜が得ら
れる。
【0098】Si(100)基板表面に、第2バッファ
層(Zr1-xx2-δ)および第1バッファ層(BaT
iO3)が順次積層されているとき、これらの結晶方位
関係は、BaTiO3(001)//Zr1-xx2-δ
(001)//Si(100)、かつBaTiO3[10
0]//Zr1-xx2-δ[100]//Si[010]で
あることが好ましい。これは、第2バッファ層および第
1バッファ層がいずれも正方晶である場合であるが、こ
れらの薄膜が立方晶である場合でも、面内において軸同
士が平行であることが好ましいという点では同様であ
る。
【0099】YBCOなどの従来例からの類推では、
(001)配向のBaTiO3エピタキシャル膜を得よ
うとすると、その結晶方位関係は、BaTiO3(00
1)//Zr1-xx2-δ(001)//Si(100)、
かつBaTiO3[110]//Zr1-xx2-δ[10
0]//Si[010]となり、BaTiO3の単位格子
は、Zr1-xx2-δの格子に対してc面内で45°回
転して格子の整合がとれてエピタキシャル成長すると推
定される。しかし、本発明者らの実験によると、そのよ
うな結晶方位関係は構成困難であり、BaTiO3(0
01)//Zr1-xx2-δ(001)//Si(10
0)、かつBaTiO3[100]//Zr1-xx2-δ
[100]//Si[010]の関係でエピタキシャル成
長することを見いだした。Zr1-xx2-δ膜のa軸は
0.52nmであり、BaTiO3膜のa軸は0.40nm
であるので、45°面内で回転して格子整合するBaT
iO3[110]//Zr1-xx2-δ[100]//Si
[010]の関係では、ミスフィットが8.4%にな
る。これに対し、本発明者らによる実験において見いだ
されたBaTiO3[100]//Zr1-xx2-δ[1
00]//Si[010]では、BaTiO3結晶のa面
とZr1-xx2-δ結晶のa面とは回転せずにそのまま
整合し、この際、Zr1-xx2-δ3格子(0.52×
3=1.56[nm])に対し、BaTiO34格子
(0.40×4=1.60[nm])が整合する。このと
き、ミスフィットは2.6%であり、よくマッチングす
る。このように、BaTiO3[100]//Zr1-xx
2-δ[100]//Si[010]の関係を利用するこ
とにより、(001)配向のエピタキシャルBaTiO
3膜、すなわち、結晶性に優れた第1バッファ層を得る
ことができる。
【0100】ZrO2 は高温から室温にかけて立方晶→
正方晶→単斜晶と相転移を生じる。立方晶を安定化する
ために希土類元素を添加したものが、安定化ジルコニア
である。Zr1-xx2-δ膜の結晶性はxの範囲に依存
する。Jpn.J.Appl.Phys.27(8)L1404-L1405(1988)に報告
されているように、xが0.2未満である組成域では正
方晶または単斜晶の結晶になる。これまで、xが0.2
以上の立方晶領域では単一配向のエピタキシャル膜が得
られている。ただし、xが0.75を超える領域では、
立方晶ではあるが、例えば(100)単一配向は得られ
ず、(111)配向の結晶が混入する。一方、正方晶ま
たは単斜晶となる領域では、J.Appl.Phys.58(6)2407-24
09(1985)にも述べられているように、得ようとするもの
以外の配向面が混入し、単一配向のエピタキシャル膜は
得られていない。
【0101】したがって、結晶配向の点からは、Zr
1-x x 2-δにおいてxは0.2〜0.75であるこ
とが好ましい。この場合のxのより好ましい範囲は、
0.2〜0.50である。酸化ジルコニウム系薄膜がエ
ピタキシャル膜であれば、その上に形成される第1バッ
ファ層、下地電極、機能性エピタキシャル膜をエピタキ
シャル成長させやすい。
【0102】酸化ジルコニウム系薄膜を構成する安定化
ジルコニアが含む希土類元素は、基板の格子定数および
酸化ジルコニウム系薄膜上に設けられる薄膜の格子定数
と、酸化ジルコニウム系薄膜の格子定数とを好ましくマ
ッチングさせるために、その種類および添加量が選択さ
れる。例えば、上記した格子定数0.52nmのZr1- x
x2-δは、RがYであり、xが0.3のものであ
る。Rの種類を固定したままxを変更すれば格子定数を
変えることができるが、xだけの変更ではマッチングの
調整可能領域が狭い。ここで、例えばYに替えてPrを
用いると、格子定数を大きくすることが可能であり、第
1バッファ層のBaTiO3結晶とのマッチングを最適
化することができる。
【0103】なお、酸素欠陥を含まない酸化ジルコニウ
ムは、化学式ZrO2で表わされるが、希土類元素を添
加した酸化ジルコニウムは、添加した希土類元素の種
類、量および価数により酸素の量が変化し、Zr1-xx
2-δにおけるδは、通常、上記した範囲となる。
【0104】Zr1-xx2-δにおいてxが0.2未満
である領域、特に、酸素を除く構成元素中におけるZr
の比率が93mol%を超える高純度の組成域では、上述し
たように結晶性が良好とはならず、また、良好な表面性
も得られていなかった。しかし、本発明者らが検討を重
ねた結果、例えば前記特開平10−17394号公報に
記載されている製造方法を適用することにより、上記し
た単一配向、さらにはエピタキシャル成長が可能とな
り、表面性も良好となることがわかった。高純度のZr
2膜には、以下に述べるようなメリットがある。
【0105】酸素を除く構成元素中におけるZrの比率
が高いほど、すなわちZrO2の純度が高いほど絶縁抵
抗も高くなり、リーク電流も小さくなることから、高純
度のZrO2膜は絶縁特性を必要とする場合には好まし
い。また、金属一絶縁体一半導体構造(MIS構造)に
おいてZrO2を絶縁体として用いた場合、YSZ(Y
安定化ジルコニア)を絶縁体として用いた場合にみられ
るC−V特性のヒステリシスがなくなるので、MIS素
子として界面特性が優れる。この理由としては、Si基
板と酸化ジルコニウム系薄膜との間で熱膨張係数の違い
により発生する応力がZrO2の相転移により緩和され
ること、および、ZrO2の酸素欠陥が少ないことが考
えられる。YSZは相転移がないため応力が緩和され
ず、また、希土類元素を添加しているために酸素欠陥が
多い。
【0106】したがって、良好な結晶性および表面性が
得られる場合には、酸化ジルコニウム系薄膜中の酸素を
除く構成元素中におけるZrの比率は高いほど好まし
く、具体的には、好ましくは93mol%超、より好ましく
は95mol%以上、さらに好ましくは98mol%以上、最も
好ましくは99.5mol%以上である。なお、酸素および
Zrを除く構成元素は、通常、希土類元素やPなどであ
る。Zrの比率の上限は、現在のところ99.99mol%
程度である。また、現在の高純度化技術ではZrO2
HfO2との分離は難しいので、ZrO2の純度は、通
常、Zr+Hfでの純度を指している。したがって、本
明細書におけるZrO2の純度は、HfとZrとを同元
素とみなして算出された値であるが、HfO2は本発明
における酸化ジルコニウム系薄膜においてZrO2と全
く同様に機能するため、問題はない。
【0107】なお、第2バッファ層を形成する場合、第
2バッファ層中の酸素がSi単結晶基板の表面付近に拡
散し、基板表面付近が浅く(例えば5nm程度以下)酸化
されてSiO2などの酸化層が形成されることがある。
また、成膜の方法によっては、第2バッファ層形成時に
Si基板表面にSi酸化物層が残留する場合がある。前
記実施例において、3層構造のバッファ層の最も基板側
に存在する酸化シリコン層は、このようにして形成され
たものである。
【0108】次に、希土類酸化物系薄膜について説明す
る。
【0109】上記したように、第2バッファ層として上
記した安定化ジルコニアを用いたとき、C−V特性にヒ
ステリシスがみられ、この点においてZrO2高純度膜
に劣る。この場合、酸化ジルコニウム系薄膜上に希土類
酸化物系薄膜を積層することにより、C−V特性のヒス
テリシスをなくすことができる。また、希土類酸化物系
薄膜を積層することにより、機能性エピタキシャル膜と
の間での格子整合のマッチングがより良好となる。
【0110】なお、希土類酸化物系薄膜を酸化ジルコニ
ウム系薄膜の上に形成するのは、希土類酸化物系薄膜だ
けでは(001)単一配向や(100)単一配向の膜が
形成できず、立方晶の(111)配向の膜となってしま
うからである。
【0111】希土類酸化物系薄膜は、Y、La、Ce、
Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、YbおよびLuの少なくとも1種、特に、C
e、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、HoおよびErの
少なくとも1種を含有する希土類酸化物から実質的に構
成されていることが好ましい。なお、2種以上の希土類
元素を用いるとき、その比率は任意である。
【0112】希土類酸化物系薄膜が積層されている場
合、酸化ジルコニウム系薄膜は、元素分布が均一な膜で
あってもよく、膜厚方向に組成が変化する傾斜構造膜で
あってもよい。傾斜構造膜とする場合、基板側から希土
類酸化物系薄膜側にかけて、酸化ジルコニウム系薄膜中
の希土類元素含有率を徐々または段階的に増大させると
共に、Zr含有率を徐々または段階的に減少させる。こ
のような傾斜構造膜とすることにより、酸化ジルコニウ
ム系薄膜と希土類酸化物系薄膜との間の格子のミスフィ
ットが小さくなるか、あるいは存在しなくなり、希土類
酸化物系薄膜を高結晶性のエピタキシャル膜とすること
が容易となる。
【0113】なお、希土類酸化物系薄膜に添加する希土
類元素は、酸化ジルコニウム系薄膜に添加する希土類元
素と同一のものを用いることが好ましい。
【0114】酸化ジルコニウム系薄膜および希土類酸化
物系薄膜には、特性改善のために添加物を導入してもよ
い。例えば、これらの薄膜にCaやMgなどのアルカリ
土類元素をドーピングすると、膜のピンホールが減少
し、リークを抑制することができる。また、Alおよび
Siは、膜の抵抗率を向上させる効果がある。さらに、
Mn、Fe、Co、Niなどの遷移金属元素は、膜中に
おいて不純物による準位(トラップ準位)を形成するこ
とができ、この準位を利用することにより導電性の制御
が可能になる。
【0115】下地電極 基板と機能性エピタキシャル膜との間に、機能性エピタ
キシャル膜に密着して設けられる下地電極は、機能性エ
ピタキシャル膜用の電極および機能性エピタキシャル膜
のデバイス応用に必要な構造を構成するための下部電極
として機能する。
【0116】下地電極は金属から構成されることが好ま
しいが、Inを含む酸化物や導電性ペロブスカイト酸化
物であってもよく、金属膜と酸化物膜とを積層した構成
としてもよい。金属としては、Pt、Ir、Os、R
e、Pd、RhおよびRuの少なくとも1種を含有する
金属単体や合金が好ましい。Inを含む酸化物または導
電性ペロブスカイト酸化物としては、例えば、In
23、In23(Snドープ)、(R,Sr)Co
3、(R,Sr,Ca)RuO3、(R,Sr)RuO
3、SrRuO3、(R,Sr)MnO3、またはこれら
の関連化合物が好ましい。なお、これらの化合物におい
て、RはScおよびYを含む希土類元素である。
【0117】下地電極は第1バッファ層と同様に、正方
晶であるときは(001)単一配向、立方晶であるとき
は(100)単一配向であることが好ましく、いずれの
場合でもエピタキシャル膜であることがより好ましい。
また、下地電極とSi(100)基板との結晶方位関係
は、正方晶[100]//Si[010]または立方晶
[010]//Si[010]であることが好ましい。す
なわち、薄膜と基板とは、面内において軸同士が平行で
あることが好ましい。このような積層構造は、さらにこ
の構造上に形成される機能性エピタキシャル膜の結晶性
を向上させて、単一配向膜やエピタキシャル膜として形
成するのに効果的である。下地電極は機能性エピタキシ
ャル膜との格子整合性が良好であるため、結晶性の高い
機能性エピタキシャル膜が得られる。
【0118】下地電極は、バルクでの比抵抗が10-5
10-2Ωcmであることが好ましい。また、薄膜としての
比抵抗も10-5〜10-2Ωcmであることが好ましい。な
お、下地電極は、超電導材料から構成されていてもよ
い。
【0119】各薄膜、下地電極の結晶性、表面性および
厚さ 下地電極やバッファ層は、その上に形成される薄膜の結
晶性を向上させるために、結晶性が良好でかつ表面が平
坦であることが好ましい。
【0120】薄膜の結晶性は、X線回折における反射ピ
ークのロッキングカーブの半値幅や、RHEEDによる
像のパターンで調べることができる。また、表面性は、
RHEED像のストリーク性、およびAFM(原子間力
顕微鏡)で測定した表面粗さ(十点平均粗さ)で調べる
ことができる。
【0121】下地電極の厚さは、通常、50〜500nm
とすることが好ましい。また、第1バッファ層の厚さは
5〜200nm程度、第2バッファ層の厚さは5〜50nm
程度とすることが好ましい。
【0122】形成方法 機能性エピタキシャル膜、バッファ層および下地電極の
形成には、蒸着法、MBE法、RFマグネトロンスパッ
タ法などを用いることが好ましく、特に、前記特開平1
0−17394号公報に記載された方法を用いることが
好ましい。
【0123】
【発明の効果】本発明では、蓄積電荷量が印加電圧に対
して履歴を示す強誘電性薄膜または反強誘電性薄膜を一
対の電極で挟んで可変容量素子とし、この可変容量素子
に直列に、発振素子(圧電バルク振動素子または弾性表
面波共振器)を接続することにより、VCOを構成す
る。すなわち、本発明は、上記可変容量素子をバラクタ
ダイオードの代替として使用するという、全く新しい発
想に基づくものである。バラクタダイオードは、2GHz
程度の高周波領域において、抵抗成分が増大し、Qが大
幅に低くなり、C/Nが低下するという問題があるが、
本発明の可変容量素子を用いることにより、これらの問
題が解決される。
【0124】本発明では、可変容量素子において強誘電
性材料および反強誘電性材料を薄膜化して用いるので、
数ボルトの電圧で動作させることができ、かつ、十分な
周波数可変幅が得られる。
【0125】また、本発明では、可変容量素子と発振素
子とを一体的に形成することが可能であり、半導体素子
とのモノリシック化も可能なので、小型化に有利であ
る。
【0126】さらに、可変容量素子において強誘電性薄
膜および反強誘電性薄膜をエピタキシャル膜とすること
により、1.5〜2GHz帯においても十分に大きなQが
得られ、また、特性の安定性が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のVCOを示す断面図である。
【図2】第1実施例における蓄積電荷量の履歴曲線を示
すグラフである。
【図3】第1実施例における容量の印加電圧依存性を示
すグラフである。
【図4】本発明のVCOの動作を説明するための回路図
である。
【図5】第1実施例におけるインピーダンスの周波数応
答を示すグラフである。
【図6】第1実施例におけるインピーダンスの印加電圧
依存性を示すグラフである。
【図7】第2実施例のVCOを示す断面図である。
【図8】第2実施例におけるインピーダンスの印加電圧
依存性を示すグラフである。
【図9】(A)〜(D)は、第3実施例のVCOの製造
工程を説明するための断面図であり、(E)は、第3実
施例のVCOを示す断面図である。
【図10】第3実施例における蓄積電荷量の履歴曲線を
示すグラフである。
【図11】第4実施例のVCOを示す断面図である。
【図12】第4実施例におけるインピーダンスの印加電
圧依存性を示すグラフである。
【図13】位相同期ループの概念図である。
【図14】可変容量素子の接続によるインピーダンス虚
数部の周波数応答曲線の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ダイヤフラム 2 Si基板 21 KNbO3単結晶基板 3 バッファ層 4 下地電極 5、51、52 強誘電性・圧電性薄膜 53 反強誘電性薄膜 54 誘電体薄膜 61、62 上部電極 63 櫛形電極 10 ダイボンド剤 11 パッケージ 12 ワイヤ 13 蓋 100 位相差検出器 101 ループフィルタ 102 増幅器 103 VCO 200 能動回路 201 発振素子 202 可変容量素子 A、B、C 外部接続端子

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電バルク振動素子または弾性表面波共
    振器を備える発振素子と、一対の電極に挟まれた強誘電
    性薄膜または反強誘電性薄膜を備える可変容量素子とを
    有し、前記発振素子と前記可変容量素子とが直列接続さ
    れており、前記可変容量素子の両端に印加される制御電
    圧によりインピーダンス特性が制御される電圧制御発振
    器。
  2. 【請求項2】 一対の電極に挟まれた圧電性薄膜を有す
    る圧電バルク振動素子と、一対の電極に挟まれた強誘電
    性薄膜または反強誘電性薄膜を有する可変容量素子と
    が、基板上に隣接して配置されている請求項1の電圧制
    御発振器。
  3. 【請求項3】 圧電性薄膜および櫛型電極を備える弾性
    表面波共振器と、一対の電極に挟まれた強誘電性薄膜ま
    たは反強誘電性薄膜を備える可変容量素子とが、基板上
    に隣接して配置されている請求項1の電圧制御発振器。
  4. 【請求項4】 前記可変容量素子に、強誘電性薄膜また
    は反強誘電性薄膜の蓄積電荷量の履歴曲線における飽和
    電圧以上の電圧を印加した後、制御電圧を印加するか、
    または、前記飽和電圧を印加した状態で、その飽和電圧
    とは逆極性の制御電圧を印加することによりインピーダ
    ンス特性が制御される請求項1〜3のいずれかの電圧制
    御発振器。
  5. 【請求項5】 前記強誘電性薄膜および前記反強誘電性
    薄膜がエピタキシャル膜である請求項1〜4のいずれか
    の電圧制御発振器。
  6. 【請求項6】 前記強誘電性薄膜がPb含有ペロブスカ
    イト結晶またはBaTiO3結晶を含み、前記反強誘電
    性薄膜がPbZrO3結晶を含む請求項1〜5のいずれ
    かの電圧制御発振器。
  7. 【請求項7】 位相同期ループにおける電圧制御発振器
    として用いられる際に、位相同期ループを動作させると
    きの入力設定周波数が、前記可変容量素子に飽和電圧を
    印加したときの発振周波数と一致するか、または、前記
    可変容量素子に、前記飽和電圧以上の電圧が印加された
    後に位相同期ループで使用される請求項1〜6のいずれ
    かの電圧制御発振器。
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