JP2000088733A - 走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents

走査型プローブ顕微鏡

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JP2000088733A
JP2000088733A JP10272513A JP27251398A JP2000088733A JP 2000088733 A JP2000088733 A JP 2000088733A JP 10272513 A JP10272513 A JP 10272513A JP 27251398 A JP27251398 A JP 27251398A JP 2000088733 A JP2000088733 A JP 2000088733A
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JP10272513A
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Takeshi Murayama
健 村山
Yuichi Kunitomo
裕一 国友
Noboru Yamamoto
登 山本
Takashi Morimoto
高史 森本
Hiroshi Kuroda
浩史 黒田
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 走査型プローブ顕微鏡で、Z方向の測定範囲
を拡大し、走査範囲を大幅に広げ、例えば数mm、数十
mmの広範囲の測定を可能にする。 【解決手段】 走査型プローブ顕微鏡において、Z微動
部18aの動作量を判定し探針接近用機構17を動作さ
せる判定制御部26を設ける。判定制御部26は、探針
20で試料表面16aを広範囲に走査し探針・試料間の
距離がZ微動部の移動可能範囲を越えるとき、探針接近
用機構17を動作させ、Z微動部の動作不足分を補い、
探針・試料間の距離を一定に保つ。Z微動部と探針接近
用機構を協調動作させることで、傾斜やうねりのある試
料表面を有する試料を広範囲に測定することを可能にす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は走査型プローブ顕微
鏡に関し、特に、探針・試料間の距離を大きく変えるこ
とのできる移動機構を利用して広域走査による測定を行
える走査型プローブ顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】走査型プローブ顕微鏡(SPM)は、原
子オーダ(ナノメータ(nm)以下)の測定分解能を有
し、表面の形状計測など、各種の分野に適用されつつあ
る。検出に利用する物理量に依存して、走査型トンネル
顕微鏡(STM)、原子間力顕微鏡(AFM)、磁気力
顕微鏡(MFM)などに分かれ、応用範囲も広がりつつ
ある。特に原子間力顕微鏡は、試料表面の凹凸形状を高
分解能で検出するのに適しており、半導体、ディスクな
どの分野で実績をあげている。以下では、原子間力顕微
鏡の例について説明する。
【0003】図5に従来の原子間力顕微鏡の一例を示
す。101は顕微鏡の支柱としてのフレームである。試
料ステージ101aがフレーム101の下部に形成され
る。試料移動機構100が試料ステージ101aの上に
配置される。さらに測定対象である試料102が試料移
動機構100の上に搭載される。フレーム101の上部
に探針接近用機構(粗動機構)103が固定され、さら
に探針接近用機構103の下側にXYZ微動機構104
が固定されている。探針接近用機構103は、主に試料
102に対して探針106を迅速に接近させるときに使
用されるもので、探針106を大きな距離で移動(粗
動)させる場合に使用される粗動機構である。XYZ微
動機構104として、圧電素子を利用して構成されたト
ライポッド型微動機構あるいはチューブ型微動機構が使
用される。
【0004】試料102の上方位置にはカンチレバー1
05が配置される。カンチレバー105の先端に設けら
れた探針106は試料102の表面に臨んでいる。試料
102を測定するとき、探針106と試料102の間の
距離は両者の間で原子間力が生じるように設定される。
カンチレバー105はXYZ微動機構104の下端に固
定されている。カンチレバー105は、柔軟性を有し、
探針・試料間の距離の変化に対応して原子間力が変化す
るとき、原子間力に応じたたわみ変形を生じるという特
性を持っている。
【0005】107はカンチレバーの変位を検出する変
位検出器107である。変位検出器107には例えば光
てこ式検出光学系や干渉法を利用した検出器が使用され
る。光てこ式検出光学系は、カンチレバー105の背面
にレーザ光を当てる光源と、反射したレーザ光を受ける
光検出器から構成される。
【0006】探針接近用機構103により探針106と
試料102の距離を約1nmまでにすると、両者の間に
原子間力が作用し、カンチレバー105にたわみ変形が
生じる。たわみ角は変位検出器107で検出される。変
位検出器107から出力される検出信号は、加算器10
8に入力される。加算器108は、検出信号と基準値V
ref を比較し、偏差信号Vdを出力する。偏差信号Vd
は制御部109に入力される。制御部109は一般的に
比例−積分補償(PI制御)を行う。制御部109の出
力信号(Vz)はXYZ微動機構104のZ微動部に与
えられ、探針106と試料102の間の距離を変化させ
る。探針106と試料102の間の距離は基準値Vref
によって決まる所定距離に保持される。
【0007】上記構成は、探針106と試料102の距
離を所定の一定距離に保つ制御を実現する。XY走査回
路110から出力される走査信号(Vx,Vy)はXY
Z微動機構104のXY微動部に与えられる。走査信号
(Vx,Vy)は、探針106に、試料102の表面を
走査させる。この走査の間、探針106と試料102の
間の距離は一定に保持される。Z微動部の移動量に相当
するデータVzと、XY走査回路110から出力される
走査信号のデータ(Vx,Vy)は図示しないメモリに
格納される。図示しない信号処理回路はこれらのデータ
を利用して必要な処理を行い、表示装置111に画像表
示を行う。これにより試料102の表面形状が観察され
る。このように、原子間力顕微鏡は原子オーダの分解能
の測定を行うことができる。原子間力顕微鏡では、測定
視野は数nmから数100μmまで切り換えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の原子間力顕微鏡
の測定範囲は、XYZ微動機構104の移動可能範囲に
よって制約される。XYZ微動機構104では、原子オ
ーダの分解能を確保する上で、一般的に圧電素子等の固
体アクチュエータが用いられる。そのため原子間力顕微
鏡の測定ための移動範囲は約100μmが限界となる。
移動範囲を拡大するためストロークを大きくしても、分
解能が低下する。従って実用上約10μm程度の微小領
域で走査範囲を設定するのが一般的であった。
【0009】一方、原子間力顕微鏡は、特徴であるとこ
ろのZ方向の測定分解能を維持しながら、XY方向の測
定範囲を大きくすることができれば、試料表面のうねり
の計測、各種の3次元形状計測に利用でき、応用分野が
広がる。XY方向の測定範囲を大きくするための一つの
構成として、試料移動機構100をXY平面の走査に使
用し、Z方向に関しては高分解能な圧電素子機構で制御
することが考えられる。例えば試料移動機構100とし
て静圧案内式の機構を用いて構成し、XY平面の走査を
行わせれば、数十mm、数百mmの測定範囲の原子間力
顕微鏡の測定が原理的に可能になる。測定分解能を確保
するためには通常Z方向の微動部に圧電素子を用いるの
で、Z方向のストロークすなわち高さ方向の移動範囲が
不足する。
【0010】図6を参照して問題点を説明する。図6で
(A)は傾斜を有する試料表面102aを示し、(B)
はうねりを有する試料表面102aを示す。図6の
(A)は試料表面102aに沿って探針106がA〜D
の順序で移動する様子が示されている。図6の(A)
で、試料表面に沿う方向(XY方向)の原子間力顕微鏡
の測定範囲が数十μm(図中d2に相当)であれば、Z
方向の測定範囲はその1/10で数μmとなる。従っ
て、圧電素子のZ微動部でも問題は生じない。しかし、
試料表面に沿う方向の測定範囲が例えば数十mm(図中
d1に相当)であれば、Z方向の測定範囲はh1以上必
要である。測定範囲がh1以上であるときには、圧電素
子のZ微動部ではストロークが足りず、実用的ではな
い。このことは図6の(B)のうねりの場合にも同様で
ある。従って実用性を達成するためには、Z方向の測定
範囲を大きくすることが必要である。一方、原子間力顕
微鏡のZ方向の測定範囲はZ微動部のストロークにより
決定される。Z微動部に圧電素子を用いるとき、ストロ
ークは約10μmが限界である。従って通常の原子間力
顕微鏡によれば、例えば数mm、数十mmの広範囲の測
定を行うことは実用上困難である。この問題は走査型プ
ローブ顕微鏡について一般的に生じる。
【0011】課題に関連する従来技術として特開平6−
174461号公報に開示される走査型プローブ顕微鏡
を挙げる。この走査プローブ顕微鏡では、観察対象であ
る試料の表面に大きな傾斜があると予想されるとき、X
およびYの各方向にラインスキャンを例えば数本行って
当該傾斜を測定し、観察の際、粗動機構や第3の駆動機
構によって予想される傾斜を吸収するように構成され
る。従って、微動機構のZ方向は試料表面の凹凸だけに
追従すればよく、ゲインを下げることなく観察を行うこ
とができる。
【0012】本発明の目的は、上記課題に解決すること
にあり、Z方向の測定範囲を拡大できるようにして、走
査範囲を大幅に広げることができ、例えば数mm、数十
mmの広範囲の測定を可能にする走査型プローブ顕微鏡
を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段および作用】本発明に係る
走査型プローブ顕微鏡は、上記目的を達成するため、次
のように構成される。走査型プローブ顕微鏡は、探針を
備えるカンチレバーと、探針と試料に相対的変位を与え
る3軸移動機構と、カンチレバーの変位を検出する変位
検出手段と、探針と試料の距離を変化させる粗動機構
(探針接近用機構)を備え、変位検出手段(光てこ式の
位置検出系)の出力信号に基づき探針と試料の間に生じ
る相互作用が一定状態に保持されるように制御し、制御
信号によって試料の表面特性を測定するように構成され
る。走査型プローブ顕微鏡は、さらに、3軸移動機構
は、探針または試料を測定平面に沿って広範囲に移動す
るXY移動装置と、圧電素子で形成され、走査の間、探
針・試料間を微小距離で一定に保つZ微動装置とからな
り、探針・試料間の距離がZ微動装置の移動可能範囲を
越えるとき、粗動機構を動作させて動作不足分を補い、
探針・試料間の距離を一定に保たせる制御手段(判定制
御部)を備えている。試料または探針をXY平面(試料
の測定平面)に沿って移動させるXY移動装置に、広い
移動を行える装置を使用して構成すると、試料表面を走
査するとき、試料表面の変化も大きくなることが予測さ
れる。試料と探針の間の距離を通常のサーボ制御で行う
とき、当該距離を予め設定された一定距離に保持するに
は、Z方向の移動を行う圧電素子で形成されたZ微動装
置では不足分が生じる。そこで、Z微動装置の動作状態
(ストロークの伸縮状態)を監視し判定する制御部を付
設し、Z微動装置で不足分が生じたときには、粗動機構
により当該不足分を補うようにする。XY走査を行うた
めの移動機構として広い範囲の移動を可能にする例えば
静圧案内式XY移動装置を使用し、探針・試料間の距離
は圧電素子で形成されるZ微動装置と粗動機構(探針接
近用機構など)の協調動作で制御し、これにより傾斜や
うねりのある試料表面を有する試料を広範囲に測定する
ことが可能になる。前記の構成において、さらに、粗動
機構が動作するとき、粗動機構が動作する前のZ微動装
置の制御データと、粗動機構が動作した後のZ微動装置
の制御データとが同一値としてみなして扱い、Z微動装
置の制御データの連続性を保つように構成される。粗動
機構が動作する前後において、Z微動装置の制御データ
では不連続な状態が生じる。Z微動装置の制御データは
試料表面の測定データとして使用されるものであるか
ら、試料表面の凹凸情報のみが得られるように連続性を
維持する処理が行われる。前記の構成において、好まし
くは、制御手段は、Z微動装置の最大移動範囲をUzと
するとき、Z微動装置の移動動作による変位がk×Uz
(kは1以下)となった時に粗動機構を接近方向に動作
させ、Z微動装置の移動動作による変位が(1−k)×
Uz(kは1以下)となった時に粗動機構を離れ方向に
動作させる。前記の構成において、粗動機構が接近方向
に移動動作を行う時、Z微動装置はサーボ制御系により
縮み、粗動機構が離れ方向に移動動作を行う時、Z微動
装置はサーボ制御系により伸びるように構成される。前
記の構成において、さらに好ましくは、XY移動装置は
静圧案内式の移動装置であることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施形態
を添付図面に基づいて説明する。
【0015】図1〜図3を参照して本発明の実施形態を
説明する。本実施形態で便宜上原子間力顕微鏡の例を説
明するが、本発明が適用される走査型プローブ顕微鏡は
これに限定されない。
【0016】11は、原子間力顕微鏡の支柱を形成する
フレームである。フレーム11の下部に顕微鏡ステージ
11aが形成されている。顕微鏡ステージ11aの上面
に基準面が形成される。顕微鏡ステージ11aの基準面
上には、XY移動部12が配置され、XY移動部12を
XY方向に移動させるためのXYアクチュエータ(駆動
機構)が固定されている。XYアクチュエータは、図2
に示すごとく、X方向用アクチュエータ13xとY方向
用アクチュエータ13yから構成される。アクチュエー
タ13x,13yとXY移動部12とはそれぞれ連結部
14x,14yで連結されている。XYアクチュエータ
として、電磁コイル式モータ(ボイスコイルモータ)、
電磁モータ、圧電モータ、変位拡大機構、その他の各種
のものが用いられる。図1では、図中にX,Y,Zの各
軸方向が定義され、これらの3軸は互いに直交してい
る。XY移動部12およびこれをXY方向に移動させる
機構は、本実施形態の場合、試料を広範囲(数mm、数
十mm以上)で移動させることのできるXY移動装置が
使用される。XY移動装置は、後述するごとく例えば静
圧案内式の装置が使用される。なおXY移動装置には、
上記機構以外に、任意の機構を採用できる。例えば通常
のころがり案内機構とボールネジ等を組み合わせてなる
機構を使用できる。
【0017】アクチュエータ13x,13yは、XY走
査部24から出力される走査信号Vx,Vyによって動
作し、XY移動部12をX方向とY方向へ移動させる。
【0018】XY移動部12の内部には、高圧の圧力流
体(高圧空気または高圧油等)を流す流路12aが形成
される。流路12aの導入口は、XY移動部12の側壁
に形成され、排出口はその底面に形成される。流路12
aの導入口には、高さ位置制御部15の出力管が接続さ
れる。高さ位置制御部15は、適宜に、XY移動部12
の流路12aに高圧流体を供給する。高さ位置制御部1
5から流路12aに供給された圧力流体は、XY移動部
12の底面の排出口から吹き出される。XY移動部12
の底面の排出口から圧力流体が吹き出されると、顕微鏡
ステージ11aの基準面に対してXY移動部12の位置
(高さ位置)が上昇し、XY移動部12が浮いた状態と
なる。XY移動部12の底面から圧力流体が排出される
と、XY移動部12と顕微鏡ステージ11aの基準面の
間には静圧軸受けが形成される。これにより、XY移動
部12は静圧案内の下で当該基準面に沿ってXY方向に
移動できる。静圧軸受けは、高圧の圧力流体でXY移動
部12を支持し、その剛性を高くする。以上のごとく、
XY移動部12とXYアクチュエータ13と高さ位置制
御部15は、静圧案内式のXY移動装置を構成する。高
さ位置制御部15による圧力流体の供給動作は、オペレ
ータの操作により、必要に応じて選択的に行われる。高
さ位置制御部15からXY移動部12の流路12aへ圧
力流体が供給されないとき、底面の排出口から圧力流体
が排出されず、XY移動部12は顕微鏡ステージ11a
の基準面に接触して配置される。このとき剛性はより高
いものになる。試料16は、XY移動部12の上面に搭
載されている。
【0019】フレーム11の上部には探針接近用機構
(粗動機構)17が固定され、探針接近用機構17の下
側にXYZ微動機構18が固定されている。探針接近用
機構17とXYZ微動機構18は、従来装置と同じ構成
を有する。探針接近用機構17は、通常、主に測定を試
料に探針を迅速に接近させるため、圧電素子からなる微
動機構に対して相対的に大きな移動を行える粗動機構で
あるが、当然のことながら試料から探針を離すときにも
使用される。本実施形態では、Z微動部と協調動作を行
うため、探針接近用機構17は、探針を試料に近づける
場合、または探針を試料から離す場合のいずれにも適宜
なタイミングで駆動される。XYZ微動機構18には、
トライポッド型微動機構、チューブ型微動機構、平行平
板型微動機構が使用される。XYZ微動機構18は、探
針の走査動作(試料と探針の間で表面に沿った方向の相
対的位置を変化させる動作)に関係するXY微動部と、
試料の表面に対する探針の高さ位置を変化させるZ微動
部とから構成される。本実施形態の走査型プローブ顕微
鏡では、測定を行うとき、探針と試料の間の距離を一定
に保つZ微動部のみが使用され、XY微動部は使用され
ない。XY方向の走査には、走査範囲を拡大できる前述
の静圧案内式XY移動装置が使用される。Z微動部は圧
電素子を利用して作られる微小移動装置である。
【0020】試料16の上方位置にはカンチレバー19
が配置される。カンチレバーの先端に設けられた探針2
0は、試料16の表面に臨んでいる。試料16の表面を
測定するとき、探針20は試料16に接近され、探針2
0と試料16の間の距離は原子間力が生じる程度に設定
される。カンチレバー19は、XYZ微動機構18の下
端に固定されている。カンチレバー19は柔軟な材料で
作られ、探針・試料間の距離の変化して原子間力が変化
するとき、カンチレバー19にたわみ変形が生じる。
【0021】カンチレバー19に対して、たわみ変形に
よるカンチレバーの変位を検出する変位検出器21が設
けられる。変位検出器21には従来の光てこ式検出光学
系や干渉法を利用した検出器が使用される。
【0022】探針接近用機構17により探針20と試料
16の距離を約1nmまで近づけると、両者の間に原子
間力が作用し、カンチレバー19にたわみ変形が生じ
る。たわみ角は変位検出器21で検出される。変位検出
器21から出力される検出信号は、加算器22に入力さ
れる。加算器22は、検出信号と基準値Vref を比較
し、偏差信号Vdを出力する。偏差信号Vdは制御部2
3に入力される。制御部23は一般的に比例−積分補償
(PI制御)を行い、出力信号(Vz)をXYZ微動機
構18のZ微動部に与える。出力信号(Vz)は探針2
0と試料16の間の距離を変化させる。探針20と試料
16の間の距離は予め基準値Vref によって設定された
一定距離に保持される。こうして探針20と試料16の
間の距離を基準値Vref で決まる一定値に保つサーボル
ープによる制御系(サーボ制御系)が形成される。
【0023】試料15の表面を測定するとき、XY走査
制御部24の出力信号Vx,Vyに基づいて静圧案内式
のXY移動装置で試料16をXY方向に走査移動させ、
XYZ微動機構18のZ微動部にサーボ制御系による制
御信号Vzを与え、Z方向に移動させる。試料16の表
面を走査する間、制御信号Vzによって探針20と試料
16の間の距離は一定に保持される。
【0024】XYZ微動機構18のZ微動部の移動量に
相当するデータVzとXY走査制御部24の走査信号に
係るデータ(Vx,Vy)をメモリ25に格納し、さら
に信号処理部26でこれらのデータを利用して必要な処
理を行う。処理で得られたデータで表示装置27にAF
M像の画像が表示される。これにより試料16の表面形
状を原子間力顕微鏡の高い分解能で観察することができ
る。
【0025】上記構成によれば、静圧案内式のXY移動
装置によってXY平面を広く、例えば数mmまたは数十
mmで走査すると、原理的には広い範囲のAFM像を表
示できる、しかしながら、一般的に、XYZ微動機構1
8のZ微動部の移動範囲は小さいので、試料16の表面
に傾斜がある場合、あるいはうねりがある場合には、試
料表面に追従できず、測定が行えない。そこで本実施形
態の構成では、広範囲のAFM像を得ることができるよ
うにするため、さらにZ方向の移動に関しても次の構成
が付加される。
【0026】26は判定制御部である。判定制御部26
は、制御信号Vzを入力し、Z微動部の動作状態をモニ
タし、当該動作状態を判定し、動作状態が予め決められ
た状態になったときに、探針接近用機構17を動作させ
る。これにより、探針が広範囲に走査された場合に、探
針接近用機構17を適宜に動作させ、Z微動部と協調動
作を行い、探針・試料間の距離を所定の一定距離に保持
することが可能になる。判定制御部26の動作例を次に
説明する。
【0027】例えば試料16の表面に傾斜が存在し、走
査に従い探針・試料間の距離が次第に大きくなり、Z微
動部が最大に伸びても、探針・試料間の距離を一定に保
持できない場合が生じる。この場合には、探針接近用機
構17を動作させ、探針20を試料16に接近させ、Z
微動部の伸びの不足分を補う。ただし、探針接近用機構
17が動作して探針20が試料16に近づくときには、
接近の程度に応じて、Z微動部はそのサーボ制御系によ
り縮み、探針・試料間の距離が常に一定距離に保持され
る。反対に、試料16の表面に傾斜が、走査に従い探針
・試料間の距離が次第に小さくなるように存在すると
き、Z微動部が最大に縮んでも、探針・試料間の距離を
一定に保持できない場合が生じる。この場合には、探針
接近用機構17を動作させ、探針20を試料16から離
れさせ、Z微動部の縮みの不足分を補う。ただし、探針
接近用機構17が動作して探針20が試料16から離れ
るときには、離れの程度に応じて、Z微動部はそのサー
ボ制御系により伸び、探針・試料間の距離が常に一定距
離に保持される。
【0028】図3は、試料16の表面で一定方向の傾斜
が存在し、走査を行うに従って探針・試料間の距離が次
第に大きくなる例を概念的に図解する図であるす。図3
で、(A)は相対的に試料表面に沿って探針が右方向に
移動する状態(測定点A〜F)を示し、(B)はZ微動
部の実際の動作軌跡(探針の移動軌跡と同じ)を示し、
(C)は(B)に示した動作軌跡が連続性を持つように
処理した軌跡を示している。図3(A)で、16は試
料、16aは試料表面である。試料表面16aに対して
探針20の先端が臨む。18aは上記XYZ微動機構1
8に含まれるZ微動部を示す。探針20はZ微動部18
aの下端に固定され、Z微動部18aは探針接近用機構
17の下部に固定されている。図3の例は、説明の便宜
を考慮して、図1の構成を変形して、探針接近用機構1
7の下部に直接にZ微動部18aを取り付けた例を示し
ている。
【0029】測定点Aから測定点Fまでの動作を説明す
る。測定点Aでは、Z微動部18aは縮んでいるとす
る。図3(A)に示されるように、XY移動部12の移
動で試料16が左方向に移動することにより、探針20
が試料表面16aの傾斜に沿って右方向に移動すると、
探針20と試料表面16aの間の距離は一定距離に保持
される。試料16が左側に移動するたびに試料表面16
aの傾斜に応じて、Z微動部18aは順次に伸びる。Z
微動部18aの最大の伸び位置Lに達すると、それ以降
の追従制御ができなくなる。そこで判定制御部26は、
Z微動部18aの圧電素子の動作状態をその制御信号V
zでモニタし、動作状態が、例えばk×Uz(Uz:動
作範囲,k=0.9)になったとき探針接近用機構17
を伸びるように動作させる。このように、Z微動部18
aは、移動が可能な範囲にあるときには伸びる動作を行
い(AからB、CからD)、測定点C,Eの時点のよう
にZ微動部18aによる移動を行えないときは、探針接
近用機構17が伸び、不足分を補っている。探針接近用
機構17が伸びるとき、そのサーボ制御系によりZ微動
部18aは縮む。
【0030】以上のごとく、本来のサーボ制御系による
Z微動部18aのZ軸方向の探針20の位置制御と、Z
微動部18aの伸縮動作が追従できないときの探針接近
用機構17による位置制御とを組合わせる(協調動作)
という上記の制御法で、試料16の測定を行うと、Z微
動部18aの動作軌跡に関して、図3(B)に示すよう
な軌跡が得られる。図3(B)で、S1,S2,S3は
各々探針接近用機構17の動作点を示している。探針接
近用機構17の具体的な構成としては種々のもの用いる
ことができる。探針接近用機構17に例えばねじ送り機
構を用いる場合、通常は、最小の移動ステップがZ微動
部18aの動作範囲よりも大きく、移動の精度もナノメ
ータのオーダは難しいので、その動作軌跡は階段状の不
連続な軌跡となる。測定における動作軌跡の不連続点
は、探針接近用機構17が動作するときにのみ生じる。
これらの不連続点は前述した信号処理部26により連続
するように修正され、探針20の高さ方向(Z軸方向)
の動作軌跡は図3(C)に示されるように連続性を有す
るごとくつなげられる。このような連続性処理によれ
ば、表示装置27の画面には、探針接近用機構17の動
作による影響は与えられず、広範囲の測定であっても、
Z微動部18aの動作量で得られる試料表面の凹凸情報
のみが表示されるという利点を有する。
【0031】図4は、試料16の表面の傾斜が途中で逆
になった場合の例を示す。図4で、(A)は相対的に試
料表面に沿って探針が右方向に移動する状態(測定点A
〜F)を示し、(B)はZ微動部の実際の動作軌跡を示
す。図4において、図3で説明した要素と同一の要素に
は同一の符号を付している。図4(A)で、測定点A〜
Cについて、Z微動部18aの動作は図3で説明した場
合と同じである。測定点D〜FについてはZ微動部18
aは傾斜面の変化に沿って縮むように動作する。この動
作で、測定点Dから測定点Eへ移るとき、Z微動部18
aの動作が0.1×Uzとなると、判定制御部26がこ
の動作状態を判定し、探針接近用機構17は、探針・試
料間の距離を大きく離し、Z微動部18aによる探針・
試料間の距離の一定保持を継続させる。以上により、Z
微動部18aの動作に関して図4(B)に示される動作
軌跡が得られる。探針接近用機構17が動作する時点に
対応して階段状の変化S1,S2による不連続点が示さ
れる。これらの不連続点は図3の例で説明したのと同様
に、前述した信号処理部26により連続するように修正
される。
【0032】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明によ
れば、原子間力顕微鏡等の走査型プローブ顕微鏡におい
て、試料表面に対する高さ方向の探針の移動を、Z微動
部と探針接近用機構(粗動機構)を協調的に動作させ、
Z微動部の動作不足分を探針接近用機構で補うようにし
たため、広い範囲の測定の走査に対処でき、広範囲の測
定を行うことができる。広い範囲を走査するときに常に
探針・試料間の距離を一定の距離に保持できるので、試
料表面の傾斜やうねりなどの測定を行うことができ、さ
らに探針と試料の衝突を回避することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る走査型プローブ顕微鏡の代表的実
施形態を示す構成図である。
【図2】静圧案内式のXY移動装置の部分平面図であ
る。
【図3】一方向に一定の傾斜を有する試料表面を走査し
て測定を行うときのZ微動部と探針接近用機構の協調動
作を示す説明図である。
【図4】傾斜が途中で反転する試料表面を走査して測定
を行うときのZ微動部と探針接近用機構の協調動作を示
す説明図である。
【図5】従来の走査型プローブ顕微鏡の代表例を示す構
成図である。
【図6】広い範囲で試料表面を走査するときのZ方向の
位置調整の問題を説明する図である。
【符号の説明】
12 XY移動部 15 高さ位置制御部 16 試料 17 探針接近用機構 18 XYZ微動機構 18a Z微動部 19 カンチレバー 20 探針 21 変位検出器 26 判定制御部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 登 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株 式会社土浦工場内 (72)発明者 森本 高史 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株 式会社土浦工場内 (72)発明者 黒田 浩史 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株 式会社土浦工場内 Fターム(参考) 2F069 AA60 DD20 GG01 GG04 HH04 JJ08 JJ15 LL03 MM24 MM38 NN06 5H303 AA20 BB03 BB08 BB12 CC06 DD01 DD06 DD14 DD25 HH05 KK02 KK03 QQ01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 探針を備えるカンチレバーと、前記探針
    と試料に相対的変位を与える3軸移動機構と、カンチレ
    バーの変位を検出する変位検出手段と、前記探針と前記
    試料の距離を変化させる粗動機構を備え、前記変位検出
    手段の出力信号に基づき前記探針と前記試料の間に生じ
    る相互作用が一定状態に保持されるように制御し、制御
    信号によって前記試料の表面特性を測定する走査型プロ
    ーブ顕微鏡において、 前記3軸移動機構は、前記探針または前記試料を測定平
    面に沿って広範囲に移動するXY移動装置と、圧電素子
    で形成され、走査の間、探針・試料間を微小距離で一定
    に保つZ微動装置とからなり、探針・試料間の距離が前
    記Z微動装置の移動可能範囲を越えるとき、前記粗動機
    構を動作させて動作不足分を補い、探針・試料間の距離
    を一定に保たせる制御手段を備えることを特徴とする走
    査型プローブ顕微鏡。
  2. 【請求項2】 前記粗動機構が動作するとき、前記粗動
    機構が動作する前のの前記Z微動装置の制御データと、
    前記粗動機構が動作した後の前記Z微動装置の制御デー
    タとが同一値としてみなして扱い、前記Z微動装置の制
    御データの連続性を保つことを特徴とする請求項1記載
    の走査型プローブ顕微鏡。
  3. 【請求項3】 前記制御手段は、前記Z微動部の最大移
    動範囲をUzとするとき、前記Z微動装置の移動動作に
    よる変位がk×Uz(kは1以下)となった時に前記粗
    動機構を接近方向に移動させ、前記Z微動装置の移動動
    作による変位が(1−k)×Uz(kは1以下)となっ
    た時に前記粗動機構を離れ方向に移動させることを特徴
    とする請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡。
  4. 【請求項4】 前記粗動機構が前記接近方向に移動動作
    を行う時、前記Z微動装置はサーボ制御系により縮み、
    前記粗動機構が前記離れ方向に移動動作を行う時、前記
    Z微動装置はサーボ制御系により伸びることを特徴とす
    る請求項3記載の走査型プローブ顕微鏡。
  5. 【請求項5】 前記XY移動装置は静圧案内式の移動装
    置であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項
    に記載の走査型プローブ顕微鏡。
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