JP2000086757A - カルボキシベタイン型構造を側鎖に有するアミノ酸重合体及びその製造方法 - Google Patents

カルボキシベタイン型構造を側鎖に有するアミノ酸重合体及びその製造方法

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JP2000086757A JP10259725A JP25972598A JP2000086757A JP 2000086757 A JP2000086757 A JP 2000086757A JP 10259725 A JP10259725 A JP 10259725A JP 25972598 A JP25972598 A JP 25972598A JP 2000086757 A JP2000086757 A JP 2000086757A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生分解性を有する、カルボキシベタイン型高
分子電解質及びその合成方法を提供する。 【解決手段】 側鎖にカルボキシベタイン型構造を有す
るアミノ酸重合体。側鎖にカルボキシル基を有するアミ
ノ酸重合体に、置換アミノ基を有するアルキルアミンを
反応させた後、得られた生成物にアルコキシカルボニル
アルキルハライドを反応させ、次いで得られた生成物を
加水分解処理することを特徴とする前記アミノ酸重合体
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なアミノ酸重
合体及びその製造方法に関するものである。本発明のア
ミノ酸は、側鎖に正負の両荷電基をともに有するカルボ
キシベタイン型構造を有するため、水溶液中で無機塩類
や有機塩類を取り込むことができる。このため、砂漠等
での水分保持剤、塩害地での塩の除去剤、生理用品、薬
物徐放性担体、生体適合材料等に利用できる。さらに、
本発明の重合体は主鎖及び側鎖にそれぞれペプチド結合
及びアミド結合を有しているため、生分解性を有し環境
問題に適した材料である。
【0002】
【従来の技術】一分子中に、4級アンモニウム基とカル
ボキシル基を共に有する構造をカルボキシベタイン型構
造と称し、通常の電解質分子と異なる性質を持ってい
る。例えばこの様な両荷電基を有する高分子電解質は、
塩を添加することで分子鎖が広がることが知られてい
る。このため、この高分子は水溶液中で塩を取り込むこ
とが出来るので、新たな土壌改質剤や生理用品等に利用
できると考えられる。これまでにこの様な両荷電基を有
するベタイン型高分子電解質はポリ[N−(3−スルホ
プロピル)−N−メタクリロオキシエチル−N,N−ジ
メチルアンモニウムベタイン]やポリ[4−(2−アク
リルアミド−2−メチルプロピルジメチルアンモニオ)
ブタネート]等が知られているがいずれも主鎖がアルキ
ル鎖である。このため生分解性がなく、ごみ等の新たな
環境間題を生じる可能性がある。よって、生分解性を有
するカルボキシベタイン型高分子電解質の開発が必要と
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、生分解性を
有する、カルボキシベタイン型高分子電解質及びその合
成方法を提供することをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明によれば、側鎖にカルボキシベ
タイン型構造を有するアミノ酸重合体が提供される。ま
た、本発明によれば、側鎖にカルボキシベタイン型構造
を有するアミノ酸重合体を製造する方法において、側鎖
にカルボキシル基を有するアミノ酸重合体に、置換アミ
ノ基を有するアルキルアミンを反応させた後、得られた
生成物にアルコキシカルボニルアルキルハライドを反応
させ、次いで得られた生成物を加水分解処理することを
特徴とする前記方法が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明のアミノ酸重合体には、単
独重合体及び共重合体が包含され、下記一般式(1)で
表されるアミノ酸を原料として用いて製造することがで
きる。
【化1】 前記式中、R1及びR2は低級アルキレン基を示し、その
炭素数は1〜6、好ましくは1〜5、より好ましくは1
〜3である。R3及びR4は水素又は低級アルキル基を示
す。この場合の低級アルキル基の炭素数は1〜6、好ま
しくは1〜3である。m及びpは0又は1を示す。前記
一般式(1)で表されるアミノ酸としては、グルタミン
酸やアスパラギン酸及びそれらの低級アルキルエステル
等が挙げられる。
【0006】本発明のアミノ酸重合体を製造するには、
先ず、前記アミノ酸の単独重合体又は共重合体を合成す
る。共重合体を合成する場合、その共重合成分として
は、各種のアミノ酸、例えば、グリシン、アラニン、バ
リン、ロイシン、イソロイシン等のモノアミノモノカル
ボン酸;セリン、トレオニン等のオキシアミノ酸、シス
ティン、シスチン、メチオニン等の含イオウアミノ酸の
他、フェニルアラニン、プロリン等を挙げることができ
る。この共重合体において、前記一般式(1)で表され
るアミノ酸成分の含有量は、共重合体を構成する全アミ
ノ酸成分に対して、10〜100モル%、好ましくは4
0〜100モル%である。なお、前記アミノ酸重合体
は、従来公知のものであり、また、その一部は既に販売
されているものもあり、本発明では、それらの販売品を
用いることもできる。
【0007】次に、前記アミノ酸重合体に、下記一般式
(2)で表される置換アミノ基を有するアルキルアミン
を反応させる。
【化2】 前記式中、R5はアルキレン基を示し、その炭素数は1
〜12、好ましくは2〜5である。R6及びR7は炭素数
1〜6、好ましくは1〜3の低級アルキル基を示す。こ
の反応においては、アミノ酸重合体中に含まれているカ
ルボキシル基に1級アミノ基(NH2)が結合してアミ
ド結合(CONH)が形成される。
【0008】次に、前記反応で得られた側鎖に置換アミ
ノ基(ジアルキルアミノ基)を有するアミノ酸重合体
に、4級化剤として下記一般式(3)で表される低級ア
ルコキシカルボニルアルキルハライドを反応させる。
【化3】 前記式中、Xは塩素、臭素等のハロゲン、好ましくは臭
素を示し、R8は低級アルキレン基を示し、その炭素数
は1〜6、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3で
ある。R9は炭素数1〜6、好ましくは1〜3の低級ア
ルキル基を示す。この反応においては、アミノ酸重合体
の側鎖アミノ基に前記低級アルコキシカルボニルアルキ
ルハライドが脱ハロゲン化水素反応により結合して、4
級化アミノ基(アンモニウム基)が形成される。
【0009】次に、前記反応で得られた低級アルコキシ
カルボニルアルキル基が結合したアンモニウム基を有す
るアミノ酸重合体におけるそのアルコキシカルボニル基
(COOR9)を加水分解してカルボキシル基(CO
-)に変換する。前記のようにして、側鎖にカルボキ
シルベタイン構造を有するアミノ酸重合体(以下、アミ
ノ酸重合体Aとも言う)を得ることができる。
【0010】本発明のアミノ酸重合体Aの数平均重合度
nは10〜1000、好ましくは100〜1000であ
る。本発明のアミノ酸重合体において、その好ましいも
のは、下記一般式(4)で表されるカルボキシベタイン
型構造の側鎖を有するものである。
【化4】 前記式中、R2及びR8は低級アルキレン基を示し、R5
はアルキレン基を示し、R6及びR7は低級アルキル基を
示し、pは0又は1である。
【0011】本発明のアミノ酸重合体において、より好
ましいものは下記一般式(5)で表されるアミノ酸単独
重合体である。
【化5】 前記式中、R1、R2、R5、R6、R7、R8、m及びpは
前記と同じ意味を有する。nは数平均重合度で10〜1
000、好ましくは100〜1000である。
【0012】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明する。
【0013】実施例1 試料として1,2−ジクロロエタン溶液の化合物1(ポ
リ(メチル−L−グルタメート)分子量60,000)
をガラス板上で自然乾燥した後、真空乾燥を行い溶媒を
除去した。この試料に、以下のような反応を行った。化
合物1の1.8gを3−ジメチルアミノプロピルアミン
75mlとメタノール10ml混合溶液に浸潰し60℃
で9日間反応を行った。生成物を濾過後、大量のアセト
ンで洗浄した。純水に溶解後、凍結乾燥を行い化合物2
を得た。化合物1と化合物2のIR測定を行ったとこ
ろ、化合物1については、IRの吸収ピークは154
0、1635、1740cm-1にあったが、化合物2に
ついては1546と1652cm-1であり、化合物1に
見られた、1740cm-1のエステル結合のピークが化
合物2では完全に消滅していた。1HNMR測定によ
り、共鳴ピークは1.68、2.21、2.36、3.
19、4.17ppmであり、化合物2が得られている
ことが分かった。また、元素分析の結果は、C:H:N
=54.96:9.25:18.96(計算値56.3
4:8.92:19.72)であった。化合物2から化
合物3への、アミノ基の4級化の反応については、後記
表1に示す様に溶媒、試薬のエチル4−ブロモブチレー
トの量および反応時間を変えて実験を行い反応条件を検
討した。反応率は、主鎖上のプロトンと4級アンモニウ
ム基に結合しているメチル基のプロトンの1HNMR共
鳴ピークの積分値から求めた。溶煤としてアセトニトリ
ルを用い、50℃で5日間反応したところ、反応率は8
5−87%に達した。そこで、この試料を化合物3とし
て用いた。具体的には、化合物2の1.0gとエチル4
−ブロモブチレート12gをアセトニトリル135m1
中で50℃で5日間反応し、側鎖のアミノ基を4級アン
モニウム塩とした。反応後アセトンを用いて生成物を沈
澱させ、濾過後アセトンで洗浄した。純水に溶解後、凍
結乾燥を行い化合物3を得た。化合物3のIRの吸収ピ
ークは1545、1656、1727cm-1であった。
1HNMR共鳴ピークは1.27、2.39、2.5
3、2.92、3.13、4.19、4.38ppmで
あった。2.92ppmの共鳴ピークはプロトン付加さ
れたアミノ基に結合しているメチル基のプロトンであ
る。このため、このピークは化合物3を純水に対して限
外濾過することに消滅し、酸を加えることにより再び現
れる。この高分子をメタノール、2−プロパノール、5
MNaOH混合溶液(2/2/1 vo1/vo1/v
o1)に溶解し、室温にて3日間側鎖のエステル結合を
加水分解した。HClで中和後、限外濾過(分画分子量
10,000)を行った。この液にイオン交換樹脂を加
えて、透析(分画分子量3,500)を2日間行った後
に凍結乾燥し化合物4を得た。IRの吸収ピークは15
76、1654cm-1であり、化合物3で見られたエス
テル結合由来のピーク1727cm-1が化合物4では完
全に消滅していた。1HNMRの共鳴ピークは1.7
6、1.99、2.25、2.37、3.09、3.3
1、4.31ppmであり、ここにDClを加えると
2.03、2.05、2.37、2.52、2.91、
3.12、3.30、3.35、3.37、3.40、
4.35ppmであった。また、元素分析の結果は、
C:H:N:52.99:9.24:13.78(計算
値56.20:8.41:14.59反応率87%の
時)であった。
【0014】
【表1】
【0015】前記実施例1において行った各反応を化学
式を含めて示すと、以下の通りである。
【0016】
【化6】
【0017】実施例2 化合物4の水溶液の粘度測定をウベローデ粘度計を用い
て25℃でHClを滴定することによりpHを変化させ
ながら行った。その結果、pHが3付近において粘度の
極大を生じた。pHが3付近までは、pHの減少に伴う
カルボキシル基の解離度の減少により、4級アンモニウ
ム基の正電荷による反発が強まるため粘度が増加し、一
方pH3以下の範囲では、加えられたHClの添加塩効
果により、荷電基間の反発が抑制され粘度が滅少したと
考えられる。
【0018】
【発明の効果】本発明のアミノ酸重合体は、生分解性を
有するもので、その側鎖にカルボキシベタイン型構造を
有し、塩除去剤、生理用品、薬物徐放担体、生体適合材
料等として利用される。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年6月11日(1999.6.1
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 カルボキシベタイン型構造を側鎖に有
するアミノ酸重合体及びその製造方法
【特許請求の範囲】
【化1】 (式中、Rは炭素数1〜12のアルキレン基、R
びRは炭素数1〜6のアルキル基、Rは炭素数炭素
数1〜6のアルキレン基を示す。)
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なアミノ酸重
合体及びその製造方法に関するものである。本発明のア
ミノ酸は、側鎖に正負の両荷電基をともに有するカルボ
キシベタイン型構造を有するため、水溶液中で無機塩類
や有機塩類を取り込むことができる。このため、砂漠等
での水分保持剤、塩害地での塩の除去剤、生理用品、薬
物徐放性担体、生体適合材料等に利用できる。さらに、
本発明の重合体は主鎖及び側鎖にそれぞれペプチド結合
及びアミド結合を有しているため、生分解性を有し環境
問題に適した材料である。
【0002】
【従来の技術】一分子中に、4級アンモニウム基とカル
ボキシル基を共に有する構造をカルボキシベタイン型構
造と称し、通常の電解質分子と異なる性質を持ってい
る。例えばこの様な両荷電基を有する高分子電解質は、
塩を添加することで分子鎖が広がることが知られてい
る。このため、この高分子は水溶液中で塩を取り込むこ
とが出来るので、新たな土壌改質剤や生理用品等に利用
できると考えられる。これまでにこの様な両荷電基を有
するベタイン型高分子電解質はポリ[N−(3−スルホ
プロピル)−N−メタクリロオキシエチル−N,N−ジ
メチルアンモニウムベタイン]やポリ[4−(2−アク
リルアミド−2−メチルプロピルジメチルアンモニオ)
ブタネート]等が知られているがいずれも主鎖がアルキ
ル鎖である。このため生分解性がなく、ごみ等の新たな
環境間題を生じる可能性がある。よって、生分解性を有
するカルボキシベタイン型高分子電解質の開発が必要と
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、生分解性を
有する、カルボキシベタイン型高分子電解質及びその合
成方法を提供することをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明によれば、下記一般式(1)で
示される繰り返し単位からなる、側鎖にカルボキシベタ
イン型構造を有するグルタミン酸重合体が提供される。
【化2】 (式中、Rは炭素数1〜12のアルキレン基、R
びRは炭素数1〜6のアルキル基、Rは炭素数炭素
数1〜6のアルキレン基を示す。) また、本発明によれば、グルタミン酸酸重合体に、置換
アミノ基を有するアルキルアミンを反応させた後、得ら
れた生成物にアルコキシカルボニルアルキルハライドを
反応させ、次いで得られた生成物を加水分解処理するこ
とを特徴とする上記側鎖にカルボキシベタイン型構造を
有するグルタミン酸重合体を製造する方法が提供され
る。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明のアミノ酸重合体には、単
独重合体及び共重合体が包含され、下記一般式(2)
表されるアミノ酸を原料として用いて製造することがで
きる。
【化3】 前記式中、R及びRは水素又は低級アルキル基を示
す。この場合の低級アルキル基の炭素数は1〜6、好ま
しくは1〜3である。前記一般式(1)で表されるアミ
ノ酸としては、グルタミン酸やその低級アルキルエステ
ル等が挙げられる。
【0006】本発明のアミノ酸重合体を製造するには、
先ず、前記グルタミン酸の単独重合体又は共重合体を合
成する。共重合体を合成する場合、その共重合成分とし
ては、各種のアミノ酸、例えば、グリシン、アラニン、
バリン、ロイシン、イソロイシン等のモノアミノモノカ
ルボン酸;セリン、トレオニン等のオキシアミノ酸、シ
スティン、シスチン、メチオニン等の含イオウアミノ酸
の他、フェニルアラニン、プロリン等を挙げることがで
きる。この共重合体において、前記一般式(2)で表さ
れるアミノ酸成分の含有量は、共重合体を構成する全ア
ミノ酸成分に対して、10〜100モル%、好ましくは
40〜100モル%である。なお、前記グルタミン酸
合体は、従来公知のものであり、また、その一部は既に
販売されているものもあり、本発明では、それらの販売
品を用いることもできる
【0007】次に、前記アミノ酸重合体に、下記一般式
(3)で表される置換アミノ基を有するアルキルアミン
を反応させる。
【化4】 前記式中、Rは炭素数1〜12好ましくは炭素数2〜
5のアルキレン基を、R及びRは炭素数1〜6好ま
しくは1〜3の低級アルキル基を表す。この反応におい
ては、アミノ酸重合体中に含まれているカルボキシル基
に1級アミノ基(NH)が結合してアミド結合(CO
NH)が形成される。
【0008】次に、前記反応で得られた側鎖に置換アミ
ノ基(ジアルキルアミノ基)を有するアミノ酸重合体
に、4級化剤として下記一般式(4)で表される低級ア
ルコキシカルボニルアルキルハライドを反応させる。
【化5】 前記式中、Xは塩素、臭素等のハロゲン、好ましくは臭
素を示し、 は、炭素数1〜6、好ましくは1〜5、
より好ましくは1〜3のアルキレン基を、 は炭素数
1〜6、好ましくは1〜3の低級アルキル基を示す。こ
の反応においては、アミノ酸重合体の側鎖アミノ基に前
記低級アルコキシカルボニルアルキルハライドが脱ハロ
ゲン化水素反応により結合して、4級化アミノ基(アン
モニウム基)が形成される。
【0009】次に、前記反応で得られた低級アルコキシ
カルボニルアルキル基が結合したアンモニウム基を有す
るアミノ酸重合体におけるそのアルコキシカルボニル基
COOR )を加水分解してカルボキシル基(COO
)に変換する。前記のようにして、側鎖にカルボキシ
ルベタイン構造を有するグルタミン酸重合体(以下、ア
ミノ酸重合体Aとも言う)を得ることができる。
【0010】本発明のアミノ酸重合体Aの数平均重合度
nは10〜1000、好ましくは100〜1000であ
る。本発明のグルタミン酸重合体において、その好まし
いものは、下記一般式(5)で表されるカルボキシベタ
イン型構造の側鎖を有するものである。
【化6】 (式中、Rは炭素数1〜12のアルキレン基、R
びRは炭素数1〜6のアルキル基、Rは炭素数炭素
数1〜6のアルキレン基を示す。)
【0011】本発明のグルタミン酸重合体において、よ
り好ましいものは下記一般式(6)で表されるグルタミ
酸単独重合体である。
【化7】 前記式中、R、R、R、Rは前記と同じ意味を
有する。nは数平均重合度で10〜1000、好ましく
は100〜1000である。
【0012】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明する。
【0013】実施例1 試料として1,2−ジクロロエタン溶液の化合物1(ポ
リ(メチル−L−グルタメート)分子量60,000)
をガラス板上で自然乾燥した後、真空乾燥を行い溶媒を
除去した。この試料に、以下のような反応を行った。化
合物1の1.8gを3−ジメチルアミノプロピルアミン
75mlとメタノール10ml混合溶液に浸潰し60℃
で9日間反応を行った。生成物を濾過後、大量のアセト
ンで洗浄した。純水に溶解後、凍結乾燥を行い化合物2
を得た。化合物1と化合物2のIR測定を行ったとこ
ろ、化合物1については、IRの吸収ピークは154
0、1635、1740cm−1にあったが、化合物2
については1546と1652cm−1であり、化合物
1に見られた、1740cm−1のエステル結合のピー
クが化合物2では完全に消滅していた。HNMR測定
により、共 鳴ピークは1.68、2.21、2.3
6、3.19、4.17ppmであり、化合物2が得ら
れていることが分かった。また、元素分析の結果は、
C:H:N=54.96:9.25:18.96(計算
値56.34:8.92:19.72)であった。化合
物2から化合物3への、アミノ基の4級化の反応につい
ては、後記表1に示す様に溶媒、試薬のエチル4−ブロ
モブチレートの量および反応時間を変えて実験を行い反
応条件を検討した。反応率は、主鎖上のプロトンと4級
アンモニウム基に結合しているメチル基のプロトンの
HNMR共鳴ピークの積分値から求めた。溶煤としてア
セトニトリルを用い、50℃で5日間反応したところ、
反応率は85−87%に達した。そこで、この試料を化
合物3として用いた。具体的には、化合物2の1.0g
とエチル4−ブロモブチレート12gをアセトニトリル
135m1中で50℃で5日間反応し、側鎖のアミノ基
を4級アンモニウム塩とした。反応後アセトンを用いて
生成物を沈澱させ、濾過後アセトンで洗浄した。純水に
溶解後、凍結乾燥を行い化合物3を得た。化合物3のI
Rの吸収ピークは1545、1656、1727cm
−1であった。HNMR共鳴ピークは1. 27、
2.39、2.53、2.92、3.13、4.19、
4.38ppmであった。2.92ppmの共鳴ピーク
はプロトン付加されたアミノ基に結合しているメチル基
のプロトンである。このため、このピークは化合物3を
純水に対して限外濾過することに消滅し、酸を加えるこ
とにより再び現れる。この高分子をメタノール、2−プ
ロパノール、5MNaOH混合溶液(2/2/1 vo
1/ vo1/vo1)に溶解し、室温にて3日間側鎖
のエステル結合を加水分解した。HClで中和後、限外
濾過(分画分子量10,000)を行った。この液にイ
オン交換樹脂を加えて、透析(分画分子量3,500)
を2日間行った後に凍結乾燥し化合物4を得た。IRの
吸収ピークは1576、1654cm−1であり、化合
物3で見られたエステル結合由来のピーク1727cm
−1が化合物4では完全に消滅していた。HNMRの
共鳴ピークは1.76、1.99、2.25、 2.3
7、3.09、3.31、4.31ppmであり、ここ
にDClを加えると2.03、2.05、2.37、
2.52、2.91、3.12、3.30、3.35、
3.37、3.40、4.35ppmであった。また、
元素分析の結果は、C:H:N:52.99:9.2
4:13.78(計算値56.20:8.41:14.
59反応率87%の時)であった。
【0014】
【表1】
【0015】前記実施例1において行った各反応を化学
式を含めて示すと、以下の通りである。
【0016】
【化8】
【0017】実施例2 化合物4の水溶液の粘度測定をウベローデ粘度計を用い
て25℃でHClを滴定することによりpHを変化させ
ながら行った。その結果、pHが3付近において粘度の
極大を生じた。pHが3付近までは、pHの減少に伴う
カルボキシル基の解離度の減少により、4級アンモニウ
ム基の正電荷による反発が強まるため粘度が増加し、一
方pH3以下の範囲では、加えられたHClの添加塩効
果により、荷電基間の反発が抑制され粘度が滅少したと
考えられる。
【0018】
【発明の効果】本発明のアミノ酸重合体は、生分解性を
有するもので、その側鎖にカルボキシベタイン型構造を
有し、塩除去剤、生理用品、薬物徐放担体、生体適合材
料等として利用される。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J001 DD07 DD13 DD20 EA33 EA34 EA35 EA36 EE28C EE43C FA03 FB01 FC01 GE02 JA20 JB50

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 側鎖にカルボキシベタイン型構造を有す
    るアミノ酸重合体。
  2. 【請求項2】 側鎖にカルボキシベタイン型構造を有す
    るアミノ酸重合体を製造する方法において、側鎖にカル
    ボキシル基を有するアミノ酸重合体に、置換アミノ基を
    有するアルキルアミンを反応させた後、得られた生成物
    に低級アルコキシカルボニルアルキルハライドを反応さ
    せ、次いで得られた生成物を加水分解処理することを特
    徴とする前記方法。
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