JP2000086559A - 精製フェノールの製造方法 - Google Patents
精製フェノールの製造方法Info
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Abstract
ン、α−メチルスチレン及びフェノールを含む粗製フェ
ノールを原料とする、経済的に有利な精製フェノールの
製造方法を提供する。 【解決手段】粗製フェノールを複数の蒸留塔で順次に処
理して精製フェノールを製造する方法において、粗製フ
ェノールを第1蒸留塔に供給し、塔頂からキュメン含有
軽質成分を回収し、塔底からα−メチルスチレン含有重
質成分を回収する工程を含む。
Description
製造方法に関するものであり、詳しくは、例えばキュメ
ンハイドロパーオキサイドの酸接触分解工程から得られ
る粗製フェノールを原料とする粗製フェノールの製造方
法に関するものである。
は、原料キュメンの酸化で得られたキュメンハイドロパ
ーオキサドを80〜85%まで濃縮し、次いで、フェノ
ールとアセトンに酸分解した後、中和洗浄する工程を包
含する。そして、得られた粗製フェノールは、アセト
ン、水、キュメン、α−メチルスチレン、フェノール等
を含み、斯かる粗製フェノールから、蒸留により、精製
フェノールが製造され、同時に、アセトン及びα−メチ
ルスチレンがそれぞれ分離して回収される。
ば、特開昭55−94326号公報、特公昭64−70
58号公報などに記載されている通り、通常、第1塔目
である粗アセトン塔で塔頂成分にアセトン、塔底成分に
水、キュメン、α−メチルスチレン、フェノール、重質
成分と分離する方法によって行われている。
ェノールの製造と同時にアセトン及びα−メチルスチレ
ンをそれぞれ分離して回収せんとした場合は、次の様な
問題がある。すなわち、キュメンとα−メチルスチレン
の分離が困難であるため、その分離のために多くの段数
の蒸留塔が必要である。従って、多大の設備投資とエネ
ルギーコストを必要とし、経済的ではない。
鑑みなされたものであり、その目的は、アセトン、水、
ヒドロキシアセトン、キュメン、α−メチルスチレン及
びフェノールを含む粗製フェノールを原料とする、経済
的に有利な精製フェノールの製造方法を提供することに
ある。
を重ねた結果、第1蒸留塔において特定の成分をキー成
分として分離を行うならば、各成分の分離を予想以上に
効率的に行うことが出来るとの知見を得た。
ものであり、その要旨は、キュメン法フェノール製造プ
ロセスから得られ、アセトン、水、ヒドロキシアセト
ン、キュメン、α−メチルスチレン及びフェノールを含
む粗製フェノールを複数の蒸留塔で順次に処理して精製
フェノールを製造する方法において、粗製フェノールを
第1蒸留塔に供給し、塔頂からキュメン含有軽質成分を
回収し、塔底からα−メチルスチレン含有重質成分を回
収する工程を含むことを特徴とする精製フェノールの製
造方法に存する。
詳細に説明する。図1は、本発明に係る精製フェノール
の製造方法の一例を示す説明図である。本発明におい
て、原料の粗製フェノールとしては、キュメンハイドロ
パーオキサイドの酸接触分解工程から得られる粗製フェ
ノールが好適に使用される。斯かる粗製フェノールの組
成の一例は、次の表に示す通りである。なお、以下の表
中の成分は低沸点の順に並べてある。
ノールを第1蒸留塔に供給し、塔頂からキュメン含有軽
質分を回収し、塔底からα−メチルスチレン含有重質分
を回収する。本発明においては、第1蒸留塔でフェノー
ルの存在下にキュメンとα−メチルスチレンとの分離を
行うことが重要である。その理由は次の通りである。
は、両者の揮発度が近似しているために分離が困難であ
る。しかしながら、本発明者らの知見によれば、フェノ
ール又はアセトンの存在下では揮発度が変化してキュメ
ンとα−メチルスチレンとの分離性が高められる。そこ
で、本発明においては、上記の様に、粗フェノールから
最初にキュメンとα−メチルスチレンとを分離する。そ
の結果、回収部(原料供給段より下方部分)ではフェノ
ールが濃縮してキュメンとα−メチルスチレンの分離が
容易となり、濃縮部(原料供給段より上方部分)ではア
セトンが濃縮してキュメンとα−メチルスチレンの分離
が容易となる。また、第1蒸留塔の塔底にα−メチルス
チレンを分離することにより、フェノールの不純物であ
るヒドロキシアセトンの活量が高められ、少ないエネル
ギーでフェノールからのヒドロキシアセトンの分離が可
能となる。
キュメン含有軽質分(アセトン、水、ヒドロキシアセト
ン、キュメン)を第2蒸留塔に供給して反応蒸留を行
い、第2蒸留塔のサイドカットにより製品アセトンを回
収する。上記の反応蒸留は、公知の方法に従い、NaO
H等のアルカリの存在下に行われる。斯かる反応蒸留に
より、不純物であるアルデヒド類およびヒドロキシアセ
トンは、アルドール化により重質化される。従って、従
来と同等の品質の製品アセトンが回収される。
デヒド類を含むアセトン成分は、必要に応じ、フェノー
ル製造プロセスの酸分解反応器に循環する。また、第2
蒸留塔の塔底から回収した水−キュメン−α−メチルス
チレン−アルドール化不純物含有成分はデカンター(図
示せず)で処理され、水が分離された残余成分は第3蒸
留塔に供給される。
離された上記の残余成分を第3蒸留塔に供給し、第3蒸
留塔の塔底または塔底より数段上のサイドカットから回
収したキュメン−α−メチルスチレン−アルドール化不
純物含有成分をフェノール製造プロセスの水添反応器に
循環する。水添反応により、α−メチルスチレンはキュ
メンに転換される。なお、第3蒸留塔の塔頂から回収し
た軽質不純物はフェノール製造プロセス外にパージされ
る。
>前記の第1蒸留塔の塔底から回収したα−メチルスチ
レン含有重質分(α−メチルスチレン、フェノール、高
沸点物)を第4蒸留塔に供給して水蒸気蒸留を行い、第
4蒸留塔の塔頂から粗α−メチルスチレンを回収すると
共に第4蒸留塔の供給段より下の段から粗フェノールを
蒸気サイドカットにより回収する。
ル2成分系は、共沸系であるために分離が困難である。
しかしながら、本発明者らの知見によれば、第3成分と
して水を供給する水蒸気蒸留により、塔頂からフェノー
ルが殆ど含まれていない粗α−メチルスチレンを回収す
ることが出来る。また、蒸気サイドカットにより、供給
段より下の段からアセトフェノン等の高沸点物が殆ど含
まれていない粗フェノールを回収することが出来る。し
かも、水により、製品フェノールの不純物である2−メ
チルベンゾフランの活量が高められるため、フェノール
から2−メチルベンゾフランを容易に分離することが出
来る。なお、第4蒸留塔で使用した水は、塔頂の還流槽
から後述の水抽出塔に供給して利用することも出来る。
ルスチレンは、アルカリ洗浄槽(図示せず)に供給して
微量不純物を除去した後に第5蒸留塔に供給され、蒸気
サイドカットにより回収した粗フェノールは、第6蒸留
塔(抽出蒸留塔)に供給され、第4蒸留塔の塔底から回
収した高沸点物は、必要に応じ、熱分解回収工程に供給
されて処理される。すなわち、有効成分を回収し、酸分
解中和洗浄工程または第1蒸留塔に再循環てもよい。
塔)>微量不純物を除去した後の上記の粗α−メチルス
チレンを第5蒸留塔に供給してサイドカットにより製品
α−メチルスチレンを回収する。上記の粗α−メチルス
チレンは、キュメンの含有量が少ないため、第5蒸留塔
の1塔のみで十分な精製が可能である。第5蒸留塔の塔
頂から回収した成分α−メチルスチレン及び水は、必要
に応じ、第1蒸留塔に循環し、第5蒸留塔の塔底から回
収したブチルベンゼン等の中質不純物は、フェノール製
造プロセス外にパージされる。上記の製品α−メチルス
チレンは、任意の量で水添反応工程に供給し、キュメン
として回収し、フェノール製造プロセスの反応工程へ循
環することも出来る。
からサイドカットにより回収した粗フェノールを第6蒸
留塔に供給して抽出蒸留を行い、第6蒸留塔の塔底から
フェノールを回収する。抽出蒸留は公知の方法に従って
行われ、抽出溶媒としては、水、ポリアルキレングリコ
ール又はそのエーテルが好適に使用される。第6蒸留塔
の塔底から回収されたフェノールは、第7蒸留塔(製品
フェノール塔)に供給され、第6蒸留塔の塔頂に分離さ
れたカルボニル不純物などは、フェノール製造工程外に
パージ除去される。
蒸留塔の塔底から回収したフェノールを第7蒸留塔に供
給してサイドカットにより製品フェノールを回収する。
色相5以下、硫酸着色95以上、純度99.99重量%
以上の製品フェノールを得ることが出来る。
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。
用し、図1に示される態様に従って精製フェノールの製
造を行った。同時に、アセトン及びα−メチルスチレン
を回収した。
段、供給段:17段目、塔頂圧力:約0.02Kg/cm
2G)に供給し、塔頂からキュメン含有軽質分を回収
し、塔底からα−メチルスチレン含有重質分を回収し
た。
水、ヒドロキシアセトン、キュメン)を第2蒸留塔(段
数57段、塔頂圧力約−0.4Kg/cm2G)に供給してN
aOHの存在下に反応蒸留を行い、第2蒸留塔のサイド
カットにより製品アセトンを回収した。
スチレン含有重質分(α−メチルスチレン、フェノー
ル、高沸点物)を第4蒸留塔(段数:67段、供給段:
23段目、塔頂圧力:約−0.6Kg/cm2G)に供給して
水蒸気蒸留を行い、第4蒸留塔の塔頂から粗α−メチル
スチレンを回収すると共に第4蒸留塔の供給段より下の
段(第26段目)から粗フェノールを蒸気サイドカット
により回収した。
ルスチレンをアルカリ洗浄槽(図示せず)に供給して微
量不純物を除去した。そして、微量不純物を除去した後
の粗α−メチルスチレンを第5蒸留塔(段数:83段、
供給段:52段目、塔頂圧力:約−0.1Kg/cm2G)に
供給してサイドカットにより製品α−メチルスチレンを
回収した。
た粗フェノールを第6蒸留塔(段数:77段、供給段:
8段目、塔頂圧力:約1.2Kg/cm2G)に供給して水を
溶媒とする公知の抽出蒸留を行い、第6蒸留塔の塔底か
らフェノールを回収した。
を第7蒸留塔(段数:25段、供給段:22段目、塔頂
圧力:約−0.6Kg/cm2G)に供給してサイドカットに
より製品フェノール(色相5以下、硫酸着色95以上、
純度99.99重量%以上)を回収した。
レン100重量部に対し、殆ど全量に近い95重量部の
α−メチルスチレンを塔底に分離した際、リボイラース
チームの所要エネルギーは供給流量1T/Hに対し、
0.1MMKCal/T-feedであった。その際の第1蒸留塔の
塔底液の組成は、表2に示す通りであった。
塔でフェノールの存在下にキュメンとα−メチルスチレ
ンとの分離を行うことにより、各成分の分離を予想以上
に効率的に行うことが出来、その結果、経済的に有利に
精製フェノールを製造することが出来る。
を示す説明図
Claims (7)
- 【請求項1】 キュメン法フェノール製造プロセスから
得られ、アセトン、水、ヒドロキシアセトン、キュメ
ン、α−メチルスチレン及びフェノールを含む粗製フェ
ノールを複数の蒸留塔で順次に処理して精製フェノール
を製造する方法において、粗製フェノールを第1蒸留塔
に供給し、塔頂からキュメン含有軽質成分を回収し、塔
底からα−メチルスチレン含有重質成分を回収する工程
を含むことを特徴とする精製フェノールの製造方法。 - 【請求項2】 第1蒸留塔の塔頂から回収したキュメン
含有軽質成分を第2蒸留塔に供給して反応蒸留を行い、
第2蒸留塔のサイドカットにより製品アセトンを回収す
る請求項1に記載の製造方法。 - 【請求項3】 第2蒸留塔の塔底から回収した水−キュ
メン−α−メチルスチレン−アルドール化不純物含有成
分をデカンターで処理し、水が分離された残余成分を第
3蒸留塔に供給し、第3蒸留塔の塔底から回収したキュ
メン−α−メチルスチレン−アルドール化不純物含有成
分をフェノール製造プロセスの水添反応器に循環する請
求項1〜3の何れかに記載の製造方法。 - 【請求項4】 第1蒸留塔の塔底から回収したα−メチ
ルスチレン含有重質分を第4蒸留塔に供給して水蒸気蒸
留を行い、第4蒸留塔の塔頂から粗α−メチルスチレン
を回収すると共に第4蒸留塔の供給段より下の段から粗
フェノールを蒸気サイドカットにより回収する請求項1
〜3の何れかに記載の製造方法。 - 【請求項5】 第4蒸留塔の塔頂から回収した粗α−メ
チルスチレンをアルカリ洗浄槽に供給して微量不純物を
除去した後、第5蒸留塔に供給してサイドカットにより
製品α−メチルスチレンを回収する請求項1〜4の何れ
かに記載の製造方法。 - 【請求項6】 第4蒸留塔からサイドカットにより回収
した粗フェノールを第6蒸留塔に供給して抽出蒸留を行
い、第6蒸留塔の塔底からフェノールを回収する請求項
1〜5の何れかに記載の製造方法。 - 【請求項7】 第6蒸留塔の塔底から回収したフェノー
ルを第7蒸留塔に供給してサイドカットにより製品フェ
ノールを回収する請求項1〜6の何れかに記載の製造方
法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP25863298A JP4224877B2 (ja) | 1998-09-11 | 1998-09-11 | 精製フェノールの製造方法 |
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JP4224877B2 JP4224877B2 (ja) | 2009-02-18 |
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ID=17322977
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25863298A Expired - Lifetime JP4224877B2 (ja) | 1998-09-11 | 1998-09-11 | 精製フェノールの製造方法 |
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-
1998
- 1998-09-11 JP JP25863298A patent/JP4224877B2/ja not_active Expired - Lifetime
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CN115322085B (zh) * | 2022-07-08 | 2023-11-03 | 实友化工(扬州)有限公司 | 一种用于苯酚丙酮的提纯工艺 |
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