JP2000085433A - 自動車用シート及び該自動車用シートのロック機構 - Google Patents

自動車用シート及び該自動車用シートのロック機構

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JP2000085433A
JP2000085433A JP10264805A JP26480598A JP2000085433A JP 2000085433 A JP2000085433 A JP 2000085433A JP 10264805 A JP10264805 A JP 10264805A JP 26480598 A JP26480598 A JP 26480598A JP 2000085433 A JP2000085433 A JP 2000085433A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所定以上の衝撃エネルギーが加わった際に、
リクライニング機構が設けられる連結部の一方側を中心
としたシートバック用フレームの回転動作、すなわちね
じれ変形を抑制する。 【解決手段】 シートバック用フレーム1の他方側の連
結部にギア部1aを設けると共に、このギア部1aにか
み合うギア部3aを有するダンパ3を配設する。ギア部
41aを備えたロック機構4を支軸43により支持させ
て配設する。これにより、シートバック用フレーム1に
所定以上の衝撃エネルギーが付加された際には、ロック
機構4のギア部41aがシートバック用フレーム1のギ
ア部1a又はダンパ3のギア部3aのいずれかにかみ合
い、シートバック用フレーム1の他方側連結部における
位置保持がなされ、ねじれ変形が抑制される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用シート及
び該自動車用シートのロック機構に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用シートは、図7に示したよう
に、幅方向両側で軸部材である軸ピン10a,11aに
より結合されたシートバック用フレーム1とシートクッ
ション用フレーム6とに、それぞれ、シートバック(図
示せず)とシートクッション(図示せず)とが支持され
た構成であり、通常、ピン結合された連結部10,11
のうちの一方側10に、リクライニング機構12が設け
られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た構造では、シートバック用フレーム1の位置保持は、
リクライニング機構12に形成されたギア(図示せず)
のかみ合わせのみで行われるため、自動車に所定以上の
大きな衝撃エネルギーが加わった場合、例えば、後方よ
り追突された場合には、リクライニング機構12が設け
られている連結部の一方側10を中心としてねじれ変形
を起こすという問題がある。
【0004】この問題を解消するために、リクライニン
グ機構12をシートバック用フレーム1の両側に設ける
ことも行われているが、これでは、自動車用シート全体
のコストが高くつく。
【0005】本発明は上記した点に鑑みなされたもので
あり、簡易な構造で安価に提供でき、所定以上の大きな
衝撃エネルギーが加わった場合のねじれ変形を従来より
も小さくすることができる自動車用シート及び該自動車
用シートのロック機構を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ため、請求項1に記載の本発明の自動車用シートは、シ
ートバック用フレームとシートクッション用フレームと
の幅方向両側の連結部の一方側にリクライニング機構が
設けられていると共に、他方側に、所定以上の衝撃エネ
ルギーが加わった際に、リクライニング機構が設けられ
る連結部の一方側を中心としたシートバック用フレーム
の回転動作を抑制するロック機構が設けられていること
を特徴とする。請求項2記載の自動車用シートは、請求
項1記載の自動車用シートであって、前記シートバック
用フレームの他方側の連結部の下端部にギア部が設けら
れ、前記ロック機構が該シートバック用フレームのギア
部にかみ合うギア部を有し、所定以上の衝撃エネルギー
が加わった際に該ロック機構のギア部がシートバック用
フレームのギア部にかみ合うように設けられていること
を特徴とする。請求項3記載の自動車用シートは、請求
項1又は2記載の自動車用シートであって、前記ロック
機構が設けられる連結部の他方側に、シートバック用フ
レームのシートクッション用フレームに対する相対的な
回転動作を遅動させるダンパが設けられていることを特
徴とする。請求項4記載の自動車用シートは、前記ダン
パが、シートクッション用フレームに対してシートバッ
ク用フレームを回動可能に支持する軸部材に連結されて
設けられていることを特徴とする。請求項5記載の自動
車用シートは、請求項3記載の自動車用シートであっ
て、前記ダンパが、ギア部を有し、該ギア部がシートバ
ック用フレームに設けたギア部とかみ合うように配設さ
れ、前記ロック機構のギア部が、該ダンパのギア部とシ
ートバック用フレームのギア部のうちのいずれか少なく
とも一方とかみ合うように配設されていることを特徴と
する。請求項6記載の自動車用シートは、請求項1記載
の自動車用シートであって、シートクッション用フレー
ムに対してシートバック用フレームを回動可能に支持す
る軸部材が挿通されると共に、内周縁に切り欠き形成さ
れたくさび状の溝部を有する環状部と、該環状部の外周
に突出する略扇形部とを備え、該略扇形部が対向位置と
なると共に、くさび状の溝部の向きが逆方向となるよう
に該軸部材に挿通されて積層される複数枚のプレート
と、該プレートのくさび状の溝部に、軸部材に沿って配
設される平行ピンと、一方のプレートにおける略扇形部
の一方の端縁と、該一方の端縁に向き合う他方のプレー
トにおける略扇形部の一方の端縁との間に配設され、両
端縁を円周に沿って離間する方向に付勢するばね部材
と、一方のプレートにおける略扇形部の他方の端縁と、
該他方の端縁に向き合う他方のプレートにおける略扇形
部の他方の端縁との間に配設され、両端縁に接触する接
触片を有し、該両端縁間を通過するように設けたピンに
支持されて該ピンを中心として円周方向に揺動可能に設
けられた振り子部材と、を有し、いずれかの方向から所
定以上の衝撃エネルギーを受けた場合に、該振り子部材
がいずれかに揺動し、その接触片のうちの少なくとも一
方といずれか少なくとも一方のプレートにおける略扇形
部の他方の端縁との接触が解除され、前記ばね部材によ
り少なくとも一方のプレートが回動して、平行ピンがく
さび状溝部に食い込んでロックする構造であることを特
徴とする。請求項7記載の自動車用シートは、請求項6
記載の自動車用シートであって、回転軸が前記軸部材と
して機能するダンパが併設されていることを特徴とす
る。請求項8記載のロック機構は、シートバック用フレ
ームとシートクッション用フレームとの幅方向両側の連
結部の一方側にリクライニング機構が設けられている場
合に、所定以上の衝撃エネルギーが加わった際の、リク
ライニング機構が設けられる連結部の一方側を中心とし
たシートバック用フレームの回転動作を抑制するため、
連結部の他方側に設けられる自動車用シートのロック機
構であって、シートクッション用フレームに対してシー
トバック用フレームを回動可能に支持する軸部材が挿通
されると共に、内周縁に切り欠き形成されたくさび状の
溝部を有する環状部と、該環状部の外周に突出する略扇
形部とを備え、該略扇形部が対向位置となると共に、く
さび状の溝部の向きが逆方向となるように該軸部材に挿
通されて積層される複数枚のプレートと、該プレートの
くさび状の溝部に、軸部材に沿って配設される平行ピン
と、一方のプレートにおける略扇形部の一方の端縁と、
該一方の端縁に向き合う他方のプレートにおける略扇形
部の一方の端縁との間に配設され、両端縁を円周に沿っ
て離間する方向に付勢するばね部材と、一方のプレート
における略扇形部の他方の端縁と、該他方の端縁に向き
合う他方のプレートにおける略扇形部の他方の端縁との
間に配設され、両端縁に接触する接触片を有し、該両端
縁間を通過するように設けたピンに支持されて該ピンを
中心として円周方向に揺動可能に設けられた振り子部材
と、を有し、いずれかの方向から所定以上の衝撃エネル
ギーを受けた場合に、該振り子部材がいずれかに揺動
し、その接触片のうちの少なくとも一方といずれか少な
くとも一方のプレートにおける略扇形部の他方の端縁と
の接触が解除され、前記ばね部材により少なくとも一方
のプレートが回動して、平行ピンがくさび状溝部に食い
込んでロックする構造であることを特徴とする。請求項
9記載のロック機構は、請求項8記載のロック機構であ
って、前記軸部材として機能する回転軸を備えたダンパ
が併設されていることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、図面に示した実施の形態に
基づき本発明をさらに詳細に説明する。図1は、本発明
の第1の実施の形態にかかる自動車用シートの要部を示
す図であり、図において、1はシートバック用フレーム
を示す。このシートバック用フレーム1は軸部材である
軸ピン2を介してシートクッション用フレーム6に連結
されている。
【0008】シートバック用フレーム1の一方側の連結
部(図7の符号10に相当)には、図1において図示し
ないリクライニング機構(図7の符号12に相当)が設
けられる。このリクライニング機構は、レバーを持ち上
げて、ギアのかみ合いによるロックを解除し、シートバ
ックに体重をかければ、シートバックを後方に倒すこと
ができ、また、シートバックから背中を離せば、シート
バックが後方から前方へ復帰する公知の構造で、持ち上
げていたレバーを離すことにより再度ロックがかかるも
のである。
【0009】一方、シートバック用フレーム1の他方側
の連結部(図7の符号11に相当)は、その下端部にギ
ア部1aが設けられており、このギア部1aが後述のダ
ンパ3に設けられたギア部3aとかみ合う。なお、この
ギア部1aは、シートバック用フレーム1の下端部に直
接形成してもよいが、別途に製作したギアをシートバッ
ク用フレーム1に積層して設けてもよい。
【0010】ダンパ3は、該ダンパ3に設けられたギア
部3aが上記したシートバック用フレーム1のギア部1
aにかみ合う位置に配設される。具体的には、該ダンパ
3をシートクッション用フレーム6に取り付けるが、こ
の際、ダンパ3を構成する本体ケースをシートクッショ
ン用フレーム6に固定し、本体ケースの一方の面に、別
部材として形成した板状のギア部3aを積層するように
回転軸3bに連結して配設することができる。これによ
り、シートバック用フレーム1が回動すると該シートバ
ック用フレーム1のギア部1aがダンパ3のギア部3a
にかみ合うため、該ギア部3aと共に回転軸3bが回転
し、本体ケース内に充填された粘性液体の抵抗が働く。
また、本体ケースとして、本体ケースそのものの外周に
ギア部3aを形成したものか、別部材からなる板状のギ
ア部であって、該ギア部を本体ケースの一方の面に固着
したものを用い、回転軸3bをシートクッション用フレ
ーム6に固定連結し、シートバック用フレーム1が回動
すると、ギア部3aと共に、本体ケースが回転軸3bに
対して相対的に回転する構造とすることもできる。
【0011】ここで、ダンパ3としては、上記のよう
に、本体ケースに対して相対的に回転する回転軸3bを
備え、内部に充填した粘性液体の抵抗により、所定の制
動力を発揮できるものであれば、どのような構造のもの
であってもよく、例えば、略円筒状の本体ケース内に、
外周面が本体ケースの内周面に摺接し得る大きさで略円
筒状に形成されたロータを配設し、このロータに回転軸
3bを連結すると共に、本体ケースとロータとの間に粘
性液体を充填した構造のもの、あるいは、後述の第2の
実施の形態を示す図3の断面図に示したように、本体ケ
ース31’内に断面凹凸状の固定ロータ31’bを配設
すると共に、該固定ロータ31’bの凹凸部にかみ合う
凹凸部を備えた回転ロータ31’cを配設し、固定ロー
タ31’bと回転ロータ31’cとの摺接面に粘性液体
を充填し、回転ロータ31’cに回転軸3b(図3にお
いては回転軸の機能を兼ねる軸ピン2’)を連結した構
造のもの等を用いることができる。この場合、後者によ
れば、固定ロータ(本体ケース)と回転ロータとの摺接
面積が前者に比較して大きくなるので、より大きな粘性
抵抗を発揮させることができる。
【0012】また、本体ケース内に装填される回転軸3
bの部位又は回転ロータの外周面にベーンを突設し、こ
のベーンにより、充填された粘性液体を圧縮する形式の
回転ダンパを用いることもできる。
【0013】シートバック用フレーム1のギア部1aが
ダンパ3のギア部3aにかみ合うことにより、リクライ
ニング機構のロックを解除して、シートバック用フレー
ム1を後方から前方に戻した際に、該ダンパ3の働きに
よりその復帰スピードを制限することができるが、本実
施の形態では、さらに、該ダンパ3が配設されるシート
バック用フレーム1の他方側の連結部にロック機構4が
設けられている。
【0014】このロック機構4は、シートバック用フレ
ーム1のギア部1aとダンパ3のギア部3aの双方にか
み合うギア部41aを有しており、後方からの追突等に
より、シートバック用フレーム1に所定以上の衝撃エネ
ルギーが加わった場合にのみ、該ギア部41aがシート
バック用フレーム1のギア部1aとダンパ3のギア部3
aにかみ合う。これにより、シートバック用フレーム1
に所定以上の衝撃エネルギーが加わった際、リクライニ
ング機構が設けられているシートバック用フレーム1の
一方側を中心として生じる変形を抑制することができ
る。ロック機構4のギア部41aは、かかる機能を果た
せばよく、本実施の形態のようにダンパ3のギア部3a
に必ずしもかみ合う必要はなく、シートバック用フレー
ム1のギア部1aのみにかみ合うものであってもよい。
【0015】ロック機構4を、所定以上の衝撃エネルギ
ーが加わった場合のみ作動するようにする構成は限定さ
れるものではないが、本実施の形態では次のような構造
を採用している。すなわち、図1に示したように、上辺
部の先端にギア部41aが設けられ、略く字状となるよ
うに配設される本体部41と、該本体部41の下端部に
一体的に設けられたおもり部41bと、該本体部41の
下辺部において上辺部の突出方向とほぼ反対方向に突出
するように一体的に設けられたレバー部42と、該本体
部41の上辺部と下辺部との交差部に配設され、該本体
部41を支持する支軸43と、シートクッション用フレ
ーム6に一端が固定されると共に、上面がおもり部41
bの下面に接するように配設され、支軸43を中心とし
て揺動可能なおもり部41bの位置を固定する固定ばね
44とを有して構成されている。なお、レバー部42の
先端は、本体部41、ギア部41a、おもり部41b及
び固定ばね44とダンパ3とを覆い隠すためのケース部
材5から突出するように設けられている。
【0016】また、支軸43の取り付け位置は、常態に
おいて、本体部41の上辺部に設けたギア部41aがシ
ートバック用フレーム1のギア部1aとダンパ3のギア
部3aのいずれにもかみ合わない位置となるように、す
なわち、該支軸43を挟んでおもり部41b側とギア部
41a側とがつり合うような位置に設けられる。このよ
うなバランスをとることにより、通常のリクライニング
操作環境においては、上記した固定ばね44によりおも
り部41bの位置を固定しなくても、ギア部41aがシ
ートバック用フレーム1にかみ合うことはほとんどない
が、所定以上の衝撃エネルギーが加わらない場合であっ
ても、例えば、急傾斜地においてリクライニング操作を
行ったりする場合には、おもり部41bの位置を全く固
定していないと、本体部41が傾き、ギア部41aがシ
ートバック用フレーム1のギア部1aにかみ合ってしま
うおそれもある。上記した固定ばね44は、このような
弊害が生じないように、おもり部41bの下面に接し、
上方に押圧することにより該おもり部41bの位置を固
定するものであり、それほど大きな弾発力は必要ない
が、シートバック用フレーム1に加わる衝撃エネルギー
が所定以上となった場合に、確実におもり部41bが該
固定ばね44の弾発力に抗して外れるような弾発力に調
整される。
【0017】かかる構成の自動車用シートによれば、通
常の使用時においては、シートバック用フレーム1を後
方にリクライニングさせた後、復帰させる際には、シー
トバック用フレーム1のギア部1aが、ダンパ3のギア
部3aにかみ合うため、ダンパ3の抵抗力により、その
復帰動作がゆっくりとしたものとなる。
【0018】一方、前方又は後方からの衝突等により、
シートバック用フレーム1に所定以上の衝撃エネルギー
が加わった場合には、ロック機構4のおもり部41bが
固定ばね44の弾発力に抗して外れ、支軸43を中心と
して図1において左右いずれかの方向に揺動し、その結
果、該ロック機構4のギア部41aがシートバック用フ
レーム1のギア部1a又はダンパ3のギア部3aのいず
れかか、ギア部41aと、シートバック用フレーム1の
ギア部1a及びギア部3aとの間隔によっては両ギア部
1a,3aにかみ合う。従って、シートバック用フレー
ム1のギア部1aは、所定以上の衝撃エネルギーを受け
た際には、ダンパ3のギア部3aのほか、ロック機構4
のギア部41aにかみ合うことになる。これにより、シ
ートバック用フレーム1の位置保持が、シートバック用
フレーム1とシートクッション用フレーム6の一方側の
連結部に配設されるリクライニング機構のみでなく、他
方側の連結部に配設されるロック機構4によるギアのか
み合わせによっても行われることになるため、リクライ
ニング機構が配設される連結部の一方側を中心としたね
じれ変形を従来よりも抑制することができる。
【0019】なお、ロック機構4のギア部41aがシー
トバック用フレーム1のギア部1aにかみ合ってロック
した際には、レバー部42が図1において、斜め上方又
は下方に傾斜した状態となっているため、このロック状
態を解除する場合には、該レバー部42を押し下げる
か、押し上げればよい。
【0020】次に、本発明の第2の実施の形態を図2及
び図3に基づき説明する。図において、1はシートバッ
ク用フレームを示し、6はシートクッション用フレーム
を示す。本実施の形態においては、このシートバック用
フレーム1とシートクッション用フレーム6とが、ダン
パ3’の回転軸としても機能する軸ピン2’によって連
結されている。
【0021】シートバック用フレーム1の幅方向両側の
連結部のうち、一方側にリクライニング機構が設けられ
(図7参照)、他方側にロック機構4’が設けられる点
は、上記した実施の形態と同様である。また、シートバ
ック用フレーム1の下端部にギア部1aが設けられてい
る点も同様である。但し、ダンパ3’及びロック機構
4’の構造、配設位置が異なる。
【0022】具体的には、まず、ダンパ3’は、シート
バック用フレーム1の下端部付近に積層されるように、
回転軸として機能する軸ピン2’がその中央部を貫通し
て該シートバック用フレーム1及びシートクッション用
フレーム6と連結するように配設されている(図3参
照)。また、本体ケース31’の周囲に突出させた取り
付け片31’aが、ねじ32’によりシートクッション
用フレーム6に固定されると共に、軸ピン2’は、シー
トバック用フレーム1に対して空転しないように設けら
れる。例えば、シートバック用フレーム1に形成した係
合孔1bを多角形に形成すると共に、軸ピン2’のう
ち、この係合孔1bに挿通される部分も同じ多角形に形
成することで空転しないような構造とすることができ
る。これにより、シートバック用フレーム1を後方にリ
クライニングさせた位置から前方へ復帰させた場合に
は、シートバック用フレーム1と共に軸ピン2’が回動
するため、ダンパ3’の本体ケース内に充填された粘性
液体の抵抗が働き、シートバック用フレーム1の復帰時
の回動速度が制限を受けることになる。
【0023】一方、ロック機構4’は、ダンパ3’の本
体ケース31’とシートクッション用フレーム6との間
に配設される。このロック機構4’は、上部41’がシ
ートクッション用フレーム6に突設される支軸43’に
挿通されることにより、揺動可能に支持された板状体か
らなり、上端面に、シートバック用フレーム1のギア部
1aにかみ合うギア部41’aが形成されている。ま
た、重心位置が中心よりも下方部となるように形成され
ており、これにより、支軸43’を中心として揺動し得
る構成である。
【0024】本実施の形態によれば、前方又は後方から
の衝突により、シートバック用フレーム1に所定以上の
衝撃エネルギーが付加された場合には、板状体からなる
ロック機構4’の支軸43’を中心としてその下方部が
図2において左右いずれかの方向に揺動し、その結果、
ギア部41’aがシートバック用フレーム1のギア部1
aにかみ合い位置保持される。このため、本実施の形態
においても、シートバック用フレーム1においてリクラ
イニング機構が配設される一方側の連結部を中心とした
変形が従来よりも抑制される。
【0025】なお、本実施の形態においては、ロック機
構4’の位置を保持するための固定ばねが設けられてい
ないが、上記実施の形態のように必要に応じて設けても
よいことはもちろんである。
【0026】また、上記した各実施の形態では、いずれ
も、シートバック用フレーム1の他方側の連結部にダン
パ3,3’を配設しており、それにより、シートバック
用フレーム1の復帰速度を緩慢にさせることができると
いう利点も有するが、ダンパ3,3’を配設しない構成
としても、ロック機構4,4’の働きにより、リクライ
ニング機構が配設される一方側の連結部を中心とした変
形は従来よりも抑制することができる。
【0027】さらに、上記した第1の実施の形態におい
ては、ロック機構4に代えて第2の実施の形態で採用し
たロック機構4’と同様の構造のものを採用し、これ
を、ダンパ3の下方に配設し、ダンパ3に形成したギア
部3aとかみ合うような構成とすることもできる。ま
た、第2の実施の形態においては、ダンパ3’の外周囲
にギア部を形成し、このギア部に、ロック機構4’又は
第1の実施の形態で採用したようなロック機構4がかみ
合う構成としてもよい。
【0028】次に、本発明の第3の実施の形態を図4〜
図6に基づき説明する。図において、1はシートバック
用フレームを示し、6はシートクッション用フレームを
示す。本実施の形態においては、このシートバック用フ
レーム1とシートクッション用フレーム6とが、両者を
連結する軸部材である軸ピンとして機能するダンパ7の
回転軸71によって連結されている。
【0029】図4に示したように、シートバック用フレ
ーム1の幅方向両側の連結部のうち、一方側にリクライ
ニング機構が設けられ(図7参照)、他方側にロック機
構8が設けられる点は、上記した実施の形態と同様であ
るが、本実施の形態にかかるロック機構8は、次のよう
な構造を有している。
【0030】すなわち、図5及びず6に示したように、
ダンパ7の一面上であって、回転軸71が突出している
面上に、挿通孔81a,82aを該回転軸71に挿通さ
せて配設される2枚のプレート81,82を有してい
る。このプレート81,82の挿通孔81a,82aを
形成する内周縁には、円周方向に間隔をおいてそれぞれ
3つ形成されたくさび状の溝部81b,82bを有する
環状部81c,82cを有している。くさび状の溝部8
1b,82bは、一方の端部においては溝が深くなって
おり、他方に向かうに従い徐々に溝が浅くなるような形
状で切り欠き形成されている。プレート81,82はま
た、環状部81c,82cの外周に突出する略扇形部8
1d,82dを備えている。そして、回転軸71に挿通
孔81a,82aを挿通する際、2つの略扇形部81
d,82dが対向する位置となるように、かつくさび状
の溝部81b,82bの向きが逆方向となるように積層
されて配設される。積層した2枚のプレート81,82
間で連通するくさび状の各溝部81b,82bには、回
転軸71に沿って、平行ピン83が配設される。
【0031】また、一方のプレート81における略扇形
部81dの一方の端縁81eと、該一方の端縁81eに
向き合う他方のプレート82における略扇形部82dの
一方の端縁82eとの間には、図6に示したように断面
略V字状で、拡開する方向、すなわち、各プレート8
1,82の各一方の端縁81e,82eを円周に沿って
離間する方向に付勢するばね部材である板ばね84が配
設されている。
【0032】また、一方のプレート81における略扇形
部81dの他方の端縁81fと、該他方の端縁81fに
向き合う他方のプレート82における略扇形部82dの
他方の端縁82eとの間には、振り子部材85が配設さ
れる。この振り子部材85は、下端部におもり部85a
を有する略逆T字状に形成されており、上端部に孔部8
5bが設けられている。この孔部85bには、ダンパ7
の一面と外側ケース86との間に掛け渡されるピン87
であって、一方の略扇形部81dの他方の端縁81f
と、他方の略扇形部82dの他方の端縁82fとの間の
略中央部に設けられたピン87が挿通され、これによ
り、該振り子部材85は、該ピン87を中心として図6
において左右に揺動し得ることになる。但し、振り子部
材85の上端部には、略扇形部81d,82dの各他方
の端縁81f,82f方向に突出し、それぞれが該他方
の端縁81f,82fに接する接触片85c,85dが
設けられているため、両者の接触状態が解除されない限
り、すなわち、常態においては揺動しない。
【0033】また、振り子部材85の接触片85c,8
5dは、板ばね84の付勢力に抗して略扇形部81d,
82dの各他方の端縁81f,82f間の距離を保ち、
平行ピン83をくさび状の各溝部81b,82b内で、
深い溝の部分に位置させ、回転軸71の回転動作を可能
とする機能を有している。なお、略扇形部81d,82
dの各他方の端縁81f,82f間には、図6において
逆V字状に配設した他の板ばね88が配設されている
が、これは、略扇形部81d,82dの各他方の端縁8
1f,82f間の距離を保つ補助部材として機能する。
【0034】かかる構成によれば、所定以上の衝撃エネ
ルギーがいずれかの方向から付加されると、衝撃によ
り、振り子部材85が一方の方向へ振れようとして、一
方の接触片、例えば接触片85cが一方のプレート81
の略扇形部81dの他方の端縁81fから外れる。その
結果、板ばね84の付勢力により、一方のプレート81
が円周方向に回転し、その結果、該一方のプレート81
に形成されたくさび状の溝部81bに平行ピン83が食
い込み、回転軸71を回転不能にロックする。これによ
り、シートバック用フレーム1の他方側の連結部におけ
る位置保持がなされ、一方側の連結部を中心としたねじ
れ変形が抑制される。
【0035】なお、所定以上の衝撃エネルギーが上記と
逆方向から付加された場合には、振り子部材85が逆方
向へ振れて他方の接触片85dが外れ、他方のプレート
82が回転し、回転軸71を回転不能にロックする。ま
た、衝撃エネルギーが強すぎる場合等において、両方の
接触片85c,85dが外れた場合には、2つのプレー
ト81,82が両方とも回転するが、この場合でも、他
の板ばね88によって略扇形部81d,82dの各他方
の端縁81f,82f間の距離を保っているため、各く
さび状の溝部81b,82bが平行ピン83を押圧し
て、回転軸71をロックすることができる。
【0036】また、本実施の形態においても、ダンパ7
を併設しており、それによって、常態においては、シー
トバック用フレーム1の復帰時の復帰速度を緩慢にさせ
ることができるという利点も有するが、このダンパ7を
配設しない構成としても、ロック機構8の働きにより、
リクライニング機構が配設される一方側の連結部を中心
とした変形は従来よりも抑制することができる。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、シートバック用フレー
ムとシートクッション用フレームとの連結部のうち、リ
クライニング機構が配設されない側の連結部に、シート
バック用フレームに対して、直接又はダンパを介してか
み合うロック機構が設けられているため、所定以上の衝
撃エネルギーが加わった際に、リクライニング機構が設
けられる連結部の一方側を中心としたシートバック用フ
レームの回転動作、すなわちねじれ変形を抑制すること
ができる。また、ロック機構を設けるだけでねじれ変形
を抑制できるため、従来のシートバック用フレームの両
側にリクライニング機構を設ける場合と比較して、自動
車用シートの製作コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる自
動車用シートの要部を示す図である。
【図2】図2は、本発明の第2の実施の形態にかかる自
動車用シートの要部を示す図である。
【図3】図3は、本発明の第2の実施の形態にかかる自
動車用シートの要部断面図である。
【図4】図4は、本発明の第3の実施の形態にかかる自
動車用シートの要部を示す図である。
【図5】図5は、第3の実施の形態で用いたロック機構
を説明するための概略断面図である。
【図6】図6は、図5のA−A線断面図である。
【図7】図7は、自動車用シートを構成するシートバッ
ク用フレームとシートクッション用フレームの概略構造
を説明するための図である。
【符号の説明】
1 シートバック用フレーム 1a ギア部 2,2’ 軸ピン 3,3’,7 ダンパ 3a ギア部 4,4’,8 ロック機構 41a,41’a ギア部 6 シートクッション用フレーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福川 孝雄 静岡県浜松市古川町500 株式会社ソミッ ク石川内 (72)発明者 長谷 幸弘 静岡県浜松市古川町500 株式会社ソミッ ク石川内 (72)発明者 菅野 秀則 東京都千代田区神田錦町3丁目19番地1 不二精器株式会社内 (72)発明者 志村 良太 東京都千代田区神田錦町3丁目19番地1 不二精器株式会社内 Fターム(参考) 3B087 BD02 CD02 3B099 AA05 BA04 CA03 DA04

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シートバック用フレームとシートクッシ
    ョン用フレームとの幅方向両側の連結部の一方側にリク
    ライニング機構が設けられていると共に、他方側に、所
    定以上の衝撃エネルギーが加わった際に、リクライニン
    グ機構が設けられる連結部の一方側を中心としたシート
    バック用フレームの回転動作を抑制するロック機構が設
    けられていることを特徴とする自動車用シート。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の自動車用シートであっ
    て、前記シートバック用フレームの他方側にギア部が設
    けられ、前記ロック機構が該シートバック用フレームの
    ギア部にかみ合うギア部を有し、所定以上の衝撃エネル
    ギーが加わった際に該ロック機構のギア部がシートバッ
    ク用フレームのギア部にかみ合うように設けられている
    ことを特徴とする自動車用シート。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の自動車用シートで
    あって、前記ロック機構が設けられる連結部の他方側
    に、シートバック用フレームのシートクッション用フレ
    ームに対する相対的な回転動作を遅動させるダンパが設
    けられていることを特徴とする自動車用シート。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の自動車用シートであっ
    て、前記ダンパが、シートクッション用フレームに対し
    てシートバック用フレームを回動可能に支持する軸部材
    に連結されて設けられていることを特徴とする自動車用
    シート。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の自動車用シートであっ
    て、前記ダンパが、ギア部を有し、該ギア部がシートバ
    ック用フレームに設けたギア部とかみ合うように配設さ
    れ、前記ロック機構のギア部が、該ダンパのギア部とシ
    ートバック用フレームのギア部のうちのいずれか少なく
    とも一方とかみ合うように配設されていることを特徴と
    する自動車用シート。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の自動車用シートであっ
    て、シートクッション用フレームに対してシートバック
    用フレームを回動可能に支持する軸部材が挿通されると
    共に、内周縁に切り欠き形成されたくさび状の溝部を有
    する環状部と、該環状部の外周に突出する略扇形部とを
    備え、該略扇形部が対向位置となると共に、くさび状の
    溝部の向きが逆方向となるように該軸部材に挿通されて
    積層される複数枚のプレートと、 該プレートのくさび状の溝部に、軸部材に沿って配設さ
    れる平行ピンと、 一方のプレートにおける略扇形部の一方の端縁と、該一
    方の端縁に向き合う他方のプレートにおける略扇形部の
    一方の端縁との間に配設され、両端縁を円周に沿って離
    間する方向に付勢するばね部材と、 一方のプレートにおける略扇形部の他方の端縁と、該他
    方の端縁に向き合う他方のプレートにおける略扇形部の
    他方の端縁との間に配設され、両端縁に接触する接触片
    を有し、該両端縁間を通過するように設けたピンに支持
    されて該ピンを中心として円周方向に揺動可能に設けら
    れた振り子部材と、を有し、いずれかの方向から所定以
    上の衝撃エネルギーを受けた場合に、該振り子部材がい
    ずれかに揺動し、その接触片のうちの少なくとも一方と
    いずれか少なくとも一方のプレートにおける略扇形部の
    他方の端縁との接触が解除され、前記ばね部材により少
    なくとも一方のプレートが回動して、平行ピンがくさび
    状溝部に食い込んでロックする構造であることを特徴と
    する自動車用シート。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の自動車用シートであっ
    て、回転軸が前記軸部材として機能するダンパが併設さ
    れていることを特徴とする自動車用シート。
  8. 【請求項8】 シートバック用フレームとシートクッシ
    ョン用フレームとの幅方向両側の連結部の一方側にリク
    ライニング機構が設けられている場合に、所定以上の衝
    撃エネルギーが加わった際の、リクライニング機構が設
    けられる連結部の一方側を中心としたシートバック用フ
    レームの回転動作を抑制するため、連結部の他方側に設
    けられる自動車用シートのロック機構であって、 シートクッション用フレームに対してシートバック用フ
    レームを回動可能に支持する軸部材が挿通されると共
    に、内周縁に切り欠き形成されたくさび状の溝部を有す
    る環状部と、該環状部の外周に突出する略扇形部とを備
    え、該略扇形部が対向位置となると共に、くさび状の溝
    部の向きが逆方向となるように該軸部材に挿通されて積
    層される複数枚のプレートと、 該プレートのくさび状の溝部に、軸部材に沿って配設さ
    れる平行ピンと、 一方のプレートにおける略扇形部の一方の端縁と、該一
    方の端縁に向き合う他方のプレートにおける略扇形部の
    一方の端縁との間に配設され、両端縁を円周に沿って離
    間する方向に付勢するばね部材と、 一方のプレートにおける略扇形部の他方の端縁と、該他
    方の端縁に向き合う他方のプレートにおける略扇形部の
    他方の端縁との間に配設され、両端縁に接触する接触片
    を有し、該両端縁間を通過するように設けたピンに支持
    されて該ピンを中心として円周方向に揺動可能に設けら
    れた振り子部材と、を有し、いずれかの方向から所定以
    上の衝撃エネルギーを受けた場合に、該振り子部材がい
    ずれかに揺動し、その接触片のうちの少なくとも一方と
    いずれか少なくとも一方のプレートにおける略扇形部の
    他方の端縁との接触が解除され、前記ばね部材により少
    なくとも一方のプレートが回動して、平行ピンがくさび
    状溝部に食い込んでロックする構造であることを特徴と
    するロック機構。
  9. 【請求項9】 請求項8記載のロック機構であって、前
    記軸部材として機能する回転軸を備えたダンパが併設さ
    れていることを特徴とするロック機構。
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