JP2000085117A - 記録ヘッド補正方法及びその装置及びその装置によって補正された記録ヘッド及びその記録ヘッドを用いた記録装置 - Google Patents

記録ヘッド補正方法及びその装置及びその装置によって補正された記録ヘッド及びその記録ヘッドを用いた記録装置

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JP2000085117A
JP2000085117A JP10257178A JP25717898A JP2000085117A JP 2000085117 A JP2000085117 A JP 2000085117A JP 10257178 A JP10257178 A JP 10257178A JP 25717898 A JP25717898 A JP 25717898A JP 2000085117 A JP2000085117 A JP 2000085117A
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Kimiyuki Hayashizaki
公之 林崎
Hiroshi Koizumi
寛 小泉
Takeshi Origasa
剛 折笠
Koji Yamakawa
浩二 山川
Hiroyuki Kigami
博之 木上
Hisashi Fukai
恒 深井
Noriyuki Ono
敬之 小野
Masayoshi Okawa
雅由 大川
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    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J29/00Details of, or accessories for, typewriters or selective printing mechanisms not otherwise provided for
    • B41J29/38Drives, motors, controls or automatic cut-off devices for the entire printing mechanism
    • B41J29/393Devices for controlling or analysing the entire machine ; Controlling or analysing mechanical parameters involving printing of test patterns

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  • Ink Jet (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録ヘッドを確実かつ迅速に補正する記録ヘ
ッド補正装置及び記録ヘッド補正方法を提供するとも
に、上記の装置によって記録特性が補正された記録ヘッ
ド及びその記録ヘッドを用いた記録装置を提供すること
である。 【解決手段】 フルライン記録ヘッドに、n種の記録制
御信号パターンを印加して、n回、記録パターンを試験
的に記録し、そのn回分の記録パターン画像の1つから
基準濃度分布を作成し、その基準濃度分布に対し、等し
いか、或いは、近い値となるように、複数の記録要素毎
にn種の記録制御信号パターンの内の1つを選択する。
ただし、その選択された記録制御信号が最適な信号であ
るかどうかを検証するため、他の記録パターン画像に基
づいて作成した別の基準濃度分布に対して同様の選択を
行い、得られた複数の記録制御信号パターンの内、最適
のものを補正データとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は記録ヘッド補正方法
及びその装置及びその装置によって補正された記録ヘッ
ド及びその記録ヘッドを用いた記録装置、特に例えば、
記録媒体の記録幅に対応する複数の記録素子を備えた長
尺(フルライン)の記録ヘッド補正方法及びその装置及
びその装置によって補正された記録ヘッド及びその記録
ヘッドを用いた記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ装置、或いは、複写機やファク
シミリ等に備えられたプリンタ部は、画像情報に基づい
て、紙、プラスチック薄板、布等の記録媒体上にドット
パターンからなる画像を記録していくように構成されて
いる。
【0003】このようなプリント装置のなかでも、基板
上にドットに対応する複数のプリント素子を配列させて
構成するインクジェット方式、サーマル方式、LED方
式等の記録ヘッドを搭載したプリンタ装置は、ローコス
トな装置として注目されている。
【0004】これらのプリント素子を記録幅に対応させ
て配列させる記録ヘッドは、半導体製造工程と同様のプ
ロセスでプリント素子を構成できるため、それまで駆動
用集積回路を別体としていた形態から、近年においては
プリント素子が配列されている同一基板内部に駆動用回
路を構造的に作り込む形態に変化しつつある。
【0005】この結果、記録ヘッドの駆動に係わる回路
構成が複雑になることが防止され、プリンタ装置の小型
化、ローコスト化が達成されるのである。
【0006】なかでも、インクジェット記録方式は、熱
エネルギーをインクに作用させ、発泡による圧力を利用
してインクを吐出させる方式であり、記録信号に対する
応答性が良く、吐出口の高密度化が容易であることなど
の利点を有している点で、他の記録方式に比較しておお
いに注目されている。
【0007】さて、記録ヘッドを半導体製造工程を応用
して製造する場合、特に記録幅に対応するべく多数のプ
リント素子を基板全域にわたって配列する場合、全ての
記録素子を欠陥なく製造することは非常に困難であっ
た。そのため、記録ヘッドの製造工程における歩留りが
悪く、それに伴ってコストが高くなり、コスト面から実
用化まで達することができない場合があった。
【0008】このため、特開昭55−132253号公
報、特開平2−2009号公報、特開平4−22927
8号公報、特開平4−232749号公報、特開平5−
24192号公報、米国特許第5016023号等で
は、比較的インク吐出口数の少ないプリント素子、すな
わち32個、48個、64個、128個のプリント素子
を配置した歩留りの高い記録ヘッドを、ひとつの基板上
(または上下)に、プリント素子の配列密度に合わせて
高精度に多数並べることにより、必要な記録幅に対応す
る長尺の記録ヘッドを得る方法を提案している。
【0009】この方法に基づき、最近では、64個、1
28個といった比較的インク吐出口数の少ないプリント
素子を基板上に配列し、その基板(プリント要素と呼
ぶ)を必要な記録幅に対応する分だけ、ベースとなるプ
レート上に精度良く並べて接着することにより、簡単に
フルライン記録ヘッドを製造できるようになってきてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うにフルライン記録ヘッドが容易に製造できる様になっ
たものの、まだ、上記の様な製造方法で製造された記録
ヘッドには次の様な性能上の問題点も残されている。例
えば、並べられたプリント要素(基板)間の性能のバラ
ツキや、配列したプリント要素とプリント要素の間付近
のプリント素子の性能のバラツキ、更には、記録の際の
駆動ブロック毎の蓄熱などの原因による濃度ムラなどに
よる記録品位劣化が避けられないという問題点がある。
【0011】特にインクジェット方式による記録ヘッド
の場合、配列したプリント要素とプリント要素の間付近
のプリント素子のバラツキだけでなく、プリント要素間
のすき間によるインク流動性の低下などの問題も、記録
ヘッドの製造工程の歩留りを悪くする原因となってい
た。それ故に、この種の記録ヘッドの持つ性能は十分高
いものであるにもかかわらず、市場での普及を妨げてい
るのが現状である。
【0012】また記録ヘッドの濃度ムラを補正する手段
として、特願平6−34558号公報に示されているよ
うに記録されたドットの径を測定し、濃度ムラを補正す
る方法があるが、記録ドットの再現性には改良の余地が
ある。例えば、1ラインの記録を行なった際、次のライ
ン、更には、数十、数百ライン後には、記録ドットの特
性が微妙に変化してくる(これを記録ドット毎のゆらぎ
という)。しかしながら、従来はこのゆらぎの含む特定
の事象(ドット径)を濃度ムラデータとしていたため、
1回の補正では満足のゆく結果を得ることは困難であ
り、望ましい画質を得るには、補正のために数回の記録
ドットデータを取得する必要があった。更に、その補正
データに応じて電気エネルギーを熱エネルギー変換する
場合、濃度の低い記録を行うプリント素子にも通常値よ
りも大きなエネルギーが印加されることがあるため、記
録ヘッドの耐久性という面でさらに改良の余地があっ
た。
【0013】更に、従来の濃度ムラ補正方法のひとつで
あるOD値による予測法等は、記録ヘッド毎に若干の製
造ばらつきがあるため、必ずしも良い相関関係がある訳
ではなく、確実な濃度ムラ補正ができない場合があっ
た。
【0014】また、n回の駆動制御パルスの組合せによ
る事象を基に、ある1つの基準OD値を選択を行なう
と、濃度ムラの範囲が小さい場合は補正できるものの、
ばらつきの大きいものに対しては限度があった。
【0015】本発明は上記従来例に鑑みてなされたもの
であり、記録ヘッドを確実かつ迅速に補正する記録ヘッ
ド補正装置及び記録ヘッド補正方法を提供することを目
的としている。
【0016】また、上記の装置によって記録特性が補正
され記録ヘッドにあまり負荷をかけず、確実な濃度補正
を行うことのできる、低コストで歩留りの高い記録ヘッ
ド及びその記録ヘッドを用いた記録装置を提供すること
を別の目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の記録ヘッド補正装置は、以下のような構成か
らなる。即ち、複数の記録要素とデータを記憶可能な記
憶手段とを有した記録ヘッドの記録特性を補正する記録
ヘッド補正装置であって、前記記録ヘッドを用い、n種
の記録制御信号パターンを印加して、n回、記録パター
ンを試験的に記録媒体に記録する記録制御手段と、前記
記録媒体に記録された前記n回分の記録パターン画像の
1つに基づいて基準濃度分布を作成する基準濃度作成手
段と、前記基準濃度分布に対し、等しいか、或いは、近
い値となるように、前記記録要素毎に前記n種の記録制
御信号パターンの内の1つを選択する選択手段と、前記
選択手段により選択された記録制御信号が最適な信号で
あるかどうかを検証するため、前記基準濃度分布とは別
の濃度分布を前記n回分の記録パターン画像の内の別の
画像に基づいて作成するよう前記基準濃度作成手段を制
御し、該制御によって作成された別の基準濃度分布に対
して前記選択手段による選択を行うよう制御し、得られ
た複数の記録制御信号パターンの内、最適のものを選択
する最適化手段と、前記最適化手段により選択された最
適の記録制御信号を補正データとし、前記補正データ
を、前記記録ヘッドが有する前記記憶手段に送信する送
信手段とを有することを特徴とする記録ヘッド補正装置
を備える。
【0018】また他の発明によれば、複数の記録要素と
情報を保存可能な記憶部とを有した記録ヘッドの記録特
性を補正する記録ヘッド補正方法であって、前記記録ヘ
ッドを用い、n種の記録制御信号パターンを印加して、
n回、記録パターンを試験的に記録媒体に記録する記録
制御工程と、前記記録媒体に記録された前記n回分の記
録パターン画像の1つに基づいて基準濃度分布を作成す
る基準濃度作成工程と、前記基準濃度分布に対し、等し
いか、或いは、近い値となるように、前記記録要素毎に
前記n種の記録制御信号パターンの内の1つを選択する
選択工程と、前記選択工程において選択された記録制御
信号が最適な信号であるかどうかを検証するため、前記
基準濃度分布とは別の濃度分布を前記n回分の記録パタ
ーン画像の内の別の画像に基づいて作成するよう前記基
準濃度作成工程を制御し、該制御によって作成された別
の基準濃度分布に対して前記選択工程における選択を行
うよう制御し、得られた複数の記録制御信号パターンの
内、最適のものを選択する最適化工程と、前記最適化工
程において選択された最適の記録制御信号を補正データ
とし、前記補正データを、前記記録ヘッドが有する前記
記憶部に送信する送信工程とを有することを特徴とする
記録ヘッド補正方法を備える。
【0019】さらに他の発明によれば、上記の記録ヘッ
ド補正装置によって補正された記録ヘッドを備える。
【0020】さらに他の発明によれば、上記の記録ヘッ
ドを用いる記録装置であって、前記補正データを前記記
録ヘッドから受信する受信手段と、前記補正データに基
づいて、前記複数の記録要素の夫々が均一な画素を形成
する様に前記駆動手段の動作を制御するための制御信号
を発生する制御手段と、前記制御信号を前記記録ヘッド
に送信する送信手段とを有することを特徴とする記録装
置を備える。
【0021】以上の構成により本発明は、複数の記録要
素と情報を保存可能な記憶部とを有した記録ヘッドを用
いて、n種の記録制御信号パターンを印加して、n回、
記録パターンを試験的に記録媒体に記録し、その記録さ
れたn回分の記録パターン画像の1つに基づいて基準濃
度分布を作成し、その基準濃度分布に対し、等しいか、
或いは、近い値となるように、記録要素毎にn種の記録
制御信号パターンの内の1つを選択する。さらに、その
選択された記録制御信号が最適な信号であるかどうかを
検証するため、前記基準濃度分布とは別の濃度分布をn
回分の記録パターン画像の内の別の画像に基づいて作成
するようにし、これによって作成された別の基準濃度分
布に対して前記選択を行うよう制御し、得られた複数の
記録制御信号パターンの内、最適のものを選択する。
【0022】そして、その選択された最適の記録制御信
号を補正データとし、これを補正データを記録ヘッドが
有する記憶部に送信する。
【0023】また他の発明によれば、以上のようにして
記録特性が補正された記録ヘッドを記録装置に搭載し、
記録ヘッドの記憶手段に格納された補正データを受信
し、その補正データに基づいて、記録ヘッドの複数の記
録要素の夫々が均一な画素を形成する様に記録ヘッドに
備えられた駆動手段の動作を制御するための制御信号を
発生し、その制御信号を記録ヘッドに送信するよう動作
する。
【0024】
【発明の実施の形態】以下添付図面を参照して、本発明
の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0025】<装置本体の概略説明>図1は本発明の代
表的な実施形態であるインクジェット方式のプリンタI
JRAの主要部の構成を示す外観斜視図である。この実
施形態のインクジェット方式のプリンタは、図1に示す
ように、記録用紙(連続シート)Pの全幅にわたる範囲
にインクジェットを吐出する記録ヘッド(フルマルチ型
記憶ヘッド)IJHを記録用紙の搬送方向に配列した構
成をもっている。これらの記録ヘッドIJHの吐出口I
Nからはインクが所定のタイミングで記録用紙Pに向け
て吐出される。
【0026】この実施形態では、折畳の可能な連続シー
トである記録用紙Pが以下に説明する制御回路からの制
御によって搬送モータを駆動し、図1に示すVS方向に
搬送され、記録用紙上に画像記録がなされる。なお、図
1において、5018はシート送り用ローラ、5019
はシート送りローラ5018と共に連続シートである記
録用紙Pを記録位置に保持すると共に、駆動モータ(不
図示)によって駆動されるシート送りローラ5018に
連動して記録用紙Pを矢印VS方向にシート送りする排
出側のローラである。
【0027】図2はインクジェット方式のプリンタの制
御回路の構成を示すブロック図である。図2において、
1700は記録信号を例えば、ホストコンピュータなど
の外部装置から入力するインタフェース、1701はM
PU、1702はMPU1701が実行する制御プログ
ラム(必要によっては文字フォントを含む)を格納する
ROM、1703は各種データ(上記記録信号やヘッド
に供給される記録データ等)を一時的に保存しておくD
RAMである。1704は記録ヘッドIJHに対する記
録データの供給制御を行うゲートアレイ(G.A.)で
あり、インタフェース1700、MPU1701、RA
M1703間のデータ転送制御も行う。1708は記録
用紙(この実施形態では連続シート)搬送のための搬送
モータである。1705は記録ヘッドIJH駆動するヘ
ッドドライバ、1706は搬送モータ1708を駆動す
るためのモータドライバである。
【0028】上記制御回路の動作概要を説明すると、イ
ンタフェース1700に記録信号が入るとゲートアレイ
1704とMPU1701との間で記録信号がプリント
用の記録データに変換される。そして、モータドライバ
1706が駆動されると共に、ヘッドドライバ1705
に送られた記録データに従って記録ヘッドIJHが駆動
され、記録動作が行われる。
【0029】1711は各基板のセンサ(例えば図14
に示す発熱体抵抗モニタ314、温度センサ315等)
をモニタすると共に、記録ヘッドIJH内に備えられて
いる各基板(後述するヒータボード1000)のばらつ
きの補正データを記憶したメモリ13(後述)からの補
正データを送信する信号線である。1712はプレヒー
トパルス及びラッチ信号、ヒートパルス信号等を含む信
号線である。MPU1701は、記録ヘッドIJH内の
メモリ13からの補正データに基づいて、各基板が均一
な画素を形成することができる様に、信号線1712を
介して制御信号を記録ヘッドIJHに送る。
【0030】図3は、この実施形態の記録ヘッド補正装
置の構成を示すブロック図である。図3において、1は
記録ヘッド補正装置の全ての制御部を管理するCPU、
2は全ての制御部のI/Oインタフェース、3は画像処
理部である。画像処理部3はCCDカメラ4から読み取
った紙送りステージ5上の記録媒体の記録ドットパター
ンから、ドット径、濃度ムラをピクセル値に変換する。
画像処理部3が記録ヘッドIJHの全ての記録素子に対
応したドットデータをCPU1に送信すると、CPU1
はこれを演算して、記録ヘッドIJHの駆動信号に合わ
せて濃度補正データを駆動信号制御部7に送ると共にメ
モリ制御部8に、濃度補正データを展開させる。
【0031】画像データ制御部6は記録ヘッドIJHに
記録させるドットパターンを送るもので、通常の記録の
際だけでなく、濃度補正データが確定した際にも、駆動
信号制御部7に同期信号を送りながら、濃度補正駆動信
号を送出させる。CPU1は記録ヘッドIJHの駆動電
圧を制御する電圧制御部9や、紙送りステージ5の動作
を制御するためのステージ/紙送り制御部11も管理
し、適正な駆動電圧の設定や、装置のステージ移動や印
字する紙の送りなどの制御を行う。更に、ヘッドデータ
検出部10は記録ヘッドIJH内の各基板(プリント要
素)1000(図10参照)の特性を濃度補正にフィー
ドバックさせる重要な部分である。
【0032】例えば、64個または128個の記録素子
を配置した基板1000を複数個並べて構成した記録ヘ
ッドIJHでは、それぞれの基板1000がシリコンウ
エハのどの部分から切り出されたものかが判らない。従
って、基板毎に異なる特性を示す場合がある。
【0033】このような場合でも記録ヘッド全体が同一
濃度で記録できるよう、基板1000の内部には、記録
素子と同一のシート抵抗値で構成されたランク検出用素
子RH を配置している。この他にも、基板1000毎の
温度変化がモニタできる半導体素子等を設けている場合
もあり、ヘッドデータ検出部10はこれらの素子をモニ
タするものである。そして、ヘッドデータ検出部10が
これらの素子をモニタしたデータをCPU1に送ると、
CPU1は、記録ヘッドユニットの各基板1000がそ
れぞれ均一な濃度で記録できる様、各基板1000を駆
動するデータを補正する補正データを生成する。
【0034】記録ヘッド補正装置の各制御部に上記の補
正データが反映されると、その状態で記録ヘッドIJH
による記録動作が実行される。記録ヘッド補正装置は、
この印字をCCDカメラ4と画像処理部3により再度画
像処理し、予め決められた記録ヘッドの規格を満たした
段階で、最終補正データがメモリ制御部8よりメモリ1
3(EEPROMなど)に書き込まれる。
【0035】図4及び図5は各々、記録ヘッド補正装置
の構成を示す斜視図と、その動作を示すフローチャート
である。以下、図4〜図5を参照して、その動作につい
て説明する。
【0036】まず、ステツプS2では、記録ヘッドIJ
Hを固定台50に載せ、CPU1は記録ヘッドIJHが
正常な位置で記録動作ができるよう、固定台50を動作
させて記録ヘッドIJHを固定台50上に固定する。同
時に記録ヘッドIJHに電気的なコンタクトが行われる
と共に、インク供給装置52が記録ヘッドIJHに接続
される。
【0037】次に、ステツプS4では記録ヘッドIJH
のランクを測定するため、基板1000のシート抵抗値
をモニタする。長尺(フルライン)記録ヘッドユニット
の場合は、後述するように、128個のノズルを備えた
基板1000を複数個(例えば、24個)横に配列して
長尺(フルライン)記録ヘッドを構成している。従っ
て、各基板でインクの吐出特性が異なるため、各基板毎
のシート抵抗値をモニタし、そのモニタ値に従って、ダ
ブルパルス制御を行うために各基板毎の個別の基準とな
る駆動パワーを(プレパルス幅、メインパルス幅、及び
これらのパルス間の休止時間)を決定する。
【0038】なお、この実施形態では、各基板のノズル
1つ1つに求められた基準駆動パワーの値からはづれた
4つの異なる駆動パワーを設定することができる。この
4つの値をランク(ここでは、ランク値を“1”、
“2”、“3”、“4”とする)と呼び、それぞれのラ
ンク値にはプレパルス幅、メインパルス幅、及びこれら
のパルス間の休止時間の特定の組み合わせの値が対応す
る。また、このランク値のデータはメモリ13に格納で
きる。一方、上述のように、各基板によるインク吐出特
性は、製造ばらつきなどによってかなり変化するので、
各基板毎に最適な基準となる駆動パワーが決定されるた
め、ある基板のランク値“1”が別の基板のランク値
“1”の基準の駆動パワー(即ち、プレパルス幅、メイ
ンパルス幅、及びこれらのパルス間の休止時間)と同じ
である必要はない。
【0039】このように、各基板には、基準となる駆動
パワーを定めることができるのであるから、各基板毎に
対応づけられた基準の駆動パワーと各基板各ノズルのラ
ンク値との組み合わせから、記録ヘッドIJHを構成す
る全てのノズル1つ1つに最適な駆動パワーを定めるこ
とができる。
【0040】さらに、ステップS6では、ステップS4
で定められたランク値に基づいて、この実施形態では、
ランク値を変化させて、4種類のテストパターン記録を
行う。テストパターン記録を行う前処理として、記録ヘ
ッドIJHが安定した記録ができるよう、記録ヘッドI
JHの動作が安定するまで予備記録(エージング)を行
う。エージングはヘッド回復処理部54に並設されたエ
ージング用トレー上で行なわれ、テストパターンとして
正常な記録となる様回復処理(インク吸引、オリフィス
面クリーニング等)が施される。
【0041】ステップS6において、テストパターン記
録を行うと、その記録結果はCCDカメラ4と画像処理
部3の位置まで移動され、処理はステップS8に進み、
これらの機器により画像を取り込み、予め用意されたル
ックアップデーブルにより、取り込まれた画像処理デー
タを濃度データ(OD値)に変換する。
【0042】さらに、ステップS10では記録評価のパ
ラメータと比較し、特に、改善できるパラメータである
記録素子の濃度バラツキに関し、以下のことを考慮して
演算処理を行うことよって濃度補正データを作成する。
なお、ステップS10の詳細について後で詳述する。
【0043】画像の濃度ムラは、プリント素子の記録に
よる相対的な濃度コントラストの差によって発生するも
のであり、コントラストが小さければ、目には濃度ムラ
とは映らない。また、高濃度の記録を出力するプリント
素子がある程度空間的に集中していると濃度ムラが生じ
ていると目視でわかる様になる。
【0044】ところで、濃度ムラという観点で、目視認
識限界を数式化してみると ΔOD=0.02×ΔVd (Vdは吐出量) という関係が実験的に得られている。この式では、例え
ば、1〜4pl(ピコリットル)の吐出量の違いがOD
値換算で0.02〜0.08程度変化することを示して
いる。これは、実際の画像では、バラツキ要因の大きい
記録ドットの集合となり、特に隣接するプリント素子と
の間で4pl程度の吐出量差があれば、その間でかなり
大きなコントラスト差を生じることになる。しかしなが
ら、300〜600dpi程度の記録密度の場合、人間
の目で隣接ドットとの濃度ムラをドット単位で比較する
ことは不可能である。
【0045】以上説明した様に、画像の濃度ムラに対す
る人間の判別限界を考慮すると、 (1)数ドット単位(2〜8画素程度:記録密度によ
る)で濃度ムラ補正する; (2)補正の際、画像処理するイベント数(記録ドット
毎、または、記録ドットグループの事象数)を大きくす
る(16〜1024ドット程度)ことで、人間の判別能
力に近い濃度ムラデータを作成することができる。
【0046】次にこの濃度ムラデータを作成する手順を
具体的に説明する。
【0047】図6はCCDカメラ等で読み取る画像パタ
ーンの一例を示すものである。図6では50%デューテ
ィのドットパターンを構成し、CCDカメラの画面エリ
アに対して32ドット×32ドット分のドットパターン
を割り当てた例であり、図6のA,Bは夫々、4×32
ドットの領域であり、この実施形態ではこれを1イベン
トとしている。一方、図6のC,Dは32×32ドット
のドットパターンを画像認識するためのマーカとして配
置されている。
【0048】ここでは、読み取り開始ドットをnとする
と、図中のx軸方向(プリント素子列方向)にn+3ま
で、y軸方向(記録媒体搬送方向)に32ビット分をひ
とまとまりとして、1イベントのエリアを構成する(図
6のA)。画像メモリ(不図示)中では、同様のエリア
が8つ作られ、各エリア毎にそのエリア内の“黒”或い
は“白”画素数と所定の閾値に従って2値化処理が行わ
れる。なお、この閾値は実験的に得られた最適な値が用
いられる。このような2値化処理の結果、図6の場合4
ドット毎の濃度ムラデータが得られる。
【0049】また、各エリア毎の絶対濃度(黒画素数の
総計)を濃度ムラデータとしても効果的である。
【0050】さらに、図6に示すような50%デューテ
ィのドットパターンをプリント素子1ノズル当たり10
0ドット以上に相当する面積の画像をイメージスキャナ
にて取り込んで処理し、濃度ムラデータとして用いるこ
とができる。
【0051】この方法では、1ノズル当たり100ドッ
ト(100回の記録)以上の事象数が得られるため、y
方向に関するドット径の微妙なゆらぎは平均化される
(このような処理を平滑化処理という)。濃度ムラを目
視で判別する際、y方向のゆらぎはあまり目立たないも
のであるが、事象数が少ないと、その濃度ムラは人間が
目視認識する濃度ムラのようにはならず濃度ムラデータ
としては適当ではない。なぜなら、人間が目視認識する
程度に意味のある統計的データとはならないからであ
る。尚、x方向に関してはドット単位の濃度ムラデータ
が得られれば、さらにこれを数ドットまとめて濃度ムラ
データとすることができる。このとき、何ドット単位で
行なうかは装置外部から設定できるようにしても良い
し、前述の様に4ドット単位で補正データを作成するに
は、x方向に4ドット単位の濃度ムラデータを平均化し
ても良い。
【0052】このようにして得られた濃度ムラデータ
は、記録ヘッド製造装置にしてもプリント装置にして
も、その構成を複雑にすることなく、短時間で処理する
ことができるという利点がある。
【0053】また、以上のようにして得られる4ドット
毎の濃度ムラデータは、記録ヘッドの4ノズル毎に同じ
データが与えられる。また、言うまでもないが、この4
ノズル毎に同じデータを与えることを、例えば、8ノズ
ル毎、16ノズル毎というように更に大きくできればそ
れだけ、このようなデータを与えるための記録ヘッドの
デバイス構成は簡略化できる。つまり、同じデータを与
える間隔を大きくることができればその分だけ、記録ヘ
ッドのラッチ回路を小さくして、ヒータボードサイズを
小さくできる。
【0054】さて、このようにして濃度ムラデータが得
られると、このデータに基づいて次に各素子をどのよう
に補正するかが決定される。例えば、記録ヘッドの記録
素子夫々の駆動パワーがパルス幅で決定される場合、記
録ヘッドの駆動用集積回路に与える駆動パルス幅データ
を選択する。このようなデータが、いくつかのパルス幅
から選択される場合は、まず、濃度ムラデータを基に、
選択されるパルス幅の最大値(MAX)と、最小値(M
IN)とを決定し、その間のパルス幅を許容される分解
能で設定する。そして、画像処理データに合わせて各素
子の記録濃度を補正する様パルス幅を設定し、各記録素
子に対応させることで、記録ヘッドユニットの記録濃度
の均一化を図ることが可能である。
【0055】このようにして濃度補正データが得られる
と、処理はステップS12に進み、そのデータをメモリ
13に記憶する。
【0056】さて、濃度ムラ補正を行なう場合、記録ヘ
ッド各々に特有の記録状態にあった補正を行なう必要が
あるのはいうまでもないことなので、実際のプリントパ
ターンに表れる濃度ムラを基に補正データを作成するこ
とが望ましい。
【0057】従ってこの実施形態においては、濃度ムラ
補正データの生成にあたっては記録ヘッドの特性を考慮
し、n回の異なる試験記録を行なう。ここでは、上述の
ようにステップS6において、4回の試験記録を行って
いる。
【0058】インクジェット方式に従う記録ヘッドによ
る記録では、従来からダブルパルスによるエネルギー印
加により、その吐出するインク滴を様々に変調できるこ
とが実験的に確認されている。
【0059】図7はプレパルス幅(T1)及びプレパル
スとメインパルスの間にある休止時間幅(T2)の変化
とOD値変化との関係を示す図である。
【0060】特に、異なるパルス幅の予備加熱パルス
(プレパルス)と吐出パルス(メインパルス)との組み
合わせにより、OD値で0.3程度の変調が可能であ
る。更に、プレパルスとメインパルスの間にある休止期
間(最大で3〜4μsec)を短くすれば、吐出量を小
さく、大きくすればその分大きくできる。
【0061】図7によれば、あるOD値範囲(例えば、
OD=0.5〜0.6程度)まではプレパルスを標準的
な値(例えば、T1=0.8μs)で固定して、休止期
間の変化のみ(T2=0〜3μs)で濃度ムラ補正を行
なうことが可能であることを示している。このような制
御は、記録ヘッドの耐久性を高める点や消費電力を削減
する点から非常に有効である。
【0062】しかしながら、現実にはこのOD値補正範
囲を逸脱するノズルがいくつか製造ばらつき範囲内で存
在する。この様なノズルはプレパルス幅を変えることに
より補正するのである。例えば、図7に示すように、休
止時間(T2)を3μsで固定し、プレパルス幅(T
1)を変化させていくことにより、OD値を変化させる
のである。
【0063】さて、n回の試験記録とは、プレパルス幅
(T1)と休止期間(T2)の様々な組合せによって得
られる駆動制御をn種選択することによって試験的に記
録を行うことである。例えば、n=4の場合、4つの駆
動制御パルスの組合せがある。このようなパルスの組み
合わせが図7に示した〜であるとする。もちろん、
10回以上試験記録を行ない、即ち、10種類の駆動制
御パルスの組み合わせを用いて濃度ムラ補正データの算
定基準にすることも可能であるが、図7に示すグラフの
傾向からわかる様に、4つのポイントでも、その間の直
線近似により、その近似値は予測データとして十分に利
用することができる。
【0064】図8はノズル毎のOD値の変化を示す図で
ある。
【0065】図8(a)は、4組の駆動制御パルス(例
えば、図7に示す〜で定められる)によって記録さ
れた画像から得られたノズル毎のOD値の変化を後述す
る図10に示す3008のノズルを有する構成のフルラ
イン記録ヘッド全体にわたって巨視的に示したものであ
り、図8(a)において、a〜cは前述の直線近似計算
によって得られた駆動制御パルスの組合せから算出予測
されたOD値である。
【0066】また、図8(b)はフルライン記録ヘッド
の各ノズル毎のOD値の変化を微視的に示した図であ
る。ここでは、フルライン記録ヘッドのノズルの内、ノ
ズル1〜ノズル24のOD値の変化を、数字“1”、
“2”、“3”、“4”で示す各ランク値に対応させて
示している。上述したように、このフルライン記録ヘッ
ドは128個のノズルを備えた基板を複数備えているの
で、ノズル1〜24は1つの基板上に存在する。従っ
て、図8(b)におけるそのランク値の違いは、駆動パ
ワー(即ち、プレパルス幅、メインパルス幅、及びこれ
らのパルス間の休止時間)の絶対的な違いを表わす。そ
して、このランク値は、図8(a)に示す実測された駆
動制御パルスに対応していても良いし、予測された駆動
制御パルスに対応していても良い。
【0067】図8(b)から分かるように、記録ヘッド
のOD値の変化を微視的に見るならば、その値がかなり
変動していることが分かる。
【0068】次に、図7や図8に示すようなデータに基
づいて実行する濃度ムラ補正データの作成処理につい
て、図9に示すフローチャートを参照して説明する。図
9は図5に示すステップS10の処理の詳細を示すもの
である。
【0069】濃度ムラ補正データの作成処理では、ま
ず、得られた濃度ムラデータ(OD値)に対して平滑化
処理を行うかどうかを判断する。ここで、若干の平滑化
処理を与える場合は処理はステップS102に進み、指
定ノズルの前後数ノズル分の移動平均等をとりそのデー
タを平滑化する。その後、処理はステップS103に進
む。これに対して、平滑化処理を行わない場合には、処
理はそのままステップS103に進む。
【0070】次に、ステップS103では、n回(この
実施形態ではn=4)の駆動制御パルスの組合せを変更
した場合の予測OD値データを算出し、そのデータを幾
つか用意しておく。具体的には、ステップS6において
得られたテストパターンを記録するために用いた各基板
毎のランク値に対応する駆動パワー(プレパルス幅、メ
インパルス幅、及びこれらのパルス間の休止時間)に基
づいて、前述のように直線近似によって、予測ODデー
タを算出しておく。
【0071】さらに、ステップS104では、ここでn
回の記録制御のうちひとつを選択し、これを補正基準O
D値データとする。実際には、この基準OD値データ
は、図6に示すx方向とy方向とに関して、目的とする
ノズルの前後の数ノズル(x方向)、数百ドット(y方
向)の平均値をとるように平滑化処理を施した加工デー
タである。図8(b)に示した破線がこの補正基準OD
値データである。なお、図8(b)に示した補正基準O
D値データは、ランク値を“2”として得られた記録か
ら作成している。
【0072】ステップS105では、このようにして得
られた補正基準OD値データと、4つのランク値に対応
するn(n=4)個の駆動制御パルスの組合せから得ら
れるn(n=4)個の記録パターンのOD値の変化(実
際のデータおよび予測データ)とを比較し、補正基準O
D値からの変位量が最も小さいOD値に対応するランク
値を選択する。図8(b)に示されたプロットの1つ1
つが、その選択値を示している。
【0073】例えば、図8(b)はノズル1〜ノズル2
4までのOD値の変化を示しているが、ノズル1に関し
てはランク3を、ノズル2に関してはランク1を、……
ノズル24に関してはランク2を選択する。このような
ノズル毎の選択されたランク値は、図8(b)の下に示
されている。このランク値が記録ヘッドの濃度ムラを補
正する直接的なデータとなるのである。このように、各
ノズルに相当する補正基準OD値データに最も近いOD
値となるべき駆動制御パルスの組合せ、即ち、ランク値
をn個(ここではn=4)の中からひとつ選択する。
【0074】このような選択は、ノズル1つ1つについ
て全てのノズルについて行われる。
【0075】以上のようなステップS105までの処理
によってノズル毎の補正後の予測OD値が決定される。
【0076】ステップS106では、この決定された値
について、各ノズル毎に隣接するノズルとの濃度差の2
乗和平均を求める。このようにして求められた値は、図
8(b)に示したように、ランク値を“2”として得ら
れた補正基準OD値データを用いた場合のものである。
【0077】ここでは、このようにして得られた選択ラ
ンク値が補正データとして最適かどうかを検証するため
に、処理はステップS104〜S105に戻り、他のラ
ンク値を補正基準OD値データとした場合の予測OD値
を求め、この決定された値について、各ノズル毎に隣接
するノズルとの濃度差の2乗和平均を求める。
【0078】このような処理をn回、ここでは4回繰り
返すことにより、4種類の予測OD値が得られる。ステ
ップS106では、このようにして得られた4種類の予
測OD値に関する各ノズル毎に隣接するノズルとの濃度
差の2乗和平均の値の内、最小の値をもつ予測OD値を
最適化された濃度ムラ補正データとして選択する。
【0079】そして、ステップS106においてそのよ
うな最適化が終了したと判断されたなら、処理はステッ
プS107に進み、得られた選択ランク値を補正データ
として編集する。
【0080】このように、この実施形態によれば、従来
技術で述べた特願平6−34558号に比べて、ステッ
プS6〜S10の処理を繰り返さなくとも、テスト回数
を1回に削減することができる。即ち、補正データ作成
に要する時間を短縮することができる。
【0081】またこの実施形態の補正は、記録ヘッド製
造及び検査工程のバラツキデータから予測補正を行なう
方法と比べて、記録ヘッドの実際の記録に基づいて補正
を行うのでより正確な補正を行なうことができる。
【0082】図10は、この実施形態の記録ヘッドの構
成を説明するための分解斜視図である。ここでは、記録
素子がインク吐出のために使用する吐出エネルギ発生素
子(バブルジェット記録方式では一対の電極及びこれら
電極の間に設けられた発熱抵抗体)である場合について
説明する。
【0083】以下に説明する方法によれば、今までフォ
トリソグラフィー加工等の技術で全幅にわたって無欠陥
で作り上げようとしていた長尺(フルライン)の記録ヘ
ッドが極めて高い歩留りで得られ、しかもこの上に、一
端部に形成された複数のインク吐出口と、これらの吐出
口の各々に連通し、かつ一端部から他端部に向けて形成
された複数の溝を有する一体の天板を、その複数の溝が
基板にふさがれる様に接合することによって極めて簡単
に長尺(フルライン)のインクジェット記録ヘッドユニ
ットを補正することができる。
【0084】この実施形態においては、インク吐出口の
密度360dpi(70.5μm)、インクの吐出口数
3008ノズル(記録幅212mm)のインクジェット
記録ヘッドについて説明する。
【0085】図10において、基板(以下ヒータボード
と称す)1000は吐出エネルギ発生素子1010が所
定の位置に360dpiの密度にて128個設けられて
いるものである。これには外部からの電気信号により任
意のタイミングで吐出エネルギ発生素子1010を駆動
させたりする信号パッド、その駆動のための電力等を供
給するための電力パッド1020等が設けられている。
【0086】ヒータボード1000は金属やセラミック
といった材質で作られたベースプレート3000の表面
上に接着剤にて複数個並べて接着固定されている。
【0087】図11はヒータボード1000を並べた状
態の詳細な様子を示す図である。ヒータボード1000
は、ベースプレート3000の所定の場所に、所定の厚
さで塗布された接着剤3010によって接着固定されて
いる。この際、隣接する2つのヒータボードの夫々の端
部に位置する吐出エネルギ発生素子1010同士のピッ
チが、ヒータボード1000上の吐出エネルギ発生素子
1010のピッチP(=70.5μm)と同じになる様
に、ヒータボード1000が精度よく接着固定される。
また、この際生じるヒータボード1000同士の隙間は
封止剤3020にて封止される。
【0088】図10に戻って、ベースプレート3000
にはヒータボード1000と同様に配線基板4000が
接着固定されている。この際、ヒータボード1000上
の電力パッド1020と、配線基板上に設けられた信号
電力供給パッド4010とが近接した状態で配線基板4
000がベースプレート3000に接着固定される。ま
た配線基板4000には外部からの印字信号や駆動電力
を受けるためのコネクタ4020が設けられている。
【0089】次に天板2000について説明する。
【0090】図12は天板2000の形状を示す図であ
る。図12(a)は天板2000を正面から見た正面
図、図12(b)は図12(a)を上方から見た上面
図、図12(c)は図12(a)を下方から見た下面
図、図12(d)は図12(a)のX−X断面図であ
る。
【0091】図12において、天板2000はヒータボ
ード1000に設けられた吐出エネルギ発生素子101
0に対応して設けられた流路2020と、各流路202
0に対応して設けられ、インクを記録媒体に向けて吐出
させるための各流路2020に連通したオリフィス20
30と、各流路2020に対してインクを供給するため
に各流路に連通した液室2010と、液室2010に対
してインクタンク(不図示)から供給されたインクを流
入させるためのインク供給口2040とから概略構成さ
れている。天板2000は当然のことながら、ヒータボ
ード1000を複数並べて構成された吐出エネルギ発生
素子列をほぼ覆い隠す長さに形成されている。
【0092】再び図10に戻って、天板2000はその
流路2020と、ベースプレート3000上に並べられ
たヒータボード1000上の吐出エネルギ発生素子(発
熱体)1010との位置関係を正確に一致させた状態で
ヒータボード1000に結合される。
【0093】この際、結合の方法としては、バネ等によ
ってメカ的に押え込む方法、接着剤によって固定する方
法、それらを組み合わせた方法等いろいろな方法が考え
られる。
【0094】これらのうちのいずれかの方法により、天
板2000とヒータボード1000は、図13に示すよ
うな関係で固定される。
【0095】以上、説明した天板2000は切削などに
よる機械加工や、モールド成型法、注型法、フォトリソ
グラフィーを使った方法等の公知の方法を用いて製造す
ることができる。
【0096】図14は記録ヘッド用のヒータボード10
00上に設けられた駆動回路の回路構成例である。ここ
で、100は基体、101はプレヒートパルス選択ロジ
ックブロック、102は画像データを一時記憶するため
のラッチ303と同じ回路構成であるプレヒートパルス
を選択するための選択データ保存用ラッチ、103はヒ
ートパルスとプレヒートパルスを合成するためのOR回
路である。
【0097】次に、この駆動回路の動作について、駆動
シーケンスにそって説明する。
【0098】まず、ロジック電源309を投入後、あら
かじめ測定した吐出量特性(一定温度・パルス印加にお
ける吐出量)に応じてプレヒートパルスを選択する各ノ
ズルのデータ(1或いは4ノズルには同じデータ)を、
画像データをシリアルに入力するためのシフトレジスタ
304を用いて、選択データ保存用ラッチ102に保存
する。ここでは画像データ入力用シフトレジスタ304
を共用することから、ラッチ回路を増やし、図14のa
点の様にシフトレジスタ304の出力をパラレルにして
ラッチ入力とするだけで済む為、ラッチ回路以外の素子
面積の増大を防ぐことができる。また、プレヒートパル
ス数を多数にして、そのパルス数選択の為の必要ビット
数がシフトレジスタ304のビット数を上回った場合に
おいてもラッチ102を複数段として、保持を決めるラ
ッチクロック入力端子108を108a〜108nで示
す様に複数とすれば容易に対応できる。
【0099】前にも述べたとおり、4ノズル単位に、或
は、8ノズル単位に補正を行なう場合は、ラッチ段数を
減らし、回路簡略化を図ることもできるのはいうまでも
ない。
【0100】上記のプレヒートパルス選択の為のデータ
保存は記録装置の起動時等に一度行えばよく、この機能
を盛り込んでいても画像データの転送シーケンスは従来
と全く同様に行える。なお、選択ロジックブロック10
1と選択データ保存用ラッチ102のビット数を1/4
にして4ノズル単位でプレヒートパルスを選択し、4ノ
ズル単位に供給するようにしても良い。
【0101】次に、プレヒートパルス選択用吐出量保存
データの保持が完了した後のシーケンスとしてヒート信
号の入力について説明する。
【0102】この基板ではヒート入力端子106と吐出
量を変える為の複数のプレヒート入力端子107a〜1
07nとを個別に設けることを特徴としている。まず、
ヒート入力端子106には、発熱体抵抗モニタ314を
フィードバックして、その値に応じてインクを吐出する
のに適正なエネルギーのパルス幅のヒート信号を記録装
置側より印加する。次に、プレヒート入力は複数のプレ
ヒート信号のそれぞれが温度センサ315の値に応じて
パルス幅、タイミングを変化させると同時に、あらかじ
め一定温度状態においても吐出量が異なる様に複数のプ
レヒートパルス端子107a〜107nから印加する。
【0103】こうすることにより温度以外の要因、つま
り各ノズルの吐出量の大小に対応させて選択させれば、
インク吐出量を一定にしてムラ、スジをなくすことがで
きる。こうして入力した複数のプレヒートパルスのひと
つをプレヒート選択ロジックブロック(ラッチ)102
において前述のあらかじめ保存してある選択データに応
じて選択する。次に、画像データとヒート信号のAND
信号と選択されたプレヒートパルスをOR回路103で
合成し、パワートランジスタ302を駆動することによ
り、発熱体1010に電流が流れインク吐出に至る。
【0104】また、図14において、104は画像信号
入力端子、105はクロック入力端子、307はラッチ
信号入力端子、310は接地用端子、311は発熱用電
源電圧入力端子、312は発熱体抵抗モニタデータ出力
端子、313は記録ヘッド内部温度データ出力端子であ
る。
【0105】ここで、複数のヒータボード(=基板)1
000を多数並べて構成する多ノズルヘッドの構成を図
15を参照して説明する。ここでは基板をm個並べて、
総ノズル数がn個とし、基板1のノズル1、ノズル10
0、基板2のノズル150に注目して説明する。
【0106】図16に示すように、一定温度・パルス幅
印加時のインク吐出量が、ノズル1では36pl、ノズル1
00では40pl、ノズル150では 40pl であるとしたと
き、選択データ保存ラッチには、ノズル1に関しては、
ノズル100、150と比較してよりインク吐出量が多
くなるレベルの選択データをセットする。一方、ヒート
パルスに関しては、図16に示すように抵抗センサ1、
2より基板1の発熱体抵抗値が200 Ω、基板2の発熱体
抵抗値が210 Ωであることから、基板2に印加するパル
ス幅が基板1より長くし、投入パワーが一定となる様に
駆動する。このような条件において駆動した際の駆動電
流波形は同じく図16に示されている。ここでは吐出量
の小さいノズル1のプレヒートパルスが、ノズル10
0、150のそれに対して長くなっていることが分かる
(t1<t2 )。また、ヒートパルスはt4>t3となってい
る。ここで、t5はインクを発泡させ、液滴を飛翔させる
のに必要な最低パワーのパルス幅を示し、t1, t2<t5、
及び、t3,t4>t5の関係がある。
【0107】このようにすれば、駆動中における基板の
温度変化に対し、t1<t2 、及び、t1,t2<t5が成り立つ範
囲でプレヒートパルスを変化させ、実駆動インク吐出量
は全てのノズルで、常に40plとすることができ、ム
ラ、スジのない高品位の記録を実現できる。同時に投入
パワーの大きいヒートパルスについては、基板の抵抗値
に応じてパルス幅を調整し、無理のない一定パワーとし
ているため、記録ヘッドの長寿命化に貢献する。
【0108】更に、休止期間の変化を重視し、その変化
範囲で補正できない記録ドットをプレヒートパルスも利
用して補正すれば、記録ヘッドの記録素子に大きなエネ
ルギー変化を与えることもなくなり記録ヘッドの長寿命
化と記録画像の高品位化に資することになる。
【0109】この実施形態では、図17に示すように、
特に、ノズル1とノズル200については、図16に示
す駆動パルスの印加とは異なり、ノズル1は、ノズル1
00、150と比べ濃度が若干低い場合(10%のイン
ク吐出量減)なので、休止期間をノズル100、150
のそれ(t7)と比べて少し長くとる(t6)ように
し、一方、ノズル200は、ノズル100、150と比
べ濃度差が大きい場合(20%のインク吐出量減)なの
で、休止期間を長くしつつ(t6)、かつ、プレヒート
パルス幅をノズル1、100、150のそれ(t1)と
比べて長く(t2)してインク吐出量を補正する。この
ようにすれば、記録ヘッドの記録素子に大きなエネルギ
ーを変化を与えなくとも濃度ムラ補正を達成することが
できる。
【0110】従ってこの実施形態に従えば、記録ヘッド
の各ノズル(記録要素)ごとに、その記録ヘッドによっ
て記録された所定のパターンデータを人間の目視識別能
力を考慮してそのパターンデータのドットを所定の複数
の領域ごとにまとめ、その複数の領域から得られる情報
を濃度ムラデータとして与えることができるので、人間
の目視識別能力を越える各ドット毎のドット径のバラツ
キを濃度ムラとして捕えることがなくなり、各ドットの
ドット径を濃度ムラと捕えた場合に比べて、的確な濃度
補正が可能な情報を各記録要素ごとにより速く提供する
ことができる。これによって、記録ヘッド製造工程の最
終段階での各記録要素に対応したきめの細かい補正デー
タの入力をより速く行なうことができるようになる。
【0111】さらに、得られた補正データを用いて、記
録ヘッドの各ノズルから吐出される記録動作毎のインク
量を調整する場合に、プレヒートパルス幅とメインヒー
トパルス幅に加えて、これら2つのパルス間の休止期間
の幅を調整することによって、一定パルス幅や一定温度
の条件下でたとえインク吐出量が各ノズル間で大きくば
らついても、パルス幅を記録ヘッドの負荷が異常に大き
くなるまでに長くすることなく、各ノズル間のインク吐
出量が等しくなるように制御することができる。これに
よって、高品位な画質を達成しつつ、同時に記録ヘッド
の長寿命化が図れることになる。
【0112】また、記録ヘッドの各ユニットの特性を考
慮して得られた基準濃度分布に基づいて、そのOD値に
等しいか或いは近いようなOD値をもつように各ノズル
(記録要素)毎に濃度補正のためにランク値を選択し、
適切なプレヒートパルスが印加したり、適切な休止時間
が得られるように制御されるので、記録ヘッドの特性を
反映したより正確な濃度補正が施されることになる。こ
の実施形態は、更に選択された補正パラメータの検証処
理の最適化を図ることも可能なので、何度も試験記録す
ることなく、確実な補正を行なうことができる。
【0113】なお、以上の説明では、基板毎に最適なプ
レヒートパルスや休止時間が選択される制御を説明して
きたが、本発明はこれによって限定されるものではな
く、例えば、メインパルスの幅をカウンタ等を用いて変
化させるようにして濃度補正を行なっても良い。
【0114】さらに、記録素子各々の駆動パワー制御が
可能な基板であれば本発明を適用して、濃度補正が行え
ることはいうまでもない。更に記録ヘッドの構成が違っ
ても、同等の濃度補正ができるものである。
【0115】さらにまた、上記の説明では、記録ヘッド
内のメモリに記憶されている補正データに基づいて、記
録装置側の制御装置が記録ヘッドの記録動作を制御する
様に説明したが、この様な制御装置が記録ヘッド内に設
けられていても良い。
【0116】さらにまた、以上の説明ではフルラインタ
イプのプリンタを例として説明したが本発明はこれによ
って限定されるものではない。例えば、キャリッジに搭
載された記録ヘッドを移動させて記録を行なうシリアル
型プリンタにおいて、記録用紙の搬送方向に多数のノズ
ルを配列して記録を行なうような構成にも本発明は適用
することができる。さらに、記録ヘッドの種類(インク
ジェットヘッド、サーマルヘッド、LEDプリントヘッ
ド等)の違いに左右されることなく適用可能である。
【0117】さらにまた、記録ヘッドの記録素子夫々の
駆動パワーを設定する方法に違いがあっても、同等の効
果が得られることは言うまでもない。
【0118】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネル
ギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱
変換体やレーザ光等)を備え、その熱エネルギーにより
インクの状態変化を生起させる方式のプリント装置につ
いて説明したが、かかる方式によれば記録の高密度化、
高精細化が達成できる。
【0119】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド
型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である
が、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)
が保持されているシートや液路に対応して配置されてい
る電気熱変換体に、記録情報に対応していて膜沸騰を越
える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号
を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギー
を発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさ
せて、結果的にこの駆動信号に1対1で対応した液体
(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この
気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(イン
ク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。こ
の駆動信号をパルス形状をすると、即時適切に気泡の成
長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(イン
ク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0120】このパルス形状の駆動信号としては、米国
特許第4463359号明細書、同第4345262号
明細書に記載されているようなものが適している。な
お、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許
第4313124号明細書に記載されている条件を採用
すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0121】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の
他に熱作用面が屈曲する領域に配置されている構成を開
示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第
4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれ
るものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、
共通するスロットを電気熱変換体の吐出部とする構成を
開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開口を吐出部に対応させる構成を
開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構
成としても良い。
【0122】さらに、記録装置が記録できる最大記録媒
体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているよう
な複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満た
す構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとして
の構成のいずれでもよい。
【0123】また、以上説明した記録装置の構成に、記
録ヘッドに対する回復手段、予備的な手段等を付加する
ことは記録動作を一層安定にできるので好ましいもので
ある。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対して
のキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは
吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子
あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段などが
ある。また、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを
備えることも安定した記録を行うために有効である。
【0124】さらに、記録装置の記録モードとしては黒
色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッ
ドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってで
も良いが、異なる色の複色カラー、または混色によるフ
ルカラーの少なくとも1つを備えた装置とすることもで
きる。
【0125】以上説明した実施の形態においては、イン
クが液体であることを前提として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであっても、室温で軟化も
しくは液化するものを用いても良く、あるいはインクジ
ェット方式ではインク自体を30°C以上70°C以下
の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範
囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、
使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであれば
よい。
【0126】加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温
をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネル
ギーとして使用せしめることで積極的に防止するため、
またはインクの蒸発を防止するため、放置状態で固化し
加熱によって液化するインクを用いても良い。いずれに
しても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってイ
ンクが液化し、液状インクが吐出されるものや、記録媒
体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のよう
な、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質の
インクを使用する場合も本発明は適用可能である。本発
明においては、上述した各インクに対して最も有効なも
のは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0127】さらに加えて、本発明に係る記録装置の形
態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力
端末として一体または別体に設けられるものの他、リー
ダ等と組み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有
するファクシミリ装置の形態を取るものであっても良
い。
【0128】なお本発明は複数の機器から構成されるシ
ステムに適用しても良いし、1つの機器からなる装置に
適用しても良い。また、システム或いは装置にプログラ
ムを供給することによって、達成される場合には本発明
は適用できることは言うまでもない。
【0129】
【発明の効果】以上説明した様に本発明によれば、n種
の記録パターンの試験記録、補正データの作成、その検
証というサイクルを繰り返すことなく、1サイクルの試
験記録によって、補正データを作成することができるの
で、より迅速な補正処理ができるという効果がある。
【0130】また他の発明によれば、以上のようにして
補正された記録ヘッドを搭載した記録装置では、その記
録ヘッドの記憶手段に格納された補正データを受信し、
その補正データに基づいて、記録ヘッドの複数の記録要
素の夫々が均一な画素を形成する様に記録ヘッドに備え
られた駆動手段の動作を制御するための制御信号を発生
し、その制御信号を記録ヘッドに送信するので、各記録
画素に関し、濃度ムラのない高品位の記録を行なうこと
ができるという効果がある。
【0131】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な実施形態であるフルライン型
のインクジェット記録装置IJRAの概観図である。
【図2】インクジェット記録装置の記録制御を実行する
ための制御構成を示すブロック図である。
【図3】記録ヘッド補正装置の構成を示すブロック図で
ある。
【図4】記録ヘッド補正装置の構成を示す概観斜視図で
ある。
【図5】記録ヘッド補正装置の動作を示すフローチャー
トである。
【図6】濃度補正のためのテストパターンを示す図であ
る。
【図7】OD値とプレヒート(T1)及び休止期間(T
2)の関係を示す図である。
【図8】異なる駆動制御パラメータに従って得られたノ
ズル毎のOD値の変化を示す図である。
【図9】濃度ムラ補正データ作成処理を示すフローチャ
ートである。
【図10】本発明に係わる記録ヘッドの構成を説明する
ための分解斜視図である。
【図11】ヒータボードを並べた状態の詳細図である。
【図12】天板の形状を示す図である。
【図13】天板とヒータボードの固定状態を示した図で
ある。
【図14】記録ヘッド用のヒータボード上に設けられた
駆動回路の回路構成例を示した図である。
【図15】複数のヒータボードを多数並べて構成する多
ノズルヘッドのブロック図である。
【図16】記録素子の駆動電流波形制御の一例を示した
図である。
【図17】記録素子の駆動電流波形を示した図である。
【符号の説明】
1000 基板 1010 記録素子 2000 天板 2010 液室 2020 流路 2030 オリフィス 2040 インク供給口 2050 支持部材 2060 スリット 3000 ベースプレート 3010 接着剤 3020 封止剤 4000 配線基板 4010 信号・電力供給パッド 4020 コネクタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 折笠 剛 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 山川 浩二 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 木上 博之 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 深井 恒 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 小野 敬之 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 大川 雅由 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA06 EB27 EB42 EC08 EC42 EC75 EC79 FA03 FA13 2C057 AF25 AL36 AL37 AM14 AN05 BA03 BA13

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の記録要素とデータを記憶可能な記
    憶手段とを有した記録ヘッドの記録特性を補正する記録
    ヘッド補正装置であって、 前記記録ヘッドを用い、n種の記録制御信号パターンを
    印加して、n回、記録パターンを試験的に記録媒体に記
    録する記録制御手段と、 前記記録媒体に記録された前記n回分の記録パターン画
    像の1つに基づいて基準濃度分布を作成する基準濃度作
    成手段と、 前記基準濃度分布に対し、等しいか、或いは、近い値と
    なるように、前記記録要素毎に前記n種の記録制御信号
    パターンの内の1つを選択する選択手段と、 前記選択手段により選択された記録制御信号が最適な信
    号であるかどうかを検証するため、前記基準濃度分布と
    は別の濃度分布を前記n回分の記録パターン画像の内の
    別の画像に基づいて作成するよう前記基準濃度作成手段
    を制御し、該制御によって作成された別の基準濃度分布
    に対して前記選択手段による選択を行うよう制御し、得
    られた複数の記録制御信号パターンの内、最適のものを
    選択する最適化手段と、 前記最適化手段により選択された最適の記録制御信号を
    補正データとし、前記補正データを、前記記録ヘッドが
    有する前記記憶手段に送信する送信手段とを有すること
    を特徴とする記録ヘッド補正装置。
  2. 【請求項2】 前記記録ヘッドの電気的特性を所定数の
    記録要素毎に取得する特性取得手段と、 前記電気的特性に基づいて、前記記録ヘッドによって記
    録を行なわせるために印加するパルス特性を前記所定数
    の記録要素毎に算出する算出手段とをさらに有すること
    を特徴とする請求項1に記載の記録ヘッド補正装置。
  3. 【請求項3】 前記特性取得手段が取得する電気的特性
    とは抵抗特性であることを特徴とする請求項2に記載の
    記録ヘッド補正装置。
  4. 【請求項4】 前記最適化手段における選択では、前記
    複数の記録制御信号パターン夫々に関して得られる記録
    要素毎の濃度を該記録要素に隣接する記録要素との濃度
    差の2乗和平均値を求め、該2乗和平均値の内、最小の
    値をもつ記録制御信号パターンを最適の記録制御信号パ
    ターンとして選択することを特徴とする請求項1に記載
    の記録ヘッド補正装置。
  5. 【請求項5】 前記記録制御手段は、前記n回分の記録
    パターン画像の濃度分布に基づいて、前記n種より多く
    の記録制御信号のパターンを求める演算手段を更に有す
    ることを特徴とする請求項1に記載の記録ヘッド補正装
    置。
  6. 【請求項6】 前記n種より多くの記録制御信号のパタ
    ーンは、前記n回分の記録パターン画像の濃度分布から
    の直線近似に基づいて求められることを特徴とする請求
    項5に記載の記録ヘッド補正装置。
  7. 【請求項7】 前記記録制御手段は、ダブルパルス幅制
    御におけるプレヒートパルス幅及び休止期間幅を前記n
    回、微小量づつ変化させ、前記変化によって得られる新
    たなプレヒートパルス幅及び休止期間幅で、前記n回記
    録を行なうことを特徴とする請求項1に記載の記録ヘッ
    ド補正装置。
  8. 【請求項8】 前記基準濃度作成手段は前記記録パター
    ン画像の濃度を前記記録要素の配列方向と前記記録媒体
    の搬送方向に所定単位毎に平滑化して基準濃度分布を作
    成することを特徴とする請求項1に記載の記録ヘッド補
    正装置。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の記録ヘッド補正装置に
    よって補正されたことを特徴とする記録ヘッド。
  10. 【請求項10】 外部から記録データを入力する入力手
    段と、 前記入力手段によって入力される記録データに基づいて
    前記複数の記録要素を駆動する駆動手段とを有すること
    を特徴とする請求項9に記載の記録ヘッド。
  11. 【請求項11】 記憶手段として、EEPROMを含む
    ことを特徴とする請求項9に記載の記録ヘッド。
  12. 【請求項12】 前記複数の記録要素はN個からなり、
    M個の記録要素を備える回路基板を(N/M)個ライン
    上に配列することによって構成されることを特徴とする
    請求項9に記載の記録ヘッド。
  13. 【請求項13】 前記記録ヘッドは、インクを吐出して
    記録を行うインクジェット記録ヘッドであることを特徴
    とする請求項9に記載の記録ヘッド。
  14. 【請求項14】 前記記録ヘッドは、熱エネルギーを利
    用してインクを吐出するために、インクに与える熱エネ
    ルギーを発生するための熱エネルギー変換体を備えてい
    ることを特徴とする請求項9に記載の記録ヘッド。
  15. 【請求項15】 請求項9に記載の記録ヘッドを用いる
    記録装置であって、 前記補正データを前記記録ヘッドから受信する受信手段
    と、 前記補正データに基づいて、前記複数の記録要素の夫々
    が均一な画素を形成する様に前記駆動手段の動作を制御
    するための制御信号を発生する制御手段と、 前記制御信号を前記記録ヘッドに送信する送信手段とを
    有することを特徴とする記録装置。
  16. 【請求項16】 前記記録ヘッドは、インクを吐出して
    記録を行うインクジェット記録ヘッドであることを特徴
    とする請求項15に記載の記録装置。
  17. 【請求項17】 前記記録ヘッドは、熱エネルギーを利
    用してインクを吐出するために、インクに与える熱エネ
    ルギーを発生するための熱エネルギー変換体を備えてい
    ることを特徴とする請求項15に記載の記録装置。
  18. 【請求項18】 複数の記録要素と情報を保存可能な記
    憶部とを有した記録ヘッドの記録特性を補正する記録ヘ
    ッド補正方法であって、 前記記録ヘッドを用い、n種の記録制御信号パターンを
    印加して、n回、記録パターンを試験的に記録媒体に記
    録する記録制御工程と、 前記記録媒体に記録された前記n回分の記録パターン画
    像の1つに基づいて基準濃度分布を作成する基準濃度作
    成工程と、 前記基準濃度分布に対し、等しいか、或いは、近い値と
    なるように、前記記録要素毎に前記n種の記録制御信号
    パターンの内の1つを選択する選択工程と、 前記選択工程において選択された記録制御信号が最適な
    信号であるかどうかを検証するため、前記基準濃度分布
    とは別の濃度分布を前記n回分の記録パターン画像の内
    の別の画像に基づいて作成するよう前記基準濃度作成工
    程を制御し、該制御によって作成された別の基準濃度分
    布に対して前記選択工程における選択を行うよう制御
    し、得られた複数の記録制御信号パターンの内、最適の
    ものを選択する最適化工程と、 前記最適化工程において選択された最適の記録制御信号
    を補正データとし、前記補正データを、前記記録ヘッド
    が有する前記記憶部に送信する送信工程とを有すること
    を特徴とする記録ヘッド補正方法。
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