JP2000082862A - 変調ドープ多重量子井戸半導体レーザ - Google Patents

変調ドープ多重量子井戸半導体レーザ

Info

Publication number
JP2000082862A
JP2000082862A JP10251183A JP25118398A JP2000082862A JP 2000082862 A JP2000082862 A JP 2000082862A JP 10251183 A JP10251183 A JP 10251183A JP 25118398 A JP25118398 A JP 25118398A JP 2000082862 A JP2000082862 A JP 2000082862A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
semiconductor material
modulation
doped
semiconductor laser
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10251183A
Other languages
English (en)
Inventor
Hitoshi Shimizu
均 清水
Hirohito Kumada
浩仁 熊田
Akihiko Kasukawa
秋彦 粕川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Furukawa Electric Co Ltd filed Critical Furukawa Electric Co Ltd
Priority to JP10251183A priority Critical patent/JP2000082862A/ja
Publication of JP2000082862A publication Critical patent/JP2000082862A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Semiconductor Lasers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 井戸層における内部損失が起こらず、しきい
値電流も低下する変調ドープ多重量子井戸半導体レーザ
を提供する。 【解決手段】 圧縮歪みを有する井戸層Aと引張り歪み
を有する障壁層Bとのヘテロ接合構造から成る多重量子
井戸構造Dを有し、井戸層Aはノンドープの半導体材料
から成り、障壁層Bは井戸層Aにヘテロ接合する層1
(B1)とそれら層1(B1)の間にヘテロ接合して介
装された層2(B2)との層構造を有し、層1(B1)
は井戸層Aの半導体材料よりもバンドギャップ波長が短
いノンドープの半導体材料1から成り、層2(B2)は
半導体材料1よりもバンドギャップ波長が短い半導体材
料2から成り、かつ半導体材料2にはp型またはn型の
ドーパントCが変調ドーピングされている変調ドープ多
重量子井戸半導体レーザ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は0.6〜1.65μm
の波長帯域で発光する変調ドープ多重量子井戸(MQ
W)半導体レーザに関し、更に詳しくは、しきい値電流
の低減化、しきい値電流の高温特化や高速変調化を実現
することができる変調ドープMQW半導体レーザに関す
る。
【0002】
【従来の技術】多重量子井戸(MQW)半導体レーザ
は、半導体材料から成る厚みがnmオーダの低ポテンシャ
ルの井戸層と、同じく厚みがnmオーダでそのバンドギャ
ップエネルギーが前記半導体材料のそれよりも高い半導
体材料から成る高ポテンシャルの障壁層とを交互にヘテ
ロ接合した多重量子井戸構造を備えており、通常の半導
体レーザに比べて低いしきい値電流で発光する。
【0003】このMQW半導体レーザに関しては、井戸
層と障壁層をそれぞれGaAs,GaAlAsで構成
し、井戸層はノンドープ状態のままにし、障壁層にのみ
p型またはn型のドーパントを変調ドーピングした場合
の性能予測が魚見によって行われ、その中で注入キャリ
ア濃度と利得との関係が計算されている(K.Uomi,Japan
ese Journal of Applied Physics,vol.29,No.1,Januar
y,1990,pp81〜87を参照)。そこでは、次のようなこと
が述べられている。すなわち、 p型変調ドーピング,n型変調ドーピングのいずれ
の場合も変調ドーピングしない場合(ノンドープの状
態)に比べて透明化に要する注入キャリア密度は減少
し、そしてドーパント濃度が高くなるにつれて、透明化
に要する注入キャリアの密度、すなわち、利得をゼロに
する注入キャリア密度は減少し、とくに、ドーパント濃
度が同じであっても、n型変調ドーピングの方がp型変
調ドーピングの場合よりも減少する; p型変調ドーピングにおける微分利得はp型ドーパ
ントの濃度が高くなるにつれて増大し、n型変調ドーピ
ングの場合の微分利得はその逆になる;ということであ
る。
【0004】このことは、障壁層にn型変調ドーピング
を行うと、その場合のMQW半導体レーザにおける透明
化に要する注入キャリア密度は、障壁層がノンドープ状
態であったり、またp型変調ドーピングされているMQ
W半導体レーザの場合に比べて大幅に低下するので、端
面に無反射膜を成膜してミラー損失を小さくした場合、
前者のレーザは後者のレーザよりも低しきい値電流で発
振可能であることを意味する。
【0005】また、障壁層にp型ドーピングしたMQW
半導体レーザの場合、しきい値電流はn型変調ドーピン
グした場合のレーザほどには低くならないが、ノンドー
プ状態の障壁層を有するレーザよりも低くなる。とく
に、p型変調ドーピングしたMQW半導体レーザの場合
は、その微分利得の増大ということが重要な特性であ
り、このことは、しきい値電流の高温特化、高速変調化
という点で、n型変調ドーピングのMQW半導体レーザ
やノンドープのMQW半導体レーザに比べて有利である
ことを意味する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した魚
見らの変調ドープMQW半導体レーザに関する理論予測
では、障壁層への変調ドーピング量を増量せしめるほ
ど、n型変調ドーピングの場合にはその半導体レーザに
おける透明化に必要な注入キャリア密度は減少し、また
p型変調ドーピングの場合にはその半導体レーザにおけ
る微分利得が増加して、レーザとしての性能向上がもた
らされることになる。
【0007】しかしながら、問題にしなければならない
ことは次のことである。すなわち、上記した魚見らの理
論予測はあくまでも障壁層への変調ドーピング時にはヘ
テロ接合している井戸層における内部損失の増加は起こ
らないという前提に立っていることである。ところで、
実際問題として、井戸層の近くに高濃度で変調ドーピン
グを行うと、井戸層における自由キャリアの吸収や価電
子帯間での吸収が増加するため、その内部損失の増加が
生ずる。この現象は、波長1.3〜1.55μmの長波長
帯域における発振時に顕著に発現してくる。
【0008】例えば、K.Nakamura,et al.IEEE of Selec
ted topics in Quantum Ekectronics,3(1997)166には、
波長1.3μmで動作するn型変調ドープMQW半導体
レーザにおけるn型変調ドーピング量としきい値電流と
の関係が開示されている。それによると、n型変調ドー
ピング量がある値になるまではしきい値電流は低下して
いくが、その値を超えると、ノンドープのMQW半導体
レーザの場合よりもしきい値電流が増加するという傾向
を示している。また、p型変調ドーピングのMQW半導
体レーザの場合は、p型変調ドーピング量が増加する
と、価電子帯間の吸収に基づく内部損失の増加がとくに
顕著になり、注入電流を増加して利得を増加しないと発
振しなくなってしまい、しきい値電流はp型変調ドーピ
ング量に対して単調に増加している。
【0009】このように、魚見らが変調ドープMQW半
導体レーザに関して理論予測した性能向上の問題は、上
記した問題を解決しない限り、とくに長波長帯域では実
現することができないことになる。本発明は、この問題
を解決し、障壁層に変調ドーピングしても内部損失の増
加が起こらず、そのため、魚見らが理論予測したとおり
の高性能を発揮することができる変調ドープMQW半導
体レーザ、とくにワイドギャップバリアを有する変調ド
ープMQW半導体レーザの提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、圧縮歪みを有する井戸層と
引張り歪みを有する障壁層とのヘテロ接合構造から成る
多重量子井戸構造を有し、前記井戸層はノンドープの半
導体材料から成り、前記障壁層は前記井戸層にヘテロ接
合する層1と前記層1の間にヘテロ接合して介装された
層2との層構造を有し、前記層1は前記井戸層の半導体
材料よりもバンドギャップ波長が短いノンドープの半導
体材料1から成り、前記層2は前記半導体材料1よりも
バンドギャップ波長が短い半導体材料2から成り、かつ
前記半導体材料2にはp型またはn型のドーパントが変
調ドーピングされていることを特徴とする変調ドープ多
重量子井戸半導体レーザが提供される。
【0011】具体的には、前記井戸層の半導体材料がG
aInAsPから成り、前記半導体材料1がバンドギャ
ップ波長0.93〜1.3μmのGaInAsPから成
り、前記半導体材料2がバンドギャップ波長0.6〜0.
93μmのGaInAsP,GaInPまたはAlGa
InAsから成り、前記ドーパントがBeなどのp型ド
ーパントまたはSiなどのn型ドーパントから成る変調
ドープ多重量子井戸半導体レーザや、前記井戸層の半導
体材料がInAsP,GaInAs,またはAlGaI
nAsから成り、前記半導体材料1がバンドギャップ波
長0.93〜1.3μmのGaInAsPから成り、前記
半導体材料2がバンドギャップ波長0.6〜0.93μm
のGaInAsP,GaInPまたはAlGaInAs
から成り、前記ドーパントがBeなどのp型ドーパント
またはSiなどのn型ドーパントから成る変調ドープ多
重量子井戸半導体レーザや、前記井戸層の半導体材料が
GaInAsPから成り、前記半導体材料1がバンドギ
ャップ波長0.93〜1.3μmのAlGaInAsから
成り、前記半導体材料2がバンドギャップ波長0.6〜
0.93μmのGaInAsP,GaInPまたはAl
GaInAsから成り、前記ドーパントがBeなどのp
型ドーパントまたはSiなどのn型ドーパントから成る
請求項1の変調ドープ多重量子井戸半導体レーザが提供
される。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、図面に基づいて本発明の
半導体レーザを説明する。図1は、井戸層が4個である
MQW構造を有する半導体レーザの層構造を示し、図2
はこのMQW構造における各層の伝導帯のエネルギー準
位(Ec)の関係を示す。
【0013】図1,図2において、基板1の上に成膜さ
れた下部クラッド層2Aに後述するMQW構造Dが積層
され、その最上層には更に上部クラッド層2Bとコンタ
クト層3が積層されている。これらの各層は、いずれ
も、所定の半導体材料をガスソースMBE法,MBE
法,CBE法,またはMOCVD法など、公知の成膜法
を適用して形成される。
【0014】上記したMQW構造Dにおける単位構造
は、井戸層Aがその上・下にヘテロ接合する障壁層Bで
サンドウィッチされた構造になっていて、しかもその障
壁層Bは前記井戸層Aにヘテロ接合する2つの層B1,
B1とこれら層B1の間に介装された層B2とから成る
層構造を有し、前記層B2にのみp型またはn型のドー
パントCがドーピングされている。
【0015】なお、障壁層Bにおいて、下部クラッド層
2Aと上部クラッド層2Bとヘテロ接合する層B10
は、いずれも、他の層B1よりも厚くなっていて、図1
で示した層構造における光閉じ込め層として機能する。
各井戸層Aはいずれもノンドープの半導体材料から成
り、かつ基板1に対して圧縮歪みを有する層として形成
されている。
【0016】また障壁層Bは、上記した井戸層Aを形成
する半導体材料よりもバンドギャップ波長が短い、すな
わちバンドギャップエネルギー(Eg)が高い半導体材
料から成り、かつ基板1に対して引張り歪みを有する層
として形成される。そして、この障壁層Bのうち、前記
井戸層Aにヘテロ接合している層B1はノンドープの半
導体材料で形成され、また層B1の間に介装され、井戸
層Aとはヘテロ接合していない層B2は、上記層B1よ
りもバンドギャップ波長が短い、すなわちバンドギャッ
プエネルギー(Eg)が高い半導体材料2で形成され、
ここにp型またはn型のドーパントが変調ドーピングさ
れている。
【0017】このように、本発明のMQW構造Dにおけ
る各層の伝導帯のエネルギー準位(Ec)の状態は図2
で示したようになっている。ここで、井戸層Aを構成す
る半導体材料としては、例えば、GaInAsP,In
AsP,GaInAs,AlGaInAsなどをあげる
ことができる。また、障壁層Bにおける層B1を構成す
る半導体材料としては、バンドギャップ波長が0.93
〜1.3μmになる組成のGaInAsP,AlGaI
nAsなどをあげることができる。そして層B2を構成
する半導体材料2としては、バンドギャップ波長が0.
6〜0.93μmになる組成のGaInAsP,GaI
nP,AlGaInAsなどをあげることができる。
【0018】この層B2へ変調ドーピングされるp型ド
ーパントとしてはBeを好適とするが、Mg,C,Zn
を用いることもでき、またn型ドーパントとしてはSi
を好適とするが、Seを用いることもできる。このとき
の変調ドーピング量は、p型,n型のいずれの場合も、
1×1017〜1×1020cm-3の範囲内にあればよい。こ
の半導体レーザの場合、井戸層Aの両側にはノンドープ
でバンドギャップエネルギー(Eg)の高い層B1が存
在し、更にその層B1に接してバンドギャップエネルギ
ー(Eg)が最も高い層B2が存在し、そこにのみ変調
ドーピングが施された構造になっているので、井戸層A
における自由キャリアの吸収や価電子帯での吸収に基づ
く内部損失の増加が防止される。また、層1はバンドギ
ャップエネルギー(Eg)の比較的小さい半導体材料で
構成されているので、光閉じ込め係数の減少によって生
起するしきい値電流の増加現象も起こらなくなる。
【0019】このようなことから、この半導体レーザの
場合、p型,n型の変調ドープMQW半導体レーザに関
して魚見らが理論予測したような性能を発揮することが
できる。また、本発明の半導体レーザの場合、井戸層A
は圧縮歪み、障壁層Bは引張り歪みを有しているので、
MQW構造Dの全体としては歪み補償が実現している状
態になっている。したがって、MQW構造Dにおける結
晶性も優れた状態になっている。
【0020】その場合、MQW構造全体の歪みをゼロに
近づけることが良好な結晶性を得るという点で好適であ
るが、MQW構造Dの全体としては、若干の圧縮歪みを
有している方がレーザとしての特性は向上するので好適
である。通常、MQWとしては全体の歪み量が圧縮歪み
側に0〜0.5%となっていることが好ましい。
【0021】
【実施例】実施例1 波長1.3μm帯域の半導体レーザを次のようにして製
造した。まず、ガスソースMBE法で図1で示した層構
造をn型InP基板1の(100)面の上に形成した。
【0022】この層構造において、下部クラッド層2A
は厚み0.6μmのn型InPから成り、上部クラッド
層2Bは厚み2μmのp型InPから成り、コンタクト
層3は厚み0.4μmのp+型のIn0.53Ga0.47Asか
ら成る。そしてMQW構造Dにおける井戸層Aは、いず
れも、厚み9nmのInAs0.450.55から成り、その圧
縮歪みは基板1に対して+1.45%になっている。
【0023】また、障壁層Bにおける層B1は、いずれ
も、厚み2nmである格子整合系のノンドープIn0.86
0.14As0.3060.694(バンドギャップ波長が1.1
μmの組成)から成る。層B2は、いずれも、厚み11
nmのIn0.9Ga0.1P(バンドギャップ波長が842nm
の組成)から成り、その引張り歪みは基板1に対して−
0.7%になっている。そして、この層B2にはBeが
1×1019cm-3の濃度でp型変調ドーピングされてい
る。
【0024】なお、下部クラッド層2Aと上部クラッド
層2Bに接している層B10は、いずれも前記した組成
と同じ組成であることが望ましいが、厚みは0.12μ
mになっている。なお、この厚みは0〜0.3μmであ
ることが望ましい。また、層B2の厚みは11nmとした
が、この厚みは30nm未満であればその範囲内で変化さ
せてもよい。また、層B1としては格子整合系を用いた
が、層B2よりもバンドギャップ波長が長い材料であれ
ば歪み系の材料を用いてもよい。また、実施例1では井
戸数を4個とした例を示したが、この井戸数は1〜30
個の範囲内で変化させることもできる。
【0025】このようにして製造されたMQW構造D
は、全体として、基板1に対して+0.128%の圧縮
歪みを有している。得られた層構造の上面に対してフォ
トリソグラフィーを行って、図3で示したように、上部
幅5.5μm,下部幅3μmの逆メサリッジの導波路を
形成したのち全面にSiNx膜4を成膜し、このSiNx
膜の上にフォトリソグラフィーを行ってメサ上部にのみ
窓を開けるようなレジストパターンを形成し、更にその
窓から表出するSiNx膜4をRIEで除去してコンタ
クト層3を表出させた。ついで、レジストパターンを全
て除去したのち、Ti/Pt/Auのp型オーミック電
極5を形成し、また基板1の裏面を研磨して全体の厚み
を100μm程度にしたのちその研磨面にAuGe/N
i/Auのn型オーミック電極6を形成した。
【0026】その後、劈開を行い、共振器としての長さ
300μmの半導体レーザにした。なお、劈開面に対し
てはSiNxなどから成る高反射膜で被覆してもよい。
なお、上記した半導体レーザのMQW構造Dの形成時
に、層B2にドーピングするBeの濃度を変化させて半
導体レーザを製造し、それらの半導体レーザにつき、常
法に従って、無限大共振器における1井戸当たりのしき
い値電流密度(Jth∞/Nw)を測定した。その結果
を、Beのドーピング濃度との関係として図4に示し
た。
【0027】なお、比較のために、従来のp型変調ドー
プMQW半導体レーザについても同様にしてJth∞/N
wを測定し、その結果も図4に示した。図4から明らか
なように、本発明の半導体レーザの場合には、層B2へ
のBeのドーピング濃度を1×1019cm-3にすることに
より、Jth∞/Nwが30A/cm2という極めて低いしき
い値を実現することができる。
【0028】また、層B2へのBeのドーピング濃度が
1×1019cm-3であり、また共振器としての長さが25
0μmである本発明の半導体レーザにつき、緩和振動周
波数(fr)の2乗と光出力との関係を調べた。その結
果を図5に示した。なお、比較のために、従来アンドー
プMQW半導体レーザと従来のp型変調MQW半導体レ
ーザの場合についても同様の関係を調べ、それも図5に
示した。
【0029】図5から明らかなように、本発明の半導体
レーザの場合は、その緩和振動周波数(fr)が従来の
p型変調ドープMQW半導体レーザ、従来のノンドープ
MQW半導体レーザの場合に比べて、それぞれ、1.4
倍、1.7倍の値になっている。更に、ドーパントとし
てSiを用いたことを除いては、実施例1と同様にして
n型変調ドープMQW半導体レーザを製造し、その半導
体レーザについても、Jth∞/NwとSiのドーピング
濃度との関係を調べた。その結果を図6に示した。
【0030】比較のために、n型変調ドープMQW半導
体レーザについても同様の関係を調べ、それも図6に示
した。図6から明らかなように、この場合もSiのドー
ピング濃度を1×1019cm-3することにより、Jth∞/
Nwは極めて低いしきい値になっている。
【0031】実施例2 波長1.55μm帯域の半導体レーザを次のようにして
製造した。まず、MOCVD法で図1で示した層構造を
n型InP基板1の(100)面の上に形成した。この
層構造において、下部クラッド層2Aは厚み0.6μm
のn型InPから成り、上部クラッド層2Bは厚み2μ
mのp型InPから成り、コンタクト層3は厚み0.4
μmのp+型からInGaAsから成る。
【0032】そしてMQW構造Dにおける井戸層Aは、
いずれも、厚み3nmのIn0.68Ga 0.32Asから成り、
その圧縮歪みは基板1に対して+1.0%になってい
る。また、障壁層Bにおける層B1は、いずれも、厚み
2nmである格子整合系のノンドープIn0.208Ga0.792
As0.4530.547(バンドギャップ波長が1.2μmの
組成)から成る。層B2は、いずれも、厚み6nmのIn
0.9Ga0.1P(バンドギャップ波長が842nmの組成)
から成り、その引張り歪みは基板1に対して−0.7%
になっている。そして、この層B2にはBeが1×10
19cm-3の濃度でp型変調ドーピングされている。
【0033】なお、下部クラッド層2Aと上部クラッド
層2Bに接している層B10は、いずれも前記した組成
と同じ組成であるが、厚みは0.12μmになってい
る。また、層B2の厚みは6nmとしたが、この厚みは3
0nm未満であればその範囲内で変化させてもよい。ま
た、層B1としては格子整合系を用いたが、層B2より
もバンドギャップ波長が長い材料であれば歪み系の材料
を用いてもよい。
【0034】得られた層構造を実施例1と同様にして加
工し、半導体レーザを製造した。この半導体レーザの場
合も、実施例1の場合と同様の結果を得ることができ
た。
【0035】実施例3 Beに代えてSiを1×1019cm-3ドーピングしたこと
を除いては、実施例2と同様にしてn型変調ドープMQ
W半導体レーザを製造した。この半導体レーザの場合も
実施例1の場合と同様の結果を得ることができた。実施
例1,2,3では、波長1.3μm帯域と波長1.55μ
m帯域で発信するレーザを示したが、本発明の構造は、
波長1650μm,980μm,850μm,780μ
m,680μm,630μm,600μmの各帯域のM
QW半導体レーザにも適用することができる。
【0036】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
MQW半導体レーザは、変調ドーピングされている障壁
層の部分のバンドギャップエネルギー(Eg)が高くな
っているので、井戸層における自由キャリアの吸収や低
価電子帯での吸収に基づく内部損失が防止され、また、
井戸層と直接ヘテロ接合する光閉じ込め係数の減少に基
づくしきい値電流の増加も起こらない。更には、MQW
構造全体では歪み補償が実現していて全体の結晶性は良
好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体レーザの層構造を示す概略図で
ある。
【図2】図1の層構造における各層のバンドギャップエ
ネルギー(Eg)の関係を示す概略図である。
【図3】図1で示した層構造を用いたMQW半導体レー
ザを示す斜視図である。
【図4】p型変調ドープMQW半導体レーザのドーピン
グ濃度とJth∞/Nwとの関係を示すグラフである。
【図5】MQW半導体レーザの緩和振動周波数の2乗と
光出力との関係を示すグラフである。
【図6】n型変調ドープMQW半導体レーザのドーピン
グ濃度とJth∞/Nwの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
A 井戸層 B 障壁層 B1,B10 層1 B2 層2 C p型またはn型のドーパント D 光閉じ込め層を含む多重量子井戸構造 1 基板 2A 下部クラッド層 2B 上部クラッド層 3 コンタクト層 4 SiNx膜 5 p型オーミック電極 6 n型オーミック電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 粕川 秋彦 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 Fターム(参考) 5F073 AA11 AA74 AA89 CA06 CA12 CA15 EA14 EA23

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧縮歪みを有する井戸層と引張り歪みを
    有する障壁層とのヘテロ接合構造から成る多重量子井戸
    構造を有し、前記井戸層はノンドープの半導体材料から
    成り、前記障壁層は前記井戸層にヘテロ接合する層1と
    前記層1の間にヘテロ接合して介装された層2との層構
    造を有し、前記層1は前記井戸層の半導体材料よりもバ
    ンドギャップ波長が短いノンドープの半導体材料1から
    成り、前記層2は前記半導体材料1よりもバンドギャッ
    プ波長が短い半導体材料2から成り、かつ前記半導体材
    料2にはp型またはn型のドーパントが変調ドーピング
    されていることを特徴とする変調ドープ多重量子井戸半
    導体レーザ。
  2. 【請求項2】 前記井戸層の半導体材料がGaInAs
    Pから成り、前記半導体材料1がバンドギャップ波長
    0.93〜1.3μmのGaInAsPから成り、前記半
    導体材料2がバンドギャップ波長0.6〜0.93μmの
    GaInAsP,GaInPまたはAlGaInAsか
    ら成り、前記ドーパントがp型またはn型のドーパント
    から成る請求項1の変調ドープ多重量子井戸半導体レー
    ザ。
  3. 【請求項3】 前記井戸層の半導体材料がInAsP,
    GaInAs,GaInPまたはAlGaInAsから
    成り、前記半導体材料1がバンドギャップ波長0.93
    〜1.3μmのGaInAsPから成り、前記半導体材
    料2がバンドギャップ波長0.6〜0.93μmのGaI
    nAsP,GaInPまたはAlGaInAsから成
    り、前記ドーパントがp型またはn型のドーパントから
    成る請求項1の変調ドープ多重量子井戸半導体レーザ。
  4. 【請求項4】 前記井戸層の半導体材料がGaInAs
    Pから成り、前記半導体材料1がバンドギャップ波長
    0.93〜1.3μmのAlGaInAsから成り、前記
    半導体材料2がバンドギャップ波長0.6〜0.93μm
    のGaInAsP,GaInPまたはAlGaInAs
    から成り、前記ドーパントがp型またはn型のドーパン
    トから成る請求項1の変調ドープ多重量子井戸半導体レ
    ーザ。
JP10251183A 1998-09-04 1998-09-04 変調ドープ多重量子井戸半導体レーザ Pending JP2000082862A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10251183A JP2000082862A (ja) 1998-09-04 1998-09-04 変調ドープ多重量子井戸半導体レーザ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10251183A JP2000082862A (ja) 1998-09-04 1998-09-04 変調ドープ多重量子井戸半導体レーザ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000082862A true JP2000082862A (ja) 2000-03-21

Family

ID=17218925

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10251183A Pending JP2000082862A (ja) 1998-09-04 1998-09-04 変調ドープ多重量子井戸半導体レーザ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000082862A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6774389B2 (en) 2002-01-17 2004-08-10 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Optical semiconductor device
JP2006108641A (ja) * 2004-09-08 2006-04-20 Advanced Telecommunication Research Institute International 半導体レーザおよびそれを用いた半導体レーザジャイロ

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6774389B2 (en) 2002-01-17 2004-08-10 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Optical semiconductor device
JP2006108641A (ja) * 2004-09-08 2006-04-20 Advanced Telecommunication Research Institute International 半導体レーザおよびそれを用いた半導体レーザジャイロ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3467153B2 (ja) 半導体素子
JPH0878786A (ja) 歪量子井戸の構造
JP3052552B2 (ja) 面発光型半導体レーザ
JPH06326406A (ja) 半導体レーザ装置
JPS6352792B2 (ja)
JP2746326B2 (ja) 半導体光素子
JPH0661570A (ja) 歪多重量子井戸半導体レーザ
US4941025A (en) Quantum well semiconductor structures for infrared and submillimeter light sources
US5251224A (en) Quantum barrier semiconductor optical device
US6396861B1 (en) N-type modulation-doped multi quantum well semiconductor laser device
JP4025227B2 (ja) 半導体積層基板および光半導体素子
JP3135960B2 (ja) 半導体レーザ装置
JP4641230B2 (ja) 光半導体装置
JP4494721B2 (ja) 量子カスケードレーザ
JP2930031B2 (ja) 半導体レーザ
JP3145718B2 (ja) 半導体レーザ
JP2009260093A (ja) 光半導体装置
JP2778454B2 (ja) 半導体レーザ
JP3242958B2 (ja) 光半導体素子
JP2000082862A (ja) 変調ドープ多重量子井戸半導体レーザ
JPH05160504A (ja) 半導体レーザ装置
JPH11354884A (ja) 半導体レーザ及び半導体レーザの製造方法
JP3033333B2 (ja) 半導体レーザ素子
JP4983791B2 (ja) 光半導体素子
JPH0467353B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050901

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20050927

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20050928

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080917

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080930

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20081031

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090225