JP2000082595A - シート状基材の放電プラズマ処理方法及びその装置 - Google Patents

シート状基材の放電プラズマ処理方法及びその装置

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JP2000082595A
JP2000082595A JP10296814A JP29681498A JP2000082595A JP 2000082595 A JP2000082595 A JP 2000082595A JP 10296814 A JP10296814 A JP 10296814A JP 29681498 A JP29681498 A JP 29681498A JP 2000082595 A JP2000082595 A JP 2000082595A
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sheet
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gas
discharge plasma
discharge
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JP10296814A
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English (en)
Inventor
Takuya Yara
卓也 屋良
Masahisa Tosaka
昌久 登坂
Tomoyuki Bessho
知之 別所
Motokazu Yuasa
基和 湯浅
Hitoshi Nakao
整 中尾
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】大気圧近傍の圧力下においてシート状基材に連
続的な放電プラズマ処理を行え、かつ基材走行速度を高
速化しても均一な処理を行えるようにする。 【解決手段】対向電極1a,1b間に放電プラズマを発
生させた状態で、その対向電極間の放電空間2にシート
状基材9を連続的に走行させることにより、放電プラズ
マ処理を行う方法または装置において、対向電極1a,
1bの一方または双方の対向面を固体誘電体3a,3b
で覆うとともに、対向電極間の放電空間2を固体誘電体
からなる遮断壁4a,4bにより囲むことによって、放
電空間2内に、処理用ガスが電極幅方向に略均一かつ連
続的に供給されるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大気圧近傍の圧力
下で発生させたグロー放電プラズマを用いてシート状基
材の表面処理を行う方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック、金属、紙、繊維等からな
るシート状基材は、家電部材、自動車部品等として汎用
されているが、これらシート状基材の利用価値を高める
目的で、シート状基材成形後にその表面処理が行われる
ことが多い。このような表面処理としては、例えば、シ
ート状基材表面に官能基層を形成したり、放電プラズマ
によりラジカル層を形成したりしてシート状基材の表面
エネルギーを制御し、また、親水性、撥水性等を付与し
て濡れ性、接着性等を改質し、さらには、電気特性、光
学特性等に優れた機能を有する膜を形成させる等が挙げ
られる。
【0003】従来、シート状基材の表面を改質し、優れ
た機能を有する膜を表面に形成する方法としては、大気
圧下でのコロナ放電処理による方法、減圧下でのグロー
放電によるプラズマ処理法、プラズマ重合法、プラズマ
CVD法等が知られている。
【0004】大気圧下でのコロナ放電処理による方法
は、シート状基材の表面処理のドライプロセスとして実
用化されているが、この方法は、シート状基材の表面を
酸化させ、親水化させるのみであり、例えば、撥水性に
改良したり、薄膜をコーティングする等は困難であっ
た。
【0005】減圧下でのグロー放電によるプラズマ処理
法は、表面処理の種々の目的に対応し得る処理方法とし
て、産業的にも広く応用されている。しかし、この処理
方法は、0.01〜10Torrの低圧領域でのグロー
放電プラズマを用いるので、密閉槽、ポンプ等が必要に
なり、処理装置が大掛かりなものになる等の問題があ
る。
【0006】一方、連続的にシート状基材の表面処理を
行う方法としては、長尺のシート状基材をロール状に巻
き上げたものを真空チャンバー内に入れ、チャンバー内
でロールからシート状基材を随時に引き出してシート状
基材表面に随時処理を施すバッチ方式、あるいは大気圧
下から減圧下へ徐々に排気を行う差動排気方式により処
理する方法等が知られている。しかし、これらの連続処
理方法においても、処理室(チャンバー)内を排気する
ために大容量を有する非常に大きなポンプが必要になる
ので、処理装置の大型化が避けられないという問題があ
る。
【0007】ここで、シート状基材の連続処理を、種々
の目的に対応し得るように減圧下でのグロー放電により
行う場合には、例えば、上述のバッチ方式による処理が
用いられるが、この処理方法において、TACフィルム
等の吸水性の高いプラスチック製のシート状基材に処理
を施す場合、真空引きに長時間を要するため現実的でな
く、また、基材走行ロール等の走行系が高価になるため
に、処理品がコスト高となる。
【0008】大気圧下でシート状基材に連続的に薄膜を
表面処理する方法として、特開平3−143930号公
報には、処理容器(チャンバー)内をヘリウムガス等の
処理用ガスに置換した後、処理用ガスを連続的に供給し
つつ大気圧下にシート状基材を、非気密状態にシールさ
れた基材導入部から導入することによって、シート状基
材の表面にプラズマ放電処理を連続的に施す技術が開示
されている。しかしながら、この公報に記載の技術によ
れば、シート状基材の走行速度が約3m/分を超える
と、外部空気の巻き込みにより、放電プラズマ中に空気
が混入してしまい、目的とする処理を実現することが困
難になる。
【0009】さらに、大気圧下でプラズマ放電処理を施
す技術においては、現実に連続処理を行うにあたって必
要な方法、装置の詳細は未だ提案されておらず、特に金
属元素を含有するガスを用いて薄膜を形成する場合には
問題が顕著に現れ、均一な薄膜は到底得られていないの
が現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、そのような
実情に鑑みてなされたもので、大気圧近傍の圧力下にお
いてシート状基材に連続的な放電プラズマ処理を行うこ
とができ、しかも基材走行速度を高速化しても均一な処
理を行うことが可能なシート状基材の放電プラズマ処理
方法及びその装置の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のシート状基材の放電プラズマ処理方法は、
対向電極間に放電プラズマを発生させた状態で、その対
向電極の間の放電空間にシート状基材を連続的に走行さ
せることにより、放電プラズマ処理を行う方法であっ
て、対向電極の一方または双方の対向面は固体誘電体で
覆われてなり、その対向電極間の放電空間が固体誘電体
からなる遮断壁によって囲まれ、その放電空間内に処理
用ガスを電極幅方向に略均一かつ連続的に供給すること
によって特徴づけられる。
【0012】本発明の放電プラズマ処理装置は、放電プ
ラズマを発生させる対向電極と、その対向電極間の放電
空間にシート状基材を連続的に走行させる基材走行系か
らなり、対向電極の一方または双方の対向面が固体誘電
体で覆われ、その対向電極間の放電空間を囲む遮断壁が
設けられていることによって特徴づけられる。
【0013】なお、本発明において、大気圧近傍の圧力
とは、100〜800Torrの圧力を言い、中でも、
圧力調整が容易で装置構成が簡単となる700〜780
Torrの圧力範囲とすることが好ましい。
【0014】本発明において放電プラズマ処理が施され
るシート状基材の材質としては、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ア
クリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等のプ
ラスチック、金属、ガラス、紙、繊維、不織布等が挙げ
られる。
【0015】本発明に適用する対向電極としては、銅、
アルミニウム等の金属単体、ステンレス、真鍮等の合
金、金属間化合物等からなるものが挙げられる。
【0016】対向電極の少なくともいずれか一方の対向
面に固体誘電体を密着させて配置する。この際に、固体
誘電体によって覆われずに電極同士が直接対向する部位
があるとそこからアーク放電が生じるため、対向面を完
全に覆うように固体誘電体を配置する。固体誘電体の形
状は、シート状でもフィルム状でもよいが、厚すぎると
放電プラズマを発生するのに高電圧を要し、薄すぎると
電圧印加時に絶縁破壊が起こりアーク放電が発生するた
め、厚みが0.01〜4mmであることが好ましく、さ
らに好ましくは0.05〜4mmである。
【0017】固体誘電体としては、ポリテトラフルオロ
エチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチッ
ク、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸化ジ
ルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化物、チタン酸バ
リウム等の複酸化物等が挙げられる。
【0018】固体誘電体は炭素鋼等の導電体上に、また
は、電極上に直接、被膜状態に形成して用いてもよい。
この場合、被膜の厚みは、薄い方が放電プラズマを発生
し易いが、薄すぎると皮膜の耐電圧を超えるためアーク
放電が生じ、厚すぎると誘電損失が大きくなり放電プラ
ズマが発生し難く、かつ高温度になったり、被膜にクラ
ックが生じたりするため、10〜1000μmの間が好
ましく、50〜700μmがより好ましい。金属酸化物
被膜は、厚みが均一である方が得られる放電プラズマが
均一になるので好ましい。
【0019】電極間の間隔は広くなりすぎると放電をプ
ラズマ処理に適したグロー状態に保つことが困難になる
ため狭い空間とした方がよいが、反応ガス供給量とシー
ト状基材の走行安定性を考慮すると2〜4mmが好まし
い。
【0020】さらに電極の大きさは処理時間とシート状
基材の走行速度を考慮して適宜決定される。処理時間は
プラズマ反応速度に左右されるので、処理用ガスによっ
て異なる。
【0021】本発明において、対向電極間の放電空間を
固体誘電体からなる遮断壁によって囲っておいてもよ
い。その遮断壁の構造は特に限定されないが、図1に示
すように、対向電極1a,1b間の放電空間2を囲むよ
うな構造の遮断壁4a,4bとすることが好ましい。
【0022】遮断壁4a,4bは、図1(A)に示すよ
うに、対向電極1a,1bの対向面に対して垂直な形状
のものであってもよく、図1(B)に示すように断面が
楕円形となるような形状であってもよい。また、遮断壁
には、後述するように、基材導入部及び基材排出部、ガ
ス供給口及びガス排出口が設けられるが、遮断壁の一部
が、基材導入部や基材排出部、ガス導入容器やガス排出
容器のうちの固体誘電体からなる部材により構成されて
もよい。
【0023】そして、対向電極間の放電空間をこのよう
な遮断壁で囲むことにより、空気の混入による処理能力
の低下を抑えて基材走行速度の高速化に対応可能となる
だけでなく、放電空間内の処理用ガス流の乱れを抑えて
層流状態を作りだすことによって、高密度かつ均一な膜
質の薄膜を形成することが可能になる。従って、このよ
うな遮断壁の採用により、連続的な放電プラズマ処理が
可能になる。
【0024】また、対向電極間の放電空間は固体誘電体
からなる遮断壁により囲まれて実質的に閉鎖系となされ
てもよい。なお、実質的に閉鎖系とは、完全に密閉する
ことまでは要求せず、外部気体の混入を防止する程度に
閉鎖することを言う。このようにすることにより、放電
空間内のガス流の乱れを抑え、より一層、層流状態に近
づけることができる。
【0025】ここで、大気圧近傍の圧力下における放電
プラズマ処理において、対向電極間の放電空間(成膜範
囲)からガス漏れが発生すると、その反応物によりシー
ト状基材の表面が汚れてしまい、良質な薄膜を成膜でき
なくなるという問題がある。
【0026】例えば、薄膜材料として水分と反応しやす
いTiを用いた場合にガス漏れが生じると、周りの水分
と反応してしまい、成膜範囲以外でシート状基材に反応
物が付着して汚れる可能性がある。これを解消するた
め、本発明では、対向電極間の放電空間を固体誘電体か
らなる遮断壁によって囲むという方法に加えて、対向電
極間の放電空間の基材入口及び基材出口に、それぞれ、
電極幅方向の長さ以上の長さを有するカバーを設けると
いう方法を採用する。
【0027】カバーは、放電空間に対してシート状基材
が通る隙間をより狭くしてガス漏れを更に防止するため
のものであり、このカバーの材質には樹脂(絶縁物)を
用いる。
【0028】カバーは、例えば、図12〜図14に示す
ようにシート状基材9の上方を覆う形状に加工され、ロ
ール状電極101a側で対向電極間(放電空間2)以外
の部分に設けられる。カバー107,108とロール状
電極101aとの間には、シート状基材9が入る隙間
(凹部107a,108a)が必要であり、その隙間寸
法は対向電極間に比べ1/2〜1/4以下に設定するこ
とが適当である。
【0029】例えば対向電極間の距離を2mmとし、そ
の距離に対してシート状基材との隙間寸法を0.5mm
にすれば、基材走行方向におけるガス漏れは、カバーを
設けない場合に対して、1/16以下に抑えることがで
きる。その理由を以下に説明する。
【0030】まず、開口部を通過する流体の圧力損失
は、動圧の場合、断面積の2乗で決定され、その圧力損
失ΔPは、 ΔP=ζ×γ×v2 /2g で表される。ここで、ζ:抵抗係数、γ:流体の比重
量、v:流速である。
【0031】前記のように開口部の断面積については断
面積の2乗に比例し、長さについては比例関係にあり、
従って吹き出しに対して、2つの開口部の角度が同じで
あるとすれば、例えば、対向電極間距離:2mm、幅W
の開口面積が2Wで、長さがLの開口部での圧力損失は
ΔP1 =α(比例定数)/4W2 Lとなるのに対し、シ
ート状基材とカバー間の隙間:0.5mm、幅Wの開口
面積が0.5Wで、長さがLの開口部での圧力損失はΔ
P2 =α/0.25W2 Lとなり、圧力損失が16倍と
なる。従って、ガス漏れを1/16以下に抑えることが
可能になる。
【0032】なお、図12〜図14に示すように、回転
可能なロール状電極101aにカバー107,108を
配置する場合、潤滑剤などで摩擦抵抗を低減してロール
状電極101aが回転できるようにしておく。
【0033】本発明において前記した遮断壁で囲われる
放電空間には、基材導入部及び基材排出部と、ガス供給
口及びガス排出口が設けられる。それらの各部は、空気
混入を抑え、放電空間内のガス流を層流とするために、
外部との連通口を極力小さくする必要があり、これを達
成するには、各連通口を間隔の狭いスリット形状とする
ことが好ましい。さらに基材導入部及び基材排出部はシ
ール装置を備えていることが好ましい。シール装置は汎
用のものでよく、ギャップシール方式、ロールシール方
式、液体シール方式等を採用することができる。
【0034】また、基材導入部及び基材排出部の開口面
積は、ガス供給口及びガス排出口より大きくなされてい
ることが好ましい。さらに、処理用ガス供給口及び処理
用ガス排出口の開口面積は、放電空間の断面積(基材走
行方向に垂直に切断した断面)より小さくなされている
ことが好ましい。
【0035】前記した基材導入部とガス導入容器の具体
例を、図2を参照しつつ説明する。この例では対向電極
のうち上部電極1aにガス導入容器5が設置され、この
ガス導入容器5内のガス供給口6は、上部電極1aの基
材導入側の側面に沿って設けられており、対向電極間の
間隔lより小さい間隔を有するスリット形状となされて
いる。また、ガス導入容器5と下部電極1bとの間が基
材導入部7となされており、この基材導入部7はガス導
入容器5に設置されたガイド8によって、前述のガス供
給口6よりも狭い間隔を有するスリット形状となされて
いる。
【0036】なお、本発明において、処理用ガスの供給
は、ガスボンベのレギュレーターにより圧力調整された
ガスを用いてもよいし、ロータリーポンプ、ターボブロ
アー等によって行われてもよい。
【0037】処理用ガス(キャリアガスを含む)を対向
電極の幅方向に略均一に供給するためには、導入された
ガスを隔壁を備えた容器中を通過させることによりガス
流を整えた後に、スリットまたは多数の小孔からなるガ
ス供給口(吹き出し口)を介して対向電極間に向けて吹
き出す構造をもつガス導入容器を用いる方法などが挙げ
られる。
【0038】図3及び図4にこのようなガス導入容器の
例を示す。図3及び図4は、ガス導入方向に対向する斜
板を有し、かつガス導入口から遠ざかるほど狭くなる区
画内に一旦導いて拡散させると同時に、基材走行方向に
略並行にガス流を偏向させた後に、整流してガス供給口
から電極間に向けて吹き出す構造の例である。図3は邪
魔板により整流する例、図4は充填されたビーズにより
整流する例である。図5は電極間へのガス導入方向に断
面が緩やかに拡大する第1の区画内で拡散させた後、格
子もしくは網状の壁面を介して、ガス吹出方向に断面が
緩やかに縮小する第2の区画からガス供給口を介して電
極間に向けて吹き出す構造(2室式)の例である。これ
らのガス導入容器の詳細については、特願平10−28
5520号明細書に記載されている。なお、図3及び図
4の各図(B)は、それぞれ(A)のb−b断面を示し
ている。
【0039】さらに、放電空間内の処理用ガスをガス出
口方向に吸引することによって、放電空間内のガスの逆
流及び滞留を防いでより完全な層流状態を作りだすこと
ができる。この場合において、処理用ガスの供給ライン
と吸入ラインに流量計と流量調整バルブを設けておい
て、双方の流量を略等しくしておくことが好ましい。吸
入ラインには、上記ガス導入容器と同様の形態のものが
好適に使用される。
【0040】また、処理用ガスを放電空間へ供給するに
あたって、基材走行方向と同方向に向けて、電極幅方向
に略均一かつ連続的に供給することが好ましい。基材走
行方向と同方向に向けて供給することにより、処理用ガ
スの逆流や空気の混入が減少し、放電空間内の気体の流
れを層流状態により近づけることができる。さらに、供
給された処理用ガスを基材走行方向の出口側から連続的
に吸引することが好ましい。
【0041】処理用ガス供給口及び/または処理用ガス
吸入口は、対向電極の側面に沿って設けられていること
が好ましい。より好ましくは、電極表面を被覆する固体
誘電体が延長されて、ガス供給口及び/またはガス吸入
口を形成することである。ガス供給口は基材導入側の側
面に、ガス吸入口は基材排出側の側面に、それぞれ電極
幅長さのスリットや、電極幅長さに渡って分布した小孔
の集合として設けられる。
【0042】さらに放電空間内のガスの流れを均一にす
るために、対向電極が鉛直方向に並行に配置されて放電
空間が鉛直方向に形成され、鉛直方向にシート状基材を
連続的に走行させ、かつ、鉛直方向に向けて連続的に処
理用ガスを供給するようにしてもよい。このようにする
ことにより、放電空間が鉛直方向に形成され、ガスが受
ける浮力及び重力の方向とガス流方向が並行となるの
で、ガスの入口と出口の不均化を抑えることができる。
なお、ガスの供給方向は鉛直方向の下方へ向けても上方
へ向けてもよく、使用するガスの重さ等を考慮して決定
する。
【0043】また、均一な処理を行うためには、放電状
態を均一にすることが重要であり、このために対向電極
は平行に配置されることが好ましく、高い精度で一定の
電極間距離が実現されているほど好ましい。このため
に、電極間に絶縁体からなる一定厚みのスペーサを挟み
込む方法や、対向電極の対向面に垂直な方向に移動可能
で、その移動距離を測定する手段を備えた電極を用いる
方法等を採用することができる。
【0044】このうち、スペーサを挟む方法は簡便であ
るが、スペーサ自体の厚み精度に電極間距離の精度が左
右され、微調整が困難であり、また、後述するロール状
電極のような曲面を有する電極に対しては曲面を使用す
るスペーサを用意しなければならず、さらに電極間距離
を変える毎にスペーサを必要とする。これに対して、対
向電極の少なくとも一方が移動可能となされ、前記対向
電極の移動距離を測定する手段を備えてなる装置を用い
る方法は、電極間距離を変えることが容易であり、微調
整が自由にでき、どのような形状の電極にも容易に対応
できる点で有利である。
【0045】上記移動距離を測定する手段としては、ダ
イヤルゲージ、電気マイクロメーター、空気マイクロメ
ーター等を使用することができ、取扱いの簡便さからダ
イヤルゲージを用いることが好ましい。移動距離の測定
場所は、少なくとも2箇所以上設けることが好ましく、
対向電極が接した状態を基準として目的とする電極間距
離となるまで電極を移動させる。2箇所以上のダイヤル
ゲージを設けておけば、それぞれのゲージを個別に調整
することによって微調整が可能である。
【0046】一方、大気圧近傍の圧力下におけるプラズ
マ処理において均一な処理を行うためには、シート状基
材の走行を安定させることも重要である。放電空間中に
シート状基材を浮かせた状態で走行させると、シート状
基材のたるみにより処理が不均一になったり、走行ブレ
によってシート状基材が対向電極に接触して損傷を受け
る場合があるので、シート状基材を対向電極の一方に密
着させながら走行させることが好ましい。
【0047】そのような目的を達成するための電極形状
は、対向電極の一方がロール状電極で、他方が前記ロー
ル状電極に対して略一定の間隔を保った対向面を有する
曲面電極で構成されていることが好ましい。この場合、
シート状基材をロール状電極に密着させながら走行させ
てもよいし、さらにロール状電極が、基材走行系として
作用するものであってもよい。その一例を図6に示す。
【0048】図6の例では、ロール状電極10が回転し
てシート状基材9を走行させる構造となっているため、
曲面電極11に遮断壁12a,12bが設置されてお
り、ロール状電極10と遮断壁12a,12bの間には
接触しない程度の狭い空間13を設けてある。この空間
13の間隔は、基材導入部、基材排出部、ガス供給口、
ガス排出口の間隔よりも狭くなされている。なお、空間
13に、発泡材や緩衝材等を配置してもよい。
【0049】さらに、大気圧近傍の圧力下における放電
プラズマ処理において均一な処理を行うためには、シー
ト状基材の温度、処理用ガスの温度、シート状基材の含
水量を制御することが重要である。特に金属元素を含有
する化合物を用いて薄膜を形成する場合は、基材温度、
ガス温度、基材含水量は、膜の組成を大きく左右するた
め、積極的に制御しなければならない。
【0050】それを達成するため、本発明において、シ
ート状基材が対向電極間を通過する前に、基材温度調整
機能を有する温度設定部を通過させるという方法を採用
することが好ましい。このような温度設定部を設けずに
外気によって基材温度が変動する状態としておくと、得
られる薄膜の品質が一定しない。また、基材温度を積極
的にコントロールすることにより、より高品質の薄膜を
形成させる意味もある。
【0051】温度設定部は加熱、冷却のいずれでもよ
く、加熱または冷却ロール、熱風または冷風ドライヤ、
赤外線ヒーター、マイクロ波加熱装置等を使用すること
ができる。シート状基材を均一かつ確実に加熱または冷
却できるという点から加熱または冷却ロールを用いるこ
とが好ましい。設定温度は処理用ガスやシート状基材の
種類によって決定する。一例を挙げると、テトラエトキ
シシラン(TEOS)を処理用ガスとして用いてポリエ
チレンテレフタレートフィルム基材にSiO2 膜を形成
させる処理を行う場合は、0.5体積%TEOS雰囲気
下では20度以上、1体積%TEOS雰囲気下では30
度以上にすることが好ましい。もちろんポリエチレンテ
レフタレートの耐熱温度150度を超えてはいけない。
【0052】また、対向電極自身が、基材温度調整機能
を備えているものであってもよい。具体的には、対向電
極自身が発熱機構を備えているものや、電極内部に冷却
水を循環させるもの等が挙げられる。特に長時間連続し
て処理を行ったり、シート状基材の耐熱温度が低い場合
には冷却機構を備えていることが好ましい。
【0053】また、供給する処理用ガスの温度も同様に
制御することが好ましい。処理用ガスの温度を制御する
方法としては、対向電極、ガス供給口、ガス導入容器に
接続されたガス配管の温度を制御する方法が挙げられ
る。特に、液体状態の化合物を気化させて処理用ガスと
して用いる場合は、液化したガスがシート状基材の表面
に付着してしまうので、ガス供給口等の温度を一定に保
つ必要がある。制御手段としては、リボンヒータやシリ
コンラバーヒーターを用いることができる。設定温度の
適当な範囲は処理用ガスによって異なるが、テトライソ
プロポキシチタンを気化させて0.8体積%のガスとし
て用いる場合は、80度以上にする必要がある。
【0054】さらに、シート状基材が対向電極間を通過
する前に乾燥処理を施すことが好ましい。シート状基材
が水分を多量に含んでいると、処理用ガスと水分が反応
して、微小な粒子を形成し、処理表面に不純物として残
る可能性があるためである。例えば、三酢酸アセチルセ
ルロースフィルムに含まれる水分量は通常1.7〜2%
であり、このまま処理を行うとシート状基材中に含まれ
る水分が処理中に気化し、処理用ガスと反応して処理表
面が白濁したりするが、予めシート状基材を乾燥させて
おくことでこのような現象は防止できる。
【0055】また、処理雰囲気の水分も可能な限り除外
することが好ましく、処理用ガスに水分が混入しないよ
うにすることはもちろん、処理装置中の気体を後述する
希釈用のガスで予め置換したり、基材導入部に外部空気
の混入を防止するシール部を設ける等の方法を採用する
とよい。このようにして、ガス供給用の配管や処理装置
内に含まれる水分量も可能な限り除外し、放電空間内の
含水量を500ppm以下に制御することが好ましい。
シート状基材や反応ガスによっても異なるが、500p
pmを超えると処理表面が白濁したりする。
【0056】次に、本発明に用いる処理用ガスについて
以下に詳述する。まず、本発明においては、対向電極間
の放電空間に供給する処理用ガスの選択により任意の処
理が可能である。
【0057】例えば、処理用ガスとしてフッ素含有化合
物ガスを用いることによって、基材表面にフッ素含有基
を形成させて表面エネルギーを低くし、撥水性表面を得
ることができる。上記フッ素元素含有化合物としては、
4フッ化炭素(CF4 )、6フッ化炭素(C2 F6 )、
6フッ化プロピレン(CF3 CFCF2 )、8フッ化シ
クロブタン(C4 F8 )等のフッ素−炭素化合物、1塩
化3フッ化炭素(CClF3 )等のハロゲン−炭素化合
物、6フッ化硫黄(SF6 )等のフッ素−硫黄化合物等
が挙げられる。これらは単独で使用されてもよいし、2
種類以上併用されてもよい。特に、安全上の観点から、
有害ガスであるフッ化水素を生成しないCF4 、C2 F
6 、CF3 CFCF2 、C4 F8 を用いることが好まし
い。
【0058】また、処理用ガスとして以下のような酸素
元素含有化合物、窒素元素含有化合物、硫黄元素含有化
合物を用いて、基材表面にカルボニル基、水酸基、アミ
ノ基等の親水性官能基を形成させて表面エネルギーを高
くし、親水性表面を得ることができる。
【0059】また、処理用ガスとして、金属元素含有ガ
スが好適に使用できる。金属としては、例えば、Al、
As、Au、B、Bi、Ca、Cd、Co、Cr、C
u、Fe、Ga、Ge、Hf、Hg、In、Ir、L
i、Mg、Mn、Mo、Na、Ni、P、Pb、Po、
Pt、Rh、Sb、Se、Si、Sn、Ta、Te、T
i、V、W、Y、Zn、Zr等の金属が挙げられ、該金
属を含有するガスとしては、金属有機化合物、金属−ハ
ロゲン化合物、金属−水素化合物、金属−ハロゲン化合
物、金属アルコキシド等の処理用ガスが挙げられる。こ
れらは単独で使用されてもよいし、2種類以上併用され
てもよい。このような処理用ガスを用いることによりS
iO2 、TiO2 、SnO2 等の金属酸化物薄膜を形成
させ、基材表面に電気的、光学的機能を与えることがで
きる。
【0060】例えば金属がSiである場合を例にとって
説明すると、テトラメチルシラン[Si(CH3)]、ジ
メチルシラン[Si(CH3)2 H2 ]、テトラエチルシ
ラン[Si(C2 H5)4 ]等の有機金属化合物;4フッ
化珪素(SiF4)、4塩化珪素(SiCl4)、2塩化珪
素(SiH2 Cl2)等の金属ハロゲン化合物;モノシラ
ン(SiH4)、ジシラン(SiH3 SiH3)、トリシラ
ン(SiH3 SiH2SiH3)等の金属水素化合物;テ
トラメトキシシラン[Si(OCH3)4 ]、テトラエト
キシシラン[Si(OC2 H5)4 ]等の金属アルコキシ
ド等が挙げられる。これらは単独で使用されてもよい
し、2種類以上併用されてもよい。
【0061】また、金属がTiである場合を例にとって
説明すると、チタンテトラブトキシド、チタンテトラス
テアレート、チタニウムイソプロキシオクチレングリコ
ート、ジブトキシビス(トリエタノールアミナト)チタ
ン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、
チタンテトラプロポキシドとアセチルアセトンまたはエ
チルセルソルプでキレート化したキレート化合物、及び
チタンテトラエトキシドをアセチルアセトンでキレート
化したキレート化合物等が挙げられる。これらは単独で
使用されてもよいし、2種以上併用されてもよい。
【0062】金属元素含有ガスにおいて、安全性を考慮
して、金属アルコキシドや金属ハロゲン化合物などの常
温、大気中で発火、爆発など危険性がないものが好まし
く、腐食性、有害ガスの発生の点から、金属アルコキシ
ドが好適に使用される。
【0063】経済性及び安全性の観点から、上記処理用
ガス単独の雰囲気よりも、非反応性のキャリアガスで薄
められた雰囲気中で処理を行うことが好ましい。
【0064】キャリアガスとしては、例えば、ヘリウ
ム、ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガス、窒素ガス
等が挙げられ、これらは単独で使用されてもよいし、2
種類以上併用されてもよい。
【0065】また、キャリアガスを用いる場合、処理用
ガス0.01〜10体積%、キャリアガス90〜99.
99%からなる雰囲気とすることが好ましい。
【0066】ここで、プラズマ発生空間に存在させる雰
囲気ガス(処理用ガス及びキャリアガス)としては電子
を多く有する化合物のほうがプラズマ密度を高めて高速
処理を行う上で有利であり、さらに入手の容易さや安価
である点を考慮すると、工業的処理に使用される場合の
キャリアガスとしては、アルゴンまたは窒素を用いるこ
とが好ましい。
【0067】酸化チタン膜を作成する場合のガス組成の
一例を示すと、チタンアルコキシド0.1〜10%、酸
素0.01〜20%、窒素70〜0.89%で、酸素ガ
スがチタンアルコキシドの10体積%以上である。この
配合ではチタンアルコキシドと酸素ガスを組み合わせて
用い、かつ、希釈ガスとして窒素ガスが選択されている
ので、有機成分が少ない緻密な酸化チタン薄膜が形成さ
れ、優れた光学薄膜を得ることができる。
【0068】処理用ガスが気体であれば、放電空間にそ
のまま供給することができるが、常温で液体または固体
であれば、気化装置を経て放電空間に供給する。具体的
には、ガス導入容器が気化装置を備えており、まず液体
原料を圧送ガスにより気化装置に送って気化させ、キャ
リアガスと混合してガス供給口に搬送する方法を挙げる
ことができる。
【0069】液体原料を安定に供給するためには、液体
流量用マスフロー、定量ポンプ等を使用することができ
る。流量を常に監視して制御を行うタイプの液体流量用
マスフローを用いることが好ましい。液体流量用マスフ
ローは、冷却方式を採用した熱式質量流量計で、流量セ
ンサーとして毛細管に接する電子冷却素子と複数の温度
検出素子から構成される。
【0070】液体原料を気化する方法としては、ボール
状の充填材を充填したカラム容器を加熱する方法、圧電
素子によって超音波を発生させた空間内に液体原料を供
給することにより液体原料をミスト化させて加熱気化さ
せる方法、キャリアガスでバブリングする方法等が挙げ
られる。このうち、充填カラム容器を用いる方法は液体
原料を効率よく加熱気化させることができるため好まし
い。カラム内にキャリアガスを流して気化した処理用ガ
スと混合させて搬送することができる。また、供給量が
多い場合や反応性の高い液体原料を使用する場合は、配
管詰まりを防止する意味で超音波を用いる方法が好まし
い。
【0071】また、液体または固体の原料を用いる場合
は、気化させたガスが液化しないように、配管やガス導
入容器そのものを、熱電対、測温抵抗体、サ−ミスタ等
の温度センサーで測定し、ヒーター等をON/OFFさ
せて温度を調整する。処理用ガスの温度は、形成させる
膜の性質に大きく寄与するので、変動することのないよ
うに管理する必要がある。
【0072】本発明において対向電極間に印加する電界
は、交流波またはパルス波のいずれであってもよいが、
特に、高速立ち上がりのパルス電圧を用いれば、成膜処
理に好適な高密度のグロー放電プラズマを発生させるこ
とができる。
【0073】そのパルス電圧のパルス波形は特に限定さ
れるものではないが、図7(A),(B)に例示するよ
うなインパルス型や、(C)に例示するような方形波
型、(D)に例示するような変調型等を用いることがで
きる。この図7には印加電圧が正負の繰り返しであるも
のを例示したが、正または負のいずれかの極性のみのパ
ルス電圧、いわゆる片波状のパルス電圧を印加してもよ
い。なお、パルス電圧の印加において、直流を重畳して
もよい。
【0074】対向電極間に印加するパルス電圧は、その
パルスの立ち上がり時間及び立ち下がり時間が短い程、
プラズマ発生の際のガスの電離が、効率よく行われる。
特に、電極間に印加するパルス電圧の立ち上がりは、1
00μs以下とすることが好ましい。100μsをこえ
ると、放電状態がアーク放電に移行し易く、不安定なも
のとなる。また、このような高速立上がり時間のパルス
電界によって電子密度の高い放電状態を実現する効果が
ある。
【0075】パルス電圧の立ち下がり時間は特に規定さ
れないが、立ち上がり時間と同程度に高速であることが
好ましく、より好ましくは100μs以下である。ま
た、立ち上がり/立ち下がり時間の下限は特に限定しな
いが、電源装置等を勘案すると数10ns以上が現実的
である。なお、ここでいう立ち上がり時間とは、電圧変
化の向きが連続して正である時間をいい、立ち下がり時
間とは、電圧変化の向きが連続して負である時間を指す
ものとする。
【0076】対向電極間に形成するパルス電界は、その
パルス波形、立ち上がり及び立ち下がり時間、及び、周
波数が適宜に変調されていてもよい。なお、パルス電界
は、周波数が高く、パルス幅が短い方が、高速連続薄膜
形成には適している。
【0077】パルス電界の周波数は、0.5kHz〜1
00kHzの範囲とすることが好ましい。0.5kHz
未満であると、薄膜形成速度が遅すぎて現実的ではな
く、100kHzを超えると、アーク放電が発生し易く
なる。パルス電界の周波数は、より好ましくは上記範囲
の中で1kHz以上である。
【0078】また、パルス電界におけるパルス継続時間
は、1μs〜1000μsであることが好ましく、より
好ましくは3μs〜200μsである。1μs未満であ
ると放電が不安定なものとなり、1000μsを越える
とアーク放電に移行しやくなる。ここで、パルス継続時
間とは、図8に例示するように、ON・OFFが繰り返
されるパルス電界における、1つのパルス波形の連続持
続時間を言い、図8(A)の波形ではパルス継続時間=
パルスデューティ時間であるが、図8(B)の波形では
複数のパルスを含んだ、オンが継続する時間を言う。
【0079】対向電極間に形成するパルス電界の強度
は、1〜100kV/cmの範囲が好ましい。1kV/
cm未満であると処理に時間がかかりすぎ、1〜100
kV/cmを超えるとアーク放電が発生しやすくなる。
【0080】上記のようなパルス電界は、ターンオン時
間及びターンオフ時間が500ns以下である半導体素
子によりパルスに変換する機構を有する高電圧パルス電
源によって得ることができる。この高電圧パルス電源
は、高電圧電流を供給可能な直流電圧供給部、並びに、
ターンオン時間及びターンオフ時間が500ns以下で
ある半導体素子を用いて前記高電圧直流を高電圧パルス
に変換するパルス制御部からなる。
【0081】本発明において、複数組の放電プラズマ処
理装置を連続して走行させることにより、多段処理を行
うこともできる。この場合の処理装置は、対向電極を複
数組有するものであって、各組毎に遮断壁によって実質
的に閉鎖系となされた放電空間を、シート状基材が連続
的して走行するような配置とすればよい。
【0082】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しつつ説明する。
【0083】なお、各図中略均等なものについては同じ
符号を記して相違点のみ説明する。図9は、本発明に使
用される放電プラズマ処理装置の一例を示す模式的断面
図である。基材走行方向に垂直な断面は図1(A)に示
すとおりである。
【0084】この例の処理装置は、高電圧パルス電源1
4、上部電極1a及び下部電極1bを備えており、上部
電極1a及び下部電極1bの表面は固体誘電体3a、3
bで被覆され、その周囲は遮断壁4a,4bとガス導入
容器5及びガス排出容器15に囲まれて実質的に閉鎖系
である放電空間2が形成されている。遮断壁4とガス導
入容器5及びガス吸入装置15の電極に接する部分は固
体誘電体で構成されている。また、上部電極1a及び下
部電極1bは温度調整機構(図示せず)を備えており、
加熱または冷却して設定温度を保つように構成されてい
る。
【0085】シート状基材9は、基材走行ロール16
a、16bの動作によって、基材導入部7から放電空間
2内を通って放電プラズマ処理を施されて基材排出部1
7まで搬送されることにより、連続的に処理される。基
材導入部7と基材排出部17は、放電空間2内の充満ガ
スの漏れを許容しうる程度にシールされている。基材走
行ロール16aは、基材温度調整装置と基材乾燥装置を
兼ね備えており、放電処理を行う前に、シート状基材9
の温度制御及び乾燥処理が行われるようになされてい
る。
【0086】上部電極1a及び上記下部電極1bの配置
構造としては、図9に示された平行平板型構造のほか、
同軸円筒型、円筒対向平板型、球対向平板型、双曲面対
向型等の構造でもよい。上部電極1aと下部電極1bと
の間の距離は、固体誘電体3の厚み、シート状基材9の
厚み、高電圧パルス電源14の印加電圧の大きさ等によ
り異なるが、走行中のシート状基材9が上部電極1aに
触れず、放電プラズマの均一性が損なわれない範囲であ
る、1〜50mm程度が好ましい。
【0087】図9の例では上部電極1a及び下部電極1
bの双方の表面を固体誘電体3によって被覆している
が、上部電極1a及び下部電極1bのいずれか一方の面
を被覆してもよい。また、上部電極1a及び下部電極1
bは温度調整機構を有しており、加熱または冷却して設
定温度を保つようになされている。温度調整機構は、例
えばシート状基材9が接する側の電極(図9では下部電
極1b)のみが有していてもよい。
【0088】図9の処理装置のガス導入容器5の詳細
は、上述した図3の通りであり、基材走行方向と同方向
に連続的に処理用ガスが供給され、供給ガス流は電極の
幅方向に渡って幅均一になされている。また、シート状
基材の出口側に設けられたガス吸入装置15により放電
空間2内のガスが吸引されるので、放電空間2内のガス
流の偏りを防いで層流状態を実現し、さらに、反応性の
ガスが放電空間内に長時間滞留することを防止する。
【0089】ガス導入容器5の基材走行方向から見て手
前及びガス吸入装置15の後方には流量計(図示せず)
が設けられ、ガス吸入装置15と流量計の間に設けられ
たバルブにより、処理用ガスの供給量と排出量が等しく
なるように調整され放電空間2内の圧力変動が無くなる
ようになされている。
【0090】また、ガス導入容器5には図示しないガス
濃度検出器が接続され、検出されるガス濃度に基づいて
基材走行ロール16及び高電圧パルス電源14を制御す
るようになされている。ガス導入口6付近のガス濃度が
予め設定された許容範囲にないときは、基材走行及び電
圧印加を停止する。
【0091】さらに、ガス導入容器5は温度調整機構を
有しており、一定の温度の処理用ガスを供給する。供給
されるガスの温度も常時検出されており、ガス導入口6
付近のガス温度が予め設定された許容範囲にないとき
は、基材走行及び電圧印加を停止するようになされてい
る。
【0092】上記ガス導入容器5から供給される処理用
ガスの流速は、上記シート状基材9の走行速度、上記ガ
ス導入口6近辺の気密性、上記シート状基材9の種類等
によって調整される。上記処理用ガスの流速が、シート
状基材9の走行速度以上となるようにすることが好まし
い。
【0093】図10は、液体原料を気化させて処理用ガ
スとして用いる場合の液体原料供給装置の概略構成を示
すブロック図である。
【0094】この図10に示す液体原料供給装置は、液
体原料タンク211、液体流量マスフロー212、キャ
リアガス用マスフロー213、原料加熱気化器214、
温度センサー215、ガス温度調節器216から構成さ
れており、ガス導入容器5に接続して使用される。放電
処理部は上述の図9の通りである。
【0095】これら機器の間は、SUS加熱配管217
によって接続され、SUS加熱配管217は断熱及び保
温の役割を兼ね備えたリボンヒータ218によって覆わ
れている。原料加熱気化器214は充填カラム容器を備
えており、加熱温調機構を備えている。
【0096】図10の各機器の設定温度は処理用ガスに
よって異なるが、チタンアルコキシド化合物を用いてT
iO2 膜を成膜する例では、液体原料タンク211及び
ここから液体流量マスフロー212を経由して原料加熱
気化器214までの配管217a、217bは40〜5
0℃、原料加熱気化器214及びここからガス導入口6
までの配管217cは200℃に設定されており、キャ
リアガス用マスフロー213と及びここから原料加熱気
化器214までの配管217dは室温である。
【0097】図6は、対向電極として、ロール状電極
と、前記ロール状電極に対して略一定の間隔を保った対
向面を有する曲面電極を用いる放電プラズマ処理装置の
一例である。図6(A)及び(B)は、それぞれ、基材
走行方向に沿う面及び直交する面で切断して示す断面図
で、曲面電極11に遮断壁12a,12bが設置されて
おり、ロール状電極10が回転可能なように、ロール状
電極10と遮断壁12a,12bの間には接触しない程
度の狭い空間13が設けられている。図6(C)はこれ
を上方から見た斜視図で、ガス導入容器5とガス吸引装
置15を省略している。電極幅方向の長さはロール状電
極10の方が曲面電極11よりも長く、遮断壁12a,
12bは、曲面電極の電極幅方向の両端に、ロール状電
極に沿った形状で、かつ、接触しない程度の狭い空間1
3を置いて設置されている。
【0098】図11は多数組の対向電極を有する処理装
置の例である。各々の電極間に異なる種類の処理用ガス
を供給して、処理層を多段に形成させることもできる。
【0099】図12は、対向電極としてロール状電極と
曲面電極とを用いた放電プラズマ処理装置の他の構成例
を模式的に示す図である。
【0100】図12に示す放電プラズマ処理装置におい
て、ロール状電極101aと曲面電極101bとは略一
定の間隔をあけて対向配置されており、そのロール状電
極101aと曲面電極101bとの間に放電空間102
が形成されている。ロール状電極101aは接地されて
おり、高電圧パルス電源111からのパルス電界がロー
ル状電極101aと曲面電極101bとの間に印加さ
れ、その電極間の放電空間2でプラズマが発生する。
【0101】また、曲面電極101bは図の上下方向に
移動可能となされ、その移動距離はダイヤルゲージ11
5a,115bで測定できる。
【0102】チャンバー100内でロール状電極101
a及び曲面電極101bの前後(シート状基材の走行方
向における前後)には、それぞれ、基材走行ロール10
3,104が配置されている。これら基材走行ロール1
03,104はロール状電極101aと曲面電極101
bとの間にシート状基材9を走行させるとともに、その
走行中のシート状基材9をロール状電極101aの外周
面に押し付けるためのロールである。
【0103】チャンバー100内で放電空間の前後に
は、それぞれ、ガス導入容器105及びガス排出容器1
06が配置されている。ガス導入容器105にはキャリ
アガス供給装置112及び処理用ガス供給装置(液体材
料気化供給装置)113が接続されており、その供給ガ
スをガス吹き出し口105a(図15)から電極間の放
電空間2内に導入することができる。ガス排出容器10
6には吸引ポンプ114が接続されている。
【0104】さて、この実施の形態では、図13及び図
14に示すように、電極間の放電空間2の基材入口側と
基材出口側にそれぞれカバー107,108を設けたと
ころに特徴がある。
【0105】カバー107,108は樹脂製の部材で、
ロール状電極101aの外周面と対向する面に、それぞ
れシート状基材9の通過用の凹部107a,108aが
形成されている。この凹部107a,108aの深さ
(ロール状電極101aの外周面との隙間寸法)は、ロ
ール状電極101aと曲面電極101bとの電極距離
(例えば2mm)の約1/4の寸法(0.5mm)に設
定されている。
【0106】また、カバー107,108は、凹部10
7a,108a以外の部分がロール状電極101aの外
周面に接しており、その接触面にテフロン(4フッ化エ
チレン,デュポン社の商品名)等の摩擦抵抗の小さい潤
滑剤が塗布されている。
【0107】なお、この例においても、図14に示すよ
うに電極間の放電空間2の側方に、先の実施の形態で説
明したような遮断壁109,110が設けられている。
【0108】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。なお、以下の実施例では、高電圧パルス電源
(ハイデン研究所社製、半導体素子:IXYS社製、型
番「IXBH40N160−627G」)を用いた。
【0109】(実施例1)上述した図9の放電プラズマ
処理装置において、その基材進行方向に直交する面は図
1(A)のようになされており、上部電極1a及び下部
電極1bは、幅350mm、長さ150mmのSUS3
04製からなり、その対向面が酸化チタン10重量%、
酸化アルミニウム90重量%からなる金属酸化物(厚み
1.5mm)により被覆されて固体誘電体3を形成して
いる。遮断壁4a,4b、ガス導入容器5及びガス吸引
装置15はアセタール樹脂からなる。上部電極1aと下
部電極1bの間隔は2mm、ガス導入口6及びガス吸引
口18は1.8mm、基材導入部7及び基材排出部17
は1mmである。ガス導入容器5は図10の液体原料供
給装置に接続されている。
【0110】760Torr圧力下において、基材走行
ロール16により厚み50μm、幅250mmのポリエ
チレンテレフタレート(東レ社製「ルミラーT50」、
初期対水接触角70度)シートを0.5m/minで走
行させ、基材走行方向と同方向に向けて2体積%のテト
ラエトキシシラン、2体積%の酸素を含有する窒素ガス
を15L/minで接触させながら、電極1a、1b間
にピーク−ピーク電圧12kV、周波数4kHz、図7
(A)に示す電圧波形のパルス電圧を印加し、シート表
面にSiO2 の薄膜を形成した。その結果1000±5
Åの均一な薄膜が形成された。
【0111】(比較例1)放電プラズマ処理装置から遮
断壁4a,4bを取り外したこと以外は、実施例1と同
様にして処理を行った。その結果、800±150Åの
膜厚が不均一な薄膜となった。
【0112】(参考例1)ガスの導入方向を走行方向と
逆にしたこと以外は、実施例1と同様にしてガスを接触
させて処理を行った。その結果、液溜まりが発生し、均
一な薄膜は形成されなかった。
【0113】(実施例2)処理電圧を2kVとしたこと
以外は実施例1と同様にして、シート表面にSiO2 の
薄膜を形成した。その結果1000±5Åの均一な薄膜
が形成された。
【0114】(実施例3)シート状基材の排出口8方向
から真空ポンプを用いてガスを吸入したこと以外は実施
例2と同様にして、シート表面にSiO2 の薄膜を形成
した。その結果1200±6Åの均一な薄膜が形成され
た。
【0115】(実施例4)実施例1の装置において、ガ
ス導入容器5から0.5体積%のテトラエトキシシラ
ン、20体積%の酸素、79.5体積%の窒素ガスから
なる処理用ガスを30SLMの速度で供給すると同時
に、真空ポンプを用いてガス吸引装置15から吸引を行
った。放電空間2内の圧力は760Torrを保つよう
にガスの供給及び吸引を調整した。
【0116】電極1a、1b間にピーク−ピーク電圧1
8kV、周波数4kHz、図7(A)に示す放電波形の
パルス電圧を印加し、実施例1と同様のシート表面にS
iO2 の薄膜を形成した。放電空間内のガス流速は2.
2m/minであった。その結果、製膜速度79Å/s
ecで平均厚み950Å、幅方向厚み分布±47Å、流
れ方向厚み分布±19Åの均一な薄膜が形成された。
【0117】(実施例5)処理用ガスとして、0.4体
積%のテトラプロポキシチタン含有アルゴンガスを導入
し、基材走行速度0.3m/sec、印加電圧を6kV
としたこと以外は実施例3と同様にして、シート表面に
TiO2 の薄膜を形成した。その結果、製膜速度36Å
/secで平均厚み1250Å、幅方向厚み分布±62
Å、流れ方向厚み分布±37.5Åの均一な薄膜が形成
された。
【0118】(実施例6)ガス排出側から吸入を行わな
いこと以外は実施例4と同様にして、シート表面にSi
O2 の薄膜を形成した。その結果、製膜速度70Å/s
ecで平均厚み807Å、幅方向厚み分布±128Å、
流れ方向厚み分布±81Åの薄膜が形成された。
【0119】(実施例7)ガス排出側から吸入を行わな
いこと以外は実施例5と同様にして、シート表面にTi
O2 の薄膜を形成した。その結果、製膜速度31Å/s
ecで平均厚み1125Å、幅方向厚み分布±32Å、
流れ方向厚み分布±113Åの薄膜が形成された。
【0120】実施例2と3、実施例4と6、実施例5と
7を比較するとガス排出側から吸入することにより、よ
り均一な薄膜が形成されることが分かる。
【0121】(実施例8)実施例1と同様の装置(図
9)は気密性の高いチャンバー内に設置されており、シ
ート状基材導入側の基材走行ロール16aとしては表面
温度80℃に設定した加熱ロールを用いてシート状基材
の乾燥を行うようになされている。チャンバーにおける
基材出入口(図示せず)にはアルゴンガスを20l/m
inで流すことによりガスシールして、大気中への水分
の侵入を防止した。
【0122】予め配管内及びチャンバ−内に窒素ガスを
導入して、内部の空気を置換し、10Torr以下にな
るまで真空引きを行い、この後、アルゴンガスを大気圧
になるまで導入して、配管およびチャンバ−内の乾燥処
理を行った。また、配管はSUS管にスェジロックを組
み合わせ、外部からの水分混入を防止した。
【0123】図10に示した液体原料供給装置におい
て、液体原料タンク211にはテトライソプロポキシチ
タンを満たし、液体原料タンク211及び配管217
a、217bを40〜50℃に加熱して、液体流量用マ
スフロー212を0.3kgf/minに設定した。
【0124】ヘリウムガスにより液体原料を圧送し、液
体流量用マスフロー212により0.3g/minの供
給量で、200℃に設定した原料加熱気化器214(エ
ステック社製)に供給した。また、同時にアルゴンガス
を30l/minで供給して原料加熱気化器214内で
混合させてガス温度調節器216によって200℃に調
整された配管217cを通ってガス導入容器5へと送っ
た。ガス導入口も200℃に設定した。
【0125】上記手順の結果、チャンバー内の水分量
は、常時100ppm以下であった。また、電極1a及
び1bの温度は60℃を保つように設定した。
【0126】上記条件下で、処理用ガスとして0.00
1体積%のテトラプロポキシチタン含有アルゴンガスを
導入し、ハードコート処理の施されたポリエチレンテレ
フタレートシート(東レ社製「タフトップCOTO」)
を走行速度0.1m/secで走行させ、印加電圧を4
kV、4kHzとしたこと以外は、実施例1と同様にし
て、シート表面にTiO2 の薄膜を8時間連続して形成
した。その結果、チャンバー内に析出した未反応物もな
く、安定した処理を行うことが出来、平均厚み1400
Å、屈折率(エリプソメーターで測定)2.0の均一な
薄膜が形成された。 (実施例9)実施例8と同様の装置において、基材走行
ロール16aの表面温度を80℃に設定し、厚み80μ
m、幅300mmの三酢酸セルロースフィルム(コニカ
社製)を基材走行ロール16aに1分間接触させて乾燥
させながら、走行させた。チャンバー内への基材出入口
(図示せず)にはロールシール方式のシール装置を配置
した。
【0127】ガス導入口5付近にはプレート型のヒータ
ー(640W、150×100mm)を取り付けて80
℃に設定し、ガス配管217cも同様に80℃に設定し
て処理用ガスを80℃に保ちながら供給した。
【0128】処理用ガスとして0.5体積%のテトラプ
ロポキシチタン含有アルゴンガスを総流量0.1l/m
inで導入し、三酢酸セルロースフィルムを走行速度
0.1m/secで走行させ、印加電圧を4kV、4k
Hzとしたこと以外は実施例8と同様にして、シート表
面にTiO2 の薄膜を形成した。その結果、平均厚み1
4000Å、屈折率2.0の均一な薄膜が形成された。 (実施例10)図11(図9の装置が2個並んだ処理装
置)に示す放電プラズマ処理装置において、装置A及び
装置Bの詳細は、それぞれ、実施例1と同様とした。
【0129】装置Aには1体積%テトライソプロポキシ
チタン含有アルゴンガスを総流量15l/minで供給
し、装置Bには1体積%テトラエトキシシラン含有アル
ゴンガスを総流量15l/minで供給し、ポリエチレ
ンテレフタレートシート(東レ社製、「ルミラーT5
0」)を走行速度0.5m/secで連続走行させた。
【0130】印加電圧は、装置A、Bともに図7(A)
に示す波形のパルス電圧で、立ち上がり時間は5μs、
周波数は4kHz、パルス幅は70μsとし、装置Aの
波高値を9kV、電極温度を80℃とし、装置Bの波高
値を12kV、電極温度を40℃とした。
【0131】得られた膜はシート状基材から1層目が膜
厚950Å、屈折率2.13の酸化チタンで、2層目が
膜厚1280Å、屈折率1.44の酸化ケイ素であっ
た。得られた膜中の未反応成分(残留炭素)の割合は、
両層とも5%以下であり、非常に良好であった。また、
反射率を分校光度計(日立製作所社製、「U−300
0」)で測定したところ、可視光線全域の平均反射率
が、ポリエチレンテレフタレートのシート状基材で7%
であるのに対し、0.2%であり、反射防止機能が付与
されているのが確認できた。 (実施例11)図12〜図14に示した放電プラズマ処
理装置において、電極長さ160mm、電極幅400m
m、半径105mmのロール状電極(溶射コート処理)
101aと、電極長さ160mm、電極幅400mm、
半径105mmの曲面電極(溶射コート処理)101b
を、2mmの間隔をあけてチャンバー100内に配置し
た。この間隔の調整は、ロール状電極101aと曲面電
極101bとを接した状態をダイヤルゲージ115a,
115bの基準値として、次に曲面電極101bを移動
させてダイヤルゲージ115a,115bがともに(基
準値+2mm)となるようにして行った。
【0132】電極間の放電空間2の基材入口側と出口側
に配置するカバー107,108をポリオキシメチレン
製とし、その各カバー107,108の長さを160m
m、ロール状電極101aに接する部分の半径を105
mm、シート状基材9を通す凹部107a,108a内
面の半径を105.5mm(隙間0.5mm)とした。
各カバー107,108がロール状電極101aに接す
る部分にはテフロンを塗布した。また、ガス導入容器1
05及びガス排出容器106には2室式温調(図4参
照)のものを用い、処理用ガス供給装置113として液
体材料気化供給装置(エステック社製,商品名TL−1
009)を用いた。なお、電極間の放電空間2の側方は
固体誘電体からなる遮断壁109,110で覆った(図
14参照)。
【0133】以上の放電プラズマ処理装置において、ロ
ール状電極101aと曲面電極101bとの間に、シー
ト状基材;コニカ製TAC(クリアー)フィルム(HC
塗工品,厚み:100μm,幅:300mm)を配置す
るとともに、下記の条件を設定して処理を行った。
【0134】 ロール状電極・曲面電極:70℃に温調 薄膜材料:Ti(i−OC3 H7)4 ,導入量;0.3g/min キャリアガス:Arガス,導入量;30SLM ガス導入容器:70℃に温調 ガス温度:ガス導入容器への配管を140℃に温調 成膜時間:30秒 そして、シート状基材を走行させずに、ロール状電極1
01aと曲面電極101bとの間、基材入口側及び基材
出口側に配置した各カバー107,108の内部、基材
入口側のカバー107の外側(前方側)におけるシート
状基材表面、の各位置について、Tiの有無を、XPS
(X線光電子分光装置)により評価した。その結果を、
図15に示す。
【0135】図15に示すグラフから明らかなように、
ロール状電極101aと曲面電極101bとの間、及
び、基材入口側のカバー107の内部以外にはガス漏れ
は見られなれなかった。
【0136】
【発明の効果】請求項1記載の発明のシート状基材の放
電プラズマ処理方法は、対向電極間に放電プラズマを発
生させた状態で、その対向電極間の放電空間にシート状
基材を連続的に走行させることにより、放電プラズマ処
理を行う方法であって、対向電極の一方または双方の対
向面は固体誘電体で覆われてなり、対向電極間の放電空
間は固体誘電体からなる遮断壁により囲まれ、放電空間
内に処理用ガスを電極幅方向に略均一かつ連続的に供給
するものであるため、空気の混入による処理能力の低下
を抑えて基材走行速度の高速化に対応可能となるだけで
なく、放電放電空間内の処理用ガス流の乱れを抑えて層
流状態を作りだすことによって、高密度かつ均一な膜質
の薄膜を形成することが可能になる。このような遮断壁
の採用により、連続的な放電プラズマ処理が可能にな
る。
【0137】また、請求項20記載の発明のシート状基
材の放電プラズマ処理装置は、前記した特徴を有する遮
断壁が設けられているので、高密度かつ均一な膜質の薄
膜を連続的に形成することが可能となる。
【0138】請求項2記載の発明のシート状基材の放電
プラズマ処理方法は、対向電極間の放電空間は固体誘電
体からなる遮断壁により囲まれて実質的に閉鎖系となさ
れていることにより、放電空間内のガスがより層流化さ
れて均一な処理に寄与する。
【0139】請求項3記載の発明のシート状基材の放電
プラズマ処理方法は、処理用ガスを、対向電極間の放電
空間内に、基材走行方向と同方向に向けて、電極幅方向
に略均一かつ連続的に供給するため、処理用ガスの逆流
や空気の混入が減少し、放電空間内の気体の流れを層流
状態により近づけることができる。
【0140】請求項4記載の発明のシート状基材の放電
プラズマ処理方法は、供給された処理用ガスを、基材走
行方向の出口側から連続的に吸引するため、放電空間内
の気体の流れを層流状態により近づけることができる。
【0141】請求項5記載の発明のシート状基材の放電
プラズマ処理方法は、対向電極間の放電空間の基材入口
及び基材出口に、それぞれ電極幅方向の長さ以上の長さ
を有するカバーを設け、放電空間からのガス漏れを少な
くしているので、シート状基材表面が汚れ難くなる。
【0142】また、請求項24記載の発明のシート状基
材の放電プラズマ処理装置は、前記した特徴を有するカ
バーを設けているので、ガス漏れによるシート状基材の
汚れを防止でき、より良質の薄膜を成膜することが可能
となる。
【0143】請求項6記載の発明のシート状基材の放電
プラズマ処理方法は、対向電極が鉛直方向に並行に配置
され、鉛直方向にシート状基材を連続的に走行させ、か
つ、鉛直方向に向けて連続的に処理用ガスを供給するた
め、放電空間が鉛直方向に形成され、ガスが受ける浮力
及び重力の方向とガス流方向が並行するものとなるの
で、ガスの入口と出口の不均化を抑えることができる。
【0144】請求項7記載の発明のシート状基材の放電
プラズマ処理方法は、シート状基材を対向電極の一方に
密着させながら走行させるため、シート状基材のたるみ
により処理が不均一になったり、走行ブレによって基材
が電極に接触して損傷を受けることがない。
【0145】請求項8記載の発明のシート状基材の放電
プラズマ処理方法は、対向電極の一方がロール状電極で
あり、他方がロール状電極に対して略一定の間隔を保っ
た対向面を有する曲面電極であり、シート状基材をロー
ル状電極に密着させながら走行させるものであるため、
シート状基材が傷つき難く、安定した処理が可能であ
る。
【0146】請求項9記載の発明のシート状基材の放電
プラズマ処理方法は、ロール状電極が基材走行系として
作用するものであるため、シート状基材が傷つき難く、
安定した処理が可能である。
【0147】請求項10記載の発明のシート状基材の放
電プラズマ処理方法は、シート状基材が対向電極間を通
過する前に、基材温度調整機能を有する温度設定部を通
過させるため、基材温度変動を抑えて薄膜の品質が一定
したものとなり、基材温度のコントロールにより、より
高品質の薄膜を形成させることができる。
【0148】請求項11記載の発明のシート状基材の放
電プラズマ処理方法は、対向電極が、基材温度調整機能
を備えているため、長時間安定した処理を連続して行う
ことが出来、また、放電空間及びその近傍での処理用ガ
スの析出を抑えることができる。
【0149】請求項12記載の発明のシート状基材の放
電プラズマ処理方法は、対向電極、ガス導入容器と、そ
のガス導入容器に接続されたガス配管の温度を制御する
ことにより温度調整された処理用ガスを供給することに
より、放電空間及びその近傍での原料ガスの析出を抑
え、長時間安定したガス供給を行うことができる。
【0150】請求項13記載の発明のシート状基材の放
電プラズマ処理方法は、シート状基材が対向電極間を通
過する前に乾燥処理を施すため、シート状基材に含有さ
れる水分のと処理用ガスが反応して、処理表面に不純物
を形成することを防止する。
【0151】請求項14記載の発明のシート状基材の放
電プラズマ処理方法は、放電空間内の含水量が500p
pm以下になされていることにより、処理用ガスの析出
やその反応物の形成を防止し、連続して安定した処理を
継続することができる。
【0152】請求項15記載の発明のシート状基材の放
電プラズマ処理方法は、処理用ガスが金属元素を含有す
る化合物からなるものであるので、光学機能薄膜や、電
気機能薄膜を得ることができる。
【0153】請求項16記載の発明のシート状基材の放
電プラズマ処理方法は、処理用ガスが、反応性化合物
0.01〜10体積%と非反応性のキャリアガス90〜
99.99体積%からなるものであるので、安定した処
理を行うことができる。
【0154】請求項17記載の発明のシート状基材の放
電プラズマ処理方法は、処理用ガスとして、反応性液体
原料を気化させたものを用いるため、常温で液体である
化合物を用いた放電プラズマ処理を行うことができる。
【0155】請求項18記載の発明のシート状基材の放
電プラズマ処理方法は、対向電極間に、電圧立ち上がり
時間が100μs以下、電界強度が1〜100kV/c
mであるパルス電界を印加することにより放電プラズマ
を発生させるため、高密度状態のプラズマを安定して連
続発生させることが出来、より高度な処理を行うことが
できる。
【0156】請求項19記載の発明のシート状基材の放
電プラズマ処理方法は、周波数が0.5〜100kH
z、パルス継続時間が1〜1000μsであるパルス電
界を印加することにより放電プラズマを発生させるた
め、高密度状態のプラズマを安定して連続発生させるこ
とが出来、より高度な処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放電プラズマ処理装置に適用する遮断
壁の構成例を示す縦断面図である。
【図2】本発明の放電プラズマ処理装置に適用する基材
導入部とガス導入容器の構成例を模式的に示す図であ
る。
【図3】本発明の放電プラズマ処理装置に適用するガス
導入容器の例を示す縦断面図である。
【図4】本発明の放電プラズマ処理装置に適用するガス
導入容器の他の例を示す縦断面図である。
【図5】本発明の放電プラズマ処理装置に適用するガス
導入容器の更に別の例を模式的に縦断面図である。
【図6】本発明の放電プラズマ処理装置に適用する対向
電極の一例を模式的に示す図である。
【図7】本発明において対向電極間に印加するパルス電
界波形の例を示す図である。
【図8】本発明において対向電極間に印加するパルス電
界のパルス継続時間の例を示す図である。
【図9】本発明の放電プラズマ処理装置の実施の形態の
構成を模式的に示す図である。
【図10】本発明の放電プラズマ処理装置に適用する液
体原料供給装置の例を模式的に示す図である。
【図11】多数組の対向電極を備えた放電プラズマ処理
装置(多段処理装置)の一例を模式的に示す図である。
【図12】本発明の放電プラズマ処理装置の他の実施の
形態の全体構成を模式的に示す図である。
【図13】図12の実施の形態の要部構成を模式的に示
す図である。
【図14】図13のX−X矢視図である。
【図15】本発明の実施例11の評価結果を示すグラフ
である。
【符号の説明】
1a 上部電極 1b 下部電極 2 放電空間 3a、3b 固体誘電体 4a、4b 遮断壁 5 ガス導入容器 6 ガス供給口 7 基材導入部 8 ガイド 9 シート状基材 10 ロール状電極 11 曲面電極 12a、12b 遮断壁 13 空間 14 高電圧パルス電源 15 ガス排出容器 16a、16b 基材走行ロール 17 基材排出部 18 ガス吸入口 100 チャンバー 101a ロール状電極 101b 曲面電極 102 放電空間 103,104 基材走行ロール 105 ガス導入容器 106 ガス排出容器 107 カバー(基材入口側) 108 カバー(基材出口側) 109,110 遮断壁 111 高電圧パルス電源 112 キャリアガス供給装置 113 処理用ガス供給装置(液体材料気化供給装置) 114 吸引ポンプ 115a,115b ダイヤルゲージ 211 液体原料タンク 212 液体流量マスフロー 213 キャリアガス用マスフロ− 214 原料加熱気化器 215 温度センサー 216 ガス温度調節器 217a、217b、217c、217d 加熱配管 218a、218b、218c、218d リボンヒー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 湯浅 基和 大阪府三島郡島本町百山2−1 積水化学 工業株式会社内 (72)発明者 中尾 整 大阪府三島郡島本町百山2−1 積水化学 工業株式会社内

Claims (35)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向電極間に放電プラズマを発生させた
    状態で、前記対向電極間の放電空間にシート状基材を連
    続的に走行させることにより、放電プラズマ処理を行う
    方法であって、 前記対向電極の一方または双方の対向面は固体誘電体で
    覆われてなり、前記対向電極間の放電空間は固体誘電体
    からなる遮断壁により囲まれ、前記放電空間内に処理用
    ガスを電極幅方向に略均一かつ連続的に供給することを
    特徴とする、シート状基材の放電プラズマ処理方法。
  2. 【請求項2】 対向電極間の放電空間は固体誘電体から
    なる遮断壁により囲まれて実質的に閉鎖系となされてい
    ることを特徴とする、シート状基材の放電プラズマ処理
    方法。
  3. 【請求項3】 処理用ガスを、前記対向電極間の放電空
    間内に、基材走行方向と同方向に向けて、電極幅方向に
    略均一かつ連続的に供給することを特徴とする、請求項
    1または2に記載のシート状基材の放電プラズマ処理方
    法。
  4. 【請求項4】 供給された処理用ガスを、上記基材走行
    方向の出口側から連続的に吸引することを特徴とする、
    請求項1から3のいずれかに記載のシート状基材の放電
    プラズマ処理方法。
  5. 【請求項5】 対向電極間の放電空間の基材入口及び基
    材出口に、それぞれ、電極幅方向の長さ以上の長さを有
    するカバーが設けられていることを特徴とする請求項1
    から4のいずれかに記載のシート状基材の放電プラズマ
    処理方法。
  6. 【請求項6】 対向電極が鉛直方向に並行に配置され、
    鉛直方向にシート状基材を連続的に走行させ、かつ、鉛
    直方向に向けて連続的に処理用ガスを供給することを特
    徴とする請求項1から5のいずれかに記載のシート状基
    材の放電プラズマ処理方法。
  7. 【請求項7】 シート状基材を対向電極の一方に密着さ
    せながら走行させることを特徴とする、請求項1から6
    のいずれかに記載のシート状基材の放電プラズマ処理方
    法。
  8. 【請求項8】 対向電極の一方がロール状電極であり、
    他方が前記ロール状電極に対して略一定の間隔を保った
    対向面を有する曲面電極であり、シート状基材を前記ロ
    ール状電極に密着させながら走行させることを特徴とす
    る、請求項1から7のいずれかに記載のシート状基材の
    放電プラズマ処理方法。
  9. 【請求項9】 ロール状電極が、基材走行系として作用
    するものであることを特徴とする、請求項1から8のい
    ずれかに記載のシート状基材の放電プラズマ処理方法。
  10. 【請求項10】 シート状基材が対向電極間を通過する
    前に、基材温度調整機能を有する温度設定部を通過させ
    ることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載
    のシート状基材の放電プラズマ処理方法。
  11. 【請求項11】 対向電極が、基材温度調整機能を備え
    ていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか
    に記載のシート状基材の放電プラズマ処理方法。
  12. 【請求項12】 対向電極、ガス導入容器、及び、前記
    ガス導入容器に接続されたガス配管の温度を制御するこ
    とにより温度調整された処理用ガスを供給することを特
    徴とする、請求項1から11のいずれかに記載のシート
    状基材の放電プラズマ処理方法。
  13. 【請求項13】 シート状基材が対向電極間を通過する
    前に乾燥処理を施すことを特徴とする、請求項1から1
    2のいずれかに記載のシート状基材の放電プラズマ処理
    方法。
  14. 【請求項14】 放電空間内の含水量が500ppm以
    下になされていることを特徴とする、請求項1から13
    のいずれかに記載のシート状基材の放電プラズマ処理方
    法。
  15. 【請求項15】 処理用ガスが、金属元素を含有する化
    合物からなるものであることを特徴とする、請求項1か
    ら14のいずれかに記載のシート状基材の放電プラズマ
    処理方法。
  16. 【請求項16】 処理用ガスが、反応性化合物0.01
    〜10体積%と非反応性のキャリアガス90〜99.9
    9体積%からなることを特徴とする、請求項1から15
    のいずれかに記載のシート状基材の放電プラズマ処理方
    法。
  17. 【請求項17】 処理用ガスとして、反応性液体原料を
    気化させたものを用いることを特徴とする、請求項1か
    ら16のいずれかに記載のシート状基材の放電プラズマ
    処理方法。
  18. 【請求項18】 対向電極間に、電圧立ち上がり時間が
    100μs以下、電界強度が1〜100kV/cmであ
    るパルス電界を印加することにより放電プラズマを発生
    させることを特徴とする、請求項1から17のいずれか
    に記載のシート状基材の放電プラズマ処理方法。
  19. 【請求項19】 対向電極間に、周波数が0.5〜10
    0kHz、パルス継続時間が1〜1000μsであるパ
    ルス電界を印加することにより放電プラズマを発生させ
    ることを特徴とする、請求項18に記載のシート状基材
    の放電プラズマ処理方法。
  20. 【請求項20】 放電プラズマを発生させる対向電極
    と、前記対向電極間の放電空間にシート状基材を連続的
    に走行させる基材走行系からなり、前記対向電極の一方
    または双方の対向面は固体誘電体で覆われ、前記放電空
    間を囲む遮断壁が設けられていることを特徴とする、シ
    ート状基材の放電プラズマ処理装置。
  21. 【請求項21】 放電空間内に処理用ガスを供給するガ
    ス導入容器が、電極幅方向に略均一な流れを作るように
    なされていることを特徴とする、請求項20に記載のシ
    ート状基材の放電プラズマ処理装置。
  22. 【請求項22】 基材走行方向の基材入口側に処理用ガ
    ス供給口を、基材出口側に処理用ガス吸入口を備えてい
    ることを特徴とする、請求項20または21に記載のシ
    ート状基材の放電プラズマ処理装置。
  23. 【請求項23】 処理用ガス供給口及び/または処理用
    ガス吸入口が、対向電極の側面に沿って設けられている
    ことを特徴とする、請求項20から22のいずれかに記
    載のシート状基材の放電プラズマ処理装置。
  24. 【請求項24】 対向電極間の放電空間の基材入口及び
    基材出口に、それぞれ、電極幅方向の長さ以上の長さを
    有するカバーが設けられていることを特徴とする、請求
    項20から23のいずれかに記載のシート状基材の放電
    プラズマ処理装置。
  25. 【請求項25】 対向電極の少なくとも一方が移動可能
    となされ、前記対向電極の移動距離を測定する手段を備
    えてなる、請求項20から24のいずれかに記載のシー
    ト状基材の放電プラズマ処理装置。
  26. 【請求項26】 対向電極が鉛直方向に並行に配置さ
    れ、シート状基材が鉛直方向に連続的に走行させるよう
    になされており、上記シート状基材の基材入口側に処理
    用ガス供給口が設けられていることを特徴とする、請求
    項20から25のいずれかに記載のシート状基材の放電
    プラズマ処理装置。
  27. 【請求項27】 対向電極が、基材走行系として作用す
    るロール状電極と、前記ロール状電極に対して略一定の
    間隔を保った対向面を有する曲面電極からなることを特
    徴とする、請求項20から26のいずれかに記載のシー
    ト状基材の放電プラズマ処理装置。
  28. 【請求項28】 基材走行系の対向電極間より前に、温
    度設定装置が設けられていることを特徴とする、請求項
    20から27のいずれかに記載のシート状基材の放電プ
    ラズマ処理装置。
  29. 【請求項29】 対向電極、ガス導入容器、及び、前記
    ガス導入容器に接続されたガス配管の温度を制御する処
    理用ガス温度制御装置が設けられてなる、請求項20か
    ら28のいずれかに記載のシート状基材の放電プラズマ
    処理装置。
  30. 【請求項30】 基材走行系の対向電極間より前に、基
    材乾燥装置が設けられていることを特徴とする、請求項
    20から29のいずれかに記載のシート状基材の放電プ
    ラズマ処理装置。
  31. 【請求項31】 ガス導入容器が気化装置を備えてお
    り、反応性液体原料を圧送ガスにより気化装置に送って
    気化させ、非反応性のキャリアガスと混合してガス供給
    口に搬送するようになされていることを特徴とする、請
    求項20から30のいずれかに記載のシート状基材の放
    電プラズマ処理方法。
  32. 【請求項32】 対向電極間に、電圧立ち上がり時間が
    100μs以下、電界強度が1〜100kV/cmであ
    るパルス電界を印加する高電圧パルス電源が接続されて
    いることを特徴とする、請求項20から31のいずれか
    に記載のシート状基材の放電プラズマ処理装置。
  33. 【請求項33】 前記高電圧パルス電源が、周波数が
    0.5〜100kHz、パルス継続時間が1〜1000
    μsであるパルス電界を印加するものであることを特徴
    とする、請求項32に記載のシート状基材の放電プラズ
    マ処理装置。
  34. 【請求項34】 前記高電圧パルス電源が、高電圧電流
    を供給可能な直流電圧供給部、並びにターンオン時間及
    びターンオフ時間が500ns以下である半導体素子に
    よって前記高電圧直流を高電圧パルスに変換するパルス
    制御部からなるものであることを特徴とする、請求項3
    2または33に記載のシート状基材の放電プラズマ処理
    装置。
  35. 【請求項35】 対向電極を複数組有し、前記対向電極
    間の放電空間は、各組毎に固体誘電体からなる遮断壁に
    よって実質的に閉鎖系となされ、シート状基材が前記複
    数組の放電空間を連続的して走行するようになされてい
    ることを特徴とする、請求項20から34のいずれかに
    記載のシート状基材の放電プラズマ処理装置。
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