JP2000079881A - 後輪転舵装置 - Google Patents

後輪転舵装置

Info

Publication number
JP2000079881A
JP2000079881A JP16960999A JP16960999A JP2000079881A JP 2000079881 A JP2000079881 A JP 2000079881A JP 16960999 A JP16960999 A JP 16960999A JP 16960999 A JP16960999 A JP 16960999A JP 2000079881 A JP2000079881 A JP 2000079881A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
clutch
slide
axial
rear wheel
slide shaft
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP16960999A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Furuumi
洋 古海
Kunio Shirakawa
邦雄 白川
Yoshio Kakizaki
能生 柿崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP16960999A priority Critical patent/JP2000079881A/ja
Priority to US09/344,775 priority patent/US6223851B1/en
Priority to GB9915221A priority patent/GB2340095B/en
Priority to CA002276554A priority patent/CA2276554C/en
Priority to DE19929932A priority patent/DE19929932C2/de
Publication of JP2000079881A publication Critical patent/JP2000079881A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Steering-Linkage Mechanisms And Four-Wheel Steering (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 装置の大型化を招かずに異常時の中立位置復
帰を確実に行い得る後輪転舵装置を提供する。 【解決手段】 その軸線を後輪に連結されるスライド軸
と平行に延在させてケーシングに支持され且つ軸方向の
中央を境に互いに逆ねじとなるねじが切られると共に電
動モータで回転力を与えられる駆動部材(18)と、駆
動部材の各ねじ部に螺合して駆動部材の回転に応じて軸
方向に互いに接離移動可能な2つの軸力発生部材(21
a・21b)と、これら2つの軸力発生部材の各々とス
ライド軸との間にて各軸力発生部材とスライド軸との間
の結合・非結合を選択するための2つのクラッチ手段
(8a・8b及び23)とを有し、2つのクラッチ手段
のいずれか一方を結合させることで転舵方向を選択し、
2つの軸力発生部材を互いに離間させる向きに駆動する
ことで転舵量を増大させ、2つの軸力発生部材を互いに
近接させる向きに駆動することで転舵量を減少させるも
のとする。これにより、電動モータを逆転すれば現在の
転舵方向に係わらず必ず中立位置へ戻ることとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、後輪転舵装置に関
し、特に電動モータで駆動される後輪転舵装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】前輪舵角に対応させて後輪をも転舵する
ことにより、車両の運動特性を改善しようとする前後輪
操舵装置に関する技術が種々提案されている(特開平9
−58515号公報など参照)。このような前後輪操舵
装置においては、舵角センサの異常時(あるいはエンジ
ン停止時)に、自動的に舵角が中立位置(直進状態)に
戻るフェイルセーフ装置が組み込まれることが一般的で
ある。
【0003】このフェイルセーフ装置としては、正常な
舵角制御の継続が不能となった際にステアリングロッド
を強制的に舵角中立位置へ戻すための中立位置戻しばね
を設けたものが知られている(特開平8−301131
号公報など参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、この従来装
置によると、舵角センサが故障して中立位置の特定が不
能となっても確実に中立位置へ復帰させて直進走行状態
を保持し得るだけの力を有する中立位置戻しばねの弾発
力がステアリングロッドに常時作用しているので、舵角
を与える電動機は、路面抵抗に加えてこの戻しばねの弾
発力に対抗して転舵し得る出力を発生可能でなければな
らない。そのため、電動機および電動機駆動回路の小型
化が阻害されることとなっていた。
【0005】主・副2つの駆動装置と、両駆動装置を選
択的に転舵装置に接続するクラッチとを設け、主駆動装
置の故障時には副駆動装置で後輪舵角を中立位置に戻す
ように構成されたものが特開平5−69834号公報に
提案されているが、これにしても、舵角センサは常に中
立位置の特定が可能なものでなければならないし、異常
時にしか作動しない副駆動装置を設けねばならないの
で、装置全体の小型化は実現し得ない。
【0006】本発明は、このような従来技術の問題点を
解消するためになされたものであり、その主な目的は、
装置の大型化を招かずに異常時の中立位置復帰を確実に
行い得る後輪転舵装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的を果たす
ために、本発明においては、軸方向移動可能にケーシン
グ(3)に支持され且つ後輪に連結されるスライド軸
(1)に軸力を与えることによって後輪舵角を制御する
後輪転舵装置を、その軸線を前記スライド軸と平行に延
在させてケーシングに支持され且つ軸方向の中央を境に
互いに逆ねじとなるねじが切られると共に電動モータで
回転力を与えられる駆動部材(実施の形態中の回転軸1
8)と、前記駆動部材の各ねじ部に螺合して前記駆動部
材の回転に応じて軸方向に互いに接離移動するべく回転
不能にケーシングに係合する2つの軸力発生部材(実施
の形態中のスライドブロック21a・21b)と、これ
ら2つの軸力発生部材の各々と前記スライド軸との間に
て各軸力発生部材とスライド軸との間の結合・非結合を
選択するための2つのクラッチ手段(実施の形態中のク
ラッチインナ8a・8b及びクラッチアウタ23)とを
有し、これら2つのクラッチ手段のいずれか一方を選択
的に結合させることで転舵方向を選択し、2つの軸力発
生部材を互いに離間させる向きに駆動部材を回転させる
ことで転舵量を増大させ、2つの軸力発生部材を互いに
近接させる向きに駆動部材を回転させることで転舵量を
減少させるものとした。
【0008】このようにすれば、舵角センサの故障など
の異常時には、単に電動モータを逆転すれば現在の転舵
方向に係わらず必ず中立位置へ戻るようにすることがで
きるので、中立復帰のための特別な装置が不要となる。
【0009】また、クラッチ手段を、スライド軸に結合
した一方の部材(実施の形態中のクラッチインナ8a・
8b)と軸力発生部材に結合した他方の部材(実施の形
態中のクラッチアウタ23)とを備え、かつこれら両部
材のいずれか一方が、常時一方向へばね付勢されると共
にそのばね力に抗して電磁手段(実施の形態中の電磁ア
クチュエータ15a・15b)で他方向へ付勢されるも
のとし、前記一方の部材の周方向及び軸方向の移動軌跡
が、ケーシングに設けられた機械的な案内手段(実施の
形態中の案内溝14)で規定されるものとすれば、電磁
手段には一時的に駆動力を発生させれば良くなるので、
消費電力量を低減できる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、添付の図面に示された実施
の形態を参照して本発明を詳しく説明する。
【0011】図1は、本発明に基づき構成された電動式
後輪転舵装置における駆動部の全体を示している。図1
において、タイロッドを介して後輪のナックルアーム
(図示せず)にそれぞれ連結されるスライド軸1が、ス
ライド軸受2を介して軸方向摺動自在にケーシング3に
支持されている。
【0012】スライド軸1の軸方向中央部には、スライ
ド軸1を回り止めするために、スライド軸1並びに後記
する回転軸と平行に延在する一対のガイドロッド4に係
合する径方向突出部5が形成されている(図2参照)。
この突出部5の軸方向両側には、図3及び図4に併せて
示すように、スライド軸1にレーザー溶接されたリング
部材6によって軸端方向への変位が規制され、かつ樹脂
軸受7によって所定角度範囲を回動可能なようにされた
クラッチインナ8a・8bがそれぞれ嵌着されている。
【0013】2つのクラッチインナ8a・8bは概ね筒
状をなし、スライド軸中央の突出部5側に大径部9が形
成され、突出部5から離れた側に、後記するスライドブ
ロックの凹部の内径寸法よりも僅かに小さな直径の円周
面にその頂面を置く矩形断面の凸部10が円周を等分割
する位置に複数個形成され(つまりこの部分は軸線に直
交する断面の形状が外歯歯車状をなしている)、大径部
9と凸部10との間、つまり軸方向中央部に凸部10の
底面が接する円周の直径寸法以下の小径部11が形成さ
れている。これらのクラッチインナ8a・8bは、大径
部9の内周面とスライド軸1の外周面との間に装着され
たねじりばね12により、一方向へ弾発的に回動付勢さ
れている。
【0014】各クラッチインナ8a・8bの大径部9の
外周面には、直径線に沿う一対のアーム13が突設され
ている。これらのアーム13は、図5に示すように、ケ
ーシング3の内面に左右対称に形成された、中心から片
側がクランク状をなす案内溝14に、その先端を突入し
ている。また各一対のアーム13の各一方には、直線運
動を行う電磁アクチュエータ15a・15bで揺動駆動
されるロッカーアーム16a・16bの遊端が当接して
おり、各電磁アクチュエータ15a・15bの推力を各
ロッカーアーム16a・16bを介して各アーム13に
伝達することにより、各クラッチインナ8a・8bを個
々に所定角度だけ回動させることができるようになって
いる。
【0015】軸方向中央から互いに逆ねじとなるねじ1
7a・17bが切られ、スライド軸1と平行に延在する
駆動軸18が、回転自在に且つ軸方向変位不能にケーシ
ング3に支持されている。この駆動軸18は、減速歯車
機構19を介して伝達される電動モータ20の回転力に
よって正・逆回転駆動される。
【0016】駆動軸18の各ねじ部17a・17bに
は、スライドブロック21a・21bが、軸方向中央か
ら対称な位置にそれぞれ螺合している。各スライドブロ
ック21a・21bには、スライド軸1に嵌着されたク
ラッチインナ8a・8bの凸部10に対応した複数の凹
部22を備えた(つまりこの部分は軸線に直交する断面
の形状が内歯歯車状をなしている)クラッチアウタ23
が一体形成されている。また各スライドブロック21a
・21bは、スライド軸1を回り止めしているガイドロ
ッド4に係合し、クラッチアウタ23のスライド軸1に
対する同心精度を確保している。
【0017】各スライドブロック21a・21bのそれ
ぞれに設けられたクラッチアウタ23の内周面に形成さ
れた凹部22は、各クラッチインナ8a・8bの外周面
の凸部10の輪郭と対応しており、ねじりばね12の付
勢力のみが作用している状態、つまり各電磁アクチュエ
ータ15a・15bの推力が各ロッカーアーム16a・
16bに作用していない時は、凸部10と凹部22とが
互いに整合するようにその位相角度が定められている。
【0018】各スライドブロック21a・21bは、ス
ライド軸1の軸方向中央部に設けられた突出部5の軸方
向寸法と等しい厚みでケーシング3に形成されたストッ
パ部24にその端面を当接させた位置から、後輪の最大
舵角に相当するスライド軸1の最大ストロークに対応す
る距離だけ移動できるように、ケーシング3の軸方向内
面間寸法Lでその移動範囲が定められている。
【0019】次に本発明装置の作動要領について、図1
に示した舵角中立位置からスライド軸1を左方へ移動さ
せる場合を想定して説明する。
【0020】図1には明示されていないが、2つのクラ
ッチインナ8a・8bは、それぞれが個別の電磁アクチ
ュエータ15a・15bで個々に回動駆動されるように
なっており、例えば、左側の電磁アクチュエータ15a
のみを作動させると、左側のクラッチインナ8aのみが
ねじりばね12の付勢力に抗して案内溝14の周方向部
分14aの間で回動する。すると左クラッチインナ8a
の凸部10と左スライドブロック21aのクラッチアウ
タ23の凹部22との間に位相ずれが生じ、左クラッチ
インナ8aの外周面の凸部10は、左側のクラッチアウ
タ23の凹部22に隣接する凸部と軸方向について同一
直線上で並ぶクラッチ結合状態となる。
【0021】この状態で電動モータ20を正転起動する
と、駆動軸18に螺合した2つのスライドブロック21
a・21bが逆ねじの作用で互いに離間する向きに移動
する。すると左側のクラッチ手段のみが結合状態となっ
ているので、左スライドブロック21aに作用する左方
への軸力が左クラッチインナ8aを介してスライド軸1
に伝わる。
【0022】他方、右クラッチインナ8bの凸部10と
右クラッチアウタ23の凹部22とは整合状態、つまり
クラッチ非結合状態にあるので、右スライドブロック2
1bの軸端方向への移動(右動)は右クラッチインナ8
b、つまりスライド軸1に何の影響も及ぼさない。また
右クラッチインナ8bのアーム13は案内溝14の内向
き軸方向部分14bに係合している。
【0023】而して、スライド軸1は左方へと移動する
こととなる。
【0024】スライド軸1が左方への移動を開始して左
クラッチインナ8aのアーム13が案内溝14の外向き
軸方向部分14cに入り込むと、左クラッチインナ8a
は回動し得なくなるので、この時点で左電磁アクチュエ
ータ15aへの通電を停止して左ロッカーアーム16a
がばね力により戻されても、左クラッチインナ8aと左
スライドブロック21aとの係合状態、つまり左側のク
ラッチ手段の結合状態は保持される。
【0025】駆動軸1のねじ17a・17bのリード角
を摩擦角よりも小さく定めておくことにより、電動モー
タ20を停止した時点の舵角が保持されるようにでき
る。
【0026】2つのスライドブロック21a・21bが
互いに離間した上記の状態から電動モータ20を逆転す
れば、2つのスライドブロック21a・21bが互いに
接近する向きに、つまり中央へ向けて移動するので、ス
ライド軸1の軸方向中央部に形成された径方向突出部5
を左スライドブロック21aが押すことにより、上記と
は逆にスライド軸1が中立位置へ戻るように右動する。
この時も、右クラッチインナ8bの凸部10と右スライ
ドブロック21b側の凹部22とは整合状態(クラッチ
非結合)にあるので、右スライドブロック21bの中央
へ向けての移動(左動)は右クラッチインナ8b、つま
りスライド軸1に何の影響も及ぼさない。
【0027】中立位置で案内溝14の周方向部14aに
左クラッチインナ8aのアーム13が整合した時点に左
電磁アクチュエータ15aが既に消磁されていれば、ね
じりばね12の作用で左クラッチインナ8aが回動して
左クラッチインナ8aの凸部10と左スライドブロック
21a側の凹部22とが整合状態になり、左スライドブ
ロック21aとスライド軸1との結合が断たれる。この
中立位置では、両スライドブロック21a・21bが、
スライド軸1の径方向突出部5を挟み込むと同時にケー
シング3のストッパ部24をも挟み込んだ状態となるの
で、ねじの摩擦角作用と相俟って、高精度、かつ高剛性
に舵角中立位置の保持が行われる。またこの状態では、
左右両クラッチインナ8a・8bの各アーム13が案内
溝14の周方向部分14aの肩のところに位置しており
(図5参照)、これによって左右両クラッチインナ8a
・8bの軸方向位置が規定されるため、よしんば両スラ
イドブロック21a・21bが誤って動いたとしても、
各電磁アクチュエータ15a・15bを励磁しない限
り、スライド軸1の中立状態は保持される。
【0028】中立位置を越えてスライド軸1を右動させ
る際には、中立位置で右側の電磁アクチュエータ15b
のみを励磁させると共に電動モータ20を正転させる。
すると、上記とは逆に右クラッチインナ8bのみが回動
し、右スライドブロック21bの右方への軸力が右クラ
ッチインナ8bを介してスライド軸1に伝達されること
となる。この時、左クラッチインナ8aは、左スライド
ブロック21aのクラッチアウタ23とは係合していな
いので、左スライドブロック21aの左動はスライド軸
1に何の影響も及ぼさない。
【0029】このようにして、2つの電磁アクチュエー
タ15a・15bを選択的に励磁させると同時に電動モ
ータ20の回転方向を選択することにより、2つの電磁
アクチュエータ15a・15bのいずれを励磁(消磁)
するかで転舵の向きが定まり、電動モータ20を正転す
れば舵角が増大し、逆転すれば必ず中立位置へ戻ること
となる。従って、中立戻し制御に転舵方向の判別が不要
となる。また、中立位置へ戻りきると、両スライドブロ
ック21a・21bがケーシング3のストッパ部24及
びスライド軸1の突出部5に当接してそれ以上移動し得
なくなるので、過負荷検出で電動モータ20への電流を
遮断すれば良く、中立位置検出も不要である。
【0030】本装置には、スライド軸1の左右移動を検
出する第1ストロークセンサ25と、両スライドブロッ
ク21a・21bのいずれか一方の(本実施例に於いて
は右側のスライドブロック21b)スライド軸1上での
移動を検出する第2ストロークセンサ26とが設けられ
ており、これらの出力に基づいて異常判別を行えるよう
になっている。
【0031】両センサ25・26は、ポテンショメータ
などの回転検出器の回転軸に固着した各アーム27・2
8の遊端をスライド軸1並びに右スライドブロック21
bに植設された各ピン29・30にそれぞれ結合させ、
スライド軸1並びに右スライドブロック21bの軸方向
移動を回転角に変換して検出するものである(図6参
照)。
【0032】さて、左右のクラッチ手段のうちの片側の
みが固着した場合は、一方への舵角増大は問題なくでき
るが、他方へ舵角増大させようと他方のクラッチ手段を
結合させると、両方のクラッチ手段が共に結合した状態
となり、スライド軸1は移動できなくなる。そして両方
のクラッチ手段が固着した場合は、左右いずれへも舵角
増大できなくなる。従って、操舵した際の電動モータ2
0の電流あるいは舵角値を監視することにより、クラッ
チ手段が結合した状態、つまり各スライドブロック21
a・21bとスライド軸1とが一体化した状態での固着
の判別を行える。
【0033】また、両方のクラッチ手段が結合されない
場合は、各スライドブロック21a・21bが移動して
もスライド軸1は移動しないので、いずれか一方へ転舵
した際の第1・第2両ストロークセンサ25・26の出
力を比較することにより、クラッチ手段が結合されてい
ないことの判別が行える。そして一方のみが結合されな
い場合は、他方への舵角は増大するが一方への舵角は増
大しなくなるので、左右へ転舵された際の第1・第2両
ストロークセンサ25・26の出力を比較することによ
り、結合できなくなったクラッチ手段の判別が行える。
この時、前述した通り、左右両クラッチインナ8a・8
bの各アーム13が案内溝の周方向部分14aの肩のと
ころに位置しているので、クラッチ手段が結合されずに
両スライドブロック21a・21bが互いに離間して
も、スライド軸1の中立状態は保持される。
【0034】このようにして、クラッチ手段が固着並び
に結合不能となる故障を、共に電磁アクチュエータの動
きを監視するセンサを付加することなく操舵状況から判
別することができるので、異常判別に要する装置の簡略
化が図れる。
【0035】図7にクラッチ手段の別の実施例を示す。
なお、上記第1の実施形態に対応する部分には同一の符
号を付してその説明は省略する。本実施形態において
は、逆ねじ17a・17bが切られた駆動軸18に回転
不能に螺合した各スライドブロック21a・21b(軸
力発生部材)との関係を断つ向き(図7に示した状態)
にコイルばね31で弾発付勢された一対のピン32a・
32b(クラッチ手段の一方の部材)が、スライド軸1
の中央部に内設されている。これらのピン32a・32
bは、対応するスライドブロック21a・21bとの結
合を通常は断っている(クラッチ非結合)が、電磁アク
チュエータ15a・15bで押し出されると、各スライ
ドブロック21a・21bに設けられた孔33a・33
b(クラッチ手段の他方の部材)にその先端を突入さ
せ、各スライドブロック21a・21bを個々にスライ
ド軸1に結合する(クラッチ結合)ようになっている。
【0036】本構造においては、両電磁アクチュエータ
15a・15bの内のいずれか一方(例えば左側)を励
磁することにより、図8に示すように、これに対応する
左側のピン32aの先端を左スライドブロック21aの
孔33aに突入させる。この状態で電動モータ20を正
転起動すると、駆動軸18のねじ17a・17bに螺合
した2つのスライドブロック21a・21bが逆ねじの
作用で互いに離間する向きに移動する。するとスライド
軸1は、左ピン32aを介して左スライドブロック21
aに連結されているので、両スライドブロック21a・
21bの離間移動に連れて左動する。
【0037】他方、右電磁アクチュエータ15bは消磁
しているので、右ピン32bは右スライドブロック21
bの孔33bに突入せず、右スライドブロック21bの
右動は何の影響も及ぼさない。
【0038】ケーシング3の内面には、上記第1の実施
形態の案内溝14に相当する案内壁34が設けてあり、
スライド軸1が左動を開始すると、左ピン32aの上端
面が案内壁34の下段に当接し、左電磁アクチュエータ
15aの押圧力によらずに左ピン32aの突出状態が保
持される。
【0039】電動モータ20を逆転起動すると、2つの
スライドブロック21a・21bが互いに接近する向き
に移動し、これに連れてスライド軸1が中立位置へ向け
て右動する。
【0040】中立位置からスライド軸1を右動させるに
は、上記とは逆に右電磁アクチュエータ15bを励磁し
て右ピン32bを右スライドブロック21bの孔33b
に突入させれば良い。
【0041】中立位置では、2つの電磁アクチュエータ
15a・15bを共に消磁して左右のピン32a・32
bを共に図7に示すスライドブロック21a・21bか
ら離脱した状態(クラッチ非結合)とすることにより、
両ピン32a・32bの上端部に案内壁34の肩部が干
渉して両ピン32a・32bの位置が規定されることと
なる。これにより、よしんば電動モータ20が誤って駆
動されて2つのスライドブロック21a・21bが移動
したとしても、スライド軸1の軸方向移動は機械的に禁
止される。
【0042】両スライドブロック21a・21bが、ス
ライド軸1の径方向突出部5を挟み込むと同時にケーシ
ング3のストッパ部24をも挟み込んだ状態となり、舵
角中立位置のより一層強固な保持が行われる点は上記第
1の実施形態と同様である。
【0043】図9は、ロッカアームに関する別の実施例
である。このロッカアーム35は、中央部が枢支された
シーソー式のものであり、その各端を図1に示した如き
左右のクラッチ手段に設けられた各アーム37a・37
bに当接させると共に、一方のクラッチ手段をオンし、
他方のクラッチ手段をオフする状態を維持するように、
枢軸に設けられたねじりばねで常時一方向へ付勢されて
いる。
【0044】これによると、単一の電磁アクチュエータ
36を励磁してシーソー式のロッカアーム35をねじり
ばねの付勢力に抗して揺動させることにより、図10に
示すように、上記の逆に一方のクラッチ手段がオフし、
他方のクラッチ手段がオンするようになるので、クラッ
チの駆動機構を簡略化し得る。
【0045】図11は、ロッカアームに関するさらに別
の実施例である。このロッカアーム38a・38bは、
L字状に屈曲され、かつその屈曲部が枢支されており、
その一端39a・39bが第1実施形態に示した如き各
クラッチインナ部材のアーム13、或いは第2実施形態
に示した如き各ピン32a・32bに対応する部位に当
接している。そして互いに対向配置された他端40a・
40b間に、そのプランジャ41が左右に往復駆動され
る1つの電磁アクチュエータ42が配設されている。ま
たこのロッカアーム38a・38bは、通常はアームを
回動させない位置を維持するように、ねじりばねなどで
付勢されている。
【0046】これの場合は、中立位置では両クラッチ手
段が切れ、電磁アクチュエータ42のプランジャ41の
突き出す向きで2つのロッカアーム38a・38bの内
のいずれが揺動するか、すなわち左右いずれのクラッチ
手段を結合させるのかが決まる。
【0047】次に、本発明による後輪転舵装置の第2の
実施形態について図12〜図22を参照して詳しく説明
する。
【0048】図12に示す通り、軸方向中央から互いに
逆ねじとなる雌ねじ51a・51bが内周面に切られた
円筒状をなす雌ねじシリンダ52(駆動部材)が、軸方
向移動不能に且つ回転可能にケーシング53に支持され
ている。この雌ねじシリンダ52の外周面の適所には、
外歯歯車Gが設けられており、減速歯車機構54(一部
を図示する)を介して電動モータ55の回転力が雌ねじ
シリンダ52に伝達されるようになっている。
【0049】雌ねじシリンダ52の各雌ねじ51a・5
1bには、外周面に雄ねじが切られた円筒状をなす左・
右スライドスリーブ56a・56b(軸力発生部材)が
それぞれ螺合している。これらのスライドスリーブ56
a・56bは、雌ねじシリンダ52の各雌ねじ51a・
51bに一杯にねじ込まれた状態で雌ねじシリンダ52
の各軸方向端面から突出する部分における直径線上に、
一対の径方向外向きの回り止め突起57を各々が備えて
おり、ケーシング53に形成された軸方向溝58にこの
回り止め突起57を突入させることにより、ケーシング
53に対して回転不能にされている。なお、各スライド
スリーブ56a・56bの回り止め突起57のいずれか
1つには、両スライドスリーブ56a・56bのいずれ
か一方の(本実施例に於いては右側のスライドスリーブ
56b)移動距離を検出するためのストロークセンサ5
9が係合している(図14参照)。
【0050】左・右スライドスリーブ56a・56bの
各内周面には、概ね円筒状をなす左・右クラッチアウタ
60a・60b(クラッチ手段の他方の部材)が、所定
角度範囲を相対回動可能に且つ相対軸方向移動不能なよ
うに、それぞれ嵌着されている。これらのクラッチアウ
タ60a・60bの各外端側の開口には、各スライドス
リーブ56a・56bにその一端を係合させ、かつ各ク
ラッチアウタ60a・60bにその他端を係合させたね
じりばね61a・61b(図13参照、図12では省略
されている)が、各クラッチアウタ60a・60bに固
着されたばねホルダ62を介してそれぞれ装着されてい
る。
【0051】これらのねじりばね61a・61bによ
り、各クラッチアウタ60a・60bは、各スライドス
リーブ56a・56bに対し、常時一方へ回動付勢され
ている。なお、回動付勢の方向は、左右勝手反対とされ
ており、それぞれがスライド軸71の各軸端から見て時
計回り方向とされている。
【0052】各クラッチアウタ60a・60bの内周面
におけるねじりばね61a・61bの装着部からやや軸
方向内向きに逃げた位置には、クラッチアウタ60a・
60bを輪切りにした断面上での形状が台形をなす突条
63が、放射方向に複数個(本実施例では6個)形成さ
れている(この部分のみの軸線に直交する断面の形状は
内歯歯車状をなしている)。
【0053】各クラッチアウタ60a・60bの各軸方
向外端部には、各スライドスリーブ56a・56bに形
成された鉤形のスロット64(図15・16参照)を貫
通して径方向外向きに突出するアーム65a・65bが
それぞれ突設されている。鉤形のスロット64は、クラ
ッチ手段の断続作動範囲内は各スライドスリーブ56a
・56bに対して各クラッチアウタ60a・60bが軸
方向移動不能であり、しかも各スライドスリーブ56a
・56bの外方へ各アーム65a・65bを突出させる
ようにするために、各スライドスリーブ56a・56b
の外端に向けて開放された軸方向部分Aと、各クラッチ
アウタ60a・60bの回動角度に対応した周方向部分
Cとからなっている。
【0054】各アーム65a・65bには、上記したね
じりばね61a・61bの付勢力に抗して各クラッチア
ウタ60a・60bを回動させるために、例えば電磁式
の回動アクチュエータ66a・66bの駆動レバー67
a・67bがそれぞれ係合している。両回動アクチュエ
ータ66a・66bの駆動方向は、ねじりばね61a・
61bによる回動付勢の方向に対応して左右勝手反対と
なっている。
【0055】各アーム65a・65bは、ケーシング5
3の内面に設けられた案内溝68a・68b(機械的な
案内手段)にもそれぞれ係合している。この案内溝68
a・68bの作用については後に詳述する
【0056】各クラッチアウタ60a・60bの軸方向
内端には、クラッチ手段の作動状態、つまり両クラッチ
アウタ60a・60b同士間の相対回動角度に応じて互
いに係合・離脱可能なインターロック突起69a・69
bがそれぞれ形成されている。
【0057】このインターロック突起69a・69b
は、図17に示すように、概ね円筒状をなすクラッチア
ウタ60a・60bの軸方向内端の外周部から延出され
た脚部70a・70bの終端に、周方向に互いに向かい
合うように突設されている。そして両クラッチアウタ6
0a・60bの相対回動角度に応じ、ある位置で互いに
噛み合って両クラッチアウタ60a・60bの軸方向離
間移動を阻止し、両クラッチアウタ60a・60bが互
いに逆方向へ回動すると噛み合いが解除されるようにな
っている。なお、このインターロック突起69a・69
bは、1組でも良いが、円周を等分割する位置に複数組
設けても良い。
【0058】両クラッチアウタ60a・60bには、共
通のスライド軸71が同心的に挿通されている。このス
ライド軸71は、ケーシング53に軸方向摺動自在に支
持されており、その各端が、後輪のナックルアームにタ
イロッド(図示せず)を介してそれぞれ連結されるよう
になっている。またスライド軸71は、左方の軸端側に
設けられたピン72が、ケーシング53に形成された軸
方向溝73に突入して回り止めされている。なお、この
ピン72の上端には、スライド軸71の移動距離を検出
するために、図14に示したストロークセンサ59と同
形式のストロークセンサ(図示せず)が係合している。
【0059】スライド軸71の軸方向中央部には、径方
向外向きに突出するセンタリング突起75a・75b
が、適宜な軸方向距離をおいて2組形成されている。ま
たスライド軸71には、各センタリング突起75a・7
5bから軸方向外向きに適宜な距離をおいて、クラッチ
インナ76a・76b(クラッチ手段の一方の部材)が
1組づつ形成されている。
【0060】左・右スライドスリーブ56a・56bの
内周面には、雌ねじシリンダ52の各雌ねじ51a・5
1bに一杯にねじ込まれた状態で各センタリング突起7
5a・75bの軸方向外側面にその内側面が当接し、か
つ左・右クラッチアウタ60a・60bの各軸方向内端
面Sにその外側面が当接する径方向内向きの突起77a
・77bがそれぞれ形成されている。この内向き突起7
7a・77bのセンタリング突起75a・75bとの当
接面には、ゴム材などからなるクッション部材78が設
けられており、内向き突起77a・77bとセンタリン
グ突起75a・75bとが互いに当接した際に打音が発
生しないようにされている。
【0061】各クラッチインナ76a・76bの外周面
には、クラッチインナ76a・76bを輪切りにした断
面上での形状が矩形をなす凸部79が、放射方向に複数
個(本実施例では6個)形成されている(この部分のみ
の軸線に直交する断面の形状は外歯歯車状をなしてい
る)。この凸部79は、上記クラッチアウタ60a・6
0bに形成された台形断面の突条63同士間の凹所に入
り込み得る寸法にされている。
【0062】さて、スライド軸71上の各クラッチイン
ナ76a・76bに設けられた矩形の凸部79と、各ク
ラッチアウタ60a・60bに設けられた台形の突条6
3との位相が非整合な状態(図14・15参照)は、ク
ラッチ手段が非結合な状態である。この状態では、クラ
ッチアウタ60a・60b及びこれと軸方向について一
体をなすスライドスリーブ56a・56bと、クラッチ
インナ76a・76b及びこれと一体をなすスライド軸
71とは、軸方向に相対移動可能である。
【0063】上記の反対に、各クラッチインナ76a・
76bの凸部79と各クラッチアウタ60a・60bの
突条63との位相が互いに整合した状態、つまりクラッ
チ手段の結合状態(図16参照)では、クラッチアウタ
60a・60b及びスライドスリーブ56a・56b
と、クラッチインナ76a・76b及びスライド軸71
とは、軸方向について一体となる。
【0064】他方、左・右スライドスリーブ56a・5
6bが共に中央に寄った、つまり互いに接近した状態で
電動モータ55を正転させると、雌ねじシリンダ52が
正転する。すると、互いに逆ねじとなっている雌ねじ5
1a・51bに螺合した各スライドスリーブ56a・5
6bは、ケーシング53に対して回転不能なため、互い
に離間する向きにスライド軸上を移動する。このとき、
各スライドスリーブ56a・56bの内向き突起77a
・77bが対応するクラッチアウタ60a・60bの軸
方向内端面Sにそれぞれ当接しており、しかも各クラッ
チアウタ60a・60bの各アーム65a・65bが対
応するスライドスリーブ56a・56bのスロット64
にそれぞれ係合しているので、各クラッチアウタ60a
・60bも各スライドスリーブ56a・56bと共に互
いに離間する向きに移動する。
【0065】上記の反対に、左・右スライドスリーブ5
6a・56bが互いに離間した状態で電動モータ55を
逆転させると、各スライドスリーブ56a・56bは中
央に向かって、つまり互いに接近する向きにスライド軸
上を移動する。このとき、各スライドスリーブ56a・
56bの鉤形スロット64の周方向部分Cに対応するク
ラッチアウタ60a・60bのアーム65a・65bが
それぞれ係合しているので、各クラッチアウタ60a・
60bも各スライドスリーブ56a・56bと共に互い
に接近する向きに移動する。
【0066】ところで、各アーム65a・65bを係合
させるべくケーシング53の内面に設けられた案内溝6
8a・68bは、図18〜21に示すように、それぞれ
が互いに平行に延在する2つの軸方向部分H1・H2
と、2つの軸方向部分の中央側の端末同士を結ぶ周方向
部分Vとからなるコ字形をなし、左右対称形に形成され
ている。
【0067】ここで2つのクラッチアウタ60a・60
bは、それぞれが個別の回動アクチュエータ66a・6
6bで個々に回動駆動されるようになっており、回動ア
クチュエータ66a・66bが非作動(非励磁)の時は
クラッチ手段が結合状態となり、回動アクチュエータ6
6a・66bを作動(励磁)させるとクラッチ手段が非
結合状態となるようにされている。
【0068】スライドスリーブ56a・56b及びクラ
ッチアウタ60a・60bが中央に一杯寄った状態で、
例えば、図12における右側の回動アクチュエータ66
bのみを作動させると、右側のクラッチアウタ60bの
みがねじりばね61bの付勢力に抗して回動する。する
と当該クラッチアウタ60bの突条63と、これに対応
するクラッチインナ76aの凸部79とが非整合とな
り、つまり右側のクラッチ手段のみが非結合状態となる
(図15参照)。この時、対応する案内溝68bの周方
向部分V内を下向きに移動したアーム65bは、下側の
軸方向部分H2に整合する(図18参照)。
【0069】他方、左側のクラッチアウタ60aは、ね
じりばね61aの付勢力により、クラッチアウタ60a
の凸部63とクラッチインナ76aの突条79とが整合
してこれらが軸方向について同一直線上で並ぶ状態、つ
まり左側のクラッチ手段の結合状態を維持している。こ
の時、アーム65aは、案内溝68aの下側の軸方向部
分H2に整合した状態のままである(図18参照)。
【0070】この状態では、各クラッチアウタ60a・
60bの軸方向内端に設けられたインターロック突起6
9a・69b同士は、互いに非係合の状態にある(図2
2の二点鎖線参照)。
【0071】この状態で電動モータ55を正転起動する
と、雌ねじシリンダ52に螺合した2つのスライドスリ
ーブ56a・56bが逆ねじの作用で互いに離間する向
きに移動し、これに連れて2つのクラッチアウタ60a
・60bも互いに離間する向きに移動する。すると左側
のクラッチ手段のみが結合状態にあるので、左スライド
スリーブ56aに作用する左方への軸力が左クラッチア
ウタ60a及び左クラッチインナ76aを介してスライ
ド軸71に伝わる。
【0072】他方、右クラッチアウタ60bの突条63
と右クラッチインナ76bの凸部79とは非整合状態、
つまり右側のクラッチ手段は非結合状態にあるので、右
スライドスリーブ56bと共に軸端方向へ移動(右動)
する右クラッチアウタ60bは、対応する右クラッチイ
ンナ76b、つまりスライド軸71に何の影響も及ぼさ
ない。
【0073】而して、スライド軸71は左クラッチアウ
タ60aと共に左方へと移動することとなる。
【0074】スライド軸71が左方への移動を開始して
右クラッチアウタ60bのアーム65bが案内溝68b
の下側軸方向部分H2に入り込むと、右クラッチアウタ
60bは回動し得なくなるので、この時点で右回動アク
チュエータ66bへの通電を停止しても、右側のクラッ
チ手段の非結合状態は維持され、スライド軸71への左
方への軸力は継続して伝達される。
【0075】各クラッチアウタ60a・60bの各アー
ム65a・65bが各案内溝68a・68bの下側軸方
向部分H2の外端に突き当たるか、或いは各スライドス
リーブ56a・56bの回り止め突起57が各軸方向溝
58の外端に突き当たる等してスライド軸71の軸方向
移動がそれぞれ機械的に規制されると、電動モータ55
の電流値が増大するので、これを捕らえて電動モータ5
5への通電を絶てば良い。
【0076】ねじのリード角を摩擦角よりも小さく定め
ておくことにより、電動モータ55を停止した時点の舵
角が保持されるようにできる。
【0077】この状態から電動モータ55を逆転すれ
ば、2つのスライドスリーブ56a・56bが互いに接
近する向きに、つまり中央へ向けて移動するので、左ス
ライドスリーブ56aの内向き突起77aとスライド軸
71のセンタリング突起75aとの係合により、上記と
は逆にスライド軸71が中立位置へ戻るように右動す
る。この時も、右側のクラッチ手段は非結合状態にある
ので、右スライドスリーブ56bの中央へ向けての移動
(左動)は右クラッチインナ76b、つまりスライド軸
71に何の影響も及ぼさない。
【0078】中立位置で右案内溝68bの周方向部分V
に右クラッチアウタ60bのアーム65bが整合した時
点に右回動アクチュエータ66bのトルクが既に消滅し
ていれば、ねじりばね61bの作用で右クラッチアウタ
60bが回動して右クラッチアウタ60bの突条63と
右クラッチインナ76bの凸部79とが整合状態、つま
り右側のクラッチ手段が結合状態になる。
【0079】スライド軸71の中立位置においては、両
スライドスリーブ56a・56bの内向き突起77a・
77bがスライド軸71上のセンタリング突起75a・
75bを挟み込むと共に、両クラッチアウタ60a・6
0bの各アーム65a・65bが、ケーシング53の内
面に設けられた各ガイド溝68a・68bの周方向部分
Vの内側面に当接してその位置が規制されるので、雌ね
じシリンダ52と両スライドスリーブ56a・56b間
のねじの摩擦力と相俟って、中立位置でスライド軸71
に軸力が加わっても、スライド軸71の中立位置が剛固
に保持される。
【0080】中立位置を越えてスライド軸71を右動さ
せる際には、中立位置で左側の回動アクチュエータ66
aのみを作動させると共に電動モータ55を正転させ
る。すると、上記とは逆に左側のクラッチ手段が非結合
状態で、かつ右側のクラッチ手段が結合状態となるの
で、右スライドスリーブ56bの右方への軸力が右クラ
ッチアウタ60b及び右クラッチインナ76bを介して
スライド軸71に伝達され、左スライドスリーブ56a
の左動はスライド軸71に何の影響も及ぼさないことと
なる。また、この時は、各アーム65a・65bは共に
各ガイド溝68a・68bの上側軸方向部分H1に整合
し(図19参照)、各クラッチアウタ60a・60bの
インターロック突起69a・69b同士は、互いに非係
合の状態のままである(図22の二点鎖線参照)。
【0081】このようにして、2つの回動アクチュエー
タ66a・66bを選択的に作動させると同時に電動モ
ータ55の回転方向を選択することにより、2つの回動
アクチュエータ66a・66bのいずれを作動させるか
で転舵の向きが定まり、電動モータ55を正転すれば舵
角が増大し、電動モータ55を逆転すれば、左右いずれ
の方向に転舵していたとしても、スライド軸71は必ず
中立位置へと戻されることとなる。従って、中立戻し制
御に転舵方向の判別が不要となる。また、中立位置へ戻
りきると、両スライドスリーブ56a・56bの内向き
突起77a・77bがスライド軸71のセンタリング突
起75a・75bを挟み込んでそれ以上移動し得なくな
るので、過負荷検出で電動モータ55への電流を遮断す
れば良く、中立位置検出も不要である。
【0082】本装置は、スライド軸71の左右移動を検
出するべくピン72に係合するストロークセンサ(図示
せず)と、両スライドスリーブ56a・56bのうちの
一方のスライド軸71上での移動を検出するストローク
センサ59とを備えており、これらの出力に基づいて種
々の異常判別が行える。以下に本実施の形態に於ける異
常時の動作について説明する。
【0083】例えば、左右のクラッチ手段のうちの一方
のみが固着した場合は、一方への舵角増大は問題なくで
きるが、他方へ舵角増大させるべく他方のクラッチ手段
を結合すると、両方のクラッチ手段が共に結合した状態
となる(図20参照)。左右のクラッチ手段が共に結合
した状態で電動モータ55を正転駆動すると、両スライ
ドスリーブ56a・56bが互いに離間しようとする向
きの力が同時にスライド軸71に加わるため、スライド
軸71はいずれの方向へも移動できなくなる。また両方
のクラッチ手段が共に固着した場合は、言うまでもなく
左右いずれへも舵角増大できなくなる。従って、電動モ
ータ55の電流値あるいは舵角値を監視することで、ク
ラッチ手段が結合した状態での固着の判別が行える。
【0084】両方のクラッチ手段が結合されない状態で
は、図21に示すように、各クラッチアウタ60a・6
0bのインターロック突起69a・69bが互いに噛み
合うため、各クラッチアウタ60a・60bは相対離間
移動ができなくなる。両クラッチアウタ60a・60b
同士間が離間しないと、これと軸方向については一体を
なす両スライドスリーブ56a・56b同士間も離間で
きない。従って、スライド軸71はいずれの方向へも移
動できないので、いずれか一方へ転舵した際の2つのス
トロークセンサの出力を比較することで、クラッチ手段
が接続できなくなった状態の判別が行える。また一方の
クラッチ手段のみが接続されない場合は、他方への舵角
は増大するが一方への舵角は増大しなくなるので、左右
へ転舵された際の2つのストロークセンサの出力を比較
することで判別できる。
【0085】このようにして、クラッチ手段の固着並び
に結合不能となる故障を、共に回動アクチュエータ66
a・66bの動きを監視するセンサを付加することなく
操舵状況から判別することができるので、異常判別に要
する装置の簡略化が図れる。
【0086】
【発明の効果】このように本発明装置によれば、電動モ
ータを、一方へ回転(正転)させると舵角が増大し、他
方へ回転(逆転)させると舵角が減少するので、異常発
生時の中立位置戻し制御に左右いずれに転舵されている
かの判別を行う必要が無くなる。従って、電動駆動で中
立位置へ戻すようにすることができるので、中立位置戻
しばねが不要となることから、電動機の低出力化が可能
となり、電動機およびその駆動回路を小型化する上に多
大な効果を奏することができる。
【0087】また請求項2の構成を採るものとすれば、
電磁手段に一時的に駆動力を発生させるだけでクラッチ
結合状態が維持されるので、消費電力量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の一部切除して示す全体構成図
【図2】図1に於けるII−II線に沿う断面図
【図3】要部拡大断面図
【図4】図1に於けるIV−IV線に沿う断面図
【図5】図4に於けるV−V線に沿う断面図
【図6】図2に於けるVI−VI線から見た部分図
【図7】クラッチ手段に関わる別案を示す要部断面図
【図8】図7に示したクラッチ手段の作動状態を示す要
部断面図
【図9】ロッカアームの別案の一方の状態を示す概念図
【図10】図9に示すロッカアームの他方の状態を示す
概念図
【図11】ロッカアームのさらに別の案を示す概念図
【図12】本発明の第2の実施形態を一部切除して示す
全体構成図
【図13】図14のXIII−XIII断面図
【図14】図13のXIV−XIV断面図
【図15】クラッチ手段の非結合状態を示す概略斜視図
【図16】クラッチ手段の結合状態を示す概略斜視図
【図17】インターロック突起部分の斜視図
【図18】スライド軸が右動する場合のクラッチ手段の
作動説明図
【図19】スライド軸が左動する場合のクラッチ手段の
作動説明図
【図20】クラッチ結合状態で固着した場合の作動説明
【図21】クラッチ非結合状態で固着した場合の作動説
明図
【図22】インターロック突起の作動説明図
【符号の説明】
1 スライド軸 3 ケーシング 8a・8b クラッチインナ 14 案内溝 20 電動モータ 15a・15b 電磁アクチュエータ 21a・21b スライドブロック 23 クラッチアウタ ピン 32a・32b 孔 33a・33b 34 案内壁 52 雌ねじシリンダ 53 ケーシング 55 電動モータ 56a・56b スライドスリーブ 60a・60b クラッチアウタ 66a・66b 回動アクチュエータ 68 案内溝 71 スライド軸 76a・76b クラッチインナ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸方向移動可能にケーシングに支持され
    且つ後輪に連結されたスライド軸に軸力を与えることに
    よって後輪舵角を制御する後輪転舵装置であって、 その軸線を前記スライド軸と平行に延在させてケーシン
    グに支持され且つ軸方向の中央を境に互いに逆ねじとな
    るねじが切られると共に電動モータで回転力を与えられ
    る駆動部材と、 前記駆動部材の各ねじ部に螺合して前記駆動部材の回転
    に応じて軸方向に互いに接離移動するべく回転不能にケ
    ーシングに係合する2つの軸力発生部材と、 前記2つの軸力発生部材の各々と前記スライド軸との間
    にて各軸力発生部材とスライド軸との間の結合・非結合
    を選択するための2つのクラッチ手段とを有し、 前記2つのクラッチ手段のいずれか一方を選択的に結合
    させることで転舵方向を選択し、 前記2つの軸力発生部材を互いに離間させる向きに前記
    駆動部材を回転させることで転舵量を増大させ、 前記2つの軸力発生部材を互いに接近させる向きに前記
    駆動部材を回転させることで転舵量を減少させるように
    してなることを特徴とする後輪転舵装置。
  2. 【請求項2】 前記クラッチ手段は、前記スライド軸に
    結合した一方の部材と前記軸力発生部材に結合した他方
    の部材とを備え、かつこれら両部材のいずれか一方が、
    常時一方向へばね付勢されると共にそのばね力に抗して
    電磁手段で他方向へ付勢されるものであり、 前記一方の部材の周方向及び軸方向の移動軌跡は、前記
    ケーシングに設けられた機械的な案内手段で規定される
    ものであることを特徴とする請求項1に記載の後輪転舵
    装置。
JP16960999A 1998-06-29 1999-06-16 後輪転舵装置 Pending JP2000079881A (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16960999A JP2000079881A (ja) 1998-06-29 1999-06-16 後輪転舵装置
US09/344,775 US6223851B1 (en) 1998-06-29 1999-06-28 Rear wheel steering device having fail-safe features
GB9915221A GB2340095B (en) 1998-06-29 1999-06-29 Rear wheel steering device having fail-safe features
CA002276554A CA2276554C (en) 1998-06-29 1999-06-29 Rear wheel steering device having fail-safe features
DE19929932A DE19929932C2 (de) 1998-06-29 1999-06-29 Hinterradlenkvorrichtung mit Ausfallsicherungsmerkmalen

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10-182108 1998-06-29
JP18210898 1998-06-29
JP16960999A JP2000079881A (ja) 1998-06-29 1999-06-16 後輪転舵装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000079881A true JP2000079881A (ja) 2000-03-21

Family

ID=26492870

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16960999A Pending JP2000079881A (ja) 1998-06-29 1999-06-16 後輪転舵装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000079881A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6381527B1 (en) 1999-10-13 2002-04-30 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Control unit for rear-wheel steering apparatus
US6505700B2 (en) 2000-04-13 2003-01-14 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Rear wheel steering device

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6381527B1 (en) 1999-10-13 2002-04-30 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Control unit for rear-wheel steering apparatus
DE10050381B4 (de) * 1999-10-13 2005-02-10 Honda Giken Kogyo K.K. Steuereinheit für eine Hinterrad-Lenkvorrichtung
US6505700B2 (en) 2000-04-13 2003-01-14 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Rear wheel steering device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4805486A (en) Locking differential gear assembly
JP3758649B2 (ja) 車両操舵装置
US6505700B2 (en) Rear wheel steering device
CN111114620B (zh) 转向动力切断装置及可断开式转向传动系统及车辆
JPH03281148A (ja) 過負荷トルク検出装置
JP2000079881A (ja) 後輪転舵装置
CA2276554C (en) Rear wheel steering device having fail-safe features
CN218229120U (zh) 限位装置、线控转向系统和车辆
JP4318790B2 (ja) 自動車用アクセルペダル装置
EP0682616B1 (en) Power steering device for an automobile
JP2000079882A (ja) 後輪転舵装置
JP2001180512A (ja) 後輪操舵装置の制御装置
JP2001001934A (ja) 後輪転舵装置
US6880420B2 (en) Automatic control device for a motorized vehicle gearbox
JP2000016312A (ja) 電動式舵角制御装置
JP2000016322A (ja) 後輪転舵装置
CN214661967U (zh) 变速器用的锁止板、车辆用的变速器及车辆
US9308818B2 (en) Power transmission device
WO2023017789A1 (ja) 作業機
JP4321900B2 (ja) 駆動方式切換クラッチ構造
JP2001260909A (ja) 操舵トルク検出装置
JP3824477B2 (ja) 車両用操舵装置
KR0127525Y1 (ko) 산업차량용 절환스위치
KR200223615Y1 (ko) 조향용 동력토오크 검출장치
JPH03277442A (ja) ボールネジ・スプライン装置